メールマガジン「めざせ!気象予報士・お天気キャスター」バックナンバー

■メルマガ紹介

17歳で気象予報士試験に合格した藤田真司は、
20歳から気象キャスターを6年余り担当した後、
2005年春に藤田真司の気象予報士塾を開塾した。
天気予報が好きな人、気象予報士になりたい人、
お天気キャスターを目指す人にはぜひ読んでほしい。


■配信形式

     シンプルテキスト形式・隔週刊(月曜日発行)


■著者

藤田 真司 (ふじた しんじ)
1978年(昭和53年)、奈良県生まれ。
株式会社ウェザーニューズで、気象予報士・気象キャスターとして勤務後、
2005年4月に退社し、「藤田真司の気象予報士塾」を開塾。


■目次

(まえがき)気象予報士・気象キャスターを目指すあなたへ
  1、高校球児、気象予報士試験に興味を持つ。
  2、参考書に書いてある意味が分からない。
  3、早朝から勉強するも、2回連続で不合格。
  4、3度目の正直、17歳で試験合格!
  5、目指せ!気象キャスター。まずは仲間探し。
  6、学習塾の講師で、説明することの勉強。
  7、お天気キャスター森田正光さんに会いに行く。
  8、突然、舞い込んだ大きなチャンス
  9、深夜2時起床の生活スタート!
  10、体力が勝負の世界
  11、文系でも試験に合格できる。
  12、試験と実務は違います。
  13、動いた者が注目される。
  14、勉強の仕方 〜独学or通学〜 その1
  15、勉強の仕方 〜独学or通学〜 その2
  16、気象キャスターに向いている人とは?
  17、中学校の宿題から消えた「天気図作成」
  18、台風情報を伝えるという仕事
  19、難しい試験・・・でも恐れる必要はなし。
  20、気象庁のホームページを活用しよう。
  21、ときには自然に触れて、風を感じよう。
  22、勉強モードへの切替が大切。
  23、合格までに必要な時間は?
  24、分からないところを探す。
  25、名刺集めよりも必要なこと
  26、日本の気候 〜冬〜
  27、日本の気候 〜春〜
  28、できない理由を探さない。
  29、日本の気候 〜夏〜
  30、代役になる準備はできているか?
  31、「受験勉強日記」を作ってみよう。
  32、日本の気候 〜秋〜
  33、将棋の習得で学ぶ「天気図の読み方」
  34、気象情報は大きなビジネス
  35、雨を知らせる名曲
  36、肌感覚が大切
  37、何かを選ぶことは何かを捨てること
  38、勢いだけでは続かない
  39、耳に残る話し方とは?
  40、質問こそが理解への近道
  41、ライバルはわりと少ない。
  42、気象予報士の資格でメシが食えるか?(前編)
  43、気象予報士の資格でメシが食えるか?(後編)
  44、難問は少ない。
  45、自由とは「誰も働きかけてくれない」こと。
  46、最大限の夢を描こう。
  47、協力し合える仲間はいますか?
  48、価値観は遣ったお金に表れる。
  49、「気象」は、21世紀の必修科目だ!
  50、東大入試より難しい? 〜一般知識試験の攻略法〜
  51、最新情報を押さえよ  〜専門知識試験の攻略法〜
  52、苦手だと感じるものに挑戦してみる。
  53、半年後の試験に備えて
  54、合格を諦めない。
  55、学科合格なくして完全合格なし
  56、【特別対談】私たちはこうして気象予報士になった。
  57、新しい予報用語を学ぶ
  58、秘術? 学科試験免除期間を延長する方法
  59、実技試験での計算問題
  60、睡眠時間を削って勉強するのは有効か?
  61、実技試験攻略法 〜精読から速読へ〜
  62、自分の言葉で天気予報を解説するために。
  63、実力とコネは自分で作る。
  64、写真やイラストの多い本から始めよう。
  65、ミニノート活用術
  66、二次試験まで、あと5か月。
  67,「お天気」と「気象学」のギャップに耐える。
  68,参考書を活用する方法。
  69,試験結果の分析から得られる教訓
  70,観察→分析→実行
  71,気象業界で仕事をしたい方へ(前編)
  72,気象業界で仕事をしたい方へ(後編)
  73,勉強の質と量を確保するために。
  74,転職の準備としての受験勉強
  75,気象予報士を志す学生さんへ
  76、走り続けることができた人だけ合格できる。
  77、少しずつ知識を積み上げる。
  78、過去問題ぐらいはマスターしておきたい。
  79、あの人はどのようにして気象予報士になったのか?
  80、講義録で勉強した人たち
  81、電車の中で過ごす時間を有効活用しよう。
  82、添削を受けることで文章力は磨かれる。
  83、買った本で勉強するべし。
  84、登ってみて初めて見える景色がある。
  85、作図問題の勉強法
  86、大切なのは暗記よりも、理解。
  87、アウトプットの作業で知識を定着させる。
  88、過去問題演習での注意点
  89、試験会場で心を落ち着ける方法
  90、合格して受験勉強を終えよう。
  91、「実行」のために「有言」する。
  92、勉強に終わりはない。
  93、マスコミに出るということ。
  94、出題された問題について勉強することが大事。
  95、自分を奮い立たせる方法を持っているか。
  96、その習慣、本当に必要ですか?
  97、効率的な学習のためにお金を遣う。
  98、忘年会の二次会には出ない。
  99、一年の計は年末にあり。
  100、種をまくから、収穫できる。
  101、合格体験記の読み方
  102、気分転換としての勉強
  103、理解できるから、覚えられる!勉強が楽しくなる!
  104、気象会社への就職を目指す学生の皆さんへ
  105、生涯学習としての気象予報士試験
  106、どんな気象キャスターを目指すか。
  107、長く続けるための3つの方法
  108、息抜きは必要。
  109、一人で進める勉強・仲間と進める勉強
  110、「大気の熱力学」という山を越える。
  111、興味を持つことで、知識は増える。
  112、パソコンを活用した実技試験の勉強
  113、「読むだけで理解できる参考書」は存在するか?
  114、夏休みを基礎固めに使ってみる。
  115、勉強道具にこだわる価値あり。
  116、試験当日までに心得ておきたい3つのポイント
  117、難しい試験だからこそ、挑戦する価値がある。
  118、「サボリ」と「オーバーワーク」を避ける。
  119、受験仲間を作ったほうが良い2つの理由。
  120、実技試験合格のために大切なこと。
  121、理数系の勉強を恐れない。
  122、分かりやすい本で勉強を始める。
  123、3か月続ければレベルアップ。
  124、次につながる勉強を。
  125、好きなものを1つ断て。
  126、勉強時間を編成する。
  127、最高の状態で試験に臨むための秘訣
  128、第33回気象予報士試験を振り返って
  129、学びたいときこそ学習適齢期
  130、半年先までの学習計画を立てよう。
  131、「アサベン」のすすめ
  132、得意な分野で自信を付ける。
  133、アクセルはゆっくり踏む。
  134、仲間とともに難関試験に立ち向かおうぞ!
  135、分からなくなったら基礎に戻る。
  136、実技試験の勉強の進め方
  137、日常生活とつながりがあるから、気象の勉強は面白い。
  138、目だけでなく、耳も使う。
  139、「分からないことノート」を作る。
  140、成功する受験生になるために、押さえたいツボ
  141、行き詰まったときはペンを動かせ。
  142、試験前2週間で集中的に取り組みたいこと。
  143、実技の壁が高い人と低い人
  144、学習計画は逆算で立てる。
  145、頑張れるための「つながり」を作る。
  146、種を蒔かねば、果実は得られない。
  147、勉強を携帯する。
  148、体調管理も試験対策のうち。
  149、数学の勉強をどこまですればよいか。
  150、実技試験の勉強には集中できる長時間を用意する。
  151、長期休暇を使って習慣の見直しを。
  152、問題を解くことで知識は定着する。
  153、平常心が凡ミスを防ぐ。
  154、夏に冬のことを考え、冬に夏のことを考える。
  155、第35回実技試験を振り返って
  156、時間を味方にする。
  157、合格体験記のここに着目
  158、学習において、「幹」と「細い枝」を見極める。
  159、実技試験の勉強は答案分析にあり。
  160、「気づき」によって、思考回路が1つ増える。
  161、先頭集団は本気のランナーばかり。
  162、基礎学習で知識をしっかり養う。
  163、勉強を進めるうえで大切なこと。
  164、削る時間・捨てる時間を見つけ出す。
  165、「良い質問」とは何か?
  166、合格者がとった試験当日の行動とは?
  167、第36回気象予報士試験を振り返って
  168、コツコツを続けるためのコツ
  169、分析から学習課題が見えてくる。
  170、時間をかけるからこそ、効率を考える意味がある。
  171、スランプを乗り越える方法を知る。
  172、勉強の成果は自分の言葉で残す。
  173、過去問題で資料の読み取り力を養う。
  174、受験勉強に必要な「選択と集中」
  175、年末から年明けに感じたこと
  176、快適な環境で試験を受けるために準備しておくこと
  177、問題演習は基礎学習のあとで
  178、同志の存在を感じるから、1人で頑張れる。
  179、スマートフォンは勉強にも使える。
  180、大人の受験勉強は、持続力で勝負
  181、「お付き合い宴会」との上手な付き合い方
  182、気象庁ホームページを活用する。
  183、?をどこまで追求すべきか
  184、過去問題の調達方法
  185、実技試験の勉強は、検証→納得→再現
  186、試験勉強の優先順位を高める。
  187、受験生は「選手兼トレーナー」
  188、一人合宿のすすめ
  189、夏休みにゼロから始めて軌道に乗せる。
  190、範囲を絞り込んで、苦手分野を克服
  191、緊張の先に合格がある。
  192、第38回気象予報士試験を振り返って(学科)
  193、第38回気象予報士試験を振り返って(実技)
  194、課題の洗い出しと解決こそがレベルアップへの道
  195、実技試験で問われる「国語力」
  196、合格率は自分で高めるもの
  197、「誤解を理解に変えること」が実力向上の秘訣
  198、引き算の発想で勉強時間を確保する。
  199、受験勉強再開のすすめ
  200、疑問解決ノートを作ろう。
  201、まず入門してみる
  202、試験で全力を発揮できる環境を作る。
  203、「1問あたり4分間」の試験に挑むための方法
  204、合格発表前に、一歩抜け出す。
  205、合格でしか得られない感動がある。
  206、次の試験に向けて立ち上がろうぞ!
  207、早朝という時間を最大限に活用する。
  208、受験勉強のためのスマートフォン活用術
  209、仲間からエネルギーをもらう。
  210、「黄金の1時間」を持つ
  211、試験3か月前からの学科試験学習法
  212、試験があるから勉強にも力が入りやすい。
  213、一歩踏み出すことで、変わる。
  214、課題は細切れに分割して取り組む。
  215、自分のための「勉強基地」を用意する。
  216、出題予測をする時間があれば、過去問題演習に励む。
  217、試験直前に何を勉強するか。
  218、実技試験合格のために必要なこと
  219、1日90分を続けてみる。
  220、受験勉強は「合格」で締めくくりたい。
  221、自分自身に投資する。
  222、短くとも良質な勉強時間を確保する。
  223、合格者の足跡から学ぶ。
  224、実技試験の演習をどこまでやるべきか。
  225、学科試験の演習をどこまでやるべきか。
  226、2015年春の資格取得に向けたハードな学習計画
  227、易しい問題を取りこぼさない。
  228、出題者と対話するように問題を解く。
  229、GWまでにどれだけの勉強ができるか。
  230、過去問題を使って鍛える。
  231、耳からの学習
  232、「合格の相場」に基づいて分析する。
  233、合格率の低さを恐れない。
  234、限られた時間を集中的に活用する。
  235、めざせ!在学中の合格
  236、実技試験の勉強の取り組み方
  237、「できない理由」を捨てる。
  238、試験に対する不安に押しつぶされないために
  239、自分の未来のための「研究開発投資」
  240、気象予報士試験に合格する人の特徴(その1)
  241、気象予報士試験に合格する人の特徴(その2)
  242、試験前の受験勉強
  243、実力を出し切るために、問題文を熟読する。
  244、気象予報士試験に合格する人の特徴(その3)
  245、気象予報士試験に合格する人の特徴(その4)
  246、冬試験に向けての学習
  247、この勉強法で良いだろうか?(実技試験編)
  248、寝不足で勉強しない。
  249、背中をつついてくれる人を味方にする。
  250、正答率の高い問題を落とさない。
  251、誘惑を遠ざける。
  252、年末年始を有効に活用する。
  253、余裕のある学習計画を立てる。
  254、試験当日のために行っておきたい準備
  255、休息から抜け出す。
  256、合格体験記から課題解決法を学ぶ
  257、合格で得られる自信がある。
  258、遠くの山を見ながら一歩ずつ歩き続ける。
  259、過去問題演習で思考パターンを蓄積する。
  260、気象予報士試験の勉強を検討している学生の皆さんへ
  261、情熱を持ち続けることこそ、合格のための必要条件だ。
  262、自分に適した学習環境を考えてみる。
  263、課題を可視化する。
  264、始業前学習で勉強習慣を定着させる。
  265、受験生活は一人だが独りでは無い。
  266、知識を繋ぎ合わせて理解する。
  267、解答例をお手本にする。
  268、試験直前でしてはいけない3つのこと。
  269、日常の受験勉強の延長線上に合格がある。
  270、試験終了後の気持ちを忘れないうちに作戦会議を。
  271、基礎学習と問題演習をバランス良く
  272、添削を通じて自分の課題を知る。
  273、勝つために再度立ち上がる。
  274、勉強はいつからでも始められる。
  275、第44回試験の実技試験を振り返って
  276、覚えるべきことと覚えてはいけないこと
  277、しっかり洗い出す。キチンと解決する。
  278、数学が苦手なだけで気象予報士を諦めるのはもったいない。
  279、二歩目は一歩目よりも楽。
  280、事前準備で過度の緊張を防ぐ。
  281、合格のコツは「深く振り返り、早く切り替えること」
  282、第45回気象予報士試験を振り返って(実技)
  283、メインの仕事を充実させるために、気象を学ぶ。
  284、冷めないうちにエンジン再始動を。
  285、多くの支えによってキャスターは育てられていく。
  286、この時間管理術で勉強時間を確保しよう。
  287、頭の中のアップデートは自分にしかできない。
  288、最終目標から逆算して計画を立て、課題は細分する。
  289、1日の中から「勉強枠」を天引きする。
  290、何のために過去問題演習をするのか?
  291、2017年8月試験での合格に向けて
  292、一人で集中できる時間と空間を確保する。
  293、やっぱり知識の充実度がものを言う。
  294、ダサい基礎学習こそ大切。
  295、夏試験を乗り越えた先輩方から学ぶ
  296、限られた時間を上手く使う。
  297、自分に合った勉強道具を見つけよう。
  298、合格体験記は先輩からの引継書
  299、合格に向けて登り続ける。
  300、難度の低い問題のほうが重要だ。
  301、気象の勉強は役に立つ。
  302、大きな課題は、細かく分割して取り組む。
  303、進捗感・達成感が勉強習慣を確立させる。
  304、短くとも集中できる時間を持つ。
  305、今年こそ気象予報士試験合格!に向けて
  306、これまでの過去問題演習が助けてくれる。
  307、2月の使い方で差を付ける。
  308、「いつでも使える」≠「いつでも使う」
  309、最近の話題から
  310、それぞれの目標に向かって
  311、モチベーションの維持こそ、合格の必須要素だ。
  312、勉強時間と勉強場所からの自由
  313 、他人の目が応援団になる。
  314、本業に気象の専門知識をプラスする。
  315、実技試験で必要な3つの力
  316、ゴールに向かって歩み続けよう。
  317、「これだ!」と思った教材を使い潰す。
  318、「当たり前」の水準を引き上げる。
  319、直近の過去問題を温存しない。
  320、試験直前には範囲を限定して取り組む。
  321、試験前に焦ったら合格体験記を読もう。
  322、「明日から」ではなく「今から」勉強を再開する。
  323、第48回試験を振り返って(一般知識試験)
  324、第48回試験を振り返って(専門知識試験)
  325、「適切な手法」と「圧倒的な分量」を兼ね備える。
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(はじめに)

私は気象予報士として、民間の気象会社で勤務していました。
会社を退職した後も、天気予報は大好きです。
なにしろ、未来を予測できるわけですからね。
「先のことは分からない」とよく言われますが、
天気予報なら、少なくとも明日・明後日くらいの範囲ならば、
かなりの傾向が分かる時代になりました。
これって、すごいことだと思いませんか?
株価・競馬・選挙・景気・商品など、
世の中には多くの予測が流れていますが、
天気予報ほど的中率の高いものはないと思います。

また、日常生活に深く関わってくるのも天気です。
晴れて雲一つない青空が広がれば、
それだけで一日を楽しく過ごせそうな予感がしますし、
朝から雨が降っていれば、服が濡れるんじゃないか、
黒板の文字が見えにくくなるなあと、憂鬱な気分になりがちです。

台風接近が予想できるからこそ、
海で事故に遭う危険も避けられますし、
雷発生の危険性が予想できるからこそ、
屋外で落雷に遭う危険も避けることができます。

天気との関連はこれだけに留まりません。
健康とも大きく関係します。
寒くなれば風邪を引きやすくなりますし、
暑ければ胃腸が弱りがちになります。
また、天気の変化によって、古傷が痛んだり、
ぜんそくの発作が出やすくなる、ということも言われます。

冬に大雪になれば、被害を受ける人がいる一方で、
スキー場でのゲレンデコンディションの良さに喜ぶ人もいます。
夏が暑ければ、冷房器具が売れるので電器店は大喜びですが、
熱中症でダウンしてしまう人も多くなります。
健康にも、生活にも、景気にも、
天気は深く関係しているといって良いでしょう。

1994年には気象予報士という資格ができました。
この資格を取得したのをきっかけに、
気象の世界で働くようになった方を何人も知っています。
そして、私自身もそうでした。
私がどのようにして、気象予報士試験を突破し、
天気の仕事に就くことになったかを、ご紹介したいと思います。



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1、高校球児、気象予報士試験に興味を持つ。
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1994年(平成6年)の夏。私は京都府内の高校に通う高校生でした。
夏休みの期間なので、学校は休みですが、
野球部員だった私は、たいてい学校のグラウンドで走り回っていました。

京都の夏は暑いことで知られていますが、
その年の夏は特に記録的な猛暑だったので、今でもよく覚えています。
なにしろ、この年に記録した気温39.8度が、
京都の観測史上最高気温なのです。
私は休憩時間に水が飲めることだけを楽しみにして、
焼けるようなグラウンドで守備練習をしていました。
長い練習が終わって家に帰っても、全身が暑く、
1リットルの冷えた牛乳を飲みながら、食事を摂る毎日でした。

そんなある日、食卓で母親が「こんなのがあるよ」と言って見せたのが、
「気象予報士」という資格についての新聞記事でした。
ちょうど、始めて気象予報士試験が行われたときでした。
新しい国家資格ということもあって、
当時はマスコミでも、よく紹介されていたのです。

なぜ、母親がそんな記事を私に見せたかというと、
私は幼い頃から天気や宇宙に興味を持っていたからです。
父親がそういった話をしてくれたことや、
田舎に住んでいたので夜空が比較的きれいだったことが、
興味を持つ理由だったのかも知れません。
小学生のときは、ラジオの天気図を書いたこともありましたが、
あくまでも、「興味があった」「好きだった」という程度で、
特に何か専門的な勉強をすることもありませんでした。

学校の勉強もおぼつかない私でしたが、
「ちょっと本でも見てみるか」と思ったのは、
やはり、天気に対する興味が強かったからなのでしょう。
これが、私と気象予報士試験との出会いでした。



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2、参考書に書いてある意味が分からない。
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「気象予報士試験でも受けてみるか」と、
軽い気持ちながらも乗り気になった私は、気象の本を探しました。
しかし、地元の本屋には気象の専門書はなく、
野球部の練習がない定期試験の時期に、
大きな書店のある大阪まで出かけていきました。

当時はまだ気象予報士試験が始まって間もない頃でしたから、
気象予報士試験対策の本は少なかったように思います。
その点で、今の受験生は恵まれています。
例えば、「過去問題集」だけで20冊以上あるわけですからね。

いろいろ探したところ、一冊の大きな本が目に留まりました。
『天気予報の技術』(東京堂出版)という本です。
普段買う漫画や文庫本と違って、値段が高いことに驚いたものの、
興味を持つと凝り性になる私は、思い切って買うことにしたのです。

早速、買った本を家で読み始めました。
しかし、すぐに読むのを辞めたくなってしまいました。
というか、読むことができませんでした。
専門用語や数式のオンパレードで、何が書いてあるのか分からないのです。

『天気予報の技術』は、後に改訂版も出され、
私もお薦めする本ですが、初心者には高度な内容です。
当時の私は専門的な勉強など何もしていなかったのですから、
本に書いてある意味が分からないのは当然のことでした。

私は再び大阪へ行き、気象専門用語を解説した事典を買いました。
分からない言葉を調べながら、本を読むことにしたのです。
とりあえず、勉強するための道具は集まりました。
しかし、私は毎日学校へ通う高校生であり、
授業後はユニフォームに着替える野球部員でした。
日・祝日も練習や試合があったのですが、
試験勉強の時間をどうやって捻出したのかは、次週に書くことにします。



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3、早朝から勉強するも、2回連続で不合格。
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気象予報士試験の受験生になったとはいえ、当時の私は高校生でした。
朝6時に起きて学校に通い、授業が終われば野球部の練習。
定期試験もありましたし、週末も野球部の練習や試合がありました。
夏休みも冬休みも、野球・野球・野球です。
家に帰って風呂に入れば、自然と眠くなるもので、
夜に試験勉強(もちろん学校の勉強も)などできるものではありません。

そんな中で、私はどうやって勉強の時間を捻出したかというと、
夜ではなく、朝を利用することにしたのです。
起きた後の頭はリフレッシュされているから、勉強には良かろう、
そう思って、午前3時に起きることにしました。
もちろん、起きるのが辛かったことも結構ありました。
特に冬の朝は寒さが厳しく、布団から出たものの、
こたつに潜り込んで、再び寝てしまうこともあったほどです。
しかし、早起きによって、ある程度の勉強時間を確保できました。
こんな時間でもFMラジオは放送していて、
流れてくる音楽は、勉強の友になってくれました。
朝早く起きると、朝食も美味しく摂れます。

また、早朝に起きるメリットとして、
テレビの天気番組をじっくり見ることができました。
早朝番組の天気コーナーは、時間に余裕があるのか、
詳しく解説してくれることが多く、勉強になりました。
まさか、数年後に自分自身が、
この時間帯に出演することになるとは思いませんでしたが。

こうして、早朝勉強の習慣ができたとはいえ、
試験の結果は冴えませんでした。
特に、最初に受けた試験では、問題が解けないあまり、
試験会場で寝てしまう有様。
半年後、2度目の受験もあっけなく失敗。
高校生にとって、一回12000円の受験料は財布に痛いものでした。
(現在、受験料は11400円に改訂)
「いつまでも受からないままでは、勉強など無駄ではないか?」
試験勉強を始めてから、1年が過ぎた頃には、
そういった不安が出てきたのです。



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4、三度目の正直、17歳で試験合格!
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私が受験した頃から試験対策のための私塾はあり、
試験に2度失敗した私も授業を受けたかったのですが、
「授業料が高い」ことと「時間がない」のが理由で、行けませんでした。
気象予報士の勉強も次第に面白くなりつつある中、
野球も好きだったので、辞めたくなかったのです。
何冊かの本だけが私の先生でした。

そんな私の勉強法は、徹底した過去試験問題の攻略です。
まだ試験実施回数も少ない時代でしたが、
それでも、試験問題と解説が書かれた本で勉強したのです。
最初の頃は、問題文の意味さえ分からない状態でしたが、
事典などで調べながら、いろいろな本を読み続けているうちに、
何となく分かるようになってきました。
分かることで、私は勉強を続ける意欲を持ち続けることができました。
問題を復習しながら、分からないことを潰していく勉強法で、
少しずつ合格への手応えを感じるまでになっていたのです。
そして、3度目の試験を受ける際には、
「何としても、今回は合格したい」と思いました。
そのときの試験で受かれば、17歳で合格できるのです。

当時、気象予報士合格者の最年少は17歳の男性でした。
今は人気アカペラグループ「RAG FAIR」で、
「おっくん」として活躍している奥村政佳君です。
誕生日の関係で、私がその試験で合格しても、
彼が持つ最年少記録を更新することにはならなかったのですが、
17歳で合格することを、自分の中の目標としました。

1996年1月、第5回気象予報士試験が行われました。
私は試験会場におにぎりとチョコレートを持ち込みました。
「炭水化物は脳の活性化に良い」ということを聞いていたからです。
それが功を奏したのか、私は3回目の受験で合格することができました。
合格発表が行われた日は、高校2年の終業式の日でもありました。

このときにの試験で、同じく17歳で合格しながら、
最年少合格記録を更新した人がいました。
後に富山大学・大学院へ進んだ川原靖広君です。
合格発表後、彼はテレビ取材を受けたそうですが、
私には何の取材もありませんでした。(まあ、当然ですね)
学校に取材班が来るかもしれないと密かに思っていた私は、
当時からマスコミに顔を出すことに興味があったようです。

ちなみに、17歳で合格した奥村君・川原君・私は、
20歳の頃に東京で初めて3人で集まりました。
その後、別々の道を進むことになりましたが、
当時に計画した「共著で天気の本を出そう」という夢は、
いつか実現するに違いない、と思っています。



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5、目指せ!気象キャスター。まずは仲間探し。
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晴れて気象予報士試験を突破したわけですが、
何か周囲の状況が変わるわけではありませんでした。
私は高校3年に進級し、引き続き野球部員として日々を過ごしていました。
連日の厳しい練習だったのですが、
京都の西京極球場で行われた夏の大会(甲子園の予選)では、
あっさりと負けてしまいました。
しかも、私がラストバッターだったのです。
見逃し三振をし、試合を終わらせてしまい、
私の高校球児としての夏は終わりました。

最後の一球が「空振り」ではなく「見逃し」であったことは、
今でも悔しい思い出として、脳裏に焼き付いています。
もし、バットを振っていれば、ボールに当たったかもしれない、
そんな思いが、「機会を与えられれば、必ずバットを振ること」
という考え方を強めました。
これが今後の私の行動方針に影響することになります。

高校を卒業後、大学に進んだ私は、
気象予報士の資格を生かして、
キャスターをやってみたい、と思うようになりました。
しかし、そんな仕事はどうすればできるのか?
相談しようにも、私の周辺には気象予報士の仲間がいませんでした。
そこで、仲間を探すことにしたのです。
幸いにも、気象予報士向けの勉強会で、
私は知り合いを作ることができただけでなく、
気象勉強会を紹介していただくことができました。

さらに気象予報士の集まるパーティーがあるときは、
私はパソコンで作った名刺を配ることにしました。
とにかく、バットを振ってみることにしたわけです。



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6、学習塾の講師で、説明することの勉強。
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大学生のときに最も長く続けたアルバイトは学習塾の講師でした。
塾の講師の仕事をした理由は、
担当教科である社会科が好きだったことや、
ほかの仕事に比べて給料が良かったこともありますが、
最大の理由は「分かりやすく説明すること」を勉強したかったからです。
塾講師と気象キャスターには、いくつか共通した点があると思います。

(似ている点)
 ・限られた時間で、情報を伝えること。
 ・大勢の人に対して、同時に伝えること。
 ・視覚的手段も用いること。(テレビ画面・黒板)

また、実際に塾講師を始めてから、重要なことに気がつきました。
講師にとって必要な能力は「話術」よりも、
むしろ「知識量」であるということでした。
「しっかり喋れること」というのは、
「しっかり知っていること」でもあるのです。
たとえ、話術に自信が無くても、
知識が豊富にあれば、的確に話すことができると思います。

例えば、地震・航空機事故・戦争などが発生した場合、
テレビに専門家の先生が出てきて、解説することがあります。
先生方はキャスター・タレントではないので、
テレビに出る機会もそれほど多くないでしょうし、
話し方の勉強もされていないと思うのですが、
その説明は、とても分かりやすいのです。

「どれだけ情報を持っているかによって、
 どれだけ情報を発信できるかが決まる。」
このことは、後に気象キャスターの世界に入るときに、
嫌というほど自覚することになります。



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7、お天気キャスター森田正光さんに会いに行く。
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森田正光さんといえば、全国で最も有名な気象キャスターの一人です。
放送界でのご活躍だけでなく、本も数多く出されています。
その森田さんが設立された気象会社で、
「気象キャスター候補」を募集していたので、私は応募しました。
連絡してみると、「東京まで面接に来て欲しい」とのこと。
私は「青春18きっぷ」を使い、
奈良から鈍行と快速列車を乗り継いで、東京へ向かいました。

面接には15人くらいの志願者が来られていました。
大半が関東の方で、関西から来ていたのは私だけでした。
試験とは一体どんな問題なのか?
いろいろ想像しているうちに、森田さんやスタッフの方が来られました。

森田さんは壁に貼ってある今日の天気図を指して言いました。
「この天気図を見て、何か話して下さい。」
それだけのシンプルな問題ですが、これが難しい。
私の番が回ってきましたが、何を言ったのかは記憶にありません。
覚えているのは、1分間も喋れなかったことです。

「何言っているのか分からないよ。『エー』とか『アー』が多すぎる。
 天気図一枚から3分間は話せるくらい、
 いろいろなことを勉強して、知っていなくちゃダメだ。」
森田さんは私に対し、そう仰いました。
なかなか痛烈ですが、今の私が当時の私を面接しても、
似たようなことを言ったと思います。

気象キャスターになるためには、
気象予報士試験に合格する以上に、勉強が必要だったのです。
その後、テレビ局のスタジオで、
森田さんが出演されている番組を見学しました。
小道具を使って、面白く分かりやすく解説されていましたが、
その裏には、相当な準備と勉強があるのだなと思いました。

「面接の結果は後日にお知らせします」とのことで、
私は再び鈍行列車を乗り継いで奈良へ帰りました。
そして、天気予報の勉強に励んだか?
残念ながら、そうではありません。

私は一人で名古屋から苫小牧行きの船に乗っていました。
途中に寄港する仙台で船を下りた私は、
積んできた自転車にまたがり、北に向けてペダルを踏みました。
前年夏にも、奈良−宗谷岬を走破した私は、
自転車旅の魅力にはまり込んでいたのです。

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自転車旅行については、メルマガ『作って遊ぶ』第6号で書きました。
写真付きのバックナンバーはこちらをご覧下さい。
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8、突然、舞い込んだ大きなチャンス
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9月といえども、北海道では既に本格的な秋になっていました。
北の大地を自転車で旅していた私は、
テントで野宿をするたびに、朝晩の厳しい寒さを感じていたのです。
本では実感できない、その土地の空気を、
全身で感じることができるのが、自転車旅行の魅力です。

天気予報の仕事をする人にとって、
「気象を肌で感じる」ことは大事だと思います。
今はモニターの前に座っていれば、
データという形で、何でも情報が入ってくる時代ですが、
いくらデータを見たところで、
その気象をイメージすることができなければ、
他の人に伝えることはできません。
ですから、天気予報の仕事をする人は、
どんどん旅行をされるのが良いと思います。
そう言う私も、「氷点下30度の寒さ」や「1時間に100ミリの雨」
を未だ経験していません。実地で学ぶことが山積みです。

話は、私の自転車旅に戻ります。
旅路の途中で、買ったばかりの携帯電話が鳴りました。
画面に表示された市外局番は、東京都内からでした。
「先日は面接にきていただき、ありがとうございました。
 選考の結果、合格としたいと思います。
 天気キャスターのための勉強をしていきましょう。」

天気図を見ても、ろくなことが言えなかった私ですが、
ともかく機会を与えていただいたことに大きな喜びを感じました。
今から考えても、なぜ合格なのかよく分かりませんが、
当時20歳だった私の将来性を買ってくれたのだろう、
と勝手に解釈しています。

とにかく業界に潜り込むことさえできれば、次の進展が期待できる。
そう考えた私は、合格を大きなチャンスと受け止めました。
早速にも、キャスターになるための研修を受けたかったのですが、
私は奈良に住み、京都の大学に通っていることから、
長期休暇のときに受けることになりました。

研修を受けることを楽しみにしていた中、
知り合いの気象予報士の方から、電話がかかってきたのです。
「大阪の放送局で、早朝の天気番組を担当しませんか?」



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9、深夜2時起床の生活スタート!
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知り合いの気象予報士の方からかかってきた電話は、
テレビ出演に関する話でした。
まさに、私の望んでいたことが目の前に迫ってきたわけです。
当然のことながら、私はその依頼を受け、
番組での面接を経て、出演することが決まったのでした。

早朝5時30分から始まる番組でした。
当時、大学生だった私にしてみれば、
「そんな早朝から起きている人がどれくらいいるのか?」
と思いましたが、早起きの方は案外多いのです。
「早起きは3文の得」といいますが、
確かに早く起きると気持ちが良いですね。
特に春から夏にかけての季節は、5時を過ぎれば明るくなるのですから、
この清々しい時間を布団の中で味わうのは勿体ないものです。

さて、早朝番組を担当することになった私は、
何時に起きることになったかというと、午前2時でした。
放送局の近所にマンションを借りてもらったのですが、
午前3時までに局入りするためには、その時刻に起きなくてはなりません。

そして、早起きよりもキツかったのは、
「生放送に対するプレッシャー」でした。
気象予報士試験には合格したというものの、
実務の経験もなく、知識も少ない私が、
テレビの前で天気予報をお伝えするわけです。
出演が正式に決定した後、アナウンス研修を受けたり、
本番を想定したシミュレーションを何度もやっていただきました。

放送は1999年(平成11年)の年初から始まりましたが、
その直前に、声が出なくなるほどの風邪を引きました。
相当に緊張感が高まり、免疫力が落ちていたのでしょう。

初めてのOAが終わり、録画したテープを見てみると、
「そうですね」「そうですね」ばかり言っていました。
素人丸出しのキャスターだったわけですが、
そんな私を起用して下さったテレビ局の方には、
今でも感謝の気持ちでいっぱいです。
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10、体力が勝負の世界
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早朝番組のために、夜中から起きる生活は大変なものです。
さらに私はテレビ局での仕事に加えて、塾講師も続けていましたし、
一応は大学生だったので、講義にも顔を出していました。
夜遅くまで塾で教えた後、大阪へ向かい、
ホテルで仮眠を少しとってから、未明にテレビ局入り、
放送終了後に大学へ向かうということもしていました。
まあ、無茶なことをしていたものです。

放送の業界で、レギュラー番組を担当していると、
「しんどいから今日は休みます」と言うことができません。
もちろん、ぶっ倒れてしまえば、仕方が無いのですが、
生放送では代役を確保することも難しく、
周囲の方に大きな迷惑をかけてしまうのです。

だから、私も体調管理には気を使いました。
風邪をひかないように、うがいを心がけました。
ホテルの部屋は、空調の影響で空気が乾燥しやすいため、
わざと浴槽の湯を残し、部屋の湿気を保つようにしました。

午前2時半に起きた日は、どうしても眠くなりますが、
睡眠不足を補うのには、仮眠することが一番です。
特に電車の中は、仮眠に適しています。
慣れると、目的駅でドアが開く瞬間に目が覚めます(笑)。

しかしながら、たまには体調を崩してしまうときもあり、
何度か苦しい思いもしたものです。
最もキツかったのは、出演の前日に食中毒を起こしたときです。
尾籠な話で恐縮ですが、「上から」も「下から」も・・・でした。
出演中もずっと気分が悪く、ただ時が過ぎるのを待つだけでしたが、
視聴者の方に気づかれぬよう、カメラの前では普通に話せたことは、
誇れることかも知れません。



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11、文系でも試験に合格できる。
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気象予報士試験を受けようと思っている方の中には、
「理科が苦手だから」と躊躇している方がいらっしゃるかも知れません。
確かに、試験の中には物理や数学の知識を問う問題もあり、
私も問題を初めて目にしたときは、真っ青になったものです。

でも、資格に興味があるのでしたら、試験に挑戦してみるべきです。
全体の合格者に理系の方が多いのは事実ですが、
私の周囲には、文系の方のほうが多いくらいです。
私自身も文系で、大学では文学部でした。
それでも、気象予報士試験に何とか合格できたのは、
気象の勉強に強い興味を持ち続けられたからだと思います。

それに、試験全体が「理科系問題」で構成されているわけではありません。
気象予報士試験には、大きく分けて3つの課程があります。

 ・学科試験(予報に関する一般知識)
 ・学科試験(予報に関する専門知識)
 ・実技試験(2種類あります)

このうち、計算を要する問題は全体の2割程度です。
一方で、学科試験(予報に関する一般知識)の問題では、
気象業務法などの法律知識を問うものが4〜5題も出題されます。
数学の苦手な方は「法律問題でカバーしよう」という作戦も良いと思います。

財団法人気象業務支援センターの発表によると、
学科試験の合格ラインは「15問中11問正解」とのことです。
つまり大相撲に例えれば、11勝4敗でクリアできるということです。
もちろん、朝青龍関のように全勝優勝できれば理想ですが、
苦手な分野が少しくらい残っていても、
試験をクリアできる可能性は高いと思います。

確かに、私自身も試験を受けるときには、計算問題で苦しみました。
しかし、順を追って勉強すれば誰でも「理解」に到達するはずです。
東京大学理科1類の試験問題が出てくるわけではないのです。
詳しく解説した本も出版されていますから、
じっくり取り組んでみると、案外スムーズに修得できると思います。



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12、試験と実務は違います。
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私がマスメディアの世界に入って、痛感したのは知識不足でした。
第7話でも書いたように、天気図を前にして1分間も話せなかった私は、
現場でも、知識の足りなさを強烈に自覚させられたのです。

砂漠地帯の天気予報なら「今日も晴れ、明日も晴れ」で済むでしょうが、
中緯度帯に位置し、周囲を海に囲まれている日本では、
四季の変化がはっきりしていて、さまざまな気象現象が起こります。
夏は北日本でも30度を超える暑さになりますし、
冬になると、西日本でも雪が積もります。
台風や低気圧もよく通るので、気象災害も頻発します。
昨年(2004年)だけで、いくつの気象災害が発生したでしょうか。

これら日本の気象について、過去の経緯を把握し、
今後の予想を、カメラの前でお話しするわけですが、
知識が足りないと、言葉は出てこないのです。

また、こういった知識を持つだけでは不充分で、
マスメディアの世界では、専門知識を翻訳する能力が要ります。

「相当温位342Kの暖湿流が太平洋側に流入するため、
 対流不安定により積乱雲の発達が予想され・・・」

気象予報士の実技試験で書く答案なら、これで良いのですが、
マスメディアで必要なのは、メカニズムよりも具体例です。

「結局、明日の天気はどうなるのか?」
「傘を持っていたほうが良いのか?」
「何か注意することはあるのか?」
これに対する答えが無ければ、天気情報の価値は無きに等しいのです。

また、桜・紅葉・花粉・紫外線といった知識は、
予報士試験ではほとんど問われませんが、
多くの人が関心を持つ話題ですから、勉強は欠かせません。
「学問としての気象」ではなく「生活としての気象」、
これがマスメディアで求められる知識であり、能力だと思います。
気象予報士試験を突破された方で、天気キャスターを目指す方や、
マスメディアでの放送支援業務に関心のある方は、
こういった勉強をされることをお勧めします。



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13、動いた者が注目される。
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「気象キャスターになるにはどうすればいいですか?」
というご質問を良く受けます。
私自身が、気象の知識が特に豊富であったとか、
話術に長けていたとか、タレント性に優れていたわけではありません。
単に、運が良かっただけのようにも思えますので、
上記のような質問を受けると、返答に窮するのですが、
一つ言えるのは、「動き回っているうちに運を拾う」と感じたことです。

今の時代に「気象キャスターになりたい」と思ったなら、
まず行うべきことは、気象予報士試験に合格することです。
この資格が作られてから、すでに10年以上が過ぎ、
業界では必須の資格になったような感があります。

そのために、どうやって勉強すれば良いか。
私のように本屋さんでテキストを買って、
一人で勉強するのも一つの方法ですし、
資格取得のための学校に通われるのも、一つの方法です。
通信教育を受けるというのも、良いでしょう。
大切なのは、どんな方法であれ、
自分で何かを始めないと、試験には合格できないということです。

試験に合格すれば、次はどうすれば良いか。
実のところ、試験合格後のほうが難しいように思います。
試験には「突破方法(マニュアル)」がありますが、
「気象キャスターになるための方法」に、定石は存在しないからです。
キャスターが所属する事務所(プロダクション)に入ったり、
気象会社にキャスター募集を問い合わせてみたりするのも方法です。
実際に気象キャスターに会いに行ってみるのも良いかも知れません。
もちろん、会えるかどうかは分かりませんが、
決まった方法が無い以上、
可能性のあることは何でも試してみる気持ちが大事です。

私もキャスターになりたいと思ったときは、よく動きました。
気象予報士の集まりに出かけては、手製の名刺を配り歩きました。
面接では、とにかく目立つことを心がけました。
上手く話そうと考えるのではなく、
どのようにすれば人目に付くか、ということを考えていました。
それが20歳で気象キャスターを始めることができたのと、
無関係でないと思っています。



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14、勉強の仕方 〜独学or通学〜
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「気象予報士試験に合格するためには、
 専門のセミナーに通うほうが良いのか?」ということを良く聞きます。

結論から言いますと、「独学でも充分に合格は可能」です。
書店に専門書や試験対策本が売っていますので、
それをもとにコツコツ勉強すれば、合格できると思います。
実際、私自身も「本だけが先生」でした。
高校生のときに合格したわけですが、
学校の成績は「下の上」といったところでした。
英語はいつも30点前後でしたし、(昨年にTOEICを受けたら400点でした)
世界史では、「1」(注、10段階)を取ったこともあります。
そんな私でも、独学で合格できるわけです。

独学で合格すると、大きな達成感を伴います。
自転車だけで、北海道・宗谷岬に到達するような気分でしょうか。
(両方とも経験しましたが、似ているような気がします。)

一方、スクールで学ぶことのメリットは大きく分けて2つあります。
まず、一つめをご紹介しましょう。

  1,時間を節約し、効率的に学ぶことができる

私自身がそうだったのですが、試験勉強は試行錯誤の連続でした。
分からない語句が出てきては、あーでもない、こーでもないと考え、
解説を読んでも分からない問題にぶつかっては、悩んだものです。
そんなとき、講師に質問できる環境であれば、
抱えていた疑問は氷解したに違いない、と振り返ります。
私の試験勉強は非常に回り道の多い方法でした。

気象予報士試験の勉強を、一つの趣味・学問と捉え、
勉強に伴う試行錯誤も恐れることなく、
楽しみながら学んでいこうと思われる方には、独学をお勧めします。
時間はかかりますが、試行錯誤することも決してムダではないからです。
結果的には、そのほうが深く学べるかも知れません。

しかし、「早く資格を取得して次の目標を目指したい」
「就職活動までに資格を取っておきたい」という方は、
試験に合格することが最終目標ではないはずです。
資格取得は単なる「通過点」「一里塚」に過ぎないわけですから、
そのための勉強は、「最短コース」を選択されるのが良いと思います。
独学を普通列車に例えれば、
スクールを上手く活用することは急行列車であり、特急列車なのです。
ですから、「早く合格したい」「早く修得したい」ということでしたら、
私は迷いなく、専門の講師に学ぶことをお勧めします。

「スクールで学ぶ2つのメリット」、
もう一つの理由については、次回にお話ししたいと思います。




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15、勉強の仕方 〜独学or通学〜 その2
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「スクールで学ぶ2つのメリット」、前回にお話しした一つめの理由は、
  1,時間を節約し、効率的に学ぶことができる
ということでしたが、二つめの理由がこれです。

  2,同じ志を持つ仲間に出会うことができる

これも私自身の経験がもとになっています。
高校生だった私は、完全独学で気象の勉強をしていました。
周囲で気象に興味を持つ人は皆無だったからです。
高校時代に天気の話をさせていただいたのは、地学科の先生だけで、
しかも、それは私が試験に合格してからのことでした。

受験生時代は、文字通り「本だけが先生」という状態でしたから、
大きな書店の「気象コーナー」で待ち伏せして、
予報士受験関連の本を見ている人に、声をかけようと思ったくらいです。
気が小さいので、そこまではできませんでしたが。

試験に合格してから、第5話にも書きましたように、
多くの気象予報士の方と知り合うことができましたが、
受験生だったときに、同じ志を持つ人に出会えていれば、
勉強のときも、もっと心強かったに違いありません。
第3話でも書きましたように、2回目の受験で失敗したときは、
「合格率も低いし、このままずっと受からないのではないか?」
と不安になったものです。

気象予報士を受験する人は増加傾向にありますが、
そうは言っても、年間受験者は1万人くらいです。
これは、行政書士試験の10分の1程度であり、
TOEICテストの100分の1以下です。
テレビに出る人が多いので、ある程度の知名度はあるものの、
専門性の高い資格であると言えるでしょう。

私が受験した当時から10年以上が過ぎ、
今はインターネットも普及していますから、
受験生仲間を見つけるのは、当時ほど難しくはないはずです。
掲示板を開いているホームページも見かけます。
と同時に、スクールに通われることでも、
仲間と出会う機会が高まるのではないかと思います。
「旅は道連れ世は情け」と言いますが、
資格取得のための勉強にも、この言葉が当てはまるのかも知れません。




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16、気象キャスターに向いている人とは?
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「どんな人がウェザーキャスターに合っているのですか」
「気象キャスターになりたいのだけど、自分は向いているでしょうか」
メールマガジンを発行していますと、
このようなご質問をいただくこともありますので、
今回は、それにお答えしたいと思います。

結論から言います。
気象キャスターに向いている人とは、
「気象キャスターになりたい!」と公言できる人です。
言うだけでなく、自分自身をドンドン売り込める人、
こんな人は天気キャスターに向いているのではないかと思います。
単純明快でしょう? でも、これが一番重要な要素なんです。

『アナウンサーになってやる!』というWebサイトがありますが、
タイトルが非常に良いですね。
http://tobeana.com/

「なれたら良いのだが」「なってみたいものだ」ではなく、「なってやる!」。
何としてでも願いを貫徹する姿勢が大切です。
ウェザーキャスターも、広義のアナウンサーだと思いますから、
同じような心意気が求められるのは、良く分かります。
「天気キャスターになったるわ!」という意気込みですね。

技術的な面に関して、「向き」「不向き」を言うつもりはありません。
気象キャスター・気象解説員に必要とされる技術が、
他の職業技術より、際立って高いとは思わないからです。
「なりたい」という気持ちを持ち、それを外に出すことができれば、
技術は後から付いてくるものだと思います。

例えば、ここ10年ほどの傾向として、
気象予報士の資格が重視されているのは事実ですが、
今まで天気について何も知らなかった文系の方が、
合格していくのを私は何人も見ています。
統計的な調査をしたことがないので、あくまでも主観的な感覚ですが、
「気象キャスターになりたい」という目標を持っているほうが、
気象予報士試験の勉強にも力が入り、
合格を引き寄せている方が多いように感じます。

「テレビやラジオで天気予報の仕事をしたい」と願う人は大勢いても、
それを、自分の夢として目標として、人前で言える人は僅かです。
さらに、実際に「行動」という形で、
目標に近づいていく人は、もっと少なくなります。
競争率は非常に高いように見えて、実は案外低いのです。

逆に言えば、気象予報士の資格を持っていても、
黙っていてキャスターになれることは、まずあり得ません。
いきなり「キャスターになりませんか?」と電話がかかってきたら、
詐欺商法の可能性が高いと考えるべきでしょう。
「では登録料65万円を」などと言ってくるに決まっています。

私自身も気象予報士試験に合格した後は、
「必ずや気象キャスターとしてテレビに出る」と公言して憚りませんでした。
周囲は「バカじゃなかろうか」と思っていたかも知れませんが、
その数年後に、実際に仕事をいただくことになったのは自分でも驚きでした。




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17、中学校の宿題から消えた「天気図作成」
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7月も下旬になり、学校は夏休みのところが多いかと思いますが、
夏休みの宿題といえば、読書感想文・問題集・絵画・工作など、
いろいろ出されたのを思い出します。
私は読書感想文・作文が苦手で、難儀した覚えがあり、
今こうして、メールマガジンを発行しているのが不思議です。
http://rojiura.jp/make-play.htm#4.5

さて、夏休みの宿題といえば、
私が中学生のときには「天気図を作成する」という課題がありました。
NHKラジオの第2放送を聞いて、天気図を書くのです。
たしか、中学2年の時だったと思いますが、
今はこうした宿題が出されていないところが多いようです。

といいますのも、文部科学省「中学校学習指導要領」には、
「天気図を作成すること」という課程が存在しないのです。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301c/990301d.htm

平成元年(1988年)に文部省が改訂した「中学校学習指導要領」には、
「天気図の作成」が書かれていました。(平成5年度から施行)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/890303.htm#024

> (ア)天気図を作成し、気圧配置と風向、風力及び天気との関係を見いだすこと。
> (イ)天気図や気象衛星画像などから、日本の天気の特徴を気団と関連付けてと
>    らえるとともに、天気の予測ができることを見いだすこと。

夏休みの宿題から「天気図作成」が消えたのは、
どうやら、この辺に理由があるようですね。
現在の「中学校学習指導要領」が施行されたのは、
平成14年(2002年)のことです。
いわゆる「ゆとり教育」というものですね。

「ゆとり教育」に対する批判として、
「学力低下」「理科離れ」といったことが、よく言われますが、
その中で私が感じるのは「地学軽視」の傾向です。

例えば、インターネット書店「Amazon」のサイトで、
学習参考書カテゴリーの中から、「地学」「化学」「物理」「生物」と入れ、
それぞれ何冊の本が検索で出てくるかを試してみました。
結果は以下の通りです。

「化学」917件
「生物」603件
「物理」528件
「地学」201件

理科4分野の中で、明らかに地学関連書の数が少ないことが分かります。
第3位の物理と比べても、半分以下です。
確かに、「センター試験を地学で受けた」という人もあまり聞きませんし、
私の通っていた高校でも、地学科の先生は一人だけでした。

では、地学分野が私たちの生活とかけ離れているのかというと、そうではなく、
日本は毎年のように大きな地震が起こる国です。
(この原稿執筆中の7/23にも、関東で大きな地震が起こりました。
 被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。)
また、台風をはじめとする気象災害にも遭うことが多いのは、
日本に住む人なら、誰もが感じることでしょう。

それを反映してか、小さな地震が起こっても、
テレビ画面には速報スーパーが表示されますし、
多くの新聞では、天気予報欄が1面にカラー印刷で掲載されています。

大切な情報であることはみんな知っていながらも、
地震や気象に関する知識を持った人は少ないわけですが、
学校で教えてくれなくても、自分で勉強する価値は充分にあると思います。




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18、台風情報を伝えるという仕事
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私が気象会社に勤務していた頃、台風が接近してくると、
妻は周囲からこんなことをよく言われたそうです。
「今日みたいな日、ご主人は海岸で台風中継をしているの?」と。

台風が接近すると、よく目にするのが台風中継です。
背景の海は大荒れで、至るところで白波が立ち、
レポーターの立っている場所にも、波しぶきが時々かかる。
横殴りの強い雨が容赦なく降り続き、
風でリポーターは吹き飛ばされそうになる。
多くの人が一度は目にしたことのある「台風中継」、
しかしながら、私自身は経験したことがありません。

では、台風が接近してきたときに、私は何をしていたのかというと、
放送局の中で走り回っていました。
台風といった異常気象時には、とんでもなく忙しくなるのです。
忙しくなる要素を挙げてみました。

  1,情報量が猛烈に多くなる。
  2,急に出演する必要が出てくる。
  3,普段の何倍も原稿を書く必要がある。

まず、1についてですが、
気象庁から入ってくる情報だけでも、膨大な量になります。
日本に台風が接近すると、台風の位置情報は1時間ごとに発表され、
臨時の気象情報も出てきますし、
警報(大雨・暴風・波浪など)が随時出されます。
「○○町で300ミリの大雨」などの情報も入ってきます。
仕事場のデスクには、紙の束でいっぱいです。

情報量が増えるのですから、発信量が増えるのは当然です。
2・3のように、出演や原稿作成という形で、
刻一刻と変化する台風情報・防災情報をお伝えしていかねばなりません。
台風中継を行うレポーターのために、原稿・資料を用意しましたし、
私自身が気象解説者として出演したこともありました。

限られた字数、限られた秒数の中で、
どうすれば、分かりやすく有益な情報を伝えることができるか。
災害を減らするための情報を発信しなければならないわけです。
情報の送り手側だった私は神経をとがらせて、
原稿を書き、マイクに向かったのでした。

当然ですが、台風は日時を構わずやってきますから、
昼夜問わずの24時間体制となります。
スタッフは複数人数いて、交代で勤務していたものの、
非常にハードな仕事であったことに変わりはありません。
しかし、災害を防ぐ・災害を減らす、
そのための情報発信に携わることができたことは、
今でも誇りに感じています。




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19、難しい試験・・・でも恐れる必要はなし。
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気象予報士という資格ができて、10年以上が過ぎ、
この資格の認知度はかなり高くなったと言えるでしょう。
私が試験を受けたとき(第5回試験)の受験者数は3000人足らずでしたが、
次回8/28に行われる第24回試験では、実に5401人もの方が、
試験を受けられるとのことです。
(財団法人気象業務支援センターの発表による)

これだけ多くの方が受験されるにもかかわらず、
毎回の合格者は、200〜300人くらいのことが多いようで、
「難関資格」といわれる所以になっています。
気象予報士試験に興味を持っても、
その合格率の低さに尻込みしてしまう人もいるのです。

もちろん、数字が示すとおり、
気象予報士試験は簡単に突破できる試験ではありませんし、
私自身も、それなりに勉強しました。
(その経緯は、第1話〜第4話で書いています。)
しかし、大学受験の浪人生のように、
一日の大半を試験勉強に費やさなければならないほど、
難しい試験であるとは思いません。
普通に生活しながら、毎日1時間程度を勉強に充てることができれば、
着実に、合格へと近づくことができると思います。

また、「気象予報士は理系の試験」という認識も、
一つの誤解ではないかと考えています。
理由は2つあります。

まず、理科系といっても、さほど高度な内容ではないことです。
気象予報士は、気象学者ではありません。
そもそも、気象予報士に求められていることは、
「気象データを用いて、現象の予想を行うこと」であって、
物理学や数学を駆使して、研究・開発することではないのです。
ですから、難しい方程式を解くような問題が試験で出ることもなく、
順を追って勉強していけば、誰でも理解できると思います。

もう一つは、文系の問題も出されるということです。
例えば、学科試験(一般知識)では、
15問の中から4問も、気象業務法などの法規問題が出てきます。
また、オゾン層破壊や地球温暖化の知識を問う問題もありますが、
雑学をより深く学ぶような感覚で、勉強できるはずです。

実際にテレビで活躍している気象キャスターの方々も、
プロフィールなどを見ていますと、
大学の理学部で、気象学や地球物理学などを専門的に学んだ方は、
それほど多くないようです。
一方で、これまで天気に特別な興味を持たなかった人が合格する姿を、
私自身も何度となく目にしています。

理系といったイメージを恐れることなく、
勉強を着実に重なることができれば、誰でも取れる資格。
それが気象予報士資格であると私は思っています。
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20、気象庁のホームページを活用しよう。
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気象予報士試験は、実務経験がなくても受験できる試験ですが、
試験そのものは「実務で使える知識・技能」を試されるため、
気象業務に携わっていない人にとっては、不利な点もあります。

特に学科試験の専門知識や実技試験に出題される内容は、
実際の気象業務に関係するものが多いのです。
例えば、週間予報がどんな形で発表されているのか、
業務を経験している人は、自然と覚えてしまうものですが、
一般の方にとっては、一つ一つ勉強する必要があります。

とはいえ、試験突破のためには大変大変とばかりも言っていられません。
良い教材をご紹介しましょう。それは気象庁のホームページです。
最近は特に内容も充実してきました。
ホームページには試験対策本よりも優れた部分があり、
ぜひ活用していただきたいと思います。

気象庁ホームページで活用したい部分は、特に次の3つです。

1,【速報性に優れている。】
気象庁ホームページでは、「報道発表資料」を見ることができ、
新しい気象業務についての発表や、統計資料の公開を行っています。
例えば、気象衛星「GOSE9号」に代わって、
2005年6月から「ひまわり6号」の運用が始まりました。
書籍では更新が追いつかない内容でも、
ホームページなら、いつでも最新情報を手にすることができます。

2,【詳細な情報を得ることができる。】
「ひまわり6号」は「GOSE9号」よりも優れた性能を持っていますが、
気象庁ホームページでは、その性能について細かく掲載されています。
天気予報で用いる用語についても、詳細に載っていて、
その内容は学科試験(専門知識)で出題されることも多いのです。
先日の第24回試験(学科試験の専門知識)を例にとると、
問1や問11がそれに相当します。

3,【実際の気象事例を学ぶことができる。】
気象庁ホームページには「気象画像事例集」というコンテンツがあり、
特徴的な衛星写真が解説とともに掲載されています。
これは衛星画像を勉強するのに役立ちます。
また、気象災害が発生すると、気象庁や各気象台からは速報が出されますが、
実技試験で出題される内容は、災害の恐れのある気象ばかりです。
気象庁ホームページでは、過去の気象事例を勉強することができるのです。

このように、気象庁ホームページは以前よりも内容が充実し、
気象予報士試験にも役立つ内容が増えました。
しかし、「天気図」に関しては、地上天気図がいくつか公開されているだけで、
実技試験に登場するような専門的な天気図は見ることができません。
韓国気象庁では、すでに様々な種類の天気図が、
カラーでネット公開されていることを考えると、
日本の気象庁でも、専門天気図の公開が待ち望まれます。

気象庁ホームページ




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21、ときには自然に触れて、風を感じよう。
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「気象予報士は空や雲を見て天気を予想するのか?」
このようなご質問を数多くいただきます。
しかし実際のところは、空を見る時間よりも、
天気図などの気象資料を見ている時間のほうが多く、
雲を見るにしても、下(地上)からではなく、
上(気象衛星ひまわりを通した画像)から見ることのほうが多いのです。

もちろん、それは多くの技術を結集して得られた気象資料のほうが、
空や雲を見ることよりも、正確に天気予報ができるからです。
気象予報士試験において求められる能力は、
気象資料の分析・解釈が大部分を占めると言って良いでしょう。

でも、紙の資料やモニター画面だけ見ていれば良し、とは思いません。
天気予報を利用するのは、生身の人間です。
その人間に伝わるような予報のためには、
やはり実際の天気に触れる機会を多く持つことが必要だと思います。

ハイキングやキャンプ・カヌーなどのアウトドアスポーツ、
サーフィンやスキューバダイビングなどのマリンスポーツ、
パラグライダーやスカイダイビングなどのスカイスポーツ、
スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツなど、
天気が好きな人は、自然の中で遊ぶのも好きな人が多いのです。
自然と一緒に遊んでいるからこそ、
自然・宇宙・風・天気・大地・生き物に、興味を持つのかも知れません。

私も二度も自転車で北海道を訪れるほどの自転車好きで、
ここ数年は、山に登ることを趣味にしています。
昨日も三重県の青山高原を友人と一緒に歩いてきたところです。
登り始めて約3時間、標高756mの三角点に立つと、
遠くに伊勢平野の街々が見え、その向こうには伊勢湾が望めました。
海から湿った空気が流れ込んでいたので、
景色がぼんやりとしていたのが残念でした。
それにしても、「上空では地表付近よりも風が強い」とは言いますが、
稜線まで登ってきたときの風の強かったこと。
汗が冷えたこともあって、肌寒くさえも感じました。

「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、残暑の季節も終わり、
いよいよ本格的な秋の到来です。
勉強の疲れは、自然の中で思いっきり発散しましょう。




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22、勉強モードへの切替が大切。
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気象予報士試験は、試験日から合格日までの期間が長く、
試験を受けてから合否が判明するまで、40日くらいかかります。
私自身、試験を三度受けましたが、そのたびに気を揉んだものです。
今は気象業務支援センターのホームページで、模範解答が発表されていますが、
私が受験した当時はそういったものもなく、
やきもきしながら、合格発表日を心待ちにしていたことを思い出します。

試験前日までは、早朝に起きて問題を解いたり、
通学の電車内で野球部カバンに潜ませた『一般気象学』を広げるなど、
寸暇を惜しんで勉強したように思います。
ただ、試験を受けた後は勉強習慣が途切れしまいました。
合否は気になるのですが、勉強の意欲は失せてしまうのですね。
同じような気持ちになった方、たくさんいらっしゃるかと思います。

今まで勉強に打ち込んできたことで生じた疲労感によって、
しばらくは、ゆっくりと休みたくなってしまうのですね。
さらに、「もし試験に受かっていたら、もう試験勉強はしなくていい」
という気持ちが、机に向かう意欲を失わせてしまうのも事実です。
私自身もそうでしたから、よく分かります。

でも、過去のデータは厳しい現実を物語っています。
「受験生の約95%は試験に落ちている」
あまりにも非情な内容ですが、この95%の方が合格を手にされるためには、
いち早く、次の試験に向けて勉強を始めることが必要です。
なぜか? それは次の試験までの時間は決して長くないからです。

合格発表から次の試験までの期間を見てみましょう。

 ★合格発表(10月上旬)→試験(1月下旬)・・・約3か月半
 ★合格発表(3月上旬)→試験(8月下旬)・・・約5か月半

特に、夏の合格発表日から冬の試験日までの期間が、
かなり短いことに気づかれると思います。
日数に直すと約100日しかありません。
ただでさえ、試験準備期間が短いにもかかわらず、
勉強のエンジンがフル回転するまでに時間がかかってしまっては・・・ですね。

試験の結果が明らかになったら、すぐに勉強モードに切替。
これが、冬の試験を征するための秘訣だと思います。




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23、合格までに必要な時間は?
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本屋さんで資格の本を見ていていたのですが、その数の多さに驚きました。
私など資格といえば、気象予報士に持っているものといえば、
運転免許(AT車限定。取るのに半年かかった。)と英検3級だけ。
新しく気象予報士の勉強を始められる方が多い中で、よく出るご質問が、
「どのくらい勉強すれば合格できるのか?」という内容。
しかしながら、お答えするのは容易でありません。

中には、「オレは一発で合格した!」という声も耳にしますが、
大半の方は、試験に落ちた経験をお持ちです。
何しろ合格率が4%台(第24回試験では4.1%でした)、
つまり「25人に1人しか合格を手にできない」のですから、当然です。

人それぞれ確保できる勉強時間も異なりますし、
独学で勉強されているのか、学校に通っておられるのか、
ということでも、違ってきます。
また、科目によって得手・不得手があるわけで、
一概に「合格までの勉強期間は○年」とは言いにくいのです。

しかしながら、敢えて「何らかの数字を挙げろ」と言われれば、
「少なくとも1年半はしっかり勉強することが大切です。」
と答えるようにしています。

もちろん、「私は1日15時間勉強する!」という方なら、
半年いや、もっと短い時間で合格できるかも知れません。
しかし、多くの受験生は気象予報士試験の勉強だけに、
一日の時間を割けるわけではないはずです。
他の学業・仕事があり、そのうえで余った時間を惜しんで、
勉強されているに違いありません。

気象予報士の試験範囲は、↓のようになります。(注、かなり大雑把です。)

 ・気象学の基礎(一般知識)
 ・気象法規(一般知識)
 ・気象現象(一般知識・専門知識)
 ・天気予報の作り方(専門知識)
 ・気象災害と防災(専門知識)
 ・天気図を読み取り予想する(実技)

これらの内容を熟知できてこそ、試験合格につながるわけですが、
知識ゼロから始められるのであれば、
少なくとも1年半程度はかかる、と私は思っています。

合格を勝ち取ることが困難だからこそ、その資格に価値はある。
「決して諦めない」勉強をする上で一番大切なことだと思います。




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24、分からないところを探す。
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「効率よく勉強を進める上で大事なのは何ですか?」
という質問をいただくことがありますが、私は次のように答えます。
「理解できている部分と、理解できていない部分を
 ご自分でしっかりと把握されることです。」
独学であれ、スクールに通うのであれ、この原則に変わりはないと思います。

どんな試験であれ、合格するために必要なのは、
「試験範囲の内容を理解すること」ですが、
それは家を建てることに似ています。
家に応じた建材を用意し、組み立てていくのが試験勉強です。

組み立てキットを見ながら、一人で部品を加工することから始めるのが独学、
加工済みの建材と組み立て方を教えてもらえるのが、
スクール通いと例えれば良いでしょう。

ここで重要なのは、ある程度まで組み立てが進んだ段階で、
「これから必要な工程」を細かく把握できるのは本人だけ、ということです。
もちろん、スクールの講師ならば、
「土台ができていない」「柱が不足している」といったことは分かりますが、
「この部分のネジが緩んでいる」といった部分まで把握するのは無理です。
専属講師からマンツーマンで指導を受けたとしても、
まるでパソコンのハードディスク残量でも覗くかのように、
他人の「知識量」を推し量ることは相当に難しいでしょう。

結局、自分の足りないところは自分で把握する。
これが最も早道で確実な方法です。
そのためには、何となくテキストを眺めるのではなく、
実際に問題を解いてみるのが効果的だと思います。
こうして「分からないこと探し」を始めてみると、結構出てくるもので、
何を隠そう、私自身も問題を間違えることがあり、
そんなときは勉強の不徹底に反省します。

「分かったふりをして誤魔化さない。分からないことに耐える。
 本当に分かるまで追求することが大切。」
『知的生活の方法』(講談社現代新書)という本で、
渡部昇一さんが述べておられますが、まさにその通りだと思います。





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25、名刺集めよりも必要なこと
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「キャスターになるためには人脈が必要なのか?」
といったことを聞かれることがあります。
私は決して長い間、業界に身を置いていたわけではないので、
正直なところ、そのへんの事情はよく分かりません。
でも思うのは、「必要なのは人脈よりも能力」ということです。

「自分をキャスターにさせてくれる人」を探さないほうがいいです。
そんな人は、まずいません。いたら詐欺だと思ってもいい。

「人脈」という言葉をはき違えている人がいます。
あちこちから名刺を集めて喜んでいるような人です。
名刺をもらったからといって、その人から協力が得られるのでしょうか。
「○○部長の名刺を持っている」だけでは、
タダの紙切れを抱いているのと同じです。
名刺を交換した程度の関わりで、誰が自分の夢に協力してくれるでしょうか。
多くの「何かあったら、いつでも連絡下さい」が、
社交辞令であることに気が付かなければなりません。

では、どうすれば人の協力が得られるのか?
それは「この人を紹介すれば、自分の利益になるな」と思わせることです。
そうすれば、頼み込まなくても、向こうからやってきます。
逆に「この人を紹介しても、自分の利益にならないな」と思われたら、
その人との繋がりは無いも等しいと考えるべきでしょう。
「人脈よりも能力」と最初に書いたのは、このような理由です。

ずいぶん以前のことですが、ある深夜番組で、
若き日の桂三枝さんについて紹介していたエピソードが私は好きです。

三枝さんは一般人を装って、テレビ局に電話をかけ、
「○○駅前の路上で、変なヤツが何かパフォーマンスやってます。
 すぐに来て下さい!」と息を切らせて伝えました。
そして、公衆電話ボックスから出た後、すぐに○○駅前に向かい、
自ら路上で芸を披露されていたそうです。

自作自演で、テレビ局の取材を引っ張り寄せたわけですね。
「そこまでやるか!」という感じですが、
あの三枝さんでさえも、こんなことをしてこられたのだ、と思うと、
何でもやってやろう、という気持ちが湧いてくるのです。





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26、日本の気候 〜冬〜
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【南北の気温差が40℃以上になることも】
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日本列島は南北に長い国ですが、
夏よりも冬のほうが、北海道と沖縄で大きく気候が異なります。
札幌では、最高気温が0℃を下回る「真冬日」が、
一年間で平均約130日に達するのに対し、
沖縄では、真冬でも昼間の気温が20℃を超えることは珍しくありません。
北海道と沖縄の気温差が40℃を超えることさえあるのです。


【冬型の気圧配置】
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テレビの気象解説などでもお馴染みの言葉ですが、
日本の東に発達した低気圧、日本の西に強い高気圧が存在することが多く、
「西高東低」とも呼ばれます。
このような気圧配置になると、日本海側では雪が降りやすく、
特に山沿いでは、積雪量が2m、3mに達する所も出てきます。
一方、太平洋側では冷たい北風が吹くものの、
雪や雨が降ることは少なく、乾燥した晴天が続きます。
また、沖縄では季節風が海を吹き渡る間に、雲が発生するため、
ぐずついた天気となることが多いのです。


【太平洋側での雪】
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あまり雪の降らない太平洋側でも、雪の降ることがあります。
低気圧が太平洋側を通過し、かつ冷たい空気が流れ込むと、
途中で融けることなく、雪のまま落ちてきます。
慣れぬ積雪のため、滑って転ぶ人が続出したり、
交通障害が発生することもしばしばです。
このタイプの雪は、真冬よりも春先に多いのが特徴ですが、
「雨として降るか、雪として降るか」が非常に予想しにくく、
気象関係者の頭を悩ませます。


【流氷・霜・霜柱・霧氷】
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日本で唯一、流氷が押し寄せるのが北海道のオホーツク海。
1月頃から流れてきて、春先まで留まっています。
また、ほとんどの地域で見ることのできる霜は、
空気中の水蒸気が氷となって、草などに付着したものです。
言葉は似ていますが、霜柱は土の中の水分が凍ったもので全く別物です。
(予報士試験でも、その違いについて出題されたことがあります。)
また、霧氷は空気中の細かい水滴が木などに付着して凍ったもので、
成長すると、木全体が氷に覆われて雪像のようになります。
蔵王の「モンスター」は有名です。


【凧揚げの季節】
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冬将軍・木枯らし・北風・・・。
冬は風の強い季節ですが、それは東西の気圧差が大きいからです。
夏の天気図には等圧線の数が少ないのですが、
冬の天気図にはビッシリと等圧線が描かれています。
ときには、東京と福岡の間に5本も等圧線が入っていることも。
だから、冬は凧揚げの季節なのですね。




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27、日本の気候 〜春〜
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【春はまず光から】
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最初に春が訪れるのは光、つまり日差しです。
一年で最も昼間の時間が最も短いのは「冬至」(12月20日頃)で、
その後は少しずつ日差しも強くなってきます。
3月下旬になると、日差しの強さは9月下旬並みになります。
ちょうど、センバツ甲子園の頃ですが、天気のほうはと言えば、
西日本や東日本でもまだ雪が降るほど寒い日もあります。
光の春を追いかけるようにして、気温の春がやってくるのです。


【日本海低気圧がもたらす「春一番」】
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春先に、日本海を低気圧が発達しながら通過するときがあります。
このとき、南から暖かい空気を引き込むので、
強い南寄りの風が吹き、これを「春一番」といいます。
春の訪れを告げる風ですが、「春一番」の後には、
決まって強い冬型の気圧配置になり、寒さが押し寄せてくるのです。
3歩進んだかと思えば、2歩下がる。
このようにして、ゆっくりと季節は進んでいきます。


【4か月かけて、桜前線が北上】
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春と言えば桜ですが、沖縄では1月に咲きます。
3月後半になると、九州や四国に桜前線が上陸し、
やがて、近畿・東海・関東の太平洋側でも開花します。
西日本から東日本にかけての平地では、4月上旬に咲きますが、
東北では4月中旬から下旬、北海道では5月に入ってからです。
また、標高の高いところでも開花は遅くなり、
100m高くなると2〜3日遅れます。


【春の空に浮かぶもの 〜黄砂と花粉〜】
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黄砂とスギ花粉、どちらも春の迷惑浮遊物です。
黄砂は中国大陸にある砂漠で吹き上げられた砂が、
日本上空まで飛んできたものです。
冬の間は地面が凍っていて、砂が吹き上げられないのです。
一方、スギ花粉はスギ林から飛んできているわけですが、
飛散量は前年夏の天気と大きな関係があります。
夏に晴れて暑い日が続くと、翌年の飛散は多くなります。


【春の天気は周期変化】
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冬の間は、同じような天気が長続きする傾向がありますが、
春になると、低気圧と高気圧が交互にやってくるようになるため、
天気は周期的に変化するようになります。
「春に3日の晴れなし」という言葉もあるように、晴天が長続きしません。
太陽や月に「暈(かさ)」と呼ばれる輪が見えたら、
天気の崩れは迫ってきていると考えて良いでしょう。



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28、できない理由を探さない。
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2005年8月に行われた気象予報士試験は、合格率が4.1%で、
全24回の試験の中で、2番目に低い数値となりました。
実に「25人に1人」しか通らない試験だったということです。

この結果に尻込みしてしまうのか、奮起して勉強に取り組むのか、
それは受験生の気持ち次第だと思います。
何事においてもそうだと思いますが、「できない理由」を探し始めると、
できることでも、できなくなってしまいます。

私のことを例に出すのも何ですが、
試験に取り組む私の環境は、決して良いものではありませんでした。

1,時間がない
当時の私は月〜土まで学校に通う高校生(週休2日制ではなかった)で、
野球部の部員でもありましたから、時間は決して豊富でありませんでした。
野球部を辞めて、帰宅部になれば時間は捻出できたでしょうが、
何とか両立したかったのです。

2,カネがない
お金があれば、セミナーに通ったり、通信教育を受けたりできましたが、
アルバイトもしていない高校生に余剰資金はありません。
勉強のための専門書を買うのですら「こんなに高いのか」と思いましたし、
受験料12000円(当時)を払うのも、惜しいと感じたものです。

3,仲間がいない
勉強で分からないところがあっても、誰も教えてくれませんし、
試験の情報なども、なかなか入ってきませんでした。
今と違って、インターネットも普及していませんでしたから、
ネット掲示板で情報を得る、ということもできなかったのです。

このように、3つの「ない」がありましたが、
私は「気象予報士になりたい」という意志だけは強く持っていました。
だからこそ、試験に2度落ちても、やる気を失うことなく、
勉強を続けることができたのだと思います。

これは気象予報士試験に限った話ではなく、
司法書士試験でも、英語検定試験でも、大学受験でも同じです。
合格の価値が高い試験ほど、難易度も高いものです。

私の知っている方でも、仕事で激烈に忙しい方がおられましたが、
ちょっとした休みの時間でも、勉強に充て、
実技試験における天気図の見方を、ちょくちょく私に聞いてきたものです。
その方が合格を手にされたのは、言うまでもありません。

いくら「時間がない」と言っている人でも、
電車に乗っている間くらいは、本を広げることができるでしょう。
たとえ一日30分であっても、その時間を集中して復習に充てられるのなら、
半年後には大きな違いが出ているはずです。




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29、日本の気候 〜夏〜
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【長雨の季節】
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日本の大部分では本格的な夏を迎える前に「梅雨」があり、
太平洋側を中心に雨の多い季節となります。
沖縄や奄美ではゴールデンウィークを過ぎた頃から、
九州・四国・九州でも、6月に入ると梅雨入りします。
梅雨の期間は40日くらい続きますが、
特に期間の後半には強雨・大雨が多くなります。
なお、北海道には梅雨はなく、6月は晴天の多い季節です。


【不快をもたらす湿気】
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人が暑苦しさを感じるのは、温度が高いことだけが理由ではありません。
温度が高くても、空気中の湿気が少ないと、
つまり湿度が低ければ、それほど暑苦しさは感じないのです。
湿度が低いと汗がすぐに乾いて、同時に皮膚の熱を奪ってくれるからです。
梅雨前線の北側には乾いた空気、南側には湿った空気がありますが、
通常の梅雨明けは、南側の湿った空気が梅雨前線を押し上げる形で起こります。
梅雨明けが近くなると、急に寝苦しくなるのはそのためです。


【入道雲は「不安定な夏」の証し】
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夏というと、砂浜や水平線、
そして青空に浮かぶ白い入道雲を思い浮かべますが、
実は「本当の夏空」では、入道雲はあまり現れません。
日本付近に夏空をもたらしているのは、太平洋高気圧ですが、
この高気圧がしっかりと日本付近を覆っているときは、
入道雲もあまり出現しなければ、夕立もほとんど起こりません。
特に「梅雨明け10日」という言葉があるように、
梅雨が明けてしばらくの間は、非常に安定した天気が続くことが多いのです。
入道雲は、太平洋高気圧が弱まったときや、
上空に寒気が流れ込んだときに多く出現します。


【都市化が真夏の夜をもっと暑くする】
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都市化が進むと、夜の気温が下がりにくくなる傾向があります。
草地や水面が減る一方で、コンクリートやアスファルトが増えると、
地上から放出される熱が増えるのです。
また、冷房機・自動車・工場などからの排熱が増えることも原因です。
これによって、冬の夜の冷え込みは弱くなるのですが、
夏の夜は気温が下がらないことによって、寝苦しさが増大します。
特に最低気温が25℃を下回らない日を「熱帯夜」と言います。


【秋は朝晩から訪れる】
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お盆休みを過ぎると、少しずつ夏は遠ざかり始めます。
まだまだ昼間はカンカン照りの暑さですが、
朝晩の気温が少しずつ低くなり、過ごしやすくなってきます。
真夏の天気を支配していた太平洋高気圧が勢力を弱め、
代わって大陸から乾いた涼しい高気圧が日本にやってくるようになります。
鳥の羽毛のような雲が空に現れれば、秋はもうすぐです。
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30、代役になる準備はできているか?
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ミュージカルの本場、ブロードウェイの練習場では、
主役級と全く同じ「歌・ダンス・演技」を、
フロアの片隅で練習している役者がいるそうです。
練習をしている役者は、その劇において端役を与えられているに過ぎない存在。
すでにキャストは完全に決まっているにもかかわらず、
また誰に強制されたわけでもないのに、どうしてそんなことをしているのか?
それは、何らかの理由で主演級の役者が交代しなければならないときに、
すぐに自分が代役として出られるように、準備をしているからなのだそうです。
人気俳優といえども、うかうか風邪も引いていられませんね。

気象キャスターの仕事は、実際に経験してみたところ、
ミュージカル俳優のような華々しい仕事ではないと思いましたが、
「ああいう仕事をやってみたい」と感じる人が多い点では似ています。

日本全国、あちこちの放送局にお天気キャスターはいますが、
全てのキャスターが、やがて降板するときが来ます。
そのとき、何らかの理由で立候補できる立場であったときに、
「私がやります」と言えるかどうか。

キャスターに向いている人は、「私がやります」とハッキリ言える人です。
理由は二つあると思います。
 ・人気のある職業なので、黙っている人には転がり込んでこない。
 ・自分の意見もハッキリ言えないようでは、
  「多くの人にものを伝える」という仕事には向いていない。

もちろん、「やりたいです。なりたいです。」と叫ぶだけではダメです。
そのための能力を磨き、準備することも大切でしょう。
気象キャスターに不可欠なのは、豊富な気象の知識です。
知識がないと、カメラの前で話すことができずに、
他の人が書いた原稿を丸読みするだけになります。

実は「気象業務法」を読めば分かりますが、
気象予報士の資格は、法的に「お天気キャスター必須の資格」ではありません。
では、マスコミに登場するキャスターのほとんどが有資格者なのはなぜなのか。
それは、資格に裏付けされた「知識量」が求められる時代だからです。

「能力」と「積極性」。この二つの両輪が上手く回転したとき、
自信を持って「私にやらせて下さい!」と言えるようになるはずです。




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31、「受験勉強日記」を作ってみよう。
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中学校や高校の定期テストで、猛勉強する友人がいました。
私と同じ野球部でしたので、普段は練習でヘトヘトになって、
とても勉強どころではないのですが、
試験前になり部活動が休止すると、一気に試験モードに切り替わるのです。
例えば、英語の試験対策で彼が使った方法が「教科書丸暗記」でした。
出題される単元の英文を全部覚えてしまうのです。

彼は記憶力が優れているのか、それとも暗記慣れしているのか、
毎回毎回の試験で、粛々と暗記を繰り返していました。
「これをやっておけば、単語の穴埋めも簡単にできるし、
 口で唱えながら覚えれば、1週間で間に合うんだ。」
そういって、試験中はほとんど睡眠も摂らずに勉強していました。
事実、彼は英語の試験で80点を下回ることはありませんでしたし、
他の教科の成績も良かったのです。

そんな人間性を無視した機械的なやり方なんて!と私は思いましたが、
後に読んだ野口悠紀雄さんの『超勉強法』という本に、
この英語攻略法が紹介されているのを見て、
同じような方法で勉強した人が他にいるんだな、と感じたことがあります。

さて、私のほうはといいますと、
丸暗記は面倒くさい、正攻法で勉強するのはもっと面倒くさい、
ということで、英語の試験で35点を上回ることはありませんでした。
部活動休止を良いことに、一人で山越えサイクリングをしていましたから、
他の教科もロクな結果が出ませんでしたが・・・。

・・・それはさておき、学校の定期テストならともかく、
入学試験や資格試験になると、いわゆる「一夜漬け」は通用しません。
そこで求められるのは、総合的な知識量です。
膨大な知識は短時間で習得できるものではありませんから、
大事なのは、いかにして勉強を継続できるかということですよね。
いくら奮起しても、その勢いが短時間で萎んでしまっては、
決してトータルで見た勉強量は多くなりません。

頑張る気持ちをどうやって維持することができるか。
その方法の一つが、「受験勉強日記」を作って公開することです。
ブログで日記を公開すれば、不特定多数の人が目にしますから、
うかうかサボっていられませんね。
また、自分から情報を発信することによって、
逆に読者の方からアドバイスを得ることもあるのです。

今、いくつかの「気象予報士受験」のブログが公開されています。
メルマガ読者の皆さんも「受験勉強日記」を作って、
公開されてみてはいかがでしょう?
もし、ブログを作成された方がいらっしゃれば、ご連絡下さい。
当メルマガでご紹介したいと思います。




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32、日本の気候 〜秋〜
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【秋の長雨】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
秋と言えば、運動会や遠足など、野外イベントの多い季節ですが、
秋の前半である9月は雨の多い時期にあたります。
真夏に日本付近を覆っていた太平洋高気圧が勢力を弱め、
一方で、北からはシベリア高気圧が少しずつ力を強めてきます。
この二つの高気圧にできるのが秋雨前線で、
ちょうど梅雨のような天気がしばらく続くことになります。


【台風シーズン】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
8月から9月にかけては台風の上陸数が1年で最も多くなります。。
統計的には、この2か月で約2個の台風が上陸していることになり、
台風による、雨や風の被害を受けることが多いのです。
特に、秋になってからやってくる台風は、
夏にやってくる台風と異なり、日本付近で速度を上げるのが特徴です。
「まだ風が強くないから大丈夫」と思っても、
猛スピードで台風が近づいてくることもありますので、
台風情報に十分注視する必要があります。


【秋晴れ】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
長雨の季節が終わると、
日本付近は移動性高気圧に覆われることが多くなり、
晴れの天気が続きやすくなります。
昼間は暖かいのですが、晴れていると夜は冷え込みます。
湿度によっても異なりますが、気温が15℃を下回るようになると、
吐いた息が白くなってくるのです。


【紅葉前線南下】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
春の訪れが南からやってくるのに対し、秋の深まりは北からやってきます。
気温が下がる冬に備えて、葉を落とす木を落葉樹といいますが、
葉を落とす前に、紅葉という準備があるわけです。
北海道の大雪山系では、9月に紅葉の見頃を迎え、
その後、紅葉前線は南へ、標高の低いところへ進んでいきます。
西日本や東日本での紅葉は、11月下旬になることが多いようです。


【木枯らし1号】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
日本では、夏は南風が、冬は北風が吹くことが多くなります。
秋が深まるにつれ、次第に空気が冷たさを増す頃に、
強い北よりの風が吹くことがあり、これを木枯らしと言います。
木枯らしが各地で吹くようになると、
紅葉の季節を終えた山では、雪が積もるようになります。
麓から雪が積もっているのを初めて確認できたときを「初冠雪」といいます。




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33、将棋の習得で学ぶ「天気図の読み方」
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気象業務法第二十四条の二には、次のようなことが書かれています。
「気象予報士試験は、気象予報士の業務に必要な知識及び技能について行う。」

ここでいう「技能」を試す問題が、いわゆる「実技試験」です。
初めて実技試験に取り組んだ人の多くは、こう言います。
「時間が足りなかった。」
確かにそうなんです。私自身もそうでした。

でも実技試験では、あえて短時間で適切な答えを出さなければならないのです。
実技試験は、いわば実際に気象業務を行う上で直接に必要な技能です。
短期的な天気予報は、資料を手にしてから極めて短い時間で、
「現象の予想」を行わなければなりません。
「明日の天気予報を3日かかって予想した」では笑い話にしかならないのです。

実技試験において、問題が早く解けるかどうかは、
天気図を中心とする気象資料をどれだけ早く正確に読み取れるかがカギです。
では、どうすればいいのか?
「天気図を読むこと」は、将棋の習得に似ていると私は考えます。

将棋という盤上ゲームを習得するために最初に必要なことは何でしょうか?
どんな駒の種類があるのかを把握し、
それぞれの駒の動かし方について知ることですね。
「将棋には、王将・金将・銀将・桂馬・・・といった駒があり、
 例えば金将という駒は、前・横・斜め前のどれかに一マス進める。」
という知識を最初に勉強します。

天気図を読むこともこれと似ていて、
まず、天気図の中に登場する記号がどんな役割をするのか知る必要があります。
主な天気記号・等圧線・前線などの概念を把握することは、
天気図を解読していく上では不可欠なことです。

将棋において、駒についての勉強をした後は、
基本的なルールを把握していくのが大切なことです。
例えば「敵の陣地に入った場合は、駒を裏返すことができる」とか、
「二歩はダメ」「歩を打って詰めるのはダメ」などのルールです。

天気図でこれを例えてみれば、
「等圧線が込んでいると、風が強いことを示す」
「海から風が入り込むときは、天気が悪くなりやすい」
などが当てはまるでしょう。

将棋の基本ルールが分かってきた後は、
「定跡」を勉強することが大切なのではないでしょうか。
「金矢倉で守る」「棒銀戦法で攻める」「穴熊を決め込む」など、
将棋には多くの人が認める「定跡」が存在します。
やみくもに駒を動かすよりも、
定跡を習得し、それを生かしたほうが強くなります。

またまた、これを「天気図読み」に置き換えれば、
「顕著に登場する気圧配置」の勉強だと思います。
例えば、日本付近によく現れる気圧配置を見てみますと、
春なら、日本海低気圧・移動性高気圧
夏なら、梅雨前線・北東気流・太平洋高気圧
秋なら、秋雨前線・台風・帯状高気圧
冬なら、西高東低・南岸低気圧
という形で、ある程度のパターンが見られます。
これらの気圧配置を勉強しておくと、
似たものが天気図上に現れたときに、早くパターンを掴むことができるのです。

気象予報士試験に出題される天気図は、典型的な気圧配置(つまり定跡)が多く、
定跡を丁寧に勉強できれば、かなり問題が解けるようになるはずです。
天気図の精読ができれば、次第に速読もできるようになります。

昔は「天気図3000枚」という言葉がありました。
「3000枚天気図を書いたら一人前の予報官になれる」という意味です。
かつて天気図は「手で書くもの」だったのですね。
今はコンピュータが書いてくれますから、自分で書く必要はありません。
完成品の天気図をインターネットで好きなだけ見ることができます。
やる気のある人にとって、素晴らしい環境が整った時代になりました。




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34、気象情報は大きなビジネス
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もう、かなり前のことですが、
ある気象キャスターの方とお話をしていたときに、
こんな話題が出たことがあります。
「自分がいる位置の天気予報が携帯電話なんかに出ると、便利だな。
 移動すれば、自動的に表示される天気予報が変わるんだ。
 例えば、出張で福岡へ行ったときには、
 携帯電話の画面に福岡の予報が出る、という具合にな。」

それを聞いていた私は「そんなことできるのかね・・・」と思いましたが、
今、私が持っている携帯電話には、
場所の移動に伴って、自動的に当地の天気予報が表示されます。
そのキャスターと同じことを考えついた方たちが、
新しいビジネスとして、実用化されたのでしょう。

「天気予報をビジネスにする」というのは、不可能なように見えます。
なぜなら、テレビ・ラジオ・新聞などという媒体で、
ほぼ無料の形で、天気予報が流れているからです。

そんな中で、「177」の電話天気予報サービスを考案した人はスゴイ。
無料の天気予報が数多く存在しても、
新聞の天気欄は「情報の更新」という点で劣りますし、
テレビやラジオは、天気予報コーナーの時間まで待たなければなりません。
「今すぐ天気予報を知りたい」という人にとって、
「177」のサービスは、お金を払ってでも知りたい情報なのですね。

そして今、携帯電話の画面で天気予報を入手できるようになりましたが、
これを最初に考案した人も、素晴らしい発想の持ち主です。
各社が月額100円程度でこういったサービスを行っているようですが、
会員が100万人になれば、月額1億円の売り上げになるのですから、
これは大きなビジネスですね。

現在、多くの気象会社がさまざまな気象サービスを提供しています。
これからも無数の気象ビジネスが生まれるに違いありません。
明日の天気を気にする人がいなくなることは絶対にないのですから。





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35、雨を知らせる名曲
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先日、家族で百貨店の店内をうろついてきたときのことです。
妻が私に「今、雨が降ってきたんじゃない?」と言いました。
確かに今日の天気は下り坂で、店に入る前も厚い雲がたれ込めていましたが、
周囲に窓のないフロアで、今降ってきたことがなぜ分かるのか?
その答えは「店内のBGMで『雨に唄えば』が流れたから。」でした。

雨が降り出すと、百貨店ではいろいろな対応に迫られます。
全ての出入り口に傘袋を設置し、足下が滑りにくいようにマットを敷く。
商品によっては包装の紙袋の上から、ビニールを被せる必要もあるでしょう。
しかし、あからさまに「雨が降ってきたので・・・」と、
館内放送で指示を出すというのは、あまりにも野暮というもの。
そこで、往年のミュージカル映画の名曲を、さりげなく流すことによって、
窓の外の様子を知ることのできない従業員に対し、
空模様の変化を伝えているというわけです。

このエピソードは、客商売において、
いかに天気を気にしなければならないか、ということを示しています。
天気に特に注意を払う仕事として、
建設現場やレジャー施設を挙げる人は多いでしょうが、
むしろ、天気を気にしなくて良い業界のほうが少ないのかも知れません。

かなり以前の話ですが、私は超短期アルバイトで、
食べ物の展示博覧会のスタッフをしていたことがあります。
野球場のような広い会場に、世界中から集めたご馳走が並んでいたのですが、
初出勤の私に渡されたのは、大量の「ペット用トイレシート」でした。

私が面食らっていると、常勤スタッフが展示場へどんどん歩いていきます。
そして、生鮮食品を冷やし続けている大型冷蔵庫の裏へ回ったかと思うと、
冷蔵庫の下に置かれている大きな洗面器を取り出して私に渡したのです。
「これ、こぼさないように持っていけ。」
洗面器の中に入っていたのは大量の水でした。

24時間休まず働いている冷蔵庫からは大量の水が出ます。
その水はこぼれないように、洗面器に溜まるようになっていて、
洗面器が溢れて、展示場の床が水浸しになってしまわないように、
定期的に水を捨てる必要があるのです。
つまり、私は「水捨て要員」としてアルバイトに雇われたわけですね。
「ペット用トイレシート」は、何らかの理由で水をこぼしてしまったときに、
すぐに拭き取るための道具です。
さすがに吸収力は抜群でしたが、このような用途で使われているとは、
メーカーさんもご存じないかも知れませんね。
「雨の日なんかは、かなり頻繁に水抜きをしないとダメなんだ。」
と常勤スタッフの方は仰っていました。
空気中の水蒸気が増えるために、溜まる水の量も多くなるからです。

私たちが地球上で暮らしている以上、
天気と生活は切っても切れない関係にあると言えるでしょう。
ちょっとした身近な出来事も、気象を考慮したものが無数にあるはずです。
そんな視点で、天気を見てみるのも面白いですよ。




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36、肌感覚が大切
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先日、私が主宰する「気象予報士塾」の懇親会を行いました。
お集まり下さった十数人のうち、男性は私を含めてわずか3名。
残りは全て女性の受講生でした。
実は受講生全体から見ても女性が圧倒的に多いのが、当塾の特徴なのですが、
「なぜこれほどまでに女性が多いのか」が、宴席でも話題に上りました。
確かに試験会場での顔ぶれを見てみても、
以前に比べて、女性の受験者が多くなった印象を受けます。

「テレビで活躍する女性キャスターが増えたからだ」とか、
「女性のほうが男性よりも自分に投資する人が多いのだ」など、
いろいろな理由を挙げることができると思いますが、
「女性のほうが、男性よりも気象と生活が密着しているからだ」ということも、
見逃してはならないことだと私は思っています。

四季の移り変わりがハッキリしている日本において、
女性は男性よりも、天気の変化を敏感にとらえているはずです。
さほど大きな変化が見られない紳士服売り場とは対照的に、
婦人服売り場は、常に季節の変化を意識した商品が並べられています。
5月にもなると、目にするのは夏物の服ばかりです。
また、化粧品コーナーをのぞいてみますと、
各社が競うようにして、日焼け止めクリームを販売しています。
男性である私が紫外線を気にするときといえば、
山登り(標高が高くなると紫外線が強くなる)のときくらいでしょうか。

冷え性を気にされるのも女性のほうが多いでしょう。
また、暑い時期に汗をかけば、化粧くずれが気になるでしょうし、
冷房による足もとの冷えを訴える方も多いはずです。
冬になれば、乾燥や寒さによる、
肌のかさつき・手荒れに悩む方も少なくないでしょう。
洗濯物を干すときに、天気が気になるのは言うまでもありません。

私も含めて男性は気象状況を「数値データ」で判断しがちであるのに対し、
多くの女性は自らの肌感覚も敏感に取り入れているように思えます。

詳細な観測データやコンピュータによる数値予報が、
天気予報に不可欠なものとなって、すでに久しくなりました。
極端なことを言えば、データさえ揃っていれば、
地球の裏側の天気予報でさえ、密室のスタジオから伝えることは可能です。
しかし、その予報を受け取るのが生身の人間であることには、
今も昔も変わりありません。
いつの時代になっても、天気予報に携わる人は、
「肌感覚」を忘れないでほしいと思います。




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37、何かを選ぶことは何かを捨てること
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昼間の日差しが強すぎる季節になると、夜の散歩が快適です。
しっとりとした空気には、新緑の香りが混ざっていて、
歩いているだけで気持ちの良いものです。
先日も夜9時過ぎに、近所をウロウロしていますと、
闇の向こうに明々と輝くライトがいくつも見えました。

ライトの下にいたのは高校球児たちでした。
何度も甲子園出場経験のある、有名な強豪野球部です。
日が沈んでから、もう何時間も経っているというのに、
泥まみれのユニフォーム姿で、バットを振ったり、
ボールを打ったりしていました。

さすがに、帰る支度をしている部員もいましたが、
家に着くのは何時になるのだろうかと想像しつつ、
私の高校時代と思い比べていました。

私が在籍していた野球部では、練習は夕方の6時まででした。
「6時までに下校しなければならない」という規則があったからですが、
これでは平日の練習時間は2時間程度しか確保できません。
それでも私は「なんてキツイ練習なんだろう」と思っていましたが、
結果は「夏の甲子園予選−すべて初戦敗退」でした。
練習量と野球の実力は、必ずしも比例するわけではないでしょうが、
少なくとも、強豪校はそれくらいの練習を重ねているわけです。

高校在学中に、気象予報士試験に合格した私は、
周囲から「勉強も野球もできるスーパー高校生だったのですね」
と言われることが少なくありませんが、実体は異なります。
弱小野球部であったことはお話のとおりですし、
勉強が良くできたわけでもありません。
気象予報士試験のために、午前3時から起きていたのは事実ですが、
不足していた睡眠時間は全て学校の授業中に補っていたのです。

もし、私が「甲子園出場」もしくは「東大合格」という目標を立てていれば、
高校在学中に気象予報士試験に受かることなど、絶対になかったでしょう。

どんな人間でも、1日に与えられている時間は「24時間」です。
いくら「効率」や「時間管理」に気を配っても、
1日が30時間になったり、40時間になったりはしません。
つまり、「1日にやれること」というのは概ね限られているのです。
風呂に入りながら歯を磨くことくらいは誰にでもできますが、
仕事を持つ人が、会計と法律の勉強を両立するのは至難の業でしょう。

何かを選択するというのは、同時に何かを捨てることでもあります。
「あれも、これも」と欲張っていると、全てが中途半端になるかも知れません。
どうしても乗り越えたい壁があるときは、荷物を捨てるのが一番だと思います。





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38、勢いだけでは続かない
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高校から大学へ進学する頃に、本屋でアルバイトをしていたことがあります。
本屋での仕事といいますと、レジ打ちや本棚の整理などが思い浮かびますが、
それ以外に重要な仕事として、「返品の梱包」がありました。
最新号が出版されたために古くなってしまった雑誌や、
売れなくなってしまった書籍を段ボールに詰めて、返送するのです。
何しろ「本」ですから、ものすごく重い。
腰を痛めないように、慎重に段ボール箱を運んでいた記憶があります。

本屋でこのような仕事をしていただけに、
「どんな雑誌がどの程度売れているのか」ということは、自然と頭に入りました。
中でも印象に残っているのは、NHKの語学雑誌です。
ふつう、雑誌というものは売れ行きが極端に変動することはないのですが、
語学雑誌の場合、4月号だけが特によく売れるのです。
4月から番組がスタートするからですね。

ところが、5月・6月になると、売れ行きは落ちてきます。
理由はお察しのとおり、勉強に挫折する人が出てくるからです。
各語学講座の放送時間は20分ほどだったと思いますが、
これを継続するのは、かなり大変なことなのですね。

私も5年ほど前に「ロシア語講座」というのを始めたことがあります。
たしか、バルト三国へ旅行に行きたくなり、
「そのためにはロシア語ができたほうが良かろう」ということで、
ラジオ講座の雑誌を買ったのです。
しかし、英語さえもできない私にロシア語が身につくはずもなく、
結局、2冊目の雑誌を買うことがないまま、勉強は終了しました。
未だにロシア語のアルファベットも分かりません。

6月にもなると、新年度に始めた新しいことが徐々に新鮮さを失い、
行き詰まりを見せ始める時期でもあります。
しかし、語学に限らず、あらゆる勉強をものにできるかどうかは、
「続けられるかどうか」にかかっています。
もちろん、気象予報士試験も同じことで、
合格率4%の試験を突破する方法は、継続なしではあり得ません。
大切なのは一発奮起ではなく、着実な持久力なのです。

挫折することなく勉強を続けるコツは、ペースを落としてもいいから、
「分からない部分」を「分かる部分」に変えることです。
スポーツでも勉強でもそうですが、上手くできるからこそ好きになるのです。
勉強を好きになるためには、勉強ができるようになるしかありません。




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39、耳に残る話し方とは?
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「気象キャスターになるためには、話し方が上手でないとダメなのですか?」
このように質問されると、返答に困ります。
ある意味ではYesであり、また別の意味ではNoでもあるからです。

「立て板に水を流す」という諺があるように、
一般によどみなく話せる人を「話し上手」と見る傾向があります。

こういった話し方は、確かに聞き心地が良いものですが、
あとから振り返ってみると、情報が何も頭に残っていないことがあります。
気象キャスターにとって、最も大切なことは、
「リスナーや視聴者の頭に重要な情報をどれだけ定着させるか」です。
内容が記憶に残らない話し方など、キャスターとして失格ではないでしょうか。

もちろん、話し始めに「えー」とか「あー」とか出てしまう話し方は、
聞く側にとっても、耳障りというものですが、
「流暢」であることに、それほど拘らなくて良いと私は思います。

普段の生活においてもそうですが、
「分かりやすい話し方」のできるときというのは、話の内容を十分に咀嚼し、
内容の重点を押さえられているときではないでしょうか。

例えば、何度も見た大好きな映画の話を人にするときなら、
「重要な場面」や「カギとなる台詞」は十分に分かっています。
その部分を説明するときは、大きな声でゆっくり話したり、
わざと話の間を少し大きく置くことによって聞き手を注目させたり、
言葉を少し変えて同じ意味合いの説明を繰り返したりするでしょう。
こういったことは話すことを職業にしている人だけでなく、
多くの人が無意識に行っていることなのです。

しかし、単に話す内容を事前に丸暗記して、はき出すだけの場合は、
こういったことを行うことはできません。
どの部分が話の重点であるか、把握できていないからです。
仮に流暢に話せたとしても、内容が聞き手に残りにくくなります。

気象キャスターになるために、自分が話し上手かどうかを、
あまり気にされる必要はないでしょう。
誰でも自分がよく知っている分野については、熱っぽく語りますよね。
つまり、気象キャスターにとって大事なのは、
その日に話す内容をいかに自分のものにできるか、だと思います。
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40、質問こそが理解への近道
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先日、かつて他塾で教鞭を執っておられた方と、
情報交換をする機会に恵まれました。
「どんな生徒さんが短時間で実力を伸ばすか」という話題が上ったのですが、
お互いの印象がピタリと一致しました。
「やはり、質問の多い人は伸びますね。」ということです。

その理由を私なりに解釈してみますと、次の2つを挙げることができます。
  1,勉強に励むからこそ、質問量も増えるから。
  2,質疑応答のやりとりで、理解が定着するから。

まず、1です。
なんとなく「質問の少ない人・全くしない人」は、
「勉強内容が全て理解できている人」であるように見えます。
しかし実のところ、そうでない場合が多いのです。

といいますのも、気象予報士試験に限らず、
勉強というのは、進めるほどに分からないことが増えるものだからです。
逆に、全く勉強をしなかった場合、
分からない部分(正確には分からないと感じる部分)は0です。
勉強に励んでいる人ほど、分からないことを多く抱えているわけで、
質問の数も増えるというわけです。

続いて、2です。
勉強には「知識を収集する作業」と、
「知識と知識を結びつける作業」があるのですが、
質問に来られる方の多くは、後者の点で引っかかりを感じています。

具体的な例を出してみますと、
  知識A:台風の中心付近は下層から上層まで暖気で構成されている。
  知識B:暖かい空気は冷たい空気よりも密度が小さい。
という2つの知識を上手く結びつけることができてこそ、
「台風(熱帯低気圧)の上層では、高気圧循環になっている」
ということが理解できるわけです。

講師の話を一度聞くだけで、全てを飲み込める人はごく僅かです。
ほとんどの人は、飲み込めていない部分や誤解している部分を、
質疑応答によって修正し、消化していく必要があるのです。

「なるほど!」「そうだったのか!」と納得できるのは、
知識と知識が上手く結びついた瞬間です。
「分かるほどに勉強が楽しくなりました!」との声を聞きますが、
これこそが学ぶことの楽しさ(=知的快感)ではないでしょうか。




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41、ライバルはわりと少ない。
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「気象キャスターの募集って、ぜんぜん見あたりませんね。」と、
何人かの方から尋ねられました。
確かに「テレビの天気キャスター募集中」というような情報は目にしません。
その理由は何なのでしょうか?

 1,募集そのものが少ないから
 2,公募を行うとは限らないから

まず1ですが、日本国内の放送局数が限られていて、
天気予報番組の数に大きな変化がない以上、当然のことと言えます。
人気のあるキャスターは、辞めずに続けるでしょうから、
そのぶん新規参入も難しいというわけです。

それから2については、別に気象キャスターに限った話ではありません。
「番組出演者を公募で選ばねばならない」という決まりはないのです。

こんな話をしていると、「気象キャスターになんて、なれるわけがない」
と思われる方も多いことでしょう。
でも、そう思った人は、それで終わりです。

例えば、テレビで活躍している俳優やタレントの全てが、
公開オーディションやタレント養成学校を経てきたのでしょうか?
もちろん、有名なオーディションで選ばれた人もいるでしょうが、
徒手空拳で頑張っているうちに、夢を手に入れた人も少なくないはずです。

「きちんと体裁の整った公開募集」に慣れすぎていませんか?
この傾向はインターネットが普及してから、さらに強まったように思えます。
例えば、就職活動サイトに登録されている企業だけが、
就職先の候補だと錯覚してしまいます。

キャスターであれ、俳優であれ、志望業界であれ、
本気で目指しているものがあるならば、受け身の情報だけで満足できません。
必ず自分から何か動いてみようとするはずです。

気象キャスターは多くの人が憧れる職業です。
しかし、そのほとんどの人は「公募が見つからない」というだけで、
簡単に諦めてしまうことでしょう。
つまり、本気で目指している人は案外少ない、これが私自身の感覚です。
この最初の関門で、脱落してしまう人がいかに多いことか。

最後にある塾のお話を。
その塾は、無料で授業見学ができることを、あえて公表していません。
『「見学したい」と自ら願い出る人にだけ、授業を見てほしい』からです。




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42、気象予報士の資格でメシが食えるか?(前編)
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「気象予報士の資格で転職できますか?」多くの方からいただくご質問です。
気象予報士試験の受験指導を行っている私の立場からすると、
「もちろんです。未来は明るいですよ!」とでも言えば良いのでしょうが、
実際のところは、必ずしもそうとは言えない部分があります。

まず、これは大半の資格に言えることだと思いますが、
「資格を取得しただけでメシが食える」ということは、ありません。
例えば、駅のホームにある立看板に目をやると、
いかに医院・歯科医院の看板が多いかが分かります。
私の住んでいる町は、人口10万人足らずの地方都市ですが、
それでも徒歩圏内の病院・医院は、軽く10件を超えるのです。
(加えて歯科医院が5〜6件はあると思います。)
医学部で6年間の勉強を続けた上で、やっと取得できる医師免許でさえ、
「開業しただけで生活ができる」とは限らないのです。

医師免許と並んで、超難関資格といわれる弁護士資格であっても、
司法試験制度の改革によって、今よりも有資格者は増える見通しです。
つまり、それだけ同業者の中での競争が激しくなることを意味します。

机の上での勉強が得意な人ほど、、
「試験に合格して資格を取得すれば、仕事は向こうからやってくる」
と考えてしまう傾向にあります。
資格が「黄門さまの印籠」のように見えてしまうのですね。
しかし現実を見てみますと、いわゆる社会的地位の高い資格業務であっても、
それを仕事(=商売)として行うためには、泥臭いこともしなければなりません。

例えば、私が知っている行政書士さんは非常に営業熱心です。
個人で事務所を構えているにもかかわらず、
サイトをいくつも作って、あらゆる種類の顧客を獲得しようとしています。
行政書士が作成できる書類は1万種類を超えると言われますから、
仕事の幅は非常に広いと言えます。
もちろん、行政書士の資格を取っても、
寝転がっているだけでは、一件の仕事依頼も入ってこないでしょう。

私の場合、17歳で気象予報士の資格を取得しました。
「現役高校生の気象予報士」なんて、いかにも話題性がありそうだ、
と思ったのは自分だけ。
誰も取材に来ませんし、誰も声をかけてくれませんでした。
初めて気象予報士仲間に出会えたのは、
自分で申し込んだ財団法人気象業務支援センターによる講習会の場でした。
結局、自分が動かないと、何も変わらなかったのです。





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43、気象予報士の資格でメシが食えるか?(後編)
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気象庁のホームページによりますと、
現在、全国に5629人もの気象予報士がいます。(2006年3月31日現在)
このうち、実際に資格を生かして仕事をしている人はどのくらいなのか?
データが手元にないので、正確なところは分かりませんが、
気象会社の数などを考えてみても、おそらく半数を下回るのは確実でしょう。

もちろん、気象の勉強は趣味としても非常に面白いものですから、
最初から「個人として楽しむため」と割り切って、
試験に臨まれる方も決して少なくはありません。
しかし、そういった人々の割合を考慮しても、
弁護士や公認会計士・医師などと異なり、
「有資格者のプロ率」が低いのが、気象予報士なのです。

気象予報士の資格を仕事に生かしている人の中で多くを占めるのが、
気象会社の社員(気象会社と契約を結んで仕事をしている人も含む)です。
しかし、資格を持っているからといって、
気象会社にスムーズに入社できるわけではありません。

当たり前の話ですが、気象会社も営利を目的とする組織である以上、
「天気が好き」「気象に詳しい」だけで、入社試験に合格するとは限りません。
会社員として有能であると経営者側から判断されることが、
入社の条件であるのは、他の業界と全く変わらないはずです。
「気象予報士資格があれば業界へフリーパス」ということはありません。

・・・とまあ、気象予報士を取り巻く状況を書かせていただきました。
前回と今回の記事をお読みになって、「やっぱり無理だ〜」と思われる方は、
どうぞ、気象予報士を目指すのをお止め下さい。
本気で気象予報士になりたいという人は、困難な状況を目の前にしても、
夢の実現に向かって走り出しています。
何者も阻止することができないほど、燃えています。
そんな方にこそ、気象予報士試験に合格して活躍してほしいと思うのです。

最後にある業界関係者から私が直接に聞いた言葉を紹介しておきます。
「気象キャスターの世界は、いつでも人材不足なんです。
 目指したい人には、どんどん飛び込んできて欲しいですね。」





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44、難問は少ない。
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気象予報士試験の後は、試験勉強に関するご相談をよくいただきます。
中でも特に目立ったご質問は、
「学科試験で難問が多く出題されたので、太刀打ちできない。
 どんな方法で勉強すれば良いのか?」という内容です。

それに対する私の回答は実にあっさりしていて、
「過去問題を徹底して勉強すれば、合格ラインに届きます。」と申し上げます。
これが合格の近道であると、私は考えているのです。

学科試験の問題を分析してみますと、大きく3つに分類できます。
 1,過去に出題された問題とほぼ同じ内容の問題
 2,過去に出題された問題を少しひねった問題
 3,過去にほとんど出題例のない問題

1のタイプが特に多いのは、一般知識試験の「法規分野」です。
法規分野では、何度も出題される条文がいくつもあるのです。

2のタイプもわりと多いと言えるでしょう。
例えば、第26回試験における一般知識試験の問5などは、
第19回試験における一般知識試験の問8を勉強していれば、
十分に対応できるであろう問題だと思います。

実のところ、気象予報士試験で出される問題は1か2がほとんどです。
3のタイプとして、第26回試験における一般知識試験の問10、
第25回試験における一般知識試験の問11などが該当しますが、
全体から見れば、その数は少ないと言えるでしょう。

「難問が出題された」「応用問題が多かった」と言う方の多くは、
たいていの場合、次のいずれかのケースに該当します。
 1,基礎的な勉強が足りていない。
 2,過去問題の演習不足。

基礎的な勉強が足りていないと、試験で頭を抱えることになるのは自明です。
例えば、「温位」という用語を、
「ある空気塊を1000hPa面にもってきたときの絶対温度」
と丸覚えしているだけでは、試験対策として十分ではありません。
特に「大気の熱力学分野」では、用語の概念を正しく把握しているかどうか、
あらゆる角度から問題が出されます。
「暗記」ではなく「根本的な理解」が試されているわけです。

また、過去問題の演習は試験対策に欠かせません。
少なくとも過去5年(10試験分)程度の試験には、取り組んでおくべきでしょう。
(注、専門知識試験の場合、技術の進歩や制度の変更があるため、
 過去の正答が現在も常に正しいとは限りません。この点は注意が必要です。)
もちろん、ただ単に「過去問題をやった」だけでなく、
全ての問題において、他人に説明できるくらいまで勉強することこそ、
本当の意味での「試験勉強」であると私は思います。

過去問題の演習が大事だというのは、気象予報士試験に限らず、
多くの資格試験にも言えることのようです。
毎回の試験で、常に一定レベルの合格者を出すことが、
試験主催者の目的であるということを考えれば、
過去問題演習で対応できない問題ばかりを出題するわけにはいかない、
という結論になるはずなのです。




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45、自由とは「誰も働きかけてくれない」こと。
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いよいよ本格的な秋を迎えつつある今の時期、
修学旅行で奈良を訪れる中学生や高校生をよく見かけます。
最近は10人程度のグループ単位で行動する学校が多いようですね。
言葉のイントネーションが関西弁と異なるため、
話をしているのを聞いていると、修学旅行生だとすぐに分かります。

こうした姿を見て思い出すのが、私自身の高校生時代。
気象予報士試験に合格して間もない頃に、
研修旅行(修学旅行のことです)で沖縄へ行きました。
本州とは異なる沖縄の風景が素晴らしかったことも良い思い出ですが、
一番よく覚えていることは、夜遅くまで友達同士で騒いで、
見回りの先生にどえらく怒られたことですね。

学校行事としての旅行ですから、生徒の自由は制限されています。
消灯の時刻は決まっていて、夜中にトランプをすることはできません。
男子生徒が女子生徒の部屋に忍び込んで良からぬことが起こらぬよう、
男子用客室と女子用客室は、階ごとに分かれていました。
ましてや宿の外へ出て、歓楽街に繰り出すことなどもってのほか。
当たり前です。高校生ですからね。

最もツライ思いをしたのは、友人のK君かも知れません。
今だから言えますが、18歳にして既にニコチン中毒だった彼は、
4日間における旅行期間中の「禁煙」が何よりもキツかったとのこと。
関西国際空港にて解散後、真っ先に空港のトイレに駆け込み、
一気にマールボロ4本を立て続けに吸ったそうです。

規則で固められた修学旅行は窮屈です。(楽しかったですけど)
行きたい場所へ自由に行けて、夜遅くまで好きなだけ夜更かしして、
思いっきり羽目を外した旅行がしたいものだ!、と当時は切望したものです。

そんな願いは、わりと早い時期にあっさり叶いました。
大学生になって友達同士で旅行へ行けば、
「早く寝ろ」とか「酒はダメ」とか「パチンコするな」とは言われません。
そして望み通り、大いにいろいろ楽しんだのですが、
最近は「修学旅行みたいなのも良いな」と思うようにもなりました。

例えば深夜、わずかな懐中電灯の明かりを頼りにして、
布団の上で密かに繰り広げられる「賭けトランプ(1回50円)」は、
夜回りをしている先生の存在におびえながら行うからこそ楽しいのです。
「土産に○○円使って、菓子に○○円使って・・・」と頭を悩ませながら、
最大限に楽しめるお金の使い方を模索できるのも、
生徒の所持金額が決められているからですね。

自由の少ない環境に身を置かれると、「自由になりたい」と感じるものですが、
「自分自身に対し、何の強制力も働かない状態」というのは、
ある意味で、なかなか厳しいことではないかとも思います。

私は高校球児だった頃、真夏の炎天下でも走り回っていましたが、
これは野球部という組織に所属していたからこそ、
厳しい監督と、怖い(理不尽な?)先輩がいたからこそ、できたことです。
「高校時代と同じ内容のトレーニングを自主的にやれ」と言われても、
とてもやり遂げられるものではありません。

勉強だってそうでしょう。
本屋さんで有名大学の赤本を手に取って見てみると、
手も足も出ないような問題がビッシリと記載されています。
でも、これを解いて大学に合格する高校生は何万人以上もいるわけです。
その素晴らしき学力の原動となったものには、
「将来への夢」「向学心」といったキレイなものもあるでしょうが、
「勉強せざるを得ない環境だったから」という人も少なくないでしょう。

大人になると、「イヤなものはイヤ」と言えることが多くなります。
仕事としてではなく、「興味があるから」というだけでやっている場合、
いつでも止めることができる「自由」があります。
それは確かに良いことではありますが、
同時に「強制力」が働きにくいことも意味します。
本当に何か結果を残したいことであれば、
自らを「強制力の働く環境」に身を置くことも大切なのかも知れません。





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46、最大限の夢を描こう。
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前回は「自由を奪うことで試験勉強はうまくいく」というお話をしましたが、
自分の夢や目標に対しては、思いっきり自由であるべきだと考えます。
「富士山ほど願って、蟻塚ほど叶う」という言葉があるように、
描いた夢以上のことは実現しないと思うからです。

「蟻塚ほどしか叶わないなら、願うことなどやめておこう」
と言いたいのではありません。
「大きく叶えるために、できるだけ大きく願おう」と言いたいのです。

「気象キャスターという仕事が自分に向いているのかどうか分からない」
と考える人は、気象キャスターに向いていません。
私の周りだけでも「我こそが気象キャスターに!」という方がたくさんいます。
夢を描くことに躊躇している人が、そういった人に敵うはずがないでしょう。

だいだい「キャスターは自分には不向きだ」と思ってしまえば、
さっさと途中で辞めて、方向転換すれば良いだけのことです。
何を隠そう、私自身がそうでした。

6年あまり、放送現場で仕事をしてきましたが、
最終的に職を辞することになった理由の一つは、
「これは自分には向いていない」と感じたことです。
「6年もやってきて、分からなかったのか?」と言われそうですが、
事実そうだったのですから、仕方がありません。

長い間、出演させて下さった番組には申し訳なかったのですが、
降板を申し入れ、勤めていた気象会社も退職しました。
そして、「気象キャスター・気象予報士を目指す方を支援したい」
という思いから気象予報士塾を開業し、今に至っています。
今の私は「やはりキャスターよりも講師のほうが自分には合っている」
と感じていますが、気象報道の現場で勤務していたことが、
今の講師業に大きく役立っていることも、これまた事実です。

私がそうだったように、価値観は不変ではありません。
だからといって、最初から夢に挑戦することを諦めるべきでないでしょう。
目標の軌道修正など、後からいくらでもできますし、
チャレンジすること自体が後々どんな形で役立つか分からないからです。





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47、協力し合える仲間はいますか?
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私が主宰する塾では、2か月に1回程度の割合で懇親会を開いています。
難関試験を突破するには、一人で挑戦するよりも、
仲間がいたほうが良い結果を生み出しやすい、と思うからです。

ここで言う「仲間」とは、単に馴れ合うだけの仲間を意味するのではありません。
「仕事が忙しかったから、勉強時間が確保できなかったんだよね〜。」
「問3と問7と問11さえ合っていたら、一般知識は合格してたんだけどな〜。」
まあ、そういうのも必要なのかも知れませんが、
私は「教え合う仲間の存在」こそが大切だと考えているのです。

気象予報士試験には、暗記しなければならない内容よりも、
理解しなければならない内容のほうが多いのです。
どんな試験でもそうだと思いますが、
試験主催者側が合格させたいのは「本当に理解している受験生」であり、
「丸暗記で無理やり突破しようとする受験生」は落としてしまいたいはずです。
問題を作成するときも、それを考えて作っていることでしょう。

そこで単純暗記ではなく、理解しながら勉強を進めていく必要があるわけですが、
一人で勉強していると、「分かったつもり」になっている場合がよくあります。
長い期間にわたって勉強しているにもかかわらず、
なかなか合格できない人は、この状態を疑ってみる必要があります。
特に難しい事柄に対しては「妥協」が生じるため、
知らず知らずのうちに「まあ、こんなもんでいいか」となってしまうのです。

例えば「空気塊の定圧比熱は定積比熱よりも値が大きい」という、
大気の熱力学における決まり事があります。
これを丸暗記しているだけでは、実戦であまり役に立ちません。
自分が本当に理解できているのか、それが明確に分かるのは、
ズバリ!本試験で問題が出されたときです。

・・・試験に出されてからでは遅いですね。年2回しか試験ありませんからね。
もっと早く気づく方法は? ハイ、あります。
それは、「なぜ空気塊の定圧比熱は定積比熱よりも値が大きいのか?」と、
他人から質問されたときなのです。

ここで納得させられるように回答できればOK!なのですが、
質問者は「分かりたい」と熱望していますから、
スッキリ納得できない部分については、容赦なく突いてきます。
「そもそも比熱って何だ?」「定圧比熱と定積比熱の違いは?」
「本には定容比熱って言葉も載っていたけど、どういうこと?」
これらに対してキチンと答えられないとき、
自分自身の勉強が中途半端であったことに気がつくのです。

私が初めて「教える側」に立ったのは、進学塾講師の仕事を始めたときでした。
「他人に教えねばならない」という立場に立って初めて気づいたのは、
「まず自分が分かっていないと教えられない」ということです。
まさかイイカゲンなことを教えるわけにもいきませんから、
教えねばならない部分については必死に勉強することになります。
それが結果的に「教える側」の試験勉強として役立つわけです。
常に「教え合う」という環境に身を置くことで、
勉強に対する妥協を減らすことができます。
そう考えると、教わって得をする「教えられる側」よりも、
「教える側」のほうがメリットが大きいとも言えるかも知れません。




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48、価値観は遣ったお金に表れる。
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以前に、ある気象予報士の方から話を聞いたとき、
そのお金の遣い方に驚いたことがあります。
酒・タバコには、ある程度のお金を遣うものの、
服装はいつも同じ・車は持たず・ギャンブルもやらず・・・という人で、
「給料のかなりの部分は残る」らしいのです。
そんな堅実な方がこっそり教えてくれた大盤振る舞いとは、
「気象衛星ひまわりの画像受信システム」を個人で購入されたことでした。

・・・ピンとこない読者もおられると思いますので、少し説明します。
「気象衛星ひまわりの画像」というのは、人工衛星が撮った「雲写真」のこと。
テレビの天気予報でお馴染みですね。
インターネットが非常に普及した今であれば、
世界中の気象衛星が撮影した写真をリアルタイムで入手できますが、
今から10年前以上昔であれば、それは非常に困難なことでした。
大学などの研究機関やテレビ局・気象会社など、
一部の限られた人だけが入手できる資料だったのです。

しかし、個人がリアルタイムで衛星画像を手に入れる方法もありました。
それが先ほどの「気象衛星ひまわりの画像受信システム」です。
衛星が撮影した写真は、電波によって地上に送信される仕組みになっており、
専用の受信設備があれば、個人でも電波を受信して画像を入手できるのです。

受信機器とパラボラアンテナなど一式で、約200万円!!
私も子供の頃から気象が好きで、天気図などを書いていた少年ですから、
分からないでもありませんが・・・、しかし驚きました。
クルマも200万円くらいするものがありますが、
気象衛星受信機は人を乗せて走りません。雲の写真が写るだけです。

よく「その人の友達を見ることによって、その人なりが分かる」と言いますが、
「その人が何にお金を遣っているか」というのも、
人物像を映す鏡であると思います。
200万円を衛星受信機につぎ込むことができるのは、
それだけ気象を愛しているということでもあり、カッコイイことです。

私の場合は「本」です。
単体としては安いものの、数が多いため、
合わせた金額はおそらく300万円にはなるのではと思います。
大学時代の4年間で約1000冊の本を読みましたが、その95%以上は買った本です。
チラシであれ、常に何かを読んでいないと落ち着かない性格を考えると、
私の価値観・人間性が、遣ったお金に表れていると言えます。

以前に、ある新聞記事で読んだのですが、
ある有名な気象キャスターさんは、気象予報士の資格を取るのに、
予備校の費用など、およそ100万円を遣われたそうです。
(私は独学でしたので、受験料を含めて10万円もかかりませんでした。)

100万円つぎ込んだから、気象予報士試験に合格するとは限りませんし、
100万円つぎ込んだから、気象キャスターになれるとは限りません。
しかし、この方が100万円を気象の勉強に遣わなければ、
おそらく全く別の人生を歩んでおられたのではないでしょうか。

皆さんは何にお金を多く遣っていますか?
強く意識することなく、自然にお金をつぎ込むことのできるものこそ、
最も自分が好きなものであるに違いありません。




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49、「気象」は、21世紀の必修科目だ!
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「地学の授業」や「気象予報士試験」ばかりが気象の勉強ではありません。
もちろん、単位や合格を目指して頑張ることも大切なことですが、
そういったものが無かったとしても、やはり私は天気の勉強をお勧めします。
「勉強をしておくと何かと得なことが多いですよ」と思うからです。

気象の勉強をする目的は何でしょうか?
「自分だけのオリジナル天気予報を作ってみよう」ではありません。
気象予報士制度が始まって、とかく「独自の予報」が着目されがちですが、
現在の天気予報は、全世界で観測した膨大なデータをもとにして、
スーパーコンピュータが計算して作っています。
観測網もスパコンも持っていない一個人が、
本当の意味での「独自の予報」を作ることは、不可能だと私は思っています。

私が気象の勉強をお勧めする目的は、勉強をすることによって、
「気象庁や気象会社が提供する情報を最大限に使いこなそう!」ということです。
気象の勉強をしたほうが、気象の情報の有用性が分かるので、
より的確に使うことができるのです。

例えば、携帯電話でウェブ画面を見る方がここ数年で増えましたが、
「雨雲レーダー」の画像をご覧になった方は、どれくらいおられるでしょう?
これを見ると、雨雲がどの地域にあるのかが一目で分かります。
最近の携帯電話の画面は解像度が良く、
数センチ四方の小さな画面でも鮮明に映るのです。
こういった情報を上手く活用できれば、雨に対して能動的な行動ができます。
例えば、「今、雨雲の隙間に入った。30分は止み間がありそうだから、
今のうちに外へ出て用事を済ませておこう。」といった具合です。

また、天気を知ることは「自分の命を守ること」でもあります。
これは決して大袈裟な表現ではありません。
登山で吹雪、海水浴で高波、ゴルフで雷、キャンプで夕立。
楽しいはずのレジャーが、一転して悲劇を生み出すことがあるのです。
確かに、現代の高度な予報技術を駆使しても、
「何時何分にどこで気象災害が起こるか?」を予測することは不可能です。
しかし「気象災害が起こる危険度がどの程度あるか?」については、
充分に予測することが可能になってきました。
気象の勉強をすることによって、
事前にどんな情報に着目すれば良いのかが分かるようになります。
的確な情報を正確な知識によって判断することで、
自分の命を守ることにつながるのです。

気象の勉強をし、1か月〜半年先までの長期予報を活用することで、
投資に役立つことがあるかも知れません。
小豆やトウモロコシといった商品先物相場において、
生産地の天候が値動きに影響することは大いにあるでしょう。
また、2005年にアメリカを襲ったハリケーン「カトリーナ」の影響で、
メキシコ湾岸のある製油所の稼働率が低下したことが、
原油高騰の一因になったとも言われています。

ネットで株式の売買を趣味にされている方であれば、
天候が業績に影響する企業が少なくないことに気づくでしょう。
猛暑であれば、エアコンやビールなどの売れ行きが良くなりますし、
厳冬であれば、石油業界の売り上げが伸びることでしょう。
平年より雨が少なく、晴天が続くことが多ければ、
レジャー施設の業績に良い結果を与えるように思えます。
長期予報については、まだまだ精度的には充分ではありませんが、
他の投資家があまり注目しない視点を持つことができるだけでも、
一歩リードすることになるかも知れません。

どんな情報であっても、それを的確に使いこなすためには、
それに関する勉強が必要です。
気象の勉強をすることで得られる対価は、
決して小さなものではないと私は考えています。
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50、東大入試より難しい? 〜一般知識試験の攻略法〜
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いきなりですが、まず次の問題をご覧下さい。
( )の中には、どんな言葉が入るでしょうか?

> 対流圏内で大気の大規模な運動を時間平均および帯状平均して模式的に表すと、
> 子午面で三細胞の循環が見えてくる。[中略]
> 赤道付近から上昇する循環は(a)循環といわれ、
> これは(b)風の駆動力となっている。
【平成12年度第2回気象予報士試験「一般知識・問10」から引用・一部改題】

来年1月の試験に向けて勉強に励んでおられる方ならば、
空欄に適切な用語を入れることは、それほど難しくはないはずです。
(a)ハドレー (b)貿易 ですね。
では、次の問題はいかがでしょうか?

> 大気の上端で入射する太陽放射と地球から宇宙へ放出される赤外放射は、
> 緯度約(A)度以下では入射の方が多くなっており、
> 大気や海洋はこの熱的不均衡を解消すべく地球規模の大循環を形成している。
> 低緯度では、赤道付近の熱帯(B)帯を中心とする積雲対流の活発域で上昇し、
> その極側の亜熱帯高気圧帯で下降する、いわゆる(C)循環が卓越している。
> (C)循環の上昇域には、亜熱帯から空気が流入している。
> この気流に地球自転による(D)が働くと、
> 風向きは東から西に向かう成分を持つ、いわゆる貿易風となる。

先ほどの問題と似た傾向が見られます。
(A)40 (B)収束 (C)ハドレー (D)コリオリの力 が正解ですね。
さて、過去問題を熱心に演習しておられる方でも、
この問題には出会ったのは、おそらく初めてではないでしょうか?
といいますのも、これは気象予報士試験の問題ではありません。

実は東京大学の入試問題なのです。【1998年・理科前期「地学」から引用】
気象予報士試験の勉強を熱心にしておられる方なら、
「意外に簡単だな」と感じられたはずです。
上記の問題も実際には4つの選択肢から選ぶ形式になっていますので、
難易度はもう少し低くなるかと思います。
(「地学」の試験は気象だけでなく、天文や地質などの問題も出ます。)

「お天気お姉さんになるための切符」として、
認識されることの多い気象予報士資格ですが、
その試験内容は、大学入試問題のレベルを上回るものもあり、
生半可な勉強では間違いなく挫折してしまうことでしょう。
大学入試に取り組むくらいの気合いが必要ではないかと思っています。

また、いわゆる「お天気マニア」であることは、
一般知識試験での成績にまず関係がないと言って良いでしょう。
NHKラジオの気象通報を聴いて天気図を何枚書こうと、
日本各地の気象記録をいくら詳しく記憶していようと、
そういった技能や知識は、一般知識試験でほとんど問われないからです。
(専門知識試験や実技試験では、ある程度役に立つと思います。)

一般知識試験について言えば、高校で理系だった人が有利なのは明らかです。
特に「物理」「数学」を一生懸命に勉強した方なら、
勉強しなかった人に比べると、習得速度にかなりの違いが出ると思います。
一般知識試験では基礎的な気象学に関する問題が数多く出ますが、
気象学を理解するには、ある程度の物理や数学の知識が必要になるからです。

このように書くと、長らく理系科目から遠い位置にあった方は、
「では過去の試験を全て丸暗記してしまおう」と思われるかも知れません。
しかし、それは労多くして功少ないやり方と言わざるを得ません。
今まで26回の試験が行われ、一般知識試験だけで400問近い出題がありました。
それだけの問題をどうやって暗記すれば良いのでしょう?
また、いくら苦労したとしても「丸暗記」は「丸暗記」に過ぎません。
少しでも出題パターンを変えられたら、それで終わりです。

勉強が面白いと感じるのは、内容が理解できたときです。
一つ理解できたことによって、一つ面白いと感じます。
これが次の勉強への原動力となるのです。
しっかりと勉強時間を確保し、この好循環を作り出すことができれば、
文系初学者が半年で「一般知識合格レベル」に達することは、
決して困難なことではないと私は考えています。




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51、最新情報を押さえよ 〜専門知識試験の攻略法〜
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専門知識試験が一般知識試験と異なるのは、
技術革新や制度変更に伴って、問題が若干変化することです。
例えば、1996年に出題された問題(平成7年度第2回)では、
15問のうち3問に、すでに現在の業務と合っていない部分が見られます。

気象予報士試験に出題される基礎的な気象学は、
すでに学説として定着したものばかりでしょうから、
それを根底から覆す新説が登場することは、・・・まあ無いと思います。

しかし、気象庁が行っている気象業務はどんどん変化します。
毎年、どこかの部分で技術革新が行われているのです。
具体的に思いつくままに挙げてみます。

*レーウィン観測の廃止(2004年)
*気象ロケット観測の廃止(2001年)
*気象衛星観測において3.8μm帯画像の提供を開始(2005年)
*気象レーダーのドップラー化(2006年〜)
*非静力学モデルの運用を開始(2004年)
*台風の図表示を変更(2007年予定)
*ウィンドプロファイラ観測業務を開始(2001年)
*アンサンブル台風予報を開始(2007年度予定)
*領域モデル・台風モデルの運用を廃止(2007年度予定)

挙げたのは一部ですが、ここ数年だけでも、
かなりの変更が生じていることがお分かりいただけると思います。

一般知識試験の勉強、つまり基礎的な気象学を学ぶためなら、
10年前の本でも、大きな問題はないでしょう。
しかし、専門知識試験の対策として使う書籍は、
3年前に発行されたものでも、かなり訂正箇所が出てしまいます。
ですから、専門知識試験の勉強をされるうえで大切なのは、
なるべく新しい書籍を使うことが大切です。

また、書籍の場合はどうしてもタイムラグが生じますから、
予報業務の更新など最新の情報については、
気象庁のホームページを確認しておくと安心です。
「報道発表資料」という部分で公開されています。
試験対策のためであれば、これで問題ないはずです。

気象庁が毎年発行している『気象業務はいま』という書籍や、
財団法人気象業務支援センターが発行している書籍などを見れば、
近い将来に予定している技術革新などの情報も入手できます。
もし、ご興味のある方はご覧下さい。




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52、苦手だと感じるものに挑戦してみる。
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「趣味は何ですか?」と聞かれると、「本を買うことです」とよく言います。
買うくらいですから、読むほうも好きなのですが、
10冊買って、最後まで読み通す本は半分程度だったりします。

ですから、私の本棚を覗いてみると、
『ユリシーズ』『古事記』『アンナ・カレーニナ』『国富論』などが、
本棚の肥やしになったまま、背表紙が色あせかけています・・・。

「面白そうだ」と思って買うわけですが、
実際にページをめくってみると、これが難しい。
『ユリシーズ』なんて訳注だけで200ページもあるんです。
・・・本が届いた当日に挫折しました。

よく思い出してみると、私の読書ジャンルはもっぱらノンフィクション系で、
文学作品をまともに読了できたことがほとんど無いことに気づきました。
今まで読み終えられた作品は、武者小路実篤『友情』(高校時代に読んだ)と、
サマセット=モームの短編集(大学時代に読んだ)だけのような?
いずれも短いものだったから、読了できたのかも知れません。

学生時代のように、読書感想文のために無理やり読む必要もないのですから、
別に「読みやすい本」だけ手を付けていれば全く構わないのです。
でも、「多くの人が感銘を受けた名作」を知っておいても損はないだろう、
いや、その感銘をぜひとも味わってみたい!と思うのですね。

それが(読めもしない)本を買い続ける理由でもあったのですが、
昨年秋から決心して、ある作品に挑戦することにしました。

    ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』

上巻・中巻・下巻ともに600ページを超える大作です。
逆上がりのできない子供が、大車輪に挑戦するような気がしました。
これまで『罪と罰』『悪霊』に挫折していたのにも関わらず、
ネット上での「凄い!」「深い!」「最高!」という各書評、
そして新潮文庫の裏表紙に書かれた「世界文学屈指の名作」。
・・・また買ってしまいました。

買ったからには読み終えて、私も「最高!」と感じたい!
しかし、読み始めると、早速にも壁が立ちはだかりました。
ロシア人の名前は長くて覚えにくいゆえ、呼び方が時々変化するのです。
(例えば、「ドミートリィ」と「ミーチャ」は同一人物。)
私は何とか挫折しないよう、意味が分からなくなってきたときは、
ページを戻って読み返すように心がけたり、
作品の概要を紹介したホームページを見たりしながら、読み進めていきました。

あれから2か月あまり。
私の手元には読み終えた上巻と中巻、そして読み始めた下巻があります。
「最高!」と感じるほど、読み込めているわけではありませんが、
とりあえず内容を把握し、ここまで辿り着くことができました。
最後まで読むのは、まだ時間がかかりそうですが、
「本を買うだけ」の悪癖に、ストップをかけることができそうです。

読者の中には毎年、「今年こそは本格的に勉強を始めるぞ!」と誓いながらも、
仕事や他の学業のために、後回しになってしまっている方も、
きっとおられることでしょう。
初学者の方が過去問題集を紐解いたときに感じる拒否反応は、
きっと私がロシア文学を開いたときに感じたものよりも強烈だと思います。
しかし、適切な方法で勉強を進めていくことができれば、
決して手の付けられないような試験ではありません。
2007年は始まったばかりです。
年末に「勉強を始めて良かった!」と思える人が増えることを祈っています。




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53、半年後の試験に備えて
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【それぞれの学科試験の正答数が8以下だった方へ】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
自己採点で15問中の正答数が8問以下であれば、
その科目の勉強を基礎からやり直すことを強くお勧めします。
学科試験は5つの選択肢から答える問題ですから、
デタラメに答えても3問は正解する確率になります。
それを考慮すると、正答数が7〜8問というのは、
実質的にその科目において3分の1程度しか理解できていない、
という可能性が高いと言えるのです。
基礎をしっかり復習したうえで、過去問題に取り掛かりましょう。
次回8月の試験で、少なくとも「一般か専門のどちらかに合格」を
目標とされるのが良いでしょう。
次の試験において、また全て不合格であれば、
気象予報士を目指すモチベーションが維持できなくなる可能性もあります。
逆に一つでも合格すると、気持ちに弾みが付いてきます。


【それぞれの学科試験の正答数が9〜10だった方へ】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
特に正答数が10だった方は大変悔しい思いをされたかと思います。
学科試験に合格すると、その科目の受験は一年間免除されますから、
実技試験など他の科目に集中することができ、とても有利なのです。
ですから、学科試験を攻略する姿勢としては11問正解を目指すのではなく、
余裕で合格できる13問正解あたりを目指していけば良いかと思います。
そうすれば、つまらないミスや勘違いなどがあっても、
まず、合格圏から外れる心配はないでしょう。
正答数が9〜10だった方は、科目内のいくつかの単元が、
まだ合格レベルに達していなかったことが考えられます。
必要であれば基礎から、基礎がすでに固まっている方の場合は、
過去問題の演習に励んで下さい。
少なくとも、過去10回分の過去問題は丁寧に演習することをお勧めします。


【学科試験に合格し、これから実技を初めて勉強する方へ】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
両方の学科試験に合格された方は、次の試験まで実技の勉強に集中できます。
ただ、初めて実技試験の勉強をされる場合、
見慣れない予報資料を目の前にして、面食らうことがあるかも知れません。
実技試験では、天気図(地上or高層・実況or予想)だけでなく、
レーダー・衛星画像・アメダス・エマグラムなどの資料も出てきます。
それらの資料から「何を読み取れば良いのか」を勉強するのが、
実技試験では大切であると言って良いでしょう。
まずは基本的な資料の見方をしっかり学ぶことが必要です。


【実技試験に挑戦中の方へ】
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実技試験で合格圏に達しない理由として2つが挙げられます。
 1,問題の意図を充分に読み取れていない。
 2,問題の意図や答えるべきことも思い浮かぶが、上手く文章にできない。
実技試験では起こりうる気象状況を頭に入れておく必要があります。
例えば、「山に向かって湿った空気が吹くとどうなるか?」といったことです。
それから、日本周辺を支配する気圧配置についても、
十分に理解しておかねばなりません。(冬型・夏型・台風・梅雨など)
これらの知識が不足していると、問題文を目にしてもピンと来ないわけです。
勉強がある程度進むと、2の状態になるのですが、
これを解決するには、過去問題演習が最も効果的だと私は考えます。
実技試験の記述問題の解答を初めて見てみますと、
自分では真似できない独特の文章のように映ります。
これに慣れ、自分でも同じような文章を書くためには、
問題と解答を丁寧に合わせていく勉強が良いでしょう。
私自身、解答の文章をノートに書き写す勉強をしたこともあります。
こうすることによって、要点を的確に書き綴る練習になったように思います。
なお、解答文を暗記してもあまり意味はありません。
思考法を理解することが大事だとお考え下さい。


試験後はどうしても気持ちが緩みますが、
1月の試験から8月の試験までは期間が長いため、
実力を大きく伸ばせるチャンスでもあるのです。
今回の試験で惨敗した方も、8月で飛躍できる可能性が大いにあります。
早く気持ちを切り替えることができれば、
そのぶんだけ、長く勉強時間を確保できることになるかと思います。




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54、合格を諦めない。
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私は気象予報士試験の講師という立場ではありますが、
「いったん気象予報士を目指したからには、何が何でも合格するまで頑張れ!」
と言うつもりは全くありません。

人生には楽しいことがいろいろあります。
その中の一つに「資格を取得してステップアップを目指す」というのがあり、
さらに数ある資格の一つが「気象予報士」なのです。
長くて100年の人生において、私たちは無数の選択肢から、
ごく限られたものだけを選んで生きているわけです。

ですから、「気象予報士試験に合格すること」は、
全ての人がクリアしなければならない目標でも何でもありません。
「何としても受かりたい」と思う方だけが挑戦すれば良いのであって、
他の分野に強い興味が移ったのなら、それを追求すべきです。
「気象予報士試験はやめて、行政書士試験に挑戦しよう」でも、
「資格試験はやめて、旅行でも行こう」でも良いではありませんか。

しかし、「気象予報士になりたい」という望みを強く抱きつつも、
「試験が上手くいかないから」というだけの理由で撤退するのは、
何とも勿体ないことだと思います。
何もかも捨てて、5年も10年も勉強しなければならない試験ではなく、
しかも一度合格してしまえば、一生涯にわたって有効な資格です。

気象予報士試験は、学科と実技に大きく分類できますが、
最初はとにかく学科試験に合格することだけを考えて勉強して下さい。
実技試験の勉強は、学科試験のどちらかに合格してからで良いと思います。

学科試験に合格すると、1年間はその科目の受験が免除になりますから、
免除が有効である間に完全合格を目指しましょう。
例えば、今回(2007年1月)の試験で一般知識試験だけ合格した方は、
次々回(2008年1月)までの完全合格を心に誓うのです。

そのためには、次回(2007年8月)での専門知識試験合格は、
どうしても譲れない絶対的な目標となります。
ここで専門知識試験に合格しておけば、
2007年9月以降は、実技試験対策に全力を注ぎ込むことができます。

また、実技試験の勉強は今からスタートするべきです。
次回試験で専門知識に合格してから実技の勉強を始めていたのでは、
明らかに時間不足だからです。
つまり、専門知識試験の勉強をメインにしつつ、
実技の基礎的な勉強を始めていくことを、課題にするのが良いでしょう。

何度も不合格を繰り返している方は、
悪い意味で「慣れて」しまっている恐れがあります。
惰性で試験を受けて「ああ、今回もダメだった」では、
時間も受験料も無駄になるだけです。
「昔、気象キャスターを目指して、ずっと予報士試験受けてたんだけど、
 試験が難しくて結局あきらめてしまったよ。」
これでは、なんとも悲しい話ではありませんか。
本当に気象予報士になりたいのなら、本気になるしかありません。




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55、学科合格なくして完全合格なし
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前回に発行したメルマガにおいて、私は次のようなことを書きました。

> 最初はとにかく学科試験に合格することだけを考えて勉強して下さい。
> 実技試験の勉強は、学科試験のどちらかに合格してからで良いと思います。

学科試験の勉強がいかに大切であるかを伝えたかったのですが、
今回はそれを裏付ける資料分析をご紹介したいと思います。

財団法人気象業務支援センターのホームページには、
合格者の受験番号が公開されていますが、
これを見ていますと、興味深いことに気がつきます。

ここからは、あくまでも私の推測ですので、
そのつもりでお読みいただきたいのですが、
6桁の受験番号を分析してみると、次のようなことが読み取れます。

最も左にある数字は、受験地を表しています。
1:札幌、2:仙台、3:東京・・・という具合です。

その右にある数字は、受験者によって「0・1・2・3」という、
4種類に分かれているのですが、
私の推測によると、おそらく次のような分類ではないかと考えています。

0:学科試験の免除が全くない
1:専門知識試験のみ受験免除
2:一般知識試験のみ受験免除
3:一般知識試験・専門知識試験とも受験免除

その視点で、今回の試験で合格された294人を分類してみますと、
次のような分布となりました。
(それぞれの値を四捨五入しているため、合計は100%になりません。)

0:18%
1:12%
2:20%
3:51%

ダントツで合格者が多いのは、一般も専門もクリアした受験生です。
今回の試験全体の合格率は6.3%ですが、
両方の学科試験に合格した受験生に限った場合、
その値は非常に大きくなるはずです。
これらのデータは公表されていませんので、推測の域を出ませんが、
受験番号の並び具合などを見ると、25%程度ではないかと思われます。
逆に言うと、学科試験に合格していない受験生の合格率は、
地を這うほどに低い数字であると考えられるのです。

学科試験合格者の完全合格率がこれほどに高い理由として、
次のようなことが挙げられます。

・実技試験に必要な基礎学力が充分に備わっている。→だから学科合格
・受験勉強において、実技試験のみに全力を注ぐことができる。

前号のメルマガで書きましたように、
最初は学科試験合格に全力を注ぐことがいかに大事か、
そして、学科試験に合格すれば完全合格は確実に近づく、
ということがお分かりいただけるかと思います。

今回の試験では、久々に合格率が6%を上回りましたが、
それでも9割以上の受験生が残念・・・という事実に変わりはありません。
学科試験にも合格できていないのにかかわらず、
「実技試験が分からなかった。これをどうすれば良いか。」
などと分析しているようでは、気象予報士試験を攻略することはできません。
学科試験(特に一般知識)の勉強を決してオロソカにするべきではないのです。




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56、【特別対談】私たちはこうして気象予報士になった。(SnowDropさんとの対談)
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【SnowDropさんプロフィール】 
Webページ「SnowDrop〜独学で気象予報士を目指せ〜」
管理人
無料メールマガジン「〜独学で気象予報士を目指せ〜1日1問模擬テスト」発行人
1981年 新潟県生まれ。
2002年 地元の高専を卒業後、そのまま専攻課程へ進学。
ヒートアイランド現象の研究に携わり、土木学会より学会賞を受賞。
2004年 気象予報士試験に合格。
2005年 Webページ「SnowDrop〜独学で気象予報士を目指せ〜」を開設し、
独学で気象予報士試験に挑戦する人々を応援し続けている。
現在は、地元の建設コンサルタント会社に勤務する傍ら、
土木と気象のさらなる融合を目指して奮闘中である。



【1,どのくらいの勉強量で気象予報士試験に合格できたのか?】
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Snow:私が勉強を始めたのが2003年の7月頃からです。
   1日平均約1時間の勉強をして、2003年冬の試験を受けました。
藤田:結果はどうでしたか?
Snow:学科の一般知識のみ合格でした。他は玉砕です・・・(笑)
藤田:上出来じゃないですか。私が最初に受験したときは、
   全部落ちましたからね。(笑)
Snow:次こそは!!と思い2004年夏の試験に向け、
   平日の勉強時間は1日平均約1時間なのですが、
   休日に4時間くらい狂ったようにしていた記憶があります。
   一般知識の方は前回の試験で合格して免除になっているし、
   実技の勉強もかなりやっていたので、これはいける!!と思ったのですが、
   残念ながら学科の専門知識で合格ラインに達せず、
   実技試験は採点さえしてもらえませんでした。
   この試験の直後、私は目の前の壁のあまりの高さに少し鬱ぎみになり、
   3ヶ月間くらい全く勉強しませんでした・・・。
   ただ飲み会はよくしていましたが(笑)
藤田:ああ、分かる、分かる。
   「もう自分は一生合格できないんじゃないだろうか〜」って
   思ってしまうんですよね。
Snow:そうなんですよー。
   でもここで諦めたら今まで使った参考書代と受験費用がもったいない、
   と思い再起しました!!
   そして最後の力を振り絞り2004年冬の試験に向け、
   1日平均約3時間の鬼のようなスパルタ勉強を決行しました。
   その結果、めでたく合格することができました。
藤田:受験勉強中の「飲み会」が良かったんじゃないですか?
   と言いますのも、大切なのは「スパルタ勉強」を長期間続けることが
   できるかなんですよね。
   いくら奮起しても、それが一時的なものであっては、
   この試験を突破することなどできないわけです。
   そのためには、ちょっとした息抜きも大事だと思うんですよ。
   頑張り続けるための「充電」って大事ですよね。
   もっとも、それが長くなりすぎて、
   「放電」になってしまってはダメなんですが。(笑)


2,【二人が合格まで勉強を続けられた原動力とは?】
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Snow:私の原動力は一言に尽きます。「気象が好きだからです。」
藤田:それはお互いそうでしょうね。好きでないと勉強は続けられない。
Snow:いつもこんなに身近にあるのに気まぐれで未知なものって、
   他には無いと思います。とても魅力的です。
藤田:昔、朝焼けの写真を撮ることが好きだったのですが、
   同じ晴れた日の朝であっても、
   日によって空の色が違うことに気づきました。
Snow:朝焼けですか。すごく幻想的ですよね。
   藤田さんにとってはそれが原動力になったのですか?
藤田:いいえそれだけではありません。
   私の場合は「どうしても17歳のうちに合格したい!」
   というこだわりもありましたね。
   といいますのも、第4回気象予報士試験において、
   17歳で合格した方が話題になっていたのです。
Snow:・・・もしかして、その方は?
藤田:お察しのとおり、アカペラボーカリスト「RAG FAIR」の奥村政佳君です。
   ですから、私も何とか17歳のうちに合格したかったんですよ。
   私が合格したのは第5回気象予報士試験で、そのときの年齢は17歳11か月。
   本当にギリギリでした。
Snow:奥村さんのことはニュース番組でも話題になったことを覚えていますが、
   すると、藤田さんもいろいろ取材が殺到したんですか?
藤田:全くなし・・・。(笑)
   だからこそ、「一度テレビに出てみたいものだ」
   という思いが強まったのかも知れません。


【3,一人で勉強を続けるうえで大変だったことは何か?】
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藤田:私が気象予報士試験に挑戦しようと思い立ったのは、1994年の秋でした。
Snow:ちょうど初めての試験が実施されて間もない頃ですね。
藤田:そうです。今でこそ書店には「試験対策本」が、
   ずらりと並んでいますけれども、当時は非常に少なかったのです。
   東京堂出版から出ていた『天気予報の技術』を手に入れましたが、
   その内容の難しさには、本当に頭を悩ませました。
   分からない用語を調べるために、1万円くらいする事典も買ったのですが、
   調べた先に出てくる文章の中にも、分からない用語が・・・(笑)。
   「質問をしようにも相手がいない」という状況には参りましたね。
   仕方がありませんから、
   何度も何度も本を繰り返して読んだ記憶があります。
   そうすると、少しずつですが内容が分かってきました。
Snow:私も周りに気象予報士がいなかったため、
   一人で勉強することはもちろん大変でしたが、
   それよりも気象予報士試験を受験できる最低限の環境を
   つくることが大変だったのを覚えています。
藤田:といいますと、具体的にどういったことですか?
Snow:私が気象予報士試験を受けようと思ったのは、2003年の夏です。
   当時の私は20歳の貧乏学生でした。
   奨学金を少しだけ借りていましたが、親からの仕送りが全く無い状態で、
   食費・アパート代などの生活費すべてを賄わなければならず、
   アルバイトをする毎日でした。
藤田:それは大変な状況だったのですね。
   学費だけでも結構高いのではないですか?
Snow:学費は学校側に免除申請が認められたため、
   払わなくて良かったのはせめてもの救いでした。
   そんな過酷な貧乏生活の中で私が苦労したのは、
   価格の高い参考書を買うお金と高い受験料です。
藤田:気象関係の本って、一般の書籍に比べると高いですよね。
Snow:まぁ私の場合は中古のものばかりでしたが・・・(泣)。
   それと新潟県は受験地ではないので、
   一番近い受験地である東京までの交通費も洒落になりません。
藤田:まさに「身銭を切って」気象予報士試験に臨まれたのですね。
   受験料も学生にとっては決して安い値段ではありませんし。
   でも、それが「早く合格しなければ」という
   原動力につながったのだと思いますよ。


【4,気象予報士になってから、資格をどんなことに活かせているか?】
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藤田:私は17歳のときに試験に合格した後、縁あって大阪のテレビ局で、
   気象キャスターとしての仕事を始めることができました。
   そのときの年齢が20歳、大学2年生でした。
   調べたわけではありませんが、
   男性で気象キャスターの仕事に就いた人間としては、
   最も若かったのではないでしょうか。
   まして、私はタレントの素質も全くなかったわけですから、
   こういった仕事に就けたのは、
   気象予報士という資格のおかげだと思います。
Snow:現役の大学生のときに、キャスターとしてデビューされたのですね。
   大学を卒業された後はどうされたのですか?
藤田:ウェザーニューズという民間気象会社に入社しました。
   学生時代はキャスターの仕事だけでしたが、
   ウェザーニューズの社員になってからは、放送局における天気予報全般、
   つまり、アナウンサーが読む原稿を書く仕事なども行いました。
Snow:すごいですねー。文章力の無い私には到底できそうもありません。
   私の場合、直接的に資格は活かせていません。
   というよりも活かす努力をしていません。
   でも気象の知識そのものは仕事に活かせています。
藤田:SnowDropさんは、今どんなお仕事をされているのですか?
Snow:私の本業は道路などの土木構造物の設計の仕事です。
藤田:気象とは全く関係のないようなイメージですね。
Snow:意外にそうでもないんです。
   例えば、道路を設計するには雨水処理が非常に重要になってきます。
藤田:ああ、確かに雨水がたまりやすい道路ではスリップしやすいですよね。
Snow:少し、簡略化した説明になりますが、
   その道路がある地域の降雨特性等によって、
   側溝の規格や勾配、道路を横断する埋設管の大きさが決まります。
   まさに気象条件を踏まえた道路設計です。
   気象を勉強しなくてもこのあたりは技術者であれば、
   無難にできると思いますが、
   一歩進んだ理解をして設計をするとより良いものができると信じています。


【5,お勧めしたい参考書】
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Snow:私のホームページでも紹介済みですが、
   その中でも、『一般気象学』(東京大学出版会)は、
   絶対に購入しておいたほうが良いと思います。
藤田:小倉義光先生のご著書ですね。私も受験するときに購入しました。
   今は改訂版が出ていてさらにパワーアップしていますね。
Snow:「気象予報士塾」の講師という視点から見て、この本はいかがですか?
藤田:この本の素晴らしいところは、
   初歩的な気象学をとても丁寧に解説してあることです。
   講師になってからも、蛍光ペンで線を引いて読んでいますよ。
Snow:まさに気象のバイブル的な書籍ですね。
藤田:私は著者の小倉先生にサインしていただきましたよ。(笑)
   ただし、この本は「気象予報士試験対策本」として、
   出版されたものではないですから、
   例えば、一般知識試験の「気象法規」や専門知識試験の範囲は、
   他の書籍で勉強する必要がありますね。
   あと、特に初めて気象を学ぶ方にとって、
   『一般気象学』は難しすぎる部分もあります。
   途中で挫折しないためにも、ナツメ社から出ている、
   『気象予報士試験 徹底攻略テキスト 改訂第2版』で、
   勉強されるのも良いかと思います。
Snow:それは言えてますねー。
   初めて気象を学ぶ人には、俗に「試験対策本」と言われるもので、
   かつ図や写真が多く載っているものをお勧めします。

SnowDropお勧め本→http://www16.plala.or.jp/SnowDrop/sankousyo.html
藤田真司お勧め本→http://rojiura.jp/w-book.htm


【6,防災士を取得した理由】
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藤田:SnowDropさんは気象予報士のほかに、
   「防災士」という資格を持っておられますね。
   この資格を取られたのはどうしてですか?
Snow:私が防災士を取得した理由は、気象予報士としての義務感からです。
   私は過去に7.13水害や新潟県中越地震などの様々な災害を経験しました。
藤田:両方とも、2004年に発生した大きな自然災害でしたね。
Snow:そうです。おまけにその年の冬には豪雪災害も起きました・・・。
   これらの経験で、私自身の防災の知識がゼロであることに気づいたんです。
   気象災害が多い現代に、気象予報士が防災の知識を持ち合わせていない
   ことに矛盾を感じたため取得しました。
   まぁ正直なところ、取得したことに若干の後悔はありますが・・・。


【7,将来の夢について】
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Snow:私の将来の夢は起業することです。
   どんなに小さな会社でも構いませんが、
   気象と何か他の分野を組み合わせた形の業務をしたいと考えています。
   日本は平成5年に気象業務法が改正され、気象業務が自由化されました。
   その時、大手のシンクタンクでは、
   日本の気象業界は躍進すると言われていました。
藤田:「気象ビジネスは1000億円規模に達する!」
   と言われていたことを思い出します。
Snow:しかし、実際はどうでしょう?
藤田:私が奉職していた株式会社ウェザーニューズは、
   東証一部上場を果たしましたが、業界全体として見るならば、
   まだまだ民間気象会社は伸び悩んでいますよね。
Snow:そうですね。黒字経営のところなんか
   本当に数えるほどしかないんじゃないでしょうか?
   日本では気象情報が無料のものだという認識が蔓延しているので、
   もう気象情報の提供のみでコンスタントな利益をあげていくのは
   無理だと思います。
   気象分野以外の何か付加価値をつけなければならないと思います。
藤田:花粉症の方が「スギ花粉の飛散予報」という情報を重視するように、
   気象をベースにした総合的な情報が求められているわけですね。
Snow:7年前位からいろんなアイデアは蓄積してきましたが、
   もう少し時代を見据えて、
   「チャンス」があれば起業したいなと思っています。
   気象業界で一緒に戦う戦友も見つけなければなりませんし。
藤田:私にできることがあれば、ぜひ協力させて下さいよ。
Snow:そのときは宜しく!




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57、新しい予報用語を学ぶ
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2007年3月29日に、気象庁から「予報用語」についての改正が行われました。
本来の目的は天気予報をより適切に利用するためのものですが、
気象予報士試験受験にも役立つ情報が載っています。
印刷してファイルにまとめておく価値があると思います。
http://www.jma.go.jp/jma/press/0703/29b/yougo_henkou.pdf

「新しく追加される用語(P,22〜31)」の中から、
試験勉強の上で、私が特に大事だと思った用語を挙げてみます。
(カッコ内の数字は『予報用語改正』のページ)

 ◎マクロバースト・マイクロバースト(P,22)
  積乱雲の下で起こる強い下降気流のことを「ダウンバースト」といいますが、
  その規模の大きさによって、2つの用語を使い分けます。

 ◎藤田スケール(P,23〜24)
  2006年は北海道佐呂間町をはじめ、各地で竜巻による被害が相次ぎました。
  この用語は竜巻などの強い風の尺度として使用されています。
  気象学者の藤田哲也博士が1971年に考案したもので、
  強度に応じて、F0〜F5の6段階に分けられています。

 ◎吹き寄せ効果・吸い上げ効果(P,24)
  台風などに伴って発生する高潮の原因はこの2つです。
  専門知識試験だけでなく、実技試験でもこの知識は必要です。

 ◎猛暑日(P,25)
  新しく作られた用語で、定義は「日最高気温が35度以上の日」です。
  「夏日(同25度以上)」「真夏日(同30度以上)」に加えて、
  暑さを示す指標として使用されることになります。

 ◎落雪(P,26)
  雪解けが進んだときに起こりやすい現象として、
  「なだれ(P,26)」「融雪(P,26)」に加えて、この用語が追加されました。
  特に雪の少ない地方にお住まいの方は、
  雪害については意識して勉強しておかれることをお勧めします。

 ◎ウィンドプロファイラ(P,27)
  試験においては用語そのものよりも、資料を読み取ることが大切です。
  ウィンドプロファイラが観測したデータは、
  専門知識試験だけでなく、実技試験においても問題が出ています。

また、今回の予報用語改正では、
「名称や説明などを変更した用語」も掲載されています。
全体として、用語の説明がより分かりやすくなっています。
例えば、「気圧」を簡単に説明できますか?
気象学の基本となる部分ですが、これが案外難しいですね。(P,2をご覧下さい。)

それから、「削除する用語」も掲載されています。
気象庁部内で使用する専門的な用語であることなどが、
削除の理由として書かれていますが、
気象予報士試験で不要というわけではありませんので、ご注意を。
「寒冷低気圧(P,31)」「ドライスロット(P,32)」「波状雲(P,32)」など、
試験でよく登場する用語が集まっています。
この部分もしっかり勉強しておかれることをお勧めします。




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58、秘術? 学科試験免除期間を延長する方法
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ご承知のとおり、気象予報士試験には、
「学科試験(一般・専門)」と「実技試験」があり、
学科試験のいずれかまたは両方に合格した場合は、
その試験の受験が1年間(次回と次々回)免除されるシステムになっています。

ただし、これは「申請を行って免除してもらう」のであって、
「受験を禁止されている」のではないのです。
具体的に申し上げますと、例えば第27回試験で一般知識試験に合格しても、
第28回試験・第29回試験で一般知識試験を受けることは可能なんです。

「免除申請ができるにもかかわらず、
 そんなことを行うメリットはどこにあるのか?」
と思われるかも知れませんが、
再び合格すれば、免除期間を延長できるのです。

先ほどの例を続ければ、第28回でも一般知識試験に合格すれば、
免除期間は第29回試験・第30回試験と伸びることになります。
免除期間が延びることによって、他の科目の勉強に集中できるわけです。

ただし、このやり方にはデメリットがあることも知っておく必要があります。
再び先ほどの例を用いて説明しますが、
一般知識試験の免除申請ができるにもかかわらず、
第28回試験で一般知識試験を受験し不合格だった場合は、
その時点で不合格が確定するということです。

つまり、もし他の試験(専門知識・実技)が合格ラインに到達していても、
一般知識試験を受けて不合格になってしまったばかりに、
(免除申請を行っていれば完全合格していたにもかかわらず!)
泣きを見ることになります・・・。

要は出願の際に免除申請を行わなければ、
試験実施者(財団法人気象業務支援センター)は、
その受験生を「受験免除者」とは見なさないわけです。

ちなみに、免除申請を行わずに受験して失敗しても、
「免除申請権」そのものが消失するわけではありません。
下の流れでご確認下さい。

1,第27回試験で一般知識試験に合格した
       ↓
2,第28回試験で免除申請を行わずに受験して失敗した
       ↓
3,第29回試験では免除申請を行って受験した。

今回の記事は、財団法人気象業務支援センター試験部に取材して作成しました。




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59、実技試験での計算問題
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実技試験における計算問題は、以前によく出されていましたが、
最近の出題頻度は極めて低くなっています。
これまでの計算問題の出題回数をまとめると次のようになります。

  *平成10年度までの出題回数(試験実施回数11回)・・・14回
  *平成11年度以降の出題回数(試験実施回数16回)・・・6回
(平成18年度第2回試験まで。ごく簡単な四則演算は除外してあります。)

明らかに出題傾向が変化していることが一目瞭然です。
しかも、単に出題回数が減っただけでなく、難易度も低くなっているのです。
平成11年度以降に出題された計算問題の内訳は次の通りです。

 ・上昇流hPa/h→m/sへの変換・・・100hPa=約1000mに気づけば簡単
 ・ノット(kt)→km/hへの変換・・ごく基本的な法則を覚えておくだけ
 ・擾乱の移動速度の算出・・・・・緯度10度=約1100kmを利用する
 ・相対湿度の算出・・・・・・・・一般知識「大気の熱力学」の基礎的事項
 ・海面上昇幅の算出・・・・・・・「1hPaで1cmの海面上昇」の鉄則を使う
 ・気温減率の計算・・・・・・・・気温減率の意味が分ければ、ただの割り算

かつては、さまざまな種類の計算問題が出題されていました。
中には、公式を覚えていなければ、
限られた時間で答えるのが困難と思われる問題も出されていたのです。

 ・地衡風・傾度風の計算
 ・海面上昇幅の算出
 ・擾乱・強雨域の移動速度の算出
 ・可降水量の計算
 ・水平方向の発散量・収束量の算出
 ・上昇流hPa/h→m/sへの変換
 ・水平方向の温度移流量の算出
 ・相当温位の計算

ここまで出題傾向が変化した以上、
もはや実技試験において計算問題は主たる課題ではないと考えるべきでしょう。
最近7〜8年に出題された実技試験での計算問題は、
学科試験で合格できる実力があれば、
ほとんど特別な対策を必要としないと私は考えます。
つまり、計算問題よりも取り組むべき課題が数多くあるということです。




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60、睡眠時間を削って勉強するのは有効か?
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資格を取得するために勉強する人というのは総じて努力家です。
「勉強をしないと怒られる」といった学校の勉強と異なり、
本人の意志が大きな原動力になっているからです。
特に気象予報士という資格は、その傾向が特に強いと言えるでしょう。
誰かに強制されたわけでもないのに、
レベルアップを目指して勉強を続けるというのは、
非常にエネルギーのいることです。

また、気象予報士試験の受験生は、司法書士試験や公認会計士試験などと比べ、
試験勉強のみに1日を費やす人が少ない資格だと思われます。
司法書士や公認会計士ほど難易度が高くないことが、
仕事や他の勉強との「兼業」を可能にしていると言えるでしょう。
しかし、現実問題として、それは決して楽なことではありません。

受験生の中には、勉強時間を捻出するために、
寝る時間を削っている方もおられることでしょう。
しかし、私は睡眠時間を大幅に短縮することに対し、否定的です。
これは私自身の経験に基づいています。

10代後半〜20代前半の私は、睡眠を削ることに非常な努力を傾けていました。
若者にありがちな発想でしょうが、「寝る時間が惜しい」と感じていたのです。
そこで、1日の睡眠時間を4〜5時間にすることを目標にしました。
こういった生活をしていた時期は、高校時代(野球部と試験勉強)、
大学時代(テレビ出演と進学塾講師)とちょうど重なります。

当時の生活というのは、例えばこんな感じでした。
「○○さん、今度一緒にメシでも行きましょう。
 えーと、その日は午前3時にテレビ局入りしないとダメなんで、
 午前1時〜午前3時なんてどうですか? では、当日はよろしく〜!」
そんな真夜中に食事に付き合ってくれた友人も友人ですが、
まさに「早朝・深夜お構いなし」の日々を過ごしていたわけです。

さて、29歳になった今の私が当時の生活を振り返ると、
「睡眠時間を削った効果は、それほど大きくなかった」と総括します。

と言いますのも、確かに夜に寝る時間は短かったものの、
昼寝をする回数が実に多かったからです。
電車やバスの中、高校や大学の教室では、ほとんど寝ていました。
映画館でも、エンドロールまで保たなかったことがいかに多かったか!

つまり、夜に削った睡眠の多くが、昼間に回されただけのことなのです。
その代償は、昼間に猛烈な睡魔にたびたび襲われ続けた結果、
「高校・大学での授業が何も頭に入っていない」という形で、
払わされることになったのです。
学生時代は「学校の勉強など何の役にも立たない」などと考えがちですが、
もし、当時の私がきちんと勉強しておけば、
今、気象の英文資料を目の前にして、絶句することもなかったでしょう。

今の私は、当時とは全く異なった生活リズムです。
午後9時に寝て、午前5時に起きるという生活です。
8時間も眠れば「昼間に眠くて仕方がない」ということはまずありません。
つまり、昼間の時間全てを全力投球に使えるのです。

気象予報士試験を志す受験生の中には、
「睡眠時間を削って頑張るんだ!」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。
確かに、短期的には無理が利くこともあるでしょうし、
お仕事や他の勉強との兼ね合いから、そうせざるを得ない場合もあるでしょう。
しかし、人間が1日に使えるエネルギー量というのは、
概ね限られているのではないか、と思うのです。
つまり、何かを選択するためには、何かを捨てることも大事だということです。

また、手だけを動かすような単調作業ならともかく、
未知の事柄を学ぶ際には、スッキリした頭で取り組まないと効果が出ません。
寝ぼけ眼でコクリコクリと2時間取り組むくらいなら、
全力集中できる状況で30分間勉強したほうが結果が出ると思います。

くれぐれも「睡眠時間を削って頑張るボクって素敵☆」とはならぬようご注意を。
自分に酔っていた私自身の経験談です。




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61、実技試験攻略法 〜精読から速読へ〜
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学科試験に合格した後、実技試験に取り組むことになりますが、
その内容の違いに、途惑われる方が少なくありません。
学科試験は単純に知識を問われるだけの内容で、しかも選択式であるのに対し、
実技試験は知識を組み立てた上で、記述で答案を作る問題だからです。

実技試験の受験生には3段階のレベルがあります。
勉強を始めたばかりを「レベル1」、合格に近い段階を「レベル3」とすると、
面白いことに両者は、ある面で似ている部分があります。
それは、問題に取り組むのに要する「時間」です。

「レベル1」の受験生は、実技試験の問題文を読んでも、
問われている内容が十分に理解できません。
これでは当然ながら、まともな答案を書くことはできないわけです。
結果として、答案を埋めることもできずに、時間を持て余すことになります。

実技試験の勉強を続けていくうちに、問題文の指示が分かり、
それを解くための気象資料を少しずつ読み取れるようになってきます。
これが「レベル2」の段階です。
75分の本試験に取り組んで「時間が足りなかった」と感じれば、
このレベルに達したと考えて良いでしょう。

さらに、合格に近づいたのが「レベル3」です。
問題文を熟読するだけで、どの資料を見れば良いのか短時間で見当を付け、
適切に解答を導き出せる水準です。
速く問題を解けるようになるため、時間が余るようになってきます。

まだ試験終了前にもかかわらず、試験会場から出てくる方がわりといますが、
おそらく「レベル1」か「レベル3」の受験生と思われます。

実技試験というのは、自動車の運転免許に例えれば「路上教習」だと思うのです。
実際に道路を走るためには、交通標識や運転ルールを覚える必要がありますが、
これは天気図などの気象資料の読み取り方に相当します。
つまり、実技試験を勉強するためには、
まず気象資料の読み取り方から学ぶことが大切なのです。

気象資料を読み取るための基礎知識が備われば、
あとは過去問題を解いていくことをお勧めします。
つまり、実際に道路で車を走らせていくということです。

最初はゆっくりで構いません。(実技の勉強に最低速度規制はありません。)
問題文の意味を着実に読み取ることから始めましょう。
ある程度、問題を考えた後は模範解答を読みます。
「この答案を作るためには、どの資料を見れば良いのか?」を考えながら、
気象資料を見比べていくのが良いでしょう。
つまり、正答者の思考を自分で再現していくことが大切なのです。
私が受験生のときには、模範解答をノートに書き写すこともしましたが、
これも同じ考え方に基づく勉強法だと言えます。

また、自分の答案を添削してもらうのも良い勉強になります。
周囲に気象予報士の方がいれば、お願いしてみると良いでしょう。
車の運転に例えれば、助手席にいる指導教官といった位置づけでしょうか。
受験生だった私自身はそれを受けられなかったために、
ずいぶん迷走(?)した記憶があります。

ゆっくりと勉強を続けていけば、少しずつ慣れてきます。
最初のうちは天気図の下に書かれている、
「太実線:850hPa気温(℃) 網掛け域:湿数3℃以下」といった凡例を見ないと、
天気図が読み取れないかも知れません。
しかし、慣れてくるうちに、そうしたことが不要になります。
つまり、スピードアップしていくのです。

ですから、最初からスピードを求めてはいけません。
それをすると、ただ雑になるだけです。
精読を重ねていくうちに速読ができるようになる、とお考え下さい。
今活躍している全ての気象予報士も、最初は「レベル1」だったのですから。




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62、自分の言葉で天気予報を解説するために。
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気象キャスターにとって大事なことは、勉強することだと思います。
最初に勉強すべきことは、放送用の原稿を自分で書くことです。

「いちいち原稿を書かなくとも、直接に話せば良いのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかも知れません。
でも、それはなかなか難しいことなのです。

パソコンのハードディスクが空であれば、
印刷も音声出力もできないのと同じです。
「話す内容を文章で表現できる」からこそ、「話せる」のであって、
話す内容を書き言葉で表現できない人が、
限られた時間で的確な内容を話すことは困難です。

最近の天気キャスターは大半が気象予報士の資格を持っていますが、
試験に合格することと、放送用の原稿を上手く書くことは別の能力です。
気象予報士試験そのものは、理系の要素も含んでいるわけですが、
原稿作成には文系的な感覚が大事だと思います。

「南東からの高相当温位気流が強制上昇することにより、対流雲が・・・」
というのは実技試験の答案としては正しくても、
気象を専門的に勉強したことのない一般の方への解説として相応しくありません。
「暖かく湿った空気が山にぶつかることによって、雨雲がたくさんできる。」
といった表現に変換することが求められます。

こうした解説原稿をキャスター自身が作ることができなければ、
そのキャスターは他人が書いた原稿を丸読みすることになります。
慣れないうちは仕方がないでしょうが、いつまでも続けるのは面白くない。

ですから、まず気象キャスターとして必要なのは、
「自分の言葉で天気解説の文章を作ること」だと思うのです。
最初は時間もかかりますし、なかなか適切な表現が思い浮かびません。
原稿を読み返してみると、日本語として変な文章だったりします。
でも、これを乗り越えれば、正しい原稿が書けるようになり、
その時間がどんどん短くなっていきます。
天気予報の放送は時間との戦いですから、
「速く書ける」というのは、すごく大事な能力なのです。

放送原稿を書くことを相当に長く続けていると、
やがて紙という形で出力しなくとも、頭の中で原稿がまとまります。
気象キャスターの中には原稿を作らない人、
メモ程度しか作らない人もおられるわけですが、
決して最初からそれができたわけではないということです。

私自身もこれができるまで結構時間がかかりましたが、
自分の言葉で天気予報を伝えることは大事なことだと思います。
好きなキャスターの放送を録画して、原稿に起こしてみるのも、
良い勉強になることでしょう。




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63、実力とコネは自分で作る。
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「テレビやラジオの出演者って、コネで決まるんですか?」
というご質問をいただくことがあります。本当のところはどうなんでしょう?

そもそも、私自身が気象キャスターとして仕事をすることになったのは、
ある方が私を紹介して下さったからなんです。
もちろん、それで採用が決まったわけでなく、選考があったわけですが、
その方の紹介がなければ、選考そのものを受けることができなかったのです。
つまり、「コネ」ですね。

「コネ」という言葉には汚いイメージがつきまとうものですが、
現実の社会においては、普通にあることです。

例えば、私は本屋さんでアルバイトをしていたことがありますが、
アルバイト情報誌を見て、その本屋さんに入ったのではありません。
高校の同級生がすでにその店でアルバイトをしていて、
その人の紹介で、社長の面接を受けたのです。

そして、無事に採用されてアルバイト従業員になった後、
「藤田君の知り合いで、誰かおらんか?」と、社長から尋ねられたものです。
店の前に「アルバイト募集」という張り紙もあるのですが、
新しく入る人は、現従業員の知り合いである場合が多かったように思います。
これも一種の「縁故採用」ですね。

どんな業界でもそうでしょうが、人材を採用する際には、
「できるだけ優れた人物がほしい」と考えるのは当然です。
しかし、「いくらカネがかかっても良い。とにかく一番優れた人物を探せ!」
と言えるのは、お后選びをしている王子様くらいのものであって、
普通は「なるべく手間も費用もかからない方法で」という言葉が加わります。

つまり、コネ採用の利点というのは、
 1,信用できる人物による推薦が1つの保証になる。
 2,人材を集めるための手間と費用が少なくて済む。
という点にあるのであり、人を集めるときに必ず考えることなのです。

「公募(公開募集)」という方法は、いずれの利点も満たしていませんから、
公募によって集まってきた受験生の能力を見る際には、
筆記試験や面接によって、しっかり見極める必要があります。
それだけ、手間と費用をかける必要があるということです。

多くの入社試験や入学試験が、公募という形で行われるのは、
 1,手間と費用をかけても、良い人材を確保したい。
 2,「不公平なことをしている」と世間から見られたくない。
という理由なのであって、裏を返せば、
 1,公募を行わなくても、良い人材が確保できる。
 2,世間からの批判を浴びることがない。
などの条件が満たされれば、公募を行う必要がないわけです。

実際のところ、企業の中途採用は非公開のケースも多いようですし、
テレビ番組の出演者が公募で行われることは少ないと思います。
「○○放送局の出演者 2名募集」と就職情報誌には載ってませんね。
世間に広く募集をかけて、大規模なオーディションを行わなくても、
適切な人材が集まる方法があるからです。

つまり、「コネ」というものは、ある程度存在するものだと、
お考えになったほうが良いということです。
すると、「私はコネがないから諦めるしかない」と、
考える方が出てくるかも知れませんが、
コネがないのであれば、私がしたように、
自分を紹介してくれそうな人をたくさん作れば良いのです。
当然ですが、「業界関係者と不適切な仲になること」ではありません。

もし、気象キャスターになりたいのであれば、
その気持ちを強く表に出して、あちこち動いてみることです。
もちろん、こうすれば必ず結果が出るとは言えません。
「気象キャスターになりたい!」と望む人はたくさんいて、
そのための決まった手順など存在しない世界だと思うからです。
でも、動かないと、「人のつながり」ができないのもまた事実です。




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64、写真やイラストの多い本から始めよう。
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学校の夏休みが近いということで、
書店には夏休み関連の本がいろいろ並んでいます。
工作・自由研究・読書感想文といった宿題対策のために、
いろいろなガイドブックが発売されているのですね。
私などは読書感想文を書くのが昔からエラく苦手でしたから、
当時こういう本があれば、間違いなく飛びついていたように思います。

さて、いろいろな本の中で「天気」に関する本もありました。
手に取って中を見てみたところ、カラーのイラストや写真が豊富で、
しかも値段が1000円程度とお手頃です。
早速にも、次の2冊を買いました。

武田康男著『天気の自由研究』永岡書店
山内豊太郎監修『お天気まるわかりBOOK』成美堂出版

両方とも、小・中学生向けに書かれたのだと思いますが、
気象予報士試験の勉強にチャレンジしようか迷っている人にも、
読んで欲しい本だと思います。

おそらく、気象予報士試験に興味のある人の多くは、
地球が作る気象現象の美しさや不思議さを感じたことが、
1つのきっかけになっているはずです。

「朝起きたら、窓の外が一面の銀世界だった」
「夕立の後に、きれいな虹がかかっていた」
こういった現象を目の当たりにして、
素朴に「もっと地球について学びたい」と興味を持つ人は多いと思います。

しかし、気象予報士試験というのは、あくまでも国家試験であり、
気象予報士として充分な知識や技能を持っているかどうかが問われます。
当然ながら、天気変化のメカニズムを知るために、
ときには無味乾燥とも思える理屈も学ばなければなりません。
最低限の数学や物理の勉強も避けて通ることはできません。

ですから、初めて気象予報士試験にチャレンジする方が、
気象予報士試験対策の本を読むと、身構えてしまうのです。
「気体の状態方程式」「静力学平衡の式」といった見慣れない用語を前にして、
「こんなはずではなかった〜」と困惑される方もおられるかも知れません。

ご紹介した2冊の本は、気象予報士試験に初めて挑戦される方にとって、
「架け橋」のような役割を果たしてくれると思います。

例えば、『天気の自由研究』のP,70には、
菓子袋が大きく膨らんだ写真が載っていて、
それは気圧の変化によって起こるのだ、ということが書いてあります。
このように、まず写真やイラストでイメージをつかめば、
「では気圧というのは何なのか?」と、さらに興味が持てます。

また、『お天気まるわかりBOOK』のP,11では、
「なぜ遠くの山は青く見えるのか?」という理由を説明しています。
いきなり、「散乱にはレイリー散乱とミー散乱があって・・・」
という話から始まったのでは、なかなかイメージが湧きません。
しかし、まず「なるほど!」と感じてから、
そのカラクリ(ここでは「レイリー散乱」)を勉強すれば、
頭の中にしっかりと定着するはずです。

もし、気象予報士試験に初めて挑戦しようと思っておられるのであれば、
カラー写真やイラストが豊富に載った本をめくることから始めて下さい。
これらの本で興味をさらに高めることができれば、
次のステップ、つまり少々難しい理論でも頑張って勉強できるはずです。




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65、ミニノート活用術
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気象予報士試験に限った話ではありませんが、
効率的に勉強を進めていくために大事なことは、
分からない部分を自分でしっかりと把握することです。

どの部分が納得できないか? どの部分がスッキリしないか?
これは、他人から容易に見て分かるものではありませんから、
自分できちんと把握して、解決しようと思わない限り、
分からない部分は、いつまで経っても分からないままです。

「分からない」を「分かった!」に変えるために、
参考書で調べたり、講師に質問したりすることは大事なことですが、
その前にやるべき重要なことがあります。
それは、「分からない部分を忘れてしまわない」ということです。

当たり前のことのように思えますが、これが大切です。
テキストを読んでいて、「この文章の意味が分からないな」と感じたら、
絶対にそのままにしておかないことです。
放っておくと、いつの間にか「分からなかったこと」自体を忘れてしまい、
レベルアップする機会を逃してしまいます。

ですから、分からない部分が出てきたときは、
すぐにメモする癖を付けておきましょう。
ここで大事なことは、できるだけ面倒くさくない方法を選ぶことです。
「メモをするのがおっくうだ」と感じるようでは、メモ癖が身につきません。

私の場合、コクヨ製の小さなノートを愛用しています。
コクヨの「キャンパスノート」はコンビニでも売っていますから、
皆さんもご存じだと思いますが、
このシリーズの中に、「縦10.2cm×横7.2cm」のミニノートがあるのです。
(↓の一覧表の一番下の「ノ−242A」という商品です。)
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/campus/lineup/a.html

このノートの良いところを挙げてみますと、
 1,コンパクトで、軽いこと
 2,紙がバラバラにならないこと
 3,安いこと

まず、1は非常に大事です。
シャツやズボンのポケットにも収まりますから、
持ち運ぶ際のストレスが全くありません。
持ち歩いていることを忘れてしまうくらいの大きさ・重さこそ、
メモ帳として最適だと思います。

次に2ですが、いわゆる電話機の横に置いてあるような「メモ帳」、
つまり、紙を一枚ずつはがせるタイプのものは、
この条件を満たしていません。
以前、私はこういったメモ帳を持ち歩いていましたが、
毎日持ち歩くうちに、紙がバラバラになってくるのです。
それがイヤになって、持ち歩くのをやめてしまいました。
ノート型なら、紙が分離することもありませんから、
後から見返すことも簡単です。

それから3ですが、このミニノートは一冊50円ほどで売っています。
安いからこそ、無造作にバンバン使えるのです。
なまじ高価な手帳を買っても、大事に鞄の中に入れているだけでは、
ただのファッションでしかありません。

読者の皆さんの中には、「携帯電話でメモすれば良いのでは?」
とお考えになる方もおられると思います。
それが便利だと思う方は、そうされると良いでしょう。

私自身もメモ帳を忘れてしまった場合などは、
携帯メールを自宅のパソコンメールに送ることで、
メモ代わりにすることがあります。
ただ、指で文字を打つのが苦手なので、
やっぱり、紙とペンを使うのが一番楽だと感じます。

勉強で分からないことがあれば、どんどんメモしていきましょう。
そして、その内容が解決すれば、
ミニノートに残っているメモを、赤のサインペンで線を引いて消すのです。
赤のサインペンで消すことに快感を覚えるようになれば、
メモ帳を充分に活用できている証拠です。




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66、二次試験まで、あと5か月。
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試験が終わり、ほっとされている方も多いことでしょう。
猛勉強の疲れをとるために、ゆっくりと休まれるのも良いかと思います。

しかし、自己採点で不合格だった可能性の高い人は、
なるべく早い段階で勉強を再開されることをお勧めします。
来年1月の試験を良い状態で臨むためです。

1月の試験から8月の試験までの期間が、7か月あるのに対し、
8月の試験から来年1月の試験までの期間は、5か月しかないのです。
さらに、10月の合格発表を待ってから勉強を始めるのは圧倒的に不利です。
その時点で残された時間は3か月半しかありませんし、
試験後、1か月以上も勉強から離れていると、
間違いなく成績は下がっていると考えるべきです。

ちょっと極端な表現かも知れませんが、
大学入試で例えれば、今回の試験を「センター試験」、
来年1月に行われる試験を「二次試験」、
と捉えるくらいの気持ちが大切だと思います。

今回の試験で何も合格できなかった方は、
勉強に対するモチベーションを維持できるかどうか、
ご自身に問いかけてみて下さい。
もし、くじけずに勉強を継続していけるのであれば、
来年1月の試験で何か結果を出せるように頑張っていきましょう。
今回の得点によって、今後にするべき勉強法が異なります。
詳細は以前に書いた「53、半年後の試験に備えて」をお読み下さい。

今回の試験で「一般だけ合格」「専門だけ合格」の方は、
これで合格への階段を一段上ったことになります。
次のステップは、1月の試験で残りの学科試験に合格することです。
そうすれば、2月から実技試験の勉強に専念できますし、
8月で完全合格も視野に入ってくるでしょう。

今回の試験で両方の学科試験に合格された方は、
いよいよ実技試験の勉強に力を入れていくことになります。
ただし、これまで実技の勉強を全くしたことがない方が、
来年1月で合格するのは相当な努力が必要となるでしょう。
1月は「運良くいけば合格」、8月は「確実に合格」、
といったプランを立てるのが良いと思います。




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67,「お天気」と「気象学」のギャップに耐える。
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「天気に興味があるので、気象予報士試験に挑戦したいのですが・・・。」
このようなご質問をいただくことがよくあります。
もちろん、勉強をされるうえで気象に対する興味は大切です。
気象予報士を目指すのに、「天気なんて興味ない」では困ります。

ただ、「空に対する興味」だけでは、
勉強に対するモチベーションを維持できない恐れがあることにご注意下さい。
それだけ気象予報士試験が難関資格であるということであり、
学問としての「気象」が持つ、奥深さを意味することでもあります。

青い空・白い雲・心地良い風・清々しい空気・美しい虹・・・。
地球が織りなす美しい光景に魅せられて、
気象を学ぼうとお考えになる方も多いことでしょう。
それが勉強を始めるきっかけとなるのは良いのですが、
学問として、資格試験として、気象を学ぶことになれば、
ややこしい物理や数学についての勉強もしなければなりません。
気象予報士試験で要求される物理や数学のレベルは、
大学受験より難易度が低いとはいえ、学生時代に「文系」だった方にとっては、
苦痛に感じられる場面もあるのではないかと思います。

どんなことでも、そうだと思いますが、
「お遊び」で満足するだけなら、敢えて苦労をする必要はありません。
しかし、一定以上の水準に達したいと望むのであれば、
それなりの努力は避けられないのです。

例えば、趣味として野球を嗜むのであれば、
月に一回程度、ゲームを行うことで充分に楽しめるでしょう。
でも、甲子園に出場したいとか、プロの選手になりたいということであれば、
素振りや投げ込みといった、地味なトレーニングが欠かせません。

気象だって同じです。空を見るのが好きで、気象の図鑑を眺めているだけなら、
テレビの気象キャスターの解説を聞いているだけなら、
「静力学平衡」も「コリオリの力」も知る必要はありません。
しかし、気象予報士試験の合格を目指すのであれば、
自分自身が気象キャスターとなって解説を行いたいのであれば、
表面的な現象の裏に存在する理論を学ぶことが不可欠となります。

特に気象は、「現象」と「理論」の解離が大きい学問であると言えます。
それだけに、天気が好きな人ほど、
気象学の本を開いたときに途惑うことになります。
しかし、気象予報士試験の合格を目指すなら、ここから逃げてはいけません。
理論を学べば、それまでバラバラだった知識が、線で結ばれるようになります。
それは、もっと天気が面白くなることを意味するのです。




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68,参考書を活用する方法。
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大阪市内で「気象予報士試験講座」の授業を終えた後、
私は月に一度程度、大型書店に立ち寄ります。
もちろん、新しい気象関連の本が出ていないかをチェックするためです。

最近は特に気象予報士試験対策の本が充実してきました。
そこで、以前に開いた「おすすめ気象BOOK」というページを更新しました。
勉強の進み具合に応じて、分類しています。

このように、質の良い参考書がたくさんあることは、
受験生にとって非常に有利なことなのです。
そして、何よりも大事なのは参考書を上手く生かすことです。
つまり、参考書に書かれた知識を適切に吸収し、
それを自分のものにすることによって、試験突破のための実力となるのです。
そこで、参考書を充分に生かす方法として、次の3つを挙げたいと思います。

1,自分のレベルに合った参考書を選ぶ。
2,買った参考書は必ず読む。
3,参考書を読んで理解した後は、自分で要点をまとめる。

では、順番に1つずつ見ていきましょう。


1,自分のレベルに合った参考書を選ぶ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
参考書のレベルが現在の自分の実力に合っていなければ、
勉強を続けるのが苦しくなってきます。
例えば、小倉義光先生の『一般気象学』がいくら名著だと言っても、
気象を始めて学ぼうとする文系の受験生には、
決して勉強に適しているとは言えないと私は思うのです。

「早く合格したい」という気持ちが強い方ほど、
レベルの高い本を求めようとする傾向がありますが、「急がば回れ」です。
途中で挫折してしまっては、それこそ合格から遠ざかってしまいます。
やさしい本から始めて、徐々にレベルを上げていくのが良いでしょう。


2,買った参考書は必ず読む。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
当たり前のことですが、本を読まずに内容を理解することは不可能です。
(速読術の達人でも、中身はちゃんと読んでいるはずです。)
でも、本を買うことで満足感を得てしまうことって結構あるのですね。
はい、私もその一人です。オークションで落札した瞬間が一番うれしいです。
でも、そんなことを続けているうちに、いつの間にか、
書棚には読めもしない洋書が10冊以上並んでいます・・・。

本をたくさん買うと、自分の頭が良くなったような錯覚を覚えますが、
キチンと読まない限り、知識が増えることはありません。
持っている本の数が多いほど、目移りしてしまい、
結局、どの本も丁寧に熟読できなくなるものです。
極論を言えば、1冊しかない優れた参考書をボロボロになるまで、
トコトンまで使いこなすほうが、効果は上がりやすいと言えます。


3,参考書を読んで理解した後は、要点をまとめる。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
試験勉強をするうえで大切なのは、
詰め込んだ知識を自分の頭の中でキチンと整理することです。
丁寧な説明が書かれている参考書は、最初に勉強する上で非常に役立ちますが、
それを理解できた後は、結論だけを短くまとめたようなもののほうが、
試験対策としては有効であると思われます。

ちなみに、これをゼロから作成するのは大変ですので、
私が主宰する塾では、授業時にプリント教材をお渡ししています。
これを土台にして、講義内容などを書き込んでいくことで、
自分だけのオリジナル教材が完成するというわけです。
ある受講生の方のオリジナル教材をご紹介しましょう。

写真をクリックすると、別ウィンドウが開いて拡大表示されます。
(注1:受講生の承諾を得たうえで掲載しています。)
(注2:写真に写っている紙のうち、印刷文字が書かれた左半分のみが当塾配布分です。
    右側は受講生が紙幅を拡張し、講義内容等を書き込んでおられています。これも一つの活用法です。)




特に「自分でペンを動かす」という作業は大事だと思います。
「読む」という行為は、書物を通して授業を受けているようなもので、
言ってみれば、一方的に話を聞いているのと似ています。
しかし、ここに「書く」という行為が加わることによって、
より理解が深まることになります。
例えば、専門用語の意味を赤ボールペンで書き込んでおくだけで、
本を再読するときに、スムーズに読み進めることができます。
本の中に字を書くことに対して躊躇される方もおられるかも知れませんが、
勉強効率を薦めたいのであれば、書き込みは行うべきだと思います。




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69,試験結果の分析から得られる教訓
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以前にも調べたことがありますが、
財団法人気象業務支援センターが発表された情報をもとに、
今回(第28回試験)も「受験生の状況別合格率」を算出してみました。
サンプル数の最も多い東京会場をもとにした推定値です。

学科試験の免除なし・・・・・・約0.5%
一般または専門のみ免除・・・・約4%
一般・専門とも免除・・・・・・約20%

状況別受験者数は明らかではありませんが、
3つのケースを平均した合格率は約4%と、
発表された合格率4.3%に近い数字が出ましたので、
上記の試算は、かなり精度の高い推定値ではないかと考えています。

やはり、このデータから学ぶべきことは、
「学科試験の勉強が不十分では、完全合格は望めない」ということです。
特に一般・専門のどちらにも合格していない受験生の合格率は0.5%です。
この中には、以前に学科試験に合格していながら、
免除期間が過ぎたために、再挑戦された方も含まれていることでしょう。
おそらく、そういった方々を除いた合格率はゼロに近いと思います。

両方の学科試験に合格している方の完全合格率が非常に高いのは、
次のような理由が考えられます。

1,実技試験の勉強だけに全力を注ぐことができたから。
2,実技試験の勉強をするための基礎知識が豊富だから。
3,真剣に合格を目指す方ばかりだから。

まず1についてですが、学科試験(一般・専門)と実技試験の勉強を、
同時並行で行っていくのは時間的になかなか大変なことです。
例えてみれば、チャンバラで一人の敵だけを相手に戦うか、
二人または三人の敵と同時に戦うかの違いがあります。
特に次の試験までの時間が充分でない場合は、
合格を目指すべき試験を絞っていくことも一つの作戦です。

2についてですが、「学科試験の勉強を充分にやりなさい」といったことは、
多くの参考書に書いてあることだと思います。
その理由は「学科試験に合格しないと、実技試験を採点してもらえない」
という、試験のシステム上の話だけではありません。
むしろ、「学科の知識が不十分だと、実技の勉強が進みにくい」
というのが、実質的な理由です。

例えば、一般知識の勉強において「放射」の概念が曖昧であれば、
専門知識の勉強で、「気象衛星による赤外画像」の意味が分かりにくく、
実技試験における「衛星画像の読み取り」が正しくできない、
といった具合です。

「学科の復習を丁寧にしたら、実技の勉強が進みやすくなった」
という受講生からのご感想をいただくことがありますが、
まさにそれを示しています。

3については「合格率の低さに悲観しないで」ということを述べたいのです。
確かに今回(第28回)の試験での合格率は4.3%で、
単純に考えれば「23人に1人しか合格しない」試験です。
それに対し、新司法試験(平成19年)の合格率は約40%でした。

分野がまるで違うので、単純に比べることはできませんが、
「気象予報士試験のほうが10倍難しい」と考える人はまずいないでしょう。
新司法試験の受験者は、法科大学院で2年〜3年も勉強されているのです。
合格率と難易度は必ずしも連動するものではないことが、
お分かりいただけるかと思います。

気象予報士は世間でもよく知られた資格であり、
「学歴不問」「中学生や高校生でも合格した」という事実に、
「テレビのお天気キャスター」というイメージがあります。
このため、(善し悪しは別として)ミーハーな気持ちで受験される方が、
一定数おられると想像しています。
全体の合格率がここまで低い理由の一つではないかと私は考えています。

もちろん、難関試験であることは事実ですが、
真剣に勉強して試験に臨んだ方の合格率は、もっと高いはずです。
(ここで言う「真剣に勉強」とは、一時的に奮起することではなく、
 地道に長時間にわたって勉強を懸命に続けることを指します。)
学科試験から着実に勉強を重ねていけば、
きっと合格に到達できると、私は確信しています。




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70,観察→分析→実行
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かつて、「『学び』は『真似ること』から始まる」ということを、
大学の講義で耳にしたことがあります。
気象キャスターと塾講師を掛け持ちしていた私にとって、
大学の教室というのは、昼寝か読書の場でしたが、
卒業して6年経った今でも、この言葉は印象に残っています。

「○○を習得したい」と考えたときに、まず成すべきことは、
すでに習得した人間が、どのようにして成功したのかを知ることです。
そのためには、観察が欠かせません。
鉄棒の逆上がり・自転車の練習・縄跳びの二重跳びなどにおいて、
上手くできる人の技をじっくり観察された経験が、誰でもあるはずです。

気象予報士試験だって同じです。
メルマガなどで「勉強仲間を作りましょう」とよく言ってますが、
これは「真剣な受験生はどのくらい勉強しているのか」ということを、
実際に見聞きすることの重要性も含んでいます。

気象予報士試験は大学入試と異なり、絶対的な受験者数が少ないですから、
どうしても、一人で試験攻略を練ることが多くなります。
このため、「井の中の蛙」状態になり、
行うべき勉強量についても正確に見極めることが難しいのです。
(もっとハッキリ言えば、甘く見積もりがちになります。)
ですから、「試験に合格するために必要なこと」を、
意識して入手することが必要なのです。

「気象キャスターを目指すこと」ついても同様です。
試験というのはレールが引かれていますから、まだ攻略しやすいのです。
そのレール上を一生懸命に走れば、「合格」という名の駅に到着します。
しかし、キャスターになるために決まった道などありません。
つまり、自分で道を拓くことから始めなければならないのであって、
その点では、試験に合格することよりも難しいのです。

だからこそ、すでに気象キャスターになった人から、学ぶことが大事なのです。
直接にあって話を聞くのがベストでしょうが、なかなか難しいことですから、
「あの人は、どのようにしてキャスターになったのだろう?」と、
いろいろ調べてみると良いでしょう。
著書やインタビュー記事などで、経緯を公開されている方もいるはずです。
これらの情報は非常に貴重なもなのですが、
成功者の体験談というのは、ある意味で「自慢話」ですから、
なかなか気前良く、詳細を語っておられたりするものです。

もちろん、情報を入手するだけで満足していてはいけません。
仕入れた情報を分析・加工したうえで、実行することが大切です。
「見る」「聞く」だけではなく、
それを基にして「真似る」ことが「学ぶ」ことなのですから。




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71,気象業界で仕事をしたい方へ(前編)
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おかげさまで、当メルマガを発行してから3年近くが経ち、
購読されている方は700名以上になりました。(まぐまぐ+melma!)
「気象予報士」「お天気キャスター」という、
限られたテーマを取り扱っているメルマガであるにも関わらず、
これだけ多くの方にお読みいただけるのは、うれしい限りです。

「よくネタが尽きませんね。」とも言われますが、
発行日が近くなると、ワーワー言いながら頭を抱えているのですよ。
無料誌とはいえ、読者の皆様に役立つ情報をお届けすべきですからね。

読者の皆様は、どんな情報を知りたいと思っておられるのか?
そこで、Yahoo!を使って「気象予報士」と検索ワードを入れてみました。
そうすると、「気象予報士」と一緒に検索する言葉が自動的に出てくるのです。
これは「関連検索ワード」と呼ばれていて、合計10種類が出てきました。

1,気象予報士 試験
2,気象予報士 就職
3,nhk 気象予報士
4,気象予報士 求人
5,気象予報士 資格
6,気象予報士 合格率
7,気象予報士 独学
8,気象予報士 仕事
9,気象予報士 給料
10,気象予報士 根本

入手したい情報の種類は、大きく3つに分類できるようですね。
まず、1・6・7は、気象予報士試験についての情報を求めている方。
それから、3と10は、関心のある気象キャスターについて知りたい、
と思っておられる方の検索と考えられます。
残りの2・4・5・8・9については、
気象予報士の資格を生かした就職に興味がある方で、
ここでの10種類のうち、実に半分を占めていることが分かります。

実際、私自身もある週刊誌から、
「業界の給料」というテーマで取材を受けたことがあります。
多くの方にとって関心があるのは、おそらく次の質問でしょう。

質問:気象会社の給料ってどのくらいですか?
回答:私は450万円くらいでした。

正直なところ、私は気象業界全体の給与水準を知りませんし、
お世話になった会社の給与体系をベラベラ喋るのも憚られましたから、
素直に自分が受け取っていた年俸を答えました。
これを安いと見るか、高いと見るかは、人それぞれでしょうが、
新入社員のときから、この金額をいただけたのは良かったと思います。
私が勤務していたウェザーニューズは上場(東証一部)していますから、
『会社四季報』を見ると、全社員の平均年収が載っています。
2007年3集(夏号)には、521万円とあります。

このメルマガをお読みになっている方の中には、
「気象会社で働いてみたい」「気象業界へ転職したい」
「気象キャスターになりたい」と思っておられる方が多いはずです。

「就職のために気象予報士の資格を取るのだ」という方も多いでしょう。
しかし、大事なのは「資格」だけではありません。
それについては、次回のメルマガで述べることにしましょう。




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72,気象業界で仕事をしたい方へ(後編)
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読者の皆さんにお尋ねします。
料理人を目指す人が、調理師試験の勉強だけをしていて良いのでしょうか?
起業を志す人が『株式会社を作る方法』という本を読むだけで良いのでしょうか?
もちろんダメに決まっています。

料理人にとって調理師の免許は必要なものでしょうが、
それを取得しただけで料理人になれるわけではありません。
むしろ、自分の好きな料理店に飛び込んで、
雑用でも何でもして働きながら、料理技術を学ぶことのほうが、
優れた料理人になるために大事なことではないかと私は思うのです。

起業するために、株式会社の設立は必ずしも必要なものではありません。
業態にもよりますが、最初は個人経営で構わないことが多いのです。
起業とは「業を起こす」と書きます。つまり、大事なのは「業」の中身です。
中身が優れていれば、事業は拡大し、売上も増加することでしょう。
その時点で、法人化を考えれば良いのです。
中身が充実していないのに、箱のことばかり考えているようでは、
事業の立ち上げさえもおぼつかないと言わざるを得ません。

誰しも、「調理師」とか「代表取締役」といった、
名刺に刷り込めるような肩書を持つことを格好良いと感じます。
それを目標にして頑張ることも良いでしょう。
しかし、肩書を得ることが、中身を得ることになるとは限らないわけです。

気象予報士試験の勉強も同じです。
単なる趣味や生涯学習として、試験勉強をされるのであれば、
資格取得後のことをとやかくお考えになる必要はありません。
しかし、この気象予報士資格を就職や転職に生かしたい、
つまり、資格を取得することによる実利も得たいというのであれば、
試験勉強以外にするべきことがあるということです。

ここで注意しておかねばならないことがあります。
「気象予報士の資格を持っている」ということだけで、
就職や転職がフリーパスになることなど、あり得ない話だということです。
これはどんな難関資格にも言えることではないでしょうか。

仮に「取得すれば絶対に就職できる」と言われる資格があったとしましょう。
そういった資格試験には、必ず受験者が殺到することになります。
受験者数の増加に伴い、普通は試験合格者も増えることになりますが、
業界における雇用者数は急に増えるものではありませんから、
その資格を生かした専門職に就けない人が必ず出てくるわけです。
結局、その資格は「取得しても就職できるとは限らない資格」になります。

もちろん、気象業界を目指す方にとって、
気象予報士の勉強に取り組むことが大事であることは言うまでもありません。
しかし、気象予報士試験合格が「終着点」ではなく「経由地」であり、
先にある目標を持っている人にとっては、
その目標を達成するために考え、行動することが非常に大切です。
同じ目標を持った仲間をつくり、コミュニケーションを図ることで、
一人で行動するときよりも多くの情報が集まるはずです。

読者の皆さんの中には、気象予報士試験の勉強をするために、
スクールに通っておられる方も大勢いらっしゃることでしょう。
スクールを単なる勉強の場と考えるだけではなく、
受講生どうしで情報交換をする場と考えることも大切です。
合格後の目標や夢を語り合うことによって、
「今の自分が行うべきこと」を、より具体化させていくことができるからです。
それが試験勉強に対する原動力にもなるのです。




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73,勉強の質と量を確保するために。
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よく言われているように、勉強量は「質×時間」で表されます。
集中した状態で長時間の勉強を続けることができれば、
時間あたりの勉強効率が最も高くなるというわけです。
では、具体的に質と量を高めるためにはどうすれば良いのか?
私が思っていることを3つご紹介します。

 1,スキマ時間を勉強に活用せよ。
 2,疑問点を洗い出し、それを解決することを心がけよ。
 3,便利な道具が必ずしも勉強に役立つとは限らないと考えよ。

まず、1についてですが、
机に向かって「さあ、これから2時間みっちりやるぞ」だけが、
つまり、連続した長い時間だけが勉強時間ではないということです。
5分や10分の時間であっても、参考書を広げることはできるのです。
1日において、まとまった勉強時間を確保できれば理想ですが、
それができなくても、1日の中に勉強時間を溶け込ませることは可能です。
人と会う約束をしていて待っている時間や、電車に乗っている時間など、
ちょっとしたスキマ時間はいくらでも見つかるものです。
例えば、私は風呂に入っているときにCDやテープを聴くことがあります。
冬は長風呂で体を温めたいところですが、黙って入っているのは暇です。
テープやCDを聴いていると暇にならず、一石二鳥なのです。
スキマ時間そのものは決して長くありませんが、
1日のスキマ時間を全て勉強に充てれば、
意外なほどの勉強時間を確保できるものです。
勉強時間を増やすために、とかく睡眠を削りたがる人がいますが、
昼間に頭がボンヤリしてしまうほどに睡眠を削ると、
かえって勉強の質が悪くなりますし、何よりも体に毒です。
→関連記事「60、睡眠時間を削って勉強するのは有効か?」

次に、2についてです。
例えば参考書を広げるときに、漠然と読み進めるだけではダメです。
重要な箇所に線を引くことも大事でしょうが、
それよりも大切なことは、「疑問点を洗い出すこと」です。
普通は参考書をサラッと1回だけ読んだだけで、
その内容が完全に理解できるということはありません。
「よく分からない部分」が必ず出てきます。
その部分を解決してこそ、理解が深まり、実力がアップするわけですから、
絶対に放置していてはいけません。
本に付箋を挟んだり、メモするなどして、
どの部分が理解できていないのかをチェックすることが大事です。
つまり本を読むときは、次のサイクルを繰り返すことを意味します。
読む→分からない部分を見つける→分からない部分を解決する→再び読む
これを繰り返すことによって、少しずつレベルアップし、
やがて一冊の本全体の内容を理解することにつながるわけです。
→関連記事「68,参考書を活用する方法。」

最後に3についてです。
科学技術の進歩に伴い、便利な道具が数多くあります。
例えば、図書館で借りた本の中に重要な記事が載っていた場合も、
コピー機を使えば、簡単に記事を複写できます。
しかし、便利な道具は必ずしも勉強に役立つとは限りません。
コピーしてノートに貼り付ければ、1分で済みますが、
それだけで満足してしまって、記事を熟読しないのであれば、
頭の中には何も入らないことになります。
コピー機がなかった時代は、ノートに書き写していたわけで、
その作業は実に大変だったでしょう。
しかし、筆写することで必然的に記事をよく読むことになり、
きちんと頭に残りますから、勉強になるわけです。
昔の学者は本を書き写すことによって、本を手に入れていました。
おそらく、それ自体が勉強になっていたのだと思います。

もう一つ例を挙げましょう。
私は大学時代にMDプレーヤーで講義を録音したことがあります。
講義を収録しておけば、聴き漏らしたときも心配なないし、
家でも勉強できるだろう、そう思ったわけです。
しかし、その試みは失敗に終わりました。
まず「録音しているから、いつでも聴ける」という状態が、
気持ちの緩みを生み出し、講義中の居眠りが多くなりました。
では、録音した講義を家で聴いたかというと、そうではありませんでした。
自宅での1講義90分という時間は、教室にいるときよりも長く感じられ、
とても最後まで聴くだけの集中力が維持できなかったのです。
道具に頼ったために、勉強が頓挫してしまった例です。
逆に「授業の録音厳禁。ノートを取ることも一切許さん。」という状況なら、
先生の講義を一言も聴き漏らさぬよう、全神経を集中させ、
聴いた内容を必死で理解するように頭を働かせながら、
授業を受けたことでしょう。(スパイ養成学校みたいですね)

つまり、これらのことから言えるのは、
あくまでも自分の頭に知識を入れるのが勉強だということであり、
道具はそれを助けるものであるということ。
道具の存在が、勉強を怠けさせてしまうのであれば、
その道具は自分には合っていないということなのです。




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74,転職の準備としての受験勉強
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転職をする際の格言として「猿の枝渡り」というものがあるそうです。
猿が木から落ちることなく、枝から枝へ上手に渡ることができるのは、
必ず次の枝をしっかりと掴んでから、それまで掴んでいた枝を離すからです。
つまり、『転職先が決まるまで、今の会社を辞めてはならない。』というのが、
転職を成功させるための原則だそうです。
転職先も決まっていないのに、今の会社に辞表を叩き付けていては、
木から落ちてしまう危険が高いということですね。

現在、気象キャスターとして活躍されている方の中には、
キャスターになる以前に、現在とは違った仕事をされていた方もおられます。
いわば、気象キャスターに「転職」されたとも言えるでしょう。

ご存じのとおり、気象キャスターになるためには、
気象予報士の資格が非常に重要視されるようになっています。
これは法律で決まっているわけでも何でもありません。
しかし、「気象キャスターは気象予報士の有資格者だ」というのが、
すでに世間一般での認識になっていると思われます。
ですから、それまで気象を学んだことのない方が気象キャスターを目指すとき、
気象予報士試験の勉強からスタートするというのは、
自然な流れであると言えるでしょう。

ここで「猿の枝渡り」の法則を当てはめてみると、
会社勤務を続けながら、気象予報士試験の勉強をすることを意味します。
しかし、これは決して容易なことではありません。
気象予報士試験が難関であることは、メルマガで何度も書いてきましたし、
少しでも勉強をかじったことのある方であれば、何方でもご存じでしょう。
試験突破のためには、少なからぬ時間を勉強に充てる必要があります。

例えば、夕方6時に会社の勤務が終わるとしましょう。
仕事を終えて疲れた体にアルコールでも入れたいと思うわけですが、
ベロベロに酔ってしまっては勉強になりません。
会社から真っ直ぐ家に帰って、夕食を終えた後、
1時間でも2時間でも、参考書や問題集と格闘せねばなりません。
もし、塾や予備校の類に関与するのであれば、
週に1回くらいは会社からスクールへ直行し、講義を受けることになります。
同僚が居酒屋やカラオケ店でワイワイ騒いでいたりしているときに、
将来の夢に向かって黙々と学び続けるわけです。

このように、仕事を続けながらも勉強を重ね、
気象予報士試験に合格した人を私は数多く知っています。
目標をしっかり設定し、自分を律して努力を続けることができれば、
気象予報士試験を突破することは可能であると考えます。

しかし、現在の仕事が極端に忙しく、
どうしても勉強時間を確保することが難しいのであれば、
今の環境を変えることも一つの手段ではないかと思います。

と言いますのも、『仕事で忙しい』というのは、
勉強を中断するための「正当でカッコイイ理由」になってしまうからです。
「遊んでいて勉強できていない」というのは、誰しも後ろめたさを感じます。
しかし、「仕事で忙しいから勉強できない」という理由ほど、
自分自身に対して、大義名分の立つ言い訳はありません。
後ろめたさを感じないぶんだけ、危険なわけです。
「中断」はやがて「永断」になり、目標は未達成のまま消えてしまいます。

趣味で気象予報士資格を取るのであれば、
現在の仕事を最優先するのが、一番正しい選択でしょう。
時間に余裕ができた段階で、ボチボチ勉強を再開すれば良いのです。
しかし、早く資格を取得してキャスターを目指したい、ということであれば、
会社を辞めて、勉強に専念するのも一つの選択肢であると思うのです。

例えば、長い人生の中で1年間を勉強に捧げることを考えます。
睡眠を充分に取った新鮮な頭で、毎日5時間の勉強を続けるのです。
日曜日だけを休日とし、残り週6日を勉強に充てれば、
1年間で約300日、つまり約1500時間を確保できます。
勉強量は時間だけで決まるものではありませんが、
適切な勉強法と適切な指導書(または指導者)が備わっていれば、
初めて気象の勉強をする人にとっても、
1500時間は気象予報士試験合格のために充分な時間であると思われます。

もちろん、会社を辞めてまで勉強に専念するというのは大きなリスクであり、
安易な気持ちで、それを選択するべきではありません。
まずは、何とかして勉強時間を捻出することをお考え下さい。




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75,気象予報士を志す学生さんへ
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このメルマガをお読みの方の中には、学生さんも少なくないと思いますので、
今回は「学生時代に気象予報士資格を取得する」ことについて書きます。
思えば、私自身も高校在学中に資格をいただいたわけですが、
その経験も踏まえて、学生には3つの有利な点があると考えます。

  1,中学〜高校時代に学んだことを生かせる
  2,勉強時間を確保しやすい
  3,期限を定めて集中できる

1については、学科試験(特に一般知識)の勉強を行う際に言えることです。
やはり、高校時代に「地学」を履修された方や、
センター試験・2次試験で「地学」を受験科目にされた方は有利です。
少なくとも、導入部分の学習はスムーズに進むことでしょう。
また、地学そのものを学んでいなくても、
中学〜高校時代に勉強した物理や数学の知識は役立ちます。
気象予報士試験では、基礎的な物理や数学の素養が求められるからです。

2については、「3つの利点」の中で最も大きな部分です。
学生ほど時間に恵まれている人々は、それほど多くありません。
平日の朝8時の時点で、布団の中にいる割合が最も高いのが、
大学生ではないかと思っています。(私もそうでしたからね。)
もちろん、単位に厳しい学部や学科もあるでしょうから、
一括りに「学生はヒマである」と断じるつもりはありませんが、
「気象予報士試験の勉強をしたい」と思ったときに、
社会人よりも一定の勉強時間を確保しやすいことは明らかです。
どんな資格試験であれ、「難関」とされる試験を攻略するためには、
充分な勉強量を確保しなければ、合格できません。
卒業して就職すれば、勉強時間の捻出に苦心することが多くなるはずです。

3については、心理的な後押しが期待できるということです。
「就職活動までに資格を取りたい」「卒業までに合格したい」という、
期限の付いた目標を、学生の皆さんは掲げておられることでしょう。
目標を達成せねばならない期日が決まっていれば、
自ずとそれに合わせる形で勉強スケジュールを組むことになります。
敢えて自分を追い込むことによって、頑張る気持ちを高めるわけです。
これは試験勉強だけでなく、多くの仕事にも言えるのではないでしょうか。
このメルマガも今回で75話を数えますが、ここまで続けて発行できたのも、
「隔週で発行する」という縛りがあるからです。
「不定期発行」であれば、おそらく続かなかったことでしょう。
社会人の場合、直接に仕事が絡んでいる場合を除き、
資格試験の勉強に対して明確な期限を設定することが難しく、
この点でも、学生に有利な部分があると言えます。

これまでに学生にとって有利な部分を述べてきましたが、
それらを生かして勉強に励めるかどうかは、その人次第です。
学生さんの場合、明確な目標が定まっていない方もおられることでしょう。
「なんとなく・・・気象予報士」という意識で勉強していても、
いたずらに時間が過ぎていくだけです。
学生時代に成すべきことを真剣に考え抜いて、
その結論が「気象予報士資格取得」なのであるならば、
あとは目標に向かって真っ直ぐに走り続けるのが良いと思うのです。

また、意欲的な学生さんの傾向として、
「あの資格も取りたい」「この資格も学びたい」といった、
幕の内弁当的な志向が見られます。
しかし、気象予報士を目指すのであれば、「選択と集中」をお勧めします。
ただでさえ、学校の勉強を抱えているわけです。
タコのように足を広げすぎると、どれも中途半端で終わる可能性があります。
いろいろなことに挑戦する気持ちは大切だと思うのですが、
「私は学生時代に、これを勉強した!」と胸を張って言えるような成果は、
決して片手間で得られるものではないということです。




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76、走り続けることができた人だけ合格できる。
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気象予報士試験を陸上競技に例えると、「マラソン」であると言えます。
短い期間での集中した勉強で結果が左右される短距離走ではなく、
長期間に及ぶ勉強の積み重ねが合否を決める長距離レースなのです。
長距離レースを成功させるためには、大事なことが2つあります。

 1,ゴール(試験合格)までの長期的な計画を立てる
 2,計画に沿って、着実に勉強を進める

まず、1は計画を立てることの重要性です。
気象予報士試験は、学科試験から順番に合格していくことができますから、
「一般知識試験→専門知識試験→実技試験」と学習計画を立てやすいのです。
誰でも「一気に全ての試験に合格したい」と望むものですが、
自分の勉強量がそれに追いつかなければ、結果は出ません。
目標を限定したほうが勉強範囲が小さくなるため、達成しやすくなるのです。

次回試験での目標が決まったら、
今度は目標を達成するために成すべき具体的な勉強量を考えます。
例えば、一般知識試験合格のために、過去問題全てを演習することを考えれば、
15問×29回=435問もあるわけです。
一日の勉強で5問ずつ取り組めば、87日かかることになります。
次の試験まで半年ほど残っているならば、
このプログラムを2回繰り返して勉強するのが良いだろう、
といった感じで計画を立てていくわけです。

2は、勉強習慣を付けることの重要性です。
油のように一時に激しく燃えるような勉強はお勧めできません。
例えば、睡眠時間を削った無茶な勉強は続かないのです。
炭のように長く燃え続ける勉強が理想的です。

また、やる気の炎は一度消えてしまうと、再点火するのが難しくなります。
消えていた時間が長いほど、燃えにくくなっていきます。
勉強しないことが、習慣として定着してしまうからです。
中には、試験直前になって慌てて猛勉強を始める方がおられますが、
この時点で走り出しても、間に合わないことが多いのです。

「気象予報士試験はマラソンである」と最初に述べました。
合格率5%である気象予報士試験を、1000人で行うマラソンレースに例えると、
上位50人の選手だけが入賞、つまり合格を手にすることができるのです。
後方にいる選手が35km地点からラストスパートをかけても、
上位陣に食い込んでいくことは、もはや困難です。

今日、気象予報士試験が終わったわけですが、
それは同時に、次のレース(試験)が始まったことを意味します。
次の試験に取り組む必要のある方は、
明日からでも勉強を再開されることをお勧めします。
次のゴールを目指して、計画を立てていきましょう。




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77、少しずつ知識を積み上げる。
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昨日(2008年2月9日)は、奈良でも雪が積もりました。
奈良県の平野部では北風に乗って小雪が舞うことはあっても、
街が雪化粧するほどの積雪は珍しいのです。
子供のときの私にとって、雪が積もることは心を躍らせる出来事でした。
どんなときに雪が降るのか? どんなときに雪は解けずに積もるのか?
こういった興味が、気象の勉強を始めたきっかけとなっています。

空から落ちてくる一つ一つの雪片は小さなものですが、
一定の強度で長時間降り続くことで、景色を真っ白に変えてしまうわけです。
勉強もこれと似ているような気がします。
少しずつでも継続して学んでいくことによって、
着実に頭の中に、知識が積み上がっていくことでしょう。
解ける雪よりも、新たに降る雪のほうが多ければ、
積雪が深くなっていくのと同じように、
忘れてゆく知識を上回る勉強を続けることができれば、
驚くほどの蓄積が出来上がるに違いありません。

このメルマガでも、何度かご紹介しましたが、
私は昨年春(2007年4月)から、小さなメルマガを発行しています。
気象予報士試験に関連する簡単な問題を一つずつ、
土日祝日を除く毎平日にお送りしてきました。
風邪をひいたときに、お休みしてしまったこともありますが、
それを除けば、ほぼ休刊することなく発行を続け、
お陰様で200回を超える発行を行うことができました。
もちろん、これからも発行を続けていきます。

メルマガ誌上で問題を配信する理由は、
もちろん気象を勉強する面白さを知ってほしい、
毎平日の配信によって勉強習慣を付けてもらいたい、ということなのですが、
実は私自身のためということでもあります。
問題のネタを考え、資料を調べることで、作成者である私も勉強になるのです。
講師という立場である私にも、分からないことはたくさんあります。
むしろ勉強が進むほど、知らないことが増えたように感じることさえあります。

知らないことを解決するためには、勉強するほかありません。
勉強の面白さは、叩けば門が開くこと、
つまり、自分が学ぶことで疑問点を解決できることにあると思います。
最先端の研究であれば、解明されていない未知の事項も多いでしょうが、
少なくとも、参考書に載っているような内容であれば、
定説が確立されているものがほとんどであると言えるでしょう。

特に気象予報士試験に出題される問題は、
正誤をハッキリさせなければならないため、
定説の定まっていない問題は出ないと考えるのが自然です。
つまり、適切な方法で継続的に学ぶことができれば、
内容を習得していきやすいのが資格試験の勉強であると言えます。
「少しずつ」を続けることを大切にしていきたいものです。




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78、過去問題ぐらいはマスターしておきたい。
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気象予報士試験に挑むうえで、過去問題演習は必須であると私は考えます。
過去問題を分析してみると、傾向の似た問題が何度も出されているからです。
これは学科試験・実技試験の両方に当てはまることです。
書籍やCD-ROMという形式で過去問題が市販されていますから、
実際に確認されると良いでしょう。

ここで一例を挙げてみます。
平成19年度第1回試験の「実技1」における、問5(2)の問題をご覧下さい。
この問題は、平成16年度第1回試験の「実技1」における、
問5(3)の問題と非常によく似ています。
ハッキリ言って、問題を解くために必要な思考法はまるで同じです。

ここまで似ている問題はそれほど多くないものの、
出題意図や傾向に類似性が見られる問題は、数多くあります。
過去問題演習を熱心にされている読者の皆様はご存じのことでしょう。
ですから、過去問題の演習を丹念に行い、
さらにその問題の周辺知識についても一緒に学んでおけば、
本試験で「過去問に似た問題」に出くわす可能性が高いということです。

私が過去問題演習を重要視するのは、
過去問題演習の充実度が、試験の合否を大きく左右すると考えるからです。
気象予報士試験には、過去に一度も出題されたことのない問題も出ますが、
そういった問題は、多くの受験生が頭を悩ませるはずなのですね。
結果として、こうした目新しい問題による受験生の点数差は、
それほど大きくならないと想像できます。

点数差が広がるのは、試験全体の多くを占める「過去問に似た問題」です。
過去問演習をキッチリ行っている受験生ほど着実に得点できるでしょうが、
過去問題演習量の不足している受験生にとっては、
これらの問題も「初めて見る問題」として目に映ることでしょう。
ここで受験生の得点に大きな差が付くはずだと私は確信しています。

「次の試験で、どんな目新しい問題が出るか」を予想することは、
一部(新しく導入される予報技術など)を除いて、非常に困難です。
そんなことを予想するよりは、過去に出されたことのある内容について、
着実に理解できるように学習を重ねたほうが、明らかに得です。

毎回の気象予報士試験の問題に過去問題との類似性が見られるのは、
試験の難易度が概ね均一化していることの現れと言えるでしょう。
ご存じのとおり、気象予報士に求められる技能は、
気象資料を適切に解釈して現象の予想を行うことであり、
「斬新なアイディア」や「奇抜な独創性」は不要なのです。

学者として気象を研究するのであれば、独創性も必要かも知れませんが、
少なくとも気象予報士試験では、そういったことは求められていないわけで、
気象予報士に必要な知識・技能を習得していると試験で判断されれば、
「気象予報士試験合格」がもらえるわけです。

ですから、過去問題と似た問題が出るのは当然のことであると言えますし、
どのような知識や技能が気象予報士に求められているかは、
過去問題を分析すれば見えてきます。
良質の模擬問題が存在するのであれば、それで勉強するのも良いでしょうが、
すでに過去問題が豊富に存在する以上、
まずはそれを使って勉強することが望ましいと考えています。




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79、あの人はどのようにして気象予報士になったのか?
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試験で結果が出なかったり、勉強が思うように進まなかったりすると、
どんな人であっても、辛く感じるものです。
私自身、2回目の受験に失敗(専門知識のみ合格)したときには、
「もしかすると永久に合格できないのではないか」と思いました。
今にして思えば、難関資格である気象予報士試験において2度の不合格など、
大半の合格者が経験するであろうことだと思われますが、
目の前の試験結果は、それほどに人を落ち込ませてしまうわけです。

こんなときに、気象予報士として活躍している人が、
どのようにして試験を突破したのかを調べてみるのも良いでしょう。
気象予報士を志したからには、目標にする気象予報士がいるはずです。
その多くは、テレビ・ラジオなどで活躍するキャスターだと思います。

今はネット上にいろいろな情報が溢れている時代です。
ちょっとした調べ物をする際に、私は「ウィキペディア」をよく使います。

ご存じの方も多いかと思いますが、
このウェブ上の百科事典には、たいていのことが載っています。
例えば、世界遺産「石見銀山」へ今度行こうと思っているのですが、
これについても詳細な記事が載っていて、とても勉強になります。

また、従来のCD-ROM百科事典と大きく異なるのは、
歴史人物ではない著名人についての記事が数多く載っていることです。
目標にしている気象予報士の名前を入れて検索してみるのも良いでしょう。
中には、「○度目で気象予報士試験に合格」とか、
「試験勉強のため、□□まで予備校に通っていた」といった、
気象予報士試験の受験時代における苦労話が載っていることもあります。
ウィキペディアは、誰でも記事を執筆することができるので、
中には誤った情報も含まれているかも知れませんが、
大まかな人物像を知るためには、最も手っ取り早い方法だと思います。

テレビやラジオで颯爽と解説を行う気象キャスターの姿を見ると、
何もかもが順風満帆で、泥臭い部分など見えないかもしれません。
でも、それは「見せてないだけ」であって、実際には努力と苦労を重ねた結果、
試験に合格し、キャスターの仕事を手に入れた方も多いわけです。
実際に、私はそういった方々を数多く見てきました。
「あの方は、今は気象キャスターとして活躍しているけれども、
 あのとき挫折して諦めていれば、今の姿は無かったのだろうな。」
としみじみ思うことさえあります。

今回の試験で合格できなかった人の中にも、
将来、気象予報士として活躍する人が間違いなくおられるはずです。
未来を信じて頑張りましょう。




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80、講義録で勉強した人たち
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気象予報士試験の予備校講師という立場にある私ですが、
大学での学部は理学部ではなく、文学部です。
文学部において教育学を専攻していました。
教育学といっても、教師になるための勉強ではなく、
教育史を、具体的には戦前の学校教育制度(学制)を調べていたのです。

戦前の学制は、現在の学制とは大きく異なっていました。
今は、中学校も義務教育となっていますが、
戦前において、中学校(旧制中学)や高等女学校へ進学する人々は、
小学校(尋常小学校)卒業生のごく一部に過ぎなかったのです。

例えば、大正13年(1924年)における中学校の生徒数は約27万人、
高等女学校の生徒数は約25万人です。(※1)
中学校も高等女学校も5年制でしたから、
両者を合わせた1学年あたりの生徒数は10万人余りということになります。

これに対し、現在における大学の学生数は約250万人ですから、
1学年あたりの学生数は60万人余りとなります。(※2)
総人口の違いもあり、単純には比較できないものの、
大正時代において、中学校や高等女学校を卒業することは、
かなりの学歴エリートだと見られたはずです。

日本全体が現在よりも貧しかった当時は、
進学を諦めざるを得なかった人々も多かったことでしょう。
しかし、上級学校への進学を断念することは、
学びそのものを放棄することと必ずしもイコールではなかったのです。
学校へ行かなくても勉強できる手段、それが「講義録」の存在です。

「講義録」というのは、今で言うところの通信教育のことで、
その受講生数は相当に多かったようです。
例えば、早稲田中学校講義録の受講生数は、
大正13年において、約16万人にも上っています。(※3)
講義録を提供する会社・学校は数多くありましたから、
講義録で勉強する人々の総数は、
中学校・高等女学校の生徒数を上回っていた可能性もあります。
事情あって進学できなくても、勉強を続けようとした人がいかに多かったか、
講義録の受講生数は、それを示しているように思います。

時代は流れ、現在では「講義録」も進化しました。
NHKや放送大学では、テレビやラジオを通して、
自宅にいながら多くの授業を受けることができます。
また、DVDやインターネットを使った通信教育も数多くあり、
「学びたい」という意欲に応えるツールは豊富になっています。
あとは、これらをどう生かすかということです。


◆参考文献◆
※1:文部省編『学制百年史 資料編』
※2:文部科学省編『文部科学白書2006』
※3:竹内洋著『立身出世主義』NHK出版




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81、電車の中で過ごす時間を有効活用しよう。
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先日、高校時代からの友人と会う機会がありました。
人事異動で新しい職場に移ったとのことで、
それに伴い、マイカー通勤から電車通勤に変えたのだそうです。

「電車通勤は、車内での勉強時間を確保できるのが良い。」と彼は言います。
読書と仕事の準備に充てるため、わざわざ各駅停車に乗るとのこと。
急行よりも時間がかかりますが、そのぶんだけ車内は空いていて、
座席に腰掛けて、ゆっくりと本を広げることができるらしいのです。

電車の中といえば、携帯電話を開くのが習慣になっている方が多いでしょう。
最近の携帯電話は、実に多機能です。
メール・テレビ・ゲーム・ウェブなどが使えて、
もはや「電話」というよりは、「超小型パソコン」といった感じですね。
ちょっとした空き時間を埋める道具として、
携帯電話ほど適したものは無いかも知れません。

そんな中で、私は携帯電話をあまり使いません。
数ある機能の中で、最もよく利用しているのは「時計」だと思います。
朝5時に起きる際には、振動アラームをセットしています。
携帯電話といえば、「メール機能」を重宝している人も多いと思いますが、
私の場合、携帯電話からメールを送信するのは週に2〜3通程度です。

携帯電話なら、移動中もメールの送受信ができて便利ですが、
私は敢えて「業務としての携帯電話メールの使用」を制限しています。
ビジネスで使用するメールの大半は、パソコン(PC)を利用しているのです。
「携帯かPCか」これは好みの問題と受け取られるかも知れませんが、
私はPCメールを利用する3つの合理的な理由を挙げることができます。

 1,充実した文章作成ができる
 2,送受信メールの一元化
 3,セキュリティ対策を講じやすい

まず1ですが、「入力の速さ」という点では、
推測変換機能によって、携帯メールはPCメールに劣らなくなったと思います。
しかし、キチンとした文章を作るには、他のツールも必要だと考えます。
特に業務としてメールを使用する場合は、
過去にやり取りしたメールを簡単に確認・引用できると便利ですし、
用語や言い回しが誤っていないか確認できることを重視します。
これらについては、パソコンを使ったほうが圧倒的に便利です。
大きな画面で一覧性にも優れていますし、
メールソフトを立ち上げたまま、ブラウザでネット辞書を使用できるからです。

次に2です。
過去の送受信メールは、できるだけ1か所で管理するのが便利です。
これは紙媒体でも同じで、複数の引き出しに重要書類が少しずつ入っていると、
あちこちの引き出しをひっくり返して探し出さねばなりません。
「あのメールは携帯に入っていたか、それともパソコンの中か?」と、
いちいち考えて探すのは面倒なことです。
そこで、重要性の高いメールは全てPCメールに送ってもらうようにしています。
私は1996年からパソコンを利用しているのですが、
送信メール数だけで9000通ほどありました。
受信メールも含めると本当に膨大な数です。
これだけのメールを平気で保存できる容量の大きさも、
パソコンの利点であると言えるでしょう。

最後に3です。
軽くて小さい携帯電話は、持ち運びに便利ですが、
それは同時に、紛失・盗難の可能性があることを意味します。
送受信メールやアドレス帳が流出してしまう状況は何としても避けたいもの。
そういったことに備え、私の携帯電話は顧客アドレス帳を作成していません。
もし、携帯電話の中に重要情報をたくさん抱えておられる方は、
パスワード機能を利用するようにされるか、
これを機会に、パソコンに移して管理されることをお勧めします。
(もちろん、パソコンのセキュリティ対策も必要です。)
また、電車の中で携帯電話を開くということは、
知らぬうちに、誰かに画面を見られていることも考えるべきです。
のぞき見防止用のため、画面に貼る特殊フィルムも売られていますから、
こういったものを利用されるのも良いかと思います。

さて、話は電車の中での過ごし方に戻ります。
もし、気象予報士試験の勉強時間を確保したいと思っておられる方であれば、
電車の中では携帯電話を封印すべきです。
最初に述べたように、最近の携帯電話は多機能で、
いくらでも楽しめるようにできています。
これを使えば、少々の長い時間でも簡単に潰せるということです。

通勤・通学に電車の中で過ごす時間が長い人も多いでしょう。
その時間が長いほど、有意義な勉強時間を確保できます。
超満員電車であれば、勉強どころではありませんが、
座席に座れるか、座れなくても自分の周辺空間を確保できる程度であれば、
書物を広げることをお薦めします。
多くの人にとって、電車に乗ることは習慣となっているでしょうから、
「電車の中では本を読む」というルールを作ってしまえば、
勉強習慣を定着させやすいのです。

ちなみに、私も受験時代に電車内学習を実践していました。
野球部仲間が途中の駅で下車して、一人になったときは、
カバンから汗と泥にまみれたシャツをかき分けて、
底に埋もれている『一般気象学』(少し砂だらけ)を取り出したものです。

電車内学習に慣れてくると、手ぶらで車内に座っていることに、
何か物足りなさを感じるようになってきます。
ここまでくれば、しめたものです。




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82、添削を受けることで文章力は磨かれる。
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実技試験の難しいところは、記述で解答する問題が多いことにあります。
5つの選択肢から選んで解答する学科試験と大きく異なるのがこの点です。

実技試験で最も重要なのは、天気図などの気象資料の読み取りですが、
受験生の中には、これができるようになっても、
「解答内容を文章化するのが上手くいかない」と仰る方もおられます。
今回は、これについて私が考えていることを書いてみたいと思います。

 1,解答したいことを箇条書きで挙げてみる。
 2,書いた文章は自分で熟読する。
 3,添削を受けることが上達の秘訣。

まず、いくら文章力に自信のない人であっても、
述べたいことについて箇条書きで挙げることくらいはできるはずです。
例えば、実技試験で「60字程度で述べよ」とあれば、
2つか3つくらいの項目が浮かぶのが普通です。
それをハッキリと挙げることができないのであれば、
そもそも気象資料の読み取りが充分にできていない可能性が高いですから、
まずは、その学習から始めることをお勧めします。

もし、箇条書きで挙げることができるのであれば、
それらを文章としてつないでみれば良いわけです。
ここで大事にしたいことは、書いた文章を自分で読んでみることです。
自分で読んで意味の通らない文章であれば、
他人(採点者)が読んで分かるはずがありません。

実技試験での記述試験では、美しい文章が求められるわけではありません。
論理的で読みやすい文章であれば良いのです。
それは文才といったものではなく、
トレーニング次第で向上させることができるものだと思います。

文章力を高めるための最も効果的な方法は、
自分の書いた文章について、添削をしてもらうことだと考えます。
それは、私自身も添削を受けることによって、
以前よりもマシな文章が書けるようになった経験があるからです。

私が気象キャスターの仕事を始めて間もない頃、
当時の上司から徹底的に気象原稿の添削を受けたことがあります。
「これなら問題ないだろう」と思って書いた原稿であっても、
何か所にもわたって、辛辣なコメントを付けられました。
もちろん、指摘された内容は決して理不尽な内容でなく、
全て自分で納得できるものばかりでした。

自分が書いた文章の修正を受けることは、決して愉快なことではありません。
しかし、私は半年以上にわたって、この上司からの添削を受け続け、
その後に原稿書きで苦労することは滅多になくなりました。
上司が異動になった後は、私自身が新米の気象予報士に対して、
同じような原稿添削を行うようになったのです。

私が書いたメルマガやホームページの文章について、
美文だとか、名文だとか言われたことは一度もありませんが、
「論旨が明らかで読みやすい」という評価をいただくことはあります。
昔に受けた文章添削のおかげなのかも知れません。




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83、買った本で勉強するべし。
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他人から借りた教材で勉強しているようでは、
実力を伸ばすことはできない、私はそのように考えています。

たしかに気象予報士試験関連の書籍は、決して安いものではなく、
2000円〜3000円くらいの値段が付いているものは珍しくありません。
それでも、自分で買った本で勉強するべきなのです。

その理由は、「自分の本でないと自由に活用できない」ということです。
教科書・参考書というのは、キレイなままで使うものではないと考えています。
必要あれば、蛍光ペンで線を引き、赤ボールペンで書き込むべきなのです。

大事だと思った文章に線を引いておくと、
後でパラパラとめくったときに、その箇所をすぐに見つけることができます。
もし、線を引いてなければ、記憶を頼りに最初から斜め読みする必要があり、
すごく時間が無駄にかかってしまうのです。

本に出てくる用語が分からなかったときは、
事典(辞典)などで調べて、その意味を赤ボールペンで書き込みます。
また、本の文章だけでは内容を充分に理解できなかったときは、
「?」を書き込むこともありますし、
何らかの方法で解釈できたときは、「注釈」を書き入れておくのです。
これらの作業を行うことで、疑問点が明らかになり、
1度理解できた事柄については、2度悩むことがなくなるわけです。

さらに、場合によってはページの角を折ることもあります。
私がこれをするのは、面白そうな参考文献が紹介されているときです。
気象に限らず、何かに興味を持って本を読む際には、
その本の中で紹介されている別の本も読むことで、知識が広がります。

このように、本を使って勉強する際には、
ただ、キレイに読むだけでは、充分に活用できないと私は考えます。
私の場合、「これは素晴らしい本だ」と思ったものほど、
その本の中身は蛍光ペンとボールペンで「汚れて」いるのです。
他人や図書館で借りた本で、こんなことはできません。

あくまでも「読む」「中身を知る」ことが目的の本(小説など)であれば、
図書館や友人から借りるのも良いと思います。
しかし、「その本の内容を理解して頭に入れる」ということが目的なら、
お金を出して、自分のものにしてしまうことが大切です。

購入する本は別に新品でなくても良いのです。
「ピカピカの本でなくても、ちゃんと勉強できれば良い」
と考えるのであれば、古本を買うのも良いでしょう。

私は気象の本を100冊以上持っていますが、
古本として購入したものも数多くあります。
特に定価の高い本であれば、値引き金額も大きくなりますから、
AmazonやYahooオークションなどで探してみるのも良いでしょう。
ただし、最新の情報が求められる分野については、
その出版年を確認されることをお勧めします。




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84、登ってみて初めて見える景色がある。
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見たこともない食べ物が皿の上に置かれています。
これは美味しいのか、不味いのか?
いくら見つめていても、その味を知ることはできません。
食べてみることで初めて判断できるのです。

「〜をするほうが良いのか」「それとも、しないほうが良いのか」、
何か物事を始める際に、ひたすら悩む人がいます。
しかし、熟慮を続けても結論が出ないことが多いのです。

気象予報士試験の勉強や、気象キャスターを目指すことも同じです。
その勉強が自分に合っているのか、その仕事が自分に合っているのか、
結局は実際に始めてみなければ、よく分からないのです。

気象予報士試験に興味を持ったのであれば、
簡単そうな本を1冊買って勉強を始めてみればいいのです。
それで続けられそうだったら、それで良し。
ツマラナイと感じたら、別の本を買うか、勉強から撤退すればいいわけです。

1994年、大学入試の心配をしなくていい高校に在学していた私は、
高校1年のときに気象予報士試験の勉強を始めました。
勉強などというと少し大袈裟で、
実際には、一風変わった趣味といった感覚で始めたような感じです。
「資格取得」と「その後の将来」を絡めて考えたことは無かったのです。

「気象キャスターになりたい」と思うようになったのは、
気象予報士試験に合格してからのことです。

私は20歳でキャスターのお仕事をいただき、
27歳からは気象予報士塾の講師として、人前で話をする商売をしています。
そういった経歴だけを目にされると、私がいかにも子供の頃から、
「明るく話芸に長け、友達に囲まれた少年」を想像されるかも知れませんが、
もともと性格は内向的で、本を読んでいるのが好きな少年でした。
この性格は基本的に今も変わっていません。
その私に「テレビでキャスターをやりたい」と思わせたのは、
やはり、気象予報士試験合格としか考えられません。

この時期、試験勉強を始めて間もない方であれば、
「次の試験を受験しようか」と迷う方もおられるでしょう。
受験料は決して安くありませんが、
事情が許せるのであれば、受験されることをお勧めします。

「奇跡の一発合格」のために受験を勧めるわけではありません。
まぐれで完全合格できるほど甘い試験でないのは、
受験を経験した人なら誰でも知っていることです。
そうではなくて、受験手続きをすることで、
自分の意識を変えることが大事だと考えているのです。

実際に受験手続きを行い、「試験まで○○日」と意識すれば、
自分の中のスイッチが「ON」になります。
参考書を読むときにも、問題集を解くときにも、
受験生としての立場で接するようになります。
気持ちが高まることで、勉強内容が充実してくるわけです。

また、試験会場の空気も、実際に受験してみて初めて分かることです。
隣に座った受験生が、ボロボロの参考書を熱心に読んでいるのを見れば、
「この程度の勉強量ではイカン!」と実感できるでしょう。

初めての受験で、試験問題の難しさに衝撃を受けるかも知れません。
「とてもじゃないが、この試験を攻略するのは無理だ。」と感じたのであれば、
気持ちを切り替えて別の道に進むのも、1つの選択肢です。
逆に「何としてでも合格してやる!」と闘志を燃やす人もいるでしょう。
どちらにしろ、試験を経験することで次の行動が生まれるわけです。

このメルマガでは、いろいろな情報を載せていますが、
「知っている」と「実感している」は別物です。
自分の気持ちを変えるためには、実感することが必要なのです。




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85、作図問題の勉強法
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今はインターネットを使えば、無料で数多くの天気図を入手できますが、
一昔前までは、ラジオを聴いて自分で天気図を書くことが、
最新の天気図を手に入れるための手段でした。

私が始めて天気図を書いたのは小学5年生のときです。
「1989年」と書かれた天気図が今でも残っています。
http://rojiura.jp/make-play.htm#13

自分で天気図を書く際に最も苦心したのは、等圧線でした。
なかなか上手く滑らかに引けなかったことを思い出します。

「受験英語の神様」とも称される伊藤和夫先生(故人)は、
「言語の習得は理解が半分、理解した事項の血肉化が半分である。」
と述べておられます。(『英文解釈教室』はしがき)

それをパクる形で、作図が上手くなるための要素を表せば、
「作図が上手くなるためには、理解が半分、慣れが半分である。」
となるかと思います。

最初に勉強すべきことは、「作図の理屈」です。
「マニュアル」と言っても良いでしょう。
どのようにすれば等値線が引けるのか、前線を解析できるのか、
それらのルールについてしっかり学んで下さい。
いくつかの書籍に載っていますし、私が主宰する塾でも講義を行っています。

「作図の理屈」を学んだ後は、それを実践することです。
すでに数多くの気象予報士試験が実施されていますので、
過去問題を使って勉強されるのが良いでしょう。

最初から上手く作図できる人などいません。
慣れないうちは、解答例の作図をじっくりとご覧になり、
「なぜ、このような等値線になるのか」ということを観察して下さい。
解答例の作図が理屈と一致していることを確認するのです。

それが終わった後は、解答例を横に置いて、
解答例の模倣を始めるのが良いでしょう。
書道教室でお手本を見ながら筆を運ぶことと同じです。
もちろん、無意識に丸写しをするのではなく、
自分で作図の理屈を意識しながら、書くことが大事です。

その次のステップとして、今度は解答例を見ることなく、
解答例を再現できるように、練習していきましょう。
なお、作図練習を行う際には、
問題用紙のコピーを何枚も取っておかれることをお勧めします。
原本に直接書き込んでしまうと、一回しか練習できません。

作図問題は過去に数多く出題されていますから、
できるだけ多くの問題について、練習されることが望ましいでしょう。

私がそれなりに納得できる天気図を書けるようになるまで、
100枚くらいは書き続けたように記憶しています。
仮に、20種類の作図過去問題を5回ずつ練習すれば、のべ100回です。
何回練習すれば上手くなるか、というのは個人差があると思いますが、
作図の理屈を血肉化させるためには、慣れが必要だということです。





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86、大切なのは暗記よりも、理解。
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以前、あるキャスターの方と食事をしたときのことです。
その方は気象予報士だけでなく、法律関係の資格もお持ちなので、
気象法規についても詳しく知っておられます。

「藤田さん、気象業務法第24条の24で、
 『登録事項の変更の届け出』という規定があるのを知っていますよね?」

「気象予報士の氏名や住所に変更があった場合に、
 気象庁長官に届け出なければならない、という内容でしたね。」

「そうです。あれってキチンと届け出なかったときに、
 罰則があるかないか、ご存じですか?」

「・・・たしか、罰則は規定されていなかったはずです。」

「仰るとおりですが、ちょっと自信なさげですね(笑)。
 実は、条文を見れば、そのことはすぐに分かるんですよ。」

「どの部分を見れば良いのでしょう?」

「『遅滞なく、その旨を気象庁長官に届け出なければならない。』にある、
 『遅滞なく』という部分です。この表現って曖昧でしょう?」

「3日くらいかなと思う人もいれば、1か月程度と思う人もいるでしょうね。」

「そうなんです。条文に『遅滞なく』とか『すみやかに』と書かれていた場合、
 その内容に違反したかどうかを、客観的に決めることができないわけです。
 ですから、罰則は設けられていないんですよ。」

この話を応用して、気象業務法第22条の内容に当てはめてみましょう。
第22条は、予報業務の許可を受けた事業者が業務を廃止・休止する際に、
気象庁長官に届け出なければならない、といった内容ですが、
その期限が『(廃止・休止した日から)30日以内』と定められています。

これだと、遵法者と違反者の区別が明確ですから、
違反者に対して罰則があるのでは?と推測できるわけです。
実際に、気象業務法第50条に罰則が規定されています。

一般知識試験には、15問のうち4問の法規問題が出てきます。
「大気の熱力学」や「大気の力学」が難単元として知られていますが、
「気象法規」を苦手とする方も少なくありません。

法規の勉強をする際に、条文の丸暗記をする必要はないのです。
いくら出題法規の範囲が限られているとはいえ、
一つ一つを棒暗記する方法では、全てを学習する前に挫折する恐れが大です。

法律や規則があるのは、それが必要とされたからであり、
それを作っているのは生身の人間です。
「法律が作られた目的」を考えながら勉強することができれば、
単純暗記を必要とする部分を、かなり減らせるはずです。

例えば、気象業務法において「予報業務の許可」に関連する内容が多いのも、
天気予報が社会に与える影響が大きいからですね。
そこで、あらかじめルールを設けてあるのだ、と考えるわけです。
そうすれば、予報業務の許可を受けるために必要な事項、
違反者に対する制裁・罰則の規定なども、頭に入りやすくなるはずです。

円周率のように、規則性のない数の羅列を暗記するのは大変ですが、
意味や理由付けのできる話であれば、記憶に残りやすいですよね。
法規の学習は、内容を充分に理解することから始めるのが良いでしょう。




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87、アウトプットの作業で知識を定着させる。
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高校時代、たしか毎週月曜日だったと思うのですが、
英語の単語テストというものがありました。
単語帳数ページ分がテスト範囲で、テストには20問が出題されます。
多くの生徒が20点中15点以上の得点を取るのですが、
いつも私は5点以下だったと記憶しています。
英語に限らず、元素表だとか、古文における動詞の活用だとか、
とにかく暗記を要する作業が極めて苦手でした。

「頑張って覚えると、頭の中に記憶の回路ができるので、
 物覚えも良くなるのだよ。」
と英語の先生が仰っていたのを覚えています。
しかし、そうは言われても、
エスカレーター式で大学に進学できる学校にいた私は、
勉強に対する気力そのものが低下していましたから、
歯を食いしばってまで暗記に勤しむことがどうしてもできませんでした。

このように、記憶力に自信のない私は、
「定期テスト前に教科書を丸暗記した」と友人から聞かされて驚き、
放送業界に入った後は、3分に及ぶ「放送原稿」を、
丸暗記するキャスターを見て驚いたものです。

気象予報士試験の勉強は、大量の暗記を必要とはしないものの、
「なかなか知識が頭に定着しない」とお悩みの受験生も多いことでしょう。
大人になってから行う勉強は、周囲から強制されるものではないだけに、
忍耐・根気・辛抱・苦痛・我慢などを伴う勉強は、なかなか大変なものです。

ここで受験生の皆さんに、1つの方法をご紹介しましょう。
それは「アウトプットの作業をすることで記憶の定着を図る」ことです。

1つの分野について学習が終われば、
習得した知識を、テーマごとに紙に書き出してみて下さい。
分量はA4用紙片面、もしくはノート1ページ程度が良いでしょう。
例えば、「ハドレー循環」をテーマにするならば、
「熱帯収束帯」「貿易風」「亜熱帯高圧帯」「亜熱帯ジェット気流」など、
いくつものキーワードを必要とします。
言葉だけでなく、図や表などを書き加えると良いでしょう。

こうして習得した知識を可視化することで、
知識の不足している部分や、理解の曖昧な部分が明らかになります。
知識や理解が不十分であると、その部分のアウトプットができない、
つまり、「白紙」という形で現れるからです。

ある気象キャスターは、放送前にモニターを見ながら、
放送内容を何度も繰り返して口に出しておられました。
事前に話す内容をアウトプットすることで、頭の中が整理されます。
そして、話の内容に飛躍や論理的矛盾がないか、
分かりやすい説明になっているかどうか、
といったことを確認されているのだと感じました。

知識の定着を図るためには、ただ注入するだけでなく、
それらを消化しやすいように、整理することも大切だということです。




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88、過去問題演習での注意点
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初めて解く過去問題を前にして、良い点数を取ることは、
勉強を続けていくうえで、大きな励みになります。
しかし、過去問題の点数に一喜一憂し過ぎるのは考えものです。

確かに初見の実技問題で70点取れるのは喜ばしいことです。
しかし、それで気象予報士試験に合格できるわけではありません。
試験会場で受ける本試験に合格しなければ、資格は取得できないわけです。

過去問題演習を行う意義は、これまでの出題傾向を把握し、
解法を理解したうえで、蓄積していくことにあります。
その視点に立てば、着目すべきことは、
70点を得られたことではなく、30点を失ったことです。

解答用紙には「×」が付くだけのことですが、
「×」が付いた理由は、受験生によって異なります。

・問題の内容が分からなかった。
・問題内容は分かったが、その解法が見えてこなかった。
・時間切れで、問題に取り組めなかった。
・問題文を読み違えていた。
・問題にある資料の読み取り方が分からなかった。
・解答は思い浮かんでも、適切な文言が思い浮かばなかった。
・解答を求められていないことを答案として書いてしまった。
・答案の中に誤字脱字や日本語としておかしな文があった。

前半の5項目は全ての試験に対して、
後半の3項目は実技試験に対して考えられる「×」の要因です。

次に似たような問題が出たときに正答するため、
克服すべき課題は、誤答の種類によってさまざまです。
そして、自分の弱点を分析し、それを解消するのは、
受験生自身が行わねばならないことです。
実力が伸びるか否かは、これができるかどうかで決まります。

自己採点で○を付けるのは嬉しいものです。
逆に、自分の答案に×を付けるのは誰でも辛いものです。
しかし、大事にするべきことは×の付いた問題であり、
ここから目を背けるべきではありません。
「本当は分かっていたんだけど・・・」「うっかりミスだった。」
といったゴマカシをしているようでは、何度でも同じところで失敗します。

初めての問題演習で70点取ることよりも、
100点を取れるまで何度も演習を繰り返すことのほうが、
本試験の準備のためには大事なことなのです。




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89、試験会場で心を落ち着ける方法
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試験に対する緊張の度合いは、その試験の重要度に比例します。
自分にとって大事な試験であるほど、緊張度は高まります。

私が最初に大きな試験を受けたのは、中学入試のときでした。
2つの中学校を受けたのですが、「滑り止めの学校」を受験したときは、
ハッキリ言って、塾で模擬試験を受けている気分で合格しました。

しかし、その後に受けた「行きたい学校」の入試の際には、
想像以上の緊張感に襲われたことを思い出します。
特に算数の試験の際には、頭が真っ白になってしまうほどでした。
実は、その学校の偏差値は「滑り止めの学校」より低かったのですが、
そんなことは本番では関係ありません。
事前に「9倍」という競争率が公開されていたことも影響してか、
「失敗したらどうしよう」という思いが、激しい緊張感につながったようです。
それだけ、その中学校に入りたかったということですね。

まあ、何とか合格できたから良かったものの、
試験における過度の緊張感は、間違いなく実力を下げる方向に働きます。

もちろん、気象予報士試験でも同じことで、
「放送局のアナウンサーも受けに来ているかも?」といった、
ミーハーな気分で受験していれば、お気楽なものですが、
半年に一回の真剣勝負として試験に臨んでいる受験生は、
多かれ少なかれ、気分が高揚するものです。
高まる緊張をほぐし、できる限り平常心で試験に臨めるようにすることこそ、
試験前において第一に成すべきことです。

中学入試のときにも、気象予報士試験のときにも、
分厚〜い参考書を広げている受験生を私は数多く見かけました。
試験前に参考書を読みふける最大の理由は、
「最後まで諦めずに、知識を吸収する」ということだと思いますが、
土壇場で足掻いても、そう知識量など増えるものではありません。
今まで続けてきた勉強時間に比べれば、試験前の数十分など微々たるものです。
そんな小さな可能性にかけるよりも、
自分の潜在能力を最大限に引き出す努力をしたほうが、得だということです。

「参考書を読むほどに心が落ち着く」というのなら当然良いのですが、
「参考書を読むほどに不安が高まる」のであれば、絶対にやめておくべきです。

試験会場では、「平常心を取り戻す」ことに気を配りましょう。
例えば、試験とは全く関係のない本・雑誌・新聞などを持ち込んで、
のんびりとページを捲るのも良いでしょう。
漫画本などは、こういったときに最適ではないでしょうか。
できれば、普段から読み慣れているものが一番良いでしょう。
私なら、『浦安鉄筋家族』や『ミナミの帝王』あたりを選ぶと思います。

大事なことは、試験会場の教室内で、
ボロボロの『一般気象学』を読む受験生を見ても、うろたえないことです。
試験は受験生どうしの戦いではありません。
受かるも落ちるも、自分の振る舞いで全てが決まるのです。
自分に合った緊張解消法で、普段どおりの実力を出せるようにしましょう。




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90、合格して受験勉強を終えよう。
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いよいよ試験まで1週間となりました。
試験を受ける皆さんにお伝えしたいことがあります。
それは、合格を手にしたうえで受験勉強を終えて欲しいということです。

北京オリンピックを見ていますと、
この大舞台を最後にして、現役生活に終止符を打つ選手も多いようです。
中でも、自分が満足できる結果を残せたうえで引退することは、
1つの理想であるに違いないでしょう。
仮にメダルが取れなくとも、予選敗退であったとしても、
「日本代表として五輪出場を果たせた」というだけで、
満足できる競技者人生だったと感じる選手も多いはずです。

しかし、気象予報士試験という舞台を考えたとき、
「満足できる結果」=「合格」以外に考えられないはず、と私は思っています。
受験制限のない試験において、「受験できただけで大満足」は無いでしょう。
つまり、受験生が「試験のための勉強」を終えるのは、
合格したときか、(もちろん合格後も勉強そのものは続けるべきでしょうが)
嫌気がさして諦めてしまったとき、のどちらかなのです。

もちろん、気象の勉強に対する興味が尽きてしまえば、
受験などやめて、さっさと新しいことを始めれば良いのですが、
もし、「気象予報士になりたい」という気持ちが残っているのであれば、
決して勉強を諦めるべきではないと思います。

試験日は、気持ちに大きな区切りが付く瞬間でもあります。
試験前日までトイレにまで参考書を持ち込んで勉強していた人でも、
試験が終わってしまうと、本に見向きもしなくなる場合があります。
それで試験に受かっていれば良いのでしょうが、
合格するのは受験生の約5%というのが、気象予報士試験なのです。

「試験前に何を言うか」と思われた読者の方もおられるかも知れません。
今回は受験生の約95%を占める方々に向けたアドバイスを書いています。
試験後に発行するメルマガに書いたのでは、
気持ちが切れてしまって、このメルマガを開かない方もおられるだろうと思い、
敢えて、この時期に書いているのです。

要は「勉強のペースに波を作ってはいけない」ってことです。
おそらく、最近1か月くらいで、
火がつき始めたように勉強を始めた方がおられるはずです。
それで合格すれば、「短期集中で要領よく受かった」となりますが、
全体として見れば、本試験に間に合わない方が圧倒的に多いのです。
気象予報士試験は、それくらい難度の高い試験だということです。

短期的に集中しすぎると、その反動で試験後に勉強が手に付かなくなります。
そして、次の1月試験が近づく年末あたりになって再び猛勉強・・・。
これは努力の仕方が間違っていると言わざるを得ません。
何度も何度も受験しても、一向に結果が出ない場合は、
「勉強のペースに大きな波がある」ことが一因として考えられます。

試験が終わって、自己採点を行ったうえで、
このメルマガをもう一度お読みになることをお勧めします。




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91、「実行」のために「有言」する。
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先日(2008年8月27日)、日本経済新聞朝刊の1面に、
株式会社ウェザーニューズに関する記事が写真付きで載っていました。
入社して僅か1年余りの社員によって開発されたシステムが、
大きな成果を上げたという内容で、
その成功は、この会社の社風にあると記事は分析しています。
記事を引用してみます。

> 「不言実行」より「有言不実行」。
> 同社は三カ月おきに自分の目標を広く宣言することを社員に求める。
> こっそりやって成功するより、大見えを切って失敗する方が評価が高い。
> 一人で閉じこもっては顧客が欲しがるサービスは生み出せない。
> 周囲を巻き込む手法を社風にまで高める。
(『日本経済新聞』8月27日朝刊・1面「働くニホン」より一部引用)

この考え方は、私がウェザーニューズに在職していた当時からあり、
会社を退いた後、久々にこの記事で目にしました。
何かを実行するためには、実現するためには、
まず「有言」することが、最も大切だということです。

これは、あらゆる物事について適用できると思います。
例えば、気象予報士試験でもそうです。
友人や同僚に対して秘密にしたまま、受験している人が結構います。
実は私もその一人でしたから、気持ちは良く分かります。
不合格になるのが格好悪いということです。

秘密受験であれば、失敗しても恥をかくことはありません。
しかし、秘密受験であれば、受験に対するモチベーションが下がっても、
それを突いてくれる人、盛り上げてくれる人もいないということです。
つまり、合格まで勉強を続けることができずに、
一人でこっそりと受験を諦めてしまう可能性もあるのです。

どうしても合格するまで勉強を諦めたくないのであれば、
堂々と受験宣言をしてしまいましょう。
さらに受験生仲間を作って、「○月の試験に合格する!」と互いに宣言すれば、
競争原理もはたらき、良いプレッシャーをかけることができるでしょう。
もちろん、「勉強に行き詰まったときに助け合う、励まし合う」という点でも、
受験生仲間を作ることの大きなメリットです。

私は気象予報士試験の合格後に、「有言」の大切さに気づきました。
その後、事あるごとに私は「将来は○○か△△という番組に出演する」などと、
(○○や△△には、誰もが知っている有名な報道番組名が入ります。)
大風呂敷を広げて、方々に触れ回ったものです。
結局、私の目標は少し違った形にはなったものの、
約3年後に実現することとなります。
「藤田とかいう、目立ちたがりの小僧がいるらしい」ということが、
業界関係者の耳に入ったようです。

「自分を奮い立たせること」「協力してくれる仲間を得られること」
実現したいことを高らかに宣言することには、
この2つの効能があるように思います。ぜひ、お試し下さい。




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92、勉強に終わりはない。
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現在、テレビやラジオで活躍している気象キャスターは、
大きく2種類に分けることができます。

A:放送用原稿を自分で作成しているキャスター
B:他人に作成してもらった原稿を読むだけのキャスター

中には原稿を作成せずに、そのまま解説を行う人もいますが、
これは頭の中に自分で作った原稿があるということですから、
Aタイプに分類されます。

気象予報士として、解説業務を行うのであれば、
Aタイプのキャスターを目指したいところです。
しかし、試験に受かったからといって、資格を持っているからといって、
必ずしも自分で解説原稿を作成できるとは限りません。

受験生から見ると、気象予報士試験というのは、
非常に高いハードルのように見えます。
しかし、実際の業務を行うためにおいては、
試験合格レベルの知識・技能では充分とは限りません。
気象キャスターの平井信行さんは、著書で次のように述べておられますが、
私もこの意見に大いに納得できます。

> 私が思うに気象予報士試験は、単なる運転免許に過ぎない。
> 免許を持っていても運転しなければ上手くなれない。
> 本来は、一年間ぐらいの実地経験を経て初めて、
> 資格を与えていいのではないかと思うことがある。
『天気予報はこんなに面白い』角川書店 2001年 P,80より引用

実際の気象実務を行うためには、試験科目以外の勉強も必要です。
これはどんな分野を担当するかによって、大きく異なりますが、
私の担当していたマスメディア向けの気象業務であれば、
暦・歳時記や、生活と気象との関わりについて、
かなり詳細な知識が求められました。
放送用原稿を作成するのであれば、作文能力も求められますし、
実際に自分が出演するのであれば、喋るための技術も必要です。
これらを習得するためには、勉強しなければなりません。

さらに、予報技術の進歩は早いので、
常に最新の情報を学んでいく必要があります。
気象予報士の資格は生涯有効ですが、
もし、試験合格から10年間にわたって、何も勉強をしなければ、
実業務に携わることは厳しいだろうと思われます。

気象業務従事者というのは、一種の専門職であり、
他の人が持たない知識や技能を有することで成り立つ職業です。
特に、アウトプットを仕事とする気象キャスターは、
常にインプットを心がけていないと、やがて知識が枯渇します。
勉強に終わりはない、ということです。




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93、マスコミに出るということ。
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国際エコノミストの長谷川慶太郎さんは、
その著書『情報力』の中で、次のように述べています。

> 私はよく「マスコミに出ることは、
> ピラニアに自分の肉を食わせるようなものだ」と言っている。
> (中略)
> だからピラニアにかじられるよりも、
> 自分の肉を増殖させる速度のほうが上回るという自信がない場合には、
> マスコミにはかかわらないほうがいい。
(長谷川慶太郎『情報力』サンマーク出版 1997年 P,60〜61)

私がこの本を最初に読んだのは、24歳の頃だったと思いますが、
「自分はマスコミに出るのが早すぎたのではないか」と感じたことがあります。

私が初めてテレビに出演するようになったのは、20歳のときです。
調べたわけではありませんが、おそらく「気象予報士」としては、
全国で最年少の気象キャスターだったと思います。

若くして世に出れば、世間の注目も集まりますから、
そういった点では心地良いものです。
しかし、インプットが充分でないままマスコミに出ることは、
アウトプット量に、インプット量が追いつかなくなる危険性を含んでいます。
肉を食いちぎられて、骨だけになってしまう恐れがあるということです。

実力よりも評価・評判が先行する形になるのは、危ういものです。
当時、私は初めてメルマガを発行することにしたのですが、
そこには、こういった危機感があったのかも知れません。
黙々と天気に関するコラムを100本以上書き続けたのです。

一方、自分に対する周囲の評価が、
自分の実力よりも遅れていると感じる方もおられるでしょう。
私もそうだったので、よく分かりますが、
若いときほど「早く成功したい」と熱望し、
「目に見える結果を早く出したい」と奮起します。
結果を急ぐと、どうしても短期的な視点ばかりが優先され、
物事を長期的に考えることができなくなるのです。

しかし、どんなことでもそうでしょうが、
成功して結果を出すためには、充分な準備期間が必要です。
充分な蓄積の時間を与えられていることをラッキーだと感じるほど、
気持ちの余裕を持つことができてこそ、
腰を据えて勉強を続けることができるのではないかと思うのです。




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94、出題された問題について勉強することが大事。
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大きな紙の上に「◎」が描かれていて、
それを指定時間のうちに、色鉛筆で塗りつぶすゲームがあったとします。
「◎」のうち、内側の小さな○には「60点」、
内側の小さな○と外側の大きな○との間には「30点」、
「◎」の外側には「10点」と記載されています。
それぞれの領域を塗りつぶせば、これだけの点が与えられるのです。

もちろん、このゲームで高得点を挙げるためには、
まず、内側の小さな○を塗りつぶすことが先決です。
内側の小さな○を仕上げてから、外側に色鉛筆を進めることになるでしょう。
当然ながら、「◎」の外側に手を付けるのは最後です。

色塗りゲームの例え話をしたのは、
このような考え方が試験勉強で必要だと思っているからです。

気象予報士試験で出題される範囲は、概ね決まっています。
過去問題を分析してみると、すぐに分かりますが、
解答を導くために必要な「知識」「思考過程」の似た問題が多いのです。
分野によっては、過去10回以上出題されている部分もあります。
こういった箇所は、先ほどの「◎」で例えると、内側の小さな○です。
勉強の成果が最も得点につながりやすい場所です。

もちろん、試験では新しい知識や思考法を問うものも出題されます。
しかし、それは問題全体の割合からすると、わずかを占めるに過ぎません。
先ほどの「◎」に例えれば、円の外側に位置しているのです。

「次の試験で新たに出題されるのは何か?」というのは、
多くの受験生にとって、大いに気になることですが、
それを予測することは至難の業です。
「◎」の外側には、限りなく多くの事項が広がっていて、
問題を作成する材料は、数多く存在しているのです。
仮に予測が的中しても、それは問題全体の一部に過ぎません。

受験生として、他人が知らないような情報を、
手に入れたくなる気持ちは分かりますが、
それは明らかに「◎」の外を色鉛筆で塗ろうとする行為です。

試験対策で大事なのは、「◎」の円内について、
どれだけ丁寧に勉強できるかってことです。

今回の試験で合格された方々のお話を聞いていると、
驚くほど丁寧に、過去問題演習を進めておられたことが分かります。
満点が取れるまで、何度も繰り返して勉強されているのです。
もちろん、学習には長い時間を要します。

実のところ、行うべき勉強の範囲は概ね限られているのです。
この範囲について、愚直に勉強を続けることが、
合格への最短経路であると私は確信しています。




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95、自分を奮い立たせる方法を持っているか。
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先日、私が主宰する塾において、「合格お祝い金贈呈式」を行いました。
所定の条件を満たした方が気象予報士試験に合格された場合、
これまでにお支払い下さった受講料の半額に相当する金額を、
「合格お祝い金」としてお贈りしているのです。

メルマガの本文では、原則として塾の広報を行わないことにしていますので、
合格お祝い金制度そのものの詳細について関心のある方は、
「藤田真司の気象予報士塾」のホームページをご覧下さい。
ここでは、私がこの制度を採用した背景にある、
「目標達成のための方法」についての考え方を述べたいと思います。

私は「あらゆる行動には、動機が存在する」と考えるのですが、
それは、大きく2つに分けられます。

1,「○○をしないと損をする。だから○○をしよう。」
2,「○○をすると得をする。だから○○をしよう。」

1はマイナスから逃れようとするための行動、
2はプラスを得ようとするための行動ですね。

子供であれば、「先生に怒られないように、宿題をキチンとする」、
「野球部を辞めさせられないように、中間テストで良い点を取る」
といったことも、よくあるように思いますが、
自発的に行う大人の勉強は、2の動機で進めたいものです。

よく、「自分へのご褒美」という言葉を耳にしますが、
動機付けのためにご褒美を有効活用するためには、
「ご褒美をあげる人」と「ご褒美をもらう人」は別々のほうが良いのです。
自己裁定では、どうしても基準が甘くなってしまいますし、
自分の左手から、右手にご褒美を渡すよりは、
他人からもらったほうが嬉しいですからね。
そこで、「合格お祝い金」という制度を採ることにしたわけです。

もっとも「合格お祝い金」は、数ある動機付けの一つに過ぎないと思います。
これをきっかけにして、勉強を進めていくうちに、
「勉強そのものに充実感を覚えるようになった」と仰る方も多くおられます。
こうなれば、「もっと学びたい」という気持ち自体が、
さらなる勉強への大きな動機になります。
もちろん、「気象キャスターになりたい」「資格を取って転職したい」
といった目標が、大きな動機になっている方も多いでしょう。

動機は数多くあるに越したことはないのです。
できれば、その中に「遠くにある大目標」だけでなく、
「わりと手の届きそうな小目標」「少し遠くにある中目標」といった感じで、
種類の異なるものを揃えておくのが理想的だと思います。




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96、その習慣、本当に必要ですか?
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まず、「ニュートンの運動の第1法則(慣性の法則)」をご紹介します。

「物体に加わる力がなければ、その物体は現在の運動を続ける。」

つまり、静止している物体は、そのまま止まった状態を続け、
時速30kmで真っ直ぐに動いている物体は、そのまま動き続けるわけです。
地球上では、空気などによって運動を止めようとする力が働くため、
投げたボールはやがて止まってしまいますが、
宇宙空間で投げたボールは、どこまでも飛び続けるわけです。

この有名な物理の法則は、人間の行動と似ているように思います。
「今やっていることは、とりあえず今後も続ける。」ということです。

例えば、通勤や通学で電車を毎朝使っている人であれば、
何時何分の電車に乗るか決まっていることが多いでしょう。
それどころか、「前から3両目の車両で、一番後のドア」といった感じで、
乗り込む場所まで決めている人も少なくありません。
私も中学時代から通学に電車を使っていましたが、
いつもの電車・車両・ドアが決まっていました。
周囲の顔ぶれも、概ね同じだったように記憶しています。

昼食を摂るために入る食堂も、数軒のうちのどれか。
夕方、駅から歩いて家まで帰る道のりも同じ。
このように、一度決まった行動については、
特に疑問を差し挟むことなく、そのまま続けることが多いのです。

気象予報士試験の勉強を本格的に進めていく際に、
「勉強時間をどうやって確保するか」が課題となります。
そのときによく出てくるのが、「寝る時間を減らす」という方法ですが、
これはお勧めできない、ということを以前にも書きました。
むしろ必要なのは、起きている間の生活行動を見直し、
不要な習慣が見当たらないかを、点検することです。

試験に合格された方にお話を聞いてみると、
「テレビを見るのをほとんどやめた」と仰る方がおられました。
たしかに、テレビを見ることは習慣性の強い行動です。
特に独り暮らしの方であれば、部屋も静かであるがゆえに、
「とりあえず、テレビをつけておく」ということも多いでしょう。

面白いテレビ番組を数多く知っている人ほど、
テレビを見る習慣から離れられませんが、
試験勉強の時間を確保するためには、
この時間を「聖域化」するべきではないと思います。

不思議なことに、「テレビを見ない」という習慣をつけてしまうと、
それほど苦にならないそうです。
私自身、夜に放送しているバラエティー番組やドラマは滅多に見ませんが、
それをキツイと感じたことはありません。
見ないことで損をしている部分もあるのでしょうが、
得をしている部分もあると思います。

新しい習慣(ここでは受験勉強)を定着させるためには、
これまでに存在している習慣の一部を取りやめることが大切です。
1日のうち、自分の意志で自由に行動できる時間は限られているからです。




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97、効率的な学習のためにお金を遣う。
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小学生だった頃、近所にある公民館へよく行きました。
公民館の2階にある図書室には、子供向けの本が数多く並んでおり、
特に夏の暑さが厳しいときなどは、涼しく読書を楽しめたものです。

冷暖房が行き届いていて、なおかつ静かな図書室は、
常に多くの人が利用していました。
しかし、その利用者の大半は本を読みに来たのではなく、
受験勉強のために来ていました。

あれから20年ほどが過ぎましたが、
最近は図書館での自習を禁じているところが多いようです。
やはり、本来の目的とずれているわけですから、
そこで読書をする人が最優先、ということなのでしょう。

それに代わって、このところ目にするのが「自習室」の存在です。
私は授業のために、大阪へ週2回行きますが、
「貸し自習室」と書かれた看板がよく掛かっています。
有料で自習スペースを提供してもらえるのです。
設備や立地にもよりますが、月額1万円〜3万円程度で利用できるようです。

考えようによっては、勉強するだけのスペースを確保するために、
わざわざ、これほどの大金を毎月支払うことに、
抵抗を感じる方もおられることでしょう。
確かに、自宅で勉強すれば余計なお金は掛かりません。

しかし、これほど自習室が流行っているということは、
多くの人が価値を認めているとも言えるでしょう。
実際、私が主宰する塾でも、ある受講生の方が自習室を利用されていました。
ご自宅ではなかなか密度の高い勉強ができなかったそうですが、
自習室では、集中して学習を続けることができたそうです。
その成果は、「気象予報士試験合格」という形で表れたのです。

お金をかけたからといって、必ず成果が出るとは限りませんが、
お金を出し渋ることで、勉強が非効率になってしまうことは多いのです。
その1つが、インターネットによる情報収集に対する過度な期待です。

定額料金でインターネットを利用できるようになったことで、
接続に要する通信費は、10年ほど前に比べて非常に安くなりました。
しかし、ネット検索は決して万能ではありません。

ネット上の情報の中には、真偽が曖昧なものが数多く含まれています。
特に個人が発信している情報内容には、充分に注意する必要があります。
また、情報内容が正しくても、一般的にネット上の情報は、
教科書や学習書として掲載されているわけではありませんから、
断片的な内容が多く、何かを基礎から順番に学ぶ際には不適です。
充分な知識を持った人が、補助的に活用することで、
「最新情報をいち早く得られる」などといったメリットを享受できる、
私はこのように考えています。

インターネットなら何でもタダで情報収集できると考えて、
本を買うことを躊躇うと、効果的な学習から遠ざかってしまいます。
マウスをいくら動かしても、優れた本10冊にはかないません。

では、優れた本を見つける方法は何か?
もちろん、その道をよく知る人からアドバイスを受けることも有益ですが、
本当に自分に合った本を見つけるためには、
自分で試行錯誤しながら、本を買い集めていくことです。
結局、身銭を切らないとダメだということです。




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98、忘年会の二次会には出ない。
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私が通っていた高校は、ある私立大学の系列校でした。
今はどうなっているか知りませんが、
当時は全生徒の大半が、推薦で系列の大学に進学していました。
私もそのうちの一人です。

推薦入試と言っても無試験ではなく、一応は入学試験がありましたが、
私が受けた筆記試験は、英語のテストだけ。
しかも、辞書の持ち込みが許されていました。
しかも、その入試問題は前年に出されたものでした。
しかし、私は問題の意味が全く分かりませんでした。

持ち込んできた英和辞書を使って、
長文の単語を一つ一つ調べていくのですが、
個々の単語が分かっても、文法が分からなければ、
文の意味を取ることはできません。
結局、何も分からないまま、適当に記号を入れただけでした。
それでも平然としていられたのは、この英語の試験が、
本質的に合否を左右するものではないことを察していたからです。

これほど出来の悪い受験生だったのも無理はありません。
「問題行動さえ起こさねば、上(大学)には必ず行ける」
という認識があったものですから、
まともな勉強など、何一つしていなかったのです。
定期試験などで午前中に下校できる場合は、
「普段はできないのだから」と自転車で山登りをし、
友人の家に集まって、深夜までバカ騒ぎに興じていました。

そんな中、敢えて推薦入試を受けずに、
一般受験で他大学に合格し、進学した生徒が何人かいました。
煙でモウモウになった部屋で、私が麻雀牌をかき回していた頃、
おそらく、彼らは赤本と格闘していたのでしょう。

他人と違う結果を残したいのであれば、
当然ながら、他人と異なる時間を過ごす必要があります。
これは気象予報士試験に挑戦するときも同じです。
大勢と馴れ合っているようでは、勉強時間を確保できません。

例えば、今は忘年会シーズンですが、
二次会・三次会と飲み歩いているようでは、ダメです。
一次会に参加することで「つきあいの義理」は果たしたと考え、
帰りの電車の中で参考書を広げるくらいの気持ちが大切です。




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99、一年の計は年末にあり。
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2008年も残すところ10日となりましたが、
今年を振り返ってみて、いかがでしょうか?

このメルマガをお読みになっておられる方の中には、
 ・念願の気象予報士試験に合格できた
 ・初めて学科試験に合格できた
 ・初めて気象予報士試験に挑戦できた
今年1年で達成できた目標をお持ちの方も多いかとお察しします。

一方で、いろいろなご事情もあって、
 ・試験勉強が思うように進まなかった
 ・試験勉強を中断してしまった
 ・気象予報士試験に挑戦しようと思いつつ、できなかった
といった方々もおられるに違いありません。

今年の反省をバネにして、ぜひ来年には目標に向けて、
第一歩(もしくは再スタート)を踏み出していただければと思います。

このメルマガを書くときもそうなのですが、
最初に書き始めるまでが、なかなか時間がかかるのです。
半月に一回のメルマガですが、たいてい書き始めるのは前日か当日です。

しかし、原稿画面を立ち上げて、
少し書き始めてしまうと、後は比較的簡単に筆が進みます。
不思議なのは、何か書き始めることで、
次に書こうとする内容が頭に思い浮かんでくるのです。
一人でウンウン考えているときよりも、
その内容について、人と話をしているときのほうが、
良い考えが浮かんだりすることと似ています。

勉強もこれと同じであると言えるかも知れません。
最初の一歩を踏み出すまでが大変です。
特に、気象予報士試験は「理系科目の試験」というイメージが強く、
学生時代に文系だった方には、取っつきにくい印象があります。
確かに、理系科目を勉強する必要があるのは事実ですが、
一つ一つを着実に学んでいけば、確実にレベルアップできるのも確かです。
これは、文系・理系に関係なく、勉強に共通して言えることでしょう。

これまで文系の勉強をしてこられた方が、
理系の資格も取得できるなんて、カッコイイじゃないですか。
そう考えて、第一歩を踏み出してみることが大切だと思います。

さて、「一年の計は元旦にあり」というのは有名な諺ですが、
できることなら、年末から計画を練っておかれることをお勧めします。
確かに、年末は何かと忙しいのですが、
29日や30日になれば、ある程度まで落ち着くはずです。
そこで、今年1年を振り返ったうえで、
来年に実現したいことを思い浮かべてみて下さい。
そうすれば、新年を迎える際には、
それを実現するための具体的な方法が少しずつ見えてくるはずです。




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100、種をまくから、収穫できる。
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私が気象予報士の勉強をしていた頃、
「そんな勉強をして、どんな役に立つのかね?」
と言われたことがあります。

私が気象予報士試験の勉強を始めたのは1994年(平成6年)のこと。
第1回試験が実施されて間もない頃でした。

今ではテレビやラジオの気象解説と言えば、
気象予報士が出てくるのが当たり前になりましたが、
当時は、資格そのものが今ほどには知られていなかったのです。

もし、私が途中で勉強を投げ出していれば、
その後の人生は、大きく変わったものとなっていたことでしょう。

勉強をすることは、畑に種をまくことと似ています。
種そのものを食物として食べることもできるわけですが、
敢えてそれをせずに、種を土に埋めて、水を撒き、肥料をやるわけです。
勉強のために「時間」「労力」「お金」を使うということです。

こうして、種が芽を出し、苗が生長していくわけですが、
「○○年に収穫できる」と予め決まっているわけではありません。
しかし、これだけはハッキリと言えます。
種をまいて、育てなければ、絶対に収穫できないということです。

何もこれは気象予報士試験に限った話ではなく、
楽器でも、語学でも、肉体改造でも、同じだと言われています。

私は4年ほど前に、アコーディオンを買いましたが、
もうずっと、押し入れで眠ったままです。
大きいので、かなりのスペースを占領し続けています。
フルートだったら、もっとコンパクトなのですが、
cobaさんに憧れてアコーディオンをやってみたかったので、仕方ありません。

「マンションだから楽器はダメ」というのを言い訳にして、
この4年間ほとんど触っていませんが、
1週間に1回でも、カラオケ店で練習していれば、
「My Way」が弾けるようになっていたような気もします。
種をまいたが、その後の世話を怠っているということです。

気象予報士試験で挫折する人は、収穫時期が見えないからです。
「そんな勉強をして、どんな役に立つのかね?」
という心の声が聞こえてくるからです。
しかし、種まきの時期と収穫期の間には、必ずブランクがあります。
未来を信じて耕し続ける人だけが、収穫できるのです。




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101、合格体験記の読み方
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気象予報士試験の参考書などに、「合格体験記」が載っていることがあります。
また、ネット上で【気象予報士 体験記】などと検索してみると、
数多くの合格体験記を目にすることができます。
試験合格を目指す人にとって、合格体験記は羅針盤のようなものです。
成功者の足取りを文章で追うことで、有益な情報が得られるからです。

合格体験記を読む際には、3つのポイントがあります。
 1:着眼点を決めたうえで読む。
 2:納得できたものだけ受け入れれば良い。
 3:読むだけでなく、実践してみるのが大切。

まず1ですが、合格体験記を漠然と読んでいるだけでは、
役立つ情報を適切に受け取ることは難しいと考えます。
どんな試験の合格体験記にも共通していることですが、
その内容は「どのように勉強して試験に合格したか」を書き綴ったもので、
ダラダラと読み続けていると、だんだん飽きてきます。

体験記を読む際には、事前に着眼点を決めておくことが大事です。
例えば、「勉強時間を捻出する方法」とか、
「勉強が上手くいかなくなったときの克服法」とか、
何かテーマを1つに絞っておくのです。
そのうえで読み進めていくと、有益なメッセージが浮かび上がってきます。

例えば、日曜日なのに、急に歯が痛くなったとき、
休日でも診察している歯科医院を探して、
近隣をウロウロと探し回ったことはありませんか?
普段は全く意識していなかった「歯科」の看板が数多く目に付いたはずです。
これは、美容院・郵便ポスト・公衆電話などでも同じです。
意識して「探そう」と思うからこそ、ハッキリと目に飛び込んでくるのです。

次に2ですが、複数の合格体験記を読むと、
勉強の仕方が数多く出てきて、混乱することがあります。
つまり、「どの人の言うことが正しいのだろう?」となるのです。

山の頂上に至るまでの道が1本とは限らないのと同じように、
合格に至るまでの適切な勉強法も1つとは限りません。
ですから、体験記の内容を「絶対的に正しい」と考える必要もありません。
読んだうえで「なるほど納得!」と思ったものだけを、採用すれば良いのです。
そういう意味では、自分と相性の良い勉強方法を見つけるために、
複数の合格体験記を読まれることをお勧めします。

最後に3ですが、合格体験記を読んだだけではダメだということです。
中には「効果的な勉強法は何か?」といったことを探し続けるだけで、
ちっとも勉強しない人がいますが、これでは合格できません。

合格体験記を読む目的は、あくまでも実践のためです。
「こういうやり方があったのか! 自分も真似してみよう!」というのが、
適切な合格体験記の活用法です。
体験記に書かれていることを実践してみることで初めて、
自分に合っているのか、そうでないのか、ということも分かります。
薬の効能書きを読むだけでは、効果が出ないのと同じです。
「ノウハウの習得」と「その実践」は、ワンセットだということです。




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102、気分転換としての勉強
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ある気象予報士の方は、受験時代を次のように振り返りました。
「仕事のストレス解消のために勉強していたようなものですよ。」
この言葉の中には、効率的な勉強を生み出すためのヒントが隠されています。

この方は、気象とは関係のない仕事をされています。
つまり、勤務時間中に行う業務内容とは全く異なる勉強を、
早朝や休日に行うことで、大いなる気分転換になったというのです。

私にも似たような経験がないかと思い出してみると、2つありました。
1つは、奈良から北海道まで自転車で1か月かけて旅をした際に、
無性に本を読みたくなったことです。

テントや寝袋などの全ての道具を自転車に積み込む必要があり、
本は一冊しか持っていくことができませんでした。
そのせいか、旅の後半になると無性に書物に目を通したくなり、
小樽から舞鶴行きのフェリーに乗る前日には、
本屋を探してウロウロしたものです。

これは、朝から晩まで自転車をこぎ続けるという生活に少し飽きてきて、
本を開き、活字を目で追うという生活に転換したい、
という欲求が出たのだと解釈しています。
そういえば、同時に「パソコンに触れたい」という欲求も出ていました。
普段の生活では、パソコンを毎日操作しながら、
「なんとしても、宗谷岬まで自転車で行ってやる」と望んでいたわけですが、
今度は逆に、「普段の生活に戻ってみるのも良いな」と感じたのです。

もう1つの経験は、気象会社に勤務していた頃のことです。
テレビ局で気象報道に携わる仕事をしていたわけですが、
勤務が終わった後は、気象と関係のないことに取り組んでいました。
古いホーロー看板の写真を撮ろうと、あちこちを散策したり、
株式投資のために本を買い込んで研究し、売買を行ったり。

街中で見かけた珍品の写真をホームページで紹介しているうちに、
雑誌(『編集会議』2005年10月号)でも、取り上げて下さいました。
もっとも、株式投資はトータルで50万円以上の損を出してしまった挙げ句、
損を取り戻すこともできず、いつしか辞めてしまいましたが。
振り返ってみると、無意識に仕事とは関係のない趣味を選択することで、
気分転換を図っていたように思います。

社会人の勉強というと、自分の仕事に関連したものを選びがちです。
おそらく、その勉強の成果は仕事には役立つでしょうが、
勉強自体は気分転換になりにくいだろうと思います。
あくまでも、意識は「業務の延長」のままだからです。

面白いもので、息抜きに専念しているうちに、
今度は本業に力を入れたくなってきます。
息抜きと本業の切り替えを行うことで、
車の両輪の如く、双方とも上手くいくのが一番良い状態ですね。

そういう意味で、理科系科目と関係のない毎日を過ごされている方こそ、
気分転換としての「気象予報士試験の勉強」をお勧めしたいと思います。




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103、理解できるから、覚えられる!勉強が楽しくなる!
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小学6年生の頃、学校で「百人一首を覚えよ」という課題が出ました。
100首の和歌がずらりと印刷されたプリントが配られ、
毎朝の授業開始前に、児童が一人ずつ覚えた短歌を暗唱していくのです。

小学生の頃の私は先生の言うことをよく聞き、まじめに勉強していましたから、
百人一首の暗唱についても、努力して取り組んだ記憶があります。
中には100首全て覚えた人もいましたが、私は半分くらいがやっとでした。
現代語と異なる表現で詠まれた和歌を暗記するのは、結構大変だったのです。

今になって、ようやく気づいたことがあります。
> 久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ 紀友則
当時、この歌も必死になって唱えながら、暗記に努めていたのですが、
「光のどけき」って何だ? これは「光の/どけき」だろうな。
で、「光をどける(取り除く)」って、どういう意味だ?
などと大きな勘違いしていたことを思い出します。

> 日の光がのどかにさすこの春の日に、どうして静かな落ち着いた心もなく、
> 桜の花はあわただしく散っているのであろう。
井上宗雄『百人一首を楽しく読む』笠間書院 2003年 P,76より引用

実際には、「光のどけき」というのは、
「光がのどかな(穏やかな)」という意味だったことを、
30歳になって、ようやく気づいたというわけです。

当時、担任の先生は「百人一首を全部覚えよ」とは仰いましたが、
和歌の内容について解説していただいた記憶はありません。
古典文法の知識もない小学生に説明するのは難しいでしょうし、
「今は意味が分からなくても、とりあえず暗記しておけば、後で役立つ」
というお考えだったのでしょう。

しかし、これは勉強の仕方として、あまり良い方法とは思えません。
ものを覚える際には、何らかの「理解」があったほうが、
より効果的に覚えられるからです。
具体的には、話の筋道であったり、因果関係であったりなどです。

例えば、私は歴史の年代を「暗記」したことがありません。
語呂合わせで覚える本が出回っていますが、
それを活用した記憶もないのです。
なぜなら、自然に頭に入ったからです。

これは私の記憶力が良いからではありません。
(記憶力が良ければ、百人一首も全部覚えられたはず。)
日本の歴史に興味を持つことができ、
歴史を「流れ」として捉えることができたからこそ、
年代も自然に覚えてしまったというわけです。

歴史に興味を持つようになったのは、
家にあった、小学館の『学習まんが 日本の歴史』を読んだからです。
この考え方を古典文学に当てはめると、
まずは、マンガなど内容を分かりやすく記したものを読み、
自分なりに「わけが分かる」状態になったときに、
さらに高度な勉強に取り組むと知識や理解が深まる、と言えます。

いきなり、歴史の年表をB4版のプリントで配られ、
「これを全て暗記してくるように」と言われれば、
後に進学塾の講師として、小・中学生に歴史を教えることも無かったでしょう。

もちろん、私は「暗記教育は全て悪」と考えるわけではありません。
歯を食いしばって、暗記に努めることも必要な場合があります。
例えば、外国語を習得する際の単語学習として、
「この単語の語源はどうなっているのか?」などと最初から細かく考えると、
単語の知識を効率的に広げていくことは難しいでしょう。
また、古典文法における動詞の活用形についても、
まずは暗記してしまうことが大事だと思われます。
気象の勉強で言えば、天気図に登場する天気記号については、
覚え方のコツはあるものの、ひとまずは暗記するしかありません。

問題なのは、本来は丸暗記が不要であるにも関わらず、
そういった手段を選択している場合です。
特に、因果関係などの論理的なつながりを掴めなかった場合、
「○○は△△なのだ、と覚えておくか・・・。」となりがちです。
しかし、暗記という作業は大変ですし、
筋道が理解できていない状態での表面的な棒暗記は、
試験で役に立たないことが多いのです。

気象予報士試験の勉強は、覚えることも結構ありますが、
もっと重要なのは、内容を理解することです。
知識と知識をつなぐ架け橋の存在が見えてくれば、
試験勉強はもっと楽しくなります。




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104、気象会社への就職を目指す学生の皆さんへ
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そろそろ本格的な就職活動の時期ですが、当メルマガの読者の皆様には、
気象会社への就職を考えておられる学生の方も多いことでしょう。
かつて気象会社に身を置いた私の立場から、3点を申し上げたいと思います。

 1,キャスターだけが仕事ではない。
 2,気象をビジネスとして捉える。
 3,資格は「熱意の大きさ」としてアピールする。

まず1ですが、テレビやラジオに出演する業務は、
気象業界全体における仕事のごく一部に過ぎないということです。
志望する会社で、どんな仕事をしているのかについては、
詳しく研究しておかれると良いでしょう。

また、予報業務に関係した仕事の場合は、
時間的に不規則な勤務もあり得るとお考え下さい。
気象状況は、人間が作った時計と関係なく動きますから、
夜中や早朝であっても、年末年始であっても、
誰かが業務を担当する必要があるわけです。

マスメディアに関係した業務についても、同じようなことが言えます。
ちなみに、私がテレビ局で仕事をしていたときは、
勤務日の半分以上が、午前3時頃の局入りでしたし、
元旦に仕事をしていたこともあります。

次に2です。
基本的なことですが、気象会社も営利を追求する組織です。
要は「儲ける」ことを、絶対に譲れない目的としています。
これは気象会社に限らず、どんな会社組織でも同じですが、
この部分の意識にあまり重点を置かれない学生さんが結構おられます。

現在、数多くの気象会社がありますが、
考え方によっては、「お天気」は商売になりにくい業種とも思えるのです。
なぜなら、日本では国のお役所(気象庁)が気象情報の提供を行っています。
国民の税金によって、気象庁はお仕事をしておられるわけですが、
多くの人は、「タダで天気予報が手に入る」という感覚を持っています。
この状況において、有料で気象情報を提供するビジネスを成立させることが、
決して簡単ではないことにお気づきいただけるかと思います。

「社会への貢献」「地球環境を守る活動」も非常に大事なことですが、
それができるのも、会社が社員に給料を払えるからです。
給料を払うためには、利益を出さねばなりません。
その利益をどうやって捻出するのかということです。
気象会社の社員になるということは、
この点において当事者になることを意味します。

つまり、仕事を進める際には、
商業的な面を常に意識していかねばならないのです。
単に「天気が好き」「空を見るのが楽しい」というだけであれば、
仕事ではなく、趣味として気象に携わったほうが良いかも知れません。

最後に3です。
中には学生時代に気象予報士試験に合格した方もおられるでしょう。
大きな努力で勝ち取った資格なのですから、
それを最大限に生かした就職活動を行いたいところですが、
面接やエントリーシートなどで、「私が持つ専門的能力を生かして・・・」
といった自己アピールには少々違和感を持ちます。

気象予報士資格を持つ人は全国で6000人あまりしかいないとは言え、
気象会社には、気象予報士がゴロゴロといます。
タクシー会社に2種運転免許を持つ社員が多いことや、
病院の医局に医師免許を持った人が多いことと、同じようなものです。
また、どんな業界でもそうですが、免許や資格を持っているからと言って、
業務の最前線において、即戦力として活躍できるほど、
プロの世界は生ぬるくありません。

有資格者であることをアピールする際には、
その辺の意識と節度を持っておかれたほうが良いと思うのです。
「能力の高さ」ではなく「業界への熱意の証」として示すのが良いでしょう。
思いつきで気象会社への就職活動を行っているのではなく、
キチンとした志があって、以前から準備をしてきたのだ、
ということを示すことができます。

気象予報士の資格の有無が、
採用に一切影響しないことを表明している会社もある一方で、
気象予報士の資格を、応募条件としている会社もあります。
どちらにしろ、気象業界で仕事をしたいのであれば、
気象予報士の資格くらいは取っておきたいところです。




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105、生涯学習としての気象予報士試験
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第31回気象予報士試験では、13歳の中学生が最年少合格記録を更新したことが、
各マスメディアで大きな話題として取り上げられています。
しかし、今回の試験の最高齢合格者として65歳の方がおられることにも、
大いに注目したいところです。(「山陽新聞」の記事による)
実際に、試験会場に足を運ばれる受験生には中高年の方も多く、
気象予報士試験を生涯学習として捉える方も少なくないと考えます。
そこで、今回は中高年の方の受験アドバイスを書いてみました。
それは次の3項目に集約されます。

1,急がず、焦らず、着実に。
2,記憶力よりも理解力で勝負する。
3,不必要な手間と時間は避ける。

まず、1についてです。
生涯学習として気象予報士試験に挑戦する場合は、
「短期間で如何にして合格するか」を考えることよりも、
「勉強を長期にわたって続けられること」を考慮するほうが大事です。

就職活動を控えた学生さんであれば、
「徹夜勉強をしてでも合格してやる」という方もおられるでしょう。
そういった方は、勉強そのものよりも、
結果として得られる「資格」が目的なのだと思われます。
確かに生涯学習においても、合格は大きな励みになりますが、
「知ること」や「学ぶこと」自体を最大の目的とされるわけですから、
短期的に無理をして、ガツガツされる必要は無いわけです。

貯金箱に小銭を入れるような感覚で、少しずつ勉強を重ねることができれば、
やがて、一里塚としての「試験合格」が見えてくると確信しています。

次に、2についてです。
「年齢とともに、記憶力が低下した」とよく耳にしますが、
それが本当なのかどうかは、私にはまだ分かりません。
渡部昇一上智大学名誉教授は、『知的生活を求めて』(講談社)の中で、
歳を取って記憶力が向上した旨を書かれています。

もしかすると、脳の働きが低下するというよりも、
コツコツと地道に覚える、ということが面倒になるからかも知れません。
その一方で、人生経験を重ねるとともに物事を理解する力は、
むしろ高まるのではないかと考えます。

このメルマガでも、何度も触れていますように、
気象予報士試験を「暗記科目」と捉えてしまうと、勉強がつまらなくなります。
内容を理解することに努め、覚える内容を最小限にすることこそが、
試験勉強を続けていくためのコツだと考えます。

最後に、3についてです。
私は15歳の時に、関東や東北地方を電車で旅したことがあります。
普通電車と快速電車が一日中乗り放題の「青春18きっぷ」を使ったのです。
旅行日程は5日間でしたが、一度も宿には泊まりませんでした。
全ての夜を、夜行列車の座席で明かしたのです。
これで5日分の列車の運賃と宿泊代を1万円強でまかなうことができました。
観光のために下車する以外は、ずっと電車内にいましたから、
旅の後半には、痔になりかけてしまいましたが、
わずかなお金を節約するために、あらゆる労苦に耐えられるのが若さです。

しかし、30歳になった今、そういう旅はできなくなったように思います。
2008年春に、友人と中国地方のローカル線「三江線」に乗ったのですが、
2時間ほど乗っていただけで、かなり疲れてしまいました。
特急列車の快適さが分かったように感じます。

勉強もこれと同じです。
金が無く、時間と体力が有り余っている学生であれば、
古本屋で買った線だらけの参考書をボロボロになるまで読み込めます。
勉強の際に不明な点が出てきたときは、雨の中でも足繁く図書館まで通い、
【禁帯出】のラベルが付いた事典を広げ、ひたすら大学ノートに書き写す、
といった勉強もやり通せるはずです。

しかし、年齢を重ね、ある程度の金銭的な余裕ができると、
勉強のために必要な書籍は、そのつど新刊本を買って、
手元に置いておきたいと思うようになります。
さらに言えば、長時間にわたって細かい活字を目で追っていくよりも、
書籍の内容を分かりやすく解説した講義を受けてみたい、
と望む方もおられることでしょう。

「手間」と「時間」は、ある程度まで「お金」で代用することができます。
些末な部分で躓かずに、効率的に学習を進めていく際には、
ある程度の金銭的な出費が必要とも言えるでしょう。
それは別に狡いことでも何でもありません。
鈍行列車で旅をするか、特急列車で旅をするかは、価値観の問題であり、
それに対して、優劣を付けられないのと同じだからです。





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106、どんな気象キャスターを目指すか。
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テレビやラジオで活躍する気象キャスターには、
大きく分けて3種類があります。

1,放送局の職員として出演
2,気象会社の職員として出演
3,放送局と出演契約を結んで出演

1は、いわゆる「局アナウンサー」のことで、
待遇も良く、立場も安定していて、非常に人気のある職業です。
それだけに、アナウンサーになるためには、
非常に狭き門を突破しなければなりません。
私が主宰する塾の元受講生(気象予報士試験合格)の中にも、
テレビ局のアナウンス職試験に受かった方がおられますが、
就職活動では相当に努力されたとお聞きしています。

2のように、気象会社の職員として、
気象キャスターに就くという方法もあります。
私も大学卒業後は、気象会社に入社し、
放送局で出演を含めた気象報道業務に携わっていました。
1と同様に、会社員としての立場は保障されていますが、
必ずしも、キャスターの仕事を担当させてもらえるとは限りません。
番組に出演するというのは、気象会社全体における業務のごく一部ですし、
中には気象報道に全く関わっていない気象会社もありますから、
その点は就職活動を行ううえで充分に留意しておかれるべきでしょう。

3は、フリーで活躍するキャスターのことです。
気象会社から独立する形でフリーキャスターになる方は少なくありません。
人気の高い気象キャスターであれば、高収入も期待できます。
有名アナウンサーが放送局を退職して、フリーに転身するケースが多いのも、
収入面でかなり有利な面があるのだと思われます。
また、やりたい仕事だけに専念できるという点も魅力なのかも知れません。

しかし、フリーキャスターの立場は必ずしも安定していません。
番組を降板してしまえば、その分だけ仕事が減ることになりますし、
もちろん、代わりの仕事が入ってくるとは限りません。
私自身も気象会社に入社するまでは、この立場で出演していましたが、
自分の立場がいかに不安定であるかを実感した記憶があります。
初めて気象キャスターとして出演を開始してから、わずか2か月のこと。
担当していた番組が終了してしまったのです。
当時、私は20歳。番組そのものが消滅してしまうのですから、
出演もこれで終わりかと腹を括りました。
幸いにも別番組で起用していただけることになり、
驚きと安堵感を同時に経験したことを、ハッキリと記憶しています。

気象キャスター志したいと思われる方は、
1〜3のどの形でキャスターを目指すのか、考えてみると良いでしょう。
そこから具体的に成すべきことが見えてくるはずです。




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107、長く続けるための3つの方法
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新年度が始まり、これを機会に新しく勉強を始める方も多いかと思います。
学習の進め方には、いろいろな方法がありますが、
気象予報士試験を突破するためには、ある程度の長期的な勉強が必要ですから、
長く続けられるやり方こそ、一番正しい方法なのです。

私は長く続けるためのコツとして、次のようなものを挙げます。
いずれも私自身の経験から導き出したものです。

1,余裕のある計画を立てる。
2,他人を上手く利用する。
3,苦しいときの「臨時休業」を容認する。

まず、1についてです。
計画を立てるときは、やる気が高まっている状態ですから、
どうしても限度一杯のスケジュールを作ってしまいがちです。
しかし、最高の状態に合わせた計画を立てると、
こなしきれない日が必ず出てくることになります。

例えば、私は携帯電話でも読める『気象予報士試験講座』という、
メルマガを2年ほど続けています。
創刊当初は「毎日欠かさず発行や!」と考えたこともありましたが、
結局のところ、「平日のみ発行」という形で始め、現在に至っています。
ちょっとした問題を1題ずつ配信するだけのメルマガですが、
もし、完全日刊であれば、ここまで続いていたかどうか分かりません。
週に2日の休刊日を入れておいたからこそ、
500回近くの配信を行うことができたような気がします。

また、「毎朝5時に起きる」という習慣も、始めてから3年目を迎えます。
これが続いているのは、夜9時には布団に入っているからです。
おそらく、夜12時を過ぎてから床に就くようであれば、
早朝5時に起きるのは辛いことであるに違いありません。
私は眠気を我慢するのが嫌いなので、そういった無理が生じるのであれば、
おそらく習慣として定着しなかっただろうと思われます。

2についてですが、私は「ヤクルトを毎日飲む」という習慣を、
2年半ほど続けています。
冬場は冷たいヤクルトを風呂の湯で温めてから、入浴中に飲んでいます。
そのヤクルトは、店で買ってくるのではなく、
毎週火曜日に配達してもらっているというのが、ポイントです。
それは何かを習慣づけたいときに、他者の力を借りるのが有効だからです。
もし、スーパーでヤクルトを買うことにしていたのであれば、
習慣として定着したかどうかは分かりません。
「うっかり買い忘れた」「雨が降っているから買いに行くのが面倒くさい」
といった理由で、習慣づけることができなかったかも知れません。

まして、「学習習慣を定着させる」という行動は、
ふつうは「ヤクルトを毎日飲む」ことよりも難しいはずです。
そうであれば、他人を上手く利用することを、
より重視したほうが良いと言えるでしょう。
勉強の場合であれば、毎週その成果を発表せねばならないような場があると、
効果的に進めていくことができるはずです。
勉強に対して厳しい高校が、大学入試で大きな成果を上げることが多いのは、
まさに、この点にあると考えています。
勉強せざるを得ない環境を作ることが大切です。

3については、真面目な方に特に申し上げたいことです。
計画を立てたからには、できる限り実行するのが理想ではありますが、
ある程度の例外は、自分で認めてあげるほうが良いと思います。
例えば、メチャクチャ疲れているようなときに、
無理をして本を開いても、頭には何も入りませんし、何も残りません。

私は高校や大学の授業で、眠気をこらえながら、
何とかしてノートをとろうとしたことが数え切れないくらいありますが、
結局のところ、何の結果も得られなかったように思います。
頭が「頑張れ!」とハッパをかけても、
体がついてくるとは限らないということです。
そんなときは、潔く「臨時休業」にして、さっさと休むことです。

当メルマガも創刊から5年目を迎えますが、
今号のように、当初の発行予定日に間に合わなかったこともあります。
今回は、花粉症で体調を崩してしまったことが原因ですが、
「まあ、そんなこともあるもんや」と開き直ってしまうことが、
メルマガ発行を長く続けられた一因と思っています。





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108、息抜きは必要。
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前回のメルマガで「勉強を習慣づけることが大切」と書きましたが、
そのときに大事なことがあります。
それは、「息抜きの時間を必ず確保する」ということです。
息抜きというのは、趣味であるとは限りません。
むしろ、趣味とも呼べないような些細なものであることも多いのです。
例えば、混雑した通勤快速ではなく、ガラガラの各駅停車でゆっくり帰ること、
入浴剤入りの風呂に浸かって、肩や首のコリをほぐすこと、
「You Tube」の映像をダラダラと見ること、などです。

自己紹介の「趣味」欄に書けないほどの、ちょっとした行動や、
他人にはあまり言えない恥ずかしい行動が、
その人にとって、息抜きの役割を果たしていることがあります。
「特に趣味はない」と言う人でも、息抜きをしない人はいません。
息抜きの時間を削ってしまうと、息が詰まってしまうからです。

私の知り合いで、朝から晩まで元気に働く社長がいます。
従業員の誰よりも懸命に仕事をする社長です。
特に趣味のようなものは無いように見えましたが、
仕事終わりに酒を飲むのが日課になっているそうです。
この社長の場合、晩酌が息抜きになっているわけです。

「酒・たばこ・ギャンブル」というと、
「やらないのが良い」というイメージがありますが、
それが、本人にとって大切な息抜きになっているのであれば、
一概に「やめなさい」とは言えない部分があります。
ちなみに、13歳前後の私は、どうしても爪を噛むくせが直りませんでした。
それが息抜きになっていたのかも知れません。

ちなみに、現在の私の息抜きの1つは、
ネット書店の「Amazon」で欲しい本を安く買うことです。
前から目を付けていた商品が古本として安く売られているのを見たときに、
【1-Clickで買う】のボタンを押す瞬間がたまりません。
実際に届いた本を手にするときよりも嬉しいような気がします。

また、日曜日の授業を終えて帰宅した後、
「サザエさん」をダラッと見るのも、なかなかリラックスできます。
「なぜサザエさんの家は黒電話なのか?」などととツッコミながら、
今も昔も変わらぬアニメを見ていると、息抜きになるのです。

会社や学校においても、息抜きの場があるのと無いのでは、
その人の負担が大きく変わってきます。
ちょっとした空き時間に、缶コーヒーを片手にバカ話ができる環境なら、
少しくらい仕事が大変でも、頑張れそうな気がします。

いくら気象予報士試験の勉強が好きになったとしても、
受験勉強である以上、合格を目標にして努力せねばならないのですから、
「勉強そのものが息抜きです。」という人は、ごく僅かです。
ホッとする時間を意識的に確保することこそが、
長期間にわたって勉強を続けていくために大切だと思います。




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109、一人で進める勉強・仲間と進める勉強
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「2万5000人のうちの1人」・・・この数字は何でしょう。
日本の全人口に対する、毎回の気象予報士試験での受験者数の割合です。
回によって変動はありますが、最近の受験者数は5000人程度です。(※1)
同じ国家資格でも、行政書士試験は60000人以上と10倍以上です。(※2)

「2万5000人に1人」ということは、観客席が満員の甲子園球場においても、
自分以外の受験生が1人か2人いるだけという計算になります。
もし、2万人〜3万人程度の市町村にお住まいであれば、
受験生は自分のみ、という可能性も高いわけです。

要はそれくらい気象予報士を目指す人というのは、
全国でも少ないということです。
かつて受験生だった頃、気象の本を探すために、
大阪にある大きな書店を訪れたことがありますが、
気象関連の書棚で別の人が同じような本を探しているのを見て、
少し嬉しくなった記憶があります。

それだけに、この試験の勉強を独りで進めておられる方も多いことでしょう。
独りで勉強を行う際に、最も懸念すべきことは、
勉強に対する気持ちが弱まったときに、孤独感が生じやすいことです。
ある気象予報士の方は、受験時代に他の受験生の方々と週に一度集まり、
お茶を飲みながら話をする場を設けておられました。
そこで、仲間と会話を楽しむことで、大いにリラックスできたとのことです。
前回も述べましたが、こういった「息抜きの場」は本当に大切ですね。

仲間の存在は、実利的な面からも有効だと考えられます。
独りで勉強を進めていると、どうしても自分に甘くなりがちです。
「合格のために必要な勉強量」の見通しが不明瞭になることもあります。
「まあ、こんなもんかな」と、手探りで判断していくことになるわけですが、
これが「井の中の蛙」であることも、しばしばです。
もし、合格した人に直接話を聞く機会があれば、
自分が今まで進めてきた勉強が、いかに甘かったかを痛感するかも知れません。

また、効果的な学習方法の1つとして、
「他人に上手く説明できるかどうか」を理解度の指標にする方法があります。
自分では何となく納得しているように感じていても、
いざ他人に説明することになると、弱点が露呈することがあるのです。
この方法は、仲間どうしで「教え合う」という効果も期待できます。

もちろん、誤解の無いように述べておきますが、
複数で集まって行う勉強が常に効率的であるとは限りません。
むしろ、勉強とは基本的に一人で行うものだと私は考えます。
上で述べたように、「知識の確認」は仲間と行う利点が大きいのですが、
「知識の吸収」という最も基本的な学習過程については、
一人で行うのが効果的であると言えるでしょう。
大勢でワーワー集まると、集中して取り組むことが難しいからです。

一人で頑張る時間を充分に取り、
少し人恋しくなったときに、仲間と集まってみる。
時間的な比は、前者が20時間とすれば、後者は1時間くらいでしょうか。
でも、この1時間こそが、一人での20時間を心強いものにしてくれるのです。

(※1)財団法人気象業務支援センターの資料より
(※2)財団法人行政書士試験研究センターの資料より




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110、「大気の熱力学」という山を越える。
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自転車で世界一周を果たした、のぐちやすお氏は、
長期の自転車旅行の前に「一泊の壁」が立ちはだかると述べておられます。
(『自転車野郎養成講座』山海堂 1993年)

ここでの「一泊」とは、野宿を指します。
日帰り旅であれば、基本的に自転車を走らせれば良いだけですが、
たとえ一泊二日でも、野宿をする際には、
考えなければならないことが数多く出てきます。

私は1か月程度の自転車旅を2度行ったことがありますが、
キャンプ場以外では、テントを張る場所を探すのに一苦労です。

安眠のためには、水平で滑らかな地面であることが必要です。
少しでも傾斜があったり、石がゴロゴロしていると、グッスリ眠れません。

草地であれば、地面が柔らかくなるので、眠るのには向いていますが、
草の中に潜む大量の蚊に悩まされたことがあります。
テント設営中に、足に何匹もの蚊がとまり、血を吸っているという状況です。

もちろん、虫が中に入らないように、テントのジッパーを閉めるのですが、
真夏であれば、暑さで蒸し風呂状態です。
夜中に目が覚めて、水を飲み干すことも結構ありました。

一方、北海道の内陸部では、まだ9月なのに夜の冷え込みが厳しく、
あまりの寒さで、ろくに寝られなかったこともあります。
外気温の影響を大きく受けるのが野宿です。

また、夜中にいきなりの激しい雷雨によって叩き起こされたこともあり、
できれば、屋根の付いた場所にテントを張りたいものです。

人通りが多い場所にテントを張れば、何となく落ち着きませんし、
周囲から迷惑がられることも考えられます。
実際、公園で寝ているときに警察官から声をかけられたこともありました。

逆に人が全くいない場所で、一人で夜を明かすのもちょっと怖いです。
賊に襲われるのではないかと思い、手元には常に木刀を用意していました。

さらに、これは少々贅沢な要望ですが、
トイレが近くにある場所にテントを構えると、用を足すのに便利なだけでなく、
飯を炊いたり、後片付けをする際に必要な水を確保することができます。

こんな感じで、宿に泊まれば考えなくて済むようなことが、
野宿では噴出してくるため、旅慣れない頃は多くの不安を抱えていました。
ただ、野宿を一度やり遂げることができれば、
次第に「まあ、こんなものか」と思えるようになってきたのです。
実際に、橋の下・道の駅・公園・無人駅・海岸など、
いろいろな場所で夜を過ごしました。

野宿という宿泊方法を一度経験することができれば、
あとは、それを繰り返していくだけです。
「昼は自転車で走り、夜は野宿する」という一日を過ごすことができれば、
これの繰り返しで、長期の旅が可能となります。
私の場合は、全て野宿で夜を明かしたわけではありませんが、
奈良から出発して、24日間で宗谷岬に到達しました。
(注:青森→函館はフェリーを利用)

気象予報士試験の勉強を続けていくことは、これと似ています。
ご存じのとおり、この試験の勉強を合格まで続けていくのは大変です。
自転車旅行での「一泊の壁」に該当するものは、
一般知識試験における「大気の熱力学」であると考えています。

たいていの人は、一般知識試験の勉強から始めるわけですが、
「大気の熱力学」の単元を充分に習得できるかどうかで、
その先の勉強が順調に進むかどうかを大きく左右すると考えています。

「大気の熱力学」は、基礎的な物理学(熱力学)を学習する単元です。
「お天気の勉強」と聞いて、雲の写真を見たり、
百葉箱の観察をしたりすると思っていた人は、
この単元の学習で、そのギャップの大きさに驚きます。
もちろん、こういった地味な基礎知識をコツコツ学習することは、
気象について深く学ぶために必要なもので、だからこそ試験科目なのです。
表面的な天気現象だけを見ていては、こういった知識は身につきません。

この単元を習得するためには、単なる暗記では太刀打ちできません。
レンガを丹念に積み上げるように、基礎から学習を重ねることが必要です。
よく分からない部分や納得できない点に対して、
適当にごまかしたり、無理矢理に覚え込んでしまうのではなく、
納得が得られるように努力しよう、という姿勢が大切です。
そうして、最終的に問題演習まで仕上げることができれば、
気象予報士試験の受験勉強として、1つの山を越えたことになります。

「大気の熱力学」の学習において、
理解・納得を伴う知識の習得が、いかに大事であるか実感できれば、
他の一般知識試験の単元や、専門知識試験・実技試験の勉強においても、
基本的な学習スタンスは同じであることに気がつきます。
それこそが試験合格のために大切なことであると、私は考えています。




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111、興味を持つことで、知識は増える。
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小学生の頃に読んだ本に載っていた言葉を、今でも覚えています。
書名は忘れてしまいましたが、子供向けのクイズの本でした。

「問題の答えが分からないときは、答えのページを見て下さい。
 その後で、もう一度問題を見れば、今度は正解が分かるはずです。
 これは、1つ[ものしり]になったということです。」

解答を一度見てしまえば、次から正答できるのは当たり前のことですが、
当時の私は「なるほど〜」と思ったものです。

考えてみれば、私が重視している「過去問題演習」も、
「模範解答を見ながら勉強する」という点で、
あのクイズ本に載っていたメッセージと一致します。

クイズと並んで子供が好きなものに「なぞなぞ」がありますが、
私はあまり好きではありませんでした。
『パンはパンでも、食べられないパンはなぁーんだ?』
といったような問題のことですね。

私がなぞなぞ嫌いだった理由は簡単で、答えがなかなか思いつかないからです。
頭を柔らかくして発想を転換させなければ、謎解きはできません。
一休さんのように、ピンと閃けば楽しいのでしょうが、
そういった能力は備わっていなかったようなのです。

一方、クイズは結構好きでした。
クイズを解くために柔軟な思考は不要です。知っているかどうかが全てです。
自分の興味のある分野なら、誰でもある程度の知識は持っています。
そうすると、正解できる問題も多くなります。
正解できれば、嬉しいものですから、
もう少し詳しく知りたい、という気持ちも出てきます。
テレビ番組や本で知識を得たいと思うようになります。
このようにして、知らず知らずのうちに好循環が出来上がるのです。

「興味を持つこと」と「知識を積み上げること」。
結局のところ、勉強はこの2つの繰り返しなのですね。
両者が連動すれば、勉強の効率は高まります。

私は中学生になってから、学校の勉強は全くできなくなりましたが、
幼いときから興味を持っていた天気と宇宙については、
その後も、本を読んだり、テレビ番組を見たりしていました。
これが後に、気象予報士試験の土台になったように思えます。

気象予報士試験に合格するために、特別な才能は必要ありません。
興味を持って、勉強を続けていけば、
必ず合格に到達することができる、私はこのように確信しています。




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112、パソコンを活用した実技試験の勉強
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ご承知のとおり、実技試験は記述問題が多いのですが、
私は実技の受験勉強において、パソコンを利用することを推奨しています。
パソコンを使った実技試験勉強には、次のようなメリットがあります。

 1,短い時間で効率的な勉強ができる。
 2,答案の推敲が手軽にできる。
 3,ネット検索を活用できる。

なお、上に挙げた3つのメリットは、
普段からパソコンを使い慣れている方であることが条件です。

まず1ですが、タイピングに慣れた方であれば、
手書きよりも遙かに早く入力できるはずです。
また、手書きに比べて、手の負担が小さいはずです。
つまり、短い時間で多くの文を書くことができるわけですから、
効率的に勉強を進められることを意味します。

次に2です。手書きの場合、文章の手直しが大変です。
鉛筆と消しゴムを交互に使いながら、
「消しては書き、消しては書き」を繰り返さねばなりません。
消しゴムを使わなくとも、斜線で消したり、
色の違うペンを使って書き込んだりすることはできますが、
だんだんゴチャゴチャしてきますので、推敲できる回数は限られます。
一方、パソコンでの文書作成は、編集が自由自在です。

さらに、ソフトを活用することで、ますます答案作成が便利になります。
実技試験では字数に関する指示があるので、
なるべく指定字数に近い形で、答案をまとめる練習が大切です。
しかし、その都度「1,2,3・・・」と字数を数えるのは大変で、
かなり面倒くさいものです。
私はマイクロソフト社のWord2007を使っていますが、
このソフトでは、書いた文をマウスなどで選択し、反転させるだけで、
画面左下に文字数が表示されますので、とても便利です。

Wordには文書校正機能が付いていますから、
「ら抜き言葉」などの不自然な表現を自動的にチェックしてくれます。
また、日本語入力ソフトのATOKにも、
「日本海の低気圧の中心の」といった表現を変換すると、
《「の」の連続》といった形で、指摘してくれる機能があります。

最後に3です。実技試験では気象の専門用語を使って答案を書くわけですが、
「こういった表現は一般的によく使用されるのか?」と迷うことがあります。
そんなときに、Yahoo!やGoogleの検索で、その言い回しを調べてみるのです。

もし、その言い回しを含んだページが数多くヒットすれば、
その言い回しは、一般的に広く使用されていることが分かります。
ただ、個人のホームページやブログ内の表現は、
信用性の点で少し不安がある(内容が誤っている可能性がある)ので、
「ac.jp(学術機関)」や「go.jp(政府機関)」の
ドメインを持つページに絞って検索を行うと、信頼性が高まります。

例えば、「気温移流」という言葉をYahoo!で検索しても、
該当するページは全く出てきませんでした。
これは「気温移流」という用語は存在しないことを示しています。
(正しくは「温度移流」です。)
こうやって、気になる表現を検索ページで確認する癖を付けておけば、
勝手な造語を答案に書いて失点してしまうというミスを防ぐことができます。

もちろん、手書きで答案を作成することにもメリットがあります。
問題集とノートさえあれば、どこでも試験勉強ができますし、
キーボードを叩くよりも、ペンを動かしたほうが、
頭に入りやすいという方もおられることと思います。
また、実際の試験では筆記で答案を作成しなければなりませんので、
そういう意味でも、慣れておく必要があるのは事実です。
試験まで時間に余裕があるときは、パソコンを中心に、
試験が迫ってきたときは、手書きを中心にという形で、
両者をうまく使い分けるのも1つの方法です。




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113、「読むだけで理解できる参考書」は存在するか?
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「何か良い参考書はないものか?」という情報は、
どの分野の勉強であっても、多くの学習者が知りたいことです。
ただ、文系・理系を問わず、どんなに評価の高い参考書であっても、
その本を一読するだけで全てを理解できてしまう本はないと思っています。

これが小説であれば、スイスイ読んでいくことも可能です。
私は中学生〜高校生の頃、西村京太郎さんの鉄道ミステリーが好きで、
古本屋で大量に買い集めては、夢中で読んでいました。
2時間程度で1冊を読み終えることも珍しくありませんでした。

しかし、勉強のために参考書を読み進めていくためには、
単に「読む」だけでは、頭に入っていきません。
「読む」+「理解する」という作業が必要となります。
確かに、日本語で書かれた本であれば、
漢字の読みさえ分かれば、どんな本でも「読む」ことはできます。
しかし、本に書かれた内容を「理解する」というのは、別次元の話です。
ページを追う目を止めて、頭の中での整理が必要となります。

参考書に書かれた内容が、読者の知的水準を上回る内容であれば、
多かれ少なかれ、この作業は必ず要るわけです。
これが「読むだけで全て理解できる参考書はない」と考える理由です。

例えば、「微分積分」の勉強に興味を持つ人は意外に多いようで、
大型書店へ行きますと、ものすごい数の本が出ています。
試しに、Amazonの検索で《微分積分 わかる》と入れてみたところ、
なんと53冊もの本がヒットしました。
「分かりやすく説明する」という点について、
特に力を入れて書いておられる本が多いことに気づきます。

しかし、いくら「分かりやすく」説明した本であると言っても、
読者の知的格闘を想定していないものはないはずです。
今度は、《微分積分 わかる 読むだけ》と入れて検索してみましたが、
これでは1冊もヒットしませんでした。まあ、当然です。

参考書を使った勉強とは、読者(生徒)がページを追うことで、
著者(先生)が本から登場して始まる、バーチャルな授業と解釈できます。
授業内容をものにするためには、受け手がウンウン頭を絞る作業が必要です。
(これは、リアルな授業であっても同じです。)
決して、短時間でサクサク進むものではありません。
これを意識しておかなければ、少し難しい部分が出てきた時点で、
「もっと分かりやすく説明してある本はないだろうか?」
と別の参考書を探し求めるようになってしまいます。

もちろん、参考書の側に問題点があることも想定されますが、
読者の読み込み不足が原因であることも考えられます。
「青い鳥」は、すでに自分の本棚にあるのかも知れない、ということです。




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114、夏休みを基礎固めに使ってみる。
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7月も下旬に入り、学生の方にとっては夏休みに入る頃だと思います。
そこで、お勧めしたいのが、夏休みの計画を立てることです。

なぜかと言いますと、自由な時間が手に入ると、
それを持て余してしまうことが多いからです。
私自身も、高校時代の夏休みは野球部の練習で、
わりと型にハマった生活を続けていたのですが、
大学時代は、ユルい夏休みを過ごしていたように思います。

宿題と言っても、ちょっとしたレポートが何本かあるだけ。
1年生と2年生の夏には、約1か月の自転車旅に出て、
とても充実した時間を過ごせたと思うのですが、
もしかすると、集中講義や補修が続くような大学であれば、
別の意味で、有意義な夏休みだったかもしれません。

このメルマガを購読されているということは、
何らかの形で気象予報士資格について、興味をお持ちなのでしょう。
もし、興味がありながらも、本格的な勉強を始めていないのであれば、
この夏にスタートされることをお勧めします。

その理由として、初めて勉強に取り組まれる方が、
翌年1月に一般知識試験に合格するための実力を付けるためには、
夏から始めるのが、おそらく時間的に最後の機会だと思うからです。

もちろん、ゼロから学んで半年で合格を目指すのは、
決して、簡単なことではありません。
しかし、他の課題が少なく、勉強時間を充分に確保できる夏期休暇を、
最大限に生かすことができるのであれば、好条件です。
集中して学習に取り組み続けることができれば、
社会人の方に比べて、短期間で基礎事項を学ぶことも可能と言えるでしょう。

ご存じのとおり、気象予報士試験は短期間で取れる資格ではなく、
合格まで勉強を続けていくためには、上手く軌道に乗せることが大切です。
多くの方にとって、勉強を始めたばかりの頃は、
「あれも分からん、これも分からん。」という状態ですが、
ここを抜け出して、知識が増えることに面白さを感じるためには、
ガッチリと基礎を固めてしまう必要があります。
時間的な余裕がある夏休みは、基礎固めの時間に適しています。

学習計画を立てることは、何もない道路に標識を立てることに似ています。
標識が無ければ、どこを走っているかも分かりません。
計画を立てようとすることで、
これから何をしていこうかを考える場ができます。
社会人になれば、今よりも時間の融通は利きにくくなってきます。
豊富な時間を大切に使いたいものです。




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115、勉強道具にこだわる価値あり。
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以前、市民プールによく通っていたときがありました。
ひたすら25mプールを往復して、泳ぎ続けるのですが、
特に苦しいと感じたのは、100m〜200mほど泳いだときでした。
それから、さらに泳ぎ続けると、苦しさが無くなり、
楽に泳げるようになってきたのです。
例えて言えば、「体が自動的に泳いでいる」といった感じで、
ランナーズ・ハイならぬ、スイマーズ・ハイの状態になったのです。

勉強もこれと似た部分があって、
右も左も分からない状況で本を読み進めていくのは大変ですが、
学習習慣が定着し、ある程度の全体像が見えてくると、
次第に余裕を持って取り組めるようになってきます。

特に、天気は多くの人にとって身近であり、親しみを感じるため、
気象予報士試験の勉強を始めたばかりの頃は、好奇心が先行します。
しかし、その次に学習内容のレベルの高さに圧倒されるのです。
この時点で、挫折してしまわれる方が少なくないと見ています。

そこで、上手く軌道に乗せるための1つの手段として、
勉強道具にこだわることをお勧めします。

もちろん、「弘法筆を選ばず」という諺もあるように、
新聞の折り込みチラシの裏紙とボールペン1本があれば、勉強はできます。
しかし、「道具がマズかったために、勉強が続かなかった」では、
何とも勿体ないというものです。

私は3冊で100円のノートを使ったことがあるのですが、
綴じ方が良くないのか、すぐにページが取れてしまいました。
ボールペンで線を引くと、その部分の紙が切れてしまうこともありました。
余計なことでストレスを感じるノートは、勉強に不向きです。

例えば、コクヨのノートなら、大きさ・紙の枚数・罫線幅について、
自分に合ったものを選ぶことができます。
ちなみに、私は普通のノートよりも小さいA5サイズを愛用しています。
本の大きさと一致するため、持ち運びに便利なのです。

筆記具についても、使いやすく疲れにくいものを選びたいですね。
シャープペンシルをお使いの方も多いと思いますが、
私は筆圧が高いので、すぐに芯が折れてしまいます。
そこで、ゼブラの2色ボールペンを持ち歩いています。
黒だけでなく、必要に応じて赤を使うことができ、便利だからです。

DVD教材を使って勉強されている方は、再生機器にもこだわりたいところです。
以前に見終えた部分から再生を再開できる機能があると便利ですし、
等倍再生よりも少し速い再生ができると、時間の節約にもなります。
ちょうど自分に合った早回し再生ができる機器・ソフトを使うことで、
ストレスを最小限に抑えつつ、効率的な勉強を進めることができるでしょう。
ちなみに、私が使っているCyberlinkの「PowerDVD DX」というソフトは、
1.2倍再生・1.4倍再生・2倍再生ができ、
早回ししても、音声がほとんど甲高くならないのが良いところです。

良い勉強道具は、合格までの良き伴走者となってくれます。
手間と時間をかけて選んだ道具に愛着を感じるようになれば、
簡単に勉強を投げ出すこともできなくなるはずです。




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116、試験当日までに心得ておきたい3つのポイント
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試験会場で実力を発揮できるよう、私は次の3項目をお勧めします。

 1,よく寝る
 2,食べ過ぎない
 3,時間に余裕を持つ

まず、1です。
十分な睡眠こそ、頭を最大限に働かせるために必要不可欠と考えます。
心を落ち着けて、目の前の問題に取り組む際には、
たっぷりと睡眠を取った新鮮な頭脳を要するということです。

学生時代の期末試験で、前日から徹夜で知識を詰め込みまくって、
そのまま寝ずに試験を受けた方もおられるかもしれませんが、
気象予報士試験は、そういう小細工が通用するほど甘い試験ではありません。

私は初めての気象予報士試験の際に、緊張と睡眠不足が原因で、
試験中に寝てしまったことがあります。
結果は学科試験も含めて不合格でした。

特に、一般知識試験から受験される場合は、
普段よりも早起きしなければならない方もおられることでしょう。
可能であれば、事前に早起きの習慣を付けておくのも良いと思います。

次に、2です。
私が授業を行う前には、あまり食べないようにしています。
その理由は、満腹になるまで食べてしまうと、頭がボーッとしてきて、
「複雑なことはあまり考えたくない」という気分になるためです。

私の講義は、最初から最後まで喋り続けるスタイルなので、
頭が冴えた状態であることが、とても大切です。
満腹だと、説明の際に適切な表現が出にくくなり、言葉に詰まって、
「エ〜〜〜〜」とか「ア〜〜〜〜」といった声がよく出るようになります。
そこで、授業前は食事を控えめにしているわけです。

試験問題に取り組むときも、
満腹では十分に頭を働かせることができないと私は考えます。
試験が終わった後に、ビアガーデンなどでパーッとやればいいのですから、
昼休み中の食べ過ぎには、注意されたほうが良いでしょう。

最後に、3です。
試験会場には余裕を持って到着したいものです。
試験開始前ギリギリに駆け込んでくるというのは、
それだけで、気力・体力とも削がれてしまうことになり、
試験を受けるうえで不利に働くように思います。

気象予報士試験は、常に同じ会場で行われるとは限りません。
ときには、自分が初めて訪れる場所が試験会場だったりします。
その場合、もし可能であれば、事前に下見をしておくのが理想的です。
実際に一度訪れることで、下車した駅でどの出口から出るのか、
どの道を通っていけば良いのかが、肌で分かります。
下見をするだけの余裕がないのであれば、
インターネットを使って、駅構内図や地図を見ておかれると、
当日に慌ててしまうリスクを減らすことができるでしょう。




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117、難しい試験だからこそ、挑戦する価値がある。
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気象予報士試験が終わってから、いつも思うのは、
頑張った全ての受験生が合格を手にして欲しいということです。
「全ての受験生」ではなく「頑張った全ての受験生」です。

資格のネームバリューに引き寄せられて、ろくな受験勉強をしないまま、
記念受験した人が落ちるのは当然のことですが、
この勉強と真剣に向き合ってきた人には、結果を出して欲しい。
それが、講師を務める私の素直な願いです。

しかし、気象予報士への道は決して簡単ではありません。
合格率4〜6%というのは、難関大学の入試でもあまり見られない数字です。
もちろん、合格率の大小だけで試験の難易度は比較できませんが、
気象予報士試験が難しい国家試験であることは言うまでもありません。

学科試験の場合、15問中11問の正解が合格ラインとなることが多いわけですが、
これは100点満点で約73点という、なかなか高いハードルです。
また、実技試験の合格率は試験回によって異なりますが、
こちらも、総得点の約70%が合格ラインの目安となっています。
それが、結果として4〜6%の合格率という形になっているわけです。

もっと合格のハードルが低ければいいのに、とも思うわけですが、
それを考えたときに気が付くのです。
「難しい試験だからこそ、挑戦する価値があるのだ」ということに。

講習を受けるだけで、認定証がもらえる講座があります。
とにかく教則本を丸暗記するだけで、受かると言われる試験があります。

気象予報士試験の場合、塾や予備校の授業を受けても、資格はもらえません。
やみくもにテキストを丸暗記しても、試験には通らないでしょう。
基礎から積み上げる学習をしていかなければ、
そもそもテキストに書いてある内容が、全く理解できないはずです。

つまり、気象予報士の資格を得るためには、
多くの汗をかくことが必要だということです。
マスメディアの世界で活躍する気象キャスターの皆さんも、
おそらく、受験で苦労されたに違いありません。
電車の中で、携帯電話のゲームをする代わりに、
赤ボールペンを片手に、過去問題と格闘していたかもしれません。
そうやって勝ち取った資格だからこそ、
多くの人が、大きな価値を見いだすのだと思っています。

気象予報士試験の受験勉強は大変ですが、
試験に対する勉強である以上、基本的に答えが存在するものばかりです。
もちろん、気象学全体を見渡せば、
答えの見つかっていない問題は数多くあるわけですが、
試験範囲についてであれば、答えはすでに明らかになっています。
「解けるか解けないか分からないパズル」に挑戦するのは骨が折れますが、
最初から「必ず解けるパズル」であると分かっていれば、
いくらは気が楽になるはずです。
解くために必要な知識を着実に学んでいけば、
難解に見えるパズルも、必ず解きほぐれる瞬間が訪れます。
それを続けていけば、着実に合格を手元に引き寄せることができる、
私はそのように確信しています。




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118、「サボリ」と「オーバーワーク」を避ける。
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誰でも、「勉強をサボってはいけない」ということは知っています。
しかし、「勉強をしすぎてはいけない」ということは、
あまり知られていないように思います。

勉強を1日に1時間するよりは、3時間したほうが良い。
1日に3時間するよりは、5時間したほうが良い。
多くの人が、そのように思われることでしょう。
しかし、次のような条件が付くことを忘れてはなりません。
「それを続けることができるなら」という条件です。

総勉強時間は、「1日の勉強時間×それを続けた日数」で示されますから、
きちんと続けることができないのであれば、総勉強時間は増えません。

特に勉強を始めたばかりの方は、意気込みも強く、
「頑張って勉強して、早く習得したいものだ」と考えます。
しかし、自分の持つ1日の中に、上手く勉強時間を組み込むことができないと、
その志は、短期間で消沈してしまうことになります。

気象予報士試験を受験される方の多くは、
勤務・家事・育児・介護・他の学業などを抱えておられます。
そういった方々にとって、最も大切なのは、
勉強時間をいかに適切な形で確保し、それをいかに継続するかです。
ここで大事なことは、決して無理をしてはいけないということです。

「石にかじりついてでも毎日3時間勉強するぞ!!」と目標を立てても、
その人の生活事情から考えて無理があれば、続きません。
寝不足で頭をカクカクさせながら、本を読んでも頭に入りません。
(私自身も経験があるので、よく分かります。)
そうなるくらいであれば、睡眠を2時間増やし、
残った1時間を「質の高い勉強時間」にしたほうが効果的だと考えます。

一方、勉強に費やす時間的・体力的な余裕があるにも関わらず、
ついつい「テレビを見てしまう」「ダラダラしてしまう」という方は、
何らかの方法で、自分を縛ることが必要になると思います。
具体的には、受験生数人が集まって勉強会を開く、
私語厳禁、ペンを床に落とすだけで周囲から睨まれるような自習室に籠もる、
予備校や塾の類に関与する、などといった方法が考えられます。

「サボリ」と「オーバーワーク」は、表面的には正反対の現象ですが、
「自分で適切な勉強時間を設定し、それを続ける」ことができていない点では、
同じであると言えるでしょう。
大切なのは、自分の中に適切な勉強習慣を定着させることです。




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119、受験仲間を作ったほうが良い2つの理由。
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気象予報士試験の合格ためには、受験仲間を作ることが、
プラスになると私は考えています。
受験仲間を作る意義とは、次の2つにあります。
「競争」と「不安解消」です。

良きライバルになってくれる人こそ、受験仲間として適切です。
徒競走でも一人で走るより、二人で走ったほうが、
良いタイムが出ると聞いたことがあります。
難関校を目指す進学塾では、実力テストでの優秀者の得点を、
掲示板に公開することがよくありますが、
これも適度な競争心を生み出す素になっていると言えるでしょう。
自分をレベルアップさせるために、競争の場に身を置くのです。

例えば、実技試験の過去問題演習を行っていくとき、
「平成12年度以降の問題を、3か月で全て演習するぞ」などと、
仲間で決めて、取りかかっていくわけです。
週に1回程度は、お互いに進捗を確認し合うと良いでしょう。
こうして同じ課題を並行して行っていくだけでも、
互いに他人の目を意識することになりますから、
独りで行うよりも、勉強が続けやすくなるはずです。

そして、受験仲間の存在は、受験勉強の不安解消としても大切です。
独りで受験勉強を進めた経験をお持ちの方の多くが、
不安に襲われた経験があるはずです。
私が2回目の受験で不合格通知を受け取った際には、
「最年少合格は17歳」というニュースが出ていました。
自分と同い年の高校生が合格して、私は不合格という現実を前にし、
「自分は気象予報士試験に失敗し続けるのではないか」
と感じたことを覚えています。
また、受験勉強が順調に進まないときも、不安が顔をのぞかせます。
こういったときに、同じ立場にいる仲間が一人でもいれば、
勉強で苦労していることなどを話し合うだけで、
いくらか気持ちが楽になるというものです。

受験仲間は、数多くいれば良いというものではありません。
たしかに、大人数でワイワイ過ごすことも楽しいのですが、
互いに切磋琢磨するためには、気の合った一人がいれば良いと思うのです。
例えば、日曜日の午後に必ず喫茶店で集まって、黙々と日暮れまで勉強を続け、
勉強が終われば、息抜きのために街へ繰り出すのも良いでしょう。
小さな勉強会を開くことも、長期的に学習を続ける1つのコツなのです。




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120、実技試験合格のために大切なこと。
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試験時間内に、実技試験の問題を仕上げられなかった方も多いかと思います。
5年前の試験と比べて、実技試験の問題数が増えているのは明らかです。
その一方で、問題を解く時間はそのままなのですから、
迅速な解答が求められていることを意味します。
実際、気象予報に関わる業務はスピードが大切です。
限られた時間で資料を読み取り、判断が求められるわけですから、
早く問題を解く能力も重要であると言えるでしょう。

実技試験の実力を高め、速く解答できるようになるためには、
過去問題を使った演習が最も効果的であると何度も述べてきました。
例えば、平成21年度第1回試験の実技2(以下、21-1-2)では、
台風による高潮の問題が出ました。
これは、平成16年度第1回試験の実技1(以下、16-1-1)問5や、
平成19年度第1回試験の実技1・問5の問題と似ています。
事前に、これらの問題について丁寧に学習していた方なら、
今回の問題は、過去に出された問題の応用であることに、
すぐ気づかれたことでしょう。

例えば、(16-1-1)における問5(4)であれば、
単に、「吹き寄せ効果」についての知識を問うただけとも言えますが、
(21-1-2)における問5(4)では、知識をもとにして資料を読み取り、
そこから答案文を作成するという方式でした。
覚え込んだ知識を、そのまま吐き出すのではなく、
きちんと活用できるかが問われる良問だと思います。

実技試験で失敗された方、つまり合格点に到達できなかった方の原因は、
次のいずれか、もしくは複数が重なっていると分析しています。

1,過去問題演習量の不足
2,答案についての検証不足
3,学科試験に関する知識不足

まず、1です。
私は、過去7〜8年分の問題を繰り返して学習することをお勧めしています。
試験の回数にして約15回、実技試験にして約30題の演習量です。
数多くの問題に取り組むことで、網羅できる問題パターンも増えます。
また、豊富な過去問題演習とは、単に問題数を増やすことだけでなく、
何度も繰り返して学習するということも意味しています。
私は標準的な数字として、3回程度の繰り返しを想定していますが、
今回の試験で合格された方の中には、
5回以上繰り返して勉強された方もおられました。
何度も取り組むからこそ、資料の読み取りにも慣れてきますし、
自分の弱点を克服することができます。これが大切なのです。

次に、2です。
単に問題を解いただけでは、その学習効果は低いということです。
問題を解くこと自体は、自分の頭の中に入っているものを、
紙に書き出す作業に過ぎないからです。
知識を増やしたり、誤った認識を修正したりすることで、
問題を解く能力を高めることができます。
そのためには、答案についての検証が必要です。
検証とは、単に解答例を見て赤ボールペンで丸を付けたり、
自分の答案の横に、解答例を書き写すことではありません。
問題に正解できなかった理由をトコトン考え、分析することです。
単なる知識不足なのか、根本的な思考法が誤っているのか、
資料の読み取りの際に欠けている視点があるのか、など、
時間をかけて取り組んでいかれる必要があります。
また、答案を自分で分析することも大切ですが、効率的に進めるためには、
講師的立場の人間による添削を受けることも重要です。
一人ではなかなか気づかないことについて指摘・指導を受けることは、
一回の問題演習での改善点が増すことを意味するからです。

最後に、3です。
過去問題演習を進めていくためには、時間も労力もかかります。
これを丁寧に続けることが、合格にとって必要だと考えるわけですが、
「続けられる人」と「続けられない人」の違いは、
単に「勉強に対する意志の強弱」とは言えない部分もあります。
実技試験の勉強は、学科試験に関する知識を土台にしているため、
学科試験の学習が不足していると、すぐに支障を来します。
先ほど、高潮の問題が出題されたことについて述べましたが、
そもそも高潮に関する知識が不十分であれば、問題演習そのものが困難です。
知識が不足している状態で実技試験の勉強を行っても、
手応えを感じることができないため、やる気が失せてしまいます。
これを「勉強に対する意志が弱い」と見なすのは正しくなく、
誤った学習順序によって滞りが生じたと考えるべきです。
完全合格に直結する勉強に取り組みたいのは誰でも同じですが、
「急がばまはれ瀬田の長橋」、まずは基礎知識を充分に学ぶことが大切です。




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121、理数系の勉強を恐れない。
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いわゆる「文系」と自称される方、
つまり、人文科学系や社会科学系を得意とされる受験生は、
理数系の勉強を苦手とされる方も少なくありません。

気象予報士試験における一般知識試験では、初歩的な気象学を学びますが、
ここでは、理科(特に物理)や数学についての勉強が必要になります。

市販されている問題解説書や参考書を読むと、
dx/dtとか、縦に長い「S」のような記号が出てくることがあります。
微分や積分の知識がなければ、これらを理解することは困難ですので、
中には解説を読むのをやめてしまった方もおられることでしょう。

そして、気象予報士試験に合格するためには、
「高度で複雑な数学の知識がなければ、絶対に太刀打ちできない」
と思われた方も、いらっしゃるかも知れません。
しかし、それは事実ではないと私は考えます。

試験に出てくる計算問題を解くことが目的であれば、
複雑な数学の知識は不要だというのが、私の認識です。
大半は、小学校〜中学校の算数や数学で事足ります。
高校数学の内容も一部は含まれますが、限られた内容にとどまっており、
その部分だけを学習すれば十分だと考えています。

また、「理数系の勉強」=「公式をいっぱい覚える」
と考えておられる方もいるかも知れませんが、
気象予報士試験で、押さえなければならない公式は限られています。
「気体の状態方程式」や「静力学平衡の式」など、数は決して多くありません。

そもそも、「公式を丸暗記すれば良い」という考え方自体が、
正攻法の勉強ではないと捉えるのが私の考え方です。
過去の試験を分析してみれば、すぐに分かりますが、
気象予報士試験では、丸暗記した公式に数値を代入して解くといった、
単純な問題は、ほとんど出ないのです。

試験に出されるのは、見た目は「計算」という形をとっているものの、
結局のところは、本質的な理解が伴わないと解けない問題が大半です。
つまり、気象学の勉強は「計算」と「それ以外」に分けて捉えるのではなく、
両者を一体のものとして学ぶことが大切です。
数式は、表現のための道具であると考えればよく、
文章の代わりに数式を使っていると言えるのです。

もちろん、よりレベルの高い気象学を学ぶためには、
もっと難しい数学(特に微分積分学)の勉強も必要です。
しかし、気象予報士試験の水準であれば、数式を使う部分は限られ、
その概念を言葉で把握できればOKである場合が多いのです。
ですから、決して恐れるようなものではありません。
基礎から積み上げていけば、理解に達することができるはずです。




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122、分かりやすい本で勉強を始める。
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この前から、吉川英治『三国志』(講談社)を読み始めています。
私は本を買っても、途中で意味が分からなくなって、
読了できずに投げ出してしまうことがよくあるのですが、
吉川三国志は最後まで楽しむことができそうな気がします。
それは以前に、横山光輝『三国志』(潮出版社)を読んだからです。
漫画の横山三国志でストーリーを把握しているおかげで、
吉川三国志がよく分かりますし、登場人物の顔も浮かんできます。
最初から字だけの三国志に手を出していれば、挫折したかも知れません。

また、私は『ゴルゴ13』が好きだということもあって、
さいとう・たかを『太平記』(中央公論新社)も読みました。
古文を知らないので、古典の『太平記』には手が出ないと思いますが、
漫画なら、どんどん読み進めていくことができます。

文学作品に限らず、何か新しいものに挑戦するときには、
できるだけ分かりやすいものから手を付けるべきですね。
これは、気象の勉強についても言えることだと思います。

勉強は、階段を上ることと似ています。
無理をして足を高く上げても、10段目から始めることはできません。
最初から、あまり高度な内容の本を買ってしまうと、
理解できないことが多すぎて、苦痛になってしまいます。
それが、勉強への興味や意欲を削いでしまうことになり、
本は書棚でホコリを被ることになるのです。

入門の段階では、学習に対する興味を高めてくれる本や、
簡単に理解できる本が適しています。
具体的には、漫画で説明した本や図鑑などです。
しかし、「小学生じゃあるまいし、今さら学習漫画など・・・」
と思われる方は、次の1冊をお勧めします。

『みるみる理解できる天気と気象』 (ニュートンプレス)

『ニュートン』という月刊科学誌があるのですが、
この雑誌に掲載された内容をもとにしたものが、上記の書籍です。
私も、この雑誌を毎月買うことが多いのですが、
美しいイラストと詳しい説明で綴られているのが特長です。
専門家向けではなく、一般向けの科学雑誌ですから、
丁寧に読んでいけば、内容が分かるようになっています。

『みるみる理解できる天気と気象』は、
気象予報士試験に挑戦する方にとって、かなり良い教材です。
初学者だけでなく、ある程度勉強の進んだ方でも、
得られるものは大きいと思います。
これを充分に読み込むことで、さらに高度な学習に進むことができるはずです。




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123、3か月続ければレベルアップ。
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ざっくり言ってしまえば、気象予報士試験に合格するためには、
2つのことを満たせば良いと私は考えています。

1,何を勉強すればよいかを知る。
2,その勉強を続ける。

試験に合格するために必要な学習範囲はどういったものか、
これを知らないままに勉強するのは、地図を持たずに旅に出るようなものです。
必要な学習範囲を甘く見積もれば、抜け穴だらけの勉強になりますし、
必要な学習範囲を過剰に見積もれば、拘らなくて良い細部に時間を割き、
結局のところ、非効率な勉強になってしまいます。
私の経験上から言えば、独習で受験勉強を進めると、
甘く見積もる傾向が出やすくなります。
ある程度の勉強が進まないと、全体の学習範囲は見渡せないためです。

どの範囲を勉強すればよいか、というのが分かってしまえば、
あとは、その勉強を丹念に続けていくだけのことです。
・・・と簡単に書いてしまいましたが、これが大変なのですね。
もちろん、どんな参考書を使ったら良いかを考えることも大切なのですが、
実のところ、何をすべきかを知ることは、それほど難しくありません。
ネット検索で「気象予報士 合格体験記」とでも打ち込めば、
数多くの合格体験記を読むことができます。
情報の入手そのものは、昔に比べて楽になりました。
むしろ、なすべきことを着実に実行していくほうが、圧倒的に困難です。
これは、今も昔も変わりません。

ですから、気象予報士試験に合格するためには、
どうすれば勉強を続けていけるのかを、真剣に考えていかれる必要があります。
どの方法で実行すれば、挫折せずに続けていけるのかについては、
人それぞれ合ったやり方がありますから、画一的な処方箋はありません。
このメルマガでも多くのことを書いてきましたので、
それらを参考に、自分に合った作戦を考えると良いでしょう。

長期間にわたって勉強を続けるのは大変なことですが、
毎日、一定の学習時間を確保して継続できれば、
3か月くらいでレベルアップを実感できるのではないかと思います。
今日は11月23日です。8月の第32回試験から約3か月が過ぎました。
試験終了直後からブランクを空けずに勉強を続けてきた方が、
読者の方々の中にも、間違いなくおられるはずです。
その手応えは、ご自身が実感しておられるに違いありません。

これから気象予報士試験の勉強をお始めになる方も、
しばらく勉強を休んでしまった方も、
まずは3か月間、集中して取り組んでみましょう。
過ぎてしまえば短いものですが、実際に続けるのは容易ではありません。
要は「続けられるか、続けられないか」ということだけ。
分かりやすい参考書探しも、勉強仲間作りも、予備校への関与も、
結局のところ、この目的を達成するための道具なのであり、
その道具を使いこなせるかは、自分次第です。




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124、次につながる勉強を。
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野球の試合を想像して下さい。
同点で迎えた9回裏、走者無しの状況において、
打者が成すべきことは何でしょうか?

それは、何としてでも出塁することです。
確かに「ホームランを狙う」という考え方もあるでしょう。
しかし、強打者でもホームランを打てる確率は、決して高くありません。
プロ野球の世界でも、1シーズンに30本打てる選手は、ごく一握りです。
スタンドに叩き込もうと、大振りした挙げ句、
三振したり、外野フライに打ち取られたりするのは、避けたいところ。
内野安打でも、セーフティーバントでも構わないので、
まずは1塁に突っ込むことが大切です。

気象予報士試験を狙う際も、これと似ている部分があります。
学科試験に1科目も合格できていない状態で、完全合格を狙うのは、
いきなりホームランを狙うのと同じ思考です。

受験生なら誰でも、少しでも早く資格を取りたいと望むのが普通です。
それは百も承知なのですが、願望に見合った実力が無ければ、
大振りしても、凡フライに打ち取られるだけなのです。

特に、今まで一度も学科試験に合格したことのない方は、
学科2科もしくは1科だけに絞った形で、受験勉強を行うことをお勧めします。
一般・専門・実技を同時並行で進めていくのは、相当に大変です。
受験科目を絞ることで、その科目にエネルギーと時間を集中できます。

私が学科試験の合格にこだわる理由の1つは、
目に見える結果を出すことが、モチベーション維持・向上のために、
とても重要だと考えるからです。
完全合格を狙うつもりで勉強して、もし全部不合格だったら、
人によっては、やる気を一気に失って、
再チャレンジできない状況になってしまうかも知れません。

完全合格できなくても、学科1科もしくは2科に合格できれば、
資格取得に近づいたことを実感できるはずです。
そして、ここが大切なことなのですが、
学科合格によって、気象予報士資格を取りたい気持ちがさらに高まり、
その後の勉強に勢いが生まれてくることがあるのです。

これは野球で言うところの「試合の流れ」と似ています。
相手チームに得点リードを許している状況であっても、
走者を貯め込み、1点ずつ返していくような場面が生まれると、
不思議なくらいヒットが連続することがしばしば見られます。
例えば、私の母校の野球部での今夏の試合は、
11-5で迎えた9回裏に、一気に6点を叩き出して、延長戦に持ち込みました。
良い流れを生み出すことで、試合展開が一気に変わる例だと言えます。

合格率75%の試験であれば、一発ホームランを狙えば良いでしょうが、
ある程度の長期戦で考えていかねばならないのが、気象予報士試験です。
自分の気持ちを上手く高めながら、
合格まで勉強を続けられるように作戦を練ることも、
試験対策の1つだと私は考えています。




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125、好きなものを1つ断て。
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私が知っている限りでは、気象予報士試験に楽々と合格した人は1人もいません。
忙しい中で時間をやりくりし、豊富な勉強時間を確保したうえで、
集中して取り組まれた結果、合格を勝ち取られた方ばかりです。
つまり、この試験に受かるためには、
一定以上の勉強時間の確保は欠かせないと考えられます。

もちろん、「時間さえかければ良い」というものではありません。
ダラダラ続けていても、得られるものは少ないでしょうし、
短時間でも集中して取り組むことができれば、成果は大きいでしょう。
私は以前のメルマガで、スキマ時間を有効活用することについても書きました。

「73,勉強の質と量を確保するために。」

気象予報士試験では短い時間に集中することと同時に、
じっくりと腰を落ち着けて勉強できる時間を確保することも大切です。
特に、実技試験では、大量の資料を丹念に読み解くことが求められます。
これは時間がかかるため、思考が途切れないような環境が必要なのです。

集中して取り組める勉強時間を確保するためには、どうすればよいか?
「寝る時間を削るな」と常に私は言っています。それは推奨できません。
その代わりに、「好きなものを1つ断つ」ことをお勧めします。

人によって「好きなもの」はさまざまですが、
好きであるだけに、それに長い時間を割いているはずです。
これを1つ断つことで、時間を作り出すのです。
例えば、コンピュータゲームが好きな人は「ゲーム断ち」を、
パチンコが好きな人は「パチンコ断ち」をするのです。

かつて私も、テレビゲームが好きだった時期があります。
当時は「ファミコン」とか「スーファミ」と呼ばれていました。
エスカレーター式で進学できる学校に入学し、
受験勉強も一生せんでええわ!ということで、
夜遅くまで、ゲームに没頭していたときがありました。
床につくときも、脳裏にゲームの画面が出てくるほどでした。

また、パチンコ屋通いにハマったこともありました。
新聞の折り込みチラシに、「新装開店」「新台入替」などと書かれていれば、
あちこち顔を出していたものです。
もっとも、勝率がかなり低かったため、
すぐに軍資金が枯渇し、それほど長くは熱中しませんでしたが。

今の私は、ゲームもパチンコも一切やりませんが、
それぞれに魅力があり、面白いということはよく知っています。
「くだらない」と思うから、やらないのではなく、
「面白すぎてハマりそう」と思うから、手を出さないのです。

気象予報士試験に合格したいのであれば、
受験期間中は「面白すぎるもの」に手を出さないほうが得です。
気象予報士塾の受講生だった方で、合格までテレビを断った方もおられます。
トレンディードラマ(←今もこう呼ぶのでしょうか?)が好きで、
いつも何かを毎週見ている人は、それを断つのも良いでしょう。
何も一生断つわけではありません。合格を勝ち取れば、再開すれば良いのです。
好きなものを断つことは簡単ではありませんが、
受験勉強に適した環境を自ら作り出すのは大切なことです。




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126、勉強時間を編成する。
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見たいテレビ番組をうっかり見逃して、
悔しい思いをされた経験は誰にもあるかと思います。

「見たいときに、見たい番組を見ることができれば、どんなに良いことだろう」
子供のときから、そう思っていた私にとって、
親戚宅からやってきた中古のビデオデッキは、夢のようでした。
その後、大学時代には足繁くレンタルビデオ店に通い、
手当たり次第に映像作品を見続ける生活を続けました。
「男女7人夏物語」も「東京ラブストーリー」も、全てビデオで見たのです。

今では、わざわざレンタル店に足を運ばなくても、
DVDを自宅まで宅配してくれるサービスもありますし、
光回線を通して、パソコンなどで映像作品を楽しむことができます。
まさに、見たいときに見たい番組を見られる時代となったわけです。
それは良いことずくめだと思っていたのですが、
最近になって、忘れかけていた価値に気づく機会がありました。

先日、何気なくNHKラジオ第2放送を聞いていたときのことです。
中学生向けの番組として「基礎英語」というのがありますが、
この特別編のような形で、番組の活用方法について話をしていました。
その中で「毎朝早起きをして、番組を必ず聴くようにしています」
という体験談が出てきました。
これが、オンデマンドに慣れた私には意外な感覚でした。

ラジオ番組をタイマー録音する機能の付いたオーディオ機器など、
決して高いものではないはずです。
そう思って、Yahoo!ショッピングで「ラジカセ 時計」で検索したところ、
3,000円程度で売られていました。

番組を録音しておけば、都合の良いときに、いつでも聴くことができます。
しかし、それは同時に「いつでも聴けるから、今は聴かなくて良い」という、
言い訳もできてしまうという側面も持ち合わせているのです。

敢えてタイマー録音という手段を選ばずに、早起きしてラジオの前に座る。
録音をしないのですから、聞き逃してしまえば、それで終わりです。
(NHKラジオの語学講座は再放送がありますが、朝の放送は1回だけです。)
1回しか聴くことができないからこそ、緊張感が生まれ、
集中して学習できるという面もあるでしょう。
また、放送時間に自分のスケジュールを合わせることで、
毎日一定量の時間を語学学習に充てる形になり、
勉強のペースメーカーになってくれます。

いつでも好きなときに勉強できる教材は大きな利点を持っていますが、
長所であるはずの性質が、逆に欠点となってしまうこともあるわけです。
そこで、「好きなとき」ではなく、敢えて学習時間を決めてしまうのも、
1つの有効な活用法だと思います。
例えば、「○曜日の△時〜□時にDVDで講義を受ける」とスケジュールを設定し、
それを守っていくことで、勉強習慣を定着させるのです。

娯楽のためのソフトであれば「いつでも好きなときに」は大きな魅力ですが、
勉強を続けることが目的であれば、その機能の一部を制限することも、
1つの方法として有効であるように思います。




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127、最高の状態で試験に臨むための秘訣
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試験が直前に迫った時期においては、
「いかに点数を積み増すか」という戦術だけでなく、
「いかに減点を防ぐことができるか」という戦術も重要です。

「試験日まで残すところ、あと数日」という状況では、
すでに詰め込める知識量は限られています。
気象予報士試験は短期集中型の試験ではありませんので、
今から頑張っても、伸ばせる実力は限定的です。

少し厳しい見方をすれば、現時点でバタバタしている受験生は、
これまでの勉強不足の裏返し、とも解釈できます。
時間をかけて根気よく勉強を続けてきた方であれば、
「やるだけのことはやった」という気持ちをお持ちのことでしょう。

試験直前で行う勉強は、習得した知識の確認が中心となります。
特に暗記の必要な事柄について、重点的に見ておかれると良いでしょう。
具体的には、気象法規・注意報や警報の発表基準・天気記号などです。
入念な確認で記憶の定着を図って下さい。

一方、減点を防ぐためには、できるだけベストコンディションで、
試験に臨めるようにすることが大切です。
試験問題の多くは、気持ちを落ち着けて思考を重ねていく必要があるため、
同じ実力でも、コンディションによって得点は変動すると考えます。
特に実技試験については、1点差が合否を分けることもあるのですから、
持っている実力を最大限に発揮できることが重要です。

私の経験から申し上げれば、
寝不足・疲労・食べ過ぎは、思考力・判断力を弱める方向に働きます。
そういった理由で、十分な実力が出せないのは勿体ないことです。
前日は早く布団に入り、しっかりと睡眠を取る、
苦しくなるほど食べ過ぎない、といったことに注意されると良いでしょう。

当日は、時間に余裕を持って試験会場に向かうことをお勧めします。
「遅刻するのではないか」という不安を抱えながら、
バタバタと教室に入っていくのは、それだけで無用の緊張を強いられます。
特に、初めて訪れる試験会場であれば、
事前に交通事情や道のりを調べておかれると安心です。

また、試験会場や教室内の座席位置によっては、
暖房が十分でない・暖房が強すぎるといった状況もあるかも知れません。
これについては、脱いだり着たりしやすい服装で対処すると良いでしょう。
また、足先の冷え込みも、集中力を妨げる要因になりかねないですから、
普段から冷えやすい体質の方は、
靴用・靴下用のカイロを用意しておかれるのも、1つの手段です。


「89、試験会場で心を落ち着ける方法」

「116、試験当日までに心得ておきたい3つのポイント」




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128、第33回気象予報士試験を振り返って
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第33回気象予報士試験を受験された方々のご感想で最も多かったのは、
「試験問題が易しくなったような気がする」ということでした。
私も試験問題に目を通し、同じような印象を受けました。

今後に実施される試験が、今回と似た傾向をとるのか、
それとも、以前と似た傾向に戻るのかは、全く分かりません。
しかし、いずれにせよ、私は次のように考えています。
試験勉強の方針はこれまでと同じで良い、ということです。

第33回試験の難度が少し下がったように感じた理由は、
いわゆる「超難問」が減ったことにあると分析しています。
仮に、試験問題の難易度を「レベル1」〜「レベル4」に分けたとき、
「レベル4」の問題がほとんど見られなかったという感じがします。

「レベル4」の問題に遭遇すると、その難度の高さのあまり、
試験が終わった後も、奥歯に何かが挟まったような感じがして、
いつまでも気になるものです。
しかしながら、難度が極端に高い問題であれば、
多くの受験生が正答できないはずであり、
その正答率は、5つの選択肢からなる学科試験であれば20%に近づき、
実技試験であれば0%に近づくことになります。
つまり、難問が多い場合は受験者の中で得点差が付きにくく、
合否ラインが低下するだけ、だと考えています。

受験者の中で得点差が生じやすいのは、「レベル2」「レベル3」の問題です。
キチンと勉強した受験生なら正答できるが、
実力が不足していると太刀打ちできない、という問題が多いほど、
得点差が広がりやすいと言えるでしょう。

つまり、「レベル2」や「レベル3」の問題を、
着実に獲っていくことこそが、合格のためには大切なのであり、
結局のところ、それは私が以前から申し上げている試験対策法です。

今回の気象予報士試験でも、数多くの知識や技能が試されました。
いずれの問題も、短時間でホイホイと習得できるものではなく、
ある程度の時間をかけ、丁寧に勉強しないと、正答が難しいと感じます。
基礎から着実に学習を積み上げていくことこそが、
気象予報士試験合格のために必要な勉強法です。




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129、学びたいときこそ学習適齢期
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勉強を行ううえで大切なことは、興味・関心を持つことです。
「もっと知りたい」という意欲を持って学ぶ場合と、
義務感で机に向かう場合では、その効果に大きな違いが出ることでしょう。

私にとって、今でも印象に残っているのは、
小学6年生で初めて塾に入ったとき、最初に受けた社会科の授業でした。
授業内容は、関ヶ原の合戦から江戸幕府が開かれるところです。

「関ヶ原から見て東にあるから『関東』、西にあるから『関西』だ。」
「『譜代大名』と『外様大名』の違いは何か知っているか?」

大人であれば、誰でも知っているような内容ですが、
12歳の私にとっては、何もかもが新鮮でした。
小学校の授業では経験することの無かった知的刺激をズバズバ受けたのです。
中学入試対策の進学塾だったので、難しい内容も含まれていましたが、
乾いたタオルが水をグイグイ吸収するように、
習得していったことを思い出します。

その後、私は大学まで事実上の無試験で進める私立中学校に進学しましたが、
そこで勉強に対する意欲を失ってしまいました。
中学1年生の1学期における英語の期末テストが30点台という有様です。
高校に進学したときには、あまりにも英語ができなかったため、
少人数制の特別クラスに放り込まれたほどです。

私が再び勉強に対して燃えるようになったのは、16歳のときでした。
気象予報士という国家資格が新設され、
テレビや新聞で盛んに紹介されていたのを目にしてからです。

よく「勉強ができる人」「勉強ができない人」という言い方をいますが、
私はその分類は正しくないと思っているのです。
なぜなら、自分自身が意欲的に勉強に取り組めた時期と、
全く手に付かなかった時期の両方を経験しているからです。

学校を卒業してしまえば、無理に勉強する必要はなくなります。
大切なのは、「学びたい」と感じたときに、
生まれた興味をいかにして育むかが大切なことだと思います。

ちょっとしたキッカケで、関心や興味が湧き、
そのときに、時間や気持ちにある程度の余裕があり、
さらに、学習を手助けしてくれる良い師に巡り会えば、
意欲を持って学び続けることができるはずです。

我が家の書棚には、数学の参考書が10冊以上入っていますが、
学生時代に購入したものは1冊もありません。
全て社会人になってから買ったものです。
いつから学び初めても、遅すぎるということはないと思うのです。




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130、半年先までの学習計画を立てよう。
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平成22年度の気象予報士試験日程は、まだ発表されていませんが、
例年どおりの日程であれば、次の試験は8月下旬です。
今日は3月1日ですので、次回試験までおよそ半年ということになります。

「試験まで半年」というのは、勉強に取り組むうえで、
ちょうど良い長さだと思うのです。
1年だと長すぎて、「まだ大丈夫」というダラケ心が出てきますし、
2か月だと短すぎて、「もう間に合わない」という諦めが生じます。
6か月という時間は「3か月+3か月」「2か月+2か月+2か月」と分割しやすく、
そういう意味でも、学習計画を立てやすいと言えるでしょう。

具体的には、半年間を学科試験の対策に費やす場合であれば、
前半3か月は主として基礎事項の学習・確認に、
後半3か月は主として過去問題演習に充てることになるでしょう。
演習する過去問題の数を、一般知識・専門知識で各450問と考えた場合、
1日10問ずつ取り組むことで、90日間で900問の演習が可能です。
ただし、2科目に挑戦すると、1科目のときに比べて勉強量が2倍になります。
受験勉強の進捗に応じて、場合によっては2科を1科に絞るといった、
選択と集中の決断をせねばならないことがあるとお考え下さい。

実技試験に挑戦する場合は、なるべく早い段階で、
天気図の読み取り方などの基礎事項を学習し終えることが大切です。
基礎学習の完了後に取り掛かるべきことは、過去問題演習です。
実技試験において、私は過去7〜8年分の過去問題を、
入念に取り組むことが大切だと考えます。
それは、試験回数にして約15回、題数にして約30題を意味します。

この勉強を経験された方であれば、誰でもご存じですが、
実技試験の過去問題演習というのは、すごく時間がかかるのです。
問題の出題形式や資料の読み取りに慣れていない段階なら、尚更です。
しかも、単に問題を解くだけではなく、解いた後の自己答案分析も大切です。
ときには、1題の演習を仕上げるのに、5時間以上かかることもあるでしょう。
また、同じ問題を何度か繰り返して演習するのが理想的です。
それらを踏まえたうえで、8月試験での合格を目標とすれば、
遅くとも、5月には過去問題演習に着手すべきと私は考えます。

半年という期間は、長いようにも短いようにも感じられます。
受験勉強モードに入れないままだと、すぐに時間が過ぎてしまいます。
でも、毎日着実に受験勉強を重ねることができれば、
大きなジャンプアップを可能にするために充分な時間だと思います。




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131、「アサベン」のすすめ
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春は新しいことを始める良い機会です。
気持ちを新たに切り替えて、勉強を進めてきたいところですが、
受験生の皆様に、私は「アサベン」をお勧めします。
「朝弁」「朝便」という意味ではなく「朝勉」、
つまり朝に勉強するということです。

勉強というと、深夜にコツコツと行うものというイメージもありますが、
私は早朝の時間を活用して、気象予報士試験の勉強を行ってきました。
受験生だった頃から、もう15年ほど経ちますが、
今でも5時頃に起きることが多いのです。

早起きして勉強を行うことのメリットはいくつか挙げられます。
まず、朝の頭と体は新鮮だということです。
言ってみれば、夜は寝る前なのですから、
1日のうちで、頭と体が最も疲れている時期ではないでしょうか。

次に、朝は誘惑が少ないということです。
夜であれば、面白そうなドラマやバラエティー番組がいろいろあり、
ついつい見たくなってしまい、リモコンに手が伸びてしまいます。
また、私は酒が飲めない体質なのですが、
もし、飲めるタイプであれば、一杯やりたくなるときもあることでしょう。
勉強時間を早朝にシフトさせることで、これらの誘惑から逃れやすくなります。

また、朝の5時に起きるような生活を始めると、
夜は早く眠くなり、遅くまで起きていることができなくなります。
人が1日に使える時間が概ね限られていることを考えますと、
夜の娯楽時間を減らすことが、勉強時間の捻出につながるわけです。
「朝勉生活」を送ることで、夜更かしができにくくなるため、
受験生にとっては、好都合なのです。
こうした生活は禁欲的で堅苦しいとお感じになるかも知れませんが、
試験に合格した後で、元の生活に戻せば良いのです。

早朝の静けさは勉強に向いた環境だと思うのですが、
もし、「静かすぎる」とお感じになるのであれば、
NHK-FMで毎朝6時から放送される「バロックの森」という番組をお勧めします。
歌詞のない音楽ですから、気を取られることもないと思います。
また、私は「1.FM」というネットラジオで音楽を聞くこともあります。
パソコンが必要ですが、時刻に関係なくいつでも楽しめるのが良いですね。

もうすぐ春分を迎える今の時期は、かなり夜明けが早くなっています。
朝の冷え込みも弱くなり、真冬よりも早起きしやすい季節です。
眠ければ、少し家の周りを散歩してみるのも良いでしょう。
人も少なく、普段とは少し違った風景が見られるはずです。
早朝の光を浴び、清々しい空気を吸い込みながら、
勉学に打ち込もうではありませんか。




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132、得意な分野で自信を付ける。
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テレビで高校野球を見ていると、
グラウンドを走り回っていたことを思い出します。
高校時代、私は野球部に所属していたのです。

でも、野球の腕前はといいますと・・・、
外野フライを捕り損ねて、ボールが顔面に直撃し、
メガネを壊したことがあります。
さすがに硬球は痛い! 額を4針縫ってもらうことになりました。
しかも、その3か月後にも同じような経験をしました。
バットには、なかなかボールが当たらなかったのですが。

練習試合などがあると、試合に出場した仲間たちは、
帰路において、試合を振り返っての感想に興じるわけですが、
ベンチで声を張り上げているだけのことが多かった私は、
ツマラナイ気分になることもありました。
野球部で過ごした3年間は楽しく、本当に良い思い出なのですが、
野球そのものでは、満足できる結果を残すことはできなかったのです。

その後、大学に入ってから、私が始めたのは自転車でした。
競技ではなく、1人で宗谷岬(北海道)を目指すという旅です。
他人よりも速く走る必要はありません。
大切なのは、ひたすら毎日走り続けること。
雨の日も、風が強い日も、悪路でも、お尻が痛いときも。
上り坂でペダルを踏むのがしんどくなったら、自転車を押して進む。
これを続けることで、目標に到達することができました。

自転車では、旅の過程を楽しむだけでなく、
最初に決めたゴールに辿り着くという結果を残すことができました。
「たしかに野球は下手だが、
 他人がやらないような長距離自転車旅を成し遂げた。」
と思えるようになりました。

気象予報士試験に挑戦したというのも、
天気が好きだったのが大きな理由ではありますが、
好きな分野での勉強で何か結果を出したい、という望みがあったように思います。
「たしかに学校の勉強は全然ダメだが、
 他人が持っていないような資格を持っている。」
試験に合格できた後には、そう思えるようになりました。

「資格は手段」と言われますが、同時に目的でもあると考えます。
難しい試験に挑戦し、合格を手にすることで自信を得ることができれば、
人によっては、その資格が持つ実体的な効力よりも、
大きなものを手に入れられるかも知れないと感じます。

不得意な分野について無理やり進めていくよりも、
自分に合うものを見つけて、得意分野に変えていくほうが、
プラスになることが多いような気がするのです。




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133、アクセルはゆっくり踏む。
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今春から気象予報士試験の勉強を始めた方、始めようとされる方が、
たくさんおられることとお察しします。
そこで、今から勉強をスタートされる方に、役立つお話を書きます。

勉強を始めたばかりの状態というのは、気持ちが高まっているものですが、
その気分に任せて、ハード過ぎる学習計画を組まないよう、
気をつけられたほうが良いと思います。

学習意欲の高まっているときに合わせてアクセル全開にすると、
勉強以外のことで忙しくなるなどして、充分に学習時間を確保できないときに、
計画を達成できなくなってしまいます。
その未達成感がイヤな気持ちを引き起こし、勉強の邪魔をします。
スタート時は、ほどほどの学習ペースを維持し、
ある程度、勉強が軌道に乗ってきたら、
少しずつアクセルを踏んでいけば良いでしょう。

目先を考えますと、8月に試験が実施されます。
「場慣れ」という意味もありますので、挑戦されるのは良いことですが、
本気で「結果」を出そうと思えば、相当の努力が要ります。
ここで言う「結果」とは、一般知識試験の合格を指しますが、
基礎学習から始まり、試験合格レベルまで実力を引き上げるためには、
相当量の勉強が必要になります。
無理に無理を重ねたスケジュールを組んで、それに見合った結果が出なければ、
その時点で意気消沈してしまう恐れがありますので、
基本的には、来年1月試験での一般知識試験合格を目指したいところです。

この試験は、長丁場です。気象の学習経験がない方であれば、
どんなに順調に進んでも、合格まで最低1年半はかかります。

試験に合格された方の多くが、途中での失敗を経験しています。
長い受験期間において、いろんなことがあるのは当然です。
できるだけ、気分の変動が大きくならないように気を配ることも大切ですし、
何らかの理由で、勉強に手が着かなくなったときに、
気持ちを立て直す方法を知ることも大切だと思います。
成功者の経験談から学べることもあるでしょう。

初学者の方が、現時点で試験問題を目にされても、
何が書いてあるのかを把握することさえ、困難であるはずです。
でも、着実に勉強を重ねていけば、
来年のこの時期には、分かることが相当に増えていることでしょう。
それを想像しながら、勉強を進めていかれると宜しいかと思います。





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134、仲間とともに難関試験に立ち向かおうぞ!
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「結局のところ、『やるか・やらないか』ってことなんですね。」
気象予報士試験の合格を勝ち取られた方から、
こういった話をよくお聞きします。

メルマガでも、勉強法についての記事をいろいろ書いていますが、
「勉強法の勉強」をいくら行ったところで、
実際の勉強が手つかずであれば、成果など出るはずもありません。

もちろん、「自分に合った効率の良い勉強法」を知ることは大切ですが、
気象予報士試験の合格のために、最も大事なことは、
「受験勉強に対する高い意欲」を持続させることです。
吸収せねばならない知識が多いからです。

とはいえ、人の気持ちは変わりやすいものであり、
ある時点で、やる気が絶頂に達していても、
3か月すれば、すっかり忘れてしまっていることも、しばしばです。
そう考えてみますと、3か月というのは長い時間ですね。

合格への遠い道のりを目にしたとき、次々に不安が襲ってきます。
「文系より理系のほうが有利なのか」
「記憶力が高くないとダメなのか」
「大学を出ているほうが有利なのか」
「そもそも合格には素質が必要なのか」
しかし、ここに挙げたことよりも、遙かに大切なのが、
「この受験勉強を長期にわたって続けること」なのです。

気象予報士試験の合格者の大半は、1年半以上の受験期間を経ています。
勉強を1年半以上続ければ、必ず合格できるというわけではありませんが、
少なくとも合格を手にされた方は、これだけの勉強を続けたわけです。

そう考えますと、モチベーションの維持を図るという点において、
意識的に注意を払うことは、とても大切だと言えるわけです。
「意欲」「やる気」について考えたとき、重要なのは他人の存在です。

「気象予報士を目指しているということを秘密にしておきたい」
その気持ちはよく分かります。
しかし、一切を隠したままの「コソ勉受験生活」よりも、
何らかの形で、他の受験者と関わりを持っておかれることをお勧めします。
「俺は気象予報士を目指している」と公言しなくてもいいですから、
ちょっとした小窓を開けておくことが大切だと考えています。

たった1人でも受験生仲間がいると、孤独感が和らぎます。
1人と2人の差はそれほど大きくありませんが、
0人と1人の差は歴然たるものです。無と有の違いですからね。
仲間がいるからこそ、「一緒に頑張っていこう」という連帯感が生まれます。
「自分だけ挫折するのは格好悪いな」という競争心が生まれます。
それが、学習意欲の向上・立て直しに効力を発揮するのです。

私の感覚としては、リアルに顔を合わせる関係のほうが、
学習意欲の維持という点では、望ましいように思います。
ただ、ブログなどで、匿名性を維持したまま、
他の受験生とコミュニケーションを取る手段もあります。
こういった方法のほうが向いているとお感じになる方は、
試してみると宜しいでしょう。

毎回の受験者数は、全国でたったの5000人程度です。
仲間の存在を意識したほうが、受験生活も充実するように思います。




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135、分からなくなったら基礎に戻る。
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どんな種類の勉強でも、「多くの知識を習得する」という点は同じですが、
知識の習得の仕方については、大きく2つに分かれると考えています。
これを、私は「積み上げ型」「横並べ型」と勝手に呼んでいます。

「積み上げ型」というのは、ある学習内容が、
別の項目を学ぶために必要不可欠の土台になっているものを指します。
つまり、Aを学んだ後に、Aという知識を土台にしてBを学び、
さらに、B(Aも含む)の知識を土台にしたうえで、Cを学ぶというタイプです。

それに対して、ある学習内容が、
別の項目を学ぶための土台になっていないものは「横並べ型」です。

もっとも、それぞれの知識は分離独立しているわけではないので、
勉強科目の中で、完全な「横並べ型」というのはあり得ないのですが、
学校の勉強でいえば、算数は「積み上げ型」の色合いが濃く、
社会科は「横並べ型」の傾向が強いと言えます。

例えば、算数において、九九と図形の面積を求める学習を、
同時に行うことは困難であると考えられますが、
日本史を学ぶときに、奈良時代と室町時代と明治時代を、
同時並行的に学んでいくことは、不可能ではないはずです。

「積み上げ型」の学習において大切なのは、
土台がキチンと構築されたかどうかを確認することです。
不完全な土台では、上に新たな知識を積み上げることは困難です。

一般知識試験を例にとれば、気象法規の勉強は「横並べ型」と言えそうですが、
その他の科目については、「積み上げ型」が多いのです。
一般知識試験で苦労されている方は、この点に留意されたうえで、
学習を行っていかれると宜しいかと思います。

例えば、典型的な「積み上げ型」といえる大気の熱力学には、
「相当温位」という物理量(概念)が出てきます。
これについての学習を行うためには、
「温位」と「凝結熱」という概念を把握していることが必要です。
「温位」を理解するためには、「空気塊の断熱変化」について、
「凝結熱」を理解するためには、「水の相変化」について、
それぞれ知識を持っておくことが必要です。
さらに、基礎に立ち返ってみれば、「気圧とは何か?」「温度とは何か?」
といったことが土台になっていることが分かります。

私も本を読んでいて、途中でワケが分からなくなることがよくあります。
そうなると、つい飛ばし読みをして、先に進もうとしてしまいます。
「横並べ型」の科目なら、分かる内容が後に出てくることもあるのですが、
「積み上げ型」の場合は先にページをめくっても、分からないままです。
ですから、理解できたところまでページを戻して、
もう一度読むことにしています。

「積み上げ型」の学習は大変な面もありますが、
土台となる知識と、その上に載せる知識の繋がりが強いため、
一度理解してしまえば、忘れてしまいにくいと言えます。
頑丈な建物は土台を固めることから、です。




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136、実技試験の勉強の進め方
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今回は、実技試験の勉強で大切なことを3つ挙げてみたいと思います。

1,時間を計らない
2,順番に解く
3,問題文を熟読する

まず、1についてです。
実際の実技試験は75分間で解かねばならないわけですが、
練習として(つまり受験勉強として)問題を解くときには、
あまり時間にとらわれないほうが良いと考えます。
時間を意識すると、どうしても「速く解かねば」という意識が働きます。
しかしながら、気象資料は「速く読み取る」ものではなく、
着眼点を増やしたり、慣れたりするに従って、
少しずつ「速く読み取れる」ようになっていくものです。
ですから、まだ慣れていない方が速く読み取ろうとすると、
読み取りが、ただ雑になるだけなのです。
ある程度、実力を付けた方が、ペース配分を考える意味で、
時間を計測して問題に取り組むことは有効ですが、
実力を養う段階では、時間を気にせずに熟考されることが大切です。

次に、2についてです。
これは実際の試験においても言えることですが、
実技試験は、問題の最初から順番に取り組むのが、最も解きやすいのです。
試験では「分からない問題は飛ばして解く」というのが定石です。
確かに、3つの大問で試験が構成されていたとして、
それらの3つが互いに関連が薄い場合は、この戦術が有効です。
(例:社会科の試験で、問1が歴史・問2が地理・問3が公民の問題)
しかしながら、気象予報士試験では、
問題全体が、ある時期における気象事例を取り上げているため、
多くの場合において、各問は互いに関連しています。
具体的には、問1では実況資料を用い、問2では総観スケールの予想資料を用い、
問3ではメソスケールの予想資料を用いるといった形で、
見るべき資料は異なるものの、テーマは概ね共通しています。
しかも、先に出てくる問題や解答の内容が、
後に出てくる問題のヒント・前提になっているものも見られます。
例えば、作図問題が出てきた後で、
完成した作図からの読み取りが、次の問題になっていることもあります。
言ってみれば、試験全体が大河を構成していて、
川の流れに乗る形で、上流から順に進めていくと、
スムーズに解けるような構成になっているのです。

最後に、3についてです。
実技試験において資料の読み取りが重要であるのはもちろんですが、
意外に軽視しがちなのが、問題文の読み取りです。
問題文には、解答を導き出すための要素が詰まっています。
というより、問題文の内容によって解答要素は決定されるのであり、
これを熟読したうえで、資料を読み解かないと、
適切な解答要素は導き出せません。
例えてみれば、問題作成者がミットを構えているところに、
ボールを投げなければいけないわけですが、
捕手(問題作成者)のサインをキチンと読み取れなければ、
投手(受験生)は暴投してしまうことになるわけです。
問題文を読み取る際には、何を問われているのか、
解答に際してどんな指示が出ているのかを入念に読み取ることが重要です。
長い問題文であれば、題意と指示を読み取るのが大変ですから、
例えば、文中において、題意を示す箇所を赤ボールペンで、
指示を示す箇所を青ボールペンで引くのも良いでしょう。




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137、日常生活とつながりがあるから、気象の勉強は面白い。
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気象予報士試験の勉強で、多くの方が苦労されるのは、
この試験が持つ理数的な側面ではないでしょうか。
それほど複雑な数式が出てくるわけではないとはいえ、
細かいことを1つ1つ学習していくのは、なかなか大変です。
「気象法規」の部分で行き詰まって、勉強を投げ出す人は少なくても、
「大気の力学」や「大気の熱力学」の部分で、苦戦する人は多いはずです。

世の中には、数多くの勉強がありますが、
それらは「真理の探究」と「実学」という2つの面を持っています。
気象予報士試験の学習は、後者の色合いが強いのです。

気象予報士試験の範囲であれば、多くの学習内容は、
「それが実際の気象現象とどのように関係しているか」
という視点で捉えられるものが多いです。
一見、些末で小難しいだけのように思える話であっても、
実際の現象と関連していれば、面白く感じるものです。

例えば、「降水過程」の単元では、
雲の中で水滴や氷の粒がどのように発達していくのかを勉強します。
このときに、少しややこしい理屈について学ぶ必要があるのですが、
それを知ることで、なぜ雲から雨が降るのかが分かります。

また、90℃の湯に浸かれば、大やけどをしますが、
90℃のサウナなら、数分くらいは入っていることができます。
なぜ、それが可能であるかを知るためには、
水が、氷や水蒸気に姿を変えること、
姿を変える際に、熱を放出したり、吸収したりすることを、
知る必要があるわけです。

地球大気の底で生活している我々にとって、
大気の流れや、それによって生じる天気は、密接な関係があります。
無味乾燥に感じる学習内容の中に、
「生きた気象の知識」が入っていることを確認すれば、
受験勉強も楽しくなることでしょう。




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138、目だけでなく、耳も使う。
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最近、NHKの高校講座をよく視聴しています。
教育テレビやラジオ第2放送で流れている番組ですが、
今ではインターネットで視聴できるようになっています。

放送時間に合わせて、テレビやラジオの前に座ったり、
録画や録音のタイマー予約をするのは面倒だと感じる方も多いでしょう。
インターネットなら、放送済みの番組を全部視聴できます。
昨年度に放送されたものは、最初から最後まで揃っていますので、
興味のあるものだけを選べば良いわけです。
(「ライブラリー」というところに入っています。)

私がよく見ているのは、テレビ講座の「世界史」です。
高校時代に、10段階評価(10が最良)で「1」を取ったこともある科目です。
カタカタの長い人名が全く頭に入りませんでした。
日本史は好きで、外国の歴史にも興味はあるのですが、
全体の流れがキチンと掴めないので、本を読んでも頭に入ってこないのです。

そんな私にとって、映像による授業は興味を持って視ることができました。
本と違って、耳からも情報が飛び込んでくるので、理解度が高まるのです。
私は作業をしながら、番組を再生することも多いのですが、
ちょっと聞き漏らしたりして、意味が分からなくなったときは、
映像を少し戻して、もう一度再生することにしています。
何度でも繰り返して視ることができるのは良いですね。
もちろん、時間が空いたときに少しずつ見ていくこともできます。

この「世界史」は、ただテキストを丸読みするような授業ではなく、
「なぜ○○になったのか?」「□□ということは、△△を意味するのか?」
といった問いかけと、それに対する回答が盛り込まれています。
つまり、「疑問→納得」を耳で繰り返していくうちに、
少しずつ理解が深まるという感じです。

この高校講座のシリーズの中には、気象予報士試験とも関係のある、
テレビ講座の「地学」もあります。
特に、コリオリ力の理解には、苦戦される方が多いと思いますが、
実験映像が紹介されていますので一見の価値ありです。
高校講座HOME >> ライブラリーTOP >> 地学 >> 第34回 大気の大循環において、
番組開始10分後〜16分後が、コリオリ力の説明部分です。




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139、「分からないことノート」を作る。
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受験勉強の第一歩は、「分からないところを見つけること」です。
「分からない部分は無い/見つからない」というのは、
勉強が完璧に仕上がっているか、思うように進んでいないかのどちらかであり、
たいていは後者であると考えられます。

1,何が分からないのかを把握する。
2,「分からない」を「分かる!」に変える。
3,理解できたものを頭の中に入れる。

結局、受験勉強とは、この作業の繰り返しであり、
レベルアップのためには、これを続けることが重要です。
「理解できない」と感じることは、決して気分の良いものではありませんが、
ここから勉強がスタートするのですから、
気軽に「分からないこと」を見つけていくことが大切です。

例えば、実技試験で「等圧線を引く」という問題がありますが、
その方法について書かれた文章を、ただ流し読みするだけでは、
なかなか疑問点が湧いてこないというものです。
しかし、実際に資料と向き合いながら、等圧線を引こうとすると、
分からないことが数多く出てきます。
例えば、次のようなものです。

・前線を跨ぐ際には、どちら側に等圧線を曲げるのか?
・不整合が生じないように等圧線を引く秘訣はないものか?
・海上の沖合にも等圧線を引くべきか?
・観測点の風向と等圧線の走向には、どのような関係があるか?

このように、学習を進めている最中で「ん?」と感じたときは、
そのことを記録しておくことが重要です。

私は本を読んでいて、疑問に感じたことがありながら、
そのこと自体を忘れてしまったことが何度もあります。
記憶に残っていない疑問は解決できませんし、
そもそも「解決せねば!」という意識も消えているものです。
ですから、思いついたときに書き留めておく必要があります。

読書中における「?」は、その本に書き込むのも1つの方法ですが、
疑問点を一元化するという点で考えれば、
「分からないことノート」を作成するのが一番です。

文房具屋さんに行けば、いろんなサイズのノートが売っています。
大きめのA4ノートが良いという人もいれば、
小さいほうが持ち歩きやすいという人もいるでしょう。
自分に合った大きさのノートを用意してみましょう。
以前にメルマガで書きましたが、私はコクヨの小さなノートを使っています。
縦10.2cm・横7.2cmなので、ポケットに入れて持ち運べるのがいいですね。
サイズは小さくても、結構いろいろなことを書けるものです。

「分からない」ことがあぶり出されてくれば、
あとは、それを1つずつ解消していく作業に入ります。
もちろん、それが勉強の一番大変なところなのですが、
本で調べる、ネットで調べる、知っている人に尋ねる、など、
方法を尽くして、「?」を「!」に変えていくことができれば、
そのぶんだけ、勉強が進んだことになります。




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140、成功する受験生になるために、押さえたいツボ
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受験勉強を成功させるために大切な、3つのポイントを以下に挙げます。

1,取捨選択する。
2,時間は分割して捉える。
3,必要に応じて軌道修正を行う。

まず、1ですが、人間が持っている体力と気力と時間は有限だということです。
どんなにタフな人間でも、使えるエネルギーには限りがあります。
通勤電車の中で新聞を端から端まで全部読む人は、ほとんどいないはずです。
駅に着くまでの限られた時間の中で、読む記事を選ぶのと同じように、
勉強も取捨選択しなければなりません。
意欲的な方ほど、「あの資格も、この資格も取りたい。」と思うものですが、
手を広げ過ぎると、どれも中途半端に終わってしまいます。
気象予報士を志す以上、この勉強に集中することこそが合格への近道です。

また、受験科目を絞り込むことも、大切な取捨選択の1つです。
もし、気象予報士試験で学科試験の受験免除が認められていなければ、
合格率はもっと低くなっていたことでしょう。
一般知識試験→専門知識試験→実技試験と、
1つずつ階段を上っていく方法こそ、メリットが大きいと考えます。


次に2です。
時間を、ある程度の長さごとに区切って捉えていきましょう。
学生時代における、長い夏休みを思い出して下さい。
「長すぎる自由時間」は、持て余してしまいがちです。

1か月や1日というのは、天体の動きから作り出されたものですが、
1週間という概念は、人類(もしくは神?)による素晴らしい発明品です。
川のように流れる時間に、さまざまな種類の目盛りを打ち込むことで、
我々は、時を上手く使うことができます。

受験勉強の際にも、「土日祝の午前中」とか、
「朝に目が覚めてから朝食まで」など、時間を区切って使うと良いでしょう。
私は以前から、「勉強は習慣づけるのが大切」と述べていますが、
決まった時間帯を勉強に充てることで、習慣化しやすいという利点があります。


最後に、3です。
合格を目指して学習計画を立てても、いろいろな事情があって、
計画通りには、勉強がなかなか進まないこともあるかと思います。
そのとき、「せっかく計画を立てたのだから、ちゃんと実行しないとダメだ」
と考えてしまいがちです。
中には、これまでの勉強の遅れを取り戻したいという気持ちもあって、
さらにハードな学習スケジュールを組む方もおられるかも知れません。

しかし、「理想(計画)」と「現実」に大きな解離が生じてしまうのは、
そもそも、その計画自体に無理があると判断されるのです。
ド根性で遂行しようとしても、長続きしない可能性が高いので、
この場合は、学習計画を修正したほうが良いのです。

気象予報士試験は、長期戦を要する難関資格であり、
朝起きてトイレに行くくらいの自然な感覚で、机に向かう習慣を付けないと、
合格を勝ち取るのは厳しいと考えています。

確実に進められる計画を立て、それが軌道に乗ったことを確認したうえで、
余裕があるなら、少しずつハードルを高めていく、という方法が良いでしょう。
試験勉強は、鉄道のレールと同じようなものだと考えます。
毎日、列車が通過するからこそ、レールは綺麗に磨き上げられています。
しかし、列車が通らなくなれば、すぐにレールには茶色いサビが浮き、
敷石の合間から雑草が茂ってくることになります。

少しずつで良いですから、着実に実行できる学習計画を立て、
目標に向けて、進んでいきましょう。




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141、行き詰まったときはペンを動かせ。
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貴重な時間をやりくりして勉強を行う場合、
「読む」または「聴く」という行為が主体になると思います。
例えば、駅や電車の中での時間を利用する際に、本を広げる人は多いはずです。
車内の混雑が特にひどい状況で、本を開くことができなくても、
イヤホンやヘッドホンを使って、耳から学ぶという方法があります。

「読む」または「聴く」という勉強法は、ともに基本的な進め方ですが、
それだけでは、内容が頭によく入らないことがあります。
こんなときの打開策としてお勧めするのが、「書き写す」という手法です。

本に書かれた内容をノートに書き写すというのは、なかなか大変です。
まず時間がかかります。そして手が疲れます。
しかし、時間がかかるということは、書かれた内容について、
じっくりと頭の中で整理できるということであり、
複雑な内容を理解するためには向いていると言えます。

「読む」「聴く」は、受け身の学習であると言えますが、
「書き写す」は、文字列を読んだ後に自らも出力しますから、
内容が理解できているかを常に確認しながら、進める方法であると言えます。
確かに、「流し読み」「聞き流す」といった行為はあっても、
「書き流す」というのは聞いたことがありません。

ペンを動かして学ぶ手法は、計算を含む問題について特に効果的です。
目で数式を追うだけよりも、手を使って書き進めたほうが、
深い理解を得られることでしょう。

私の受験時代には、法律の条文を書き写すという勉強もしました。
条文は一つの文が長く、論理の繋がりがよく分からないものもあるので、
ただ読むだけよりも、自分で書き写したほうがよく理解できると考えたのです。
パソコンによるタイピングでも、似た効果が得られるように思います。

たしか、若き日の勝海舟だったと思うのですが、
貴重な洋書を借りてきて、1冊丸ごと書き写したというエピソードを、
テレビか何かで目にした記憶があります。
書物が高額で、コピー機が無かった時代で、必要に迫られたとはいえ、
この書き写すという行為は、大きな勉強の成果を生み出したはずです。

今は、本を1冊コピーすることも、わりと簡単にできますし、
ネット上の文章なら、一瞬でコピーできるわけですが、
便利な時代だからこそ、筆写の効果が見えにくくなっているように思います。
面倒くさくても、有効な学習法として活用できるものがあるということです。




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142、試験前2週間で集中的に取り組みたいこと。
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試験までの残り時間が限られている中で、取り組んでおかれると有効なのは、
「記憶の確認」と「作図の練習」であると私は考えています。

試験には思考力だけでなく、知識量も問われます。
特に、一般知識試験における気象法規は、覚えるべきことも多いですね。
全ての条文を丸暗記する必要はありませんが、
過去に穴埋め問題が出題された箇所に関しては、
内容を充分に押さえておくことが大切です。

また、注意報や警報の名称や、その内容に関しても、
専門知識試験や実技試験で、問われる可能性がある部分です。
こういった部分についても、もう一度確認しておかれることをお勧めします。

壁に塗ったペンキが、日が経つと徐々に薄くなっていくように、
一度学んだ知識は、時間経過とともに少しずつ忘れていくものです。
そこで、試験直前において、もう一度ペンキを塗り直すことで、
正確な知識を定着させておきましょう。

「作図の練習」とは、実技試験に出題される、
等値線や前線の作図問題のことです。
正確な作図を短時間で仕上げるためには、慣れが必要であり、
試験直前に練習しておかれることをお勧めします。

作図の方法そのものについて、丁寧に学習することは大切ですが、
上達のためには、実際に鉛筆を握って練習を繰り返すことも必要です。
もし、描いたものを添削してもらえる場があれば、
さらに効率的に上達できることでしょう。

NHKラジオを聴いて、天気図を描いた経験のある方ならご存じだと思いますが、
慣れるほどに、素早く天気図を仕上げることができるようになります。
最初は、放送内容が速すぎて聞き取れないので、予め録音したうえで、
再生と停止を繰り返しながら、少しずつ書き取っていきます。
1枚の天気図ができあがるのに、2時間ほどかかった記憶があります。
しかし、慣れれば、ラジオの放送を聴いて。そのまま天気図に記入でき、
20分の放送時間が終了した後、10分程度で仕上げられるようになります。

たいていの実技試験では、何らかの作図問題が出てきます。
基本となる作図の練習を充分に行っておけば、
本試験で同種の問題が出たときに、時間短縮が期待できます。
それは、他の問題に取り組める時間を長く確保することにもなるのです。




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143、実技の壁が高い人と低い人
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実技試験で苦労される方は多いのですが、
その理由の1つとして、学科試験範囲における学習の充実度にある、
と私は考えています。

実技試験を「花」に例えれば、学科試験は「茎」や「根」です。
土台となる知識が充分かどうかが、
実技試験の勉強の進捗に、大きく関わってくるということです。

具体的なお話をしましょう。
衛星画像や状態曲線の読み取りは、実技試験の定番ですが、
そのためには、放射・熱力学の知識を必要とします。
水蒸気画像の仕組みが理解できてこそ、暗域の意味が分かるのであり、
状態曲線を読み取れるからこそ、鉛直安定度を把握できるのです。

また、「温度移流」「風のシアー」といった用語が、
実技試験の問題文や解答例によく出てきますが、
これらの用語の把握が曖昧だと、題意に対応した答案を書くのは困難です。

さらに、作図問題として、前線解析が頻繁に登場しますが、
「前線と前線面の違いは何か」「温暖型閉塞と寒冷型閉塞の違いは何か」
などの点から、丁寧に押さえておかれることが大切です。
作図問題はフィーリングではなく、合理的に解くものですので、
その背景にある知識・理屈を学ぶことが必要なのです。

ご承知のとおり、実技と学科では解答形式がまるで異なります。
記号選択式である学科試験では、消去法で正答を導き出せる場合もあります。
例えば、「誤っている記号を1つ選べ」と問われた際に、
ある1つの選択肢についてのみ、「確実に誤り」と判断できれば、
残りの選択肢の正誤は判断できなくても、正解がもらえるわけです。

しかし、実技試験は文章や作図で解答する問題が大半を占めます。
知識不足や誤解があった際に、それが答案という形で露呈しやすいのです。
実技試験の勉強の進み具合がイマイチだ、とお感じの場合は、
学科試験の範囲における一部の科目に不十分な点がある可能性が考えられます。
学科試験の合否に関係なく、復習されることが大切です。

合格している学科試験の科目を勉強するなどというのは、
無駄なことだとお感じになるかも知れませんが、
そうではなく、実技試験のための土台を学ぶのだということです。

「天気図などの資料は、慣れが大切」とよく言います。私もそう思います。
しかし、「数多く見ていれば、自然に読み取れるようになる」
というのとは、少し違います。
何千枚もの天気図を漠然と眺めていても、
背景となる知識や、それに基づいた着眼点が無ければ、
天気図から読み取れることはあまり増えない、私はそう考えます。

新聞を読むときと同じで、国際面を読む際には世界情勢の知識、
経済面を読む際には経済の流れを把握していることが大切です。
例えば、テレビでニュースを分かりやすく解説している番組がありますが、
そういったもので知識を養っていくのと、何もしないのとでは、
同じ「1ドル=83円突破」という記事を目にしても、
頭の中を駆け巡るものが変わるはずです。

天気図などの気象資料も同じで、キチンと読み取って、
問題に対して適切に解答するためには、
それを導くための知識が大切だと思います。




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144、学習計画は逆算で立てる。
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次の試験を見据えたとき、まず行うべきことは、
「何を目標にするか」ということです。
完全合格、学科2科合格、学科1科合格といった目標を、
明確にしておくことが大切です。

「試験を受けるからには、完全合格に決まっている」というのは正論ですが、
一般・専門・実技の全ての勉強を進めていくというのは、
科目あたりにかけられる時間と労力が少なくなることを意味します。
三兎を狙って、一兎も得られないということでは、残念です。

応用度を考えれば、一般→専門→実技という順序がある以上、
まずは、一般知識試験に集中するといった方法が、
最も順当な勉強法であると考えています。
一般知識試験の内容がバッチリだからこそ、
専門知識試験・実技試験の基礎も固まるというものです。

次回試験で、一般知識に集中するか、
それとも、一般知識と専門知識の両方を狙うか、については、
試験日から現在に向かって逆算することで、考えてみるのが良いでしょう。

両方の学科試験ともに、合格への経路は、
「基礎学習」→「過去問題演習」という形をとります。
1つの学科試験で400問の過去問題演習を行うとして、
1日に10問ずつ勉強するのであれば、40日かかります。
1問10分で演習できる問題もあれば、30分以上かかる問題もあるでしょうから、
1日10問の演習というのは、決して楽でありません。

さらに、基礎学習を行うために必要な時間も考え、
合計でどれくらいの時間を要するかを計算してみて下さい。
これを、試験までに使える時間と照合するのです。
2科合格を狙うなら、必要な時間は2倍です。

なお、計画を立てる際には、よく無理をしてしまうことがありますので、
余裕のあるプランを立てておかれることが大切です。
「分からないところを見つかって、勉強をやり直してみると、
 想定以上に時間がかかってしまった。」というのはよくあることです。
厳し過ぎる計画は、途中で挫折を生み出し、
目標を達成できる可能性を下げてしまうことを意味します。

こうやって考えていきますと、次の試験に向けて、
「現実的で、良い結果につながりやすい目標」が見えてくるはずです。
線路を引いた後は、早速列車を走らせることにしましょう。
早く始めたほうが、勉強に充てられる時間が長くなるのですから。




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145、頑張れるための「つながり」を作る。
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「継続的な努力が大切です。毎日1時間は勉強しましょう。」
「試験が終わって一息つきたいところですが、早く勉強を再開しましょう。」
このメルマガで、私がよく書いていることです。

・・・とは言え、実際に行動に移すのはなかなか簡単ではありません。
これは私自身の経験ですが、試験が終わってしまうと、
ガスの抜けた風船のような状態になってしまい、
気持ちを立て直すことが、とても難しかったことを思い出します。

試験勉強の大変さというのは、試験問題そのものの難しさだけではなく、
「受験勉強を続けよう」という意志を継続することの難しさも含みます。
むしろ、そのほうが本質的に重要だと考えています。
人間は気持ちが入らないことに対しては、上手くできないと思うからです。

では、気持ちを切り替える方法とは何か?、ということですが、
1つの有効な手段は、「人とのつながりを作ること」だと考えています。

オリンピックなどで活躍する一流選手でも、その競技を始めたキッカケは、
「兄がやっていて、自分もしてみたいと思ったから」とか、
「友達に誘われたから」といったものが意外に多いです。
競技内容に惚れ込むといった次元の話は、その先であって、
まずは、誰かの影響を受ける形でスタートすることがよくあります。

また、学生時代の部活動で厳しい練習を経験された方も多いと思います。
例えば、野球部であれば、ダッシュ往復30本、素振り100回、
ティーバッティング200球、ノック1時間といったメニューも、
部員全員(+監督)で行うからこそ、やり遂げられるのであり、
もし、たった一人で行うことになれば、苦しさは倍増することでしょう。
それどころか、サボりたい気持ちが、あちこちから湧いてくるはずです。
純粋に自分のためのトレーニングであっても、周囲の目は大切なのです。

試験勉強にも似たところがあって、
「□□さんと一緒に頑張っていこう(仲間としてのつながり)」
「○○君には負けたくない(ライバルとしてのつながり)」
といった気持ちがあると、体が机や本に向かって動きやすくなるのです。
また、試験勉強を進めていく過程の中では、
「この人に聞けば、疑問が解決する」という「つながり」も有効です。
このメルマガも、1つの「つながり」という意味で発行しています。

私が「つながり」を強調するのは、
自分自身が気象予報士試験受験生としての「つながり」を、
ほとんど持たずに勉強せざるを得なかったからです。
運良く3度目で合格をいただきましたが、
もし、あのとき失敗していたら、4度目の受験はできなかったかも知れません。
試験合格という形で、受験勉強を完結させたいものです。




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146、種を蒔かねば、果実は得られない。
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先日に行われた気象予報士試験の合格発表で、新たな合格者が生まれました。
発表とともに、合格は瞬間的に訪れるわけですが、
そこに至るまでには、多くの年月を必要とします。

私が知っている方で、受験勉強開始から1年以内に合格されたのは2人だけです。
気象予報士試験の学習に、相当の時間を費やせる環境がないと、
まず無理であると言えるでしょう。

本業と両立する形で、この試験に挑戦する場合、
1年半〜2年というのが、現実的に考えられる最短期間と捉えています。
諸事情により、一時的に勉強時間を確保できなくなることもあるでしょうから、
実際には、もう少し長くなる方のほうが多いでしょう。

世の中には、いろいろな資格があります。
例えれば、カイワレ大根のように、
種を蒔いて短期間で収穫できるものもある一方で、
「桃栗三年柿八年」と言われるように、
果実を得るまでに年月を要するものもあるわけです。
カイワレ大根の味も乙なものですが、桃や栗の旨さを味わいたいのであれば、
種を蒔き、水をやり、害虫を駆除して、大切に育てなければなりません。

気象予報士試験もこれと似ていて、合格までに相当の時間を要しますから、
本気で合格を目指すためには、長期的な戦略を描く必要があります。
「今すぐに結果がほしい」という気持ちを抑えて、
じっくりと育成していくことは、貯金・貯蓄に似ているような気がします。
資格試験の勉強とは、頭の中への投資であるとも言えるでしょう。

仮に、今(2010年10月)から勉強を始めた場合、
考えられる最短の経路であっても、合格証を手にできるのは2012年です。
これを「長い」と感じる方もおられることでしょう。
でも、今から始める人のほうが、後から始める人よりも、
早く合格を手にできる可能性が高いはずです。
果実を手に入れるためには、まず種を蒔くことから始まるのです。




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147、勉強を携帯する。
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次の試験まで3か月というのは、
およそ半年に一度行われる気象予報士試験にとって、
中だるみしやすい時期でもあります。

前の試験の結果が明らかになり、そろそろ本腰を入れて、
勉強に取り掛からねばならない時期であるにもかかわらず、
なかなかエンジンがかからないとお感じになる方もおられるかも知れません。

こういったときは、勉強を日常生活に溶け込ませることが大切です。
「受験勉強」というと、学習机に向かって、
厳かに進めるものというイメージがありますが、
形にこだわりすぎると、かえって勉強との距離ができてしまいます。

特に学科試験の勉強の場合、「知識を吸収する」という面が大きいので、
細切れの時間でも、受験勉強を進めることは十分に可能です。
10分でも集中できれば、そのぶんだけレベルアップするはずです。

自宅外の勉強の場として、多くの方が活用されるのが電車の中です。
ただ、混雑の度合いがひどすぎると、勉強どころではなくなるので、
可能であれば、次のような方法で環境を整えたいところです。
1つは鈍行列車を選ぶこと、もう1つは座席指定の列車を使うことです。

鉄道会社や路線によって異なりますので、一概には言えませんが、
停車駅の少ない「通勤快速」のような列車は、混雑が激しいです。
誰でも、通勤や通学の時間を最短にしたいと考えるのですから、当然です。
それに比べて、各駅停車のような列車は比較的空いており、
「移動式勉強部屋」としての価値は高いと言えます。

また、座席指定券を別に購入することで、
確実に座れる列車が運行されている沿線もあります。
料金が別にかかってしまいますが、これで勉強時間を確保できるわけですから、
活用してみるというのも、1つの方法です。
「せっかくカネを払っているのだから、しっかり集中して取り組もう」
という気持ちが生まれるのであれば、有効な手法だと思います。

ちょっとした時間を使って勉強する際のコツは、道具を極力絞り込むことです。
荷物が重くなるほど、勉強意欲が萎えます。
例えば、本一冊とボールペンだけでも良いのです。
本を読み、線を引き、必要であれば書き込む。これだけで知識が入ります。
特に2色以上のボールペンは、色を変えて書くことができて便利です。
(ちなみに、私は4色ボールペンを愛用しています。)
最近は、スマートフォンや携帯オーディオプレイヤーを使って、
勉強される方もおられるようで、これも有効な学習法であると言えます。

5分や10分という短い時間であっても、
勉強を身近に置くことで、学習習慣の定着に繋がってきます。
ちょっとした時間と、ちょっとした場所を、大いに活用していきましょう。




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148、体調管理も試験対策のうち。
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「僕はお腹が弱いので、出演前には生ものを控えるようにしている。」
ある気象キャスターは、私にそう言いました。
番組でベストを尽くせるように、最低でも番組に穴を開けないように。
華やかに見えるキャスターの仕事は、
禁欲的とも言える自律により支えられていたのです。

私の場合、幸いなことに、急な体調不良で、
いきなり出演できなくなるようなことは一度もありませんでした。
それでも、本番中に急激な腹痛が起こったり、
(午前2時に起きて、冷えたバナナを3本食べたのが原因と思われる。)
本番約2分前に嘔吐した経験もあります。(胃腸風邪と思われる。)
体調不良のときこそ、普段の健康な状態のありがたみがよく分かります。

気象予報士試験の勉強も同じです。
本業をお持ちのうえで、追加的にこの勉強をする人が多いはずです。
忙しい中で、時間を見つけて勉強に励むためには、
普段の体調を維持できるのが理想的です。
風邪を引いて熱が出ている状態では、受験勉強どころではありません。

体調管理の方法は、人それぞれだと思いますが、
私は「よく寝る」というのが大事だと考えています。

以前の私は「目が開く限りは、起きている」という感じで、
午前3時から仕事であるにもかかわらず、
終電に乗っていることも珍しくありませんでした。
しかし、当時はノドや鼻の奥が炎症を起こすことがよくあり、
奥歯(親知らず)が腫れて痛むことも頻繁に起こりました。
オーバーワークだったのだと思います。

食事・栄養ドリンク・風呂・マッサージなど、
体力を回復させるための手段はいろいろありますが、
中でも「寝る」という行為は、とても重要だと感じます。
よく寝ることで、頭も体もスッキリし、
勉強にも集中できるのだと考えています。
寝ぼけながらの1時間の勉強よりも、スッキリした頭での15分の勉強のほうが、
学習効率が高いと私は確信しています。

年末が近づくにつれ、忘年会などのイベントが多くなると、
ついつい夜が遅くなりがちです。
可能であれば、一次会で切り上げて早めに帰ることで、
勉強時間と体力を確保したいところです。




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149、数学の勉強をどこまですればよいか。
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気象予報士試験には、計算問題が出てくることがあります。
こういった問題を解くためには、数学の知識が必要ですが、
では、実際のところ、どの程度まで勉強すれば良いのでしょうか。
今回は、これに対する私の捉え方を述べます。

まず、義務教育で勉強する算数・数学の知識は必須と考えます。
これに加えて、指数と三角比については、試験でよく登場しますので、
「10のマイナス3乗とは、どんな値なのか」とか、
「cos60°とは、どういう意味か」などは、しっかり固める必要があります。
それ以外については、重要度が比較的低いと考えています。

もちろん、知識というのは多いほうが良いに決まっています。
数学の実力に関しても同様で、より複雑なことをマスターしているほうが、
試験対策において、得であるのは言うまでもありません。
また、上記で触れた内容を超える数学の知識を必要とする問題が、
過去に出されたことがあるのも事実です。

しかしながら、気象予報士試験の範囲は広く、
数学の勉強ばかりに時間を割くわけにはいきません。
実際のところ、「微積分を駆使しなければ解答不可能」という問題は、
ほとんど無かったのではないか、というのが私の印象です。

もし、気象予報士試験に出てくる計算問題の大半が、
「最低でも高校数学をマスターしていないと解けない」のであれば、
いわゆる文系の受験生にとって、合格のハードルは相当に高くなります。
しかしながら、合格を勝ち取られる方が理工系出身に限られている、
ということもありません。私自身も文学部出身です。

気象予報士試験として出題される内容は、
「基礎的な気象学」「実際の予報業務」「環境問題」「関連法規」などで、
気象に関する多方面の分野について、広く浅く学ぶというメニューです。
もし、気象の研究者を志すのであれば、高度な数学の学習は必須ですが、
気象予報士試験では、そこまでの水準は要求されません。

重要なのは、数式が示す内容を明確なイメージとして把握することであり、
それができれば、文で書かれた選択肢の正誤を判断できると考えます。
ですから、数学に対して過度に恐れる必要は無いと思います。




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150、実技試験の勉強には集中できる長時間を用意する。
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「学科試験は何とかなるが、実技試験がなかなか大変・・・」
という受験生は少なくないと思います。
その理由として、学科試験は5つの選択肢から選ぶ解答形式であるのに対し、
実技試験は、文や作図で解答する問題が大半を占めることが挙げられます。
別の表現をすれば、消去法というテクニックを使えることもある学科試験と、
文や作図によって受験生の思考過程が顕わになるため、
知識不足を誤魔化せない実技試験という分類もできるわけです。

実技試験の勉強に取り組むうえで、認識していただきたいのは、
学科試験の勉強スタイルを、そのまま適用できないこともあるということです。
学科試験の学習内容は、細分化しやすいものが多いです。
「ドップラーレーダー」「熱力学第一法則」「災害対策基本法第61条」
といったように、学ぶ範囲を細かく絞り込み、
少しずつ学習を進めていくことが比較的容易です。
過去問題演習についても、1科目の試験で出題される15題をバラバラにし、
1題ずつ進めていくことができます。

一方、実技試験の場合は、問題に登場する資料の数も多く、
さまざまな知識を組み合わせた総合問題という性質を持っているうえ、
問題全体が1つの大きな流れを作っていることが多いです。
例えば、問1で実況図を見たうえで解答し、
問2では総観スケールの予想図を見て解答し、
問3ではメソスケールの予想図を見て解答する、といったパターンです。

私は、実技試験の問題に取り組む際の心構えとして、
「なるべく出題される順に解いていって下さい。
 いきなり問3から解き始めるのは不利です。」
といったことをよく申し上げます。
それは、問題全体が大きな流れを作っているため、
流れに乗って解いたほうが、出題者の意図が見えやすいということ、
また、前に出てきた問題内容を前提とした出題が結構あることが理由です。

前述のように、学科試験の勉強は、学習範囲の細分化によって、
5分・10分といったスキマ時間を活用しやすい科目です。
しかし、実技試験の勉強は、特に問題演習における細分化が難しく、
できれば、長時間にわたって没頭できる学習環境が望ましいのです。
実技試験で正答を得るためには、適切な答案を書くことですが、
そのために必要なのは、問題文と資料をじっくりと読み込み、
題意と指示を正確に認識することです。
細切れの時間では、この作業を丁寧に行うことが困難だと考えます。

実技試験の勉強に取り組まれる場合は、
最低でも1時間程度のまとまった時間を確保されることをお勧めします。
長時間にわたって集中できる環境で勉強すれば、
問題や資料と丁寧に向き合うことができます。
それが実技試験の実力を高めるために、必要なことだと私は考えています。




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151、長期休暇を使って習慣の見直しを。
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気象予報士試験に合格するためには、かなりの勉強量を蓄積する必要があり、
そのためには、「瞬発力」よりも「持久力」が求められます。
全体としての勉強量を、かけ算で考えてみますと、
「一日の平均勉強時間」×「日数」となります。

いずれの数値も大きいほど、トータルの勉強量は多くなりますが、
「一日の平均勉強時間」の部分に「8時間」といった数値を入れるのは困難です。
気象予報士を志す方の大半は「兼業受験生」です。
本業を進めながら、合間を見つけての受験勉強ですから、
一日の平均勉強時間は、長くても2時間程度といったところだと思います。
ですから、大切なのは、「日数」の部分を大きくすること、
つまり、長期にわたって勉強を続けることにあります。

気象予報士試験に合格された方の多くは、
一日の中に上手く受験勉強を溶け込ませることに成功しています。
一言で言えば、「受験勉強を習慣化できた」ということです。

人間は「習慣の動物」であると私は考えています。
家を出て駅まで向かうときに通る道は、1つに決まっているのが普通です。
もし、駅までの距離がそれほど変わらない別ルートがあっても、
たいていの人は、ある1つのルートを通って駅へ向かいます。
通勤や通学の際に、何時何分発の電車に乗るかが決まっていて、
乗車する車両やドアの位置も同じだという人が結構多いはずです。
私もそうでした。車内の顔ぶれまでだいたい決まっていたので、
他の人も同じ習慣を持っているのだなと思いました。

別の話をします。以前に旅行して家に帰ってきたとき、
私は荷物をそこらに置くなり、すぐにダラッとくつろいでいたのですが、
妻はすぐに荷物を片付けていました。そういう習慣を持っているのです。
どうせ荷物は仕舞わなければならないのですから、
先にチャッチャと片付けたほうが気持ち良いですね。
ですから、私もそういった習慣を身に付けるように心がけています。
小さな習慣の有無が「片付けできる/できない」の差を生じさせます。

受験勉強に関しても同じことが言えます。
試験に合格した人が、それだけの勉強を成し遂げられた理由は、
受験勉強を習慣化することに成功したからです。
「毎日1時間は机に向かうことにしている」という習慣が定着し、
それを継続することで、膨大な量の勉強を成し遂げることができたのです。

ただ、「受験勉強の習慣化」を確立させるためには、
現時点での一日の使い方を見直す必要があります。
別の言い方をすれば、既存の習慣を少し削ることによって、
新たな習慣を作り出すということです。
私たちの周りには、娯楽がたくさんあります。
テレビ・飲酒・ゲーム・読書・ギャンブル・メール交換・カラオケなどです。
ブラウザを立ち上げれば、目の前に楽しいものが広がります。
ただ、難関試験に挑むのであれば、これらの楽しい習慣を少し削ったうえで、
受験勉強を新たな習慣として、導入しなければなりません。

日々の習慣を検証して、新たな習慣作りを始めるためには、
長期休暇を取れるときが、最も好都合です。
忙しい日々では、生活習慣を見直すことが困難ですが、
少し時間の余裕ができたときには、じっくりと振り返ることができるからです。
年末年始ほど、これに適した時期はないと思います。




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152、問題を解くことで知識は定着する。
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受験勉強の順調な進捗を感じるのは、
知識がどんどん増えて、その知識どうしが繋がり合うときですね。
豊富な知識が必要であることは、学科試験だけでなく、
実技試験にも言えることです。
勉強を始めた頃は、天気図などの資料を目にしても、
単なるゴチャゴチャした線が書かれているだけのように見えますが、
学びを重ねることで、そこから有益な情報を見つけ出せるようになります。

知識の蓄え方には、2つの大きなツボがあると考えています。
 1.「なぜそうなるのか」を理解して吸収する。
 2.関係する問題を解いて知識を定着させる。

「なぜそうなるのか」を知ると、興味を持って学習できます。
「状態曲線における、沈降性逆転層と前線性逆転層の違い」を考える際も、
「逆転層付近の湿数に着目せよ」だけでは、その理由がピンと来ませんが、
それぞれの逆転層の成因を考えてみれば、納得できるはずです。
子供は九九でも、漢字でも、丸暗記しますが、
大人になれば、そういった単純暗記は辛いものです。
その代わり、理解力や全体の流れを捉える能力は、
子供よりも長けているように思います。

受験勉強の範囲においては、「なぜそうなるのか?」を探るよりも、
とりあえずは結論を押さえておいたほうが良いものも中にはありますが、
基本的には、筋道を立てて学習したほうが面白く、
かつ意欲的に学べると思います。

学習内容を定着させるためには、問題演習も大切です。
本を読んだり、講義を受けたりするというのは、
基本的には受け身の作業です。
人間の集中力は、それほど長時間にわたって維持できないと思いますので、
少し気が抜けると、その部分の学習内容が曖昧になります。
本であれば流し読み、講義であれば聞き流し、になるわけです。
そういった点をチェックし、知識の定着を図るために、
問題演習は良い方法だと考えています。

最近、私は英文法の参考書を読むことが多いのですが、
全体の半分くらいまでページを進めたときに、
それまでの問題に取り組んでみると、
たった3分の1くらいしか正答できていないことが分かりました。
字面を眼で追うだけでは、知識が十分に定着しないことがよく分かります。
その後、参考書読みと問題演習を交互に行うようにすると、
7〜8割くらい正答できるようになりました。
問題が目の前に出されると、「なぜだろう?」と自分で考えるようになります。
その?を抱えながら参考書を読むと、「そういうことか!」と納得できます。
そして、最初に参考書を読んだときには、
内容を全く読み込めていなかったことに気付くのです。

気象予報士試験の場合、幸いにも過去問題が豊富です。
一般知識試験だけでも500問以上の過去問題がありますので、
これを大いに活用されることをお勧めします。




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153、平常心が凡ミスを防ぐ。
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試験会場に入ると、緊張感が一気に高まります。
仮に教室に受験生が200人いると考え、これに平均的な合格率を当てはめれば、
その教室から生まれる合格者は10人程度です。

「こんな大勢の中から、たった10人か・・・。」
そう思いながら周りを見回すと、
他の受験生が凄く優秀に見えますから不思議です。
中には、分厚い参考書を一心不乱に読みふけっている人もいて、
こういった雰囲気が、緊張感をますます高めます。

このとき、「では、自分も参考書を」と本を広げる人が多いと思いますが、
私はあまりお勧めしていません。
なぜなら、参考書を読むことで、新たに分からない点が見つかると、
ますます焦りが高まってくる恐れがあるからです。

「ええい、昨日までに積み重ねた勉強で勝負するのだ!」と構えれば、
必死の形相でノートを見返している受験生を見ても、
「日頃の勉強が足りていないから、直前にジタバタしているのだな。」
と余裕を持って見ることができます。
周りによってペースを乱されないことが大切です。

試験において平常心を保つことを重視しているのは、
問題文の熟読がとても大切だと捉えているからです。
学科であれ、実技であれ、問題文を適切に理解できなければ、
正しい解答を行うのは困難です。

例を挙げると、一般知識試験における「大気の熱力学」の問題では、
「空気塊を断熱的に上昇させるケース」と、
「定圧下で冷却させるケース」が出題されたことがあります。
いずれを仮定するかによって、保存される物理量が異なってくるわけです。

また、実技試験でよく出てくる前線解析の作図においても、
「前線記号を付けるのか、実線で描画するのか」
「地上前線の解析か、850hPa前線の解析か」
「前線の描画範囲は指定されているのか」
など、問題によって指示が細かく出ています。

問題文に書かれた指示をうっかり読み落としてしまうと、
「分かっていたのに間違えた」という悔しい減点を被ることになります。

過度の緊張や焦りがあると、どうしても解答を急ぐ傾向があります。
「白紙の答案用紙を早く埋めてしまいたい」という心理です。
もちろん、規定時間内での解答が求められますから、
時間を気にしなければならないのは当然ですが、
焦りのあまり、問題文の読解が疎かになるのは避けたいところです。
そのためには、できるだけ平常心で試験に臨むことが大切です。

試験で実力を上回る結果を出すことは困難です。
その一方で、持っている実力を充分に出せないことは結構あります。
大切なのは、普段どおりの実力を発揮することです。




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154、夏に冬のことを考え、冬に夏のことを考える。
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昨日の朝6時30分、ようやく東の空が赤く染まりつつある頃、
試験会場に向かう私は、自動改札を通って駅に入りました。
そのとき、電車から坊主頭の高校生が何人か降りてきました。
大きな野球カバンには、甲子園にも何度も出場経験のある、
強豪校の名前が刺繍されています。

「寒いのに、日曜の早朝から練習か・・・」
私は数日前に野球部の練習グラウンドの横を通ったことを思い出しました。
寒いときに肩を酷使すると良くない、といった理由だと思いますが、
野球の場合、真冬にはあまり実戦的な練習をしません。
その代わり、足腰を鍛えるといった基礎トレーニングを主に行うのです。

私も高校時代は野球部に所属していましたので、
古タイヤを押して(転がすのではありません)往復するトレーニングや、
走ることに主体を置いたノック(アメリカンノックと呼ばれていました)を、
受けたことを思い出しました。
しかし、野球そのものの練習ではないだけに、地味でつまらないのです。
他の部員も感じることは同じのようで、監督が顔を見せない日などは、
トレーニングをサボって別のことを・・・、といったこともよくありました。
その結果なのでしょうか、私が野球部に在籍していた3年間は、
夏の大会(いわゆる甲子園の予選)は全て初戦敗退でした。

試合後に「せめて1回、1回だけでも勝たせてやりたかった・・・」と、
監督が涙ながらに語ったことを思い出すとき、
完全燃焼できなかった後ろめたさも同時に横切るのです。


気象予報士試験を受け終えた後の感覚は、いかがでしたか?
可能な限りの勉強を尽くした方は、ある種の爽やかさをお感じだと思います。
「やれる限りのことはやった」「完全燃焼した」という感覚です。
しかし、いろいろな事情があって、
充分な受験勉強ができなかった方もおられることでしょう。
こなせなかった勉強は、例えてみれば不完全燃焼による燃えかすです。

気象予報士試験で合格を勝ち取っている方の特徴は、
充分な時間を勉強に充てているということです。
もちろん、「集中的に取り組む」「効率を考える」というのも大切ですが、
一定以上の時間を確保することはとても大切です。
言ってみれば、パイロットの訓練における飛行時間のようなものです。
量的な充実のためには、長期間の勉強が必要だということです。

この試験の勉強量はかなり多いので、
試験日がはるか遠くにある頃から、受験勉強に取り組むのが理想的です。
切羽詰まった状況でもないのに、勉強を進めるのはなかなか大変ですが、
勉強に対するモチベーションを維持することができれば、
試験日までに実力を高めることが可能なはずです。

1月の試験で結果を残せる人の多くは、
昨年の夏から秋にかけて、勉強を積み上げてきた人です。
そして、8月の試験で結果を残すためには、
風の冷たい時期から、トレーニングを重ねていくことが大切だと思います。




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155、第35回実技試験を振り返って
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今回は、受験された方に向けて書きました。
受験されなかった方は、後日に試験問題を入手された際にご活用下さい。


【実技1】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
問1
実技試験では、冒頭部に実況資料をもとにした問題がよく出てきます。
今回も出された海上警報は頻出問題ですので、しっかり押さえたいところです。
(3)については(21-1-1)で出題されたものと似ており、
気温が海面水温よりも高いという点に着目する必要があります。

問2
前回の試験に引き続き、前線解析の問題が出ました。
ただ、前回は閉塞前線を伴う解析でしたが、
今回は寒冷前線のみということで、それほど時間はかからないと思います。
まず、850hPa前線を解析し、その後に地上前線の描画を行うという手順ですね。
地上予想図における矢羽根も、前線位置の決定に役立ちます。
なお、実線で記入せねばならない点は、問題文で要確認です。

問3
前線に関しては、天気図上における位置だけでなく、
立体的な構造を把握することが大切です。
また、日本は山が多い国ですので、
地形が降水に与える影響が大きいと言えるでしょう。
風向きによって、降水が強まったり、弱まったりしますので、
この種の問題については、風向が重要な着眼点になります。

問4
風の鉛直シアーから温度移流の種類を把握する問題は、
(19-2-2)などで出題されています。
試験対策としては、「高度とともに時計回りに変化すれば暖気移流」
「高度とともに反時計回りに変化すれば寒気移流」と覚えることも多いですが、
一般知識試験の対策としては、「なぜそうなるのか?」を、
確認しておかれたほうが良いと思います。

問5
気象災害や防災気象情報に関する知識は、
必ずといって良いほど、問題のどこかで出てきます。
この点では専門知識試験の対策と重なっていると言えます。



【実技2】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
問1
(3)では鉛直安定度を尋ねる問題が出ました。
当問に限らず、「大気の熱力学」の知識が土台になっている問題は多く、
この単元に不安を感じておられる場合は、復習が大切です。
放射冷却が強まったときの状況を問う(4)は、目新しく感じました。

問2
中心気圧や等圧線の間隔に着目することは、
地上予想図を読み取るうえでの基本ですね。
当問では出されませんでしたが、等圧線の走向から、
風向を読み取る練習も行っておかれると良いでしょう。

問3
予想図における等圧線や矢羽根が示している情報は、
その予想日時における瞬間的なものですが、
予想降水量については、予想時刻までの積算値です。
この点をしっかり押さえれば、(4)(5)は簡単な問題です。

問4
関東地方における降雪に関する問題は、これまでに何度か出題があります。
特に(5)2に関しては、(21-2-2)問4(2)とよく似ています。
熱力学における相変化に関する知識も必要であり、複雑な問題ですが、
予め勉強されていた方にとっては、ラッキーとお感じになったことでしょう。
(6)のように気象情報の内容が出題されることはよくあります。
気象情報は気象庁のホームページで読むことができますので、
普段から目を通しておかれると、良い勉強になるはずです。




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156、時間を味方にする。
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新年度に行われる気象予報士試験の日程は、毎年4月に発表されますが、
これまで通りであれば、8月下旬に次の試験が行われることになります。
次回試験まで【半年】という時間が残っているわけですが、
これは受験を予定されている方にとって、大きなチャンスです。
気象予報士試験を征するためには、時間を味方にすることが大切だからです。

ご承知のとおり、気象予報士試験の学習範囲は広く、
試験までの時間が少ないと、打てる対策は限られてきます。
イヤな言い方をすれば、「焦りで後手後手に回る泥縄式勉強」というものです。
これでは、満足のできる結果を出すのが難しいと言わざるを得ません。
もちろん、「学習効率」「勉強の質」を考えるのはとても重要なのですが、
それが効果を発揮するのも、「絶対的な勉強量」があってのことです。

151のコラムでも述べましたように、全体としての勉強量は、
「一日の平均勉強時間」×「日数」というかけ算で示されます。
多くの受験生の皆様は、一日の勉強時間をそれほど長く取れませんので、
「日数」をかけることが重要になってきます。
1日1時間でも、半年続ければ、約180時間になります。
これは、5時間もの猛勉強36回分にも相当します。

私は、NHKの連続テレビ小説を昨秋から見ています。
一日あたりのドラマはわずか15分間ですが、今日で128回目でしたので、
すでにトータルの放映時間(=視聴時間)は32時間にもなっています。
いやあ、継続というのは凄いものですね。
勉強もこの方式で積み重ねていくという考え方です。

私が推奨する試験勉強は、大きく2段階に分けられます。
宇宙船の打ち上げに例えれば、1段目ロケットが基礎事項の学習、
2段目ロケットが過去問題の演習です。
この2段階方式で、合格圏への突入を狙うのです。
基礎がしっかりしていれば、2段目ロケットの推進力も大きくなります。

春が近づき、夜明けが早くなってきました。
正月の頃と比べて、日の出の時刻は40分ほど早くなっています。
朝の起き辛さが和らぎ始める今の時期こそ、
学習習慣を作り上げる1つの好機のように思います。




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157、合格体験記のここに着目
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毎回の試験の受験生が5000人程度の気象予報士試験では、
勉強を1人で進めておられる方も、少なくないと想像します。
私も、そんな受験生の1人でした。

今は、数多くの書籍が出ていて、いろいろな教材もありますが、
これに加えて、実際に試験で成功した人の体験談に接することは、
とても大切なことであると考えます。

登山の際に、道がそれほど整備されていない場合、
頂上への道筋がハッキリ分からないことがあります。
こんなときに、木々に赤いビニールテープが貼られていて、
正しい経路を示してくれていることがあり、とても助かります。
また、下山してきた人から話を聞くことも有効な情報になります。

数年にわたって受験勉強を続けていくのは本当に大変です。
失敗を避け、成功者のノウハウを参考にすることは、
登頂の可能性を高めるうえで、大いに役立つと確信しています。

そこで、私が運営する塾の元受講生の皆様がお寄せ下さった合格体験記を、
一部引用して、それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■休日は近くにある図書館に行って勉強しました。
>  家の中に比べ誘惑するものがないため集中して勉強することが出来ました。

> ■モチベーション維持のため、有料自習室を契約しました。

「集中できる環境を用意すること」の大切さを示しています。

「どこであっても、勉強はできるはず」という考え方もあるでしょう。
確かに、物理的にはそうです。本やノートを置く机さえあればいい。
しかし、実際には、頭の中を勉強モードに切り替えることも大切です。
テレビのリモコンや食べかけのスナック菓子が目の前にあるという状況では、
なかなか集中できないこともあるでしょう。
勉強に不要なものを遠ざけねばなりません。

それと、もう1つ重要なことがあります。
「他人の目を意識するような環境」に身を置くということです。
図書館や自習室が勉強の場として優れているのは、
熱心に読書をしたり、勉強をしたりする人が何人もいるからです。
学校や予備校の教室で集中できるのは、他の人と一緒に授業を受けるからです。
ボールペンを床に落としたり、携帯電話の振動音が鳴ったりしたときに、
ヒヤリとするくらいの雰囲気があると良いのです。
もし、誰もいない図書館・自習室であれば、
緊張感が緩みっぱなしで居眠りしてしまうかも知れません。

作家の佐藤優さんは、東京拘置所に512日間拘留されている間に、
数多くの書物を読んで勉強されたとのことで、
『獄中記』(岩波書店)には、膨大な書籍リストが載っています。
娯楽が遠ざけられ、常に監視される環境は、勉強に適していると言えます。
これは極端な例ですが、集中して受験勉強に取り組むためには、
ある程度の緊張感が大切であり、それを意識的に作ることが、
密度の高い勉強時間を確保するためには必要だと思います。


> ■職場へ通勤中の車内でのDVD視聴     約80時間
>  藤田塾へ通学中の車内でのDVD視聴    約80時間

「電車の中は使い方次第で勉強部屋になる」ことを示しています。

車内では振動もありますので、筆記用具を使うには不向きですが、
テキストを読むことなど、インプットの学習は十分に可能です。
体験記にありますように、映像や音声による学習もできます。
通勤や通学で電車を利用される方は多いので、
上手く習慣づければ、トータルで大きな勉強時間となります。

電車学習を習慣づけるためには、コツがあります。
それは、できるだけ勉強道具を減らすことです。
「重い・かさばる」は、面倒くさくなってしまうので、禁物です。
特に混雑した車内では、大きな本を広げるのは難しいですね。

かつて大ベストセラーになった英単語帳に『英語基本単語集』があります。
「赤尾の豆単」と呼ばれ、多くの受験生が持っていたそうです。
書店で実際に手にとってみると、愛称どおりの手のひらサイズでした。
このコンパクトさが、売れに売れた理由の1つだと実感しました。

気象予報士試験の書籍では、豆単ほど小さな本はないはずですが、
天気予報技術研究会編『最新天気予報用語集』(東京堂出版)は、
新書版より一回り大きい程度で、持ち運びにも便利な書籍です。
ある程度混雑した車内でも、使えるように思います。

また、書籍という形に拘らなければ、スマートフォンの活用が挙げられます。
携帯電話を持っている人なら、追加的に勉強道具を持ち歩く必要がありません。
朝夕のラッシュであれば、本が読めないほど車内が混雑することもありますが、
そんなときでも、スマートフォンやICレコーダーにヘッドフォンを付ければ、
車内を勉強空間に変えることができます。

もちろん、混み合った車内で、つり革を握りながら勉強するよりは、
座席に座ったほうが快適に学習を進められますので、
可能であれば、時間帯や車種を変えることで、空いた車両を選ぶことや、
有料の指定席を確保するのも、1つの方法です。




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158、学習において、「幹」と「細い枝」を見極める。
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今回も、合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■「なぜそうなるのか」を徹底的に理解するように心がけました。

> ■問題や解答とけんかせず読み飛ばす勇気も時には必要と思います。


勉強を続けていると、良く理解できない事柄が必ず出てきますが、
そういったときの対処法は、2つあります。

1,理解して納得できるまで、奮闘する。
2,細部は見えなくても、とりあえずは飲み込んでおく。

私がここで述べたいのは、「1と2のいずれが正しいか」ではありません。
学習する内容に応じて、1と2を適切に選択することが大切なのです。

試験勉強で学ぶ内容は、その性質によって、
「幹」「太い枝」「細い枝」に例える形で分類されます。
例えば、「大気の熱力学」を学習する場合において、
「空気塊の断熱変化」の部分は、幹であると言えるでしょう。
状態曲線を学ぶにも、温位や相当温位の概念を理解するためにも、
フェーン現象について勉強する際にも、この学習が思考の土台となります。
つまり、避けて通ることができない学習であり、だからこそ幹なのです。

幹の部分の学習は、理解にこだわる必要があります。
簡単に妥協せずに、「なぜそうなるのか?」を追求し、
十分に納得したうえで、頭に入れていくことが大切です。
「頭に入れる」という点では、丸暗記と共通していますが、
「理解して納得する」という点で、大きく異なります。

それに対して、同じ「大気の熱力学」でも、
「仮温度」の概念を学習することは、少なくとも幹の部分ではありません。
気象予報士試験の勉強においては、細い枝といっても良いでしょう。
もちろん、頻度は少ないとはいえ、試験に出題されたこともありますし、
今後に出題される可能性も、充分に考えられます。
ただ、仮温度を理解しなくても、先々の学習を進めることは基本的に可能です。
それは、この試験の範囲において、仮温度という概念が、
思考の土台になっていないと言えるわけです。

細い枝の部分の学習についても、理解に努めることは大切です。
理解できたほうが、勉強としても面白い。
しかし、多くの受験生にとって、勉強時間は限られています。
貴重な時間を捻出して、高い壁に挑む方が多いはずです。
そんなとき、細い枝の部分の学習については、
「詳細には深入りせずに、表面的な部分だけを捉えておく」ということも、
学習法として正しいわけです。
「分け入っても分け入っても青い山」という山頭火の句があるように、
勉強の奥深さにはきりがありません。

受験勉強の世界では、学習深度の調節も大切な作戦です。
勝敗とはあまり関係の無い小城を、むきになって攻め続けるよりは、
貴重な時間と労力を、重要拠点に振り向けたほうが、
受験勉強においては、大きな成果を得られると考えられます。
合格を勝ち取られる方の多くは、意識的であれ、無意識下であれ、
学習内容に応じた戦術の使い分けを行っているはずであり、
この点が学習効率を大きく左右することになります。

今取り組んでおられる内容と、全力で格闘することも大切ですが、
ときには鳥の眼を持って、今の学習内容が試験全体において、
どういった位置づけであるのかを考えてみることも、
試験対策では重要であると言えます。




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159、実技試験の勉強は答案分析にあり。
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今回も、合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■記述問題では、次の三段階を経て解答することになります。
> 「題意を把握する」→「解答要素を導く」→「論理的に答案を作成する」
> そこで、記述問題すべてについて
> 「自分はどの段階でどのように誤っているか」を一問ごとに分析し、
> 自分の弱点を突き止めるようにしました。

試験勉強には「適切なやり方」があることを示しています。
「実技試験の勉強は難しい」と言われますが、ここには2つの意味が含まれます。

 1,学習すべき量が多く、その内容が難しい。
 2.実力を高めるための学習方法がよく分からない。

一般的に、「勉強が難しい」という場合、
1の意味と解釈することが多いのですが、2にも着目することが大切です。

山に登る際に、いきなり道無き斜面をやみくもに駆け上がる人はいません。
登山道に沿って登っていくはずです。
実技試験の勉強についても同じで、手順・攻略法が存在します。
「とにかくガムシャラにやれば良い」という精神論だけでは、
限られた学習時間を有効には使えないことでしょう。

実技試験で最も重要なのは、解答までの手順を理解することです。
上記の体験記でも述べられていますように、
まず「問題文が何を尋ねているか?」を明らかにします。
題意の把握こそが、全ての問題の基本であり、これを誤ってしまうと、
「魚を求められているのに、蛇を与えてしまう」ことになりかねません。

題意を把握した後は、資料を読み取ることで解答要素を引き出します。
このとき、単に資料からそのまま拾ってくるだけで事足りる問題もありますが、
(例:等値線の読み取りなど)
たいていは、知識に基づいた解釈が求められます。
よって、ここで一般知識試験や専門知識試験で学んだ内容を活用します。
知識が不十分であると、資料解釈が適切に行えないため、
学科に戻って復習を行う必要があります。
どの知識を補わねばならないのかを把握することも、大切な学習です。

解答要素が明らかになれば、後は答案文を綴っていきます。
限られた字数で、解答要素を過不足なく書いていくことは、
小さな駅の売店に、売れ筋商品を陳列することと似ています。
解答要素に抜けがあるのはダメですし、
かといって余計なことまで書いてしまうのも適切ではありません。
当然ながら、この頭の働かせ方をするためには、
「題意が何であるか」→「解答要素が何であるか」を、
常に意識している必要があることを意味しています。

受験勉強として、過去問題を解くとき、
最初からパーフェクトな解答ができる人はいないはずです。
答案の中には、多くの課題が残っています。
そこで、解答を終えた後は、答案を分析することが大切です。
上記の手順に従って、三段階のどの部分に改善点があるのか、
じっくり時間をかけて分析を行っていきます。
極論を言えば、実技試験の勉強において、問題を解くということ自体は、
自分の思考手順や知識量を俎上に載せるだけの行為に過ぎません。
本当の勉強(=実力を高めるための勉強)は、答案分析から始まります。




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160、「気づき」によって、思考回路が1つ増える。
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今回も、合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

■人に解答を見てもらうことで、解答すべきキーワード、
 題意や表現の仕方など解答に必要な知識が身に付くのだと思います。


実技試験の難しさは、文章や作図での解答が大半を占めるゆえに、
自分の書いた答案の妥当性を把握しにくい点にあります。

前回のコラムでも書きましたように、答案と解答例を見比べながら、
丁寧に分析を重ねていくことは大切なことですが、
他者の目を通すことで、これとは違ったものが得られると考えます。

答案添削について私がメルマガで述べるのは、今回が初めてではありません。
それだけ答案添削の重要性を実感しているからです。
ただし、私の場合は受験時代ではなく、放送用原稿の修行をしていたときです。

テレビ局で気象キャスターのお仕事をいただいてから、
私は天気予報の放送用原稿を書くことについて勉強していました。
そのときに、添削でビシビシ鍛えて下さったのが、当時の上司です。

気象庁が発表する予報や、さまざまなデータを参照して、
それを決まった秒数の原稿としてまとめていきます。
頭を絞って考えた内容を書き綴っていくわけですが、
上司に提出した原稿は、添削だらけになって返ってくるのが常でした。

例えば、「今夜にかけても、青空が広がるでしょう。」
といった一文を書いたことがあるのですが、
スパッと『夜に青空は見えません。』のコメントが。
指摘されれば、すぐに気がつくことなのですが、
自分でウンウン唸って書いているときは、
その不自然な表現に全く気がつかなかったのです。

誤りに気がつくことで、頭の中に思考回路が1つ出来上がります。
添削を受けることで、こうした思考回路が増えていったのです。

このようなトレーニングを延々と受け続け、
ようやく、自分の書いた原稿が修正されることなく、
生放送でアナウンサーに読んでいただけたときは、
気恥ずかしいものを感じたことを思い出します。

自分の文章を何度も読み返して確認を行ったり、
お手本となる文章を書き写したりすることも、良い勉強になりますが、
自分の答案にコメントを付けてもらうことも、
文章力を高めるうえで効果的な方法だったと感じています。




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161、先頭集団は本気のランナーばかり。
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今回も、合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

■私は今まで合格した資格試験のいずれもそうですが、
 いかに試験に対して本気になれるかが合否の別れになっていたように思います。

最近における気象予報士試験の平均的な合格率は、5%前後です。
「5%」という値を目にして、思い浮かぶのは抽選です。
箱の中に20個の玉が入っていて、そのうち1個だけが当たりの赤玉、
残り19個はハズレの白玉であるとします。
このとき、赤玉を引き当てることができる確率は5%ですが、
試験合格率を、この確率と同一視するのは適切ではありません。

5%というのは、あくまでも受験生全体における合格者数の割合であって、
それぞれの受験生が持つ「合格の可能性の度合い」は、
当然ながら、実力の高低によって異なります。
マラソンに例えれば、「上位5%に食い込めば入賞(合格)」ということであり、
トップ集団に入れるかどうかは、ランナーの走り方次第です。
抽選は全ての人の当選確率が同じであり、この点が大きく違います。

ですから、極端な言い方をすれば、
試験の合格率は、試験の難度を示す参考値にすぎず、
自分が実際に合格を勝ち取れるかどうかは、別問題だということです。
合格率90%の試験であっても、全く勉強せずに試験に臨めば、
合格は覚束ないことでしょう。

立場上、気象予報士試験の合格を勝ち取られた方を数多く知っていますが、
共通しているのは、「本気の受験勉強」を成し遂げたという点です。
「暇つぶしで適当に参考書をめくっていたら、合格していた」
といった体験談を披露された方を未だに見たことがありません。
誘惑を断ち、時間を捻出し、全力で格闘した方ばかりです。

そして、敢えて現実を率直に申し上げれば、
懸命に汗をかいて受験勉強を重ねても、
さまざまな理由(体調・ケアレスミス・学習方法・運など)で、
惜しくもあと一歩及ばないことは、ざらにあるのです。
不合格の悔しさをバネにして、再び全力疾走する受験生も数多くいます。
この試験に一発合格する方はほとんどおられませんから、
ほぼ全ての合格者は、不合格という障壁を乗り越えています。
本気でない受験生が、合格圏に入る余地はどこにもないのです。

実力を高めるための参考書があり、
実力を高めるための時間管理術があり、
実力を高めるための学習法があります。
しかし、ノウハウを数多く知っていても、
気持ちが伴わなければ、結果にはつながりません。
「本気のやる気」こそが起爆剤となります。




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162、基礎学習で知識をしっかり養う。
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今回も、合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■気象予報士試験対策の教科書は、受験するたびに通読していました。
> 気象予報士試験は類題ばかり出題される甘い作りではなく、
> 系統立てて勉強しないで過去問題を解こうとするだけでは
> 合格点が取れるようになれないと思ったからです。
http://rojiura.jp/taikenki35.html#9

試験勉強において過去問題演習が大切なのは勿論ですが、
その前提として、充分な基礎学習が必要です。

例えば、次のような問題が出てきたとします。

> Q.次の文の正誤について述べよ。
> 「移流霧は、暖かい海面に冷たい空気が流れ込むことで発生する。」

正解は×ですね。
冷たい海面や陸面に、暖かい空気が流れ込むことにより、
空気が冷やされて凝結が生じ、発生する霧が移流霧です。

過去問題演習において「この文は間違いだな」で済ませるだけでは、
得られる知識は少なく、学習の効果はあまり高くありません。
「では、移流霧はどのようにして発生するのか?」と考えて、
前述のような知識を確認しておくことが大切です。

さらに、こういった問題をきっかけにして、
「霧にはどんな種類があるか?」ということを、
体系的に学習・確認しておくのが理想的です。
過去問題は、知識の一部を切り取る形で構成されているものが多いため、
知識全体を学ぶ場合には、書籍などを使用する必要があります。

書籍などを使って、霧について学習していると、
霧には数多くの種類があることが分かります。
いくつもの名称があるので、頭がこんがらがってしまいそうですが、
発生要因に着目すると、2つに大きく分けられます。

 1,空気が冷やされることで発生する霧
 2,空気に水蒸気が供給されて発生する霧

このように分類・整理を行うことで、知識の定着が促されます。
また、霧には「成因による名称」と「発生場所による名称」という、
2パターンの名称があることにも気付かれるはずです。
例えば、「移流霧」は前者で、「海霧」は後者ですね。

本試験に直結する学習が、過去問題演習ですので、
受験勉強に過去問題演習は欠かせないと、私は考えます。
しかし、基礎学習が足りないと、演習効果が充分に出ないことがあります。
また、問題と解答を繋ぎ合わせることだけを目的にしてしまうと、
不正確な知識やこじつけによる、誤った思考過程が生じかねません。

そういったことを防ぐため、過去問題演習の前には、
充分な基礎学習を行っておくことが大切です。
また、演習の途中で「?」が出てきたときは、強引な解釈で凌がずに、
基礎に戻って確認を行うといった学習をお勧めします。





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163、勉強を進めるうえで大切なこと。
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新年度から勉強をお始めになった方は、そろそろ3か月です。
学習習慣が定着し、上手く軌道に乗りましたか?
今回は勉強を行ううえでのコツを、いくつかご紹介します。


■用語を覚えるのではなく、用語の意味を覚えるのが大切。

重要語句を蛍光ペンでマーキングして、その部分を覚えることは、
受験勉強におけるオーソドックスなスタイルです。
しかし、この学習法は、語句を問われる問題に対しては有効ですが、
気象予報士試験には、あまり効率的では無いと考えます。
この試験では、語句そのものよりも、
語句の意味についての正誤を問われることが多いからです。

例えば、「定圧比熱」という用語があります。
もちろん、この用語そのものを頭に入れておくことは大切ですが、
それだけでは、「定圧比熱とは〜〜〜のことである。○か×か。」
といった形式の問題には対応できません。
語句は短いので、覚えるのが楽ですが、
それだけでは、全体の一部しか学習できていないことになります。
語句の持つ意味・概念を掴んでこそ、使える知識です。


■よく分からない部分は、とりあえず書き出してみる。

書物を読むというのは、書物以外の道具を要さないだけでなく、
電車の中でも、食堂でも、どこでも可能ですので、
受験勉強の手段として、最も用いられる方法だと思います。
ただ、勉強は「未知」を「既知」に変える作業ですので、
軽い小説を楽しく読むようにはいきません。
読んでいて「?」と感じたときは、しばらく前に戻ってから、
ゆっくりと読み直してみることが大切です。

また、熟読するだけでなく、紙に書き出してみることもお勧めします。
黙読すれば速く読めるのにもかかわらず、紙に書き出すのは、
情報量の速度を落とすことで、深読みができ、理解度が高まるからです。
私は受験生時代からこの手法を時々取り入れ、
今でも、数式が含まれているような本に取り組む際には、
ノートとボールペンを使うようにしています。
私はボールペンのインクが減ったのを見ると、妙なやり甲斐を感じます。


■繰り返して学習することを厭わない。

何かを学ぶ際に、一発で全てが頭に入ることは少なく、
たいていは何度も繰り返しながら、少しずつ習得していくものです。
学生時代に英和辞典を使っていて、「この単語さっき引いたところだったよ」
といった経験をお持ちの方も多いと思います。
私自身、気象に関する簡単な用語でも、何度も事典を引いて、
その都度、誤解している部分がないかを確認しています。

過去問題演習でも、以前に解けたはずの問題に改めて接してみると、
解法が分からなくて、困ってしまうことがあります。
しかし、その解法について納得するために要する時間は、
1回目の演習よりも、2回目の演習のほうが短いはずです。
勉強は螺旋階段に例えられると思っています。
一度通った道のように見えても、2回目には少し高い位置に達しています。
グルグル回りながら、少しずつ上っていくのです。




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164、削る時間・捨てる時間を見つけ出す。
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気象予報士試験の受験生にとって、
勉強時間の捻出に苦労される方は多いと思います。
1日や1週間の中に、どのようにして勉強時間を入れようかと悩むところですが、
実は、もっと大切だと思われることがあります。
それは、現在のスケジュールから不要な用件を選び出して、削除することです。

1日は24時間であり、1週間は168時間と決まっています。
受験勉強という、新たな時間枠を入れるためには、
今までに使っていた時間枠を削ることが大切です。

これは部屋の片付けをすることと似ています。
上手くやりくりして押し入れに収納できるようにする、というのも大切ですが、
空間の容積以上に、モノは入りません。
ですから、根本的に片付けるためには、一部を捨てることになります。

受験勉強を始める際にも、時間管理の効率化は重要です。
「スキマ時間も活用する」「集中すれば短い時間でも実力が上がる」
というのはよく言われていることですが、
これは片付け法における、いかに上手く収納できるかの話です。
もちろん、これも大切ですが、まとまった勉強時間を確保するためには、
現在行っていることの一部を捨てる、という選択も必要だと思います。

つまり、時間管理には「足し算」だけでなく、
「どの時間を削るか」という「引き算」をすることも大事です。
結局のところ、新たに始めた勉強が上手く軌道に乗るかどうかは、
この点が大きく関与しているように思います。
無理に勉強時間を詰め込もうとすると、他の予定に支障を来したり、
寝る時間を充分に取れないといった歪みが生じてしまい、
結果として、学習習慣を確立できないことにつながってしまうのです。
押し入れに荷物を入れすぎて、パンクしてしまうことと似ています。

私がこの試験に比較的短期間で合格できたのも、良し悪しは別として、
学校(高校)の勉強に、ほとんど手を付けなかったからだと思います。
定期テスト前でも、ほとんど何もしないという状況でした。
別に気象予報士試験の勉強のために、意識的に時間確保をしたわけでなく、
単に学校の勉強に身が入らなかっただけですが、
もし、大学受験の準備で忙しければ、
気象予報士試験どころではなかったことでしょう。

さて、具体的にどういった時間を削るかということですが、
私の知っている範囲では、「テレビを見る時間」を削る人が多いです。
面白い番組を見るのは息抜きになりますが、
ダラダラと見続けてしまうのも、テレビが持つ性質です。
長年の習慣を切り崩すのは抵抗がありますが、
やってみると、わりと簡単だったりします。

これから試験勉強を始めたいと思っている方、
勉強習慣の確立に課題をお持ちの方は、一週間の予定を思い起こして、
「時間の引き算」をされることをお勧めします。




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165、「良い質問」とは何か?
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もし、受験勉強において、誰かに質問できる環境をお持ちであれば、
それを積極的に活用されたほうが良いです。

もちろん、自分で調べることによってこそ、
理解が深まり、記憶の定着が良くなる場合もありますが、
疑問解決のために要する労力や時間を考えますと、
それを知っている人に尋ねたほうが、効率的であることが多いです。

ただ、質問をすることに対して躊躇される方もおられるかも知れません。
「良い質問ですね〜。」という言い回しがありますが、
質問に「良し悪し」があると考えてしまうと、
「良くない質問をして、恥をかきたくない。」
といった気持ちが生まれるのも無理はありません。

私はお客様からのご質問に回答を差し上げる立場ですが、
「良い質問かどうか」ということは意識になく、
ただ「良い回答ができるかどうか」だけを考えて、回答を行っています。

そもそも「良い質問」って何でしょう?
難しいことを尋ねるのが、「良い質問」なのでしょうか。

学習進度に応じて、質問内容の水準に差があるのは事実です。
山登りは登山口から始まるのと同じように、
受験勉強も最初はゼロからのスタートです。
8合目にさしかかった人と、3合目を登っている人とでは、
質問の内容が異なるのは当然です。
しかし、それは優劣の問題ではありません。
高度な内容の質問が「良い質問」で、初歩的な質問が「良くない質問」、
ということは全く無いわけです。

ある程度勉強が進むと、初歩的な内容の質問を行うことに対して、
躊躇いの気持ちが生じることは、よくあると思います。
しかし、「初歩的」とは、すなわち「基礎的」ということであり、
勉強を進めていくうえで土台となる部分です。
この部分をしっかりと構築しておくことが、
応用内容の学習を進めるうえで、必要不可欠になります。
ですから、むしろ「初歩的な内容」の疑問こそ、
積極的に解決しておいたほうが良いと言えるのです。

受験勉強において、ある質問が「良い質問」であるかどうかは、
回答者が決めるものではなく、質問を行った人自身が評価するものです。
その質問に対して得られた回答によって、学習が大きく前進すれば、
それは「良い質問」であると言えるのです。
たくさん疑問を解決して、効率的に受験勉強を進めましょう。




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166、合格者がとった試験当日の行動とは?
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合格を勝ち取られた受験生は、どのようにして試験に臨まれたのでしょう?
試験直前の今だからこそ、参考になる点があるように思います。

> 試験前日まできたら、最後にいくら粘っても、たかがしれてるんですよね。
> それだったら、しっかり寝て、頭をスッキリさせ、
> コンディションを整えたほうが良い。
>
> それから、教室に入ったら、もうテキストや参考書は広げないことですね。
> テキストや参考書を広げると、ひとつ不安な点が出てきます。
> (中略)
> 教室での待ち時間はずっとイヤホンで音楽を聴いていました。
> 「平常心が大切」ってことですね。

「最後の最後まで粘り強く」と言えば、聞こえは良いですが、
試験は「頭脳格闘技」ですから、前夜の睡眠不足はダメージが大きいです。
荷物を背負ってマラソンレースに参加するようなものです。
自分に合った睡眠を確保したいものです。

また、試験会場において、周囲の受験生を過剰に意識すると、
無用の緊張が高まることがあります。
私も中学受験で、鉛筆を持つ手が震えるほどの、
強い緊張感に襲われたことを思い出します。
眼を静かに閉じ、好きな音楽をイヤホンで聴けば、
周囲から与えられる影響をかなり遮断できますので、
緊張が和らぐという方もおられることでしょう。
体験記にもあるように、いかに気持ちを平常に保つかが重要です。


> 試験で最も注意することは、試験の問題や図、
> 表などは内容しっかりと見ることです。
> ここで見間違えたことにより、理解している筈の問題で
> 間違えたりするなんて勿体なさすぎですからね。
> ちなみに私は第31回試験の実技2で天気図の縮尺を間違えたり、
> 緯度線の間隔を間違えたりで5点ぐらい引かれました。
> このようなことが無いように気をつけましょう。

「よく問題文を読む」は、あらゆるペーパーテストに当てはまる、
基本中の基本といえる注意点ですが、
意外と抜けてしまうことがあるので、肝に銘じておかねばなりません。

気象予報士試験では、過去に出題された問題と似た問題が、
後に実施される試験で出てくることがありますので、
演習を繰り返した方であれば、問題文にざっと目を通すだけで、
おおよその解答要素を掴める場合があります。

これこそが過去問題演習の成果の1つであり、
時間あたりに処理できる問題の増加にも繋がっているわけですが、
「見当」を「確信」に変えるためには、問題文の熟読が大切です。

例えば、第35回試験の実技1では、問1(2)において、
衛星画像(赤外)から、「輝度温度」を解答させる問題が出ました。
「輝度」であれば、過去に何度も出ていますから、
これと混同された方も多かったようです。
赤外画像において、輝度が高ければ、輝度温度は低いですから、
輝度と輝度温度を取り違えてしまうと、誤答になってしまいます。

「どれだけ得点を積み上げられるか」も大切なことですが、
「どれだけ失点を防ぐことができるか」も大事です。




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167、第36回気象予報士試験を振り返って
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第36回気象予報士試験を見てみますと、
全体として、オーソドックスな問題が多かったように思います。
専門問1のように、詳細事項に関する正誤問題もありましたが、
基礎的な内容をしっかりと学習し、丁寧に過去問題演習を行うことで、
対応できる問題が多かったように感じました。

例えば、一般問8は、平成9年度第1回試験の一般問2とよく似ています。
静力学平衡の概念をキチンと理解し、大気が充分に乾燥しているならば、
地上〜高度5000mにおける気圧差(=気層の重さ)は、
気層における平均温度によって決定される、というのがポイントです。
静力学平衡に関する問題は、前回も出題されていますので、
大事に勉強しておきたいところですね。

過去に出題された問題と似ているものと言えば、一般問7も同じです。
平成18年度第1回試験の一般問5と似た問題です。
ただし、まるまる同じ問題というわけではなく、
立方体の面によって空気密度の違いがある点が、一段複雑になっています。

過去に出た問題を勉強したことが、当問で生かせるかどうかは、
問題演習の仕方によると考えています。
具体的に言えば、過去問題演習の目的を、
計算過程だけに着目した、単なる「解答の再現」だけに留めるのではなく、
問題が作られる土台にも目を向けることが大切です。

2つの問題において共通している考え方は「質量保存の法則」です。
つまり、立方体を出入りする空気は、途中で消滅もしないし、
また何もないところから、いきなり空気が湧き出すこともないということです。
だからこそ、立方体の質量が一定であるという条件が与えられれば、
「立方体に入る空気の質量」と「立方体から出る空気の質量」は同じであり、
立方体の5面における空気の出入りが分かれば、
残る1面での空気の出入りは計算によって求められるわけです。
この考え方を数式にしたものが、数値予報にも出てくる「連続の式」ですね。

一般問7は、以前に出題された問題よりも捻ってありますが、
質量保存の法則をもとにして解くという点では、同じです。
問題演習を進める際には、「なぜ、こういう考え方ができるのか」といった、
根底の部分を重視されることが大切です。




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168、コツコツを続けるためのコツ
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「気象予報士試験の受験勉強のコツを教えて下さい」と聞かれれば、
私は「コツはコツコツです」とお答えします。

「コツ」という言葉には、「ゴルフ上達のコツ」「物件選びのコツ」など、
「最小の労力で楽に行う方法」といったイメージがありますが、
「コツ」を漢字で書くと「骨」です。
それを行ううえで絶対に必要な要素を「コツ」と呼ぶわけですね。

勉強を進めていく際において根幹となるのが「コツコツ」、
つまり、継続的に学習を行っていくことだと私は考えているわけです。
簡単なように見えて、かなり大変なことです。

「人の噂も七十五日」という諺がありますが、これを別の側面から見ますと、
1つのことに関心を持ち続けることの難しさを意味しているように思えます。
同じ勉強を続けていくことは、根気が要ることです。

では、「勉強をコツコツと続けていけるためのコツ」は何でしょう?
それに対する答えは1つではありませんが、
「勉強の進捗を日々実感できること」は大切なことだと思います。

長い時間をかけて、書物や問題と格闘しても、
「・・・よく分からんな」という気持ちしか残らなければ、
明日も勉強を進めていこうという気力が湧かなくなるのは当然です。
進捗が感じられない中で、意地で勉強を続けることは、
多くの人にとって、かなりのストレスを感じることでしょう。

よって、受験勉強では、少しであっても前進を感じることが大切です。
「昨日まで分からなかった問題が、今日は解けるようになった。」
「昨日まで知らなかったことを、今日は知ることができた。」
本のページに換算したとき、半ページ分でも良いですから、
毎日の学習において、少しずつでも前に進むことができれば、
その達成感が、明日の学習の原動力になります。

レベルアップを実感できれば、受験勉強は趣味的要素を帯びてきますので、
「強い意志を持ってやり遂げる」という色彩が薄まってきます。
これが「勉強が軌道に乗る」という状況であり、
難度が高く、ある程度の長期的な勉強を進めていくためには、
上手く軌道に乗せられるかどうかが、カギになると言えます。





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169、分析から学習課題が見えてくる。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■もう一度冷静に敗因を分析してみて、
> わかったことは「わかったつもり」だったということでした。
> そこでやったことは、@問題文が何を問い(意図)、
> A答えがどのように述べられ(正解)、
> Bどうしてそのような解答になるのか(解説)の
> 3つの「つながり」に徹底的にこだわりました。

この体験記からは、失敗から学ぶことで、勉強法に改善を加え、
それを実行していくことの大切さを知ることができます。

「とにかく時間をかければ良い」と、
ただ闇雲にガリガリと勉強を進めていても、
それが必ずしも、十分な効果を生み出すとは限りません。

同じ労力を使うのであれば、できるだけ多くの学習効果を得たいですね。
そのためには、現状における課題を丁寧に洗い出すことが必要です。
課題が見えてくることで、成すべきことも明らかになってきます。

この点を意識せず、ただ机に向かうだけ、ただ本を広げるだけでは、
 ・すでに理解できている事柄を何度もなぞっている。
 ・理解できていない部分を無意識に飛ばしている。
といったことの繰り返しになる恐れがあります。

ここで指す「現状の分析」というのは、
言ってみれば、「自分自身のあら探しをする」ということであり、
あまり気持ちの良いものではありません。
場合によっては、今までの努力を「徒労」と認識することもあるわけで、
それは、とても辛いものです。
ですから、意識的に「やってみよう」と思わない限り、できないのです。
しかし、克服すべき点を明確にすることは、
受験勉強のゴールである「合格」までの道筋を明らかにする作業でもあり、
とても大切なことだと私は考えます。

上記の体験記における「3つのつながり」は、
実技試験を攻略するために大切なことです。
このような方針を立て、題意の把握から答案文の作成までを、
常に意識的に捉えながら勉強を進めていけば、
題意の認識が不明瞭なまま、感覚的にキーワードらしきものを繋げて、
答案文を作成するといった方法よりも、
短期間で実力を高めていくことができるはずです。

限られた勉強時間を有効に活用するためにも、
行うべき学習内容を明確にしたうえで、合格への道を歩んでいきましょう。




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170、時間をかけるからこそ、効率を考える意味がある。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■実技問題過去問演習は休日にまとめて各回2題を2〜3時間かけて何回も解いた。
> 勉強時間は2年半で1500時間以上に上る。


世に勉強法の類について書かれた本は数多くあります。
しかし、なんだかんだ言って、机に向かわなければ、
本を開かなければ、勉強は進みません。

「時間をかけさえすれば良いというのものではない。学習効率が大切だ。」
これは正しいと思います。

しかし、「効率」というのは、いくらでも高められるものではありません。
ですから、「時間をかけずに、劇的に実力を伸ばす方法」といった、
魔法のような学習術は無いと思っています。

そもそも、効率云々というのは、量的に充実してこその話です。
仮に、学習効率が1.3倍に高まったとしましょう。
これにより、1000の勉強量を1300の効果に変えることができます。
しかし、勉強量が100しかなければ、効果は30増えるだけです。

パイロットの世界に「飛行時間」というものがあるように、
受験勉強の世界でも、学習時間は大切です。
もちろん、1時間の勉強から得られる効果には個人差があり、
効率を考えることも大切ですが、
それは、学習量を充実させることの大切さを、否定するものではありません。

1500時間もの勉強量を重ねるのは、実に大変なことだと思います。
これを成し遂げるためには、ある程度の期間をかける必要がありますので、
中・長期的にわたって、モチベーションの維持が大切です。
学習意欲を失わずに、続けていけるからこそ、
山のような勉強量になるわけです。

このように、気象予報士試験の受験勉強には大きな労力を伴いますが、
「頭に汗をかいたぶんだけ、実力が高まる」という側面も持ちます。
たいていの勉強には、こういった性質があります。

世の中には、自分一人が頑張っても、
必ずしも進展に繋がらないことって、いろいろありますよね。
でも、資格試験の勉強は自分だけの戦いです。
自分で頑張ったぶんだけ、着実に階段を昇っていくことができます。
これが魅力だと私は思います。




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171、スランプを乗り越える方法を知る。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■私が気象予報士試験を目指す上で感じたことは、
> 「どんなことがあっても諦めない」ことです。


伝記や自叙伝を読むときに、私が大切に読む部分は、
「物事が上手くいかなかったときに、どのように解決したか」という点です。

想定していたことがズバリ的中し、トントン拍子で成功した、
というのも、読んでいて痛快です。
でも、それよりも、目の前に想像を絶する大きな壁が立ちはだかったときに、
試行錯誤のうえ、見事に乗り越えた話のほうが心に残りますし、
自分自身のためにも役立ちそうに思えます。

気象予報士試験で合格を勝ち取る際に、苦労はつきものです。
合格に至るまでの過程で、何の苦労も迷いも困難も無かったという人に、
未だ出会ったことがありません。スランプを経験して当然の世界です。

忙しくて充分に勉強時間が取れないことがあります。
難しい過去問題に直面して、途方に暮れることもあります。
試験対策として、どの程度まで学べば良いか迷うこともあります。
何となく勉強に気が乗らないこともあります。
精一杯の力を出し切った試験で結果が出ずに落ち込むこともあります。

気象予報士試験を征した人は、受験生活の過程で生じた、
これらの多くの障壁をぶっ壊し、乗り越えたということです。
障壁の前で立ち尽くしてしまった時点で、合格は遠ざかってしまいます。
つまり、挑戦を諦めたくなることが仮に10回出てきたとすれば、
10回とも解決できたからこそ、合格を掴めたわけです。

ですから、合格体験記を読むにあたって、
困難を解決した過程こそが、最も重要で役立つ情報であると思います。
合格するまで諦めないためには、歯を食いしばることだけでなく、
具体的なノウハウを知ることも大切だからです。




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172、勉強の成果は自分の言葉で残す。
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記憶というのは、かなり抜けやすいもののようです。
以前に解けた問題であっても、時間を経てから再挑戦してみますと、
まるで解き方が分からなくなっている、という経験がわりとあります。
イヤなことを忘れられるようになっているからこそ、
過去のことで腹を立てることなく、日々穏やかに過ごせるわけですが、
勉強を進めていくうえで、習得した知識を維持することは大切なことですね。

そこで私がお勧めしたいことは、インプットの学習において、
「読む」「聴く」だけでなく、「書く」を加えることです。
答案文作成などのアウトプットの学習であれば、
「書く」ことは当然ながら必要になるわけですが、
知識習得を目的としたインプットの場であっても、書くことは大切です。

例えば、「AはBである」という内容を学ぶとき、
文章を読んだり、講義を聴いたりして、
そのときは「なるほど納得」と感じても、後で忘れてしまうことがあります。
これは、多かれ少なかれ、誰にでも起こることだと思います。

そこで、「なぜ『AはBである』と言えるのか」を書き留めておくのです。
これは自分が納得に至った過程を、記録しておく作業です。
その時点では、「もう納得できたので、いちいち書く必要は無い」
と感じることもあります。
しかし、ここで書き残しておくことによって、
時間が経ってから復習をしたときに、威力を発揮するのです。

自分で書いた思考過程のメモが残っていると、
もし当時の記憶が薄れていても、「おお、そうだった!」と、
短時間で再び学習内容を蘇らせることができます。
しかし、メモも何も残っていない場合は、
「なぜ『AはBである』と言えるのだろう?」と頭を抱えることになり、
最初に勉強したときまで戻ってやり直す必要が出てくるのです。

私は、この方法で何度も救われています。
本を開いてみると、かつて自分が赤ボールペンで記した思考過程が残っていて、
今となっては、それを書いたことすら殆ど忘れているわけです。
しかし、そのメモを読めば、比較的容易に記憶を戻すことができます。
もし、メモが無ければ、ゼロから思索を積み上げねばならないところですが、
いわば「過去の自分に教えてもらう」ことで、早く理解が得られるわけです。

本に書き込みを入れることに抵抗がある方もおられると思いますので、
ノートにまとめるという方法や、電子データとして管理する方法もあります。
また、大きめの付箋紙に書いて、ページに貼り付けるというやり方もあります。
ただ、こういった学習は「手軽に行えること」が、習慣化を促しますので、
私は赤ボールペンで直接に記入するという手法を好んでいます。

「本への書き込み学習」をしていると、自分の記憶力の頼りなさを再認識し、
ますます、勉強内容を記録しておくことの大切さを痛感しました。
と同時に、自分の言葉で綴った「納得への過程」は、
再学習を行う際において、強力な手助けになっていることを実感しています。




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173、過去問題で資料の読み取り力を養う。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 合計16回の試験を3周させることができ、ものすごく自信がつきました。

実技試験にも出てくる数値予報天気図が、ネットで見られる時代ですが、
試験勉強という立場から見たとき、
その有効度については懐疑的な立場を私は取ります。

確かに、明日や明後日の予想図を見ながら、
実際の気象状況の経過について確認していくことには、
学べることも数多くあるとは思います。

ただ、実技試験の勉強においては、資料解釈法を学ぶことが大切であり、
自分の読み方が「適切であるかどうか」を検証する必要があります。
1000枚もの予想図に目を通しても、その解釈が誤っていれば無意味であり、
それを修正する機会が無ければ、実力の向上には繋がらないわけです。

資料の読み取り方が正しいか検証するためには、
過去問題を活用するのが最もお勧めです。

過去問題には、実際の気象資料が出てきて、
その読み取りに関する問題がたくさん用意されています。
しかも、読み取りが正しいかどうかは、
問題に対する解答例を読むことで判断できるわけですから、
これほど適した教材はないということです。

また、過去問題演習とは、単に問題を解くことではありません。
極論すれば、「問題を解く」のが主目的ではなく、
「解いた答案を分析する」のが最大の目的です。
答案を分析することで、自分の課題が洗い出されます。
逆に言えば、こうした過程を経なければ、課題の発見は困難です。
そして、見つかった課題が多ければ多いほど、
実力の伸びしろが大きいことを意味しています。

過去問題演習は、繰り返して行うことが理想的です。
2回目の演習を行うことで、実力の定着度が確認できます。
時間に余裕がなければ、1回目に躓いた部分だけをピックアップして、
問題に取り組むという方法もあります。

こうした問題演習には、とても時間がかかります。
実力の高まりを実感できるのは、日単位でもなければ、週単位でもなく、
おそらく月単位という方が最も多いかと思います。
それだけ幅広く、かつ奥深い勉強科目なのですね。
実技試験の攻略に促成栽培法はありませんが、
大きな労力を払って身に付けた実力は、試験に合格した後も、
日々の天気図・予想図をチェックする際に大きく役立つはずです。




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174、受験勉強に必要な「選択と集中」
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受験科目の優先度は決めていますか?
「残すは実技試験のみ」という状況であれば別ですが、
複数の科目について受験の必要があれば、
どの試験の合格を優先させるか、作戦を立てておかれる必要があります。

全ての試験に合格することが理想であるのは言うまでもありません。
しかし、「何を望むか」と「実際に何ができるか」は別物です。
現時点での学習進捗を冷静に見極めることが大切です。

私がこういったことを言うのは、仮に完全合格が叶わなくても、
次回の試験で、何らかの結果を出すことが大切だと考えているからです。
入学試験や入社試験には、「三振」か「ホームラン」しかありませんが、
気象予報士試験には、「ヒット(学科1科合格)」もあれば、
「長打(学科2科合格)」もあります。
そして、合格された方の多くは、いきなり完全合格を狙ったのではなく、
まず塁に出ることを目標にして、勉強を進めていきます。

汗をかき、やりたいことも我慢して臨んだ試験で、何の結果も出なければ、
勉強を続けていけなくなる状況に陥る恐れがあります。
しかし、着実な進捗を感じると、「また頑張ろう」という気持ちになります。
小さな結果よりは、大きな結果のほうが良いに決まっているのですが、
大きな魚を狙ったがために、釣果がゼロになってしまうくらいであれば、
小さな魚を獲るための努力に切り替えるべきです。

勉強に投入する時間と労力を、結果に繋げていくためには、
「選択と集中」が大切だと考えています。
そもそも、「試験勉強」と名のつくものは、
全て「選択と集中」を意識した取り組みを心がける必要があると思います。

受験生が試験までに使える時間は限られています。
限られた時間を有効に使うためには、
取り組むべき課題に順序を付けることが求められます。

これまでの試験に10回出題された箇所は、
1回しか出題されなかった箇所に比べて、
優先して勉強せねばならないと考えるのが普通です。
全てを均等に、端から端まで学んでいくというのは、
「学問に対する姿勢」としては正しいのですが、
「受験勉強に対する姿勢」としては必ずしも正しいとは言えないです。

特に普段から忙しい方は、受験勉強の計画が遅れがちになる傾向があります。
学習計画に遅れが生じた際は、それを無理に取り戻そうとされるよりも、
目標そのものを修正されることをお勧めします。
長期にわたって受験勉強を続けられる環境こそが、
最終的に合格を勝ち取るために必要だと考えるからです。




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175、年末から年明けに感じたこと
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年末の大掃除をしていると、買ったものの未だに読めていない本や、
1ページだけ書き込んでホコリを被ったままのノートが出てきました。
掃除という作業は、部屋の中を綺麗にするだけでなく、
1年を振り返るための、自分自身の棚卸し作業でもあります。
「2011年にできたこと」と「2011年にできなかったこと」を確認することで、
新しい年に行うことが見えてきました。

実は全ての片付けが終わったわけではなかったのですが、
新しい年を迎えると、なぜか気持ちがリセットされたように感じました。
カレンダーが人間が作ったものに過ぎないので、
年が明けても、朝に東から日が昇ることに変わりは無いです。
でも、2011年12月31日の次の日が、2011年12月32日ではなく、
2012年1月1日となるからこそ、気分が新鮮になるのですね。

正月の新聞を見ていますと、「2012年の予定」が書いてありました。
5月21日には金環日食が起こるのですね。
毎日が忙しいと、目の前の事柄を処理することに追われてしまい、
長期的な視点で眺めることが難しくなります。
気象予報士試験の勉強も、年単位で目標を立て、月単位で進捗を確認し、
週単位で学習スケジュールをこなしていくのが良いように思います。
これから初めて試験勉強に取り組む方であれば、
8月の試験での一般知識試験合格を目標にされるのが良いでしょう。

1月の週末には私立中学の入学試験が行われることが多いです。
私も、かつて中学入試の指導(社会科)を行っていましたので、
日曜日の朝に、緊張の面持ちで電車に乗り込む子供たちを見ると、
校門の前で入試応援を行っていたことを思い出します。
彼らの受験は1シーズン限りです。「また来年に」はありません。
その年限りの大勝負に挑むプレッシャーは大きいことでしょう。
気象予報士試験も難関ではありますが、何度でも挑戦できます。
というか、難関なので、ふつうは何度も挑戦しないと受からないのです。
10回目の受験で、合格を勝ち取られた方がいます。
もし8回目の失敗で挫折すれば、もし9回目の失敗で諦めてしまえば、
合格証が送られてくることもなかったでしょう。
粘り強く挑戦することも、気象予報士試験では大切だと思います。




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176、快適な環境で試験を受けるために準備しておくこと
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以前にも書きましたが、試験直前において大切なことは、
持っている実力を100%出し切れるような環境を作ることです。

ギリギリまで過去問題と向き合う人もいるでしょうが、私は否定的です。
直前のバタバタ詰め込み学習ぐらいで合否が簡単に左右するほど、
気象予報士試験は底の浅い試験ではないからです。

参考書や過去問題を見ると、必ず分からない点が出てくるものです。
それが不安感・焦燥感を引き起こし、平常心を揺さぶるため、
問題文の指示を読み飛ばしてしまう、といったミスにつながりかねません。
もし直前勉強をするのであれば、すでに学習した内容に限定し、
A4用紙1枚ほどの量をチェックする程度に留めておかれたほうが良いです。

そもそも、今までに十分な受験勉強を行ってこられたのであれば、
直前でオロオロすることも無いはずです。
そして、いかにして平常心で試験に向き合えるかを考えることになります。

冬の試験の場合は、試験会場での体温調節が大切です。
暖房機の真下や真横と、教室出入り口付近や窓際では、気温が違います。
そこで、脱いだり着たりしやすい服装をお勧めします。
例えば、タートルネックのセーターよりも、
前にボタンが付いたカーディガンのほうが良いと思います。

また、自分にとって室内の温度が適切かどうかは、
ある程度の時間にわたって、その席に座っていないと分からないものです。
例えば、冷たい風が吹く中を歩いて試験会場に入れば、
そのときは「暖かくて心地良い」と感じても、
20分も30分も教室にいれば、少し暑いと感じるようになるかも知れません。

ですから、時間に余裕を持って会場に着くようにするのが良いのです。
試験が始まってしまえば、服装が汗ばんできても、足下が冷えると感じても、
ヘンな動作をするわけにはいきません。
早めに教室に入っておき、漫画雑誌でもめくりながら、
「暑すぎず・寒すぎず」の環境を整えることが大切です。

さらに、寒い季節の試験で特に大切なことが、もう1つあります。
寒い中を歩いていると、手が悴むことが起きやすいので、
試験が始まるまでに、使い捨てカイロなどを利用して、
手の悴みを解消しておくことです。

特に、実技試験は筆記量が多いため、この点は重要です。
コンピュータの普及で、手書きの機会が減っているだけに、
「手が悴んで上手く字を書けない」という場面が少なくなっています。
このため、実際に鉛筆を持つまで気がつかないこともあるわけですが、
この点についても、早めに試験会場に入ることで解消できることでしょう。




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177、問題演習は基礎学習のあとで
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試験対策として、過去問題の演習を重視する人は多いことでしょう。
私自身も、本試験で正答を重ねるためには、
充分な過去問題演習が不可欠であると考えています。

と同時に、過去問題演習というのは、
それを行うのに適した時期がある、とも私は考えます。
これを考慮せずに、闇雲に問題演習に取り組むことは、
効率的な受験勉強を行ううえで、必ずしも得策ではないという意見です。

例えば、「二酸化炭素は温室効果ガスである」という、
正誤問題が出されたとしましょう。もちろん、この問題は正しいですね。
仮に誤った場合も、解答を参照することで、
「二酸化炭素は温室効果ガスである」という知識を習得することになります。

これだけを考えますと、基礎学習を経ずに、
いきなり問題演習を始めても、知識を習得していけそうに思います。
しかし、この方法には大きな注意点があります。
それは「問題演習では知識を体系的に習得できない」ということです。

演習で「二酸化炭素は温室効果ガスである」という知識は習得できても、
ここから派生した「メタンは温室効果ガスである。○か×か?」
という問題には対応できないのです。

勉強の順序としては、まず最初の段階で、
「温室効果ガスには次のようなものがある。
水蒸気・二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・オゾン・フロン類など」
ということを学習しておくのが手堅いのです。

つまり、試験勉強では基礎事項の学習がとても大切だということです。
問題演習は、基礎学習の後で行うものであり、
その目的は知識定着の確認や、知識の応用的な使い方の習得にあります。

例えば、静力学平衡について学んでも、
それが試験で、どのように問われるのかは分かりません。
問題という形で尋ねられるからこそ、
静力学平衡について誤解していた部分があったことに気が付いたり、
実際的な式の使い方を学べたりするわけです。

しかし、問題演習を、基礎知識習得の場とするのは非効率だと考えます。
なぜなら、一般的に試験問題というのは、
膨大な知識の一部分だけを切り取る形で、出題されるものだからです。
イメージとして言えば、試験全体で1000という量の知識が必要だとして、
そのうち、毎回の試験では10だけが問題として出てくるのです。

つまり、過去問題を「習得した知識の確認」として活用するのは有効ですが、
そもそも基礎知識の構築を行うためには作られていないということです。
ですから、問題演習だけで基礎事項の学習を進めると、
断片的な知識が雑然と頭に溜まる、といったことになりかねないわけです。
基礎事項の知識に、隙間が多く見られる場合、
その隙間部分が試験で問われてしまえば、正答できる可能性は低くなります。

学科試験の合格には、原則として11問以上の正答が求められます。
過去に類題の無いような問題が出る可能性も考慮しますと、
ハードルは結構高いと言えるでしょう。
そのためには、少なくとも基礎事項とされる分野についての学習は、
できるだけ隙間なく、綿密に勉強するのが大切だと考えます。




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178、同志の存在を感じるから、1人で頑張れる。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■友達や先輩がとても応援してくれて、勉強するのが辛くなったときなどは、
> その応援が支えになって頑張ることができました。


基本的に「勉強とは1人で進めるものである」というのが私の持論です。
勉強会だ、意見交換会だといっても、結局のところ、主戦場は自分の机です。
それは、受験勉強というものが、
自分にとって未知なる知識を、自分の中に植え付ける作業であるためです。

ですから、集団で講義を受けていても、
頭の動きは、1人で書物や問題と格闘しているときと同じです。

本だけを使って勉強することを、しばしば「独学」といい、
講義などを通して勉強することと区別する場合があります。
しかし、両者は外部から情報を受け入れる方法が異なるだけであり、
本質的には変わらないと捉えています。

極端な例を挙げれば、博士10人に家庭教師となってもらい、
手取り足取りで、丁寧な講義・解説を受けても、
その内容を咀嚼して飲み込む作業を行うのは、
自分自身であることに全く変わりはありません。
つまり、この点においては、いかなる勉強も「独学」なのであり、
孤独な知的格闘の場であると言えるでしょう。

だからこそ、受験勉強では他人の力を借りることも大切だと考えます。
長期間にわたる受験生活では、好不調の波があります。

・難しい単元で、思うように勉強が進まない。
・試験で思うように実力を発揮できなかった。
・忙しい日が続いて、勉強習慣が崩れてしまった。
こうしたスランプを脱するためには、自分1人の力だけでなく、
周囲の力を借りたほうが良いというものです。
それが、同じ試験を志す仲間であれば、なお良いでしょう。

受験仲間とノウハウの交換ができるのも良いことですが、
実のところ、具体的なアドバイスが得られなくても、
受験での苦労を共有し合うだけで、気持ちは楽になるものです。
同じように頑張る仲間の存在を感じることで、
また1人で机に向かう気持ちが湧いてきます。




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179、スマートフォンは勉強にも使える。
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昨年(2011年)の12月に、スマートフォンに買い換えました。
実際に使ってみると、従来の携帯電話との違いは予想以上でした。
パソコンでしか見られなかったWebページも閲覧でき、本当に便利です。
特に、私は電話をあまり使わないので、たまに電話がかかってくると、
「あれ、この手のひらサイズのパソコンには電話機能も付いていたの?」と、
ヘンな驚きを感じるほどです。

ちょっとした時間を過ごすための玩具としても良い道具ですが、
これを勉強に使わない手はありません。
スマートフォンを活用すれば、従来よりも学習効率が高まるはずです。

スマートフォンの良い点は、その携帯性にあります。
家の外で勉強をする場合、持ち出せる勉強道具には限りがあります。
例えば、語学の学習をすることを想定してみますと、
テキスト・ノート・辞書など、結構かさばります。
「勉強は習慣づけることが大切」と、常々メルマガでも申し上げていますが、
習慣化するためのポイントは、面倒くささを極力取り除くことです。
勉強道具が多くなるほど、面倒くささが増し、
習慣づけるのが難しくなってしまいます。

例えば、パソコンで録音したNHKの語学番組をスマートフォンに入れ、
それを通勤電車で聴くという学習であれば、勉強道具は1つで済みます。
(スマートフォン自体で番組を録音できれば、さらに理想的です。)
出かけるときに、財布と携帯電話を忘れる人は少ないでしょう。
常に持ち歩く携帯電話の中に、勉強道具を収納できるからこそ、
勉強習慣も定着しやすいというものです。

音声だけでなく、映像で勉強するという方法もあります。
従来ならば、DVDに収録された講義を電車の中で視聴する場合、
ポータブルDVDプレーヤーを持ち込む必要がありました。
しかし、大きさや重さを考えますと、座席に座れることが条件であり、
つり革を握ったまま、立って視聴することは困難です。
しかし、スマートフォンに映像ファイルを入れることができるならば、
かなり混雑した車内でも、視聴は可能であると言えるでしょう。

さらに、スマートフォンをインプットの道具だけでなく、
アウトプットの道具として活用することも可能です。
スマートフォン用の折りたたみ式キーボードが売られており、
これを使うと、パソコン感覚で文字入力ができます。
つまり、外出先で実技試験の答案練習も可能だということです。

実は、私も折りたたみ式キーボードを使っています。
もともと携帯電話での親指を使った文字入力が苦手な私にとって、
スマートフォンに買い換えた動機が、このキーボードの存在でした。
折りたたみ式のキーボードは、広げると30cm近い幅があり、
通常使っているデスクトップ用のキーボードに比べると少々手狭ですが、
十分に実用に耐えられる性能を持っています。
無線なので、ケーブルを接続するといった面倒な操作も不要です。
先日も新幹線の中で、問題の解説を書き上げました。
このメルマガの草稿を書いたこともあります。

10年前には考えられなかった便利な道具がいろいろ出てきています。
これらを活用して、効率的な受験勉強を進めたいものです。




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180、大人の受験勉強は、持続力で勝負
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■基本的に平日は朝しか勉強はしませんでした。
> この朝勉はもう10年以上のキャリアになります。


学校を出て、気象会社に就職してから感じたことは、
「ああ、学生時代はのんびりしたものだったなあ」ということです。
春休みと夏休みがそれぞれ2か月、時間的には十分なゆとりがありました。
しかし、社会人になれば、毎日時間に追われることも多くなります。
その中で、新たなことを始めるのは容易ではありません。
まして、難しい資格試験の勉強を続けていくのは、本当に大変なことです。
1日1時間、いや1日30分であっても、
勉強だけに費やせる時間を確保するためには、いろいろと調整が要ります。

1日に使える時間が限られている場合、
試験合格までを長期的に捉える必要があります。
例えば、1日5時間勉強できる人は、1年で1800時間以上勉強できますが、
1日1時間しか確保できなければ、1年で確保できるのは、せいぜい400時間です。
この差が明確である以上、あまり早急な結果を求めようとすることは困難です。
「瞬発力」で勝負するのではなく、
「持続力」で勝負するのが、大人の受験勉強です。

私は、19歳のときに、奈良から北海道・宗谷岬まで、
自転車旅をしたことがあります。
北海道までフェリーで乗り付けて、道内だけを自転車で走る人は多いのですが、
「津軽海峡以外は全て自転車」というのは、わりと珍しがられたものです。
しかし、別に私は「鉄人」の体力を持ち合わせているのではなく、
特別な技能を習得していたわけでもなかったのです。
実に単純なことで、「朝から晩までペダルをこぐ」という作業を、
ただただ毎日続けただけのことなのです。

食事と休憩以外は、とにかく自転車を走らせます。
上り坂もあれば、向かい風の日もあります。
それでも、8時間も足を動かし続けていれば、
平均的な1日の走行距離は90km程度になりました。
これを続ければ、奈良からスタートして、
1週間で新潟に、2週間で青森に到着したのです。
特別な技術など何も要りません。
走り続けることさえできれば、奈良と青森が地続きであることを、
自分で確かめることができるのです。

大人の受験勉強も長旅に例えることができます。
ジェット機を駆使した短期集中型の勉強ではなく、
自転車旅行のように長い時間のかかる勉強です。
毎日、少しでもいいですから、ペダルをこぐ。
この習慣を定着させることで、走行距離は着実に伸びていきます。
「1日30分の勉強で何ができるか」と思われるかもしれません。
しかし、短い時間であっても、解決した疑問の数だけ、
少しずつレベルアップするのが、勉強です。
朝の日射しを受けながら、机に向かう習慣ができれば、
1日当たりの学習量が限られていても、
継続するに従って、その積算量は膨大になることでしょう。
特別な技能が要るわけではありません。
ただ、毎日ペダルをこぎ続けられるかどうか、というだけのことです。




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181、「お付き合い宴会」との上手な付き合い方
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お花見や歓迎会・送迎会など、春は宴会の多い季節です。
気心の知れた仲間と飲食を共にしながら、語り合うことは楽しいものですが、
中には「お付き合い」で出席せねばならない宴席もあります。
忙しい日々の中から少しずつ削り、勉強時間の確保をしている人にとっては、
度重なる宴席を少々疎ましく思う人もいるかも知れません。

また、私もそうですが、体質的にアルコールに弱い人にとっては、
体調面での影響を気にされることも多いと思います。
酔ってしまうと頭が働かなくなり、頭痛が起こることもあります。
また、夜遅くまでの酒席で朝起きられないといったことにもなりやすく、
朝からの受験勉強を日課としている人は、
生活リズムの調整に、苦心されることでしょう。

かつて私もサラリーマンだったので、よく分かりますが、
宴会に出席しないことは、何となく後ろめたいものを感じたものです。
ですから、「これも仕事の一部や!」と言い聞かせて参加するわけですね。
確かに、組織・チームの一員である以上は、和を乱したり、
非礼な行動をとったりすることは、なるべく避けるべきものです。
ですから、メインの宴席(いわゆる「一次会」)には、
できるだけ顔を出したほうが良いと思います。
しかし、二次会・三次会などは、参加したい人だけが行けば良いのであり、
不必要に気を遣うのは疲れるだけです。
堂々と「お先に失礼します」と言って帰宅すれば良いのです。
私自身も二次会に参加したことは、ほとんどありません。

「あの人は付き合いが悪い」と思われたくないがために、
宴会に出席するというのは辛いことです。
ここは発想を変え、「付き合いの悪い人」になっちゃうのも一つの方法です。
「あいつは二次会でも、三次会でも、どこまでもついてくる」
と認識されてしまうからこそ、周囲の期待値も高くなってしまうのであり、
それに反した行動を取ることが難しくなります。
日頃から「付き合いの悪い奴」と思われれば、周囲の期待値は低くなり、
「あの人いつも二次会に出ないから」という認識になります。

こうした付き合いの悪さをカバーする方法もあります。
その1つは、他人が面倒臭がるような用事を時々進んで引き受けることです。
例えば、お花見であれば、会場の選定・場所取りから始まって、
料理や飲物の注文、紙皿やコップなどの買い出しを行うのです。
今まで私自身も、宴会の幹事役を何度も経験していますが、
店の予約・出欠の確認・会費の徴収など、いろいろな雑務があるものです。
しかし、人の嫌がる仕事を時々引き受けるからこそ、
少々の個人的なワガママも大目に見てもらえるというものです。
また、幹事は宴会中も雑用に追われることになりますので、
特にアルコールの苦手な人にとっては、
苦手な酒もあまり飲まずに済ませられるかもしれません。

また、私も実践したことがありますが、送迎会に出席する代わりに、
直接に贈り物をすることで個人的に謝意を伝える方法もあります。
(同じ予算なら、ネクタイよりハンカチのほうが良いものを用意できます。)
要は宴席に出ることだけが「誠意」や「礼儀」ではない、ということです。

世の中には、「暗黙の掟」のように見えるものがありますが、
実際には、工夫次第で自分の都合の良い方向に運用できることもあります。
また、「鉄の掟」だと勝手に自分自身が解釈しているだけで、
単に周囲の目を過剰に気にし過ぎているだけかも知れません。
考えてみれば、去年の花見で、誰が来ていて誰が来ていなかったかなど、
正確に覚えている人は、ほとんどいないはずです。

肩の力を抜いて、「ほどほどの付き合いで良い」と割り切ってしまえば、
宴会に対するストレスも小さくなり、気分良く過ごせるように思います。




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182、気象庁ホームページを活用する。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■気象庁のホームページを閲覧することから始めました.
> (中略)
> 10日間位で気象庁のホームページを隅から隅まで読破し,
> 自分なりにノートにまとめてゆきました.


気象庁のホームページを試験勉強に活用することは、
次の3つの利点があると、私は考えています。


1,情報が正確

気象予報士試験の中でも、特に専門知識試験では、
気象庁の業務内容について問われることがよくあります。
具体的には、観測業務と予報業務です。

どのような観測を行っているのか、
どのような種類の予報を発表しているのかは、
気象庁のホームページに、細かく掲載されています。
知識の内容に不安を感じたとき、気象庁のホームページで確認すると、
その正確性を判断できることがよくあります。


2,具体的な資料がある

「異常天候早期警戒情報」「雷ナウキャスト」など、
気象庁ではさまざまな情報を発表していますが、
それらの内容をしっかり頭に定着させるためには、
本物の資料に接することが大切です。

受験勉強として学ぶ場合、短い言葉での説明を頭に叩き込む、
といった学習法になりがちですが、
実際の資料を閲覧してこそ、説明文の内容も頭に入りやすくなり、
学習を効率的に進めることにつながるはずです。


3.最新情報をチェックできる

技術革新や制度変更に伴って、
観測業務や予報業務には、少しずつ変化が見られます。
専門知識試験では、新たな業務内容が出題されることもある一方で、
すでに廃止された業務については出題されなくなります。
つまり、過去問題の内容が、全て現在でも有効だとは限らないわけで、
その点を整理したうえで、勉強を進めることが大切です。

こうした新しい情報は、気象庁のホームページで公表されることが多く、
定期的にチェックすることが大切です。




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183、?をどこまで追求すべきか
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ある会社の社長と、採用面接に関する話をしていたときのことです。
その会社では、社長が全ての応募者の面接をすることになっており、
採用シーズンは実に忙しそうでした。

「1人1人と話をするのは大変でしょう?」と私が尋ねると、
「いや、話をすること自体は、案外楽なものなんや。」と仰いました。

「履歴書に書いてあることを、本人に聞いてみればええ。
 そのときに返ってきた答えについて、さらに深く聞いていくことで、
 いくらでも話を掘り下げていくことができるのや。」

つまり、例えば「趣味:音楽鑑賞」と書いてあった場合、
「どんな音楽が好きなのか?」→「クラシック音楽です」
「クラシック音楽の中で特に好きなのは何か?」→「ベートーヴェンです」
「ベートーヴェンのどの曲が好きなのか?」→「やっぱり『運命』です」
といった具合に、応募者の回答の中から次の質問を作っていき、
それに対する受け答えの内容から、採用の是非を判断しているのことでした。

こうした話をふと思い出したのは、今冬の寒さが厳しかった理由について、
気象庁の資料を読みながら、頭の中で整理しているときでした。
(報道発表資料「平成24年冬の天候と大気の流れの特徴について」)

「2011年〜2012年の冬において、寒さが厳しかったのはなぜか?」
「日本付近に強い寒気が流れ込んだためである。」
「なぜ日本付近に強い寒気が流れ込んだのか?」
「日本付近での偏西風が南に蛇行したからである。」
「なぜ偏西風の蛇行が大きくなったのか?」
「インド洋東部〜インドネシア付近での対流活動が活発だったからである。」
「なぜその領域での対流活動が活発だったのか?」
「ラニーニャ現象が起こっていたからである。」
「なぜラニーニャ現象が起こったのか?」
「・・・・・・・。」

ここから分かるのは、真理の探究には終わりが無いということです。
ある事柄について「なぜ?」が明らかになっても、
「では、そうなるのはなぜ?」が次に出てきます。

どんな種類の勉強でも、「深み」を持ち合わせていますので、
資格試験の勉強を進める際には、「不必要な深掘り」に注意せねばなりません。
「なぜ?」を追求する姿勢は大切ですが、
全ての「なぜ?」を解決することは不可能なのであり、
予めそれを十分に認識しておくことが大切です。

気象予報士試験の勉強は、幕の内弁当と似ています。
幕の内弁当には、煮物・揚げ物・焼き物・ご飯・香の物・果物など、
いろいろなものが少しずつ入っています。
同じように、試験ではいろいろな分野から少しずつ問題が出されますから、
特定の事柄についての深掘りに、労力と時間を使いすぎることの無いよう、
全体をまんべんなく勉強していくことが大切です。

掘り下げ方の目安となるのは「過去問題が解けるかどうか」です。
ある問題を解くための知識を備えているかどうかを、
必要とされる勉強の深さを測るための物差しにされると良いでしょう。
効率的な受験勉強のためには、これを意識的に行うことが大切です。
深く探求したいことは、試験合格後に取り組まれれば良いのです。




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184、過去問題の調達方法
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学科試験であれ、実技試験であれ、
勉強に過去問題が手放せない、という状況になれば、
いよいよ本格的な受験対策に突入したと言えます。

過去問題は、合格を勝ち取るまで必ず手元に必要ですし、
書き込みをするようなこともあるでしょうから、
図書館で借りているわけにはいきません。
自分専用の過去問題を用意することが大切です。
今回は、その入手方法をご紹介しましょう。

数ある過去問題の中からより抜く形で構成された問題集は、
いろいろな分野の問題にあたってみることができます。
例えば、成山堂書店から毎年出されている、
『気象予報士試験精選問題集』は、学科・実技の問題が1冊に収録されています。
幕の内弁当のように、いろいろな問題が少しずつ入っていますので、
最初の1冊として適していると思います。

また、過去問題をタダで手に入れる方法もあります。
一般財団法人気象業務支援センターのホームページでは、
問題と解答例をダウンロードすることができます。
PDFファイルですので、スマートフォンやタブレットに入れることも可能です。
ただし、公開されているのは過去3年分だけであり、
解説は付いていないことに留意される必要があります。

解説付きの問題集は、試験回ごとに、
一般財団法人気象業務支援センターと東京堂出版から発売されています。
過去問題の演習量を充実させたい場合は、これらを揃えることをお勧めします。
ただ、少し以前に出された問題集ですと、品切れになっているものもあります。

そこで、古本であることを、それほど気にされないのであれば、
ネット書店のAmazonなどで、中古本を購入するのも一つの方法です。
Amazonの中古本は、価格が日々変動しますので、
安くなったタイミングを見計らって購入すれば、経済的です。

また、インターネットオークションを利用して、
中古本をまとめて落札するのも良い方法です。
1冊ずつ探して購入する手間も省けますし、
出品状況にもよりますが、落札金額を冊数で割った書籍単価は、
新品で買うときより、かなり安いことも多いです。

なお、気象業務支援センターと東京堂出版の問題集には解答用紙があります。
解答用紙を使って問題演習に取り組まれる場合は、
繰り返して演習することを考えて、コピーをとっておくのがお勧めです。




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185、実技試験の勉強は、検証→納得→再現
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実技試験は文系科目とも言えるなぁ、と強く感じます。
もちろん、気象学などの理科的知識は絶対に必要なのですが、
知識を言葉という糸で結びつける力も同じくらい大切なのです。
問題や資料を見て、解答要素は短時間で思いついたのに、
それを文章化することが難しい、とお感じの方も多いことでしょう。

実技試験では、問題文から題意を把握し、
解答要素をピックアップしたあと、指定字数に応じた表現でまとめます。
これは弁当屋さんが客からの注文に応じて、
オリジナル弁当を作ることと似ています。
指定された具材を、弁当箱に上手く収めることが大切ですが、
これがなかなか難しいわけです。

・注文していない具材が入っている。(余分な記述が入っている)
・具材が弁当箱からはみ出して、ふたが閉まらない。(字数超過)
・注文したはずの具材が入っていない。(必要な解答要素が抜けている)
・具材が傷んでいる。(記述内容に誤りがある)

もちろん、最初から良い答案を書ける人などいません。
答案作成の練習を進めることで、少しずつ上達していくものです。
その上達のために大切なことが、「検証→納得→再現」という流れです。

まず、「検証」には2つの作業があります。
・問題文と解答例を照らし合わせる。
・解答例と自分が書いた答案を照らし合わせる。

問題文が求めていることに対して、解答例ではどのように述べているのか、
この対応を1つずつ確認していきます。
そして、自分が実際に書いた答案は、解答例とどう違っているのかを確認し、
修正すべき点の有無を洗い出していくのです。
その後、問題に再び取り組み、理想的な答案を書くことが「再現」です。

この検証と再現において重要なのは、「納得できるかどうか」です。
解答例を見ても「ふうん、そんなもんかねえ・・・」という感触であれば、
まだ詰め切れていない部分がある可能性が高いです。
もちろん、解答例が100%正しいとは言い切れませんが、
たいていの解答例は模範解答と見なせるので、
納得できないのは、何か課題があると考えられるわけです。

納得を伴わない検証と再現の繰り返しは、単なる解答例の丸暗記です。
腑に落ちると、一種の清涼感を味わうことができますよね。
でも、納得のない丸暗記は、頭が疲れるだけの作業です。
そのうえ、本試験で少し捻った問題が出ると、応用がききません。

「再現」とは、答案を解答例に一字一句合わせることではないです。
検証において十分に納得できれば、書いた答案が解答例と違っていても、
「これは実質的に、解答例の内容と同じだと言える」
という判断ができるようになるはずです。





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186、試験勉強の優先順位を高める。
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春から気象予報士試験の勉強に取りかかった方にとっては、
そろそろ勉強開始から3か月が過ぎつつあるところです。
「上手く軌道に乗った」という方もおられれば、
「リズムがなかなか掴めない」という方もおられることでしょう。

勉強習慣を定着させることに苦労する背景として、
「○○が忙しくて、なかなか勉強時間を確保できない」ということが多いです。
これは、朝に目が覚めてから、夜に布団へ入るまでの間において、
人それぞれの優先順位があることを意味しています。
「○○が忙しくて勉強できない」は、
試験勉強よりも○○のほうが優先順位が高いということです。

おそらく、「試験勉強が1位」という方はおられないでしょう。
お仕事・家事・学校の勉強など、大切なことを多く抱えておられるはずです。

ただ、試験勉強の順位があまりにも低いと、
残念ながら、結果を出せる可能性も低くなってしまいます。
合格圏に入るためには、一定以上の学習量が必要であり、
その学習量は「集中度×時間」で決まります。
人の集中力には上限があるでしょうから、
勉強時間の長短は、学習量の多寡に大きく影響するわけです。

当然ながら、試験勉強の優先順位が低ければ、
十分な勉強時間を確保できないので、成果も出しづらくなるわけです。
ですから、難しい資格試験に挑むために大切なことは、
生活に差し支えの無い範囲で、試験勉強の優先順位を高めることが大切です。

具体的には、それまで受験勉強よりも上位にあったものを減らすことで、
相対的に受験勉強の優先順位を高めるということです。

これまでに合格を勝ち取られた方の合格体験記を見てみますと、
次のような実践例があります。

 ・サークル活動を休止する・やめる
 ・アルバイト量を減らす
 ・テレビを見るのをやめる
 ・テレビは録画したうえで、CMを抜いて見る
 ・長期休暇での旅行をやめる
 ・趣味を断つ
http://rojiura.jp/taikenki.html

注意したいのは、1日に使える時間は限られていますので、
今までの生活パターンを変えることをしないで、
勉強時間だけを増やすことは困難だということです。
これをすると、オーバーワークを生み出し、
長期的な学習計画が成り立たなくなる恐れがあるからです。
ですから、勉強時間を増やすことは、他の時間を削ることが必須となります。

言い換えれば、何かの優先順位を高めることは、
別の何かの優先順位を下げることと必ず連動します。
「優先度は全部1位」というわけにはいきません。
気象予報士試験に対する優先順位を高められることが、
合格のためにとても大切なことだと思います。




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187、受験生は「選手兼トレーナー」
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■自分の学習メモによると、1回目は10/22〜12/21の60日間で、
> 2回目は12/22〜1/14の20日間で、3回目は1/15〜1/26の12日間で演習しました。


合格に向けた学習計画を立てる人は多いと思います。
試験日から逆算する形で、カレンダーを見ながら、
勉強のプランを練り上げる作業は、なかなか楽しいですね。

しかし、実際の学習結果を記録に残す人は、案外少ないようです。
本来、計画作成と実績評価はワンセットであるはずですが、
勉強成果の検証については、軽視されることが多いのです。

受験勉強では、1人で2つの役割が求められます。
それは、「選手」と「トレーナー」という役割です。
トレーナーが学習計画を立てて、選手がそれを実行し、
きちんと実行できているかを評価するのはトレーナーです。

専属の家庭教師を雇う環境でも無い限り、
受験生は「選手兼トレーナー」という1人2役なのです。
多分、これはスポーツ界でも同じであって、
「自分専用」のトレーナーを持てるほどの一流アスリートは、
競技人口のうちの、ほんのごく一握りに過ぎないと思います。

要は、受験勉強もスポーツも、自己管理能力が大事だということですね。
怠けてサボっているのは、論外ですが、
およそ達成できない目標を掲げた挙げ句、オーバーワークを招いてしまうのも、
セルフマネジメントが欠けているという点では、本質的に同じです。

ですから、気象予報士試験の勉強でも、学習計画の作成だけでなく、
実際にどのくらいの学習を進められたかについて、自分で把握し、
それを評価・検証することは大切なことです。

そのためには、毎日の学習成果を記録しておくことをお勧めします。
といっても、上司に業務日報を送るのではなく、
自分で知っておくためのものですから、ちょっとしたメモで良いと思います。
いつも手帳を持ち歩いている人は、手帳に書き込む形でも良いですし、
携帯電話のメモ機能や、ブログなどを利用しても良いでしょう。
ざっとした学習内容と要した時間を毎日付けておくだけで、
後から学習成果を振り返ることができます。
もちろん、何も勉強しなかった日は、「学習時間:0」と書いておくのですよ。

学習内容を振り返る習慣を付けておくことで、
受験生の自分を、トレーナーの立場で客観的に見ることができます。




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188、一人合宿のすすめ
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第38回気象予報士試験まで残り2か月を切り、
受験勉強の仕上げをそろそろ意識する時期です。

そんな中で、「試験日が迫る中、なかなか受験勉強が乗らない」
「自宅で勉強していると、いろんな誘惑に駆られる」
という方もおられるかも知れません。

気持ちを切り替える方法は、人それぞれだと思いますが、
一つの方法として「学習環境を変えてみる」ことが挙げられます。
その具体策として「一人合宿」を行うことを私は思いつきました。
実際の流れについて、以下にまとめてみますので、
「これは良い」と思われた方は、試してみて下さい。

「一人合宿」とは、自宅以外の一室に籠もって、
数日の間、試験勉強に専念することです。

具体的には、ビジネスホテルを利用することをお勧めします。
豪華なシティホテルは、サービスが行き届きすぎていて、
禁欲的な「一人合宿」には向きません。
ルームサービス・温泉・エステ・マッサージなどは無いほうが良いのです。
ベッドの他には、勉強できる机と椅子があれば十分です。
なお、部屋によっては、照明が暗い場合もありますので、
「夜に書き物をしたいので、明るい電気スタンドの付いた部屋はありますか?」
と事前に確認しておかれると良いでしょう。

宿泊数は、少なくとも2泊以上が必要です。
1泊ですと、睡眠・風呂・食事などの時間を除けば、
チェックインからチェックアウトまでに、十分な勉強時間を確保できません。
連泊すると、その間は昼間も部屋に滞在できる場合が多いので、
例えば2泊する場合、2日目は朝から晩まで勉強に専念できます。
連泊によって割引を受けられるホテルもあるようです。

ビジネスホテルの手配ができれば、
スーツケースに勉強道具一式を入れて、合宿場に乗り込みます。
勉強に専念するための数日間ですから、遊び道具になりそうなものや、
無駄な大金を持ち込まないことも大切です。
外出は3度の食事のときだけで、起きている間は基本的に机の前です。
人気作家がホテルで缶詰になるのと同じようなイメージです。

多くの社会人にとって、普段の生活においては、
何時間も勉強を続けることは、なかなか難しいと思います。
しかし、実技試験の演習などでは、長時間集中できる環境が大切であり、
だからこそ、こういった場を設けるのは良いことだと言えます。
そして、この一人合宿の経験が、普段の勉強に生かせるのが理想的です。
10月の合格を目指して、充実した夏を過ごしていきましょう。




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189、夏休みにゼロから始めて軌道に乗せる。
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駅や電車の中で、大学のオープンキャンパスの案内を目にしますが、
最近は就職実績や資格取得など「実学志向」を強調する大学が多いですね。

もちろん、研究者を志す道もありますが、
卒業後に就職を希望する人のほうが圧倒的に多いです。
ですから、真理の探究だけに時間を費やすことに対して不安を感じ、
もっと実際的な知識や技能を身につけたいと考える人が多いのも頷けます。

そうした時代の流れもあってか、気象予報士試験の受験生も、
若い方の割合が大きくなったように思います。
私が受験生のときは、試験会場で自分が浮いているような気がしましたが、
今は若い受験生が随分多くなったように感じます。

社会人に比べて、学生は時間の融通が利きやすいと言われますが、
学期中はかなり忙しい人も多いようです。
メインの学業に取り組みつつ、資格試験の勉強を進めるわけですから、
これは相当に大変なことです。

こうした状況において、試験勉強を上手く軌道に乗せるために、
学生の特権である「長い夏休み」を最大限に活用することをお勧めします。

気象予報士試験に限らず、どんな勉強科目でも、
取り組み始めた時点では分からないことだらけです。
基礎事項の概念を習得したり、重要語句を覚えたりして、
まずは足場を固めるという学習が、一定期間求められます。

こうした基礎学習は、必ずしも面白いと思えるものではないです。
例えて言えば、まだ野球のルールを十分に理解していない状態では、
野球観戦をあまり面白いと感じられないのと似ています。

知識が増えてくると、蓄積された知識どうしの繋がりが見えてきます。
このとき、ある事柄をスムーズに順序立てて説明できることに気が付くと、
そこに「なるほど」という面白さを感じることができます。

このように、基礎が固まることで、面白さが見えてくると、
「もっと勉強して、その先を知ってみたい」という意欲が出てきます。
これが「軌道に乗る」という状態です。
逆に言えば、軌道に乗るまではエンジンを噴射し続けなければならず、
そのためには、ある程度のまとまった時間を用意することが理想的です。

長い夏休みを活用して、まとまった学習時間を確保し、
生コンをどんどん流し込むイメージで、基礎をガッチリ構築していきます。
これにより、いったん軌道に乗せることができれば、
大学の勉強などでまとまった時間を確保しにくくなっても、
スキマ時間を見つけて少しずつ進めていくことが可能です。

初めて気象予報士試験に挑戦する場合でも、
このようにして、夏の間に基礎事項をしっかり固めれば、
秋から冬にかけては過去問題演習で実践的な学習に進むことができます。
もちろん、これは勉強の進み具合にもよりますが、
翌年1月試験での一般知識試験合格も射程範囲に入ってくることでしょう。




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190、範囲を絞り込んで、苦手分野を克服
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いよいよ試験が近づいてきました。
お盆休みに集中して勉強に打ち込まれる受験生も多いことでしょう。
夏試験直前のお盆休みと、冬試験直前の正月休みは、
勉強の仕上げのために、まとまった時間を確保できる最後の機会です。

試験直前での勉強で、心がけたいことがあります。
それは学習範囲をできるだけ絞り込んでしまうことです。
試験までに残された時間は、もう決して長くなく、
マラソンに例えると、35km地点を過ぎているといったイメージです。
今までの学習の成果が、試験に概ね反映されると言えるのであり、
これからの勉強で大逆転劇を繰り広げることは、かなり難しいです。

現実的に考えて、取り組める勉強時間は限られていますので、
苦手な単元だけに絞り込んだ学習をお勧めします。
例えば、一般知識試験であれば「気象法規」、
専門知識試験であれば「数値予報」といった具合です。
学習範囲を広げすぎると、あちこちを行ったり来たりすることになり、
表面をなぞるだけの浅い勉強になってしまう恐れがあります。
十分な理解に伴う手応えが得られず、
「まだ勉強できていない部分が山ほどある」
という焦りの気持ちだけが残ってしまうのは残念です。
特定の単元だけに絞り、基礎事項の確認、
過去問題の再演習を行い、実力を固めることにしましょう。

また、これからの時期は、試験に合わせて生活習慣を整え、
体調を崩さないように心がけたいところです。
冬のように、インフルエンザに罹る可能性は低いですが、
暑い時期ですので、夏バテ・胃腸の不調を起こしやすい時期です。
突貫工事のような受験勉強をして、直前で体調を崩してしまうと、
不調のままで試験に臨むことになり、
明らかに不利な戦いを強いられることになります。
体調管理も実力のうち、と言えるでしょう。




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191、緊張の先に合格がある。
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今までの試験勉強、お疲れ様でした。
あとは、試験当日に普段通りの実力を発揮できるかです。
落ち着いて問題文を読み、平常心で解くことができれば、
ミスを最小限に減らすことができるはずです。

でも、真剣に合格を目指す方ほど、強い緊張感に襲われるのですね。
時間に余裕を持って出かける、直前に知識を無理に詰め込まない、
といったことも大切ですが、緊張を完全に取り除くことは難しいです。

合格を勝ち取られた受験生も、緊張感に押されながら試験を受けていたのです。


> ■本試験当日、合格しなければ、というプレッシャーから
> 実技1開始直後は極度の緊張感から指の震えが止まらず、
> 字が上手く書けないほどでした。


> ■試験では、緊張のあまり前日は眠りが浅く昼食ものどを通らないほどだった

> ■実技試験になると、やっぱ結構はじめは緊張しました。

> ■緊張しすぎて朝4時に目が覚めてしまいました。

> ■私もそうでしたが、試験前はかなり焦るし、緊張してくると思います。


「緊張してはいけない」と思うと、余計に固くなってしまいます。
「会場の受験生はみんな緊張している」と思えば、少し楽になるはずです。
強い緊張感に襲われたときは、ゆっくりと深呼吸しましょう。
今までの勉強の成果が十分に発揮できることを願っています。


> ■ホテルを早目に出て試験開始1時間前には会場に到着.
> 心地よい緊張感に包まれて,いきものがかりの曲を聴きながら,
> さあ頑張ろうと試験開始を待ちました.





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192、第38回気象予報士試験を振り返って(学科)
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一般・問1は、平成19年度第2回の一般問1とよく似ていました。
過去問題演習が大切なことを改めて実感します。

一般・問2は、気層の気温減率と、
乾燥断熱減率・湿潤断熱減率との違いを問うています。
正しく解答するためには、気層の温度分布と、空気塊の上昇に伴う温度変化、
両者の概念の違いを明確に区別できている必要があります。
熱力学分野の学習で躓きやすいポイントを鋭く突いた問題と言えます。

一般・問5は、放射平衡について、
式を使って学習することの大切さを感じる問題です。
「受け取る太陽放射量=放出する地球放射量」について数式を使って考えると、
アルベドやステファン・ボルツマンの法則の復習もできます。

一般・問6は、温度風の理解が必須ですね。
「○○風」という用語は、いくつもありますが、
温度風は実体として吹く風ではない点が、少しややこしいです。
温度風を理解するためには、温度分布と等圧面高度との関係が大切なので、
私は講義や教材で立体図形を書きながら、温度風の説明を行います。
温度風は、平成18年度第2回・平成19年度第1回の実技試験でも出ています。

専門・問2は、レーダーとウィンドプロファイラの組み合わせが興味深いです。
下向きの大きな鉛直速度が、降水粒子の落下を示すことについては、
平成23年度第1回の専門問2でも出題されましたね。
冬型の気圧配置で、雪雲が流れ込んでくるときのレーダー画面を、
気象庁ホームページなどで確認したことがあれば、
この問題を解くためのヒントになったはずです。
教科書の学習だけでなく、実際の資料を目にすることも大切ですね。

専門・問3では、ドップラーレーダーに関する問題でした。
観測された動径速度から、風の流れを読み取る問題は、
前回の平成23年度第2回の専門問3でも出てきた内容です。
ある程度の慣れが必要だと思いますので、過去の類題での学習が大切です。




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193、第38回気象予報士試験を振り返って(実技)
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今回(第38回試験)の実技試験について、
 1.問題の量が多い。
 2.学科試験で勉強した知識が数多く問われている。
という2つの点に私は着目しました。

まず、1についてですが、
「実力」と「問題を解く速さ」は概ね比例する、というのが私の感覚です。
別の言い方をすれば、実力以上に速く解くことはできない、ということです。
急いで解くと雑な答案になり、正答率が下がってしまうので、
結局のところ、解ける量に大きな違いはなくなります。

速くかつ正確に解こうとするためには、
 ・問題文を読んで題意を把握する。
 ・参照すべき資料を見つけて、その内容を読み取る。
 ・思い浮かんだ解答要素を答案という形にまとめる。
これらの頭の働きを短時間で行う必要があります。

最初は誰でも無駄な動きが多いので、時間がかかりますが、
実力が高まるにつれて、それが削れていきますので、
速く解答できるようになるのです。


次に、2についてです。
実技試験は、学科試験の内容が土台になっているため、
学科試験で問われるような知識も、実技試験では出題されます。

今回の第38回試験であれば、実技1の問4において、
対流不安定や静力学平衡に関する知識を問う問題が出ました。
両者とも、これまでの実技試験で何度も出題されていますが、
対流不安定について、ここまで鋭く問われたのは初めてだと思います。
学科試験のように、記号選択式の解答ではなく、
文や作図という形で答える必要があるため、
理解の曖昧な部分が答案に反映されます。
この点において、実技試験はよりレベルの高い問題が出ると言えます。

専門知識試験に関する内容についても、実技2において、
台風情報に関する知識、警報に関する知識が出題されました。

学科試験の合否に関係なく、実技との関係の深い単元については、
丁寧に学んでおかれることが大切です。




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194、課題の洗い出しと解決こそがレベルアップへの道
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「過去7〜8年分を3回転」は、以前から私が推奨している、
実技試験の過去問題演習量を指しています。

毎回の試験で2題出題され、試験は年2回行われるのですから、
「過去7〜8年分」は、およそ30題となります。
30題を3回転すれば、のべ90題ということで、これは大変な量です。

これだけを見てみますと、「とにかく量をこなせ」という意味に取れますが、
もちろん、真意はそれだけではありません。
特に「3回転」という意味については、
「3回も繰り返してやっていれば、そのうち頭の中に入るだろう。」
といった受け身的な姿勢ではなく、
「3回以内の演習で、この問題を全てモノにする!」
といった取り組み方が大切だと思っています。

では、そのための具体的な方法について、述べることにしましょう。
問題演習で最も大変なのは、1回目の演習です。
なぜなら、1回目の演習では、解決すべき課題がボロボロ出てくるからです。
実は、問題演習を行う目的は、この「課題の洗い出し」にあります。
私が「調べながら問題を解いてはいけない」という姿勢を取るのも、
課題の洗い出しができなくなってしまうためです。

丁寧な答案分析を行えば、数多くの課題が出てきます。
これらを1つずつ解決していくこと、これが勉強です。
実のところ、「問題を解く」「丸付けをする」といったことは、
勉強というよりも、むしろ作業に近いと言えます。
なぜなら、「知らないこと・誤解していたこと」を、
「正しく理解すること」こそが、レベルアップにつながるのであり、
その過程で頭に汗をかくことが勉強だと言えるからです。

実力の高まりは、課題の解決量によって決まります。
10個しか解決できなければ、10しか上がりません。
1000個解決できれば、1000のレベルアップです。

こうして、できるだけ多くの課題を解決すれば、
2回目の問題演習は、1回目に比べて相当に楽になっているはずです。
これが、「勉強への手応え」というものですね。
「1回目の演習で取りこぼした部分を洗い出して補強する」というのが、
理想的な2回目の問題演習であると言えます。
そして、3回目の問題演習は、全体の最終確認という形になります。

もし、2回目・3回目の問題演習で躓く部分が多いのであれば、
洗い出された課題を十分に解決できていない可能性が高いです。
誤答部分の分析を怠り、単に「量をこなせば良い」という考えて、
何度も何度も問題を解くのは、十分な学習効果は期待できません。
強引に演習量を増やすと、解答例が頭に浮かぶようになりますが、
これは一種の単純暗記であり、適切な思考過程を理解しないままであれば、
本試験に対応できる応用力を付けるのは難しいです。

問題演習において大切なことは、問題に取り組むことだけでなく、
その過程で浮かび上がってきた課題を明らかにし、
課題を1つずつ克服していくことにあります。
こうした戦略を立てて受験勉強に挑めば、
貴重な時間と労力を最大限に活用できると、私は確信しています。




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195、実技試験で問われる「国語力」
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■実技試験は物理と国語の試験を足して2で割ったような特徴があります。
> すなわち、気象業界特有の国語力、そして気象という物理現象を
> 日本語で記載する能力が問われていると思います。


「気象予報士」という資格名から、
理科系のイメージを強く持たれる方も多いと思いますが、
実際には、文系の素養も大いに重要です。

「物理と国語の試験を足して2で割った」という表現は、
実技試験の特徴を的確に表しています。

ここで言う「物理」というのは、学科試験で勉強する内容を指します。
学科試験の知識が、実技試験でも要求されるわけですが、
加えて「国語」の能力が問われるという点に、実技試験の難しさがあります。

よく、「解答要素は頭に浮かぶのだが、なかなか答案がまとまらない」
といったお悩みを耳にします。
これは「物理」が十分でも、「国語」に課題があることを示しています。

「国語」の部分、つまり答案作成能力を高めるためには、
実際に鉛筆を握って、答案作りを行うことが大切です。

学科試験の勉強は、どちらかと言えば「インプット型の学習」であり、
本を広げたり、講義を聴いたりすることで、知識を増やしていけます。
一方、実技試験の勉強では、インプットももちろん重要ですが、
「アウトプット型の学習」も不可欠です。

問題を見た後に、解答例を眺めて、「フンフンなるほど」と思っても、
実際に白紙の解答用紙を前にしてみると、鉛筆が動かないことがあります。
これは、「分かる」と「できる」の間に、距離があることを意味します。

実技試験の勉強では、自分で答案文を組み立てる練習がとても大切です。
最初の段階では、上手く言葉が出てこなくて、考え込んでしまうはずです。
それについても、鉛筆を握って初めて気が付くことなんです。

実技試験の解答例を見ますと、筋肉質な文が目立ちます。
「必要要素がキチンと盛り込まれていて、余分なものが無い」という意味です。
もちろん、最初から上手く書ける人などいません。
「上手く書けない」ことを経験することによって、
改善点を見つけ、語彙を増やし、少しずつ書けるようになっていきます。




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196、合格率は自分で高めるもの
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■合格率はコツコツ努力することによって自分で変えられるのです。
> こう考えれば少し気が楽になりませんか。
> モチベーションの維持にもつながりませんか。


資格試験にチャレンジするうえで、合格率はとても気になる数字です。
確かに、合格率は試験の難易度を把握するうえでの1つの指標ではありますが、
そこには、ある種の思い込みが生じやすいことに、注意される必要があります。

それは、「合格率」とは「受験生全体の平均合格率」という意味であり、
「ある1人の受験生が試験を受けたときの合格率」とは違うということです。
当然ながら、受験生の実力によって、合格する可能性は異なります。
勉強次第で、合格率は高くもなれば、低くもなるということです。

率直に言ってしまえば、「合格率が限りなくゼロに近い受験生」が、
おそらく試験受験者全体のうち、かなりの割合を占めていると思われます。
(多肢選択式ではない実技試験は、偶然による合格がまず不可能です。)

一方、少数に限られるものの、相当に高い合格率を持つ受験生がいて、
実際に、そういった人が合格を勝ち取っていく可能性が高いわけです。

もちろん、難関をくぐり抜けた試験合格者であっても、
勉強を始めた当初は合格率ゼロであり、
しかも、ある程度の期間にわたって、その状態が続くわけです。
それでもなお、勉強を続けていくと、合格率はゼロから離れ、
次第にその数値は高まっていきます。
つまり、受験勉強とは「合格率を高める過程」であると言えるわけです。

気象予報士試験は合格率5%前後の試験ですが、
これを「20人に1人だけ当たるクジ引き」に全受験生が参加する、
というイメージで捉えることは正しくないです。
「8割以上が当選する抽選箱」を引くことができるのか、
「ほとんど空クジしか入っていない抽選箱」を引くことになるのかは、
結局のところ、受験生次第だということです。

ですから、「合格率5%」という事実に対して、過大に恐れる必要は無いです。
受験勉強を継続していく決意と実行力が備わっていれば、
合格できる確率は、自らによって着実に高めていけるからです。




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197、「誤解を理解に変えること」が実力向上の秘訣
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

■自分なりに理解したことが正しいか否かを確認する方法として
NHK高校講座(地学、理科総合A・B)と
放送大学の「身近な気象学」(45分/1回x15回)を録画して利用しました。


勉強の過程において、正しい理解をしているかどうかを確認することは、
実力を高めるために、とても大切です。

特に、1人で本を読んで勉強する場合、著者に尋ねることができないため、
説明内容を自分の力で解釈して、頭の中に入れることになります。
また、著者の説明に少し飛躍があると、
行間の思考過程については自分で補う必要があります。
このとき、誤った理解であると、後々の学習で支障が出てしまいます。

実際のところ、理解の誤りそのものは頻繁に起こるものです。
丁寧に学習しているつもりでも、ちょっとしたボタンの掛け違いから、
内容を誤解してしまうことは、珍しくないです。
ですから、「誤解しないように勉強を進める」ことも大切ですが、
むしろ、後からの復習で自分の理解度をチェックすることのほうが重要です。

具体的には、自分の解釈が適切であるかどうかについて、
他の書籍や教材にあたったり、誰かに質問をするなどして、
確認をしていくことになります。

また、過去問題を解くのも、理解度の確認には必須です。
正しく答えられたと思ったのに、正答が得られなかった場合は、
何か誤解している部分が潜んでいるはずですから、
きちんと復習されることが大切です。

「実技試験の勉強がどうも上手く進まない」という場合、
熱力学などの基礎事項に不安要素が見られることが多いです。
誤った知識に基づいて答案を書いても、当然ながら正答にはなりません。
よって、面倒くさくても、知識の確認と再構築は重要であり、
回り道のように見えて、実は合格への最短ルートであると私は考えています。




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198、引き算の発想で勉強時間を確保する。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■受験勉強中はパラグライダーからは離れました。
> 難関と言われるこの試験、やるからには“できるだけ短期で”が目標でしたから。


なるべく早く合格を勝ち取りたいのであれば、
勉強のために、できるだけ多くの時間とエネルギーを割く必要があります。

このとき、時間管理においては「引き算」で考えます。
勉強量を増やすためには、空き時間を用意する必要があり、
そのために何かに費やす時間を削らねばならないからです。
趣味に充てている週末の時間を減らす、友達と飲みに行く回数を減らす、
こうした引き算を行うことで、時間とエネルギーを捻出するのです。

1日の長さは誰にとっても24時間であり、
寝る時間を除いた実動時間に大きな違いはありません。
例えれば、持っているケーキの大きさに大差は無いということです。

ケーキを切り分けることは、時間配分を意味するわけですが、
「あれもこれも」という考え方で詰め込んでいくことは、
結局のところ、ケーキを細かく切り刻んでいく作業に他なりません。

「あれもこれも」ではなく、「あれかこれか」という考え方で、
優先度の低いものを取り除いていくことにより、
本当に確保したい部分をキープできるわけです。

私自身も、意識的にそういった選択をしたわけではないのですが、
高校時代、学校の勉強を可能な限り手抜きしたことが、
気象予報士試験の短期合格につながったように思います。
学校の勉強をサボった代償は、その後の人生で支払う羽目になったのですが、
試験合格という目標達成のためには、最善の選択肢だったと言えるのです。

もちろん、勉強においては学習効率を高めることも大切です。
ただ、効率は無限に高められるものではないので、
受験期間を長引かせたくないのであれば、
絶対的な時間を十分に確保することは必須であると考えます。

受験勉強のために、趣味を中断することは辛いものですが、
これを原動力にして、受験生活を早く終えることができれば、理想的ですね。





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199、受験勉強再開のすすめ
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■私が気象予報士試験に合格して感じた事は、
> 「何事も諦めずに継続すれば必ず成就する!」という事です。
> 1年前に勉強を再開しなければ、勿論今回の合格は無かったわけです。


気象予報士試験の合格を勝ち取るまでには、長い時間がかかりますので、
何らかの事情で勉強を中断してしまった方も少なくないと思います。

もし、今も資格取得に意欲をお持ちであれば、
機が熟した段階で、受験勉強を再開されることをお勧めします。
勉強しなければ、決して合格できない試験であり、
資格取得までの距離は、受験勉強のみによって縮まります。

勉強の再開を図るうえで、まず取り組んでいただきたいのは、
以前の受験勉強がなぜ続かなかったかを分析されることです。
時間確保が上手くいかなかったのか、教材との相性が合わなかったのか、
その理由は、人それぞれだと思います。
継続できなかった理由を洗い出し、それを解決しておくことで、
合格まで受験勉強を続けられる体制を整えたいものです。

なお、今までの学習進捗にもよりますが、
勉強の再開においては、これまでの学習内容を一度リセットして、
1からやり直すという方法も有効だと考えます。

記憶した内容は時間とともに少しずつ薄れていきますので、
中断期間が長いと、以前の学習で得た知識は断片的なものになります。
記憶の隙間がどこにあるのかを探しながら、1つ1つ補強していくよりは、
全体を最初からやり直したほうが効率的だと思います。

ブランクが長いと、勉強の再開に対して不安があることでしょう。
ただ、10年前と比べますと、市販書籍の種類も多くなっていますし、
演習するための過去問題数も豊富になっています。
気象予報士試験の勉強をするための環境は良くなっていると言えるのです。




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200、疑問解決ノートを作ろう。
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人間の記憶力は曖昧なもので、昔に読んだ本・見た映画の内容についても、
よほど印象深いものでない限り、きれいさっぱり忘れてしまっています。
だからこそ、以前に鑑賞したことのあるものでも、
時間を空けると、新鮮味を感じることができるのですね。

勉強内容でも同じです。どんどん忘れていきます。
勉強を進めていく過程で、とても残念で悲しいことは、
「どの部分で疑問を感じたか?」ということ自体を、
忘れてしまっているということです。

結局のところ、勉強とは、「知らない」を「知っている」に、
「分からない」を「分かった」に、
「誤解している」を「理解している」に変換する作業です。
ですから、「知らない・分からない・誤解している」を意識したときには、
それを大事にしてやる必要があります。
そこが、「実力の伸びしろ」になるからです。
効率的に受験勉強を行える人は、こういった点をどんどん炙り出していき、
片っ端から解決できる人です。

とはいえ、人間の記憶力には限りがありますので、
生じた疑問をいつまでも鮮明に記憶することは困難です。
そこで、「疑問解決ノート」を作ることをお勧めします。
実は、これは私自身が気象予報士試験で用いた手法でもあります。

私が行った方法は次のようなものです。
勉強の途中で生じた疑問をノートの左側に書き連ねていきます。
例えば、「乾燥断熱減率と湿潤断熱減率は、なぜ値が異なるのか?」
などと書いておくのです。

ノートは賢いです。時間が経っても、書いたことを記憶しています。
このノートを時々見返して、解決した疑問については、
ノートの右側にそれを書き込んでいきます。
例えば、先ほどの疑問が解決した際には、
「飽和した空気がさらに断熱的に上昇すると、凝結の際に凝結熱を放出する。
この加熱効果により、湿潤断熱減率は必ず乾燥断熱減率よりも小さくなる。」
などと書き込んでおきます。
これで、自分だけの「Q&A集」が出来上がるのです。

こうして頭の中に生じた疑問をデータベース化しておくと、
どれだけ勉強が進んだのか、これから何を解決すべきなのかが、
しっかりと把握できるようになります。
一度解決した疑問を忘れてしまい、
その後、再び疑問に感じて、解決のために手間暇かける、
といった無駄を省くことができます。

今回のメルマガをお読みになって、「この方法は面白い」とお感じになった方、
ぜひ今からノートを作って、1ページだけでも書き込んでみて下さい。
ノート作り自体をお忘れにならないうちに。




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201、まず入門してみる
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「今年こそ気象予報士試験に挑戦しよう!」と心に決めても、
「勉強を続けられるかどうか不安・・・。」とお感じの方も多いかと思います。
実際の試験問題を見ると、すごく難しそうに見えるのですね。
もちろん、気象予報士試験が高い壁であるのは確かですが、
合格された方も最初は初学者だったわけで、
結局のところ、受験の荒波をくぐり抜けたからこそ、資格を取れたわけです。

ある世界において、「ほんの序の口」と見なされるようなことでも、
その世界を全く知らない人(門外漢)が眺めると、
「スゴい!」と感じることがよくあります。

一例を挙げましょう。私は楽器が全くできません。
高校でギターのテストがあったのですが、1音も弾けなかったほどです。
そうした楽器オンチの私が、ピアノを両手で弾いているのを見ると、
「なぜ左手と右手で異なる指使いができるのか?」と驚愕するのです。

しかし、実際のところ、曲を両手で弾くというのは、
習い始めて、あまり時間が経っていない子供でも練習しているとのことで、
ピアノを弾ける人からすると、別にスゴいことではないようです。
それでも、私のようにピアノ経験ゼロの人間からすると、
「両手でピアノを弾ける人」と「プロのピアニスト」との差よりも、
「ピアノが弾けない人」と「両手でピアノを弾ける人」との差のほうが、
大きいように感じてしまうのです。

確かに、「両手を使う」ということは、
パソコンのキーボードをほとんど見ずに、文字入力することと似ています。
これについては、私も我流とは言え、ある程度は習得していますので、
パソコン初心者の人に尋ねられても、
「少し練習すれば、できるようになるよ」と言えます。

気象予報士試験の勉強も似たようなところがあります。
全く勉強したことのない人が、受験生の勉強風景を見学すると、
とんでもなく専門的なことを学習しているように見えます。
しかし実際のところ、その内容はキチンと勉強を続けていけば、
3か月で到達できるくらいの水準だったりします。

このように、部外の立場にいると、
入門の壁がとても高く見えることがあります。
実際に入門してしまえば、その壁は決して高くは見えないので、
外から見たときだけに現れる蜃気楼のようなものかも知れないです。

気象予報士試験の勉強に興味があるなら、まず入門してみましょう。
書店でいろいろな本が出ていますので、立ち読みして、
自分に合ってそうなものを買ってみると宜しいかと思います。
本を読んでみて「自分には合わない」と思えば、止めてしまえばいいのであり、
「面白そうだ」と思えば、さらに進んでいけば良いのです。
門前で迷うよりも、まず門をくぐってから考えるということですね。




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202、試験で全力を発揮できる環境を作る。
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真剣に合格を志して勉強を続けてきた受験生にとって、
緊張や不安な気持ちを抱くことは、当然であると言えます。
しかし、緊張や不安に飲み込まれないようにすることは大切ですね。

試験日に思い通りの答案が書けた場面や、
合格発表日に合格を勝ち取った場面を思い浮かべて、
イメージトレーニングされると良いでしょう。
私自身も受験生時代、寝る前にこうしたイメージを思い描いていました。

試験まで残り1週間を切った今の時期においては、
いかにして実力を最大限発揮できるか、それを考えることが大切です。
風邪などを引かぬよう、体調管理も欠かせません。

また、試験会場において、最適の環境で受験できるよう、
ちょっとした準備をしておくのも良いでしょう。
今回は寒い時期の試験ですので、次のような例が考えられます。

教室に暖房が設置されていても、
その効き具合までは、事前に確認することが出来ません。
特に足下が冷えるといったことは、十分に考えられます。
そうなると、緊張感も加わって、トイレが近くなることが多いです。
トイレに行きたいのを我慢しながら、試験問題と向き合うというのは、
強いストレスがかかりますので、集中力の妨げとなります。
休憩時間には、意識的にトイレに行っておかれたほうが安心です。
また、足下の冷えを防ぐために、靴用・靴下用のカイロなどを、
事前に用意しておくのも、1つの方法だと思います。

逆に、暖房機の近くに、自分の席がある場合、
暑くて、頭がボーッとしてくる可能性も考えられます。
これに対しては、脱ぎ着しやすい服装で対処したいところです。
また、暖房が強い・温風がよく当たるといった場所では、
喉がカラカラしてくることも想定されます。
休憩時にお茶を飲んだり(飲み過ぎには注意)、マスクを着用するなどして、
乾燥から来る不快感に対応するのが良いでしょう。

自分の部屋で受験勉強する場合は、最適な環境を用意できますが、
試験会場は、必ずしも自分の皮膚感覚と合っているとは限りません。
そんな場合でも、事前にちょっとした備えをしておくことで、
自分に合った環境に近づけることができます。

これまでの受験勉強の成果が100%発揮できることをお祈りしています。





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203、「1問あたり4分間」の試験に挑むための方法
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基礎事項をしっかり学ぶことは、受験突破に必要不可欠です。
しかし、試験会場で問題を順調に解き進めるためには、
多くの過去問題に当たってみることも、大切です。

「基礎ができていれば、初めて目にした問題でも、
 思考を組み立てていくことができるはず。」
これは確かに、その通りだと思います。
例えば、第39回試験での一般・問4は、
水滴の併合成長に関する計算問題が出されました。
これまでに類のない問題内容だったと私は認識していますが、
併合成長に関する基礎知識が備わっていれば、
1つ1つ思考を重ねていくことで、正答を選ぶことができるはずです。

しかしながら、忘れてはいけないことがあります。
それは、「試験には制限時間が設けられている」ということです。
学科試験であれば、60分で15問を解かねばならないのです。
単純に平均すれば、1問につき4分しか与えられていないのであり、
瞬発力が要求される試験でもあると言えます。

こうした試験においては、出された問題に対して、
「既習感(=前に勉強した内容だ!)」をどれだけ持てるかが重要です。

例えば、第39回試験の一般知識試験でいえば、
問2は、平成13年度第2回試験の一般問3と考え方は同じ問題であり、
問7は、平成20年度第1回試験の一般問4の着眼点とよく似ています。
また、問8については、かなり古い問題ですが、
平成6年度第3回試験の一般問7と同じ内容の資料が出ており、
問われている事柄にも、共通点があります。

これらの問題に初めて対面する受験生と、
腰を据えて問題演習にじっくり取り組んだ受験生では、
どちらが正答に早くたどり着けるのかは、申し上げるまでも無いでしょう。

過去問題演習というのは、基礎学習で培った知識が、
具体的にどのような形で問われるのかを確認する場であり、
「知っている知識」を「使える知識」に発展させることが目的です。

かなり以前の過去問題集については、
新刊として入手するのが難しい場合もありますが、
古本という形で、できるだけ手に入れておきたいところです。
専門知識試験は、予報制度の変更や技術革新に伴って、
今では古くなってしまった問題も多いですが、
一般知識試験については、ほとんどの問題について、
現在でも演習に活用できると思います。




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204、合格発表前に、一歩抜け出す。
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気象予報士試験が終わって、合格発表が行われるまでの期間は、
受験勉強を行う意欲が低下しやすい時期です。
合格していれば、受験勉強の必要は無くなるのですから、無理もありません。

しかしながら、自己採点での感触から、
次回試験を受ける必要性を察した方は、早めの勉強再開をお勧めします。
他の受験生が一休みしているときにこそ、一歩抜け出るチャンスです。

試験直後に少しゆっくりするのは、良い息抜きになるのですが、
息抜きの期間が長くなってしまうと、それが当たり前になります。
つまり、それまで身に付いていた「勉強をする」という習慣が、
「勉強をしない」という習慣に変わってしまう恐れがあります。
勉強エンジンが冷え切ってしまうと、
再び燃焼させるためには大きなエネルギーが必要になります。
冷めてしまわないうちに、元に戻したいところです。

まず始めたいことは、今回の試験問題の見直しです。
すでに気象業務支援センターから解答例も発表されていますので、
どこで間違えたのかを詳しく分析していかれると良いでしょう。
中には「試験の結果が分かるのが怖いので、自己採点をしない」
という方もおられるようですが、試験攻略の点からはマイナスです。
誰でも良くない結果が明らかになれば、嫌な気持ちになりますが、
答案分析によって自分の実力を査定することから、勉強は始まります。
課題をあぶり出すことで、解決すべきものも見えてきます。

こうした分析を行えば、「基礎事項にあやふやな部分があった」とか、
「過去問題演習が十分でなかった」といった問題点が見えてきます。
基礎的な学習の必要性を感じた場合は、今から初夏を迎える時期にかけて、
集中的に取り組んでいかれると良いでしょう。
早い段階で基礎学習を固めることができれば、
問題演習を中心とした実戦的勉強にも、効率的に取り組めるはずです。

合格率5%の試験を征するためには、
受験生全体の中で上位5%に食い込むことが必要になります。
時間を味方に付けて、実力を高めていきましょう。




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205、合格でしか得られない感動がある。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 目に飛び込んできたのは「気象予報士試験合格通知書」の文字です。
>「うっそ〜〜!?」思わず大声が出て卒倒しそうになりました。
> 俄かに信じられずぐるぐる家中を歩き回り、
> 通知書を何度も何度も見直しました。
> ようやく落ち着き「間違いない!」と確信したのは、
> 藤田先生から届いていたメールを見てからです。本当に嬉しかったです。
> 今までの努力が実を結んだ瞬間でした。涙が溢れました。



卒業式において、学生らが学帽を一斉に投げ上げるシーンを、
テレビで目にすることがあります。
一生懸命に勉強した人ほど、この瞬間が感慨深いのだろうなと思います。

ちなみに、私自身は卒業式に出たかどうかも覚えていませんので、
どんな学生生活であったかは、ご想像のとおりです。
(だから、余計にうらやましいと感じるのです。)

資格試験の合格も「受験勉強の卒業」であると言えます。
もちろん、気象予報士試験合格が最終目的なのではなく、
気象予報士として活躍することを志す方も多いです。
しかし、試験合格によって大きな達成感を得られることは確かです。
いくら合格の先を見据えていても、合格までに要した労力を思い返せば、
合格を勝ち取った日を淡々と迎えられる人はいないはずです。

19歳の時に、私は自転車で奈良から北海道・宗谷岬まで行きましたが、
その途中で旅の達成感を味わわせてくれたのは、県境を示す標識でした。
滋賀県から野坂山地を越えて「福井県」の標識を通過するときは、
「いよいよ近畿地方から脱出するのか」と思いましたし、
土砂降りの中、国道101号線を走り続けて「青森県」の標識を見たときは、
「とうとうここまで来たか」と感じたものです。

県境といっても、実体は単なる地図上の線であり、
地元の人にとっては頻繁に行き来する場所に過ぎません。
しかし、自転車を押して山道を進んできた自分にとっては、
その標識こそが、大きな意味を持つものだったのです。

気象予報士試験合格は、長い道のりにおける大きな標識の1つです。
この場所に到達したとき、今まで勉強を続けて良かった、
途中で諦めないで良かった、と感じるはずです。

この試験の勉強に取り組むことの目的には、
「資格を得て気象予報士として活躍すること」と、
「気象を学ぶことの充実感」という2つがまず挙げられますが、
「難しい試験を突破することの喜び」も、加えて良いと思います。

面白いもので、短期間ですぐに合格できるような試験であれば、
合格に対する喜びは、それほど大きくありません。
何でもそうだと思いますが、簡単に得られないものほど、
それが手に入ったときの嬉しさは大きいです。

「そこに山があるから登るのだ」という有名な言葉がありますが、
「そこに難関試験があるから挑むのだ」と読み替えても良いでしょう。
登頂することでしか見られない景色があるのと同じように、
合格することでしか得られない感動があると私は思います。




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206、次の試験に向けて立ち上がろうぞ!
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気象業務支援センターが発表された情報によりますと、
第39回試験での合格者は150名で、
試験始まって以来、最も少ない人数でした。
また、合格率も4.0%と、第12回試験と並び最低水準でした。

もともと「狭き門」として知られる気象予報士試験ですが、
今回は、特に厳しい状況であったと言えます。
「受験生25人に対して合格者1人」という競争率は、
難関大学の入試でも、まず目にすることは無いと思います。

これは筆記試験全般に言えることですが、ある点数を合格点と定めれば、
僅か1点の違いで、合格者と不合格者が区別されることになります。
自己採点で、事前にある程度の手応えをお感じであれば、
不合格という現実を受け入れることに、
抵抗をお感じになる方もおられることでしょう。

しかしながら、試験結果が発表された以上は、
次の試験に向けて、立ち上がることが大切です。
ここで再び走り出すことができるかどうかで、
次の試験での結果が大きく異なってきます。

今回の試験で、150名の方が合格されたわけですが、
これはマラソンに例えると、1位〜150位の方に該当します。
一度合格された方は、基本的に再度受験されることは無いので、
次の試験での合格者の大半は、今回の不合格者から生まれるわけです。

単純な言い方をすれば、第39回試験で151位だった方が、
現時点では暫定1位ということになります。
これから、次回試験に向けて着実に実力を伸ばしていかれれば、
合格を勝ち取られる可能性が高いと考えられます。
しかし、不合格のショックで再スタートが出遅れてしまうと、
後から走ってきたランナーに抜かれてしまうことになるわけです。
気持ちの立て直しが、いかに大切であるかを示しています。

私は受験生だったときに、合格時期が試験1回分遅れることが、
すごく大きな違いのように感じました。
しかし、合格して年月が経つと、「微差」に過ぎないことに気付きました。
大切なのは、最終的に合格を手にできるかどうかということであり、
この違いは「大差」であると思います。




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207、早朝という時間を最大限に活用する。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■早朝しかまとまった時間は取れず、
> 子供が寝ている朝5時から平均一日2〜3時間の勉強をしました。


「朝型」「夜型」という言葉があるように、生活スタイルは人それぞれですが、
早朝学習で合格を勝ち取られる方は、わりと多いです。

私自身も子供のときから早く起きることが多く、
あまり褒められたものではないですが、朝に宿題をすることもありました。

気象予報士試験の勉強も、もっぱら早朝が中心でした。
夜はどうしても一日の疲れが溜まっていますので、
頭脳格闘を要する試験勉強が手に付かなかった記憶があります。
例えば、散らかっている書類を整理するなどの単純作業であれば、
少々眠くても、ダラダラ手を動かしていれば進むのですが、
「新しいことを理解する」「難しい内容を解きほぐす」といったことは、
眠気に襲われていると、上手く進みません。
そこで、睡眠によって心身をリセットさせ、
新鮮な頭で取り組める早朝を活用するわけです。

今日は4月1日ですが、これからの時期は夜明けも早く、
早朝学習の習慣を付けるのにも適しています。
外が明るくなっていれば、目覚めやすいですし、
冬のような厳しい冷え込みもないので、布団からも出やすいですね。
少し外に出て、朝の光と空気に包まれれば、
頭もシャッキリすることでしょう。

私は今でも早朝を活動時間に充てています。
今日はいつもより少し早く、4時40分に目が覚めました。
まだ誰も起きていないので、とても静かです。
こうした時間を活用して、答案添削や質疑応答に取り組んでいます。
そして、6時30分になれば、NHK第1放送をつけて、
ラジオ体操をすると、体もほぐれるというわけです。

電車で通勤・通学をされている方であれば、
朝早い電車に乗ることで、混雑を避けることができます。
満員電車に押し込められれば、文庫本さえ広げるのも困難ですが、
座席に腰掛けることができれば、受験勉強の時間を確保することも可能です。

こうして、早起きを習慣づけることができれば、
その時間を有効活用することが可能になります。
習慣化のコツを1つ挙げるとすれば、できるだけ早寝することです。
当たり前の話ですが、遅寝では早起きが辛くて辛くて大変です。
早起きとは睡眠時間の後半部を削ることではなく、
睡眠時間全体を前にシフトすることだ、と捉えていただければ、
早朝に気分良く目覚めることができるはずです。




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208、受験勉強のためのスマートフォン活用術
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受験生にとってのスマートフォンの魅力は、2つあると考えます。
 1:コマ切れの短い時間を活用できる
 2:「すぐやる」ための道具として活用できる

まず、1ですが、私も使っているアプリ「気象天気図」は、
アメダスやレーダーなどの気象庁発表の情報を、簡単な操作で閲覧できます。
例えば、温帯低気圧が日本付近を通過していくときであれば、
アメダス気温分布図で、寒冷前線通過に伴う気温の急低下を読み取り、
衛星画像で、低気圧の北側に広がるバルジを確認できることでしょう。

もちろん、書物などで基礎事項をじっくりと学ぶことは不可欠ですが、
学習内容を実際の資料で確認することも大切です。
しかしながら、パソコンの前でしか見られないのであれば、
そうした機会は少なくなってしまいます。
電車の待ち時間などで、スマートフォンを使って閲覧できれば、
それだけ気象資料に触れる機会も増やせるわけです。

次に、2です。
受験勉強で大切なことは、ちょっとした疑問が湧いたとき、
それを解決するためのアクションを即座に起こすことです。
このメルマガでも何度も書いていますように、
疑問の解決こそが、レベルアップの秘訣ですので、
分からないことが生じたときは、それを大切にすることが重要です。
例えば、気象庁の予報業務に関する疑問は、
気象庁ホームページで解決することも多いです。

もちろん、ウェブ検索では解消しない疑問も多いので、
その場合は、書物にあたったり、人に尋ねたりという形で、解決を目指します。
このとき、疑問点をすぐに記録し、一元化しておくことが大切です。
この作業を疎かにすると、疑問点そのものの存在を忘れてしまうからです。

スマートフォンにメモをしたり、パソコン用のメールに送信したりすれば、
疑問点を1箇所にまとめて管理することができます。
紙のノートで管理しても良いですし、電子データでも良いでしょう。
最近では、クラウドサービスを利用することで、1つのファイルに対して、
パソコンからもスマートフォンからも閲覧や編集が可能です。

スマートフォンのタッチパネルでの文字入力が面倒だという方は、
軽くて持ち運びに便利な折りたたみ式のキーボードをお勧めします。
私も使っているのですが、慣れればノートパソコン並みの文字入力が可能で、
しかも、無線での接続ですから、ケーブルをつなぐ必要も無いです。

こうした道具を使って、解決すべき疑問をキチンと管理できれば、
受験勉強をさらに効率的に進めることが可能だと思います。




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209、仲間からエネルギーをもらう。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> なかなか受からず自暴自棄になっていた時に励みになったのも、
> 諦めずに何回も受験された方の体験記でした。


人間は機械やコンピュータではありませんので、
受験勉強に対する意欲を、一定に保ち続けることは難しいです。
特に、気象予報士試験の受験生活は、わりと長くなることが多く、
「学習意欲の山と谷」を、多かれ少なかれ経験することになります。

大事なのは、「谷」の部分を、どうやって乗り越えるかです。
「谷」から這い上がれなければ、その時点で受験勉強は終了となり、
合格を勝ち取ることは、まず不可能になります。

こんなとき、自分で「何とかしなければ」と策を練ることも大切ですが、
受験仲間の存在によって助けられることもあります。
勉強における苦労について共感してもらえるだけで、気持ちが軽くなります。
不思議なもので、「大変なのは自分だけではない」と思うだけで、
肩に乗っかかっていた錘が取れたように感じることがありますよね。

また、心理的な面だけでなく、実利的な面でも、受験仲間の存在は心強いです。
時間確保の方法、問題演習の進め方、役に立つ小道具など、
自分の知らない手法を知ることができるチャンスです。
こうした情報交換は、「井の中の蛙」を防いでくれる場でもあります。
誰でも「自分の学習方法が最も優れている」と思いがちですが、
異なるノウハウを耳にすることで、自分の手法を客観的に見ることができます。

さらに、試験に合格された方と知り合うことも、
受験生活に2つのプラスがあると私は思います。
1つは、困難を乗り越えた方法を耳にできるということ、
もう1つは、「自分も合格できるはず」という気持ちが高まることです。

受験仲間も合格者も、直接に顔を合わせて話ができればベストですが、
文章を通じてメッセージを受けるだけでも、効果があると思います。
自分を動かしてくれるのは、直接的であれ間接的であれ、他人です。




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210、「黄金の1時間」を持つ
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> こんなチンタラ学習ではいつまで経っても受験できないと思い、
> いわゆる受験勉強を始めたのはリタイアした2010年秋ごろからです。
>   (中略)
> ふり返ってみますと他のことで忙しい時のほうが短い時間に集中して勉強でき、
> 効果も上がったような気がします。


私は「NHK特集 永平寺」という番組が好きで、何度も繰り返して見ています。
制作されたのが1977年(昭和52年)で、私が生まれる前のことです。
初めて見たのが中学校の授業だったと思います。
最近になって、NHKオンデマンドで昔の作品が見られるようになり、
その中に、この番組も含まれているのです。

雪深く、厳しい寒さの中で、夜も明けぬうちから修行が始まります。
一番印象深いのは、雲水の皆さんによる掃除の部分です。
全長900mに及ぶ廻廊をドタドタと走り回り、
全身を動かしての雑巾掛けは、まるで格闘技のようです。
集中して取り組むため、掃除のスピードは普通の人の3倍にもなり、
その後は、再び静かな修行の場に戻るのだそうです。

こうした「静」と「動」のメリハリの良さは、
番組を見るたびに、私も見習いたいと感じることです。
昔から、私には「ながら癖」があり、
学生時代の勉強は「テレビと一緒に」ということがよくありました。
大して頭を使わない軽作業であれば、それでも良いのですが、
これが勉強ということであれば、話は別です。
結局のところ、「時間はかかったけど、濃度は低い」という、
チンタラ学習になりがちです。

気象予報士試験の勉強も同じで、短くても集中した時間を持ちたいものです。
人間が休憩無しで集中できる時間は、1時間くらいだと思います。
でも、「1時間くらいなら確保できそうだ」という方も多いでしょう。

そこで、毎日1時間だけを受験勉強に充てることをお勧めします。
その代わり、1時間はピンピンに集中して取り組むことが大切です。
テレビも、動画サイトも、スマホも、菓子も、酒も、寄せ付けずに。
こうして、1時間を「黄金の1時間」にすることができれば、
受験勉強の効率をさらに高めることができると思います。




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211、試験3か月前からの学科試験学習法
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試験まで残すところ、約3か月となりました。
受験案内書の頒布も始まり、少しずつ試験日が近づいています。
今回は、学科試験の合格に向けた今後の受験勉強について書いてみます。

今後の受験勉強は、過去問題の演習が主体となります。
これまでの基礎学習で身に付けた知識が、
実際の問題でどのように問われるかを、
演習を通して、学んでいかれることが大切です。

そこで、勉強を進めていくためには過去問題を確保することが必須です。
気象業務支援センターのホームページでも、
過去3年分の問題と解答例をダウンロードできますが、解説はありません。
そこで、東京堂出版や気象業務支援センターから、
毎回の試験ごとに出ている問題集を用意されることをお勧めします。

書店で問題集を探してみますと、あちこちの試験問題から抜粋する形で、
1冊の書籍にまとめられた問題集も出ています。
こうした問題集は、「最初の1冊」としてはお手軽なのですが、
合格水準の実力を付けるためには、量的に十分ではないです。
学科試験の受験勉強であれば、一般・専門ともに、
少なくとも過去10年分は、演習していきたいところです。
そこで、試験ごとに出されている問題集のほうが適しているのです。

新品の問題集を1冊ずつ揃えていくのは、値段も少々張りますが、
中古品を利用すれば、安く抑えることも可能です。
ネット書店のAmazon(アマゾン)では中古品が売られていることもありますし、
ネットオークションでは、複数の問題集がまとめて出品されることもあります。

こうして問題集を揃えた後は、最低でも1週間に1年分のペースで、
演習を進めていかれると良いでしょう。
試験は年に2回行われますので、1年分とは試験2回分であり、
学科試験1科であれば、15題×2回=30題ということになります。
(学科2科の合格を目指している方は、週に60題の演習となります。)
これを10週間(2か月半)にわたって続ければ、10年分の演習ができます。

「30題の演習」とは、単に問題を解くことだけではありません。
むしろ、問題を解くこと自体は、勉強の取っかかりに過ぎず、
言葉を変えれば、「弱点・課題の洗い出し」をしているだけのことです。
洗い出された弱点・課題を、いかに解決できるか、
ここからが本当の意味での受験勉強であると言えます。

30題に取り組み、キチンと正答できなかった問題や、
まぐれで正答しただけの問題については、
周辺部分も含めて知識の補強を行う必要があります。
こうした学習を丁寧に行うことで、未来に行われる本試験に対する、
応用力を養うことができるのだと私は考えています。

なお、専門知識試験の場合、技術革新や制度変更に伴って、
今では演習に耐えられなくなってしまった問題もありますので、
この部分は受験勉強を進めるうえで、注意が必要です。




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212、試験があるから勉強にも力が入りやすい。
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中学生のときに、友人と冬休みを利用して5日間の旅行計画を立てました。
青春18きっぷ(JR普通列車・快速列車が1日乗り放題)を5枚使う鉄道旅で、
旅費を節約するため、宿には1泊もせず、全て夜行列車を使うという行程です。
特急列車や急行列車は使えないという制約の中で、
どうすれば充実した旅ができるか、時刻表をめくりながら計画を練りました。

旅の日程を組み立てていると、旅先の知識が増えてくるので、
ますます旅行が楽しみになってきます。
例えば、会津若松の「さざえ堂」についてガイドブックを読んでみると、
二重らせんの構造になっていて、上りと下りの経路が別々であり、
入口から出口まで他の参拝客とすれ違わない、といったことが書いてあります。
こんな変わった建物が、江戸時代に作られたということにも興味を引かれます。
実際には、記録的な大雪で路線バスが運休してしまったため、
さざえ堂を訪れることはできませんでしたが、
旅の計画は、旅そのものと同じくらい、ワクワクするものです。

人は未来を意識しながら生きています。
別の言い方をすれば、予定を立てることによって、
進むべき方向がより明確になるように思うのです。

気象予報士試験の勉強を始めて間もない方から、
「次の試験は受けたほうが良いのだろうか」と相談を受けることがあります。
費用面で許せるのであれば、私は受験することをお勧めしています。
たとえ、学科試験1科の合格さえ厳しい場合であっても、です。

書類を整え、受験手続きを進めることで、
「試験まで残り○○日だ」と意識するようになります。
普段の勉強でも、試験での出題を念頭に置くようになります。
当日の試験会場では、張り詰めた空気が漂っていることに圧倒され、
制限時間内で問題を解かねばならない厳しさを実感します。
こうした感覚は、実際に受験しなければ、なかなか分からないものです。

気象予報士試験の勉強歴が短い受験生の中には、
試験に対して、甘めの(楽観的な)認識を持つ方もおられます。
しかし、実際に受験されることで、合格への壁の高さを肌で感じ、
勉強に対して、より力が入るようになることも多いです。

「全ての受験勉強を終えてから試験を受ければ、
 受験回数を最小限に抑えられ、受験料も節約できる。」
という考え方は一見合理的ですが、実際の成功例を耳にしたことは無いです。
やはり、いつ受験するか分からない状況において、
受験勉強を継続的かつ意欲的に取り組むのは難しいのだと想像します。

近い時期に試験を受けねばならないという状況だからこそ、
それが良い意味での緊張感をもたらし、
気持ちを勉強に向かわせることになるのだと思います。




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213、一歩踏み出すことで、変わる。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> きっかけは、腰痛でした。
> ひどい時は通勤にも支障が出るような状況で、
> 恒例としていた年一回のフルマラソン参加も断念、
> 軽い運動もできない時期が続きました。
> 趣味といえばスポーツぐらいでしたので、
> 休日を無為に過ごすことが多くなりました。
> 1年ぐらい過ぎた頃、これではいかんと思い始め、
> いろいろ考えた末、この機会に資格試験に挑戦してみようという気持ちに。
> ただ、気分転換も兼ねたいので、
> 仕事とは全く関係ない分野で趣味的な要素も満たすものを…
> と思案していたところ「気象予報士」が浮上してきました。


気象予報士を志すきっかけは、人によってバラバラです。
最初からプロ志向(就職・転職)という方もいれば、
趣味や気分転換という形で勉強を始める方も多いです。
私の場合は、小学生のときから天気や宇宙が好きだったので、
趣味の延長線上という形で、資格試験に挑戦したタイプです。

気象予報士試験に興味を持つ方は多いと思いますが、
実際に資格を手にできる方は、それほど多くありません。
平成24年度に行われた2回の試験で、合格を勝ち取られたのは320人です。
(データは、一般財団法人気象業務支援センターのホームページより)
ちなみに、平成24年度における、社会保険労務士試験の合格者は3650人、
行政書士試験の合格者は5508人です。
(データは、社会保険労務士試験の公式ホームページと、
 一般財団法人行政書士試験研究センターのホームページより)

また、平成25年6月1日の時点で登録されている気象予報士が8774人です。
(データは気象庁のホームページより)
気象予報士が「稀少」であることは言えると思います。

テレビで活躍する人気キャスターも多く、
この資格に興味を持つ方も少なくないはずです。
そのとき「ちょっと調べてみよう」というアクションを起こせるかが、
将来に資格を取れるかどうかに関係してきます。

一般的には「理系の試験」と認識されていますが、
問題を解くために要求される数学は、中学校〜高校1年で学ぶ内容が多く、
受験勉強を頑張れば概ね克服できる、というのが私の認識です。
また、実技試験は文という形での解答が大半ですので、
作文力の高い受験生のほうが有利であると言えるのです。

「勉強を始めようか、どうしようか」と迷っていても、
その時点では情報量が乏しいので、なかなか答えは出ないもの。
迷い続けるまま、時間だけが過ぎるのは勿体ないことです。
そこで、まず書店で試験対策本を適当に1冊買ってきて、
自分に合うか合わないかを試してみるのも、1つの方法です。
実際の問題を目にし、「こういう勉強をするのか」と知ることができれば、
自分に合っているのかどうかも分かりやすいです。
合っていれば続ければ良いですし、合わないなら撤退すれば良いのです。

興味を持って勉強ができそうであれば、
受験勉強のための環境を整えることが大切です。
「日曜日の午前中は、必ず机に向かう」とか、
「通勤電車の中で座って本が読めるように、30分早く家を出る」など、
時間や空間の確保をすることで、勉強にエネルギーを投入できます。

また、長期間にわたって受験勉強を続けるためには、
興味を持って取り組むことが理想的です。
意欲的に勉強できるかは、学習課目との相性もありますが、
一番大切なのは「分かる!」「解ける!」という実感です。
勉強は上手く進むと、面白いと感じられます。
例えてみれば、「ランナーズハイ」に近いのかも知れません。
「楽しみながら全力疾走する」これが合格の秘訣だと思います。




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214、課題は細切れに分割して取り組む。
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試験日が少しずつ迫ってくる中で、
「受験勉強に取り組まないと!」と焦りを感じながらも、
思うように取りかかれない方もおられると思います。

「一般知識試験の勉強を頑張るぞ!」と決意した受験生も多いと思いますが、
目標がこれだけだと、受験勉強を続けるのは難しいです。
なぜなら、攻略すべき対象物が大き過ぎるので、
「何か大変そうだ・・・。」と感じてしまい、やる気が持続しにくいからです。
また、目標が漠然としていて、「何から手を付けて良いのやら・・。」
という気持ちにもなりがちです。

こういった場合は、取り組むべき課題を細かく分割することをお勧めします。
例えば、「一般知識試験の勉強を頑張るぞ!」については、
「大気の熱力学の勉強を頑張るぞ!」とか、
「降水過程の勉強を頑張るぞ!」などに分割すれば、
行うべき学習内容が少しずつ明確になってきます。
しかし、この程度の分割では、まだ不十分です。

もし、大気の熱力学の勉強についてであれば、
「気圧」「絶対温度」「気体の状態方程式」「熱力学第一法則」
「比熱」「空気塊の断熱変化」「温位」「相当温位」などといった感じで、
トコトン細切れに分割してしまうのです。

そうすれば、1つあたりの勉強量(時間と労力)は、少なくて済みます。
小さな労力で、1つの課題を解決することができるわけで、
こうした「課題を1つクリアしたぞ!」という達成感が大切なのです。
小さな一歩でも、着実な進捗感が得られれば、
次に進む足取りは少し軽くなるはずです。

例えて言えば、「1tの砂を運べ」という仕事を与えられたとき、
1kgずつ1000回に分けて運べば良い、と考えて実行するのと同じです。
大きな砂山を前にして、「むむむ、1tの砂を運ぶのか・・・。」
と腕組みして考え込んでいるだけでは、いつまで経っても片付きません。
しかし、手強い敵もバラバラに分割してしまえば、弱体化できます。
それを1つずつ潰していけば、やがて大目標を達成できるはずです。




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215、自分のための「勉強基地」を用意する。
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作家の佐藤優さんが東京拘置所に512日間拘留されたとき、
膨大な量の書物を読み耽り、62冊ものノートをまとめられたそうです。
また、幕末の思想家・吉田松陰は、野山獄にて孟子の講義を行いました。
人が勉学に取り組むのに最も適した場所は、
外部とのやり取りが厳しく制限された空間なのかも知れません。

勉強を効率的に進めるために大切なことは、集中力です。
本を開いてから10分ほど経つと、無意識にスマホをいじっている、
ついテレビのリモコンに手が伸びてしまう、といったことでは、
学習密度が低下してしまいます。
そこで、集中した場を持つための「勉強基地」を持つことが大切です。

私は京都へ出かけたときに、時間貸しの自習室を使ったことがあります。
大学受験や資格試験の勉強のために利用している方が多いようで、
ピンと張り詰めた空気が漂っていました。
こうした環境だからこそ、自習室に入ることで、
頭を「勉強モード」に切り替えやすいと感じました。

たいていの自習室は月極での利用が基本となっているようですが、
10日間限定というコースや、回数券方式が導入されているところもあります。
また、荷物を預けるロッカーを利用できるところも多く、
これを活用すれば、参考書や問題集を持ち歩く必要も無いです。
(本というのは、意外に重いですからね。)

ただ、こうした自習室は有料で貸し出されるものであり、
立地条件や設備などによりますが、
1か月あたり1〜2万円くらい要するところが多いです。

公立図書館で勉強場所を確保できるのであれば、経費はかかりませんが、
最近は自習が禁止されている図書館も目立ちます。
もちろん、自習OKの図書館が見つかれば、それに越したことは無いのですが、
そういった場合、朝から行列ができて、席の争奪戦になることもあります。
有料自習室の月極利用であれば、席取りにエネルギーを取られることも無く、
公立図書館よりも利用可能時間が長いところも多いです。
図書館の場合、早ければ夕方で閉館してしまうところもある一方で、
自習室は夜11時頃まで利用できる場合が多く、
「会社帰りに利用する」といった使い方が可能です。
また、朝は6時頃から利用可能な自習室もあり、
この場合は「出勤前の勉強」といった使い方もできます。

1か月あたり1〜2万円という自習室料金は、決して安くありませんが、
有料だからこそ「勉強に専念できる環境」は整っているように思います。
また、月極で利用料金を支払うことにより、
「できるだけ長時間利用したほうが得」という心理が働き、
勉強習慣の確立を手助けする効果があるとも言えます。
一方、利用期間が長くなるほど、経費がかさむことになりますから、
「早く結果を出して、ここから卒業しよう」という気持ちにもなります。
このように、敢えて費用をかけることにより、
受験勉強に対するモチベーションを維持・向上させるという一面は、
決して軽視できないと思います。




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216、出題予測をする時間があれば、過去問題演習に励む。
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「次の実技試験では何が出題されるのだろうか?」
多くの受験生が気になるところです。

過去4回の試験内容(再試験を除きます)について調べてみますと、
いずれも前年度の事例が出されたことが分かります。
(下記の年月日は、出題された資料の初期時刻を示します。)

■第36回試験(2011年8月実施)
 ・実技1:2010年7月11日
 ・実技2:2010年12月2日

■第37回試験(2012年1月実施)
 ・実技1:2010年12月31日
 ・実技2:2010年8月8日

■第38回試験(2012年8月実施)
 ・実技1:2011年7月4日
 ・実技2:2011年9月20日

■第39回試験(2013年1月実施)
 ・実技1:2011年12月3日
 ・実技2:2011年5月28日

こうした傾向を考えますと、第40回試験・第41回試験では、
2012年度の事例が出題される可能性が高いです。

ですから、この時期の天気図に目を通しておかれることも、
1つの試験対策として挙げられると思います。
大きな気象災害が発生した事例については、気象庁による資料もあります。
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/index.html

第36回試験〜第39試験の8題のうち、
上記の気象庁資料と時期が重なっているものが2つありますので、
こうしたものに目を通しておかれることも良い勉強だと思います。

ただし、事前に確認した資料と同じ事例が出題されたとしても、
どれだけ得点に結びつくかについては未知数です。
結局のところ、問題文を読んで題意を把握し、
資料から解答要素を探り出し、解答要素を答案文にまとめるという過程は、
地道な過去問題演習の積み重ねでのみ培われると私は考えるからです。
実力があれば、初見であっても問題は解けるはずですし、
そもそも、現場で活躍する気象予報士は常に初見の資料と向き合っています。

むしろ、別事例であっても、似たテーマの過去問題で勉強を重ねるほうが、
本試験の対策として有効であると考えます。
例えば、第38回試験の実技2における問3(2)3の問題は、
第32回試験の実技2における問4(2)の問題と、よく似ています。
また、同じく第38回試験の実技2における問4(2)の問題は、
第32回試験の実技2における問5(4)と思考パターンに共通性があります。

出題の予測にエネルギーを費やすよりも、
みっちりと過去問題に取り組むことが、合格への近道だと確信しています。




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217、試験直前に何を勉強するか。
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試験が目前に迫った時期は、これまでの復習を中心とした学習をお勧めします。
特に、暗記が求められる分野については、直前の確認が大切ですね。

一般知識試験であれば、「法規」を真っ先に挙げます。
問題数が多いうえに、知識の有無が正誤のカギを握ることが多いからです。
条文を丸暗記する必要性は低いと思いますが、
内容をしっかりと把握しておくことは、とても大切です。

法規の内容を、「読んで復習する」というのも1つの方法ですが、
「書いて復習する」という方法もあります。私も受験生時代に行いました。
ただ目を動かすだけでなく、手も動かすことで、
理解が深まるのではないかと考えたのです。
お勧めしたいのは、条文の意味や内容を変えない範囲で、
自分なりに分かりやすく書き直し(リライト)をしてみることです。
日常的な文章と異なって、法規の文章は読みにくいことも多く、
ただ漠然と書き写すだけでは、単なる作業になってしまう恐れがあります。
自分なりに内容を咀嚼したうえで、分かりやすく書き直せば、
その過程で内容を深く理解できるように思います。

専門知識試験や実技試験においては、
注意報・警報の名称や内容の確認をお勧めします。
防災情報に関する問題は、両試験においての頻出事項です。
気象庁は数多くの警報や注意報を発表していて、
特に注意報は種類がかなり多いです。
これらの名称を頭に入れることはもちろんのこと、
どういった状況のときに、その警報や注意報が発表されるかについても、
キチンと整理しておかれることが大切です。

また、実技試験においては、天気図に出てくる記号の確認をお勧めします。
国際式天気記号や雲の記号は、種類がとても多く、
全てを完全に覚えてしまうことは、相当なエネルギーを要します。
ですから、過去に出題されたものを中心に覚える、という形で、
優先順位を付けながら、確認を行っていかれると良いでしょう。

また、前線の作図問題の際に、前線記号の作図も要求される場合がありますが、
このときに、停滞前線や閉塞前線の記号に気を付けたいものです。
両方とも、半円と三角の記号が組み合わさっていますが、
両者の位置関係を正しく認識しておかれることが大切です。
(半円と三角の記号が逆に並んでいると間違った記号になってしまいます。)
気象庁のホームページで、天気図が公開されていますので、
こうした資料を見ながら、確認しておきたいところです。




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218、実技試験合格のために必要なこと
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8月試験から1月試験までの期間は5か月程度と短く、
秋が深まるとともに、試験日がどんどん近づいてきます。
なるべく早い段階で基礎事項の学習を終え、
問題演習を中心とした実践的学習を進めていきたいところです。

さて、今回は実技試験の攻略に関する話題です。
実技試験の実力を決定する要素には、3つあると考えています。

1.学科試験の範囲における知識を持つこと
2.問題文から題意を正確に掴み、解答要素を見つけること
3.見つけた解答要素を、答案という形に仕上げること

3は誰もが重要だと認識しているはずですが、
実際のところ、適切な答案作成を行うためには1と2が不可欠です。
つまり、1と2を軽視したまま、3の勉強を進めていると、
「努力したわりに得点が伸びない」といったことになります。

学科試験と実技試験は、解答形式も異なるので、
「別次元の試験」と捉える方もおられるかも知れませんが、
私は「学科試験の延長線上にあるのが実技試験」であると認識しています。
簡単に言えば、知識の有無が問われるのが学科試験で、
知識の活用を問われるのが実技試験だということです。
ですから、「大気の熱力学」や「防災気象情報」など、
実技試験と密接な関係のある学科科目については、
合否に関係なく、復習を行っておかれることが大切です。

2についても、とても大切なことだと私は認識しています。
的確な解答要素を見つけるためには、正確な題意の把握が重要です。
何を解答すべきかを十分に捉えられていなければ、
「問われていないことに、解答している」、
「問われていることに、解答していない」といったことになります。
問題文をしっかり読んで、正確に題意を掴むことによって、
出題者の意図した解答に近づけるということです。

「実技試験の問題を解く」というプロセスをまとめると、次のようになります。
A:問題文を熟読し、題意を把握する。
B:資料から解答要素を見つけ出す。
C:解答要素を答案という形でまとめる。

このA→B→Cの過程を限られた時間内で行うことが、
実技試験合格のために要求されます。
勉強を始めた当初は、思考過程に無駄が多いので、
1題を解くために、相当に長い時間(2〜3時間)がかかってしまいます。
しかし、丁寧な演習を重ねることで、思考過程の無駄は少なくなり、
解答までの時間は少しずつ短縮されていきます。
こうした学習のためには、まとまった時間を要するので、
試験前の早い段階から、勉強をお始めになるほうが有利だということです。




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219、1日90分を続けてみる。
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気象予報士試験合格までには、どれくらいの時間を要するのでしょう?
合格体験記を見てみますと、こういった数字が出てきました。

> ■今回を含め勉強時間はおよそ通算で1000時間程度以上と思われます。
> ■総勉強時間 : 1,144時間
> ■単純計算ですが、延べ1,600時間以上は受験勉強に費やした事になります。

合格までに要する時間は、かなり個人差が大きいですが、
共通しているのは、総勉強時間が4桁、
つまり1000時間を超えているということです。

ここで、合格圏に達するための総勉強時間を、仮に1500時間と考えます。
こういった膨大な数値を目の前にすると、
試験直前だけ猛烈に勉強しても、良い結果に繋がりにくいことが見えてきます。

例えば、試験直前の1か月間に、毎日8時間の勉強を重ねても、
総勉強時間は、240時間にしかなりません。
「毎日8時間の勉強」とサラッと書きましたが、
これだけの長時間にわたると、集中力の低下は避けられないので、
高い勉強密度を維持することも難しいです。

また、オーバーワーク(無理な受験勉強)が続くと、
試験後はその反動で勉強が手に付かなくなることがあります。
勉強のブランクが生じると、蓄えた記憶は薄れてしまうため、
学習再開時は、その穴埋めに大きなエネルギーを要することになります。

つまり、「試験直前の猛勉強→休み→試験直前の猛勉強」を繰り返しても、
「合格圏よりも下で、実力が乱高下する」という状態になりかねず、
努力が結果に繋がりにくい学習パターンであると私は考えるのです。

試験直前で、打ち上げ花火のように一気にパワーを爆発させる必要は無く、
大切なのは、木炭のように長く長く燃え続けることです。
継続学習を行わないと、気象予報士試験の範囲をカバーできないからです。

例えば、忙しい一日の中で、90分だけ勉強時間を確保できたとしましょう。
大学の授業でいえば、ちょうど講義1コマ分であり、
テレビ番組なら、30分のニュース番組と1時間のドラマを合わせたくらいです。
90分というのは、決して長い時間ではありませんが、
毎日90分を1年続ければ、約540時間になります。
すると、3年で1500時間を突破する計算になるわけです。

もし、土日祝に関しては普段の90分に、
ボーナスとして、さらに90分を追加できれば、
1年での勉強時間を700時間程度まで伸ばすことが可能です。
この場合であれば、2年あまりで1500時間を超えることになります。

もちろん、勉強量は勉強時間だけで計れるものではなく、
集中力によって高い勉強密度を確保することも大切です。
ただ、勉強密度はいくらでも高められるものではないので、
一定以上の時間をかけることは不可欠であると言えます。

大人の受験勉強の世界は「勉強するも、しないも、あなたの自由」であり、
この大きな「自由」こそが、受験勉強の妨げにもなりかねません。
自分で計画を立て、着実に実行できるためにどうすれば良いかを考え、
自分を動かすための仕組み作りをすることが、大切だと思います。




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220、受験勉強は「合格」で締めくくりたい。
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気象予報士試験の受験に失敗はつきものです。
これまでに当塾を経て合格を勝ち取られた方は100人以上に及びますが、
そのうち、一度も不合格を経験することなく、
合格証を手にされたのは、お一人だけだったと記憶しております。

私も2度の不合格を経験しましたが、
それでも、自分自身が幸運だったと振り返っています。
200人収容の大教室が試験会場になっていたとき、
そのうち約190人が不合格になってしまうほどの「狭き門」なのですから、
これを攻略するのは、簡単なことではありません。

何度かの不合格を経ることは「通過儀礼」のようなものですが、
そうは言っても、実際に不合格通知書のハガキが手元に届けば、
気分はかなり落ち込むものです。
私自身も「このまま勉強を続けていても、試験に受からないのではないか」と、
真剣に心配したことを、鮮明に覚えています。

そんな当時の自分に、私は言いたいのです。
「ここから立ち上がらないと、合格は勝ち取れないぞ」と。
合格を諦めた段階で、合格の可能性はゼロになります。
たった2回の不合格で、大きく凹んでいた私には、
何度倒されても再び立ち上がった方々の姿に力強さを感じるのです。

> ■初めて受けた気象予報士試験が平成7年度第2回試験。
>  それから足かけ17年での合格となりました。
> ■合格までの道のりはとても長いものでした。試験の受験回数は実に9回。
> ■私は10回目の受験勉強で藤田塾に出会い、そして成功しました。
> ■鬼門であった一般知識に8回目にして合格できました。
> ■第25回試験から第34回試験まで計10回受験しました。
> ■11回かかりました。もっと藤田塾に早く入会していれば・・・
> ■最初に勉強を始めてから合格まで足掛け13年かかりました。
> ■私は8回も試験を受験しました。その間、辛いことも沢山ありましたが、
>  諦めずに勉強を続けて本当に良かったです。
> (以上、当塾を受講された方の合格体験記より)


もちろん、「合格するまで諦めない」というのは、
単に惰性で受験を続けることではありません。
受験の成否には運もあると思いますが、「方法」という面も大きいです。
正しい勉強のやり方は決して1つだけではありませんが、
その一方で、明らかに非効率と言えるような方法も存在します。

もし、かけた時間と労力に見合った結果が伴わない場合、
「学習の方法に課題があるのではないか?」と自らを省みて、
受験勉強の戦略を抜本的に改めてみることも、1つのやり方です。

合格に至るまでの時間には、大きな個人差があるのは事実ですが、
気象予報士を志す強い気持ちがあるのならば、
「合格」という形で受験勉強を締めくくって欲しいと願っています。




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221、自分自身に投資する。
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新聞を広げても、銀行へ行っても、
最近は「NISA」という文字をよく目にします。
投資金額100万円分までであれば、
株式投資などにかかる運用益が非課税となるのだそうです。

証券業界の読者様には「ごめんなさい」なのですが、
受験勉強を抱えておられる方には投資活動をお勧めできないです。
株価の変動が気になって、気持ちが落ち着かなくなる恐れがあるからです。
私も実際に株を買ったときに実感したのですが、
たとえ10万円〜20万円の少額投資でも、日々の値動きに敏感になります。

特に、短期的に売買を繰り返す投資スタイルの場合、
市場が開いている9時〜15時の時間帯は、気持ちがソワソワします。
私自身、トイレの中で携帯電話を開いたことが何度あったことか・・・。

市場が開いていない夜間であっても、
今度はニューヨーク証券取引所での状況が気になります。
翌日の東京証券取引所での値動きに大きな影響を与えるからです。

私が投資熱を上げたのは、20代前半の頃ですが、
結果として60万円くらいの損を出しました。
投資を止めてから、すでに10年ほど経ちますが、
それ以来、株式や投資信託の売買は、一度も行ったことがありません。

株券を購入した後、何年も所有するつもりの長期投資であれば、
日々の株価の動向は、あまり気にならないかも知れません。
しかし、短期的な売買で利幅を獲得しようという投資スタイルの場合、
値動きが気になって仕方が無い、というのが私の実感です。

もちろん、上手く頭を切り換えられる方も多いと思いますが、
私と同じような気持ちになる方もおられることでしょう。
ですから、受験勉強に限らず、何かに集中したいことがある場合、
株価の動向で頭が一杯になるような投資スタイルは、
お勧めできないというのが、私の正直な意見です。

投資というと、金融商品や不動産を連想しますが、
自分のために受験勉強をするのも、投資の1つだと思います。
ここでの「投資」とは、金銭的なものだけでなく、
むしろ、時間や労力といった側面が大きいですね。

長期間の受験勉強の結果として、資格を取得できれば、
投資によるリターンが得られることを示します。
さらに、就職や転職を希望される方が、資格取得で目標を叶えられれば、
もっと大きな投資成果をあげることを意味するわけです。

私が出した運用損失60万円を悔やんでも仕方が無いのですが、
2,000円の本が300冊も買えることを考えると、
やっぱり勿体なかったなあと思います。




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222、短くとも良質な勉強時間を確保する。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> やる気が出ない時や仕事が立て込んでいる時は、問題演習を諦めました。
> 「疲れきった頭で嫌々取り組んでも効果は薄い」と
> 自分を正当化してしまったのですが、
> これが燃え尽きることなく続けられた理由だと思います。


私が中学生だったときに、教室で英語の先生がこう問いかけました。
「眠くなったときは、どうすれば良いのか?」
皆が黙ったままの中、先生はこのように続けました。
「眠ければ、寝るしかないんだ。」

コンディションが悪いときに無理に勉強を続けても、
それに見合った効果は期待できないのであり、
眠気のない新鮮な頭で学習に取り組むことが大切だ、ということです。

「4当5落」という言葉に示されているように、
(→受験に勝つためには、4時間睡眠で無ければならないという意味です。)
眠い目をこすりながら、ひたすら机に向かうという姿は、
多くの人が持つ「受験生」のイメージだと思います。

しかし、眠くてどうしようもないときに、参考書をかじりついても、
内容を解釈する能力も、それを記憶する能力も低下した状態では、
勉強の効果は薄いと言わざるを得ないです。

ガムを噛む・顔を洗う・冷たい水を飲む・外の空気を吸う、
眠気を解消させようとする方法はいろいろありますが、
寝ることに勝る眠気解消法は無いですね。
特に、目覚まし時計をかけずに目を覚ましたときの感覚が一番です。

例えれば、頭が乾いたスポンジのような状態のときに取り組めば、
グングンと水を吸い上げていくように、頭に入ります。
逆に、すでに水でグジュグジュのスポンジのような状態では、
「やるだけ時間の無駄」なのであり、
そこで成すべきことはただ1つ、すぐに横になって寝ることです。
私の経験から申し上げると、眠いときの2時間勉強は、
新鮮な頭での20分間勉強よりも成果が小さいように思います。

眠気と格闘しながら机に長時間向かっていても、十分な効果が出ないので、
当然ながら、試験は上手くいかない可能性が高いです。
「あれだけ頑張ったのに成果が出ない。
 ということは、自分には気象予報士試験合格は無理なのだ。」と、
妙な悟り方をしてしまいかねません。

眠気に限らず、コンディションの悪いときの受験勉強は、
体にとっても心にとっても、苦痛でしかないはずです。
気象予報士試験は、継続がものを言う試験ですので、
継続を妨げるような勉強法は、最も成果の出にくい方法です。
「1日何時間勉強する」ということよりも、
短くとも良質な学習時間を確保することを、心がけることが大切です。




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223、合格者の足跡から学ぶ。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 合格体験記は非常に心強かったです。
> 状況や悩みが似ている人の体験記は打ち出して手元に置いて何度も読みました。


合格を勝ち取られた受講生の皆様に、私が必ずお願いしていることがあります。
それは、合格体験記を書いてもらうことです。
おかげさまで、多くの合格者の皆様にご快諾をいただき、
体験記を執筆してもらっています。

私自身も試験合格者であり、自分自身の受験経験をメルマガに書いたり、
授業内でお話ししたりしてきました。
しかし、私が合格証を手にしたのは、すでに20年近く前の話です。
最近の試験で合格を勝ち取られた方の体験記のほうが、
受験生の皆様にとって役立つに決まっています。

それに、受験経験の事例は多ければ多いほど良いのです。
なぜなら、自分に照らし合わせて体験記をお読みになる方が多いからです。
受験生を取り巻く環境や、受験生が持つ課題・悩みは、一人一人異なります。
掲載されている合格体験記の数が多ければ、
自分と似た環境や課題を持つ人の体験記を見つけ出せる可能性が高いです。
そして、その体験記を糧にして、あるときには防波堤にして、
受験生活を乗り切っていくわけです。

このメルマガをお読みになっている方の中には、
一人で受験勉強を進めている方もおられるでしょう。私もそうでした。
受験者数がそれほど多くないので、受験仲間がいないのは珍しくありません。
調子の良いときは、一人で勉強するのも平気なのですが、
長い受験生活では不調の時期を迎えることもあります。
思うように勉強が進まないときもあるのです。
そんなときこそ、合格体験記をお読みになることをお勧めします。

寄せられた数多くの合格体験記を読んでいますと、
何の苦労も無く合格できた方など皆無であることがよく分かります。
むしろ、スランプや挫折を経験された方が目立ちます。
しかし、そういった方々が「合格」体験記を執筆されているということは、
そこから這い上がり、立ち上がられたからなのです。
その過程・ノウハウを学ばれることは、受験生の皆様にとって貴重なことです。

もちろん、合格を勝ち取られた方と直接に話をする機会があれば、理想的です。
でも、そういった機会が無かったとしても、
体験記を通して、合格者からのメッセージを受け取ることができます。
文章であれば、何度も繰り返して読めることも利点ですね。
一人で勉強していても、決して独りでは無いことに勇気づけられるはずです。




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224、実技試験の演習をどこまでやるべきか。
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次の試験まで残り2か月となりました。
今までよりも勉強時間を増やし、問題と格闘されている方も多いことでしょう。
過去問題演習の充実度で、実戦力は養われます。

その過去問題演習ですが、実技試験に関しては「過去7〜8年分」を、
標準的な演習量の目安として、以前から何度も提案してきました。
実際に当塾を経て合格される方の演習量も、これと大きな違いは無いようです。

過去7〜8年と言わず、10年でも15年でも遡れば、なお良いようにも思えますが、
私は、あまりお勧めしていません。

実技試験の問題演習を1題行うためには、かなりの労力と時間を要します。
もし、「解いた後、解答を確認する」だけの作業であれば、
全体として2時間もあれば片付くでしょう。
しかし、それは「勉強」ではないと私は思っています。

答案に赤ボールペンで○×を付け、
解答例を書き写す程度の作業で終わっていれば、
時間を空けて、同じ問題に取り組んだときに、
同じ箇所で同じ誤答を繰り返してしまう恐れが高いです。
それは、試験会場で同種の問題が解けないことに直結します。

問題を解き、その正誤の確認を行うこと自体は、
現時点での自分の「実力査定」を行っているだけに過ぎません。
こうして明らかになった課題を1つずつ潰していく過程こそが「勉強」であり、
これを丁寧に行うことで、実力を伸ばしていくことができます。

知識量・問題文の読解・資料の読み取り・作文や作図の技術など、
誤答の理由はいろいろあります。
1つ1つの問題に対して、「なぜ間違ったのか」を分析し、
「どのようにすれば正答できるか」を考えていかれる必要があります。

こうした一連の頭脳格闘こそが、過去問題演習なのであり、
1題をやり潰すために要する時間と労力は相当なものです。
過去7〜8年分の問題に取り組むということは、
こうした演習を約30題も行うことを意味します。
さらに、実力が付いているかを確認するために、再演習することを考えれば、
ますます多くのエネルギーを投入する必要があるわけです。

しかし、こうした丁寧な演習を行えば、
知識と技能は着実に血肉化すると私は確信しています。
過去7〜8年分、つまり約30題の演習によって、
相当に多くの事例について学ぶことができるのであり、
本試験に対応するための学習量として、不足は無いと考えています。

こなす題数を単純に増やしたところで、得られるものは少ないのであり、
30題の演習をどれだけ充実させるかが大事だということです。




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225、学科試験の演習をどこまでやるべきか。
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前回のメルマガでは、実技試験の過去問題演習について書きましたので、
今回は学科試験の過去問題演習について書いてみます。

実技試験の演習範囲は「過去7〜8年」を推奨していますが、
学科試験の場合は、基本的に演習量が多いほど良いと考えています。
もちろん、1問ずつ丁寧に演習することを前提とした話です。

ここで、具体的な例を挙げましょう。
先日に行われた平成25年度第1回試験の一般知識問9について、
「どこかで見たことがある」とお気づきになった方は、
かなり問題演習の充実度が高いと思います。

実は、この問題は平成6年度第3回試験の一般知識問8の問題と、
ほぼ同じ内容なのです。(空欄の数に少し違いがあります。)
ちなみに、私が初めて気象予報士試験を受けたときの問題でもあります。
あれから20年近くが経ち、再び同じような問題が出されたわけです。

特に、一般知識試験では、基礎的な気象学に関する問題が多く、
こうした内容は、時間が経っても劣化しにくいと言えます。
20年経っても、理想気体の状態方程式は「p=ρRT」なのであり、
静力学平衡の式は「Δp=−gρΔz」のままです。
式の内容そのものが覆されるということは、考えられないことです。

ですから、法改正などに伴う一部の問題を除けば、
一般知識試験の問題は古くても演習に活用できるものが大半であり、
丁寧に学習することのメリットは大きいです。

専門知識試験に関しても、演習量は多いほど良いと考えますが、
一般知識と異なる事情があり、注意が必要です。

この試験では、気象庁が行う観測業務や予報業務に関する問題も出されます。
技術革新や制度変更に伴って、出題当時は正しかった内容も、
現在では正しくない内容に変わっているものがあります。
また、すでに廃止された観測手法や予報業務に関する問題についても、
今後の試験で出される可能性は、まず無いといって良いでしょう。
第1回試験が行われてから、まだ20年も経っていないわけですが、
すでに、いろいろな分野で改善・変更が行われているのです。

こうしたことに気付かないまま、演習を進めてしまうと、
古い内容を学習してしまうことにもなりかねず、逆効果です。
過去問題を取捨選択したうえで、取り組まれることが大切です。

学科試験においては、1題の演習が3分で終わるような問題もあれば、
理解するのに長時間を要するような問題もあります。
1つ1つの納得を着実に重ねていくことができれば、
そのぶんだけ、合格に近づくことができるはずです。




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226、2015年春の資格取得に向けたハードな学習計画
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「来年のことを言うと、鬼が笑う」といいますが、
自分自身が笑っちゃいたいのであれば、
来年どころか、再来年のことまで考えておかれたほうが良いです。

現在のように、冬と夏に試験が行われ続けると仮定します。
初めて気象予報士試験の勉強に挑戦される方が、
2015年の春に合格を勝ち取りたい場合、
今冬に受験勉強をスタートすることが、必須条件だと私は考えます。
この機会を逃せば、2015年春の資格取得はまず間に合わないです。

なお、誤解の無いように申し上げておきますと、
今冬に勉強を開始すれば、2015年春に必ず合格できる、
と言っているのではないです。
あくまでも、「最速最短で2015年春」という意味であり、
最も順調に勉強が進んだ場合におけるシナリオです。
逆に言えば、これよりも早い時期(→2014年秋)での資格取得は、
現実問題としてほぼあり得ない、というのが講師としての見解です。

2015年春に合格証を手にするというのは、
2015年1月に行われるであろう第43回試験に合格するということです。
この第43回試験を受けるにあたって、
実技試験の勉強だけに専念できる環境を用意しておくことが重要です。
受験科目が少ないほうが、学習に集中できて有利だからです。
具体的には、2014年8月に行われるであろう第42回試験において、
学科2科(一般・専門)に合格することを指します。

もし、第42回試験で学科1科しか合格できなければ、
第43回試験では、「学科1科+実技」の受験が必要となってしまいます。
夏試験〜冬試験の期間が短いことを考えますと、
合格時期を1つ遅らせる(→2015年秋)という選択肢が現実味を帯びてきます。
ですから、第42回試験での2科合格は譲れないのです。

この条件を入れたうえで、逆算してみますと、
ゼロから勉強を始めて、2014年8月試験で2科合格を得るためには、
今冬での受験勉強開始が最後の機会になる、ということです。

もちろん、学習スケジュールとしては、かなりキツキツですから、
2014年という年を「勉強漬けの毎日」にする覚悟が必要だと思います。
受験勉強のために、十分な時間を確保できる方向けの計画です。




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227、易しい問題を取りこぼさない。
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気象予報士試験の受験生にとって、最終かつ最大の難関が実技試験です。
もちろん、学科試験に合格するためにも相当な勉強が必要ですが、
総合的な知識が問われ、記述での解答が要求される実技試験は、
多くの受験生にとって、高い壁であると言えるでしょう。

合格を勝ち取っていく人は、どんな答案を書いているのか?
これは受験生にとって、大いに気になるところです。
実際のところ、合格答案を目にできるのは、
書いた受験生本人と、採点を担当される先生方だけなのですが、
立場上、多くの答案添削を行っている私には、大体の想像は付きます。

「合格者は、難しい問題でもスパスパ解いているに違いない・・・。」
このように思われた方も多いかも知れませんが、
それは合格者の平均的な実像では無いと思います。
合格水準の実力を持った方の答案の特徴は、単純ミスが少ないということです。

ぶっちゃけた話、過去問題との類似性が全く無いような新問が出てくれば、
相当に演習を重ねている受験生でも、頭を抱えてしまうものです。
しかも、75分という限られた時間で解答しなければならないのですから、
全ての難問をサクサクと解くことは、容易ではありません。
ですから、難度の高い問題では、受験生全体が低得点となってしまい、
受験生間の得点差は付きにくい、と私は想像しています。

受験生間の得点差が広がるのは、むしろ難度がそれほど高くない問題であり、
その要因の1つとして、「イージーミスをしてしまう回数」が挙げられます。
解答要素は的確に掴めているにもかかわらず、
ちょっとした誤解によって、正答から外れた答案になることは勿体ないです。
こうしたイージーミスを極力防ぐことが、重要であると考えます。

例えば、「前線を実線で描画せよ」という指示が出ているのに、
前線記号を付した作図をしてしまうケースや、
「10km/h刻みで解答せよ」という指示がありながら、
1の位が0になっていない答案などが該当します。

また、等値線解析の作図においても、簡単なミスが生じやすいです。
(例:1013hPaの地点が、1010hPa線と1012hPa線に挟まれている。)
こうしたミスについては、作図後に確認を行うことで、
かなり防ぐことが可能だと私は考えます。

つまり、野球で例えれば、ホームランを次々に打つことよりも、
トンネルエラーをしない、落球をしない、送球ミスをしない、
送りバントを確実に決める、監督のサインを見逃さない、
といったことのほうが、大切だということです。




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228、出題者と対話するように問題を解く。
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実技試験を解き進めていく際に、大切にしたいことは、
問題の流れを掴むことです。

大きな設問の中に、(1)(2)(3)・・・と問題が並んでいますが、
たいていの場合、問題全体に流れが存在します。
まず、資料から値を読み取る問題や、等値線解析の作図など、
比較的やさしめの問題が出題された後に、
難しめの記述問題が出てくることが多いです。

では、具体的に平成24年度第1回試験の実技1で見てみましょう。
ここでは、問4(3)に出された5つの問題に着目します。
まず、1では気層の静的安定度を問うています。
次に、2では資料から読み取った値を使って、相当温位を計算で求め、
さらに、気層の成層状態を尋ねています。
そして、3では作図問題が出されました。
次に、4では作図内容を基にした静的安定度に関する問題が出され、
最後の5では、全体を総括する問題が出ています。

こうした問題構成から学べることは、2つあります。
まず、実技試験というのは、基本的に最初から順に解くのが、
最も効率的であるということです。
当問では、3の作図問題を基にして、4の問題が出されているのであり、
3を飛ばして、4から先に解くことは、事実上不可能です。
もちろん、75分という限られた時間内で、
できるだけ多くの点を得なければならないので、
1つの問題で長考してしまうのは得策では無いです。
しかし、むやみに問題を飛ばしてしまうと、
流れが掴めなくなってしまうことに十分注意する必要があります。

もう1つ言えることは、難度の高い論述問題に対しては、
前に出てきた問題がヒントになっていることが多い、ということです。
題意つまり「出題者は何を尋ねているのか」を適切に見抜くことこそ、
実技試験の解答では重要です。
当問で言えば、最後の5の問題は指定字数も多く、
問4(3)の中で最も難度が高いと言えるでしょう。
しかし、いきなり5の問題が降って湧いたのでは無いことが分かります。
それまでに1〜4という問題があり、その後に5の問題が出てきます。

5で問われている内容は、対流不安定な気層が実際に持ち上げられることで、
不安定が顕在化して、対流雲が発達するということです。
気層が対流不安定であることは、2で問われた内容ですし、
気層が持ち上げられて不安定が顕在化することは、3と4で出題されています。
つまり、5を問うために、1〜4の問題が用意されているとさえ解釈できます。

私は、実技試験を解く過程を「出題者との対話」として捉えています。
例えれば、熟練予報官と受験生が1つのテーブルに着き、
テーブルに置かれた資料を見ながら、意見を交わすというイメージです。
こうした対話が試験用紙を通して行われるのだと考えれば、
問題文を熟読することの重要性も見えてきます。

もし、難しい論述問題が出てきたときは、
その前にある問題を再確認することによって、
出題者の意図が掴めることも多いと思います。




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229、GWまでにどれだけの勉強ができるか。
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1月試験が終わったばかりですが、3月に合格を手にされる方を除けば、
早くも8月試験に向けたレースが始まっています。

8月試験から1月試験までの期間は約5か月しか無いので、
準備不足で1月試験に臨んでしまった方もおられるかも知れませんが、
1月試験から8月試験までは、約7か月もの期間があります。
この時間を大切にしたいものです。

受験勉強には、大きく分けて2つの段階があります。
「1.基礎事項の学習」と「2.過去問題演習」です。
いずれか一方だけですと、良い結果を出すことは難しいです。

1の学習だけでは、習得した知識が実際の試験でどのように問われるのか、
どのような活用が求められるのかが十分に把握できないです。
また、2の学習だけを行うということは、
基礎力が不足したまま問題演習を強引に進めることを意味します。
これでは根本からの理解が得られにくいので、類題への対応力が身に付かず、
労多くして功少ない勉強になってしまう恐れがあります。

ですから、受験勉強では「1→2」という段階を踏まえることが重要であり、
これは学科試験・実技試験に共通した内容です。

学習計画を立てるときも、期間を2つに区切るのが良いでしょう。
1月試験が終わった直後から勉強を再開する場合、
4月下旬〜5月上旬の大型連休(いわゆる「GW」)が区切りの目安になります。
GWまでの期間を「1.基礎事項の学習」の時期、
GW以降の期間を「2.過去問題演習」の時期、と大まかに考えるのです。
もちろん、基礎学習の合間に過去問題演習を行っても良いですし、
過去問題演習の途中で見つかった弱点は、基礎学習に戻る必要があります。

また、これからGWの時期までに、どれだけの勉強ができるかによって、
8月試験で合格を狙う科目も決まってくると言えます。

もし、8月試験での学科2科(一般・専門)の合格を目標とするのであれば、
GWまでに、これらの基礎学習を一通り終えていることが理想的です。
その後は、予定どおり過去問題演習を行うのが良いでしょう。

しかし、8月試験での学科2科の合格を目標としていながらも、
GWの時期の段階で、一般知識試験の基礎学習しか終えていなければ、
目標を一般知識試験の合格のみに軌道修正したうえで、
一般の過去問題演習に専念されたほうが良いです。

逆に、GWよりもかなり早い時期に学科2科の基礎学習を完了し、
想定以上に過去問題演習も順調に進むのであれば、
次々回試験を見越したうえで、実技の基礎学習に進むのも1つの選択肢です。
夏までに実技の基礎学習を終えれば、秋以降は過去問題演習に専念できるため、
(もちろん、8月試験で学科2科に合格することが条件です。)
翌年1月の完全合格を狙うことになります。

試験が終わったばかりなので、少し休憩したいところですが、
休憩が長すぎると、再スタートするのが億劫になってしまいます。
早く始めたほうが、GWまでの時間を有効に使えます。




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230、過去問題を使って鍛える。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 学科は択一式の解答となるわけですが、単純に〇×を判断するのではなく
> 演習の際に問1(a)はこれこれこういう理由で誤り、
> と言った具合にノートに書き込みました。
(Bさん・33歳・公務員・岩手県)


過去問題演習には、明確な目的があります。
それは「類題が出たときに正答できる力を付けること」です。

気象予報士として重要とされる知識や考え方は、
これまでの試験で何度も繰り返して出題されてきました。
過去問題演習を充実させることで、本試験で問題を目にしたときに、
「これは以前に取り組んだ過去問題と、考え方が共通しているな」と分かれば、
短時間で正答できる可能性が高まるわけです。

こうした「類題への対応力を養う」という目的をハッキリ持ったうえで、
過去問題と向き合うことが、とても大切です。

過去問題演習をされたことの無い受験生はいないでしょうが、
この目的意識の軽重には、差があるように思われます。
取り組む問題数や回転数だけを目的化してしまうと、
問題演習が「単なる作業」に陥ってしまう恐れがあります。
例えば、知識の正誤が問われている問題において、
正しい選択肢を選べただけで演習完了!としているのであれば、
とても勿体ないことです。

もちろん、本試験であれば、消去法で正答を導き出すのも立派な戦術です。
迷ったときには、運を天に任せて鉛筆を転がしてみることも、
結果さえ良ければ、全てオーライです。

しかし、過去問題演習は、単に正答を得ることではなく、
未来に出される本試験で勝つためのトレーニングが目的です。
過去に出された問題に向き合うことで、知識不足や思考過程の誤りを炙り出し、
顕わになった弱点をトコトン鍛え抜くことが求められています。

特に、何度も繰り返して過去問題演習をすると、
記憶力の優れた方であれば、半ば問題を覚えてしまうので、
瞬間的に正答を導けることも珍しくないです。
ただ、正答の理由が「前に解答を見たことがあるから」だけで、
十分な理解を伴っていなければ、演習としては無意味です。

本試験において、過去問題と共通の土台を持つ問題は多いものの、
一字一句違わぬ問題が出たことは無かったと思います。
実質的に同じ内容であっても、表現が少し変わって出題されたり、
以前の問題よりも複雑さが1ランク増す形で出題されたりします。
こうした問題に対して、限られた時間で正答を得るためには、
明確な目的意識を伴った演習が大切だということです。





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231、耳からの学習
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「勉強」という言葉から、どんな姿をイメージされるでしょうか?
多くの方は「机に向かって書物を開く」などといった、
主に視覚を活用した学びを思い浮かべられるのではないかと思います。
もちろん、「見ること」「読むこと」は重要な学習法ですが、
耳から脳に情報を入れることも、効果的な手段であると私は考えます。

仕事が終わった後などで、体が疲れていると、
本を広げようとしても、なかなか勉強に取りかかれない場合があります。
こういったとき、耳からの学習であれば、勉強へのハードルは低くなります。
その理由は、話し言葉と書き言葉の違いにあります。

同一の人物による講演と著作を比べてみると、
同じ内容であっても、文字に直したときの分量が異なっています。
これは、「話し言葉」と「書き言葉」の違いによるものです。

話し言葉の場合、録音しない限りは、後から聞き返すことはできません。
よって、1回聞いただけで、全ての内容が分かるような話し方をするのが、
最も理想的だということになります。
そのため、話し手が聴衆に対して、「伝えたい」と強く感じる内容については、
何度か繰り返して説明を行うことが多いのです。
しかも、同じ話をそのまま反復するだけでは、くどく感じられるので、
例え話を変えるなど、異なるアプローチで説明を行うことがよくあります。
これは私が講義を行うときにも用いる手法です。

一方、書き言葉の場合は、なるべく簡潔な表現が望まれます。
講演などの話し言葉を、そのまま文字化しただけでは、
冗長(無駄に長ったらしい)だと感じてしまいます。
多少難しい表現が出てきて、読者が「ん?」と感じても、
少し前に戻って読み直して、文脈が理解できるのであれば、問題無いのです。

最近は、「文章読み上げソフト」というのが出ていますが、
教科書に出てくるようなカッチリした文章を、
そのまま読み上げさせても、聞くのはなかなか大変です。
これは「話し言葉」と「書き言葉」の違いに起因するということです。
疲れているときは、書物を繰り返し読み進めるよりも、
話し言葉という形で、耳から情報を入れたほうが効率的だと思います。

「話し言葉」で学習するか、もしくは「書き言葉」で学習するかは、
好みの問題でもありますが、上手に使い分けることも一つの方法です。
静かな部屋で長時間集中するときは、書物と格闘するのに向いていますが、
車の運転中やランニング中であれば、それはできません。
また、満員電車の中では新聞どころか、文庫本さえも広げるのが困難ですし、
揺れる車内でスマホを見続けるのは、結構目が疲れるものです。
しかし、イヤホンを使えば、音声から情報を入れることができます。
狭い場所・暗い場所・動きが激しい場所では、耳を活用した学習が有効です。




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232、「合格の相場」に基づいて分析する。
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試験に落ちるのは、悔しいものですが、
次回試験での合格者のほとんどは、前回試験での不合格者の中から生まれます。
時間が経つほど、再びエンジンをかけるのに大きなエネルギーを要しますので、
受験勉強モードに戻るのは、早ければ早いほど良いです。

不合格を経験せずして、気象予報士試験に受かる人はほとんどいません。
おそらく、全体の合格者のうち、100人に1人いるかどうかでしょう。
ほぼ全ての気象予報士は、不合格という苦みを経験しています。
逆に言えば、不合格に負けずに、立ち上がったからこそ、
合格という果実を得られたのだとも言えます。

「早く合格したいのに、落ちてしまった。次のチャンスは半年も先だ。」
と落ち込んでいる方もおられることでしょう。
私自身も「最年少で合格したい」などという野心を持っていたので、
合格を逃し、その機会を半年も失うことに対して、大きな悔しさを感じたものです。
しかし、気象予報士登録から18年を迎える私が、今になって思うのですが、
合格時期の半年の違いなど「微差」もいいところです。
時期が多少遅れても、最終的に合格できるかどうかが重要であり、
それは、合格を諦めてしまうことと「大差」があります。

受験の失敗にめげず、合格に向けて進むためには何をすれば良いか?
まずは、敗因分析を徹底的に行うことです。
たいていの失敗には理由があるものです。
その理由を探っていけば、改善につながる糸口が見つかります。
受験生の敗因は人それぞれですが、
特に次の点に留意して分析される必要があります。

1.目標が過大ではなかったか。
2.必要とする学習量の見積もりが過小ではなかったか。

まず、1です。
気象予報士試験は、全ての試験が同一日に実施されるのですが、
実質的には、「学科試験=1次試験」と「実技試験=2次試験」という形に、
分かれていると解釈されたほうが良いです。
(学科試験に合格しないと、実技試験の採点を受けられないからです。)
よって、まず成すべきことは、学科試験の勉強であって、
3科を同時並行的に学習することは、全くお勧めできません。
もっと言えば、学科試験についても、
2科ではなく、1科に集中して勉強を進めても良いのです。
そういった「選択と集中」を行わねばならないほど、この試験の難度は高いです。

身の丈に合っていない過大な目標を掲げても、
実際の受験勉強が追いつかなければ、結果は出ません。
「学科1科合格」という小さな成功から、完全合格への道は拓けます。
実際のところ、学科1科でも合格すれば、勉強の進捗が実感でき、
「もっと頑張るぞ−!」とエンジンの回転数が高まることが多いです。

次に、2です。
気象予報士試験の合格には、かなりの量の学習が必要ですが、
受験生によっては、その見積もりが甘い場合もあります。
「過去問題はバッチリ演習した」とのことで、具体的な量を尋ねてみると、
「3年分ほど」という答えが返ってきたり、
「解答例と同じような答案が書けていると思う」とお聞きしながら、
実際の答案を拝見すると、相当な課題が必要であったりします。

本当は100の学習量が必要なのに、30で大丈夫だと信じていれば、
それ以上の学習量に取り組むことは、なかなか難しいものです。
しかし、これで結果を出すのは厳しいと言わざるを得ません。
特に受験勉強歴が浅い方ほど、見積もりが甘くなる傾向があり、
これは、1における「過大な目標」の要因にもなるわけです。

特に、独りで勉強を進めている場合、手探りでの受験生活になりがちで、
「この試験の合格水準とはどういったレベルか?」といったことは、
なかなか適切に掴めないものです。
だからこそ、合格者から直接に話を聞いたり、
合格体験記を読んだりすることで、「合格の相場」を把握することが大切です。
そうすることで、より現実的な目標を掲げることができ、
その目標を達成するために、何をすれば良いのかも見えてくるはずです。




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233、合格率の低さを恐れない。
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高校生の頃に、「ナンバーズ」という宝くじをよく買っていたことがありました。
自分で好きな2桁の数を考え、それをマークシートに記入して、くじを購入し、
後日に発表される当選番号と一致すれば「当たり!」というものです。
任意の2桁の数ですから、組み合わせは全部で100通りあるわけですが、
たしか、当選番号は2種類だったと思いますので、当選確率は2%です。

私はいつも同じ番号をマークシートに記入して、くじを買っていましたが、
いっこうに当たらないので、いつしか買うのをやめてしまいました。
つまり、くじを買ったぶんだけ損をしたということです。
実は小学生の頃に、お年玉の1万円を宝くじにつぎ込み、
下4桁の数字を一致させて、1万円を当てたことがあります。
このときに、金運を使い果たしてしまったのかも知れません。

さて、このナンバーズの当選確率は2%だったわけですが、
もし当選番号が4種類あれば、その当選確率は4%です。
これは先日の第41回気象予報士試験の合格率と同じです。

当選確率と合格率は「百分率」という形で示される点が共通しています。
それゆえに、次のような誤解が生じやすいと言えます。

・「25人に1人しか合格できない試験」など、宝くじを当てるようなもので、
 挑戦したところで受かるはずがない。
・「25人のうち1人は合格する試験」なのだから、
 長年にわたって受験を続ければ、そのうちに受かるだろう。

両者の結論は全く異なりますが、共通しているのは、
試験というものに対して、「偶然性」を重く見ている点です。

私は決して、試験における「ツキ」「運」を否定するつもりはありません。
実力的には少し厳しくても、たまたま得意な部分が出題されて合格できたり、
高い実力を持っていても、合格を逃してしまうこともあります。
これを「試験会場には魔物が住んでいる」と表現することもあります。

しかし、試験というものは個人の実力が問われる世界であり、
「ガラガラポンのくじ引き」とは根本的に異なります。
合格率4.0%とは、受験者数に対する合格者数の比を示しているに過ぎず、
「合格を勝ち取れる可能性」は、受験生によってバラバラです。
つまり、8割方合格できる実力を持った人もいる一方で、
合格の可能性がほぼ0という人もいるということです。

気象予報士試験は資格試験ですから、
試験主催者が設定した合否ラインを超えれば、合格となります。
予め「合格者は100名」という形で、枠が決まっているわけではありません。
よって、自分自身が実力を着実に高めていくことができれば、
やがて「合格」に到達できるということです。
空のバケツに水を入れていき、満水になれば合格なのです。
これは、合格率80%の試験であっても、本質的には同じことであり、
合格点に届かなければ、20%の側に回ってしまうということです。

宝くじの場合は、純粋に確率の問題ですから、
くじを数多く買えば買うほど、当選確率は高まります。
(極論ですが、発行された全てのくじを買えば、100%の確率で当たります。)
しかし、試験の合否は、確率の問題ではなく、基本的には実力勝負ですから、
「数多く受験すれば、やがて合格するはず」という考えは十分ではないです。
適切な受験勉強で実力を高めていかなければ、
何度受験しても、不本意な結果で終わることになってしまうということです。

確かに、合格率が低いということは、試験の難度が高いことを意味しますが、
大切なのは、「では自分はどのように挑むのか」ということです。
試験で合格を勝ち取ることとは、偶然性に我が身を委ねることではなく、
自ら道を拓くということなのですから。




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234、限られた時間を集中的に活用する。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 私は学生ですので、かなり時間に余裕があります。
> ですが余裕があるから、だらけて四年もかかった気がします。
> 連休の時よりも、アルバイトがある日の朝二時間の方が集中できました。
> 私の場合、沢山ある時間よりも、捻出した時間の方が合いました。
> 一番勉強した時間は、早朝の二時間、通学の電車、休憩時間10分など、
> ちょっとした時間ばかりです。
(M.Aさん・女性・21歳・大学生)


気象予報士試験の勉強には、学習時間の確保が大切です。
ですから、1日に5時間も勉強できるに越したことは無いですが、
実際には、これだけの時間を作れる人はかなり限られるはずです。

さすがに1日に確保できる時間が15分しかなければ厳しいですが、
1時間程度の時間を用意でき、かつ長期間にわたって継続できるのであれば、
この試験に挑戦することは可能だと私は考えています。

この体験記にもあるように、時間が有り余っていると、
却って効率的に活用できないことも多いものです。

例えば、同じ仕事であっても、締切が「1週間後」と「今夜7時」では、
後者のほうが仕事を仕上げるために要する時間は短くなる、
という実感をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

期日が迫っていて、限られた時間しか無ければ、
心身を集中させ、何とか間に合うように仕事に取り組まざるを得ません。
結果として、短時間で仕事を終えられるということです。

逆に、「まだ締切まで1週間もある」ということであれば、
どうしても気持ちはノンビリしてしまい、無駄な動きが出やすくなります。
結果として、その仕事にかかる総時間は長くなってしまうことがあります。

もちろん、理想としては、締切の無いような仕事であっても、
集中的に取り組むことができれば良いのですが、
「○○までに終えねばならない」という時間的制約が、
人の気持ちを駆り立てる面は大きいと思います。

決められた試験日に向けて受験勉強することも、同じですね。
「試験日まであと○○日」と意識するからこそ、受験勉強にもハリが出ます。

有り余る膨大な時間を持っていなくても、受験勉強はできます。
限られた学習時間で、緊張感を持って集中して取り組むことができれば、
実力を高めていくことは可能だと私は考えます。




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235、めざせ!在学中の合格
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現在、このメルマガの配信数は約1100部(まぐまぐ+melma!)ですが、
学生の方の購読者様も多いと思います。
気象予報士資格の取得を検討されている学生の方には、
なるべく早い段階から受験勉強に取り組まれることをお勧めします。

多くの方が就職活動を念頭に置いて、資格取得を考えておられると思います。
大学3年生の年末から、就職活動が始まることを考えますと、
その年の8月試験で合格を手にすることができれば、理想的です。
(8月試験の合格発表は10月ですので、年末に間に合います。)

大学入学から3年生の8月までの期間は、2年5か月です。
4年の在学期間に比べると、ずいぶん短いですね。
「まだ1年生だから」「就職活動は先だから」と思っていると、
受験勉強に費やせる期間は、どんどん短くなってしまいます。

気象予報士資格は、取得までに長い時間を要します。
自動車の運転免許であれば、合宿で集中的に教習を受けて、
1か月弱で免許を取ることも可能だそうですが、この試験ではそうもいきません。
就職活動に本気で間に合わせたいのであれば、
できるだけ早い時期からの勉強開始が望ましいです。

もちろん、就職活動と関係なく、資格取得をお考えの方もおられると思います。
その場合も、できるだけ卒業までに資格を取られることをお勧めします。

とても忙しい学生さんもおられると思いますが、
多くの社会人は、「学生時代のほうが時間の余裕があった」と振り返るはずです。
バカンスという時間の過ごし方の習慣が無い日本において、
「8月はまるまる休み」という会社員に未だ出会ったことがありません。
大学を卒業して、企業などに就職をすれば、
基本的には、それまでよりも忙しくなると考えたほうが良いです。

気象予報士資格は生涯有効ですから、
早い段階で資格を取得したほうが、有効活用できる機会は増えます。
業界未経験で20歳の若造だった私が気象報道の仕事をいただけたのも、
その時点で気象予報士資格を持っていたからであり、
無資格では全く相手にされなかったに違いありません。

気象業務支援センターが発表したデータによりますと、
第41回気象予報士試験の合格者134名のうち、
29歳以下の合格者は38名だったそうです。
学生の立場で合格を勝ち取られた方は、さらに少ないはずであり、
これは充分に希少価値のある数字だと思います。




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236、実技試験の勉強の取り組み方
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 第40回試験に落ちた後、
> どう勉強したら実技試験を合格できるかについて一生懸命考えました。
> そこで、結局気象予報士試験の実技試験は、
> 出題テーマとしては温帯低気圧、台風、冬型、南岸低気圧等に限られており、
> それらのテーマについて事例、視点、切り口を変えて出題されているにすぎない
> という当たり前のことに気がつきました。
> これに対して合格点を取るためには、やみくもに新しい問題に手を出すというよりは
> 過去問一つ一つを深く現象の基礎まで掘り下げて理解することが重要で、
> これを習慣づければ試験の時に新たな切り口・視点で出題された時の
> 対応力が上がるはずだと感じました。
> それでも対応できない問題は恐らくほとんどの受験者が解けなくて、
> 点数に差はつかないだろうと思いました。
> 今までは問題数としてはそれなりにこなしていても、
> どこか過去問の回答を暗記しているフシがあり、
> 現象の基本が分からなければ目を背けていたことに気づきました。
> これでは全く同じ問題に対して解答することができても、
> 新しい切り口・視点の問題に対する対応としては不十分です。
(H.Iさん・34歳・公務員・茨城県)


「実技試験の問題を解く」というのは、次の3つの過程に細分されます。
 1,問題文から題意を読み取る。
 2,資料から解答要素を見つける。
 3,解答要素を答案という形にまとめる。

3つのうち、1つでも欠ければ、適切な答案を書けないので、
問題演習においては、これらを常に意識して取り組むことが必須です。
そうすれば、それぞれの問題に取り組む際に、
自分がどの部分で躓いているのか、課題を抱えているのかが見えてきます。
具体的には、「問題の題意が把握できない」とか、
「この資料から、こうした解答要素がなぜ読み取れるのか?」とか、
「どうしても指定字数で答案をまとめることができない」といったことです。

これに対して、過去問題演習というものを、
「何度も繰り返すことで、解答例の再現を図る」と捉えてしまうと、
結局は解答例の丸暗記に陥ってしまうことになります。
解答例を覚えようという意図や意識は無かったとしても、
「解答例が再現できれば、問題は解けたことになる」という姿勢であれば、
思考過程よりも、「解答例と字面が似ているか」に意識が向きがちです。

しかしながら、本試験にて「過去問題と瓜二つの問題」が出ることは稀です。
実際に出されるのは、「過去問題と思考過程に似た部分がある問題」であり、
これを解答するためには、思考過程の学習が重要です。

1つ1つの問題に向き合い、問題文から解答につながる道を辿るには、
相当な時間と労力を必要とします。
「過去問題演習」というのは、こういった勉強を指すのであり、
次々に目新しい問題を求めて、足早に取り組むことではないと私は考えます。

学科試験の合否については、習得した知識の量が大きく影響しますが、
実技試験においては、それに加えて、適切な思考過程が要求されます。
この質的な違いを認識せずに、勉強を続けてしまうと、
思うように実力が伸びず、いわゆる「実技の壁」が出てしまうように思います。

実技試験の勉強においては、冒頭でご紹介した3つの過程を常に意識し、
それぞれの問題にじっくりと取り組んでみることをお勧めします。
本試験では75分という時間制限がありますが、こだわる必要はありません。
あくまでも、受験勉強では1つ1つの問題に丁寧に取り組む練習が大切であり、
制限時間を設けてしまうと、思いつきの雑な答案になる恐れがあるからです。
そして、問題に取り組んだ後は、解答例と付き合わせて、
丁寧な答案分析を行うことも、とても大切な勉強です。
分析を丁寧に行えば、現時点での課題が見えてくるのであり、
それを解決すれば、1つレベルアップすることになります。




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237、「できない理由」を捨てる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 私は、数年前まで会計事務所に勤務する税理士でした。
> 定年もあいまいでそのまま勤務することもでき、また開業という道もありましたが、
> なぜか自分で定年は60歳、それ以上は勤めないと決めていました。
> ただ、元気一杯なので次の目標をさがしました。
> そこでどうせこれから始めるなら全く異なる分野、
> 特に苦手な分野がいいのではないかと。
> 実際、高校の地学の授業は苦痛でした。もちろん物理も苦手です。
> 20年間、空をじっくり見ることもなく、積乱雲などという雲もピンと来ず
> 天気予報は降水確率をチェックするくらいという有様でした。
> 実際ゼロからのスタート、いえ常識人からみればマイナスからのスタートでしょう。
> また、退路を断つため税理士登録を抹消して臨みました。

(H.Iさん・女性・60代・千葉県)

合格率が5%を下回るような難関試験を目の前にしたとき、
この試験に挑戦してみようかどうか、迷った方もおられることでしょう。
受験勉強が難しそうだ、はたして合格を手にできるのだろうか、
そういった心配をされるのは当然のことです。

私自身は受験や講師の経験から、長い人生の中における数年を、
この試験の勉強に費やすのも悪くないな、と思っています。
しかし、人の価値観はそれぞれ異なるのですから、
そもそも興味の無い人に対して、受験を無理に勧めるつもりはありません。

一方で、「気象予報士になってみたい」という望みを持っていながらも、
いろいろな理由で躊躇っておられるのであれば、
そうした壁を取り払って、前に踏み出すことをお勧めします。

「数学や物理は苦手だし、気象の学習経験は無い」
「勉強のための時間が取れないような気がする」

「理屈と膏薬はどこにでも付く」という諺があるように、
できない理由をいろいろ並べることは、わりと簡単です。
しかし、資格を取りたいという気持ちがあるのならば、
そうした「できない理由」を捨ててみることを、考えたほうが良いです。

気象予報士試験で数学や物理の知識が必要なのは確かですが、
たとえ、分数の掛け算や一次方程式の解法を忘れてしまっていても、
基礎から少しずつやり直せば良いだけのことです。
また、忙しい中においても、30分の時間を捻り出せれば、
それを受験勉強に充てることができます。

受験勉強を始めようか思案し続けるよりも、
とりあえず学習をスタートしてみれば、次に進む道が見えてくると思います。




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238、試験に対する不安に押しつぶされないために
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試験日が少しずつ近づくにつれて、受験生の不安は次第に大きくなります。
真剣に合格を志す方ほど、熱心に受験勉強を進めておられる方ほど、
受験に失敗することへの恐れは大きくなりがちです。当然のことです。
今回は、そうした不安に対する、一つの心の構え方について書いてみます。

まず、試験という言葉には、「ためしてみる」という意味があるように、
基本的には「やり直しができる世界」です。
もちろん、懸命に勉強を重ねた結果が不合格であれば、
かなり気持ちは落ち込むものですが、それでも次に受験すれば良いのです。
実際、合格者の大半は不合格(しかも多くは複数回)を経験しています。

世の中には、やり直せないものが数多くあります。
例え話として、冬山で遭難事故が発生し、救助要請があったとします。
救助隊が現場まで向かうのに1時間ほどかかるのですが、
猛吹雪になっており、二次災害の危険が高く、近づけない状況です。
その後、風と雪が少し弱くなったのですが、
この小康状態が続くのかどうか、気象予報士としての見解が求められたとします。
一刻も早く救助せねばならない状況ですが、二次災害も避けねばなりません。
吹雪が収まっている時間が1時間程度しか無ければ、救助活動は困難ですが、
もし3時間程度あると予想されるなら、遭難現場に向かうことができます。
こうした状況で、今後の気象についての予測が求められれば、
どんな気象予報士でも、頭と心がしびれるに違いないでしょう。

それに対して、試験というのはバーチャルな世界での戦いに過ぎません。
「実技」試験という名前は付いていますが、机上で行われる試験です。
人命がかかった決断が求められるわけでは無く、試験でどんな失敗をしても、
「合格発表日に自分の受験番号が見つからない」という以上に、
悪い結果が出ることはありません。
もちろん、1つの試験の結果が、未来における就職や転職を左右することもあり、
それは、その受験生の人生にとっては、すごく重大なことです。
だからこそ、このような捉え方をしたほうが、試験への不安が和らぎませんか?

また、試験というのは、必ず作り手(=出題者)が存在します。
ということは、必ず正答が存在するのであり、
筋道を追って考えれば、その正答に辿り着くように作られています。

しかしながら、私たちが生きていくうえにおいては、
「決まった正答が存在しない問題」も解いていかねばなりません。
例えば、仕事において取引先から5%の値下げ要求を受けたときに、
それに対する絶対的な正答は存在しないです。
値下げに応じないのか、5%の値下げに応じるのか、3%だけ値下げに応じるのか。
正答は複数あるかも知れませんし、もしかするとゼロかも知れません。
仕事だけでなく、あらゆる場所で、私たちはそうした問題に直面しています。

ある気象予報士の方は、受験生だったときに、
「受験勉強がストレス解消になった」と話されていました。
知識を積み上げたうえで、手順を追って思考を重ねれば、
着実に正答が得られるというゲームの面白さを知っておられたからだと思います。




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239、自分の未来のための「研究開発投資」
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4月に消費税が8%に増税され、そのぶんだけモノの値段が上がりましたが、
新聞などの報道によりますと、景気回復の流れが続いているようです。
失業率が低下したとか、アルバイトの時給が上がっているとか、
夏のボーナスが増えたとか、そういったニュースをよく耳にします。
全ての人が景気回復の恩恵を受けているわけでは無いと思いますが、
経済の流れが良くなっていることは、確かなようです。

少し余裕が出てきたときにこそ、その一部を未来のために役立てたいですね。
未来のための投資には、2つの種類があり、
企業で言えば、「設備投資」と「研究開発投資」です。

例えば、ある自転車メーカーが、来月からの増産のために、
新しい工作機械を導入したとしましょう。これは設備投資です。
現在の仕事を拡張・充実させるために行うものです。
これに対して、その自転車メーカーが「空飛ぶ自転車」を開発することは、
研究開発投資であり、現在の業務には直接に関係しないものです。

設備投資は現在の仕事の延長線上にあり、
それだけに短期的な効果が見通しやすいのに対して、
研究開発投資が目に見える形で結果を残すまでには時間を要します。
それどころか、中には目立った成果が出ない研究開発もあるでしょう。
でも、もし「空飛ぶ自転車」のような画期的な製品が生まれれば、
ヒット商品になって、大きなリターンを生み出すことになりそうです。

企業に例えてみましたが、これは個人にも当てはまると思います。
仕事に役立てるために、タブレット端末を購入する。大切な「設備投資」です。
一方で、今の自分の本業とは何の関係も無いことにも取り組んでみる。
プログラミングの勉強をする。マイナーな国の言語を習いに行く。
現在の仕事と関係が無いだけに、短期的な見返りは得られにくいですし、
もしかすると、ムダな時間を費やすだけになるかも知れません。
しかし、それが本業と関係が無いことだからこそ、
少し先の未来における自分を大きく変えるものに化ける可能性もあります。

気象キャスターとして活躍されている方の中には、
気象とは全く関係の無い業界から転身された方がわりとおられます。
こうした転身を可能にしたのは、その方がまだ気象業界に入る前の段階で、
リターンが得られると確定しているわけではない勉強を、
地道に行っていたからだと思います。




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240、気象予報士試験に合格する人の特徴(その1)
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2005年に私が当塾を開いてから、10年目になります。
おかげさまで、第34回試験以降は常に10名様以上の合格者が生まれており、
過去5年に限っても、100名様を超える方が合格を勝ち取られています。
多くの受験生のサポートを私が1人で続けているうちに、
気象予報士試験に合格する方の多くに見られる特徴に気付きました。
今回から、順番にご紹介していきますので、
受験生の方々には、参考になさっていただければと思います。


【特徴1:弱点を見つけ、それを解決することを心がけている。】

試験で点数を上げる方法は単純です。
「誤答」を「正答」に変えれば良いだけのことです。
それは、「未知を既知に変える」ということであり、
「誤解を理解に変える」「疑問を納得に変える」ということでもあります。

言葉を変えれば、「受験勉強とは自分の弱点を減らすことだ」とも言えます。
よって、「弱点を数多く炙り出すこと」「炙り出された弱点を解決すること」
という2つを常に意識して、机に向かうことができれば、
効果的に学習を進めていけるはずです。
逆に言えば、すでに理解済みの内容を単になぞるだけの作業は、
実質的な勉強の意味を成さないということです。

特に大事なことは、同じ誤答を繰り返さぬように強く意識することです。
もちろん、忘れることや誤解することは、誰にでもよくあります。
だからこそ、記憶の定着が難しい箇所や、間違って認識しやすい箇所は、
自分自身に注意を働きかけていくことが大切なのです。
私が受験生のときは、こうした弱点を箇条書きでノートにまとめて、
頻繁に見返すことを行っていました。
弱点は可視化しておかないと、何が弱点であるのかも忘れてしまいます。
試験会場で、実際に問題が出されたときに、
「ああ、これは解決しなきゃと思っていた部分だった・・・。」
と初めて思い出すようなことは、極力避けねばなりません。

いくら繰り返して問題演習を行っても、弱点が弱点のままであれば、
実力は停滞したままであり、合格までの距離は縮まらないです。
厳しい言い方をすれば、時間と体力を浪費しているだけであり、
「実体の無い勉強」だということになります。

自分が「知らないこと」や「誤解していること」を直視したうえで、
その部分を徹底的に鍛え直すことが大切です。
これは、なかなか厳しい鍛錬です。
例えてみれば、自分の嫌いな食べ物だけをピックアップし、
その食べ物が好きになるまで、毎日食べ続けるようなものだからです。
意識的に行わなければ、なかなかできることではありません。
だからこそ、「する受験生」と「しない受験生」との間で差が生じるのです。

弱点解消のためのトレーニングを意識的に行っていけば、
いつの間にか、弱点は弱点で無くなります。
つまり、そのぶんだけ実力が高まって、合格に近づくということです。




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241、気象予報士試験に合格する人の特徴(その2)
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2005年に私が当塾を開いてから、10年目になります。
おかげさまで、第34回試験以降は常に10名様以上の合格者が生まれており、
過去5年に限っても、100名様を超える方が合格を勝ち取られています。
多くの受験生のサポートを私が1人で続けているうちに、
気象予報士試験に合格する方の多くに見られる特徴に気付きました。
受験生の方々には、参考になさっていただければと思います。


【特徴2:願望と現実を切り分けて、学習計画を立てている。】

ある人が「試験に合格したい」と望むことと、
実際に、その人が試験に合格するかどうかは、別問題です。
極端なことを言えば、「そんな資格欲しくねーよ」と思っていても、
実力があれば、試験問題は解けてしまうので、合格することになります。
逆もまた然りで、いくら資格が欲しいと思っていても、
試験に受かるための力が足りなければ、合格は勝ち取れません。

こうしたことは、部外者の立場で冷静に考えれば、わりと簡単に見えることです。
しかし、気象予報士になりたい気持ちが強い当人にとっては、
学習計画に理想が混ざってしまい、適切な戦略が立てられないことがあります。
初学者の受験生が「半年後の試験で完全合格する」という目標を立てても、
それは叶えることは極めて困難だと言わざるを得ません。
資格への熱意をムダにしないためにも、現実を見据えたうえで、
それに応じた目標を立てることが大切です。

大きな目標であるほど、それを達成するためには長い準備を要します。
誰でも、早く資格を取りたいと思うのは当然のことですが、
もし、1か月勉強するだけで、気象予報士資格が取れるのであれば、
そこらじゅうに、有資格者が溢れていることになるでしょう。
資格制度が始まって20年近くにもなるにも関わらず、
未だに気象予報士の数が1万人に満たないのも、
それだけの受験勉強が必要であることを意味しています。
取得まで長い時間を多くの労力を要するからこそ、価値も高いのだと思います。

合格を焦るあまり、無理な目標を立ててしまっても、
充分な学習量を確保できなければ、合格の可能性は高まりません。
実現可能な学習スケジュールを立てることこそが、
合格への第一歩であると言えます。




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242、試験前の受験勉強
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いよいよ試験が今月の下旬に迫りました。
試験直前で、なすべき受験勉強とは何か?
それは、暗記物の再確認です。

気象予報士試験では、思考が試される問題が多いですが、
中には覚えておかなければ、解答できないものもあります。
例えば、気象庁の予報用語における「激しい雨」が、
「1時間雨量が30mm以上50mm未満の雨」であることは、
事前に頭に入れておかないと、解答できないです。

予報用語以外にも、法規の内容や天気記号などについても、
自分の記憶に誤りが無いかを、確認しておくことが大切ですね。
以前に覚えた内容であっても、時間が経過すれば、
記憶の薄れている部分が生じてくるものです。
壁にペンキを塗り直すようなつもりで、記憶を固めていくことが、
試験前においては特に大切だと思います。

一方、それ以外の勉強については、試験が近いからといって、
何か特別なことを行う必要は無いと考えています。
つまり、普段通りの受験勉強を行っていけば良い、ということです。
なぜなら、根本的な思考力を要求される分野において、
「即効性のある特別な学習メニュー」は存在しないと思うからです。
(もし、それがあるなら、最初からその方法で勉強していれば良いはず。)

実際には、「最初に、基礎的な学習を充分に行う」、
「多くの過去問題に取り組んで、自分の課題を炙り出す」、
「炙り出された課題を解決するため、再学習を行う」といった、
地道な勉強の積み重ねでしか、実力を高めていくことはできないです。

試験日が近づくとともに、気持ちに焦りが生じて、
「何かしなければ/何とかしなければ」と思ってしまうのですが、
暗記物以外は、普段通りの受験勉強を続けていけば良いです。
いつもと同じような勉強を続け、平常心で試験に臨む。
試験で問われるのは、ありのままの実力です。




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243、実力を出し切るために、問題文を熟読する。
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「合格に理由あり、受験勉強に奇策なし。」
これが受験対策業を長く続けている私が実感していることです。

気象予報士試験を突破する人は、受かるべくして受かっています。
多肢選択式の学科試験であれば、運良く合格する可能性もありますが、
記述式の実技試験に、まぐれで合格することはあり得ないからです。

今回の8月の試験のために、1月試験の直後から頑張ってきた受験生がいます。
中には、昨年8月の試験で学科2科に合格した後、
実技試験の勉強だけを集中的に取り組んできた受験生もいます。
あとは培ってきた実力を本試験で出し切るだけです。

試験まで残り1週間を切った今、すでに行える勉強は限られています。
むしろ体調を整えることこそが重要です。
万全のコンディションで受験できることで、
限られた試験時間を濃密にかつ有効に使うことができるはずです。

そして、本試験で大切なのは、「問題文をよく読む」ということです。
「小学生じゃあるまいし・・・」と思われるかも知れませんが、
問題文を適切に把握できなかったことによる誤答は、
もの凄く多いというのが、講師としての実感です。
逆に言えば、問題文を正確に捉えることができれば、
得点をかさ上げできるチャンスが高まるということです。

解答への手がかりは、必ず問題文の中に埋まっているのであり、
いかに上手く掘り出せるかが、正答と誤答の分かれ目になります。
具体的には、「読み飛ばし」と「誤読」を避けることが大切です。

試験では、常に残り時間を意識せざるを得ないので、
焦りの気持ちが働きやすくなります。
このため、問題文に向き合うと「急いで読まなければ!」と思ってしまいます。
これが重要箇所を読み飛ばしてしまうことにつながるのです。

例えば、実技試験であれば、1つの問題の中に、
解答すべきことが複数あることは珍しくありません。
もし、3つ解答すべきところを2つしか解答できなければ、
当然ながら、減点は避けられないわけです。
また、問題文の指示を読み飛ばしてしまえば、
「実力的には解けている問題」であるにもかかわらず、
指示違反で正答から外れた答案になってしまう恐れもあります。

問題文の誤読も、焦りによって誘発されやすいです。
気持ちが急くあまり、問題文を自分の都合の良いように解釈することや、
過去問題と同じことを問われていると早合点してしまうことがあります。

もちろん、試験中の時間配分を考えることは大切です。
しかし、問題文の読み取りが不十分なまま、慌てて解答欄を埋めても、
それが得点につながらないのであれば、それこそ時間の無駄です。

何を問われているのかを正確に把握するため、問題文をじっくり読み込む。
必要であれば、繰り返して問題文を読み込み、
重要だと思った部分には、線や囲みを入れて、注意喚起をする。
こうした形で、問題作成者と対話をするような形で解き進めていきましょう。




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244、気象予報士試験に合格する人の特徴(その3)
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【特徴3:学習量の変動が小さく、安定的に受験勉強を続けている。】

気象予報士試験は、毎年1月と8月に行われますので、
受験生にとって、年末年始とお盆の時期を、
勉強のラストスパートに費やすという方が多いことでしょう。
試験前に、受験勉強を集中的に行うことはよくありますが、
これが行き過ぎると、いわゆる「一夜漬け」のパターンになってしまいます。

気象予報士試験は、短距離レースではありません。
人によって少し違いはありますが、中距離または長距離のレースです。
にもかかわらず、短距離走の感覚で試験の準備を行っても、
望ましい成果をあげにくいことに留意される必要があります。
ボルト選手のようなスピードで42.195kmを走り抜くことは不可能です。

中・長距離レースでは、ただ全力疾走すれば良いというのではなく、
自分のペースを把握し、それを長い時間にわたって維持することが大切です。
この試験の準備も同じで、試験日直前にどれだけ猛勉強したかよりも、
期間全体でどれだけの学習を積み上げられたかのほうが重要です。

ここで、1年間で最も勉強量の多い月における勉強時間をA、
1年間で最も勉強量の少ない月における勉強時間をBとし、
AをBで割ったものを「学習量変動指数」とでも名付けることにします。
仮に、毎月の学習量が全く変わらないのであれば、指数は「1」になり、
数値が大きいほど、波(ムラ)のある学習だということになります。
体調不良などの特別な事情がない限り、
学習量変動指数は「3」より小さな数値が望ましいと私は考えています。

この数値が極端に大きくなるケースは、
試験直前の1月や8月の学習量が多いのに対して、
試験直後の2月や9月の学習量が非常に少ない場合です。
「10」とか「20」といった値になる受験生もおられるかも知れません。
学習量の変動が大きすぎるのは、受験にとって不利です。

なぜなら、試験直前の受験勉強がキツ過ぎると、
その反動で試験後の勉強再開のエンジンがかかりにくくなり、
結果として、次の試験準備に出遅れてしまいがちになるからです。
すると、出遅れてしまったことへの焦りで、
再び短期集中型の受験勉強になりがちですが、
結局のところ、トータルで充分な学習量を確保できずに、
望むような結果が出ない、という悪循環に陥る場合があります。
多くの時間や労力を投入しているのに、
その投入の仕方が適切でないために合格を逃すことは勿体ないことです。

試験日の後は少し休みたくなりますが、
クールダウンし過ぎると、立ち上がりに大きなエネルギーを要します。
合格発表日まではエンジンがかかりにくいことも事実ですが、
合格していたとしても、勉強すること自体は決して無駄ではありません。
(合格後も多くの気象予報士の方々が研鑽を重ねておられます。)
翌年1月試験に挑む受験生にとっては、
9月にどれだけ足腰を鍛えられるかが重要なところだと思います。




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245、気象予報士試験に合格する人の特徴(その4)
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【特徴4:基礎事項の学習を重視している。】

「名門」と呼ばれる吹奏楽部では、楽器の練習だけでなく、
腹筋などの筋力トレーニングにも力を入れているそうです。
筋力や体力をアップさせることで、より良い演奏ができるのですね。
そう言えば、私が高校で野球部に入っていたときも、
ピッチャーだけは全体練習から外れて、グラウンドの端でよく走っていました。
事情を知らぬ人が見れば、走塁練習ばかりしているのか?と思われそうですが、
足腰を鍛えることこそが、投球にとって大切だということなのです。

休日にゲームをするだけの草野球投手であれば、
黙々と下半身トレーニングを続ける人は、極めて少数派でしょう。
大多数のピッチャーは、ウォーミングアップもそこそこに、
キャッチボールを始めるのではないでしょうか。
どちらが良いかということではなく、娯楽と求道の違いなのだと思います。
「楽しみたい」だけでなく、「試合で勝ちたい」という目的もあるのなら、
地道な基礎練習にも精を出さねばならないということです。

気象予報士試験においても、似たようなことが言えます。
「趣味として味わいたい」「気分転換のためにやっている」というだけなら、
いきなり過去問題に取り組むのが良いでしょう。
答えが出ようと出まいと、すぐに解答や解説を見れば、
それだけで、普段とは異なる世界の空気を感じることができるはずです。
1つの余暇の過ごし方として、面白いことだと思います。
しかし、「記念受験ではない。本気で合格を目指すのだ。」ということなら、
投手が黙々と足腰を鍛えるようなトレーニングが必要です。

過去問題演習というのは、一定の基礎力を付けた受験生が、
実力を査定したり、実戦的な知識の活用法を学んだりするための教材です。
「過去問題は過去の本試験の問題なのだから、
 過去問題を使って受験勉強をするのが、最も効率的ではないか?」
それは確かに正しいことなのですが、基礎力が備わっていなければ、
過去問題を使って適切なトレーニングなどできません。
極端な言い方をすれば、自転車に乗れない人が、
自転車に乗って走行トレーニングをするのと同じです。
自転車の場合であれば、自転車に乗れないことに自分で気が付きますが、
過去問題演習は、解説に目を通すと、何となく分かったような気になり、
理解を省いた強引な暗記で、レベルアップしたような錯覚を覚えるので、
適切な受験勉強ではないことに、気が付かない場合もあるのです。

まずは、受験勉強の土台をしっかり築くことが大切です。
温度風の問題が解けないなら、「温度風とは何か」についての学習が必要です。
温度風の概念が分からないのであれば、地衡風についての学習が必要です。
地衡風の概念が不十分なら、気圧傾度力やコリオリ力の学習を固めましょう。
理解できない事柄に出くわせば、理解できる内容まで戻って、
学習をやり直せば良いだけの話です。

「今さら後退するのはイヤだ」と強引に進めれば、
「分からん」→「分からん」→「分からん」の連続で、
やがて、受験勉強そのものがイヤになります。
「分かる」→「分かる」→「分かる」で進めていくからこそ、
少しずつ実力を高めていけるというものです。
何よりも、「分かったぞ!」という感覚は、本当に気持ちが良いですよね。
基礎事項の学習で、納得を積み重ねていかれることが大切です。




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246、冬試験に向けての学習
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先月に試験が終わったばかりですが、
現時点で来年1月に予定される次の試験まで約4か月であり、
すでに受験モードで走り始めている方は多いです。

夏試験〜冬試験までは期間が短いのが特徴です。
翌年に試験が行われるということもあって、まだまだ先のような感じがしますが、
8月試験に置き換えてみれば、今は4月末に該当します。
合格発表の直前ですので、感覚的には3月初旬くらいに思えますが、
残り時間を考えますと、すでにゴールデンウィークの時期だということです。

そのうえ、この期間は年末年始を挟んでいます。
正月休みに受験勉強に集中される方は多いですが、
年末は仕事を片付けたり、忘年会に参加したりということで、
充分な学習時間を確保できないことも想定されます。

試験勉強には、基礎学習と過去問題演習という2段階がありますが、
遅くとも11月中には、基礎学習に一定の目処を付けておくことが大切です。
その後は、過去問題演習を中心とした実戦的な学習で、
実力を積み重ねていかれるのが良いでしょう。

なお、試験までの時間が短いことから、
科目を絞って勉強されるのも1つの作戦です。
科目数が多くなるほど、1つの科目に費やせる時間が短くなり、
充分に勉強できなくなる恐れがあるためです。
学習進捗によっては、当初の目標を修正するなど、
軌道変更の可能性も念頭に置かれたほうが良いです。

9月も終わりとなり、これからは勉強に適した季節です。
寒くなる時期までに、集中して学習に取り組んでいきたいところです。




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247、この勉強法で良いだろうか?(実技試験編)
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気象予報士試験には、学科試験2つと実技試験があります。
いずれの試験も合格までの道のりは険しいものですが、
特に最も難度が高いのは、実技試験だと私は思います。

知識や資料をもとにして、自分の言葉で答案を紡ぐという過程は、
多肢選択式のマークシート試験では必要としないものであり、
実技試験の勉強で、大きな壁を感じた方も少なくないです。

中には、「努力しているのに結果が出ない」という方もおられるかも知れません。
苦戦されている理由は、受験生によってさまざまですが、
学習の方法に原因がある可能性も考えられます。
努力の仕方が適切でなければ、思うように実力を高めていくことは困難です。
適切な方法ではないと私が考える事例を5つ挙げてみます。


1.問題をやり終えた後に、解答例を見て、これで演習完了。

緻密な答案分析こそが、問題演習の要です。
分析を行うからこそ、改善点が炙り出され、
それを解決することで、実力の階段を昇っていくことができます。
問題をやりっ放すだけというのは、例えてみれば、
焼魚の骨を取り除いただけで、身を食べずに捨てているようなものです。


2.とにかく75分の制限時間厳守。問題文はフィーリングでパパッと読み取る。

「フィーリング」といえば聞こえは良いですが、
題意の把握が雑なだけで、当てずっぽうで解答しているに過ぎないです。
実技試験における得点を高めるためには、
打率(どれだけ題意に沿った答案が書けるか)を上げることが大切であり、
そのためのカギは、問題文の精読にあります。

そもそも、75分の制限時間というのは、
合格される方でも「かろうじて全ての問題に解答できる」くらいの時間であり、
中には、「手を付けられない問題が残ってしまった」と仰る方もおられます。
(それでも正答率が高かったから、合格を勝ち取られたわけです。)
上級者ならともかく、初・中級の受験生が演習で制限時間を設けても、
丁寧に問題と向き合えない、という弊害が大きいです。


3.過去の解答例の文章をひたすら丸暗記。似た問題にはそのまま解答。

解答例における言い回しを自分のものにすることは有効です。
例えば、天気図において、低温部が高温部に向かって突き出している部分を、
「温度場の谷」と呼ぶ、ということを知れば、語彙が増えます。
次の問題演習で役立つ可能性があるということです。
しかし、解答例そのものを丸暗記しても、
そのまま当てはめられるような問題が出る可能性は低いです。
つまり、つぎ込んだ努力に対するリターンが少ない勉強法です。


4.直近の過去問題は演習せずに、試験直前の腕試しに取っておく。

「腕試し」をしても、現在の実力が分かるだけのことです。
例えれば、ダイエットに取り組む人が頻繁に体重計に乗ることと同じです。
体重計に乗るという行為自体では、体重が減らないのと同じで、
腕試しをしても、実力が高まるわけではありません。
試験直前に自分の実力が分かったところで、特に意味はなく、
腕試しだけのために、直近の過去問題を温存するなど、勿体ないことです。
成すべきことは、この過去問題を使って、徹底的に自分の弱点を炙り出し、
少しでも実力を高めることにあります。


5.次の試験でどんなテーマが出題されるのか、時間をかけて丹念に予想しよう。

顕著な気象事例が起こった際に、注意を払っておくこと自体は大切ですが、
時間をかけて、予想をする(≒ヤマを張る)のは時間の無駄です。
もし、「○月○日の事例が出される」と分かっていたとしても、
実力を伴っていなければ、出された問題は充分に解けません。
ということは、過去問題演習のほうが受験勉強の優先度は高いということです。




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248、寝不足で勉強しない。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 睡眠時間を削って勉強することはせず、
> 生活時間内でなんとか勉強時間を確保するようにし、
> できない日は思いきって休み、
> その分翌日はしっかりやるようにメリハリをつけていました。

(Bさん・30代・女性・大阪府・第42回気象予報士試験合格)

私も学生時代には、夜を徹して遊んだことがよくありました。
独り暮らしの友人宅に、安酒・つまみを持ち寄って集まり、
タバコの煙でモウモウになった部屋で、麻雀や人生談義に明け暮れました。
また、朝5時まで営業している京都のカラオケ屋で声が潰れるまで熱唱し、
鴨川の畔で朝日を眺めたことも数知れず。
体力の限界まで遊び尽くすのも良いものだなと振り返りますが、
朝に帰宅すれば、すぐ寝られるからこそ、ムチャもできたわけです。

しかし、寝る間を惜しんで遊ぶのはともかく、
寝る間を惜しんで勉強することは、お勧めできません。
勉強とは「未知」を「既知」に変える頭脳作業のことであり、
そのためには、しっかりと覚醒した頭で挑むことが不可欠だからです。

多少眠くても行えることは、遊び以外にもあります。
例えば、普段から手慣れている軽作業であれば、
ある程度の融通は利くことでしょう。

また、多少眠くても、しなければならない事情が控えていることもあります。
例えば、仕事において、顧客からの重大なクレーム対応など、
滅多に無いような特別な事情が迫っていれば、
心身に張り詰めた緊張感によって、眠気が押し潰されることになります。

しかし、気象予報士試験の受験勉強は頭脳格闘ですし、
切羽詰まった状況で進めるようなものではありません。
よって、眠気をこらえて取り組むのは、お勧めできないのです。

Yahoo!で「受験勉強」と入れて画像検索をしてみますと、
鉢巻きを締めて汗をかきながら奮闘するイラストがたくさん出てきます。
おそらく、これが多くの人が持つイメージであると思いますが、
「受験勉強」=「無理を押し通すもの」という受け止め方があるのなら、
それは認識を改めたほうが良いと私は考えます。

「4当5落(→5時間も寝ている者は落ちる、の意)」などのように、
受験勉強の世界では、短時間睡眠を煽るスローガンも目にします。
しかし、気象予報士試験のように、長期戦が標準スタイルとなる試験では、
いかに長く走り続けられるかが勝負を決めます。
マラソンで格好良いのは、スタート時に粋がって1人で飛び出すことではなく、
ゴールで待つ観客の前で、力走する自分の姿を見せることだと思うのです。

特に社会人受験生の場合、勉強時間の確保に苦労することが多く、
ついつい夜遅くまで学習に励む方もおられると思います。
適正な睡眠時間には個人差がありますが、決して無理は禁物です。
眠い頭では、学習内容がキチンと入りません。
眠気をこらえて3時間頑張るよりは、しっかりと寝たあとで、
翌朝に1時間頑張ったほうが、効率的かつ健康的です。
睡眠時間をむやみに削るのは禁じ手であり、
それを行うことなく、いかにして勉強時間を捻出するかが大切です。




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249、背中をつついてくれる人を味方にする。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 職場などで気象予報士を目指していることを公言するのも有効だと思います。
> プレッシャーにはなりますが、「言った以上は合格しなければならない」
> と勉強を続けるきっかけになりました。
■Dさん(30代・男性・会社員・第42回気象予報士試験合格)


> 第41回試験で不合格だった時は、
> 非常にショックで合格発表後なかなか受験勉強に戻れませんでした。
> しかし、この時藤田先生に勉強量の不足をビシッと指摘して頂き、
> ようやく目が覚めました。
■Cさん(21歳・女性・大学生・第42回気象予報士試験合格)


ブログが世に広まってから、すでに10年以上が過ぎています。
誰でも簡単に始められることも、爆発的に広がった理由の1つですが、
読者がコメントを書き込むことができるという点も、重要ですね。
自分の書いた記事に対して、読者から反応が得られるのは嬉しいことで、
単なる「写真付き公開日記」であれば、ここまで流行らないと思うのです。
人間は他人の目を意識せずにはいられないということですね。

受験勉強についても、似たようなことが言えるのだと私は考えます。
「他人の視線」を、自分の背中をつついてくれる存在にできれば、
勉強を進めるうえでプラスになります。
「気象予報士の資格を取るって言ってたけど、あれどうなってる?」
と言ってくれる人が周囲にいれば、そう簡単に投げ出すわけにはいきません。

もちろん、受験について誰にも公言せず、
黙々と勉強を進めるのも1つの方法です。
中には、ご家族にも内緒でコツコツと取り組み、
合格を勝ち取った時点で、アッと驚かせた方もおられます。
こういうのも、なかなか格好良いですね。

しかし、この方法ですと、受験勉強に挫折しかけたときに、
自分の力のみで這い上がる必要があり、かなり大変です。
挫折を誰にも知られないのは気楽なことである一方、
誰も助けてくれないのは寂しいことです。

いずれの方法が適切であるかは、受験生の性格にもよると思います。
周囲の反応を気にせず、我が道を拓くタイプの人は、
他人に背中をつついてもらう必要性が低いです。
周りの人たちが笛を吹いてくれたほうが楽しく踊れるタイプの人は、
「受験生宣言」をされたほうが良いと思います。

また、気象予報士の資格を持っている人が周囲にいれば、
自分の学習状況を相談することも有益です。
受験勉強は、意外に「井の中の蛙」であることが多いもので、
当人としては一生懸命にやっているつもりであっても、
合格者から見れば、「その量では圧倒的に足りない」とか、
「この方法では非効率だ」といったことに気付く場合があります。
積み重ねた努力が適切な形で報いられるために、
アドバイスを積極的に求めることは大切なことだと思います。




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250、正答率の高い問題を落とさない。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 本番では時間を気にして問題文をよく読まないで
> ケアレスミスを犯してしまうことがよくあります。
> (前回の試験はこれで落ちたような気がします。)
■Eさん(50代・男性・公務員(技術職)・第42回気象予報士試験合格)


> 落としてはいけない基礎的な問題を確実に解答できたことが
> 勝因につながったのではないかと思います。
■Bさん(30代・女性・大阪府・第42回気象予報士試験合格)


次の試験まで残り約2か月となり、
実技試験の過去問題演習に勤しんでいる受験生の方も多いと思います。
さて、メルマガ読者の皆様は、「実技試験に合格する受験生」に対して、
どのようなイメージを抱かれているでしょうか?

これまで出題されたことの無いような難しい問題が出されても、
短時間で答案を導き出し、解答用紙の上でスラスラと筆を走らせる。
そんな受験生になれたら、と誰しも願うわけですが、
それは平均的な合格者像ではないです。

初見の問題や資料を目の前にし、周囲の受験生による筆記音に焦りつつ、
残り時間が迫ることを気にしながらも、問題に集中しようと懸命になっている。
合格を勝ち取られた方の多くは、そういった「普通の受験生」です。
問題量が多いゆえに、最後まで解き終えることができなかったり、
思ったほどの手応えを感じられなかったりすることも、
実はそれほど珍しいことではありません。

では、合否の差はどこで生じたのかといいますと、
難度のそれほど高くない問題での正答率の高さにある、と私は考えます。
「難しくない問題で正答できるのは当たり前」と思われるかも知れませんが、
その「当たり前」が決して簡単では無いことは、
毎日のように受験生の答案を目にしている私だからこそ、断言できることです。

つまり、実技試験での勝因を野球に例えれば、
打ちにくいクセ球をスタンドまで運ぶようなバッティング技術ではなく、
どストライクの直球を着実にバットの芯に当てて、
鋭く打ち返すことが求められているということです。

最近の実技試験での合格率は6割台前半のことが多く、
これは全体の3分の1を落としても、合格できることを意味しています。
「過去問演習が役に立たない問題が出れば、どうすれば良いのか?」
と恐れる前に成すべきことは、
「きちんと過去問演習すれば解ける問題」を着実に解けるよう、
基礎学習や問題演習を充実させることだと思います。




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251、誘惑を遠ざける。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 勉強時間の捻出には、日常の中で浪費している時間を洗い出す事が重要だと思います。
> 自分は「ネット」に費やす時間が多かったので、そこを中心に削りました。
> (人によっては「ゲーム」や「酒」などの時間も削減の対象になろうかと思います)
■Iさん(30代・会社員・第42回気象予報士試験合格)


小学校のときだけですが、私は勉強が良くできました。
中学校以降は全くダメになってしまい、
大学卒業時にも単位取得のために冷や汗をかくことになるのですが、
とにかく小学校のときは、わりと勉強ができたのです。

その理由を後から振り返ってみますと、
誘惑の少ない環境が大きかったように思います。

当然ながら、当時(バブル景気の頃)はスマホもネットも無く、
大流行したのは、任天堂のテレビゲーム機「ファミコン」です。
私が小学生だった当時、家にはファミコンがありませんでした。
商店の抽選会で、人気ソフト「ドラクエ4」が当たったのですが、
ハードが無いのに、ソフトだけ手に入っても、意味は無く、
結局、誰かにあげてしまった記憶があります。

また、友達の家に遊びに行くと、「ここはマンガ図書館か?」と思うほど、
本棚にギッシリとマンガが揃っていて、驚いたことがあります。
私の家にも『ドラえもん』はあったのですが、
数が少なく、それを弟と奪い合って読んだものですから、
いつの間にかカバーは無くなり、本自体もボロボロにくたびれていました。
台詞を全部覚えるくらいまで読み尽くした後は、
そのマンガを紙に模写して遊んでいました。

家の中での大きな娯楽といえば、テレビです。
アニメもよく見ましたが、我が家には1台しかテレビが無かったですから、
子供向けの番組ばかり見るわけにはいきません。
レンタルビデオはすでに登場し、家の近くにも店はありましたが、
実際に私がビデオソフトを借りたのは、高校生になってからです。

もし、ファミコンがあり、本棚にはマンガが溢れかえり、
自分専用のテレビとビデオデッキがあったとすれば、
私は学校の宿題が手に付かなかったように思います。
娯楽があまり無かったからこそ、「宿題でもやっとくか」となるわけです。

また、我が家にはマンガ以外の本も少なかったので、
学校で新しい教科書をもらうのが楽しみでした。
それを読んで時間を過ごすということは、
知らず知らずのうちに予習をしていることになるわけで、
これも学校の勉強にプラスに働いたと言えます。

あれから四半世紀が過ぎた今、当時よりも娯楽となるものが多いと感じます。
例えば、スマホ1つあれば、いくらでも楽しい時間が過ごせそうです。
しかし、楽しみが大きいことは、受験生への誘惑も大きいことを意味します。
没頭すれば、どんどん時間は流れていき、
そのぶんだけ受験勉強の時間が削られてしまうことになります。

娯楽が制限された研修所に放り込まれて、受験生活を送ることができれば、
勉強にも集中できるでしょうが、現実的ではありません。
楽しいことが溢れかえっている環境で、合格を目指すためには、
自分自身で誘惑を遠ざけねばならないのです。

今、自分にとっての楽しみは何かを洗い出してみて下さい。
そのうえで、娯楽時間の一部を削って、勉強時間に充てるのが良いでしょう。
たくさん削るほど、より多くの勉強時間を確保できますが、
全部削ってしまうと、息抜きができなくなり、
受験生活そのものが頓挫してしまう恐れがあります。
いくらかは残しておくことも大切だと思います。




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252、年末年始を有効に活用する。
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早いもので、次の試験まで残り約1か月となりました。
すでに試験勉強は、仕上げの段階に入っていると言って良いでしょう。
年末年始には、普段よりも勉強時間を多く確保できる方が多いと思います。
受験勉強において、まとまった時間を確保することは大切です。

もちろん、5分・10分といった細切れ時間も、
暗記事項の反芻など、すでに習得した知識の確認には有効に使えますが、
未学習の分野を切り拓くような学習には不向きです。
丁寧に論理を辿って、理解を積み重ねていくためには、
どっぶりと没頭できる長い時間が必要なのです。

多くの受験生にとって、年末からお正月にかけての時期は、
こうした貴重な学習時間を確保しやすいと思います。
コタツに入って箱根駅伝を観るのも良いものですが、
10人の選手がたすきを繋いでいる時間を、勉強マラソンに充てるのも、
受験生らしい正月の過ごし方かな、と思います。

さて、間もなく年末年始を迎えるわけですが、
次の試験のために立てた目標が妥当であるのかどうかを、
現時点で確認しておかれることをお勧めします。
夏〜秋に掲げた目標に向かって、順調に走り続けることができていれば、
もちろん、このまま突っ走るだけなのですが、
想定よりも進捗が遅れている場合は、軌道修正を検討されたほうが良いです。
例えば、学科2科合格を目標にしていたものの、
当初の学習計画において未達部分が多いのであれば、
一般知識試験だけの合格に目標を絞り込むべきです。

一度立てた計画を修正すること、特に下方修正することには、
気持ちのうえで、大きな抵抗感が生じることもあるでしょう。
年末年始休暇を利用すれば遅れを挽回できる、と思えば尚更です。

しかし、試験までに残された時間は、決して多くないので、
残り1か月でできることを過剰に見積もるべきではないと私は考えます。
現時点で勉強に明らかな遅れが生じていれば、少しでも試験の成果を出せるよう、
合格目標を絞るという「勇気ある決断」が大切だと思います。




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253、余裕のある学習計画を立てる。
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2年前のクリスマスシーズンのことです。
娘たちが希望するプレゼントは、「ジュエルポッドダイヤモンド」という、
スマートフォン風のおもちゃでした。

12月に入ってから、あちこちのお店であたってみたのですが、品切ればかり。
何点か入荷するという情報が事前に入ると、
開店前から行列ができ、すぐに売り切れてしまうのだそうです。
ある店で商品が売られているのを見つけたのですが、
不人気のおもちゃとの抱き合わせ販売になっていて、諦めました。
プレゼントのためとはいえ、不要な物まで買うわけにはいきません。

ネット通販のAmazon(アマゾン)で調べてみますと、
ジュエルポッドが売られていましたが、標準価格よりも高くなっていました。
しかも、クリスマスが近づくにつれて、ますます高騰していったのです。
普段であれば、6,000円程度で買えるはずなのですが、
付いている値段は10,000円を超えていました。

サンタとして厳しい立場に追い込まれました。
クリスマスシーズンを過ぎれば値段は下がるはずだから、
プレゼントを渡すのは正月明けにしようか。
いや、それではクリスマスの意味が無い、
余計なカネを使ってでも、ジュエルポッドを確保するべきではないか。
いずれとも決断できずに、どんどん日が近づいていきました。

結果的には、クリスマス直前の段階で、Amazonに商品が入ったため、
その機会に、標準的な価格でジュエルポッドを手に入れることができました。
(それらが短時間で売り切れた後、また値段がつり上がっていました。)
サンタとしての役目を何とか無事に果たせたわけですが、
時間に余裕を持って準備することの大切さを感じました。

気象予報士試験においても、似たようなことが言えると思います。
2015年がスタートして、「今年は気象予報士試験に挑戦したい」と、
心に決められた方もおられることでしょう。
まずは8月に予定される試験で、一般知識試験の合格を目指したいところです。

真冬の寒い時期に、厳しい暑さの8月をイメージするのは難しいですが、
必要な学習量を考えますと、今からスタートされるのが良いのです。
夏に収穫したい作物は、冬のうちに種を蒔いておかねばなりません。

何かをスタートさせるとき、大変なのは最初の一歩を踏み出すことです。
荷車を押すときに最も力が必要なのは、動かし始めるときですね。
一度車輪が動けば、それほど大きな力が無くても、回り続けます。
面倒くさい仕事でも、手を付ければ、それなりに進んでいくのと同じです。

今の時期は年の初めということで、学習計画を立てる方も多いと思います。
立てた計画を上手く進めるコツは、予定を緩めにしておくことです。
「これなら、前倒しで計画が達成できそうだ」と思えるくらいが適切であり、
実際に、前倒しで勉強を進めていっても良いのです。

学習計画が頓挫してしまう原因の1つとして、
無理なスケジュールを積め込んでしまうことが挙げられます。
「これくらいやれるはずだ/これくらい頑張るべきだ」という気持ちで、
キツめの学習計画を立ててしまいがちです。
しかし、現実には、いろいろな理由で勉強できないこともあるわけで、
それが続くと、未達のままカレンダーが進むことになります。
「1か月前にする予定だった勉強がまだできていない。」となってしまいます。

不思議なもので、同じように勉強していても、
「予定を前倒しする形で進めている」という状況と、
「未達の予定に追われながら進めている」という状況では、
受験勉強に取り組む気持ちが大きく変わってきます。
お金に例えてみれば、前者が「貯金の増加」で、
後者が「借金の返済」だともイメージできます。
達成できていない計画が、あまりにも大きくなってしまった段階で、
勉強を続ける意欲が失われ、長期休止に追い込まれることになります。

ですから、余裕を持った学習計画を立てることが求められるわけであり、
そのためには、学習期間を長めに設ける必要があります。
「時間」に忙しい人であるほど、「期間」を味方にして、
受験生活を進めていかれることが大切です。




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254、試験当日のために行っておきたい準備
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試験まで残り数日となり、多くの受験生は不安を抱えておられることでしょう。
難関試験にチャレンジするのですから、心細い気持ちになるのは当然です。
「もっと勉強しておけば良かった」と思われるかも知れませんが、
残り時間を考えれば、これからの実力の伸びしろは僅かです。
逆に言えば、昨夏の試験終了後から継続して頑張ってきた方は、
その足跡に自信を持つことができるはずです。
「あとは、実力を出し切るだけなんだ」と。

試験日を直前に控えた今、受験勉強以外の「試験対策」こそが、
当日に力を発揮するために大切であると考えます。

まず、試験会場までの経路を確認しましょう。
特に、初めての会場であれば、事前の下見が望ましいです。
そこまでの時間的余裕が無い場合であれば、
インターネットなどを使って、乗換や道のりなどを確認しておいて下さい。
冬の試験ですから、会場の場所によっては、
雪による交通機関の乱れが生じる可能性があります。
できれば、第2・第3のルートも想定しておいたほうが安全です。

そして、当日は時間にゆとりを持って試験会場に向かいましょう。
「深夜遅くまで詰め込み学習→寝坊して直前に会場に駆け込む」などは、
自分で合格を捨てるような行動パターンだと、私は考えます。
最高のパフォーマンスを発揮するには、たっぷりの充電(睡眠)が必要です。
早めに試験会場に着き、のんびりと熱い缶コーヒーでもすすりながら、
他の受験生を観察するくらいの余裕で臨むのが理想的です。

そして、筆記用具の確認をしましょう。
シャープペンシルをお使いになる方が多いと思いますが、
芯が無くならないように、補充しておく必要があります。
また、途中でなくしたり、何らかのトラブルが発生したときに備えて、
予備のシャープペンシルや消しゴムを用意しておけば安心です。

教室で参考書や問題集などを広げている受験生も多いですが、
試験本を目にすると、かえって気持ちに焦りが生じてしまう方は、
マンガ雑誌などを捲っていても良いのです。
理解して習得した学習内容は、マンガを読んだくらいで抜けるとは思えません。
大切なのは平常心を維持できるように心がけることです。




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255、休息から抜け出す。
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明日は節分ということで、1年の中で最も寒い時期ですね。
朝、布団から出るのが辛い季節でもあります。
でも、目が覚めているのに、寒いからといって布団の中にうずくまっていると、
貴重な朝の時間を浪費してしまうことになります。

試験が終わった後は、少しのんびりしたいものですね。
もちろん、充電をすることは大切ですが、
その期間が長すぎると、「充電」のはずが「放電」してしまうことになります。
特に、1月試験〜8月試験の期間は、
8月試験〜1月試験の期間よりも2か月ほど長いため、
休息時間が長くなってしまいがちです。
寒い朝に思い切って布団から飛び出すのと同じように、
次の試験に向けての準備を始めることが大切です。

1つの区切りは、気象業務支援センターから正式な解答例が発表される日です。
試験が終わって10日ほどすると、ホームページに問題と解答例が掲載されます。
「怖いので解答例は見たくない」という方もおられますが、
解答例を見たからといって、自分の書いた答案が変わるわけではありません。
もちろん、得点が上がることも下がることもありません。
自分の解答した内容を思い出しながら、試験を振り返ることが大切です。

解答例を照らし合わせた結果、「どうやら合格してそうだ」と思われれば、
3月の合格発表日を心待ちにしたいですね。
一方、「ちょっと厳しいようだ」とお感じになった場合は、
気分を切り替えて、走り始めることが大事です。
まず、今回の試験問題をじっくりと分析していきましょう。
本試験ではないのですから、時間をかけて問題に向き合えば良いのです。

今回の試験を受けられた受験生の中には、
準備不足を痛感された方もおられることでしょう。
前述のとおり、8月試験〜1月試験の期間は短いうえに、
年末の忙しい時期を挟むために、勉強時間を確保しにくいです。
間際になってから慌てて問題演習に取り組んでも、
基礎事項の学習がキチンとできていなければ、
問題に対する十分な理解が得られず、その場しのぎの暗記に偏りがちです。
これでは、本試験での対応力は充分に養えないと考えます。

「もう少し丁寧に勉強しておけば良かった」という後悔は、
次の試験に向けてのエネルギーに転換させるべきです。
これから5月頃にかけて基礎事項の学習・確認を行っていき、
その後は、過去問題演習を中心とした実戦的な学習を行われると良いでしょう。
スタート時期によって、総勉強量に大きな違いが出てきます。




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256、合格体験記から課題解決法を学ぶ
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検索サイトで「気象予報士試験 合格体験記」とでも入れてみますと、
いろいろな合格体験記を目にすることができます。

ネット上で見ることのできる合格体験記は相当な数に上り、
漫然と眺めているだけでは、時間を浪費してしまう恐れがあります。
受験生として、合格体験記を活用することを考えた場合、
「体験記の筆者が抱えていた課題と、その解決法」
に着目することが重要です。

常に順風満帆で、気象予報士試験に合格した人を私は知りません。
多かれ少なかれ、受験生時代に「壁」を経験しておられます。
しかし、その「壁」を最終的には乗り越えることができたからこそ、
「『合格』体験記」という形になっているわけです。

つまり、合格を勝ち取られた受験生の多くは、
受験勉強の過程で生じた障壁の存在に悩み、
その障壁をぶち壊す手法を見つけることで、合格に至っています。
生じた課題と、その解決法の両方が載っている作文こそが、
合格を目指す受験生にとって、有益な合格体験記である可能性が高いです。

言い方を変えれば、「合格体験記」には「受験失敗記」が含まれているのです。
ただし、単に「○○が原因で落ちました」で終わっているのではなく、
失敗を繰り返さないための対策をとったことで、合格を勝ち取っています。
その対策法を具体的に記してある体験記は、
同じ課題を抱える受験生にとって大いに参考になるはずです。
「失敗」→「課題の解決」→「合格」という流れに着目してみて下さい。

受験生の皆さんが合格体験記をお読みになる場合、
「自分にとって合格を阻む壁は何か?」を分析されることをお勧めします。
(この点が曖昧であると、同じ失敗を何度も繰り返す原因になります。)
そのうえで、似たような課題に悩まされていた元受験生の体験記に出会えれば、
その解決手法に学べることは大きいです。




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257、合格で得られる自信がある。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ずっと劣等感を持っていた自分が今は気象予報士です。
> とても信じられない気持ちです。
■積乱雲さん(ペンネーム・20歳・男性・浪人・奈良県・第42回試験合格)


「合格という形で、受験勉強を締めくくってほしい」と私はよく言います。
受験対策の講師という立場上、数多くの合格者に接してきました。
その方々の大半は、かつて「今回はダメでした」「今回もダメでした」という、
合格を勝ち取れなかった受験生だったのです。
過去の敗戦を知っているだけに、勝利の喜びも大きいです。

一発合格することが極めて困難な気象予報士試験において、
ほとんどの合格者は、以前の試験の不合格者の中から生まれます。
受験勉強の苦労を吹き飛ばすために、合格に勝るものは無いように思います。

例えば、世の中には資格取得を趣味にしている方がおられますが、
それは「合格の嬉しさを味わいたい」という理由もあるのだと想像します。
当然ながら、その関門が狭いほど、突破したときの爽快感は大きいはずです。

私の場合、合格によって得られたのは大きな自信でした。
今から19年前のことです。
当時高校2年だった私は、学業もスポーツも冴えない生活を送っていました。
エスカレーター式で大学進学できるという環境で、すっかりダラけてしまい、
学校の勉強は、まるで手が付かない状態でした。
一方、運動センスが無く、野球部ではベンチウォーマーのまま。
外野フライを取り損なって、顔面にぶつけることが2回あり、
眉間には今も当時の傷が残っています。
「文武両道」という言葉が、眩しすぎました。

そんな私が気象予報士試験に合格したことで、
「確かに学校の勉強や野球はダメダメだが、この分野だけは胸を張れる」
という自信を持つことができました。
それから僅か2年半後、幸いにもテレビ出演のお仕事をいただけましたが、
合格をきっかけに、自分の中で何かが勢いづいたような気がします。

気象予報士試験の合格率はとても低く、合格に至る道は険しいです。
合格者の中には、かなり受験回数を重ねた方もおられます。
試験で失敗することは辛いことですが、気象予報士になりたいのであれば、
簡単に諦めてしまうのは、勿体ないことです。
当然ながら、早く合格できるに越したことは言うまでも無いのですが、
合格時期の違いは、合格から時間が経つほどに差が小さくなるのだと、
気象予報士として20年目を迎える私には感じられます。




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258、遠くの山を見ながら一歩ずつ歩き続ける。
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4月はテレビやラジオの番組改編がよく行われる時期です。
当塾を経て気象予報士資格を取得された3人の方からそれぞれ、
気象キャスターとして新たに番組を担当するという、お便りをいただきました。

いずれの方も、受験生時代に奮闘されていました。
気象予報士試験に合格するため、懸命に努力を重ねておられた当時に、
今のような道が拓けることを想像するのは難しかったと思いますが、
ご質問や添削のメールを振り返ってみれば、ほんの数年前のことなのです。

「試験を突破すること」と「気象業界で仕事を得ること」という2つには、
質の異なる難しさがあります。
もちろん、強く願ったからといって、簡単に叶うことでは無いのですが、
「その道に進みたい」という気持ちを固めることは、
目標を実現するための必要条件のように思います。

昨日と今日を比べてみると、何の変わりも無いように見えます。
言い換えれば、両者の差であるΔxは0に等しいように感じられます。
もちろん、何もしなければ、Δx=0なのですが、
歩き続けている限りは、Δx=0ではありません。
Δxがとても小さいので、0のように思えてしまいますが、
何度も何度もΔxを足し合わせていけば、やがて大きな変化が現れます。

テレビで目にする気象キャスターは、
最初からそのポジションにいたように見えてしまいます。
それは、その人の変化を知らないことによる錯覚に過ぎません。
実際は、受験生からΔxを足し続けた結果として、
今、カメラの前で活躍しているのです。

この事実は、現時点で受験生として勉強している人にも、
やがて、大きな変化が生じる可能性があることを意味しています。
気象予報士試験に取り組む動機は、人それぞれだと思いますが、
いずれであっても大切なことは、Δxをできるだけ大きなものにすることと、
そのΔxを足し続けることだと思います。




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259、過去問題演習で思考パターンを蓄積する。
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実技試験の勉強において、「丸暗記はダメ」と私はよく言います。
しかし、誤解の無いように申し上げておきますと、問題を解くにあたって、
「常にゼロから思考するべきだ」という意味ではないです。

試験で合格できる理由は、短時間で多くの問題を正答できるからです。
限られた時間で、正答を積み上げていくことができる理由について、
具体例を挙げて、考えてみることにしましょう。

「1から100までの数を全て足すと幾つになるか」という算数の問題があります。
ここで、「1+2=3 3+4=7 7+5=12・・・」というふうに、
延々と足し算を続けていくと、かなり長い時間を要します。
「1から100までの数の和」なら、足し算の積み重ねでも答えを出せますが、
これが「1から1000までの数の和」であれば、制限時間内での解答は困難です。

この問題では、「1+100」「2+99」「3+98」・・・という、
足して101になる数が全部で50組できることに着目すれば、
101×50=5050 と解答を導くことができます。
この解法を習得すれば、「1から1000までの数の和」でも、
同じ要領で、長い時間をかけずに解くことができます。

ここで「1から100までの数の和は5050である」と暗記しても、
出題される数字を少しでも変えられてしまえば、お手上げです。
一般知識試験において、静力学平衡の式を丸暗記したうえで、
問題に出てきた数値を強引に突っ込むという行為も、これと大差は無いです。
また、実技試験の問題文に「低気圧の発達」と書かれているだけで、
「前面の暖気移流と上昇流が・・・」と答案を書き始めることも同様です。

大事なのは、解答に至るプロセスを充分に理解したうえで、
それを使いこなせるように習得する(=頭に入れる)ことです。
1つの思考過程のパターンが頭にしっかり定着すると、
同一の思考過程パターンが要求される問題は必ず解けます。
また、同種の問題で無くても、似た内容の問題であれば、
身に付けた思考パターンから類推する形で、解答を導けるようになります。
習得した思考パターンの数が多くなるほど、類推力も高まるように感じます。

つまり、過去問題演習を行う目的は、
こうした思考パターンを数多く頭の中に入れることにあります。
これは、「鍵をたくさん作ること」に例えることもできます。
数多くの鍵を持っているほど、ドア(問題)を目の前にしたときに、
差し込んで試せる本数が増えますので、ドアが開く可能性が高まるわけです。

実技試験で、過去7〜8年分の問題演習を丁寧に行うことを私が推奨するのも、
量的に充実しなければ、鍵(思考パターン)の数を増やせないからであり、
丁寧に演習して理解を深めなければ、本試験で役に立つ鍵を作れないからです。
演習で生じた疑問を、キチンと解決できなければ、
「思考過程の鍵」は不完全なままであり、類似の問題を解くのは困難です。
つまり、疑問の解消こそが、レベルアップのためには必須なのです。
学科試験であれ、実技試験であれ、過去問題演習に取り組まれる際は、
こうした点を強く意識されることが大切です。





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260、気象予報士試験の勉強を検討している学生の皆さんへ
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 普通の大学生らしく勉強よりアルバイトや遊びに精を出していました。
> それなりに楽しいですが、このまま学生生活を過ごすのも勿体無く、
> 何かに挑戦しようと思いました。
(■K.I.さん・21歳・男性・大学生・兵庫県・第43回気象予報士試験合格)


学生時代において、遊びやアルバイトに精を出すことも、
人生を豊かにする要素だと思いますが、
やはり、勉強に時間と労力を費やすことも大切ですね。

学校での勉強が充実していれば、それに越したことはありません。
しかし、分厚いシラバスを手がかりに受講登録をした授業を、
実際に受けてみると、それほど魅力を感じられないこともあります。
私自身にもそういった経験があり、出席が必須であった講座に対しては、
大教室の後ろで、授業とは関係の無い本を読んでいました。
そうしなければ、貴重な時間が無駄になると感じたのです。

また、学校の勉強自体には満足していても、
さらに違う種類の勉強にも挑戦してみたいという、
エネルギー溢れる学生さんもおられると思います。
気象予報士試験に挑戦することは、
そういった方々にとって、数多くある選択肢の1つになると思います。

しかし、気象予報士試験に合格するためには、
大きな労力と時間を投入する必要があることも事実です。
例えば、普通自動車の運転免許であれば、
集中して教習を受ければ、短期間で取得できることが多いです。
しかし、気象予報士試験の合格のためには、相当な学習量を要します。
軽い気持ちで、片手間で勉強を進めても、合格は難しいですし、
資格取得のための明確な動機(例:就職活動など)が無ければ、
長期戦の受験勉強には耐えられないことでしょう。
受験勉強を始めたからには、合格という形で締めくくってほしいので、
最初に試験難度の高さについては、十分に承知してほしいと思います。

そのうえで、この試験に挑戦する決意を固めた方は、
できるだけ早く学習を開始することをお勧めします。
忙しい学生さんは多いでしょうが、それでも社会人に比べれば、
時間的な余裕が大きいはずです。
つまり、集中した受験勉強の場を確保しやすいのであり、
こうした環境を最大限に生かして勉強すれば、
在学中に資格を取得できる可能性を高めることができるからです。




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261、情熱を持ち続けることこそ、合格のための必要条件だ。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 気象予報士の勉強において
> モチベーションを保ち続けることは非常に重要だと思います。
> 落ち込んだ時は、「気象予報士になってからの自分」を
> 具体的に思い描くと良いと思います。
> 夢を見るのは自由なので、なるべく大きいことを考えましょう。
> その方がわき出る力は大きいはずです。
(■N.Mさん・男性・42歳・公務員・関東在住・第43回気象予報士試験合格)


「文系でも合格できるのか?」
「学生時代、勉強が不得意だったので心配・・・。」
受験勉強を始めるにあたって、このような不安が湧き出すことがあります。

気象予報士試験は理科的な要素が強い試験ですので、
「理系のほうが圧倒的に有利に違いない」と思う方もおられるでしょう。
もちろん、受験勉強においてアドバンテージがあるのは事実です。
ただし、その差をフルマラソンに例えて感覚的に表現してみますと、
理科系の学習経験のある方は、5km地点からスタートできるという程度です。
つまり、残りの37.195kmは、他の受験生と同じように走る必要があり、
「理系だから楽勝」と言えるほどの優位性は無いです。

なぜなら、一括りに「理系」といっても、
その学習分野は細分化されているからです。
例えば、同じ理科分野である「天気(てんき)」と「電気(でんき)」は、
名前こそ似ていますが、学ぶ内容はまるで異なります。
もっと言えば、大学で気象学を専攻している場合であっても、
気象予報士試験のためには、追加的な学習が必要になるのです。
研究のための勉強と、資格取得のための勉強には、異なる部分も多いからです。

学生時代に勉強が得意だったことは、気象予報士試験に役立つと言えます。
それは、勉強の方法を身に付けているという点にあります。
「一定の時間を確保し、机に向かう習慣を付ける」
「基礎事項の学習を重視し、疑問点は解決することが大事」など、
受験勉強には、どの科目にも共通する基本的ルールがあります。
それを習得していれば、気象予報士試験の受験勉強にも当てはめることができ、
結果として、勉強を早く軌道に乗せやすくなります。

それを踏まえたうえで、敢えて強調したいことは、
学生時代に勉強が良くできたかどうかというのは、
気象予報士試験の学習過程で、それほど大事では無いということです。
なぜなら、合格への情熱を持ち続けることこそが、最重要だと考えるからです。

学生時代に成績優秀で、理科系科目が得意であっても、
気象予報士試験への意欲が無ければ、合格は困難です。
この試験のために、労力と時間を費やせる熱い気持ちを持っていないと、
合格を勝ち取ることは難しいと私は感じています。

資格試験ですから、試験には対策法が存在します。
もちろん、「100%受かる勉強法」といった魔法は無いと考えますが、
疑問点を潰していけば、1つずつ着実にレベルを上げていくことは可能です。
極端な話、分数の掛け算が分からないのであれば、
小学生の教科書からやり直せば良いだけです。
そうしたコツコツ勉強を支えるのが、資格取得への情熱です。
勉強に対するモチベーションがあれば、
どのスタート地点からでも、前へ進んでいくことができます。
合格を勝ち取るために最も大切で、決して失ってはいけないものなのです。




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262、自分に適した学習環境を考えてみる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 図書館の自習室を頻繁に利用しました。
> 自分が考えるメリットは、周りの目的意識を持った人たちに看過されることです。
(■Aさん・51歳・会社員・岐阜県・第43回気象予報士試験合格)


自習室利用の長所は、勉強に集中しやすい環境が整っていることです。
喫茶店やファミリーレストランでは頻繁に見られがちな、
大きな話し声・携帯電話の着信音・食べ物やタバコの匂いなども無いですし、
「いつまで席を占領していて良いのか」などと心配することもありません。
静かな空間のほうが、受験勉強に没頭できる方は多いはずです。

また、引用した体験記にもありますように、
自習室には、本気で勉強に取り組もうと考える人が多く集まりますので、
そうした集団の一員に加わることで、自分に刺激を与えることもできます。
「朱に交わって赤くなる」ということです。

公立図書館では、自習のための利用を禁止している場合も多いようですが、
私が住んでいる町では、図書館ではない公共施設において、
自習室として無料で利用できる部屋があります。
読者の皆さんが住んでおられる町にも、同じようなものが有るか、
探してみると良いかと思います。
(ネット検索ではなく、実際に訪れてみないと分からないこともあります。)

また、有料の自習室を利用するというのも、1つの手段です。
無料の自習室ですと、開館時間前に行列ができるほど混雑していることもあり、
「今日は席を確保できるだろうか」と心配せねばなりません。
しかし、料金を払って利用する自習室の会員になれば、
時間をかけて待つという労力と時間を、勉強のほうに投入できます。

有料自習室によく見られる設備・サービスとして、
 ・机がパーティーションで仕切られている。
 ・勉強道具を格納するロッカーや、ネットに繋がったパソコンがある。
 ・深夜や早朝であっても、利用できる。
といったことが挙げられます。
さすがに無料の自習室では、こうしたサービスを受けるのは難しいでしょう。
有料自習室は商売目的で運営しているだけあって、
利用者がいかに快適に勉強できるかという点をよく考えています。

また、お金を払って利用するからこそ、
勉強へのモチベーションが高まるという点もあります。
毎月、安くない料金を支払うからこそ、
「投資した分を回収したい」という気持ちが働くのです。

いずれにせよ、受験勉強は必ず自宅で行わねばならないという決まりは無く、
効率的かつ継続的に勉強できる場所があるのなら、
その受験生にとっては、それが適切な学習環境であると言えます。




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263、課題を可視化する。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 苦手な問題をノートに拾い出しておき、折を見て何度も解き直しました。
> その際、なぜ自分はこの問題が苦手なのかを分析しながら取り組むようにすると
> 具体的な対策も生まれやすく、効果が高かったです。
(■I.K.さん・34歳・男性・会社員・東京都・第43回気象予報士試験合格)


受験勉強での実力を高めるためには、
「分からない」「解けない」「知らない」「誤解している」を、
「分かる」「解ける」「知っている」「理解している」に、
換えていくことが求められます。

例えば、試験突破に必要な知識が10000個だとします。
この知識をオセロゲームの石(駒)で表現しますと、
勉強を始める前の最初の状態は、10000個全てが白面なのです。
これらのオセロ石を1つずつひっくり返して、
白面を黒面に換えていく作業こそが、受験勉強にあたるわけです。

勉強を始めたばかりの時期は、全てが白面なので、
順番に勉強を行っていけば、白面を黒面に換えていけます。
その後、勉強がある程度進んでくると、白面と黒面が混在した状態になります。
このとき、それを自覚していないと、すでに黒面になっている部分、
つまり既習内容をなぞるだけの学習になりがちです。(ラクだからです。)
未習部分をウンウン唸りながら学んでいくのは骨が折れるのですが、
そうした形で白面を黒面に換えていかない限り、実力は伸びません。

この過程で大切なことは、何が白面であるのかを自分で認識することです。
受験勉強の流れをオセロの白面と黒面に例えましたが、
実際の学習進捗は、盤面上に可視化されているわけではないので、
受験生本人もよく把握していないことがあります。
しかし、「解決すべきことは何か?」を自分で捉えていなければ、
効率的に白面を黒面に換えていくことは難しいのです。

そこで、日々の学習で引っかかったことを、記録されることをお勧めします。
メモをするのが面倒であれば、テキストや問題集に付箋を貼ったり、
ページの端を折り曲げたりするのも、有効な手段です。
また、スマートフォンをお使いであれば、アプリ「Evernote」も活用できます。
理解できなかった過去問題の写真をスマホで撮り、
Evernoteに放り込んでいくだけでも、課題は可視化されるのです。

自分の課題を「見える化」することが、実力向上の第一歩です。
こうして洗い出された課題を解決していかれることで、
着実にレベルアップを図ることができると確信しています。




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264、始業前学習で勉強習慣を定着させる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 早朝しか勉強する時間がなく、
> 始業約2時間前に出社して会社で勉強していました。
> 私の場合は朝の方が頭が冴えるので、
> この学習スタイルが結果的に良かったと考えています。
> また、これくらい早く会社に出社するとまだ殆ど誰も出社しておらず、
> 非常に静かでこれ以上無い優れた勉強空間でした。
(■Cさん・39歳・男性・会社員・京都府・第43回気象予報士試験合格)


始業前の受験勉強は、忙しいビジネスパーソンにお勧めしたい方法です。
数多くの利点がありますので、順番にご紹介します。

【1.睡眠を摂った後の頭は、勉強に適している。】
テキストを読んで論理展開を理解するときや、
問題を目の前にして解法を考えるときには、頭をフル回転させます。
こうした頭脳作業は、睡眠によってリセットされた朝が適していると感じます。
もちろん、朝型・夜型という体質の違いはあるかと思いますが、
「脳を休める前に勉強すること」と「脳を休めた後に勉強すること」であれば、
後者のほうが良いと思いますし、私も実感しています。

【2.始業前の受験勉強は、習慣化しやすい。】
合格を勝ち取るために大切なのは、一時的なガリ勉ではなく、
長期にわたって継続した学習です。
つまり、総学習量がものを言う世界ですので、
「学習習慣を付けることができるか」が最終的な合否を大きく左右します。
そこで、「出勤」という既に固定されたスケジュールの中に、
受験勉強を上手く組み込むことができれば、習慣化につながります。
例えば、週5日出勤する人が始業前学習を始めれば、
週5日の受験勉強ができることになります。

【3.早朝は環境が良い。】
朝の通勤通学の時間帯は、混雑が激しいです。
夜のほうが帰宅時間が分散されるぶんだけ、混雑度もマシなのですが、
出勤や登校の時刻には大きな違いが無いので、その時間帯に人が集中します。
(おそらく「ギリギリまで寝ていたい」という人が多いということですね。)
自動車通勤も同じで、混雑に苛立ったドライバーのクラクションを耳にすると、
朝から気分が萎えるというものです。
ところが、時間を少し早めると、電車も道路も空いています。
私は朝5時台に仕事場に入ることが多いのですが、
空はすっかり明るいのに、街はまだ眠っている、という感じがします。
少し大袈裟な言い方をすれば、
「この街は映画撮影のために作られたセットなのか」と思ったりします。
早朝に出勤すれば、通勤時の体力的・精神的な負担を小さくできますし、
電車通勤であれば、座席で勉強することも可能になるかも知れません。
辛い通勤時間を、楽かつ生産的なものに変えることができるのです。
また、誰もいないうちに出勤すれば、受験勉強を冷やかされることも無く、
雑談をする相手もいないので、自分のデスクで黙々と勉強ができます。
早く出勤する人を悪く言う人もいないでしょうから、その点でもお得です。

【4.時間の使い方にシビアになる。】
当然ながら、朝早くスッキリ目覚めるためには、早寝が大切です。
睡眠時間が足りなければ、目覚まし時計で無理やり早く起きたとしても、
通勤電車の中で居眠りし、出勤した後もデスクに突っ伏することになります。
これでは、早く出てきた意味がありません。
早朝にスッキリと起きることを生活の基本にすれば、
就寝時刻が遅くなるような要因を、できるだけ削ろうとする姿勢が生まれます。
なるべく残業しなくても良いように仕事を効率化することや、
歓送迎会の類は一次会で上手く抜け出してくる、といった工夫は、
その必要性(ここでは始業前学習)があって初めて生まれるものだと思います。
忙しいビジネスパーソンにとって、勉強時間を確保するのは至難の業ですが、
時間の流れに身を任せているだけでは、現状を変えることはできないです。
始業時刻よりも大幅に早く出勤するという、常識から外れた行動には、
より能動的な時間管理が行えるようになる効果があると、私は思います。




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265、受験生活は一人だが独りでは無い。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 様々な職種で気象予報士を目指している方々と知り合いになり、
> 「次は気象予報士として会いたいですね」と言って別れた光景を思い出し、
> 絶対に最後までやり遂げると気持ちを奮い立たせました。
(■Cさん・39歳・男性・会社員・京都府・第43回気象予報士試験合格


一般財団法人気象業務支援センターのホームページによりますと、
前回の第43回気象予報士試験における受験者数は、3116人でした。
日本の全人口に対して考えれば、およそ4万人に1人しか受けない試験です。
「この町で受験するのは自分だけ」ということもあり得るわけで、
英語の資格試験などに比べると、かなり小さな世界です。
それゆえに、自分以外の受験生を知らぬまま、
勉強を進めておられる方もいると思います。

しかし、こうした中で受験生どうしの関わりを作っていくことは、
合格を勝ち取るために大切なことだと考えます。
その理由は、「勉強法などに関する情報交換」ということも挙げられますが、
むしろ、「勉強を続けるためのモチベーション維持」という面が大きいです。

例えば、学科2科合格を果たした受験生が、
完全合格へリーチをかけた実技試験で落ち、
受験免除を全て失ってしまったときの失望感は、
この試験の受験経験が無い人には、実感できないことでしょう。
あと一歩で合格を逃した経験を、他の受験生と分かち合うことで、
失いかけていた受験勉強への意欲を取り戻すきっかけになるのです。

さらに、試験合格者と顔を合わせることにも、大きな意味があります。
受験生活を続けていると、「果たして自分は合格できるのだろうか?」
「ずっと合格できないまま、時間だけが過ぎていくのだろうか?」といった、
悲観的な情念に囚われることがあります。
そんなとき、先輩受験生が合格を勝ち取っていく姿を目にすれば、
トンネルの向こうには必ず出口があることを、
理屈ではなく、皮膚感覚として持つことができるはずです。
「出口まで辿り着けるよう、頑張っていこう」という気持ちを抱き続けることは、
長い受験生活において大切なことです。

受験勉強そのものは、一人で机に向かって行うものであり、
これは、「自分との戦い」という側面が大きいです。
そのとき、同じように黙々と問題に取り組んでいる仲間の顔が思い浮かべば、
受験生活は決して孤独なものでは無いと感じることでしょう。
長期間の勉強が必要な気象予報士試験に挑戦するにあたって、
同志の存在を意識できることは心強いことだと思います。




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266、知識を繋ぎ合わせて理解する。
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気象予報士試験では、ノートや書籍の持ち込みが認められていませんので、
学習内容を頭に定着させる必要があります。
自分の記憶だけを頼りにして、問題を解かなければなりません。

ただし、記憶を頭に植え付けるにあたって、
筋道をキチンと理解しておくことは大切なことであり、
できる限り、丸暗記を避けたいところです。

単純暗記の弱点は、その活用性が小さいところにあります。
例えば、「北半球での低気圧周辺での風は反時計回り」と覚えているだけでは、
「では、南半球での高気圧周辺での風は?」と問われたときに、
正しい答えを導き出せないです。

ここで、南半球での気圧分布やコリオリ力の向きを踏まえ、
傾度風平衡の知識を基に考えることができれば、
「南半球での高気圧での風は反時計回り」と導き出すことができます。

つまり、個々の断片的な知識だけを雑然と暗記するのでは無く、
その背景も含めて理解し、頭に入れることによって、
実戦的に応用の利く知識が定着することになるわけです。

当然ながら、その過程では「なぜそうなるのか?」という疑問が、
あちこちからふつふつと沸いてくるわけであり、
それを1つずつ潰していくのは、時間も労力もかかります。
しかし、その知的格闘が面倒だからと言って、表面的な知識だけをなぞっても、
実際の試験で活用できる幅は小さいです。
例えて言えば、葉の部分だけを切り取るのではなく、
葉と葉を結ぶ枝の部分や、さらに枝と枝を結ぶ幹の部分も含めて、
自分のものにすることができたほうが、試験に強くなれます。




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267、解答例をお手本にする。
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実技試験の受験勉強を効率的に進めるためには、
気象業務支援センターから発表された解答例を、
どれだけ上手く活用できるか、という点がかなり重要です。

1.解答例を丸暗記する。
2.解答例を使わずに、自分で模範解答を作り出す。
3.解答例を詳しく分析する。

1がダメなのは、前回のメルマガで申し上げたとおりです。
過去問題と完全に同じ問題は出ないのですから、丸暗記は意味が無いです。

2は一見すると、「これぞ学問の王道」という感じがしますが、非現実的です。
これから答案の作り方を勉強しようという人が、
自分で模範解答を作り出すことは極めて困難だからです。

試験勉強に限らず、何かを学ぶ際には、
「お手本」となるものが重要な役割を果たすわけですが、
実技試験の受験勉強では、解答例がそれに該当するのです。

当然ながら、解答例は問題文の指示に基づいて作られたものです。
問題において、「指示A」「指示B」「指示C」という3つの指示があれば、
それに対応して、「解答要素A」「解答要素B」「解答要素C」があるはずです。
つまり、ある問題文から、どのようにして解答例ができあがるのかを、
細かく確認していく過程が大切だと私は考えます。
「指示」から「解答要素」に至るまでの資料の着眼点や思考過程を探ることこそ、
実技試験で欠かすことのできない勉強なのです。
こうした道筋を丹念に追えば、事前に自分で作った答案に対しても、
「何が不足しているか」「何が余計か」ということも見えてきます。
解決すべき改善点が炙り出されるということです。

正直に申し上げますと、一部の解答例に対しては、
「このように書いたほうが良いのでは?」と感じることもあります。
ですから、決して完璧な模範解答だけで占められているとは思いません。
しかし、それは前述の勉強法を揺るがすほどのものではないと考えます。
つまり、解答例に対しては基本的に充分な信頼が置けるものであり、
実技試験の実力を高めるのに必要不可欠なものだと確信しています。




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268、試験直前でしてはいけない3つのこと。
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8月の試験が近づいてきました。
受験勉強にも特に力が入る時期ですが、
今回は試験の直前において避けるべき3つの事柄を挙げてみます。


1.目標とする科目を増やすこと

当初は一般知識試験だけの合格を目標としてきた受験生が、
「やっぱり専門知識試験も合格できたら良いな」と思って、
直前で目標を拡大することは、避けたほうが良いです。

充分な時間が残っていない段階で、目標を高くしてしまうと、
科目あたりの勉強時間が減ってしまうことになるからです。
当初に立てた目標を達成できるよう、全力を尽くしたほうが良いです。

むしろ、試験直前の状況で、必要だと感じた際には、
合格目標にする科目数を減らすという、
「選択と集中」を行うという判断が求められます。


2.「足し算」で勉強時間を確保すること

試験が近づくと、勉強時間を増やしたくなりますが、
そのためには、別の時間を上手く削ることが大切です。
「受験勉強の時間は増やしたい。でも遊ぶ時間は減らしたくない。」
ということでは、体力的な負荷が大きくなってしまいます。
勉強時間を無理に押し込んだ結果、体調を崩してしまえば、逆効果です。

質の良い勉強時間を着実に確保したいのであれば、
別の部分で使う予定の時間を削ってきて、それに充てることが求められます。
可能であればの話ですが、仕事の休暇を1日取ることができれば、
その1日を受験勉強に充てることができます。
また、盆休みに3回遊ぶ予定だったのを2回に減らせば、
1回分の時間を受験勉強に充てることができます。

他の予定を削ることなく、「足し算」で勉強時間を確保すると、
オーバーワーク傾向になりますので、その品質も高くないです。
勉強時間は「引き算」で確保すべきです。


3.「直前の模擬試験」と称して手つかずの過去問題を残すこと

過去問題演習は、「解く→分析→課題解決」の流れで完結します。
問題にあたることで生じた疑問を、1つ1つ納得に換えていくことで、
実力を高めていくことができると、私は考えます。
問題を解くこと自体は、試薬にリトマス紙を浸けるだけの作業であり、
この行動そのものに、実力を高める効果は無いです。

つまり、「直近の過去問題を『実力試し』のために取っておく」というのは、
受験勉強として、あまり意味の無いことです。
過去問題を直前まで温存するのではなく、
できるだけ早い段階で課題の炙り出しをしてしまい、
その解決を試験までに完了させることが大切です。




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269、日常の受験勉強の延長線上に合格がある。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 試験本番は非日常の空間です。
> 非日常をなるべく日常に近付ける仕掛けを持っておくといいと思います。
> 私は、待ち時間の間は勉強せずにスマホで好きな音楽を聞いていました。
(■I.K.さん・34歳・男性・会社員・東京都・第43回気象予報士試験合格)


試験日が迫ってくると、「直前で最も効果的な勉強法は何ですか?」
といったご質問をいただくことがあります。

暗記が必要なものについては、直前に定着を確認しておくことが大切ですが、
逆に言えば、それ以外の分野においては、
試験直前であっても、成すべきことは大きく変わらないと私は考えます。

もし、短期間で劇的な効果が出る勉強法があるのなら、
別に試験直前でなくても、それをやり続ければ良いはずです。

これまでの学習進捗が芳しくないほど、
一発逆転満塁ホームランのようなものを探したくなりますが、
そういった虫の良い話が転がっていることもなく、
結局は、地道な学習の継続がものを言うことになります。

学習習慣を上手く日常生活に取り込み、
その日常生活を黙々と続けていった先に、合格があるというのが、
地味ながら、気象予報士試験の勝率を上げるには大切だと確信しています。

普段通りの受験勉強を続け、当日は落ち着いて試験会場に入り、
平常心で試験問題に臨む、これが理想的です。
ただし、試験当日に平常心を保つことは簡単ではありません。
そのことを事前に想定せずに、試験当日に初めて心の動揺を経験し、
思うようなパフォーマンスを発揮できなかった方もおられると思います。

試験会場で充分に力を発揮すること、
言い換えれば、本番に強くなるにはどうすれば良いか?
これはなかなか難しい問題ですが、
私はできるだけリラックスすることが大切だと思っています。
冒頭で引用した合格体験記にもありますように、
待ち時間に好きな音楽を聞くことも、そのための1つの方法です。
別に音楽でなくても、ゲームでもマンガでも良いのです。

また、当塾のホームページに載せた合格体験記には、
試験当日にどのようなことをして過ごしたかという記事が多数あります。
これをお読みになれば、合格された受験生も、
試験会場で不安と緊張を抱えていた方が多いことが分かります。
そういった受験生は自分だけではないことを実感できれば、
自身を客観的に見つめることができ、平常心を取り戻せるように思います。
試験が上手くいくよう、願っています。





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270、試験終了後の気持ちを忘れないうちに作戦会議を。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 実技試験の途中でギブアップし、退室してしまいました。
> その帰り道に、今後について深く考えました。
> 「家族との時間を大切にしたい。しかしあこがれの気象予報士にもなりたい。
> 合格まで長い時間はかけられない。
> 次回の第39回で必ず合格する!」という強い決意をしました
(■Y.Mさん・35歳・東京都・第39回気象予報士試験合格)


昨日の気象予報士試験を受けられた手応えは、いかがでしたでしょうか?
「これまでの受験勉強で培った実力を出し尽くせた」という方もおられるでしょう。
一方で、「もっと勉強しておけば良かった」と感じた方もおられることでしょう。
試験後に湧いてくる感情は、今までの受験生活が凝縮されてできています。
偽りや装飾の無い素直な気持ちがこみ上げてきます。
だからこそ、大切にしたいものです。

特に、今回の試験で「悔い」を残してしまった方は、
その感情を忘れぬうちに、作戦会議をしておかれたほうが良いです。
「作戦会議」といっても、自分1人だけで行う会議です。
今回の反省点を炙り出し、次につなげるための戦略を練るのです。
こうしたことは、できるだけ早いうちに行う必要があります。
人間はイヤな気持ちを忘れようとする力を備えています。
試験当日に「ああ〜、○○しておいたほうが良かった・・・。」と感じても、
ある程度の日が経過してしまうと、その感情は薄らいでいき、
やがて、何事も無かったかのように忘れてしまうものです。

悔しい気持ちを理性で受け止め、それに対する改善策を立てることで、
次に受験したときに、一歩前へ進むことにつながるわけです、
これが無ければ、目立った進歩が無いまま、
受験回数だけが増えていくことになりかねません。

合格を確信している方は、10月の発表日を待つだけのことですが、
そうで無い方は、来年1月の試験に向けて走り出しましょう。
いったんエンジンが止まって、時間が経つとすっかり冷えてしまい、
次にエンジンを掛ける際に、大きなエネルギーを必要とします。
少しトーンダウンしても、エンジンを回転させ続けるほうが、
後々のことを考えると、楽だと思います。

特に、8月試験から1月試験までの期間は短いので、
試験後の作戦会議を早く済ませ、具体的な行動に素速く取り掛かったほうが、
有利に受験勉強を進めることができます。




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271、基礎学習と問題演習をバランス良く
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早いもので、8月試験が終わってから半月が過ぎました。
1月試験に向けての作戦を練っておられる受験生も多いことでしょう。

受験勉強で大切なのは、基礎学習と問題演習の両立です。
どちらもバランス良く学んでいかれることが大切です。

「過去問題演習で勉強するのが、一番実戦的だ。」というのは正しいですが、
基礎学習が足りないまま演習を繰り返しても、問題を十分に理解できません。
理解を欠けば、正答に至るまでの過程を無理やりこじつけるようなことになり、
これでは本試験への対応力を高めることはできないです。

「しっかりと基礎学習に取り組むことが大切だ。」というのも正しいですが、
「AはBである」「CはDである」といった受け身的な学習だけでは、
習得した知識がどのような形で問われるのかを学ぶことが難しいです。
「問いかけに対して答える」というのが試験の形式なのであり、
それに対するトレーニングも、大事な勉強だと言えます。

1月試験に向けて、基礎学習と問題演習の両方を、
しっかりと勉強していかれる必要があります。
受験生のこれまでの学習進捗にもよりますが、単純に期間を二分すれば、
11月頃を境として、それまでを基礎学習メインに、
それ以降を問題演習メインに進めていかれると良いと思います。

もし、11月までに基礎学習を充分に終えることができない場合は、
無理をして、1月試験に合わそうとされるよりも、
8月試験に照準を合わせて勉強していかれたほうが良いです。
焦らず、着実に進めていきましょう。




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272、添削を通じて自分の課題を知る。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■先生に添削して頂き、変な日本語を分かりやすい日本語に直しました。
> (K.I.さん・21歳・男性・大学生・兵庫県)
>
> ■これらの過去問題は全て藤田先生に添削をお願いしました。
> (N.Mさん・男性・42歳・公務員・関東在住)
>
> ■質問や添削も…申し訳ないなと思うくらいの量をお願いしていました。
> (Bさん)
>
> ■ひたすら過去問を解いて先生に添削をお願いする、
> というサイクルを繰り返しました。
> (Cさん・39歳・男性・会社員・京都府)
>
> ■私の場合、過去問を何回も何回も添削してもらいました。
> しかも、メールではなく、郵送で。
> (Dさん・39歳・男性・中学校教諭・福岡県)

これらは、全て第43回試験の合格体験記からの引用です。
実技試験の対策において、答案添削の重要性を示していると私は思います。

もちろん、答案添削を受けずに合格される方もおられますので、
添削は合格のための必要条件ではありません。
しかし、効率的に受験勉強を進めるための強力なツールであろうことは、
答案添削に日々取り組んでいる私にも感じられます。

自分で書いた答案が適切であるのかどうか、
それを自分自身で検証するのは、なかなか難しいことです。
解答例を丹念に分析すれば、ある程度のことは分かるとは言え、
学習の道半ばにある受験生にとって、それは簡単なことではないです。
例えてみれば、英語を学習中の人が自分で英作文を書いたとき、
それが正しいのかどうかを自分で確認しようとすることと似ています。

ちなみに、私が答案添削において主に着目する点を挙げてみます。

 ・題意に対応する形で、過不足無く解答要素が含まれているか。
 ・漢字や送り仮名の誤り、不自然な読点(、)の打ち方は無いか。
 ・知識の誤りに基づく記述は無いか。
 ・慣習的では無い表現や自作の用語が含まれていないか。
 ・問題文の指示に基づいたアプローチでの答案になっているか。
 ・日本語の表現として不自然な点は無いか。
 ・指定字数の指示を概ね満たしているか。
 ・論理の整合性が取れているか。

適切な答案を作るためには、「外形」と「中身」の両方を揃えることが必要です。
ここで言う「外形」とは、日本語の文として整っているかどうかを指します。
頭の中で正しい解答要素を作り出すことができても、
それを的確な文として出力できなければ、正答は得られません。
つまり、「分かっている」と「正答できる」には明らかな差があり、
この差を決して軽視してはいけないということです。

そして、「中身」とは、解答要素そのものが正しいかどうかを指します。
これが誤っていれば、いかに分かりやすい文で答案を作っても、
全く得点に結びつかないことは明らかです。
適切な解答要素を掴むことができない原因としては、
題意の把握や資料の解釈に誤りがあることが挙げられますが、
その土台となる学科試験範囲での知識に不足があることも多いです。

実技試験は、完全合格の前に立ちはだかる最後の壁です。
壁を乗り越えるためには、自分の課題がどこに残っているのか、
それを把握することが、大切なことだと思います。




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273、勝つために再度立ち上がる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 25回目の挑戦でやっと合格することができました。
> 合格したときは飛び上がるような感じではなくて意外とホッとした感じでした。
■てるてる風雲録さん(45歳・男性・大阪府・第43回気象予報士試験合格)

ここ最近、気象予報士試験の受験者数は減少傾向が続いています。
気象業務支援センターのHPでの統計情報によりますと、
平成22年度第1回試験(通算第34回試験)の申請者は5383人で、
平成27年度第1回試験(通算第44回試験)の申請者は3616人でした。
つまり、受験申請をされた方は、5年で1767人減ったことになります。
一方、この期間(平成22年度第1回試験〜平成26年度第2回試験)での
合格者総数は1831人で、受験者数の減少分とほぼ同じです。

一見すると、合格者数のぶんだけ受験者数が減ったように見えますが、
当然ながら、毎回の試験で新たに挑戦される方が必ずおられます。
にもかかわらず、受験者数が減っているのは、
何らかの事情によって、合格を得られないまま、受験から離れる方が、
新規挑戦者と同じくらいおられるということです。

次の受験を断念される理由は、人それぞれでしょうが、
不合格のショックによる学習意欲の低下という方が多いと思います。
平成23年度第1回試験(通算第36回試験)以降、
合格率が5%を上回ったことは一度も無く、
この点から見ると、最近における試験の難度は上がっていると言えます。

気象予報士になることへの興味が失せたのであれば、仕方が無いですが、
合格を勝ち取りたいという気持ちが残っているのであれば、
再び挑戦されることは大切だと思います。

冒頭にて合格体験記を引用しましたように、
第43回試験では、25回目の受験で合格を勝ち取られた方がおられました。
これは私が知る合格者の中では最多受験回数です。
普通は、これだけの受験回数を重ねる前に諦めてしまわれるものです。
でも、挑戦を続けられたことで、受験勉強を合格で締めくくられました。
最終的に合格を勝ち取れるかどうかは、
不合格からいかにして立ち上がることができるか、という点が大きいと思います。

もちろん、強調しておかねばならないことは、
単に受験回数を重ねることだけで、合格率が高まるわけでは無いということです。
合格するためには、受験生全体の上位約4%に入らねばならないのであり、
そのためには少しずつであっても、実力を高めていくことが必須です。
具体的には、過去問題演習などを通して、課題や改善点を見い出し、
それを1つずつ解決していかれる過程が挙げられます。

受験勉強は登山にも似ているような気がします。
上りと下りを繰り返す道や、山腹を取り囲む平坦な道を、
延々と歩き続けていても、頂上に辿り着くことはできません。
ゆっくりでも、薄暗い登り坂を一歩一歩進んでいくことができれば、
やがて、視界の開けた山嶺に達すると確信しています。




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274、勉強はいつからでも始められる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 私のように66歳になってから気象予報士になっても、
> 若い人達のように実務経験を積むことは無理でしょう。
> ただ、受験資格に制限がなく
> 誰でも受けることができるということは非常に有難いことで、
> 目標を持って勉強することが出来ました。
■T.S.さん(66歳・男性・京都府・第44回気象予報士試験合格)


気象予報士試験の勉強に取り組む動機はさまざまです。
気象業界への就職や転職を志して奮闘する人がいます。
現在の仕事の幅を広げるために学び続ける人がいます。
そして、仕事とは関係の無い形で研鑽を重ねる人もいます。

地球上で生活している以上、天気と無縁の生活はあり得ません。
日々の暮らしと密接に関係している空模様について、
系統立てて学んでみたいと思うのは、ごく自然なことです。

気象予報士試験の科目は、気象に関する基礎事項について、
物理学的な側面と博物学的な側面の両側から学ぶ形になっています。
さらには、天気図などの資料解釈についての学習も必須です。
こうした幅広い内容を一通りにわたって修めることができれば、
気象の専門家としての入口に立てるようになっているのです。
ですから、取得した資格を予報業務の現場で使うかどうかに関係なく、
気象を学んでみたい全ての人にお勧めします。

先日の第44回試験では、女子中学生や男性アイドルタレントが、
合格を勝ち取られたことで話題になっていますが、
若い方だけでなく、年配の方にも試験に挑戦していただきたいと思います。

歳を重ねると、「記憶力が落ちる」という声を耳にすることがあります。
人によっては、そういった傾向があるのは事実だろうと思いますが、
1つ1つの学習を丁寧に進めていかれれば、
多少時間はかかっても、実力を高めていくことができると考えます。

それに、仕事をリタイヤすることで、現役のときに比べれば、
時間的な余裕を持てるようになる方が多いと思います。
多くの受験生が学習時間の確保に悩んでいることを考えますと、
そうした悩みを軽減できる環境にあることは、
試験勉強を進めていくうえで、大きな優位性なのです。

「学びたい」と思ったときこそが適齢期であり、
それは気象予報士試験の勉強においても言えることです。




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275、第44回試験の実技試験を振り返って
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気象業務支援センターの発表によりますと、
第44回試験での実技試験の合格基準は正答率66%でした。
ここ最近での試験と比べると、難度が若干低くなり、
そのぶんだけ合格最低点が少し高くなったという印象です。

いつの試験であれ、受験生が頭を抱えてしまうような難問は出されます。
それゆえに、「難しい問題を解けるのが合格の条件」とも思えますが、
私自身はそのようには考えません。
現実問題として、難問を限られた時間でサクサク解くのは困難であり、
大切なのは、それ以外の問題をどれだけ確実に拾えるか、だと思います。

では、第44回試験における実技試験の内容を見ていきましょう。

まず、実技1における問3は、一般知識試験の学習範囲である、
積乱雲の一生に関する知識が試される問題でした。
特に、(1)〜(4)は連続的な設問になっているため、
上手く題意を掴めれば、流れに乗ってスイスイと解いていくことができますが、
積乱雲に関する知識が抜けていると、問題作成者の意図を把握するのが困難です。
また、(5)では鉛直安定度を求める問題が出されており、
大気の熱力学における知識が要求されました。
なお、当問と実技1の問2(2)2は、第38回試験の実技1でも類題が出ています。

実技2における問1では、専門知識試験の内容が目に付きます。
(1)1は水蒸気画像に関する基礎知識が問われており、
(4)は「発達する熱帯低気圧に関する情報」についての問題です。
いずれも正確な知識が備わっていることが、正答のための必要条件です。
ちなみに、(1)の2と3、(2)については、実技試験での定番問題と言え、
着実に刈り取っていくことが求められます。

そして、実技2の問3(3)では、相当温位という物理量が、
温度と湿度という2つの要素を併せ持つことを前提にしたうえで、
組み立てられた問題であると言えます。
大気の熱力学を勉強するとき、相当温位については後のほうで学びますが、
それだけに複雑な部分があり、学習が不十分になりがちです。
当問で引っかかってしまった受験生は、相当温位の概念について、
復習をされることをお勧めします。

実技2の問4でも、降水短時間予報や土砂災害警戒情報など、
専門知識試験に出てくる知識が要求されました。
図12の「スネークライン」と呼ばれる資料そのものは、
この問題で初めてご覧になった受験生も多いと思います。
しかし、資料自体が初見であったとしても、
土壌雨量指数と土砂災害の知識について正確に掴んでいれば、
資料が示している内容を的確に読み取ることが可能です。

第45回試験まで残り3か月を切りました。
第44回試験の問題を再度振り返って、課題を洗い出していきましょう。
試験対策で大切なのは、未来(出題の予想)を見ようとすることよりも、
過去(過去問題や学科範囲の学習)を振り返ることにあると思います。




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276、覚えるべきことと覚えてはいけないこと
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 前回の実技で失敗した点は、模範解答の文章を暗記した点でした。
> 今だから言えますが、暗記は無駄です。というかやってはいけません。
> 内容は合っているが、題意と乖離して結果的に不正解になる場合が多いからです。
(■M.Yさん 男性・39歳・会社員・千葉県・第44回気象予報士試験合格)


実技試験の勉強では、覚えなければならないことが数多くあります。
その中心となるのが、資料の読み取り方です。
天気図・エマグラム・衛星画像・ウィンドプロファイラなど、
実技試験に出される資料は数多いですが、
読図のために必要なルールは細かく覚えておかねばなりません。

例えば、地上天気図を読み解くために押さえるべき約束事は多く、
天気記号や海上警報などは、試験での頻出事項です。
また、予想図における網掛け域が何を示しているのかについては、
図の種類によって全く異なります。
正渦度域なのか、上昇流域なのか、湿潤域なのか、
資料を見た瞬間に判別できなければ、短時間での読み取りは困難です。

道具を使いこなすためには、道具の使い方に熟知する必要があります。
資料読解のルールを自分のものにしてこそ、
気象資料を道具として使いこなしていくことができるのです。

一方、実技試験の勉強では、覚えてはいけないこともあり、
その1つが、この体験記で書かれているように、解答例の暗記です。
特に、「内容は合っているが、題意と乖離して結果的に不正解になる」は、
とても重要な指摘だと思います。

実技試験の問題は、食堂での注文に似ています。
つまり、題意と指示を満たした答案を作成することは、
客の注文に応じた料理を出すことに例えられます。

例えば、カレー店での注文において、
「ご飯とルウは大盛で、辛さは控えめ、トッピングにはチーズとエビフライを。
 あと、ラッキョウの小鉢と、ヨーグルトドリンクを一緒にお願い。」
と言われているのに、激辛のカツカレーを出せば、客は満足しませんね。

過去問題の解答例は、その問題に対しては正答ですが、
類似の別の問題に対しても正答になるかどうかは分からないのです。
似た問題であっても、問題文での指示が異なれば、
書くべき答案は違ったものになるからです。

カレー店に来る客は、カレーを食べに来るという点では共通していますが、
それがシーフードカレーなのか、キーマカレーなのか、カレーうどんなのかは、
その都度、注文を聞いてみないと分からないわけです。
丸暗記した過去の解答例を、そのまま答案用紙に吐き出すというのは、
どの客に対しても、激辛のカツカレーを出すのと同じです。
それが美味しいカツカレーだとしても、客の注文に応えられていない以上、
客を満足させることはできないということです。

大事なことは、出題者の指示に耳を傾けることです。
実技試験に問題文を読んでみると、細かな指示が多いことに気付きます。
そうした指示に対して、1つ1つ答えられるようになることこそ、
実技試験での合格に求められているものです。




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277、しっかり洗い出す。キチンと解決する。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> DVDで基本事項の確認が終わったら、過去問に取り掛かります。
> はじめは時間や字数を気にせず解いていました。
> 解き終わったら、まずはテキストの解答解説を読んで答え合わせをし、
> 疑問点をピックアップしておきます。
> それからDVDの解説を聴くようにしていました。
> DVDの解説で、疑問点はほぼ解決できていましたが、
> それでもわからないところは藤田先生に質問をしていました。
(■A.M.さん 女性・大学生・21歳・京都府・第44回気象予報士試験合格)


学習の過程で大事なのは、次の2つです。
 1.課題(改善点・疑問点)をどれだけ洗い出せるか。
 2.課題(改善点・疑問点)をどれだけ解決できるか。
結局のところ、この2つがキチンとできれば、自ずと実力は上がっていきますし、
いずれか一方でもキチンとできなければ、苦戦することになります。

課題を洗い出すためには、過去問題に取り組むのが一番です。
教科書を読んで「フムフム」と思っていても、
いざ教科書を閉じた後に、その内容を問われると、
自分の言葉で答えられないことがあります。
「何となく分かっている」と「熟知している」の違いは小さいように見えますが、
テストを受けてみれば、点数という形で明瞭化されます。
つまり、問題に取り組んでみることで、自分の課題がよく見えてくるわけです。

実技試験の過去問題に取り組む際において、
「これは課題の洗い出しのためにやるのだ」と意識すれば、
時間や字数を厳密に意識することは、事の本質では無いことが分かります。
(もちろん、勉強の仕上げの段階では、注意を払う必要があります。)

そして、問題に取り組むこと自体は、「洗い出し」に過ぎないのであり、
これ自身に、「課題の解決」という効果は含まれていないことも明らかです。
つまり、極論すれば、課題の洗い出しは本当の意味での勉強には含まれず、
作業(もちろん、勉強のために必要不可欠な作業です)であると言えます。
この点から考えれば、「試験直前に新しい問題に取り組みたい」というのは、
試験対策としては、大きな意味が無いと言えます。
洗い出された課題の解決まで完了しなければ、勉強にならないからです。

課題の解決が甘い(充分でない)と、実力を伸ばしていくことができません。
過去問題演習において、同じような問題で何度も躓いているのであれば、
それは、課題の解決がキチンとできていない証拠です。

実力(≒点数)を高めるためには、未知を既知に変えることです。
言い換えれば、欠損しているものを充足させることです。
この部分にパワーを投入し、徹底して「潰す」ことで、レベルアップできます。
地味な過程ですが、これをコツコツと進められるかどうかが、
受験勉強においては、とても大切なことです。




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278、数学が苦手なだけで気象予報士を諦めるのはもったいない。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 私は数学・物理の初歩的なところから何度も質問させていただきました。
> 初歩的過ぎて恥ずかしいような質問でも藤田講師は詳しく解説してくれました。
> 「加速度ってなんですか?」みたいな質問も
> させていただいたことがあるように思います。
> そのおかげで物理・数学に対する苦手意識は少なくなりました。
(■Aさん 36歳・男性・会社員・神奈川県・第44回気象予報士試験合格)


気象学は物理学の仲間であり、大気の流れは物理の法則に従って説明できます。
つまり、数式で表現することが可能なのです。
「それでも地球は回っている」のエピソードで有名なガリレイは、
「自然の書物は数学の言語によって書かれている」といった旨を述べています。
大気の流れを数式で表現できれば、コンピュータで未来の天気を計算できます。
これが、現在の天気予報を支えている「数値予報」です。

こうしたことから、気象学にとって数学はなくてはならないものであり、
その学習において、数学を避けて通ることはできません。
しかし、読者の皆様の目標が何であるかによって、
要求される数学の知識水準は大きく異なってきます。

1.大学などの高等教育機関で、気象学を研究したい。
2.気象庁に入って、数値予報モデルの開発に取り組みたい。
3.気象予報士資格を取得したい。

誤解を恐れることなく、敢えてざっくりと申し上げますと、
1や2で求められる数学の水準を、甲子園やプロ野球に例えるならば、
3で求められる数学の水準は、草野球だとお考え下さい。

そもそも、気象予報士は、研究や開発のための資格ではなく、
現象の予想をするための資格であり、1や2とは活躍の方面が異なります。
1や2では、特定の分野をトコトン深く掘り下げるのに対して、
3では、それほど深くないものの広範な学習が求められます。

この違いを知らないまま、何となく「気象予報士≒気象学者」と捉え、
「とんでもなく難しい理数系の勉強があるんだろうなァ・・・」と恐れていては、
受験勉強に取り掛かる前に、不戦敗を喫することになってしまいます。

もちろん、気象予報士試験では、基礎的な気象学の知識が問われるので、
数学や物理の学習を避けることは、絶対にできません。
しかし、その壁は、「気象予報士になりたい」という情熱で、
乗り越えられるのではないか、と私は信じています。

テレビなどで活躍しておられるキャスターの経歴を見てみて下さい。
大学や大学院で気象学を修めた方は、決して多くないです。
その一方で、理数系とは関係しない学歴の方が多いことも分かります。
私自身も私立エスカレーター式進学で、文学部卒であり、
(資格取得後の)高校3年に、地学の科目で気象を教わっただけです。

もし、気象が好きなのであれば、数学が苦手なくらいで、
気象予報士資格の取得を簡単に諦めるのは、もったいないです。
分数の掛け算や割り算が苦手であれば、比や割合の概念が分からないのであれば、
小学校の算数まで戻って学習し直せば良いのです。全く恥ずかしくないです。
それだけの意欲と情熱があるか、結局はその点に尽きると思います。




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279、二歩目は一歩目よりも楽。
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2016年が始まり、気持ちを新たに切り替えて、
「今年こそは、気象予報士試験合格!」と決意を固めた方も多いと思います。

ただ、合格までの道のりは決して平坦ではありません。
学習過程において、いろいろな壁は出てくるのであり、
実は「勉強を始める」というのが、なかなか大変なのですね。
これは受験勉強に限った話ではありません。

寒い日の夜明け前に目が覚めても、布団から出るのは辛いものです。
しかし、ここで「エイッ!」と気合いを入れて外に飛び出し、
寒いのを我慢して、暖房を付けるのです。
部屋が暖まってくれば、体も動くようになってきます。

自転車をこぎ出すときも、ペダルが最も重いのは最初です。
いったん自転車が動き出せば、ペダルは軽くなり、
比較的小さな負荷で、走り続けることができます。

受験勉強もこれと似ていると思います。
机に向かい、ノートを広げ、書かれた文字列に目を通し始めるまでが、
一番大変なところです。
「仕事が終わって疲れているから」「テレビを見たいから」
「何となく気乗りしないから」「明日にやろうと思っているから」
「まず風呂に入りたいから」「後で電話がかかってきそうだから」
「満腹でだるいから」「酒を飲んでしまってボーッとしているから」
「試験まで日があるから」「今日はあまり時間が無いから」・・・
最初のエンジンがかからない理由は、いくらでも湧いてきます。

こうした理由(言い訳)を払いのけたうえで、
火花を飛ばし、エンジンに点火することこそが、最初の大きな壁です。
これを乗り越えて、勉強を無事にスタートさせた後、
いわゆる「興に乗る」という状態に持ってくれば、しめたものです。

合格を勝ち取るためには、相当量の学習が必要なので、
勉強習慣を確立できるかどうかに、かかってきます。
こうした習慣を定着させている人は、エンジンをかけるのがスムーズです。
おそらく、最初はかなり強い意志を持って、
足で踏みつけるようにして「ブルブルン!」とエンジンをかけていたのでしょう。
来る日も来る日も、エンジンをかけ続けることによって、
やがて、半ば無意識にエンジンがかかるようになったのだと思われます。
これが、学習習慣の定着というものです。

最初から、無意識に机に向かえる人はいないはずで、
それができるまでは、気合いを入れて一歩踏み出し続けるのです。
冬の早起きや自転車のこぎ出しと同じで、
最初の一歩を踏み出せれば、次の二歩目・三歩目はそれよりも楽になります。




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280、事前準備で過度の緊張を防ぐ。
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1月も後半になり、気象予報士試験が近づいてきましたので、
受験勉強の仕上げに、奮闘されている受験生も多いと思います。

率直に言いますと、現時点で実力の95%超は固まっている、と私は考えます。
今度の試験で完全合格を勝ち取られる受験生の方々は、
短い人でも1年以上にわたって受験勉強を続けてこられたはずです。
その期間を考えれば、残り10日あまりという時間など、ほんの一瞬です。
これまでの学習の積み重ねで培った実力を考えれば、
これからの時間で学べることは、僅かな上乗せに過ぎません。

ですから、キチンと受験勉強を続けてこられた方は、自信を持って良いのです。
そうでない方は、無茶な追い込みをかけることよりも、
冷静になって8月試験への準備を進めるべきなのです。

「試験直前に目を通していた内容が、なんと出題されたのです!」
といったドラマチックな合格エピソードは、ほとんど耳にしたことがありません。
奇跡をあてにせずに、堂々と合格を勝ち取ろうではありませんか。

やるべきことを、やり尽くした受験生にとって、
あとは、試験当日にそのままの実力を出すのみです。

試験時間内での解答内容によって、3月での合否が決まるのですから、
試験会場にて、緊張が高まるのは当然のことです。
もし、「合格したい」という気持ちを完全に捨て去ることができれば、
試験を上手く乗り切る必要も無くなるので、緊張は消えるでしょう。
しかし、それは資格取得を目指す受験生にとって、あり得ないことです。
つまり、受験時の緊張は必ずあるもので、完全に除くことはできないと考えます。
ですから、「緊張してはいけない」と念じるのでは無く、
緊張している自分を意識的に認めることが大切だと思います。

そのうえで、できるだけ緊張を高めないようにするためには、どうすれば良いか。
それは、事前準備の充実度にあります。

試験会場までの経路や時刻表を、事前に確認しておく。
教室内の環境を想定して、脱ぎ着しやすい服装を準備しておく。
筆記用具が十分に揃っているか、事前に確認しておく。
試験当日の朝に、昼食を用意しておく。

こうした事前準備が大事だと実感できるのは、試験当日を迎えてからであり、
それゆえに、つい忘れてしまいがちな部分です。
無駄に緊張を高めることを防ぎ、良いコンディションで受験するためには、
こうした用意を怠らないことが大切です。

さらに、自分にとってリラックスできる環境を準備しておくと良いでしょう。
リラックスのための方法は、人それぞれです。
ヘッドフォンで音楽を聞くのが好きだという人もいます。
スマホのゲームが好きだという人もいます。
マンガ雑誌をめくるのが好きだという人もいます。
コーヒーを飲みながら、他の受験生と雑談をするのが好きだという人もいます。
試験会場内をウロウロ歩き回るのが好きだという人もいます。

試験会場だから参考書を広げなければいけない、というルールは無いです。
どんな受験生でも、本に書いてある内容を100%暗記しているわけでは無いので、
むしろ、試験直前に参考書を見ると、アタフタする恐れがあります。
無駄に緊張を高めるのは、得策ではありません。

いかに自分の実力を100%に近い形で出せるか。
試験当日においては、それを第一に考えることが大切です。




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281、合格のコツは「深く振り返り、早く切り替えること」
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昨日の試験での手応えはいかがでしたでしょうか?
正式な解答例が発表されれば、仮採点でおおよその成績が見えます。
良い感触を掴めれば、あとは合格証が送られてくることを願うのみですね。

一方、満足できる答案を作れなかった方もおられることでしょう。
試験直後というのは、次の試験までの時間が最も長い時期です。
特に、1月試験〜8月試験には、約7か月もの期間があり、
次の試験に向けての決意を固めるために、最適の時期であると言えます。

この時期に大切なのは、「振り返り」と「切り替え」です。

まず、「振り返り」というのは、試験日までの受験勉強を思い返すことです。
何か改善すべき点は無かったかを、検証してみましょう。
 ・学科試験だけに絞って勉強すれば良かった→【戦略】
 ・本格的な受験勉強に入るのが遅すぎた→【時間配分】
 ・分からない部分が増えてきて、行き詰まってしまった。→【戦術】
 ・何となく勉強に対する意欲が高まらない。→【動機付け】

受験勉強というのは、レンガを積み重ねて家を作るのと似ています。
家が10000個のレンガで構成されるのであれば、
毎日20個ずつ積み上げる作業を500日続ければ良いのです。
でも、これがなかなか簡単では無いのですね。

ある日、思いっきり張り切って、200個のレンガを積み上げたとしても、
それで腰を痛めてしまい、翌日から作業が滞れば、家は完成しません。
一方、コツコツ続けるのが大事ですが、1日に1個しか積み上げられなければ、
家が完成するまでに30年近くかかることになります。
つまり、ある程度の短期間で、家を完成させるには、
一定量のレンガを持続的に積み上げていく必要があるわけです。

ここで、積み上げたレンガを破壊しにくる輩はいないのと同時に、
自分の代わりにレンガを積み上げてくれる助っ人もいません。
家が完成するかどうかは、あくまでも自分自身の作業の仕方次第です。
これが受験勉強の厳しさであり、面白さでもあります。

試験前のレンガ積み作業が、果たして効率的であったのかを、
振り返ってみると良いと思います。
(積み上げ計画に問題は無かったか、作業道具は適切であったか、など)

そのうえで、改善点が見つかれば、今度は気持ちを切り替えて、
前を向いていかれることが大切です。
反省や分析は、あくまでも未来のために行うものです。

試験が終わってから、気が抜けてしまい、
なかなか勉強が手に付かないことがよくあります。
いつの間にか、次の試験が近づいていて、慌てて取り組むものの、
時間切れで勉強が完成せず、試験後に意気消沈・・・。
勉強のムラが大きいと、こうした負の連鎖を引き起こしかねません。

受験勉強の再開時期が早いほど、長い学習期間を確保できるので、
次の試験準備を優位に進めることができます。
時間を自分の味方にしましょう。




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282、第45回気象予報士試験を振り返って(実技)
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第45回試験の実技試験を受けられた方々から寄せられたご感想は、
「実技1が難しかった。実技2はそれほど難しくなかった。」が多かったです。
結果として、両方が合わさった合格基準点は、
普段とそれほど大きな違いは無いだろうと、私は見ています。

実技1における特徴としては、記述の問題が少なめで、
そのぶんだけ語句や数値で解答する問題が多かったように感じます。
特徴や根拠について答案文を組み立てることよりも、
資料を詳細に読み取って、1つ1つ解答する力が試されたと言えます。
解答できる問題数は、資料読解の力量に大きく左右されたはずです。

また、実技1では台風の温帯低気圧化についても問われました。
問1(2)・問2(1)(2)の問題は、温帯低気圧化の知識が土台になっており、
知識の充実度について、実資料を通して試されたといって良いでしょう。
知識というフィルターを通して、資料を見るからこそ、
着目すべき点が浮かび上がってくるのです。
やはり、学科試験の学習内容があっての実技試験です。

実技2の特徴は、下に挙げるように過去の頻出問題が多かったということです。
 ・前線と対応する等温線の読み取り(問1(2))
 ・低気圧の盛衰を、気圧の谷の軸の傾斜から判断する。(問1(4))
 ・衛星画像での層雲と積乱雲の読み取り(問2)
 ・温暖前線と寒冷前線の解析(問3(1))
 ・低気圧の進路を風向変化から読み取る。(問3(3))
 ・風向の鉛直分布から温度移流を読み取る。(問4(1))
 ・時系列資料から寒冷前線の通過を読み取る。(問5(2))

よって、過去問題演習が充実していれば、実技2は解きやすかったはずです。
もし、実技2の手応えが良くなかったのであれば、
量的にも質的にも、過去問題の学習を丁寧に行われる必要があります。

そして、実技試験での点数を高めるには、ケアレスミスを極力防ぐことです。
実技1の問1(2)では、「輝度温度」が問われていますので、
「輝度」を解答すると誤りになります。
数多く出された穴埋め問題では、いろいろな指示が出ており、
これを沿った解答が求められています。
また、実技2では、気圧低下量と気温降下量が問われており、
いずれも負の符号を付けると誤りになります。(問1(1)・問5(1))

正確な知識・充実した演習量・ミスの少なさ、
この3要素を揃えた受験生こそが、第45回試験の合格を勝ち取ることでしょう。




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283、メインの仕事を充実させるために、気象を学ぶ。
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「気象予報士資格は、気象業界やマスコミ業界志望のためのものではないか?」
一般的に、このような認識を持つ方が多いと思います。
確かに、気象会社への就職や、気象キャスターを目指す方の多くが、
この資格試験の勉強に勤しんでいます。

しかし、気象予報士という資格は、
「気象業務に従事する人のためのもの」だけではありません。
私は、資格の用途として、3種類があると捉えています。

1.主業務を行うために用いる。
2.主業務を掘り下げたり、幅を広げたりするために用いる。
3.趣味として用いる。

気象会社での勤務や、気象キャスターとして働くことは、1に該当します。
1と3の用途だけを考えれば、気象予報士の資格は、
「ごく限られた人向けの特別な資格」という位置付けになります。

しかし、私は2についても大切だと考えますし、
実際に受験支援に携わる者の皮膚感覚としては、
この用途で資格取得を目指す受験生が最も多いと感じています。

2の具体的な例としては、
 ・交通機関(道路・鉄道・航空・船舶など)の運行業務
 ・役所(国・地方自治体)における防災業務
 ・農林水産業での業務支援
 ・小売業における販売促進・商品開発
 ・教育機関での理科・防災の教育
などが挙げられます。

世間では「気象予報士=自分で天気予報ができる」という見方が多いですが、
私は独自に現象の予想を行うことには、あまり重要性を感じていません。
気象庁が、さまざまな用途に応じた予報を出しているのですから、
基本的には、それらを活用すれば良いと思うからです。
むしろ、私は次のような点が重要であると考えます。

気象をメインとしない仕事に携わっている人が、気象予報士資格を取得すると、
本業の知見と気象の知見が合わさって、新しい視点が生まれます。
気象の知見が無いと思いつきにくいようなことが頭に浮かんだり、
本業で生じた課題を、気象の知見で解決できるようになる、といったことです。

例えば、医療の世界で仕事をする人が、気象の知見を併せ持つことで、
気象と関係の深い疾患(スギ花粉症・熱中症など)を、
より深く捉えることができるようになるでしょう。
また、地球温暖化に伴い、北極海航路への関心が高まっていますが、
ここでは、気象と海上輸送の両方の知見が求められるわけです。

メインの仕事に対して、それとは関係の薄い世界の知見を備えることで、
その業界だけに身を置いた立場では見えにくいものが浮かび上がるのであり、
私は、それを「化学反応」に例える形で捉えています。
よく、「仕事ができる人は、趣味も多い」といったことを耳にしますが、
これは、表面的には「遊び」「気分転換」にしか見えない趣味が、
本業に対して、独自の気づきの視点を与えているからだ、とも解釈できます。

ある人が、気象予報士試験の勉強を行うことによって、
具体的にどんな「化学反応」が起こるのかは、私自身にも分かりません。
事前には分からないからこそ、「化学反応」なのであり、面白いところです。

気象と全く関係が無いと思しき職種に携わる方が、
実際に勉強を始めると、それまで気付けなかったことが見えるかも知れません。
これこそが、勉強の持つ大きな意味なのであり、
メインの仕事を重視する立場からすれば、試験合格さえも凌ぐほど、
大きな収穫につながる可能性を秘めていると思います。




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284、冷めないうちにエンジン再始動を。
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私が最も忙しくなる時期をご存じでしょうか?
それは、「年末年始」と「お盆」です。

当塾の業務は、受講生の皆様への個別指導が、かなりの部分を占めています。
もちろん、基本的には教材(DVD・プリント)で勉強されるわけですが、
どの部分で学習が躓くかは、人によって異なるのです。
その点を補うのが、質疑応答・答案添削という個別指導サービスです。

特に、過去問題演習においては、必ず「引っかかり」が出てきます。
訳が分からない、納得できない、意味が取れない、という箇所です。
それは例えてみれば、排水溝に絡まった髪の毛やホコリのようなもので、
たくさん絡まると、やがて水が流れなくなってしまいます。
つまり、受験勉強が行き詰まってしまうということです。

そこで、こうした「引っかかり」を取り除くことが大切であり、
排水溝を掃除する「使い古しの歯ブラシ」のような役割が、私の仕事です。

ご承知のとおり、気象予報士試験は1月と8月に行われます。
それぞれの試験直前で、多くの受験生が休日を取りやすい時期である、
「年末年始」と「お盆」には、特にご質問が集中するのです。

では、逆に私が最もヒマな時期をご存じでしょうか?
こちらは分かりにくいかも知れないですが、実は2月です。
この時期を活用して、半日の人間ドックにも行ってきましたよ。

もちろん、「ヒマ」といっても、教材制作や教材発送の業務もあります。
1月の試験終了後から受験勉強を再開される方も多く、
日々のご質問が途絶えることは決してありません。

ただ、2月は「1月試験の結果待ち」という時期でもあるうえに、
1月試験〜8月試験の期間が長い(7か月程度)ことから、
「少し休憩しよう」とお考えになる方が多いようです。
これに対して、同じく「結果待ち」の時期である9月は、
1月試験までの時間が短いため、すぐに受験モードに戻る方が多いです。

さて、2月が過ぎ、3月の合格発表を迎えました。
多くの方が次々に受験勉強を再開されていますが、
長く休みすぎて、エンジンのかかりにくい方はおられませんか?

エンジンが冷えてしまうと、受験勉強を再開しづらくなります。
試験までの期間が短くなれば、こなせる勉強量も減ってしまい、
次の試験での勝機を逸してしまうことになるのです。

3月も半ばに入り、地域によって違いはあるものの、
着実に季節は春に移ろいつつあります。
夜明けも早くなり、早朝勉強にも適した時期が近づいてきました。
前回の試験結果から気持ちを切り替え、
8月試験に向けて、清々しく再スタートしていきましょう。





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285、多くの支えによってキャスターは育てられていく。
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「藤田先生、ご無沙汰しています。
今度、新しい番組を担当することになりました。」

かつての受講生で、今は気象キャスターをされている方からのお電話でした。
塾での受講を終えられてから、もう随分と年月が経つのですが、
気象予報士資格を生かして、放送の現場で活躍されているのは、
とても嬉しいことです。

ご承知のとおり、新年度は番組改編がよく行われる時期です。
日本全国の放送局や番組の数には、大きな変化が無いので、
気象キャスターを務められる人の数も限られています。
その狭き門をくぐり抜けて、キャスターに選ばれることや、
さらには、キャスターとして仕事を続けられることには、
気象予報士試験に合格することとは、異なる種類の難しさがあります。

「どんな人がキャスターに向いているのか?」という問いに対しては、
人によって、いろいろな答えがあるでしょうが、
私は「周囲の支えを常に意識できる人」を挙げたいと思います。

シンクロナイズドスイミングで、1人の演技者が、
水中から湧き上がるようにして、水上に姿を現すことがあります。
まるで、水面に立っているかのように見えるのですが、
当然ながら、その下には、彼女を支える多くの演技者たちがいるわけです。
水面下で何人もが支えるからこそ、1人だけが水面上に姿を見せられるのです。

放送の仕事もこれと似ていて、テレビ画面には出演者しか映りません。
出演者以外のスタッフが画面に映ることを「見切る」といい、
テレビの世界では、「あってはならないこと」とされていますので、
放送されている画面には、基本的に出演者しか映らないのです。

しかし、実際には、フロアディレクター・カメラマン・音声や照明の技術者など、
多くの番組スタッフがスタジオ内で仕事をしています。
また、スタジオの隣には、機材で埋め尽くされた「副調整室」という部屋があり、
番組全体の進行を取り仕切る人や、画面の切替を担当する人、
時間進行の管理をする人など、ここでも多くのスタッフが、
放送中の画面を凝視しながら、仕事をしているのです。
さらには、メイクや衣装を担当するスタッフもいます。

番組のエンドロールの部分で、名前が次々に出てきて、
これを見ると、「多くの人が番組に関わっているのだな」と思いますが、
実際には、ここに個人名が載らないスタッフもいるのです。
それぞれの役割を担当するスタッフが、大きなチームを形成することで、
1つの番組が制作されているわけです。

出演者は「私が!」「僕が!」という形で、前に出ようとする人が多く、
それは、カメラやマイクの前で話す職業として、もちろん大切な力です。
と同時に、多くの方々の支えを常に意識することも、大事なことだと思います。

「キャスティングの能力が高ければ、それで良いではないか」
と思われるかも知れません。
しかし、どんなキャスターでも最初から技術的に洗練されているわけでは無く、
現場で失敗しながら、場数を踏むことによって、磨かれていく面も大きいです。
そのときに、「このキャスターを育ててやろうじゃないの」と、
見守ってくれるスタッフがどれだけいるかが、大切だと感じます。
つまり、長年にわたってキャスターを続けている人は、
「勉強させてもらう機会」を得られたからだとも言えるのです。

私は、出演を担当すると同時に、裏方としても仕事をしていました。
つまり、両方の立場で、放送業務に携わっていたのです。
そんな中、制作や技術のスタッフさんに丁寧に挨拶をされる、
あるアナウンサーの方の姿には驚きを感じました。
「抜擢されるのは、こういった理由もあるのかな」と思ったのです。

普段は気象予報士試験の勉強法について書くことが多いですが、
今回は、自分の経験も踏まえ、気象キャスターについての話を書いてみました。




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286、この時間管理術で勉強時間を確保しよう。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 朝残業がない日は、原則朝7時から会社近くのカフェで出勤まで勉強しました(約1~2時間程度)。
> 昼も原則1人でカフェへ行って勉強しました(40分程度)。
> 昼の時間は就業後より元気がありますし、週単位で見ると馬鹿にならない時間が確保できます。
> 会社の飲み会はできるだけ断りました。
> 夜は21時までに家の最寄り駅に着いたら、気が進まなくても近くのカフェへ入るようにしていました。
> とにかく座ってコーヒーを飲めば、効率は低いものの何とか勉強し始められます(0.5時間~2時間)。
> 但し金曜の夜は勉強せず、ほぼ友達と飲みに行っていました。仕事のストレスも含め一気に解消。
■Jさん(38歳・男性・東京都・会社員・第45回気象予報士試験合格)


新年度を迎え、書店にはNHKの語学テキストが平積みされています。
春は新たな勉強を始めるのに、ちょうど良い時期です。
しかし、4月号の語学テキストを購入した人のうち、
翌年3月号まで購入を続けた人は、どれくらいいるでしょうか。
もちろん、「始めること」が大事なのは言うまでもありませんが、
同時に「続けること」を伴わなければ、勉強の成果を得ることはできません。
ですから、学習習慣の定着は、とても大切なことですね。

とは言え、忙しい社会人受験生にとって、
まとまった勉強時間を捻出することは至難の業です。
そこで、冒頭で引用したJさんの合格体験記で、私は3つの点に着目しました。

1.細切れ時間をかき集める。
2.身銭を切って、質の良い勉強空間を確保する。
3.対人関係を主体的に調整する。

まず、1です。
忙しい受験生が「連続して3時間」などといった学習時間を確保するのは、
現実的なスケジュールとして成立させることが極めて困難です。
しかし、「小1時間ならば何とかなる」という人も多いと思います。
40分程度の時間でも、1日の中で3つ確保できれば、2時間になります。
毎日2時間も勉強に費やせるのであれば、平日だけで10時間になり、
これを活用すれば、かなりの学習量をこなせます。

次に、2です。
カフェなど、お金のかかる場所で勉強するのは、一見ムダなように感じますが、
「金銭を投入するからこそ、それに見合った結果を!」という心理が働き、
結果として、勉強に身が入りやすくなります。
追加料金のかかる座席指定の有料列車に乗ることも、これと似ています。
また、心理面だけで無く、やはり有料サービスで得られる空間は快適です。
カフェであれば、好きな飲み物を注文できますし、テーブルも使えます。
また、座席指定の有料列車では、落ち着いて座ることができます。
公園のベンチや、混み合った通勤電車の中よりも、
密度の高い勉強時間を確保しやすいと言えるでしょう。

そして、3です。
人間は社会の中で生きているわけですから、
人間関係を全て切り離して、日々を過ごすことはできませんし、
それは決して幸せなことでは無いと、私は思います。
しかし、常に周囲の顔色をうかがい、目立ったことをしてはいけない、
「変な奴だと見られてはいけない」と怯えているのも、幸福では無いです。
つまり、極端な独走も、極端な同調も、望ましくないことです。
「気象予報士試験に合格したい」という目標があるのなら、
昼休みくらいは1人で勉強しても良いではないですか。
会社の飲み会への参加も、ある程度は間引くことが可能だと思います。
Jさんの場合、金曜日の夜は友達と飲みに行かれたのであり、
決して全ての人間関係をバッサリ切っているわけでは無いことにも着目です。

もちろん、人によって取り巻く環境は異なりますので、
Jさんと同じことをするのは、難しい人もおられることでしょう。
ですから、自分に合った学習時間の確保の仕方を考えることが大切です。
目標を達成するために大切なのは、可能な範囲において、
自分が主体となって時間管理をすることだと思います。




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287、頭の中のアップデートは自分にしかできない。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> この時に私は藤田塾を受講していきなり正解だったと確信しました。
> 最初の添削で、これまでの私は、「正渦度域」と「正渦度移流域」が
> まったく区別できていないことに気づかされたからです。
> 今思えば明らかな基礎事項ですが、
> 独学のままではこの先何年勉強してもこのような基礎事項ですら
> 誤解したままであったであろうと思います。
> そして、このような誤解を他にもたくさん抱えているのではと思い、
> どんどん添削をお願いして少しでも疑問に思ったことは
> どんどん先生に質問しようと思いました。
■H.Y.さん(37歳・愛媛県・第45回気象予報士試験合格)


受験勉強に欠かせないのは、正確な知識を数多く持つことです。
「自分のアタマで考える」といっても、基礎事項の知識が備わっていなければ、
天気図を見ても、出てくるのはトンチンカンな解釈だけです。

よく「同じ天気図は1枚も無い」と言われますが、
それでも読み解けるのは、ある程度のパターンが頭の中にあるからです。
つまり、典型的パターンを1つずつ勉強していくことにより、
初見の資料に対しても、類推を働かせることができるようになります。
この類推こそが、「自分のアタマで考える」ということですが、
蓄積された知識があるからこそ、それも可能になるわけです。

ということは、受験勉強で大切なことは、次の2つだと言えます。
 1.未知を既知に変えること
 2.誤解を理解に変えること

知らない事柄を、自分のものにするという知的作業は、とても大変ですが、
もっと大きな労力を要するのは、2ではないかと私は考えます。
「誤解」とは、本人がそれを意識していないからこそ、「誤解」なのです。
つまり、2を行うためには、ある事柄に対する認識について、
それが「誤解」であることに気付くことが第一歩になるわけです。
これは簡単なことではありません。

パソコンやスマートフォンであれば、ネット経由で診断を行うことによって、
ソフトウェアのアップデートの必要性を調べることができます。
しかし、人間の頭脳は、そういった方法でアップデートの確認ができません。
とても原始的な手法ですが、自分の知識をいったん外部に出力し、
知識の正確度について、何らかの方法で確認する必要があるのです。

「過去問題を解くこと」は、こうした検証作業なのです。
もし正答できない問題があれば、「未知」や「誤解」があるからであり、
それを解決することで、「既知」や「理解」に変える過程が、
コンピュータで言うところのアップデートだということです。

もし、「未知」や「誤解」を見つけられない場合や、
「未知」や「誤解」が見つかっても、放置したままである場合は、
頭の中はいっこうにアップデートされないまま、ということになります。

そして、大事なことは、自分の頭の中身をアップデートできるのは、
自分自身しかいないということです。
「未知」や「誤解」を、「既知」や「理解」に変えようとする意識があればこそ、
本を読んだり、講義を受けたり、答案添削を受けたりすることが生きてきます。
「未知」や「誤解」を探し出して、片っ端から片付けていこう、
という姿勢を持って、受験勉強に取り組まれることが大切です。




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288、最終目標から逆算して計画を立て、課題は細分する。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 2回生へ上がる春、この忙しい生活の中で気象予報士資格を取るには、
> 一般知識、専門知識、実技、と1つの試験で1つずつクリアしていくしかないな、
> と気づきました。
> 「大学院入試のある4回生夏は厳しい。ということは3回生冬までに合格したい。
> そのためにチャンスはあと4回しかない!今始めな間に合わん!」
> そう思い、インターネットで調べる中で『藤田真司の気象予報士塾』を見つけました。
■Y.Mさん(女性・21歳・大学生・第45回気象予報士試験合格)


気象予報士試験のように、合格まで長い時間を要する試験では、
目標を分割することが大切です。
大きな課題であっても、それを小刻みに分けてしまい、
細分化された課題を1つ1つ片付けていく作戦をお勧めします。

一般・専門・実技を一気に合格しようとすると、
学習の範囲が広すぎて、途方に暮れることになります。
幸いにも、学科試験(一般・専門)に合格すれば、
1年間は受験を免除される制度があるのですから、これを有効活用するのです。

3科の試験科目も、学習内容ごとに単元が分かれており、
さらに単元の中での学習内容も細分されます。
試験全体の学習量はかなり多いですが、それらを細かく分ければ、
わりと短い時間で学習を完了することができます。
これを繰り返すことで、試験合格という大きな目標を達成するのですね。

また、完全合格を勝ち取りたい時期についての目標を設定し、
日程を逆算することで、日々の学習過程を決めていくことが大切です。
この合格体験記をお書きになった方のように、
3回生(3年生)の冬の試験での完全合格を目標にされたのであれば、
いつまでに専門知識試験や一般知識試験に合格する必要があるのを、
逆算で求めていきます。
そうすれば、いつの時期にどれだけの勉強をしなければならないのかも、
自ずと明らかになってくるということです。

大学の標準的な修学期間は4年ですが、
就職活動や大学院入試までに合格することを目標にすれば、
かなり早い段階から受験勉強を始める必要があります。
期限が決まった中での受験勉強は、緊張を強いられるものですが、
最終的なゴールの時期を明確に設定しているからこそ、
メリハリの利いた学習ができるとも言えます。




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289、1日の中から「勉強枠」を天引きする。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 私は運よく一度も挫折せずに合格まで頑張ることができましたが、
> 燃え尽き気味になった時の対処として、形だけ以前のままを維持することに努めました。
> 私の場合はとにかく生活リズム(早起き)だけは維持してとっととカフェに入ってしまいます。
> テキストの流し読みやスマホをいじったりなどで薄い時間を過ごしながらも、
> 1週間くらい繰り返すと感覚が戻ってきて元の集中力を取り戻せました。
■Jさん(38歳・男性・東京都・会社員・第45回気象予報士試験合格)

このメルマガでも何度も述べていますように、
気象予報士試験突破のカギは、「学習の継続」にあります。
一般・専門・実技という、3科の試験に合格する必要があるうえ、
各試験の学習範囲の広さを考えますと、相当な学習量が必要です。

世の中には、いろいろな種類の資格試験があって、
「講習を1日受けると取得できる資格」もあれば、
「2週間ほど勉強すれば受かる試験」もあります。
気象予報士試験を、こうした時間感覚で捉えると必ず失敗します。
この試験は、「1年で受かれば奇跡」「2年で受かれば上出来」と言えるくらい、
長期的な受験勉強が必要な試験です。
一般的に「難関資格」と呼ばれるものについては、この程度の期間、
もしくは、これ以上に長い期間を要するものばかりですね。

さらに、多くの受験生が、日々の本業(就業・家事など)の傍ら、
気象予報士試験の学習に取り組んでおられます。
このため、「学習時間の確保」「学習習慣の確立」という点において、
苦労されている方が実に多いです。

日々のスケジュールというのは、水のようなものだと私は思うのです。
例えば、勉強のために「1時間」を確保したいと思っても、
その時間帯をしっかりと堰き止めておかなければ、
他の予定がどんどん入り込んできて、その時間が埋められてしまいます。
このため、「余った時間を勉強に充てよう」と思っていても、
なぜか余った時間が出てこず、勉強が進まないということも起こります。

ですから、受験勉強を進めるために大切なことは、
自分自身のスケジュールの中に、しっかりと「枠」を設けることです。
この体験記をお書きになったJさんの場合であれば、
「早起きして、カフェに入る」というのが、それに該当します。
早朝からカフェに身を置くことで、勉強のための時間を確保されたわけです。
別の言い方をすれば、「時間の源泉徴収」であり、
最初から、学習に必要な時間を天引きしてしまうのです。

「とにかく生活リズム(早起き)だけは維持して」と書かれていますが、
この点については、私も重要なことだと認識しています。
休日などは、朝寝坊を楽しみたくなるものですが、
普段に比べて、起床時間があまりにも遅くなると、生活リズムが狂ってしまい、
翌日に支障を来すことがあると本で読んだことがあります。

私自身は、カレンダーに関係なく、朝5時頃に目を覚ましています。
この生活を続けた結果、アラーム無しで勝手に目が開くようになりました。
忙しくて、寝るのが深夜になった場合でも、同じように目が覚めますので、
体の中に、そういうリズムが出来上がったようです。
もちろん、睡眠時間が短くなった日は、昼間も眠気に襲われます。
そのときは、10分程度の仮眠を重ねることで、何とか凌いでいますし、
疲労が溜まらないよう、次の日はなるべく早く寝るようにしています。

「早起きして、カフェに入る」という行動は、1日の中に枠を設けることです。
一度、こうした枠がスケジュールの中にできあがると、
それを前提とした生活パターンが定着します。
一時的に勉強に身が入らない時期であっても、枠そのものを維持することで、
学習意欲が戻ったときにも、スムーズに受験勉強を再開できたのだと言えます。
勉強時間の確保を課題とされている方は、試してみる価値があると思います。




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290、何のために過去問題演習をするのか?
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 独学で過去問演習を繰り返し繰り返し行っていましたが、
> 実技試験において以下の疑問点が何度やっても払拭出来ずにいました。
>
> 1自分の回答と模範解答を比べて、自分の回答が合っているのかどうか分からない。
> 2自分の回答の表現ではなぜ間違いなのか分からない。
> 3模範解答がなぜ正答なのか分からない。
>
> 同じような疑問があるのであれば、プロの方に質問する場が必要であると思います。
> 私は第44回試験までずっと疑問を解決できないまま勉強していたので、
> 量をこなしていてもずっと同じ場所で足踏みしている状態でした。

■M.Yさん(女性・23歳・お天気キャスター志望・第45回気象予報士試験合格)
(注:原文には機種依存文字が含まれるため、数字の一部を変更しています。)

次の試験までの残り時間が3か月を切った今、
受験生の皆様は、本格的な問題演習に取り組まれていることでしょう。
問題を解くことで、自分の実力が如実に表れますので、
過去問題演習は試験勉強に欠かせない過程です。

特に、実技試験においては、文や作図での解答が大半を占めるため、
実際に鉛筆を握って、答案作成を行うトレーニングが不可欠です。
私自身、実技試験の勉強を開始した当初は、
「解答例のような文章は自分には書けない」と感じました。
しかし、受験勉強が着実に進展すれば、
同じような文章を作り出せるようになるものです。

気象報道の世界において、放送原稿を書く仕事を始めたときも同じでした。
それまで、視聴者としてテレビで読み上げられる原稿を聞く立場だったのが、
自分が書く立場になるのですから、戸惑うのは無理もありません。
しかし、当時の上司による厳しいトレーニングを受けることで、
数年後には、自分自身が原稿作成を指導する仕事を担っていました。
とにかく道を突き進むことが大切ですね。

しかし、実技試験の勉強においても言えることですが、
単にガムシャラに努力するだけでは、得られるものが少ないです。
私は実技試験の推奨演習量の目安として、
「過去7〜8年分の問題を3回転」とよく言いますので、
「演習量に比例して、実力が高まる」と解釈される方がおられますが、
これは私の意図するところとは少し異なります。

例えば、野球部員がバットの素振りをすることを考えてみましょう。
やみくもに100回、200回、300回・・・と振り回すのと、
スマホのカメラで自分のスウィングを確認し、
コーチの指導を受けつつバットを振るのとでは、意味が全く異なります。

確かに、300回もバットを振れば、手のマメは潰れ、
(私もよく左手の親指の付け根から出血したものです。)
腕の筋肉も付くと思いますが、正しいスウィングができるかどうかは別です。
もっと言えば、ヒットが打てるかどうかも別です。

過去問題演習もこれと似たところがあり、
強引に演習回数を増やしても、ツボが押さえられていなければ、非効率です。
ここで言う「ツボ」とは、課題(=改善すべき点)を見つけることと、
見つかった課題を適切に解決することです。

問題演習を繰り返すと、解答例の表現が頭に入ってしまうので、
解答例に似た答案を書けるようにはなります。
このため、表面上は実力が高まってきたように見えるのですが、
根本的な理解に至っていなければ、類題には対応できません。

「過去問題演習ではできたのに、なぜ本番ではできないのか? 不思議だ。」
いえいえ、類題なのに本試験で解けなかったのであれば、
実は過去問題でも「できていなかった」と考えるのが、自然です。
過去問題演習の回数を重ねすぎると、「実力で解けているのか」、
それとも、「半ば答えを覚えてしまっているのか」の区別が付きにくくなるのです。

私が提唱する「過去7〜8年分の問題を3回転」の真意は、
「3回転するまでに、洗い出した課題を全部解決しましょう」ということです。
1回目の演習で、課題を出し切り、解決に努める。
2回目の演習で、残ってしまった難しい課題を、再学習で解決する。
3回目の演習で、全て理解できていることを確認する。
理想論ではありますが、こういった姿勢で勉強していくことが望ましいのです。

労力と時間は、必ずしも実力向上と正比例するわけではありません。
過去問題演習の目的は何か、その目的はどうすれば達成できるのか、
これを考えたうえで、机に向かうことが大切です。




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291、2017年8月試験での合格に向けて
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今日(2016年6月20日)から、第46回試験の受験申請の受付が始まり、
8月の試験日に向けて、ますます熱の入る受験生が多いと思います。
前回の第45回試験から約5か月が過ぎ、
相当に勉強を積み重ねられた方も多いことでしょう。
残りの約2か月で、さらに実力の上積みを続けていきたいですね。

さて、目先の試験も気になるところではありますが、
初めて気象予報士試験に挑戦される方にとって、
2017年8月試験での完全合格を目標にできる最後の機会が今夏です。

具体的に言えば、2017年1月試験で学科2科合格、
2017年8月試験で実技合格という流れと、
2017年1月試験で学科1科合格、
2017年8月試験で学科1科と実技合格という流れが考えられます。

2017年8月試験で全科合格というパターンもあり得ますが、
その前に行われる2017年1月試験で学科合格を勝ち取り、
2017年8月試験での受験科目を減らしたうえで挑むほうが有利です。

よって、2017年1月試験で、少なくとも学科1科の合格が望ましいです。
まだ2016年の真っ只中なので、来年は遠くにあるように見えますが、
2017年1月試験までの残り時間は、約7か月しかありません。
試験勉強に必要なのは、基礎学習と過去問題演習ですから、
7か月間で両方を行うためには、各学習を3〜4か月で仕上げる必要があります。
必要な学習量を考えますと、決してのんびりした学習計画ではないです。

2017年1月試験で学科2科に合格すれば、
そこから8月試験に向けて、実技試験だけの勉強に専念できますので、
並行して学科試験の学習が必要な受験生よりも優位に立てます。
ただ、そのぶんだけ2017年1月試験向けた受験勉強はハードになります。
単純に考えて、学科2科の受験勉強は、
学科1科と比べて2倍の時間と労力を要します。

もし、2017年8月試験で完全合格を勝ち取ることができれば、
受験勉強の期間は、1年あまりということになりますが、
これは想定することのできる最短の合格ルートだと思います。
「最短の合格ルート」というのを言い換えれば、
最も密度の濃い勉強が求められるということであり、
1日あたり、1週間あたりの学習量も相当に多くなることを意味します。
集中して受験勉強に取り組まれる覚悟のある方だけが、選べる道です。




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292、一人で集中できる時間と空間を確保する。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ・長期休暇(夏季休暇と1月の試験直前)
> 1人合宿しました。
> ビジネスホテルで連泊し最寄りのカフェかホテルの中で勉強しました(1日10時間強)。
■Jさん(38歳・男性・東京都・会社員・第45回気象予報士試験合格)


7月に入り、いよいよ本格的な暑さがやってきました。
暑いときの受験勉強は本当に大変ですが、
次の気象予報士試験は夏の終わりに行われるのですから、
何とか克服していかねばなりません。

古典的な手法ですが、早朝からの受験勉強はお勧めです。
夏は夜明けが早いうえ、寒くないので、冬よりも起床が楽ですし、
昼間のような厳しい暑さもないので、勉強する環境は適しています。

また、気温の高いときは、冷房を活用して学習効率を高めたいところです。
公民館などの公的施設や、ショッピングモールでは、
無料で自習できる場所が設置されていることもあります。
また、飲食代は要りますが、喫茶店やファミレスの利用も一つの手法です。

そして、集中した勉強の時間を持つためには、
涼しさだけでなく、静けさも必要だと思います。
普段、我々は大勢の人間の中で日常生活を送り、
お互いに支え合って生きています。
その一方で、受験勉強を集中的に進める際には、
一人の時間・空間を確保したうえで、没頭することも大切です。

合格体験記を書かれた方のように、ビジネスホテルに泊まり込み、
長時間の勉強漬けに取り組まれることも良いでしょう。
もう随分前の話ですが、私が気象報道の仕事に携わっていたとき、
1年で100泊以上、ビジネスホテルのお世話になったことがあります。
狭くて簡素なシングルルームは、自分だけの静かな空間を確保してくれるので、
読書をしたり、ノートを広げて書き物をしたりするのに、適していました。

ただ、いくら安いビジネスホテルでも、それなりの利用料金はかかりますし、
受験勉強を目的とした外泊が難しい方も多いと思います。(私もそうです。)
そのときは、「なるべく人気の少ない場所」という視点で、
勉強場所を探してみると良いと思います。

流行っている喫茶店ではなく、閑古鳥の鳴いている喫茶店を選びます。
入りづらいかも知れませんが、混んでる店よりも長居しやすいはずです。
乗降客の少ない駅のホームに降り、ベンチで本を広げるという方法もあります。
また、マイカーをお持ちの方であれば、小さな勉強部屋に早変わりです。
(ただ、夏と冬は冷暖房のためのアイドリングが必要なので、お勧めできません。)

一人暮らしの方は、自宅が勉強部屋になりますが、
同居の家族がいても、活用の仕方によっては、一人の時間・空間を確保できます。
最初の話と重なる部分が出てくるのですが、
家族がまだ寝ている早朝や、家族が寝た後の深夜は、
一人で勉強に集中できる時間帯です。
自分の生活リズムを崩さない程度に、時間を捻出してみると、
効率的な受験勉強につなげることができると思います。




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293、やっぱり知識の充実度がものを言う。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 直前1か月前からは、心身ともに試験合格のために生活をギアチェンジしました。
> 晩酌をやめ、その代わりに暗記すべき事項の時間にあてました。
> 有給休暇もまとめてとりました。また試験時間に合わせた勉強もはじめました。
> 実技は午後なので、昼食後の睡魔が襲う時間帯でしかも暑い時間帯。
> どんな環境でも力が発揮されないと実力があっても合格できません。
■H.O.さん(46歳・男性・高校教員・神奈川県・第40回気象予報士試験合格)

早いもので、第46回試験まで残り1か月あまりとなり、
試験勉強もラストスパートに近づきつつあります。
当初に立てた目標が妥当であるのかについても、冷静な見極めが必要です。
狙う科目を増やすほど、1科目あたりの学習が手薄になるため、
共倒れの危険が増すのです。

野球で例えれば、1塁ランナーをホームまで返すには、
長打(2塁打・3塁打・本塁打)が必要になります。
しかし、長打を狙える可能性が低いのであれば、
まずは成功確率のより高いバントで、ランナーを2塁に進めたほうが良いです。
無理にバットを振って併殺打になるよりも、次につなげられます。

これまでの学習実績を振り返ったうえで、目標設定を確認し、
軌道修正をするかどうかを判断されることが大切です。

そして、軌道修正するかどうかに関係なく、
これから試験までの期間は、特に充実した受験勉強の場を持ちたいですね。
体験記で書かれていますように、有給休暇の取得は学習時間の確保のためであり、
晩酌を止められたのは、明晰な頭脳で受験勉強に臨むためです。
こうして環境を整えたうえで、試験に向けた総仕上げが始まります。

気象予報士試験において、丸暗記という戦術は効果が低いですが、
それは決して、「頭に入れること」を否定しているわけではありません。
試験の場では、書物の持ち込みが認められず、
自分の頭一つで勝負するのですから、
知識が豊富で無ければ、勝ち目はありません。
要は、「理解を伴ったうえで、しっかり覚える」というのが大事です。

これは実技試験においても、学科試験とそれほど大きくは変わりません。
「自分の頭で考える」というのは、
あくまでも基礎事項の知識が備わっているからできることです。
知識不足で気象資料を眺めても、ヘンテコな独自解釈しか出てこないのであり、
適切な答案を作成することは不可能です。
実技試験も、正確な知識がどれだけ備わっているかで勝負が決まります。

試験までのこれからの期間は、さらなる知識の習得に勤めつつも、
すでに学習を終えた部分における再確認も行っていかれると良いでしょう。
「何となくスッキリしないな」と感じている部分を、入念に点検すると、
間違った形で頭に入っていたことに気が付く場合もあるものです。

1か月で取り組める勉強は、まだまだ多いです。
今の時期は、厳しい暑さとの戦いでもありますが、
着実に実力を積み重ねていきましょう。




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294、ダサい基礎学習こそ大切。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 過去問は、そんなに難しい問題ばかりではありません。
> 差がつくのは、一部の難しい問題だと考え、そこにこだわったのです。
> 結局、意識が難しい問題ばかりにいっているので、
> 簡単な問題で取りこぼしをしてしまう。
> 合格できなかったのは、やはり、基礎的な問題の軽視だったと思います。
> 基礎的な問題でも、題意をきちんと理解せず、解答していたのです。
> きちんと勉強したら、だれでもわかる問題を、確実に根こそぎとる。
> 過去問では100点を目指すよう、すべての問題を題意をきちんと把握し、
> どんな人が採点しようと、非の打ちどころのない解答を目指す。
> それが合格の最短ルートです。
■Hさん(男性・39歳・大阪府・第41回気象予報士試験合格)

受験生の皆さんは、どんな合格者像を描いておられますか?
「難問もスパスパ解けるすごい人」といったイメージをお持ちであれば、
それは、合格者全体の平均的な姿から離れていると思います。

仕事柄、多くの受験生と接してきて実感するのは、
ほとんどの方が壁にぶつかりながら、少しずつ歩みを進めておられることです。

気温減率と乾燥断熱減率の概念の違いについて理解に悩んだり、
等圧面天気図のイメージを捉えるのに苦しんだりしつつも、
目の前の疑問を解消することで、1つずつレベルアップを続けられた方が、
最終的に合格を勝ち取られていくのです。

逆に言えば、こうした「ダサい」とも言える基礎学習を面倒くさがり、
手当たり次第に新規の問題にあたることだけを繰り返していると、
足腰が十分に鍛えられず、草刈り場のような問題でも躓くことになります。

この試験での問題が解けるかどうかは、
知識量とその活用法の充実度で決まる、というのが私の認識です。
受験勉強を進めていくうちに、易しい問題から順に解けるようになっていき、
「難問は解けるが、簡単な問題は解けない」という逆転現象は起こりません。

ここで、試験問題の難度を「易」「並」「難」という形で3等分したとき、
「易」と「並」の問題が解ければ、かなりの得点を積み重ねることができます。
結果的に、難度の高い問題での正答率がそれほど高くなくても、
合格ラインに到達する(≒合格による受験勉強の終了)ことになります。
合格者の平均像が「難問もスパスパ解けるすごい人」ではないと述べたのは、
こうした理由によります。

ですから、「易」と「並」の問題に対する正答率をどれだけ高めるか、
これが合否を分けるのだと私は考えます。
「易」と「並」の問題だけでは、受験生どうしの差が付かないのでは?
と思う方もおられるかも知れないので、データで考えてみましょう。

例えば、ここ最近の実技試験の合格ラインは65点前後のことが多いですが、
合格率は4〜5%に過ぎません。
もちろん、実技試験の採点を受けられない受験生も相当数いますが、
それを考慮しても、65点前後に届かない受験者数の多さがうかがえます。
つまり、相対的に難度の高くない問題で取りこぼす受験生が多いのです。
データから考える限り、「易」と「並」の正答率が、
受験生の合否にかなり寄与していると私は確信しています。
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295、夏試験を乗り越えた先輩方から学ぶ
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 試験会場で、夏は冷房が効きすぎていたり、
> 冬はその逆だったりしますので、服装には注意しました。夏は水分も欠かせません。
> また、実技試験の2問目は疲れてきて集中力も切れがちになりますので、
> 私は栄養ドリンクを飲んで集中しました。
■Eさん(50代・男性・公務員(技術職)・第42回気象予報士試験合格)


> 思わず心臓が飛び出します。血圧が上がります。
> けれどどの試験でも冷静沈着でいる事が必要でしたので、
> 私はお気に入りの音楽を試験開始直前まで流して弱気を起こさないように、
> 心臓が飛び出さないように、血圧を下げました。音楽の力は偉大です。
> 休憩時間には見直しや勉強するのは控えました。
> 貴重な休憩時間までも頭を働かせて長い試験の最中に集中力が途切れ、
> より焦りが出てしまった経験があったからです。
> なので休憩時間はここぞとばかりに頭を休めるために、
> 外に出て新鮮な空気を吸いつつ空を見たり、仮眠を取ったり
> (実際は到底眠れないので目を閉じて頭を空っぽにする事に近いです)
> をしていました。
■積乱雲さん(20歳・男性・浪人・奈良県・第42回気象予報士試験合格)



今回、引用したのは、いずれも2年前の夏試験、
つまり、2014年8月の第42回試験で合格された方々の体験記です。

「夏バテ」「熱中症」という言葉がありますように、
夏は体調管理に対して、特に注意が必要な時期です。
8月下旬に行われる気象予報士試験を征するためには、
体の状態を整えることも、大切な試験対策であると言えるでしょう。

そして、注意すべきは暑さだけではありません。
試験会場では冷房が効いているはずですが、
心地良いと感じる温度には個人差があります。
また、室内の場所によっても、冷え具合は異なる可能性があります。
ある人にとっては、「冷房の利きが悪くて暑い」と感じるかも知れませんし、
別の人にとっては「冷房が効きすぎて寒い」と感じるかも知れません。
「暑い/寒い」と感じながらの受験は、パフォーマンスを低下させますので、
服装などで調節できるよう、準備をしておかれることをお勧めします。

また、のどの渇きは試験への集中を妨げるだけでなく、
健康面でも注意すべきことですから、水分補給は大切ですね。
ただし、冷たい飲料を摂り過ぎたことによって、
試験中にトイレに駆け込むような事態は、極力避けたいものです。
そこで、私は常温の水・お茶をお勧めします。
最近はコンビニでも常温ペットボトルを売っていることがわりとありますが、
自宅から水筒やペットボトルを持っていくことができれば、安心ですね。

そして、これは夏試験に限ったことではないですが、
試験に対する緊張感が高まるのは、多くの受験生に共通することですね。
大切なのは、焦り・不安・苛立ちをできるだけ引き起こさないことです。
最後のギリギリまで、本や教材をチェックしている人は少なくないですが、
それによる効用(該当箇所が試験に出た)が、
弊害(焦りが高まって狼狽えた)を上回るのかは、大いに疑問です。
キチンと受験勉強をしてきた方にとっては、
最後の30分など、総学習量の1000分の1にも満たないのですから、
自分のパフォーマンスを高めることに専念されたほうが良いと思います。




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296、限られた時間を上手く使う。
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「暑い暑い」と言いながら夏を過ごしていましたが、
先日の土曜日の夜は、涼しい風を感じました。
前線が南下して、秋の空気が一時的に流れ込んできたからですね。

気が付けば、9月も目前です。
梅雨時に比べますと、夜明けの時刻も遅くなってきました。
プールのタダ券も手元に残っているのですが、
使えないまま8月31日を迎えることになってしまいそうです。

気象予報士試験が終わったばかりですが、手応えはいかがでしたか?
引き続き、受験勉強が必要な方にとって大切なのは、
ここで長い休みを取らずに、1月試験に向けて歩むことです。

多くの資格試験が、年に1回しか行われないのに対して、
気象予報士試験は、年に2回行われます。
しかも、その日程が「1月と8月」であるために、
8月試験から1月試験までの期間が短いのですね。

試験と試験の期間が短いということは、
時間を上手く味方にできる受験生が強いということです。
なんだかんだ言って、試験勉強というのは、
どれだけ頭の中に情報を詰め込めるか、という要素が大きいです。
そのためには、ある程度の時間を要するのであり、
学習時間の確保こそが、合格のための必要条件です。
よく「スキマ時間を活用せよ」と言いますが、
そういった細切れの時間でさえも、無駄にはできないということですね。

しかし、時間管理というのは、一度ルーズになってしまうと、
元に戻すのが、なかなか大変です。
子どものとき、夏休みが40日くらいありましたが、
後半になると、だらけてだらけて、無意味な毎日を送っていたように思います。

ここまで書いて、以前にある自治体の市長とお話ししたことを思い出しました。
「市長という仕事は、お休みが無くて本当に大変ではないですか?」
「大変だけど、長い休みがあっても、しょうがないじゃないか。
要は時間をどうやって効率的に使うかということ。
こう見えても、先週末は友達を呼んで蕎麦打ちパーティーをしたんだよ。」

あり余る時間よりも、限られた時間のほうが有効活用できるということですね。
たしかに、40日間の夏休みも良いですが、
9月の3連休のほうが、貴重に使えるような気がします。

気象予報士試験の受験生の皆さんも、この重要性を認識している方が多く、
1月試験の後よりも、8月試験の後のほうが、
受験勉強を早く再開される方が多いです。
少し疲れが取れた時点で、ゆっくりと歩き始めることをお勧めします。




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297、自分に合った勉強道具を見つけよう。
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先日の気象予報士試験が終わった後で、受験生の皆様と打ち上げを行いました。
そこで出てきた話題の1つが印象的でしたので、ここでご紹介しますと、
効率的に学習を進めるためには、勉強道具の選び方が大切だということです。

試験の合格を勝ち取るまでに要する学習時間は、個人差が大きいですが、
1000時間、2000時間といった、長時間を要するものです。
この期間を伴走してくれる勉強道具が、自分にフィットしているほど、
より効率的に、より快適に、受験対策を進められるということです。

例えば、「鉛筆」と言えば、子どもの頃からの代表的な勉強道具です。
大人になるにつれて、鉛筆からシャープペンシルに変える人は多いですが、
これらの黒鉛を用いた筆記具に、こだわらなくても良いと思うのです。

私が受験生時代によく使っていたのは、サクラクレパスから出ている、
「ボールサイン」という筆記具です。
これだと、鉛筆やシャープペンシルよりも濃く書けますので、
後から見返したときに、読み取りやすいのです。

もちろん、鉛筆やシャープペンシルのように、
一度書いたものを消せない、という欠点はありますが、
私はあまり気にせずに、誤字をグジャグジャと塗り潰していました。
最近では、パイロットから「フリクション」シリーズと呼ばれる、
書いた後に消せるボールペンやサインペンも出ていますので、
これを試してみても良いと思います。

さて、「文字などの読みやすさ」という点で話を続けますと、
実技試験での細かい資料の読み取りに苦労される受験生も多いと思います。
そこで、試験会場にもルーペ(虫眼鏡)の持ち込みが認められているわけです。
私は38歳で、そろそろ年齢的に老眼が出始める時期が近づいていますが、
強い近視ということもあって、まだ細かい文字の見づらさは感じていません。
それだけに、ルーペに対する関心が低かったのですが、
お客様が実際に試験会場で使われたルーペを見て、驚きました。
すごく大きいんです。まるで手鏡のようでした。
大きいルーペですと、より広い範囲を拡大することができ、
天気図のような資料を見るには、とても適しているのですね。
また、ルーペで拡大しながら、前線解析などの作図を行うこともできます。

インターネットで買い物ができるようにより、こうした勉強道具についても、
数多くの種類から、自分に合ったものを選べる時代になりました。
良い道具を選んで、効率的に受験勉強に取り組んでいきたいですね。




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298、合格体験記は先輩からの引継書
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入学試験や資格試験の受験時代を振り返った合格体験記は、
合格を目指す受験生にとって、とても役立つツールだと私は考えます。

誰しも、1つの試験において、2度の合格を勝ち取ることはまずありません。
気象予報士試験の場合、制度上はすでに合格した人の再受験も可能ですが、
受験自体が趣味で無い限り、そんなことをする人はいないはずです。
当たり前のことですが、その試験に合格したことの無い人が、
「最初でかつ最後の合格」を目指して頑張るわけです。

できるだけ少ない受験回数で合格を勝ち取るためには、
効率的に勉強を進めていくことが大切であり、
それを助けてくれるのが、合格体験記です。
合格体験記の文章の中には、元受験生だった方々による、
「このようにしたら良い」「このようにしたらダメ」が埋まっています。

特に、失敗例を知っておくことは重要であり、
知らなければ、自分も同じような落とし穴にハマる恐れがあります。
体験記の文面を通して疑似体験をすることで、失敗を回避できます。

他人の事例を全く知らずに、受験に挑戦した場合、
自分自身が失敗を繰り返すことで、1つずつ学んでいくことになります。
もちろん、これによっても少しずつ成長していけるのですが、
あらかじめ他者の経験を知っておけば、避けられたことも多いのであり、
残念ながら、非効率な方法だと言わざるを得ないです。

そもそも、我々はあらゆる機会で他人から学んでいます。
人生で初めて、ナイフとフォークでの食事の席についたとき、
どのように振る舞えば良いのか、周囲をチラチラ見回したはずです。
初めての海外旅行での入国審査手続きにおいて、
係官から何を尋ねられるのか、行列の後ろからじっと見ていたはずです。
仏式のお葬式において、一人ずつ順番に焼香を行う際には、
前の人の振る舞いを注視していたはずです。
友人の結婚式において、お祝いのスピーチをすることが決まれば、
本やネットで調べて準備しておこうと思うはずですし、
他人のスピーチ内容も、自分の参考にしようとすることでしょう。

このように振り返りますと、我々はゼロから方法を組み立てるのではなく、
多くの場面で先達から学んでいることが良く分かります。
「今から俺がやることをよく見ておけ」は、学びの基本なのです。

受験勉強もこれと同じで、良いところを上手く真似し、
悪いところを避けて通るようにすれば、同じ轍を踏むリスクを減らせます。
ただし、合格者が受験時代の姿を見せることは実際にはできないので、
合格体験記というメッセージを介することになるわけです。
これは、新たに仕事を担当することになったとき、
前任者からの引継書を読み込むことと似ているように思います。

なお、数多くの合格体験記を読んでいますと、
執筆者によって意見の違いがあることも読み取れます。
これらは決して、合格体験記の価値を落とすものではありません。
頂上に至るまでの登山道が複数あるのと同じように、
合格までの道のりも1本では無いというだけのことです。
それらの中から、自分に合うものを選んで実践していくことが大切です。

もちろん、合格体験記を読んだだけで、行動を伴わなければ、
実力を高めていくことはできません。
ガイドブックは、登山をするために存在するものです。
体験記の内容を最大限に踏まえつつも、自分に合ったものを取捨選択し、
さらには、自身の受験勉強の進捗に応じて、軌道修正していけば、
自分なりの受験勉強のスタイルを確立できます。
それが、未来の合格体験記という形で綴られることになるのです。


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299、合格に向けて登り続ける。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ポストに届いていた1通のはがきをおそるおそる、
> 部屋の中で開封すると、、、そこには「合格」の文字が!!!
> 震えが止まらず、深夜にも関わらず家族や仲のいい友達に報告の電話をしてしまいました。
> 遅い時間でしたが、母からは「受かると思ってたよーー!!」
> と温かいことばをかけてもらいました。
> いまでもその喜びは忘れられません。
> 受験開始から5年。10回目にしてようやくつかんだ合格。
■Bさん(38歳・女性・東京都・マスコミ業界・第45回気象予報士試験合格)


山登りの最中にうれしく感じるのは、「道しるべ」が見えてきたときです。
道しるべには、「現地〜山頂の距離」と「現地〜登山口の距離」が示されています。
山道を進み、道しるべを通過するにつれて、次第に登山口からの距離が長くなり、
頂上までの距離が少しずつ短くなっていくのを確認すると、
自分が着実に山の頂上に近づいていることを実感できます。

同じ山に登る場合でも、もし道しるべが設置されていなければ、
「今、どこまで登ったのだろうか?」「頂上まで辿り着けるのだろうか?」
などと、不安を抱えながら進むことになるはずです。

受験勉強が大変だと感じるのは、これと似ている部分があります。
ある程度の進捗は把握できますが、
「あと154時間の勉強で合格」とか「残り17題の演習で合格」といった、
正確な合格までの距離を示せるものではありません。
つまり、受験勉強というのは、詳細な道しるべが無く、
しかも霧に覆われた山道を登ることに例えられます。
もしかすると、もう目の前に山頂の展望台があるのかも知れないし、
あるいは、まだ7合目あたりかも知れません。

もし、「円周率1000桁丸暗記」といった試験内容であれば、
「650桁まで覚えられたので、あと350桁覚えれば良い」などと分かるので、
進捗と残された課題は、正確に把握できます。
しかし、気象予報士試験の性格上、受験生の進捗を正確に知ることは困難です。
具体的にどんな問題が出てくるか、分かりませんし、
同じ問題であっても、厳しい時間制限がかけられている以上、
その日の受験生のコンディションによって、正答率は左右されるからです。

ゴールまでの正確な距離が分からない中で、進み続けるのは辛いことですが、
それは全ての受験生に言えることです。
大事なのは、少しずつでも登り続けることです。
炙り出された課題を解決したぶんだけ、山頂に近づくことができます。

10月の合格発表が行われた時点で、次の試験までの残り時間は僅か3か月半です。
この時間を最大限に有効活用し、集中的に学習に取り組まれる受験生こそが、
1月の試験で成果を出せるのだと確信しています。
合格でしか体験できない喜びを勝ち取るために、頑張っていきましょう。
道のりが険しいからこそ、ゴールでの達成感が大きいのだと思います。




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300、難度の低い問題のほうが重要だ。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 試験の一部には難しい問題が登場することがあります。
> 6〜7割正解すれば合格するので、基本的な問題について取りこぼしがないように
> 日頃から簡単でも馬鹿にせず勉強することが重要です。
■Aさん(39歳・会社員・第46回気象予報士試験合格)

第46回気象予報士試験の実技2では、難度の高い問題が出ました。
気象業務支援センターが発表した合格基準が63%で、
普段よりも低かったことも、試験の難度を反映しています。

難しい問題が数多く含まれている試験の後には、
「出題傾向が変わったような気がする。どうやって対策すれば良いか?」
というお問い合わせをお客様からいただくことが時々あります。

それに対する私の回答を要約すれば、次のようになります。
「出題傾向に特段の変化は無い。過去問題演習を充実させるべし。」

いつの試験でも、過去問題との類似性が低い問題は出されます。
その割合が普段よりも高い場合、「難しい試験だった」と感じるのです。
最近でいえば、第43回試験の実技1や、第40回試験の実技1、
少し遡って、第29回試験の実技2などは、その代表格だと思っています。
そのたびに、前述のようなご相談が私のもとに寄せられるのです。

これは私の推測ですが、過去問題との類似性が低い問題の正答率は、
おそらく相当に低いだろうと考えています。
75分という制限時間の中で、スパスパ解くのは至難の業です。
となると、結局のところ、合否を分けたのは、
「難度がそれほど高くない問題をどれだけ正答できたか」という点だと思います。
この合格体験記にも書かれていますように、
「基本的な問題について取りこぼしがないように」という点が重要なのです。

外形的に見れば、合格と不合格には天と地ほどの差がありますが、
「あと一歩及ばなかった人」と合格者との実質的な差は、ほんの僅かです。
それは、試験当日のコンディションの差だったのかも知れませんし、
あるいは合格に対する指一本分の執念の違いだったのかも知れません。

ここで「合格者は難問をたくさん解けたから受かったのだ。」と分析すれば、
「難問が解けないと合格できない」という結論が導かれてしまいます。
これでは、受験勉強に大きな不安を抱くのも当然でしょうし、
「次に何が出るのか」を予想したくもなるでしょう。
でも、合格を目指して歩むべき道は、もっとシンプルなものです。
基礎学習を土台にして、最近の過去問題を丁寧にやり抜くことです。

試験ごとに、いろいろ凝った問題が出ていますが、
開塾以来、私の指導方針に変わりはありません。




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301、気象の勉強は役に立つ。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> なんだか気象って面白いぞ!という気持ちも芽生えてきて勉強を続けました.
> 途中,ごく近所で豪雨により非常に大きな被害があり,
> 復旧ボランティアに参加する中で,使命感のようなものも湧いてきて,ますます止められず.
> 藤田先生の講義を受講するたび,
> 一歩ずつ理解が深まることが実感できたことも合格への大きな後押しになりました.
> この資格を取ることにより,これから,どんな新しい世界が見れるのか楽しみです.
■Bさん(40歳・会社員・第46回気象予報士試験合格)


「実学」という言葉がありますが、気象に関する勉強は、
まさに「【実】際に役に立つ【学】問」であると、私は確信しています。

私たちは地球で生まれて、その一生を地球で過ごします。
好き嫌いに関係なく、空模様を日々気にしながら、生きていくわけです。
涼を得るためにアイスクリームをなめ、暖を取るために重ね着をします。
将来的に、月へでも移住することになれば、話は別ですが、
先日のひまわり9号の打ち上げが天候の問題で一度延期されたように、
ロケットの打ち上げも、気象状況と大きく関係しています。
それにしても、打ち上げが無事に成功して良かったですね。

「スマホで天気予報を見れば良い」というのは、正しいことですが、
情報を適切に解釈するためには、受け手側の知識も必要です。
例えば、気象庁のホームページには、
天気に関する情報が、溢れんばかりに掲載されていて、
誰でも無料で読むことができます。
しかし、基礎知識が備わっていなければ、有益な情報は引き出せません。
例えば、今日(11月7日)の時点で、
「今年のクリスマスに奈良で雪は降るか?」を知ることは不可能です。
これは、数値予報に関する勉強をしている方であれば、自明のことですよね。
検索を何度かけても、受け手の知識が不足していれば、
情報は右から左へすり抜けていくだけです。

気象予報士試験は、「幕の内弁当」のようなものだと私は思っています。
気象学・法規・天気予報・気象災害・資料の見方など、
ひととおりの基礎学習が、試験科目の中に含まれています。
つまり、試験内容が、「気象の基本学習セット」のようになっており、
幕の内弁当のように、色彩豊かな具材が揃っているのです。

極端な話、実際に試験を受けなくても、
この試験内容の学習を行うことで、十分に有益だと言えます。
資格の有無に関係なく、気象の勉強は私たちの生活・防災に役立つからです。
ただ、日々忙しい中で勉強を進めていくためには、
何らかの目標設定があったほうが、自分にとって励みになります。
やはり、学習の成果が「国家資格取得」という形で可視化されることは、
勉強を続けていくための大きな動機であると言えるでしょう。

この世で「誰にとっても役に立たない勉強」は存在しませんが、
気象の勉強は、「誰にとっても役に立つ勉強」だと私は思います。




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302、大きな課題は、細かく分割して取り組む。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 気象予報士試験の合格率は今回も4.1%と一見低いのですが、私は次の様に考えました。
> 学科試験と実技試験は別の試験で、それぞれ合格率が20%であるということです。
> 合格率が20%という試験は、他に色々あると思いますが、それ程難関ではないと思います。
■Y・Oさん(59歳・男性・無職・東京都・第46回気象予報士試験合格)


約4%という低い合格率の気象予報士試験ですが、
一般知識試験・専門知識試験・実技試験という3つの試験が組み合わさっており、
単純に言えば、3つの試験全てに合格した人の割合が完全合格率です。
よって、合格を勝ち取られたY・Oさんが述べておられるように、
個々の試験の合格率は、完全合格率よりもかなり高いということです。

ここで私が思うのは、大きな課題を達成するためには、
課題を細かく切り刻むことが大切だということです。

例えば、時代劇の最終シーンでよく出てくるパターンで、
正義の剣豪が、彼を取り囲む何十人もの敵を、
次々に成敗していくシーンがあります。
ここでは多数を相手にしているものの、斬り合いのときは常に1対1であり、
1人ずつ順番に倒していることが分かります。
もし、何十人もの敵が、刺し違え・同士討ち覚悟で一度に襲いかかってくれば、
さすがの名剣士であっても、ちょっと勝てそうにありません。

受験勉強もこれと似ていて、気象予報士試験合格という目標を達成するためには、
課題を細かく分割して取り組むことが大切です。
前述のとおり、この試験が3つの科目に分割されているのも、
受験生が勉強を進めやすいようにしてあるのだと、私は解釈しています。

ただ、これだけでは、まだ課題が大きすぎますので、
受験生側で、さらに細分して取り組んでいかれることが望ましいです。
細分するからこそ、自分が何を解決すれば良いのかが見えてくるのです。

例えば、「一般知識試験に合格する」を細分すれば、
「大気の熱力学の分野をマスターする」などのピースが出てきます。
これを、「相当温位の概念について理解する」などのように、さらに細分すれば、
現時点で自分が理解していること、分からないことの確認作業に取りかかれます。
「温位と相当温位は、どのように異なるのか?」
「相当温位が保存されるのはどんなときか? 保存されないのはどんなときか?」
「エマグラム上で相当温位を考えると、どうなるか?」
といった疑問を1つずつ潰していく作業です。

難しい課題も、細切れにすれば、ハードル(解決のための労力)は低くなります。
飛び越えられるくらいまでハードルを下げれば良いのです。
結局のところ、こうした細分化された課題を1つずつ解決した延長線上に、
受験勉強の到達点である完全合格が待っているということです。
「月へ行くためには、どうすれば良いのだろう?」という漠然とした目標も、
小さく切り刻まれた課題を全て解決することで、具現化するわけですね。

「気象予報士試験合格」という目標を掲げるだけでは、
その道のりが長すぎますし、何をするべきかも不明瞭です。
遠くの目標を眺めつつも、実際に進まなければ、ゴールには近づけません。
10000ピースのジグソーパズルを完成させるために必要なことは、
全体の絵がどうなるのかを想像しながら、
小さなピースを1つずつ埋め続ける作業の連続です。




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303、進捗感・達成感が勉強習慣を確立させる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 1日30分でも良いからとにかく毎日勉強することを習慣付けるようにしました。
> 最初は苦痛だったのですが、それでも毎日続け、
> 歯を磨くように自然にできるようになると苦にならなくなります。
> 何より、理解が進むと勉強が楽しいとまでは言えませんが、
> 燃えてきて次の問題もやってみようという気になりました。
■Cさん(第46回気象予報士試験合格)


私たちの毎日は、さまざまな習慣で構成されています。
朝起きてから家を出るまでの時間だけを振り返ってみても、
概ね決まったスタイルが確立されているはずです。

 ・朝食に何を食べるか、何を飲むか
 ・テレビ・ラジオを付ける人は、その番組名
 ・家を出発する時刻

こうした習慣を付けているからこそ、普段の忙しい毎日で、
ゼロから「何をしようか」と深く考えることを省略でき、
効率的に物事を進めていけるわけです。

別の言い方をすれば、何か新しいことを始めようと思った場合は、
それを習慣として定着させてしまえば良いのだと言えます。

もし、気象予報士試験合格を目指すのであれば、
この合格体験記を書かれたCさんのように、学習習慣の定着は必須です。
受験勉強を習慣化できなければ、合格を勝ち取るのは厳しいです。

学習習慣を身に付けるために大切なことは、
最初の時点で高すぎる目標を立てない、ということです。
今まで勉強習慣を持たなかった人が、
いきなり「毎日3時間の受験勉強を自分に課す」と心がけたところで、
簡単に定着させることは困難です。挫折する人のほうが多いでしょう。
まずは短い時間で良いので、「継続できること」を最優先の目標とします。

そして、受験勉強が習慣になっているというのは、
「半ば無意識のうちに勉強をしている」という状態を指すわけですが、
その状態に持っていくためには、面白さを感じることが大切です。

例えば、駅で電車を待っているときに、無意識にスマホを取り出す人は、
スマホいじりの面白さが、脳の中に焼き付いているからですね。
受験勉強でも、面白さを持てるようになるのが重要で、
具体的に言えば、「理解できた」「問題が解けた」という進捗感・達成感です。
この点については、ゲームと似ていると思います。

ゲームが面白いのは、難所を攻略してクリアできる瞬間です。
今まで何度も負けたり、上手くできなかったりしたのに、
勝てるようになる、上手くできるようになると、気分が高揚します。
もし、初めての挑戦で簡単に勝てたり、達成できたりするゲームであれば、
あまり面白味を感じないはずです。
高い壁が仕掛けられていて、その壁を突破できる瞬間が訪れるからこそ、
ゲームに熱中するわけですね。

その意味では、受験勉強も一種のゲームだと考えることができます。
全ての合格者は、合格まで勉強を続けることができた方ですが、
その道のりは苦労や義務感だけで敷き詰められているわけではないです。
意識するかどうかは別にして、受験勉強にゲーム的な魅力を感じ、
単なる努力だけではない原動力を味方にすることこそが、
学習継続のための秘訣だと、私は考えています。




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304、短くとも集中できる時間を持つ。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 私は、早起きが大の苦手で、夜もすぐ眠くなるので、
> 日中に如何に勉強時間を確保するかが課題でした。
> 平日は通勤の移動時間(一日40分程度)中に
> 気象の基本知識、藤田塾・過去問演習等から抽出した自分の苦手な内容、
> ミスしやすい点などを纏めた単語帳(全6巻)を
> 「可能な限り少しでも毎日」見ていました。
■N.Tさん(39歳・男性・会社員・愛知県・第46回気象予報士試験合格)


クリスマスが近づいてきましたが、もしサンタクロースが何かをくれるのなら、
「時間が欲しい」と願う方も多いのではないかと思います。
仕事を片付けるためにも、楽しく遊ぶためにも、体を休めるためにも、
そして受験勉強を進めるためにも、時間は貴重なものです。

社会人になると、学生時代のことを思い出し、
「勉強に使える時間(≠実際に勉強した時間)」が多かったなァ、と気付きます。
もちろん、忙しい学生の方も多いでしょうが、
平均として見た場合、学生と社会人では時間の余裕のレベルが違います。

毎日が年末であるかのように、忙しい日々を送る方にとって、
「受験勉強のためだけに使える長い時間」を確保するのは難しいです。
つまり、「時間を確保できたら、勉強を始めよう」というスタンスでは、
いつまで経っても勉強に取りかかれない可能性が高いのです。

勉強に専念できるまとまった時間を作れるに越したことは無いですが、
それを用意できなくても、勉強をスタートしてしまうことによって、
何とか学習時間をかき集められることもあるのです。

受験勉強と言えば、家族が寝静まった深夜や、まだ起きていない早朝に、
一人で机に向かって奮闘するというイメージがあります。
そういった形で頑張る方もおられるのは事実ですが、
この合格体験記をお書きになったN.Tさんのように、
体質的に早起き・遅寝が苦手な方もおられます。

もし、N.Tさんが「受験勉強とは深夜・早朝に行うもの」という拘りが強ければ、
合格を勝ち取られるまで勉強を続けられなかったかも知れません。
深夜・早朝の時間を使えない代わりに、
通勤の際の移動時間に集中して勉強をされたわけです。

「一日40分程度」という時間は、決して長いとは言えませんが、
通勤という毎日の行動パターンと受験勉強を紐付けすることにより、
「電車に乗ったら気象の勉強」という形で、学習習慣を定着させやすくなります。

時間が無いと嘆く前に、まず学習を始めてみると良いでしょう。
もし、この試験勉強が自分にとって優先順位の高いものなのであれば、
優先順位の低い行動に対する時間が、勉強時間に置き換わるはずです。




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305、今年こそ気象予報士試験合格!に向けて
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「この世にある『快楽』を、可能な限り味わいたいと思っているのです。」
2000年春、大学4年生だった私は、株式会社ウェザーニューズの最終面接で、
役員の方々を前にして、自分の人生信条を青臭く主張していました。

「『快楽』というのは、18世紀の哲学だね。」と話し始めたのは、
ウェザーニューズの創業者、石橋博良会長(当時)でした。

「(18世紀の哲学・・・?)」
今思えば、石橋会長はベンサムの功利主義のことを挙げられたのでしょう。
そんなことも知らなかった私は、目の前のカリスマ経営者が、
自分の話した内容に対して、肯定的に反応されているのか、
否定的に反応されているのか、そればかりが気になっていたことを思い出します。

『快楽』という表現すると、下品な意味合いを含んだ印象を受けますが、
要は「豊かな人生を味わい尽くしたい」ということです。
2017年のスタートを迎え、今年も充実した年にしたいと願いつつも、
私は「やってみたいことが多すぎて、消化できない。」と感じることもあります。
これは、メルマガ読者の皆様も同じように思っておられるかも知れません。

「雨の日は、将棋くらいしかすることがなかったんや」と、
以前に父親が自分の子ども時代のことを話していました。
終戦から間もない時期のことで、家にテレビも無かったのでしょう。
それに対して、今ではお金をあまりかけずに、楽しめる娯楽が溢れています。
学生時代、レンタルビデオ店で週6本ずつビデオを借りていたことがありますが、
今は4000円ほどの年会費で、Amazonプライムビデオの膨大なソフトを楽しめます。

人生を豊かにしてくれる材料には事欠かないですが、
それに対して、自分の時間は1日に24時間しかありません。

去年、300円で『源氏物語』の電子書籍を買いました。
指先の操作で、世界最古の長編文学が自分のスマホに入りましたが、
「桐壺」の数ページで止まったままです。
ダウンロードは一瞬ですが、読了には長い時間を要します。

こうした環境は、受験勉強にとっては、むしろマイナスかも知れません。
気軽に楽しめるものが溢れている現代において、
それを断って机に向かうのは大きなエネルギーが要ります。
幕末期に、大阪の適塾では福沢諭吉らが日々猛勉強をしたそうですが、
ゲームも漫画も無いという環境も、学問に集中できた一因かも知れません。

私たちは、今さら不便な時代に戻ることはできないのですから、
受験勉強を上手く進めるためには、次の点に注意を払う必要があると思います。

1.思い切った取捨選択をする。
2.捨てていた時間を活用する。

1ですが、学生時代の私のように「この世にある『快楽』を」と言っていると、
快楽の渦に飲み込まれて、何もかもが中途半端になってしまうように思います。
昔よりも平均寿命が延びたとは言え、人生の時間は有限です。
何かを捨てるからこそ、残ったものが生きてくると言えます。
もし、何としても気象予報士資格を取得したいのであれば、
その代わりに何かを削ったほうが、上手くいくと思います。

ただ、「でも、いろいろやりたい!」と思う気持ちは、私もよく分かります。
とすれば、時間のやりくりをして、使える時間の密度を高めるしかありません。
何か・誰かを待っている間など、「捨て時間」に分類される時間を生かして、
受験勉強に取り組むことも、1つの方法です。

「楽しいコンテンツ」に溢れている現代では、便利な道具も数多くあります。
長崎から取り寄せた貴重な英辞書を、何か月もかけて筆写していた幕末の書生に、
スマホに入った英辞書アプリを渡せば、泣いて喜ぶことでしょう。
現代だからこそ、効率を思いっきり高めてくれるツールが揃っています。
あとは、それを活用できるかどうかです。




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306、これまでの過去問題演習が助けてくれる。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 第46回実技1では過去問演習で行っていない
> 鉛直断面における等風速線を描かせる問題が出て、最初は焦りました。
> そこでDVDで先生が説明されていた、等値線作図の方法を思い出しました。
> すなわち、求められている等値線の前後の値を色分けすることです。
> 非常に単純な作業ですが、これにより描くべき等風速線が見えてきました。


「過去問演習」というと、受験勉強の代表とも言えます。
大学入試では、俗に「赤本」と呼ばれる、
各大学ごとの過去の試験問題を収録した本で勉強する人も多いでしょう。
気象予報士試験も同じで、過去の試験問題で実戦力を高めるのが、
合格に向けた基本的な道筋であると認識されています。

最近では、気象業務支援センターでも、
PDF化された過去3年分の試験問題を無料でダウンロードできます。
欲を言えば、もう少し古い問題に遡る形で入手できたほうが、
受験生としては、よりありがたいことですね。

さて、標準的な受験勉強となっている過去問題演習ですが、
いったい何のために、こうした勉強を行うのでしょう?
その理由を考えてみますと、2つを挙げることができます。

1,基礎学習における弱点をあぶり出す
2,試験での出題形式を知る

過去問題演習の前に、基礎的な学習は必須です。
基礎学習が不十分なまま、無理やりに過去問題に取り組んでも、
解らない部分があふれ出してくることになります。

理解度が不足している中で、勉強の成果を残そうとすると、
全体をそのまま暗記するか、ヘンテコな独自解釈で納得するかのいずれかになります。
機械的な棒暗記は労力も大きく、応用が利かないので、非効率です。
また、間違った論理で強引な辻褄合わせをしてしまうと、
後々の学習も、それに引き摺られることになり、修正が大変です。
私自身も、温度風の概念について誤った理解をしていたことがあり、
それに気付いて正すまでに、長い時間を要したことがあります。
だから基礎事項の学習を丁寧に行うことは大切なのです。

こうした基礎学習の定着を確認するために、問題演習は有効です。
問題には必ず正誤があるので、問題の出来具合で、
習得した知識の正確度・充実度を測ることができます。

そして、過去問題演習を行うことのもう1つの意義は、
習得した知識が、どんな形で問われるのかを知ることにあります。
例えば、静力学平衡について、教科書的に学んだだけでは、
今ひとつピンと来なかった方も多いのではないでしょうか。
ここで実際の試験問題を見てみますと、静力学平衡の知識を活用したものが、
特に一般知識試験において、今まで数多く出題されています。
習得した知識をどのように活用すれば、問題を解くことができるのか、
それを教えてくれるのが、実際に出された試験問題に当たることなのです。

1つ1つの問題に対して、丁寧に向き合えば、
問題に対する応用が利くようになってきます。
最初に引用した合格体験記でも述べられていますように、
第46回試験の実技1では、鉛直断面図における等値線解析が出されました。
等値線解析と言えば、平面図に行うものがよく出されているだけに、
戸惑いをお感じになった受験生も多かったことでしょう。
しかし、等値線解析の問題に対して丁寧に取り組んできた方であれば、
平面図であれ、鉛直断面図であれ、等値線を引くうえでは、
本質的には何ら違いが無いことに、すぐに気が付いたはずです。
(なお、第33回試験の実技1で鉛直断面図における等温線解析が出ています。)

試験会場で見慣れない問題に直面しても、過去問題演習の充実度によって、
「あの問題と似ているな。」と気付く方もいれば、
「こんな新しい問題、誰も解けないはずだ。」と諦める方もいることでしょう。
実のところ、過去問題と共通点を持つ試験問題は多いのです。
過去問題演習を十分に消化した受験生であれば、
同じ根っこを持つ問題群の多さにお気づきだと思います。
これまでの受験勉強が、きっと試験会場であなたを助けてくれるはずです。




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307、2月の使い方で差を付ける。
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1月は入学試験が多く行われる時期です。
先日、見事に難関校の入試を突破した受験生は、
それまでに録り溜めていたテレビ番組を一気に見ているとのことです。
合格の開放感は、何事にも代えがたいものですね。

昨日に気象予報士試験も終わり、次の8月試験まで約7か月の時間があります。
8月試験から1月試験までの期間が約5か月であることと比べれば、余裕があるので、
「とりあえずは3月の合格発表まで休もう」と考える人もいると思います。

確かに、受験勉強の疲れを取ることは大切ですが、
完全合格が確定していない段階での休みすぎには注意が必要です。
もし、次の試験を受ける必要がある場合に、響いてしまうからです。

試験までの時間が長いことは、余裕を持って学習できることを意味する一方で、
受験生どうしの実力差を広げることにもつながります。
なぜなら、長い時間を活用して、受験勉強に励む受験生が必ずいるからです。

気象予報士試験の合格率が概ね4%台で推移していることを考えますと、
受験生全体の上位4%程度に入ることが、合格の条件だと言えます。
マラソンで例えれば、よーいドン!で走り始めたランナーたちがいて、
その30分後にスタートを切るランナーがいれば、
どちらが早くゴールできるのかは明らかですね。

もちろん、受験勉強の場合は、それぞれの受験生の進捗が異なるので、
全員が同じスタートラインに立っているわけではありません。
しかし、合格発表まで受験勉強をお休みする人がいる一方で、
試験の翌日も通勤電車の中で勉強をする人がいるのであり、
日々の微差は、やがて大差につながるであろうと想像できます。

試験前の時期に頑張るのは、普通の受験生であれば当然のことであり、
結果として、ここでは大きな差は付きません。
差を付けたい人、挽回したい人、追いつきたい人は、2月こそが勝負です。




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308、「いつでも使える」≠「いつでも使う」
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私が気象予報士試験対策の講座を始めて、今春で12年になります。
ごく一部の特別講座を除いて、現在では通信型でご受講いただく形式ですが、
開塾当初は、通学型の塾としてスタートしました。
大阪市内で、週2回の授業を行っていたのです。
中には、広島や名古屋などから新幹線で通って下さるお客様もおられました。

通信型専業での運営に変えた理由は幾つかあるのですが、
そのうちの1つとして、お客様の学習スタイルの移り変わりが挙げられます。
決まった日時に通学して講義を受けるという形式から、
都合の良い日時にDVDやネットを通して受講するという形式への変化です。
これは、ネットの普及に伴うライフスタイルの変化と対応しています。

私が子どもの頃は「テレビを見る」と言えば、
「放送時刻に合わせて、テレビの前に座るもの」でした。
そのために、食事をバタバタと済ませようとして、母親に叱られたものです。
我が家に中古のVHSビデオデッキがやって来たのは、
私が10歳くらいのときだったと思います。
録った「ドラえもん」を後から何度も見られるとは何と素晴らしいことか!と、
感激したことを思い出します。

今では「事前に録画をしておく」という作業さえ不要になりつつあります。
オンデマンドで見られる映画やテレビ番組がどんどん増えていて、
「見たいときに、見たいものだけを、見たいだけ見る」ことが可能になっています。

同様に、勉強についても言えるのであり、例えば大学受験であれば、
地方に住んでいても、有名予備校講師の講義を映像で受講できます。
必要箇所だけを繰り返して受講することも可能です。
これは、都会と地方における学習機会の差を確実に埋めています。

また、スマートフォンやタブレット端末は持ち運びにも便利なので、
こういった機材で受験勉強できる環境を整えれば、
ちょっとした空き時間を活用して、学びを進めていくこともできます。
従来であれば「使えない半端な時間」を、上手く生かせるということです。

ただ、「いつでも手に入る」ことと「実際に活用している」は等しくないです。
例えば、スマートフォンに電子書籍の参考書をダウンロードすることは、
WiFi環境が整っていれば、おそらく1分間もあれば可能でしょう。
しかし、本当に大切なことは、自分の頭の中にダウンロードすることです。
これは、本を買い集めることを趣味にしている私への自戒でもあります。

かつて通学型講座を開いていたとき、何人ものお客様から、
「講義をICレコーダーで録っていいですか?」と尋ねられました。
もちろん、お客様が個人的に活用されるための録音ですから、快諾しました。
ただ、講義音声をICレコーダーに録ることが、
必ずしも受験勉強の成果と直結するとは限らないことも事実でした。

もし、「録音しているから後で聞ける」という安心感で、生講義に集中できず、
そのうえ、忙しくて後から録音講義を聞き返すこともしなければ、
結局は充分なインプットを行えないことを意味します。
「いつでも受講できる」という安心感が、逆効果を生み出すパターンであり、
ネットによるオンデマンド受講においても、留意すべき点だと思います。

極端な話ですが、「講義中の録音・メモは厳禁」といった、
スパイ養成機関のマル秘授業のようなスタイルであれば、
講義中は講師の話を一言も聞き漏らすまいと全力集中し、
講義が終われば、その内容を即座に紙に書き出すことでしょう。

私の経験を付け加えますと、「radiko」のタイムフリー機能が挙げられます。
これは民放ラジオ番組を、放送後1週間に限って聞き直せるサービスですが、
「1週間」という制約があるからこそ、時間を確保して番組を聞いています。
以前は、面白そうだと思った番組を予約録音していたのですが、
聞かないまま、どんどん音声ファイルだけが溜まってしまった経験があります。
「いつでもできる」は、「いつまで経ってもできない」となる可能性を含んでいます。

私たちは、今さら30年前の世界に戻ることはできませんし、
ネットなどの便利な道具・機能を活用したほうが、効率的なことも多いです。
そのうえで、学ぼうとしている内容を自分のものにするためには、
今も昔も変わらず、頭のトレーニングが必要だということです。




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309、最近の話題から
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近ごろ、ニュースでよく出てくる話題と言えば、
「人工知能」「長時間労働の是正」「プレミアムフライデー」でしょうか。
この3つには、つながりがあると私は思います。

従来であれば、人間が長い時間を費やして行っていた仕事を、
機械やコンピュータがやってくれるようになりました。
例えば、「大勢の人に文書を配布する」という仕事の場合、
50年前なら、下書き・清書・複写・配布といった過程を経る必要がありました。
下書きも清書も、主として手書きですし、
コピー機の無かった時代であれば、カーボン紙による複写です。
できあがった文書を遠方に配布するためには、郵便を利用することになります。
多くの費用と人員を使って、ようやく成し遂げられる仕事だったわけです。

しかし、現代では似たような仕事を、たった1人で迅速に仕上げられます。
例えば、このメルマガは私が一人で書いて、一人で発行しています。
パソコンで書いていますから、下書きと清書の区別はありません。
そして、「まぐまぐ」と「melma!」という2つの配信システムは、
いずれも無料で利用できるのです。
現在、このメルマガは1200部くらいを発行していますが、
これを全て郵送にすれば、82円×1200部=約10万円かかりますし、
宛名書きや封入などの発送作業を考えれば、絶対に一人では行えません。

毎回のメルマガを発行するために要する時間は、おそらく3時間ほどです。
読者の皆様に、隔週でメルマガをお送りできるのも、
パソコンや配信システムなどのおかげです。

さらに時代が進めば、機械やコンピュータが行える仕事はもっと増えるでしょう。
最近、長時間労働の是正についての話題がよく出ていますが、
これまで人間が行ってきた仕事を一部を人工知能が肩代わりできれば、
労働時間の短縮につながるのではないかと思います。

一方、こうした変化は、人間が仕事を奪われる可能性も含んでいます。
先ほどの話で言えば、「下書き文書を清書する仕事」や、
「カーボン紙を使って文書を複写する仕事」などは、すでにほぼ絶滅状態です。
私たちは時代の移り変わりに勝てるよう、スキルを伸ばしていく必要があります。

新しく始まったプレミアムフライデーは、余暇を楽しむためのものでもありますが、
同時に、自分の腕を磨くための場にも使えると思います。
テレビのニュースでは、居酒屋でワイワイ過ごす人たちが映っていましたが、
空いた時間を勉強に使う人たちも大勢いたはずです。
気象予報士試験の学習をされていた人もいたかも知れないですね。

近い将来、私のような塾講師の仕事も、
もしかすると人工知能が行うようになる可能性もあります。
CGの講師が問題解説を行うことも、それほど想像に難くありません。
そんな時代になっても、私でしかできない仕事ができるよう、
研鑽を深めていきたいと思います。




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310、それぞれの目標に向かって
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「気象予報士試験の実施が、年1回になることはあるのでしょうか?」
こういったご質問を、お客様からいただくことがあります。

ただの受験屋である私のところに、特別な情報が流れてくるはずもなく、
「どうなんでしょうかねえ」と生返事を返すしかないのですが、
確かに、1年に1回しか試験が行われない資格は結構多いです。
司法書士・行政書士・宅建・社労士・電験・税理士は、いずれも年1回です。

試験主催者である気象業務支援センターさんにしてみれば、
試験を年に2回執り行うことは大変だと思いますが、
受験生にとって、合格の機会が多いのは良いことです。

もし、試験が年1回しか無ければ、
合格発表後に次の試験まで10か月くらいあることを意味し、
「夏くらいまでは、もう少しノンビリするか」という気持ちになりがちです。
年に試験が2回行われるからこそ、緊張感を維持しやすいのだと言えます。

つい先日に、気象予報士試験の合格発表が出たばかりですが、
惜しくも合格に届かなかった受験生にとっては、気持ちの切り替えが大切です。
結果が判明するまでは、勉強に手が付かない気持ちは良く分かりますが、
合否が確定した今は、気分を一新して、次に向かって再スタートですね。

また、今回の試験で合格を勝ち獲られた方々も、勉強は続きます。
受験のための勉強は終わりですが、予報技術は日々改まっているので、
これに合わせて、気象予報士としての腕を磨いていかれる必要があります。
日本気象予報士会では、講習会・勉強会・施設見学会などが行われ、
会員どうしの情報交換も盛んに行われています。

当塾を経て合格を勝ち獲られた方々について、少しだけご紹介しましょう。
昨年に合格されたAさんは、早くも気象キャスターの仕事を掴まれました。
もともとマスメディア業界で仕事をされていた方ですが、
気象予報士資格を取得されたことで、お仕事に幅を広げられた形です。

また、一昨年に合格されたBさんからは、合格後に開いた懇親会の場で、
技術士の試験勉強に取り組まれていることをお聞きしていました。
これは、かなり難度の高い試験なのですが、
先日に最終合格を勝ち獲られたというお便りをいただきました。

長かった冬も終わりにさしかかり、いよいよ春がやって来ます。
空気の冷たさも和らぎ、これからは勉強するにも最適の時期ですね。
合格を勝ち獲られた方も、惜しくもあと一歩及ばなかった方も、
次の目標を目指して、一緒に歩んでいきましょう。




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311、モチベーションの維持こそ、合格の必須要素だ。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 受験勉強を終えて、試験を突破するのに、3つの関門があったなぁと思っています。
> 第一関門は、社会人の方ならどなたも感じていらっしゃると思いますが、
> モチベーションを保つことと、勉強時間を確保することです。
> なにしろ、強制された勉強でもないので、やめようと思えばいつでもやめてもよいからです。
●Pさん(男性・32歳・会社員・大阪府・第47回気象予報士試験合格)


「気象予報士試験合格のために、最も重要なものは何ですか?」
このように問われたときに、私は迷いなく次のようにお答えします。
「モチベーションを維持することです。」

引用した体験記にもありますように、気象予報士試験の勉強は、
ほとんどの受験生にとって、「強制された勉強」ではありません。
言い換えれば、自発的に行う勉強であり、途中で止めることも自由です。
「いつでも止められる自由」こそが、この試験の厳しさの1つです。

ですから、「合格したい」「気象予報士になりたい」という目標に向かって、
少しずつ前に進んでいこうとする意欲こそが、相当に重要です。
これを欠いたまま合格を勝ち獲ることは、まず不可能です。

中には、「試験に対する適性」を過度に気にされる方もおられますが、
12年の講師経験に基づいて申し上げますと、それほど重要ではないです。

もちろん、受験生によって、ある程度のセンス・特性の違いがあるのは事実です。
例えば、同じ高校球児でも、入学直後からレギュラーに定着する人もいれば、
私のように、3年生になってもベンチでウロウロしている人もいます。
でも、私も公式戦で3塁打を放ったことがあるのですよ。(続けてて良かった!)

同じように、教材や個別指導を通して100お伝えした際に、
100吸収する人、70吸収する人、50吸収する人がおられます。
一度にたくさん吸収できるほうが、学習ペースも速く、
短期間で合格を勝ち獲る可能性が高いことも事実です。
ただ、50しか吸収できなくても、時間をかけて取り組めば、
ペンキを重ね塗りするように、少しずつ実力は高まっていくものです。
そのときに、繰り返し学習ができる原動力こそが、本質的に重要なのです。

これまでに、見事に一発合格を決められた方がおられる一方で、
20回以上の受験を経て、念願の合格を勝ち獲られた方々もおられます。
不合格が続いても、その都度、気持ちを立て直し、
短期間で受験勉強を再開しておられました。
それを可能にしているのが、合格に対する強い意欲だったのです。

もちろん、資格試験には攻略のためのノウハウが存在します。
それを日々研究し、実践に生かしているのが、私の仕事であるわけですが、
前提条件として、受験生が強い合格への動機を持っていることが大切です。
「動機」+「ノウハウ」が合わさることで、実力の高まりにつながります。

春を迎え、年度が替わる今の時期、新しいことを始める方も多いと思いますが、
「始める」だけでなく、「続ける」ことができるかどうかで、
それが「ものになる」かどうかが決定します。

例えれば、「種を蒔くこと」自体は、それほど難しくないことです。
しかし、芽が出た後に、毎日水やりをし、害虫や雑草の対策を行い、
近所の野良猫に踏み荒らされないような工夫をすることなど、
花を愛でたり、実を収穫したりするまでには、時間と労力が必要です。

スタートの段階では、途中で挫折する可能性をあまり考えないものですが、
「続けられる仕組み」まで考えておくと、収穫チャンスも高まると私は考えます。




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312、勉強時間と勉強場所からの自由
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 仕事が不規則でしたので、「1日に@時間やる!」ということは決めずに、
> その日できるだけやる、といった感じです。
> まったくやらない日もありましたし、12時間やった日もありました。
> でも、睡眠時間を削っては何もできないタイプなので、
> すきま時間で何とか勉強していきました。
> 暗記モノやテキストの読み返しは、湯船に浸かりながら、
> 電車で移動しながら、そうしたすきま時間にすべて行っていました。
●Qさん(女性・28歳・放送局契約キャスター・第47回気象予報士試験合格)


社会人受験生が抱える受験での最大の課題は、「仕事と勉強の両立」です。
もう少し広く言えば、「日常生活と勉強の両立」と表現できるでしょう。
「会議の資料作成の締切が、2日後に迫っているな。」
「あの顧客から、またクレームが来ないか心配だ。」
「売上が前年同期を下回りそうだ。ネット広告を手配するか。」
「自宅のシャワートイレの水漏れが気になる。早いうちに交換だな。」
「子どもの家庭訪問について、日時の希望を出さないと。」
こんなふうに、頭の中には常に心配事や考え事がよぎります。

全ての用件・案件が解決したうえで、時間にも余裕ができれば、
スッキリした気持ちで、机に向かうことができることでしょう。
でも、私自身も含め、毎日の生活を送る社会人にとって、
そういった状況は、いつまで経っても訪れないような気がしてなりません。
「○○に目処が付いたら」「□□が落ち着いたら」と思うのですが、
実際のところ、○○に目処が付き、□□が落ち着いても、
別件である、△△や◎◎がひょっこりと現れてくるものですよね。
ということは、日常生活と勉強を両立させるためには、
頭の片隅に用件・案件を抱えながらも、
同時並行的に受験勉強を進めていかざるを得ません。

また、勉強時間の確保の仕方についても、
小学生が夏休み前に作る「1日の過ごし方」のようなものを作るのではなく、
臨機応変に勉強時間を挿入していくことが求められます。
例えば、「9時〜11時:図書館で勉強」というふうに、
固定的なスケジュールを入れることができれば良いのですが、
ここに予定外の残業や用事が入れば、時間は潰れてしまいます。
逆に、予定していた会議や打ち合わせが、急にキャンセルになることで、
思わぬ空き時間ができてしまうというケースもあります。

よって、社会人の勉強は、固定された時間に固定された場所で行うものではなく、
時間も場所も縛らない形で行うほうが、トータルの学習量を稼ぎやすいのです。
学生の勉強といえば、「決まった場所で決まった時間に行うもの」ですが、
この固定観念に囚われていると、いつまで経っても勉強はできません。
今回の合格体験記でも書かれているように、
「湯船に浸かりながら、電車で移動しながら」でも勉強はできるのです。
私自身も、風呂の中で「日経ビジネス」などの雑誌をよく読みます。
さすがに単行本は浴室に持ち込めませんが、
雑誌なら読み終わった後に捨てれば良いと考えています。

時間というものを、固定枠ではなく、流動的に考えることは、
技術の進歩で便利な道具が開発されることにより、ますます活発になっています。

20年前であれば、会社のデスクトップパソコンからしか送れなかったメールが、
15年前には、携帯電話と接続したノートパソコンからも送信可能になり、
今では、ポケットから取り出したスマホから送れるようになりました。

私たちは、一昔前に比べても、場所と時間の制約が小さくなっています。
結果として、仕事を含めた日常生活についても、より自由度が増しています。

50年前であれば、映画は映画館で見るものでしたが、
30年前には、自宅でレンタルビデオを見ることができるようになり、
今では、電車の中でも映画を見ることができるようになりました。

こういった変化は、資格試験の勉強についても言えることです。
時間と場所の自由度が大きくなったことで、私たちはより効率的に勉強できます。
それは、1週間あたりの学習量を増やせることを意味すると同時に、
心身を休息させるための時間を確保しやすくなることを意味します。
眠い頭で勉強しても、理解度を深め、知識を定着させることは難しいです。
しっかり休み、スキマ時間と道具を駆使して効率的に学ぶこと、
忙しい社会人の勉強として、これがパフォーマンスの高い手法です。




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313 、他人の目が応援団になる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 周囲で気象予報士の勉強をしている人がいなかったので、
> 試験勉強をしながら孤独感を感じていました。
> そんな中で藤田塾の懇親会への参加を通じて塾生同士の連帯感を感じ、
> 「皆、頑張っているんだから僕も頑張ろう。」と、自分を奮い立たせることができました。
●Vさん(男性・59歳・会社員(情報通信系技術職)・四国・第47回気象予報士試験合格)


SNSやブログなど、媒体はさまざまですが、
他人が閲覧できる形で、日常生活を綴る方は多いです。
自分が承認した人だけとか、会員限定での公開、といった制限をかけていても、
誰にも見せずに夜中に綴る日記帳とは、本質的に異なります。

日記を付けることは、3日坊主の典型とも言われますが、
Web上の日記は、長く続いているものも多いですね。
続けられる秘訣は、「他人の目」だと私は思います。

人間は、周囲の視線が気になる生き物です。
自営業者である私は、朝に家を出て、夜に帰ってくる生活ではなく、
平日の昼間でも、近所のスーパーなどをウロウロしていることがあります。
こうした生活も、すでに13年目ですが、
周囲から何と思われているかは、わりと気になるものです。
そこで、なるべく自分が何者であるかを、キチンと説明するようにしています。

LINEで「既読スルー」があるのを気にしたり、
FaceBookで「いいね!」ボタンをポコポコ押してほしいと思ったりするのも、
やはり、ネットの向こうに存在する他人の目が気になるからですよね。
もし、自分でホームページを開設しても、
アクセスカウンターが全く回らないようでは、寂しいものです。

気象予報士試験の勉強も、これと似たようなところがあって、
学習に対するモチベーションの維持のために、
他人の目を上手く使うことが大切です。

1人で黙々と勉強を続けて、合格後に公表できれば、格好良いですが、
周囲に知られない形での受験勉強は、1人でヒッソリと店仕舞いしやすいものです。
いったん、「気象予報士資格を取る!」と心に決めたからには、
合格を勝ち獲らないと恥をかくような環境を、自ら作り出すのが良いのです。
片足だけ突っ込んで、「いつでも撤退できる」という姿勢ではなく、
全身を投入するくらいの意欲が無いと、この試験での合格は難しいと思います。
それくらいの本気度を持つ受験生が頑張っているからです。

もちろん、他人の目は「自分を追い込むため」だけのものではありません。
お尻を叩いてくれる存在であると同時に、背中を支えてくれる存在でもあります。
「この前の試験で、一般知識に合格したんですね。」
と声をかけてもらえる人がいるかいないかは、雲泥の差です。
頑張った自分を見てくれている存在があるからこそ、
長期の受験勉強にも耐えられるというものです。
周囲で笛を吹いてくれる人がいるからこそ、踊りやすくなります。
自分で笛を吹きながら、同時に自分で踊るのは、なかなか難しいことですね。

「自分を律して、1人で勉強を貫徹すべきだ」とお考えになる方は、
これを「人間の弱さ」だとお感じになるかも知れませんが、私はそうは思いません。
むしろ、「人間の強さ」を実感するのです。
「いいね!」をもらうだけで、さらに前に進みたくなる生き物なのですから。




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314、本業に気象の専門知識をプラスする。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 仕事の面では、昨年4月から再び防災関係の業務に従事しています。
> 業務と気象はとても密接に関係しております。
> 気象予報士の資格を取得したから、それが即業務に活用できる訳ではないですが、
> 気象予報士試験を通じて習得した知識を
> 十分に活かした業務活動が展開できればと考えています。
●Cさん(男性・50代・地方自治体土木技術職員・長野県・第47回気象予報士試験合格)


メルマガ読者の中には、「気象予報士試験の勉強をしている」と周囲に話したとき、
「キャスターを目指すのか」「気象会社に就職(転職)するのか」と、
尋ねられた方がおられるかもしれません。

たしかに、この資格が世間で広く知られるようになった理由として、
テレビやラジオで活躍する気象キャスターの役割は大きいと思います。
しかし、気象予報士は気象業界で仕事をする人だけのニッチな資格ではありません。
気象会社での仕事を志す方が気象予報士を目指すのは、言ってみれば当然のことです。
そういった方だけでなく、現在の仕事の拡張と深掘りを考える方にも、
気象予報士資格の取得をお勧めしたいのです。
実際にも、そういった方のほうが多数派だというのが私の印象です。

この体験記を書かれたCさんは、公務員として防災業務を担当されています。
ご承知のとおり、防災に携わるお仕事は気象とも密接に関連があります。
そういった職種の方が気象予報士資格を取得すれば、
本業の仕事にも、きっと役に立つであろうことは容易に想像できます。
なぜなら、全国で約1万人いる気象予報士の中で、
防災行政に精通した人はそれほど多くないでしょうし、
防災を担う公務員で気象予報士資格を持つ方も限られるからです。

つまり、2つの領域・分野に対して深い見識を持つ人は「希少性」が高いのです。
仮に、分野Aの専門家が1000人に1人、分野Bの専門家も1000人に1人だとすれば、
分野Aと分野Bの両方を兼ね備えている人は、100万人に1人ということになります。

特に、気象は他業界との関連性が大きいので、
気象の専門知識を増やすことで、現在の仕事にプラスに作用する業種は多いと思います。
例えば、水力発電・太陽光発電・風力発電は、発電量と気象が深く関係していますし、
鉄道・道路・船舶・航空などの運行管理業務も、気象との結びつきが強いです。
「気象だけに詳しい人」や「発電だけに詳しい人」は数多くいるでしょうが、
両方の道に通じていれば、見えてくるものが違うはずです。

「違うはず」という言い方をした理由は、
私自身は20歳で気象の世界に飛び込んで以来、異業界の経験に乏しいからです。
それだけに、塾のお客様と気象についてお話ししていても、
各専門性を活かした切り口があることに、強い刺激を受けます。
両方の世界をご存知だからこその着眼点なのですね。

人によって、今まで生きてきた道筋に違いがあるがゆえに、
気象予報士試験の勉強をしたときに生まれる連想・発想は異なることでしょう。
どんな化学反応が起こるのかは、勉強を始めてみてのお楽しみです。




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315、実技試験で必要な3つの力
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 自分が正しい理解だと思っていても、
> 他人からみれば間違っていることも多々あります。
> 私の例ですが、「茨城」と「茨木」の区別に気づきませんでした。
> 「茨城」は都道府県名、「茨木」は市町村名です。
> 関東や関西に在住の方には当たり前の話ですが、
> それ以外に在住の方には認識されていないのではないでしょうか。
> 私の場合、藤田先生に答案の添削を受けて初めて気がつくことができました。
> また熱力学や用語の使い方など、答案のアウトプットの面においても、
> 自分では気づかないミス(考え方や理解のずれ)をご指導いただきました。
●Lさん(男性・40代・技術系会社員・第47回気象予報士試験合格)


実技試験が学科試験と根本的に異なるのは、文や作図で解答する点にあります。
学科試験は、5つの選択肢から1つを選んでマークシートを塗り潰すだけですが、
自分の言葉で答案を作成しなければならないのが、実技試験です。

実技試験の合格に必要な力は、3つに集約されると私は考えます。
 1.知識力
 2.問題文と資料の読解力
 3.答案作成力

まず、前提となるのが、学科試験の範囲における知識の充実です。
特に実践的な気象の学習が好きな受験生は、
実技試験の勉強に傾斜するあまり、学科試験の勉強が手薄になりがちです。
先に学科試験に合格しないと、実技試験の採点を受けられないのですから、
「急がば回れ」で、学科試験の勉強を優先させる必要があります。

「学科試験は合格するのだが、実技の壁に阻まれてしまう・・・。」という方は、
2や3の部分に躓きの原因があると考えられます。

2についてですが、天気図などの資料読解力の重要性は、
多くの受験生が認識されていることだと思います。
その一方で、問題文の読解という点が軽視されがちだと、私は感じています。
「日本語で書かれているものを読めば良いだけ」と思いがちですが、
実技試験の問題文には、複雑な指示が含まれていることもあります。
問題文の不十分な解釈による誤答は相当に多い、というのが、
大量の答案添削を日々行っている私の実感です。

3の答案作成についても、練習を積むことが求められます。
ただ、引用した体験記で、Lさんがお書きになっているように、
自分がどこで間違っているのかを、自ら検証するのは簡単ではありません。
当たり前のことですが、本人としては最良の答案文だと思っているわけで、
それに対して、「どこがおかしいか」という視点で探っていくのは大変です。
例えてみれば、弁護士と検察官を1人でやるようなものです。

しかしながら、この大変な作業は避けて通ることはできません。
どれだけ学科試験の学習が充実していても、答案作成力は別物です。
私は今まで何百人もの答案を拝見していますが、
最初から完成された答案を書けた人は皆無です。
自分の答案から課題を見つけ出し修正を行う、という作業を繰り返すことで、
少しずつ答案の書き方が見えてきます。
だからこそ、過去問題演習が重要なのです。

過去問題演習では、問題文と解答例を丹念に読み比べ、
問題文から解答例に至るまでの論理の流れを掴むことが大切です。
それを掴めれば、自分の書いた答案に対して改善点の有無が見えるのです。
これを1つずつ行っていくことで、実力が少しずつ養われていきます。

試験まで残り約3か月となりました。
これからの時間で、どれだけ質の高い受験勉強ができるかによって、
実力の伸び方も大きく違ってきます。
試験に向けて、頑張っていきましょう。




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316、ゴールに向かって歩み続けよう。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 8回目の受験に落ちたことで一般・専門の部分合格が消え、
> 私は気象予報士をあきらめようと思いました。
> 専門知識は苦にしていなかったので再び合格できると思いましたが、
> 一般知識だけはもう二度と勉強したくない!合格は無理!と考えていたのです。
> あきらめかけていたその時「42kmまで走ってきたのにあきらめる!?あと、ほんのちょっとやで!?」
> と職場の気象予報士の先生に言われはっとしました。
> なんと、気象予報士試験をフルマラソンに例えたのです。この言葉がとても心に響きました。
●ハープスターさん(女性・32歳・大阪府・第47回気象予報士試験合格)


一般財団法人気象業務支援センターが公表しているデータによりますと、
平成28年度第1回試験における受験申請者数は3533人で、
平成28年度第2回試験における受験申請者数は3235人です。
その差は298人です。

普通に考えて、平成28年度第1回試験で合格した127人は、
平成28年度第2回試験を受験していないはずですが、
この人数を差し引いても、171人減っています。

当然ながら、平成28年度第2回試験が初受験の方もおられるわけで、
これを考慮しますと、少なく見ても200人以上の方が、
何らかの理由で受験をやめているであろうことが推定されます。
ちなみに、ここで見ている数字は受験申請をされた方の人数ですので、
急な予定や体調不良などの理由による、当日の受験欠席者は含まないです。
受験手続きそのものを行わなかった方を指しています。

もちろん、早い段階から試験日に予定が入ってしまっていたために、
やむなく受験を断念された方もおられることでしょう。
その一方で、外部的な事情とは関係なく、
ご自身の意思で受験手続きをされなかった方もおられるはずです。

気象予報士試験において、不合格を経ることの無い人は、ごく僅かです。
ほぼ全ての受験生が、不合格を経験するのです。
中には、学科試験に合格したにも関わらず、実技試験の壁に阻まれ、
学科試験の受験免除を失ってしまわれる方も、少なくありません。
今まで積み上げてきたものが崩れるような感覚に陥ったとき、
もう一度、立ち上がることができるかが、この試験で求められる力の1つです。

もちろん、人によって価値観はさまざまであり、
「もう気象予報士資格には興味が無い」と思う方に対して、
再挑戦を進めるつもりは一切ありません。
(そういった方は、このメルマガも購読しておられないことでしょう。)

一方、不合格が続いて、心が折れそうになっているものの、
やはり気象予報士資格を取得したい、と思っておられる方には、
ぜひとも、再び立ち上がってほしいと思います。
今回の合格体験記での例えを用いれば、コースに戻って歩み始めることが必須で、
沿道で腰を下ろしているままでは、ゴールに到達できないということです。

マラソンの場合は、自分が今まで走った距離が可視化されますから、
「あと10km」とか、「あと5km」といったことが、すぐに分かります。
しかし、受験勉強では、ハッキリとした残量が分からないのであり、
これも、勉強を続けることを難しくさせている1つの要因ですね。

ゴールまでの具体的な距離が明瞭に見えない中で、
ひたすらに走り続けることは、本当に大変なことです。
でも、合格という形で、受験勉強を終えることができれば、
今まで投入した時間や労力が、資格という形に姿を変えて返ってきます。
だからこそ、ゴールまで走り続けてほしいと思います。




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317、「これだ!」と思った教材を使い潰す。
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長年、受験支援を仕事としていると、気が付くことがあります。
それは「教材の誤植を指摘される方は、合格を勝ち獲る可能性が高い」ことです。

もちろん、本来であれば、教材に誤植など無いことが望ましいのですが、
制作過程で、誤字・脱字、日本語として違和感のある部分など、
内容の不具合が生じるケースが稀に生じます。
そういった誤りを鋭く指摘される方は、学習進捗も良い傾向にあります。

誤植を発見するためには、文章を丁寧に読み込まねばなりません。
時間に追われての流し読み、眠気に襲われての斜め読みでは、
小さな間違いに気付くことはできませんし、
そもそも文章を読んでいなければ、誤植を発見できる可能性は0です。
つまり、教材を深く消化しているほど、誤植の発見率は高まるのです。

もちろん、これは気象予報士試験の勉強に限った話では無いと思います。
どんな試験勉強でも、基礎事項を固めるための教科書的な教材が必要です。
いくつもある教材の中で、どれが自分に合っているのかを吟味したうえで、
「これならやれそうだ」「自分に合った教材だ」と確信を持てたものに対して、
できるだけ労力と時間を投入して、集中的に取り組むことが大切です。

数多くの教材を手元に揃えておくこと自体は、
学習で生じた疑問を解決するための手段が増えることを意味しますので、
その点においては、否定すべきことではありません。
ただ、いろいろな教材を次々に渡り歩くような学習の仕方をすると、
結果的に、基礎固めが整うまでに多くの時間と労力が必要になります。

もし、1種類の教材を仕上げるのに、「100」の時間と労力を要するとします。
このとき、「100」の時間と労力が、5つの教材に分散されてしまうと、
どの教材も仕上げることができないという、中途半端な状態になってします。
つまり、過去問題演習を行うために必要な基礎力を十分に付けるために、
さらに多くの時間と労力を要することになるのです。
これは、渡り歩く教材の数が増えるほど、顕著になります。

時間と労力を集中的に投入することで、
1つの教材を仕上げてしまったほうが、早い段階で基礎を固められます。
もちろん、途中で他の教材を参照することで、理解が深まることもありますが、
あくまでも、メインとなる教材はできるだけ絞り込むのが秘訣です。
中学校や高校での勉強でも、各教科での主たる教科書は1種類だけですよね。

資格試験の勉強のように、各個人が自由に取り組むような勉強では、
つい数多くの書籍・教材を揃えたくなるものです。
それ自体は良いのですが、最も大事なことは教材のコレクションではなく、
心に決めた教材を徹底的にやり抜くことです。




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318、「当たり前」の水準を引き上げる。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 社会人ということもあり時間の捻出は楽ではなかったので、
> 通信講座を活用することで効率を上げるようにしました。
> 疲れていても、やる気が出なくても、
> 毎日最低1〜2時間は勉強するようにし、勉強を習慣づけました。
> そして試験の一か月半前位からは、
> 休日は国会図書館や自習室も活用しながら一日中勉強していました。
> 人生で一番勉強した気がします。
●Bさん(33歳・関東・第47回気象予報士試験合格)

気象予報士試験の難度と幅広さ、そして合格率の低さを考えますと、
合格に至るまでに必要な勉強量は、かなりのものです。
社会人受験生で、お仕事と受験勉強の両立で悩む方は多いのは、
それだけハードな試験であることを意味しています。
学習の効率化に対する関心が高いのは、そのためです。

ただ、効率性をいかに高めたところで、
「1分間の学習で、他人の1時間分の学習と同じ効果」といった芸当は不可能で、
なんだかんだ言っても、絶対的な学習時間は必須です。
つまり、結局は「やるしかない」ということです。

気象予報士試験の勉強を始めて間もない頃に、合格体験記をお読みになると、
受験生の学習量の多さに驚く方が多いです。
 ・疲れていても、やる気が出なくても、毎日最低1〜2時間は勉強する。
 ・休日は一日中勉強する。
この体験記でも、こういった記述が出てきます。

私自身も懇親会で、合格された方々と直接に話をする機会がありますが、
結構スゴイことを、涼しげな顔をして仰る方が多いです。
「藤田:ということは、週末はほぼ勉強漬けだったってことですか?」
「合格者:まあ、そういうことになりますかねぇ。(涼)」

こんなやりとりを耳にすると、「自分には無理だ」と感じる方もおられるでしょう。
しかし、合格者の多くは、決して「スーパーマン/スーパーウーマン」ではありません。
「当たり前の水準」をジワジワと高めることに成功した結果なのです。
少しずつ勉強時間を増やしつつ、優先度の低い事柄を思い切って削りながら、
結果的に、1週間あたりの学習量を増やすことを実現しています。

例えば、「1日に1万歩ウォーキング」を考えたとき、
すでに実践している人にとっては、大きな労苦ではありませんが、
現時点で1日3000歩の人にとってはキツイ目標です。
しかし、少しずつ歩く機会を増やしていけば、
5000歩が習慣になり、やがて7000歩に到達し、1万歩も達成できることでしょう。
そのとき、1日3000歩だったときの「1日1万歩」と、
すでに習慣付いたときの「1日1万歩」では、感じ方が異なるはずです。
これは、当たり前の水準が高まったということです。

立場上、多くの合格者を見ていますが、わりと共通しているのは、
「当たり前に受験勉強する」というスタイルが確立していたことです。
(最初は誰でもそうですが)意思の力だけで勉強しているうちは、まだまだです。
客観的に見て、「これは強い意志が要りそうだ」と思える内容を、
当たり前のようにこなすことができれば、学習量はぐんと伸びます。
結果を出す人には、やはり理由があるということです。



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319、直近の過去問題を温存しない。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ともすれば過去問題や模擬問題を手当たり次第に試したがるのが受験生の心理かと思います。
> 藤田先生はそこを見据えて、「問題を解くことは『刀の切れ味』を試すだけの試し切りに過ぎない。
> 刀の切れ味を良くするためには、切れ味を検証し、どのように研いだらよいのか考える必要がある。
> 重要なのは、間違った問題を一つ一つ検証してつぶしていくことだ」と指摘されました。
●N.Mさん(男性・42歳・公務員・関東在住・第43回気象予報士試験合格)


過去問題に取り組むことには、2つの意味があります。
 A:現在の自分の実力を査定するため
 B:問題の解法を理解し、将来の試験に役立てるため

高校入試や大学入試を経験された方は、
Aの目的で模擬試験を受けられた方が多いと思います。
「今回の模試の偏差値が60を超えたから、
 志望校を○○大学から、□□大学に変えても良さそうだ。」
といった形で、実力査定を細かく行いながら、進路を探る方もおられるでしょう。

しかし、気象予報士試験においては、実力査定の必要性がほぼありません。
高校入試や大学入試と異なり、目標はただ1つ、
「資格が取れるかどうか」だからです。
ということは、現時点での実力を知ったところで、
「それがどうした」という話なのです。

試験まで残り1か月あまりとなりましたが、直前での「力試し」という目的で、
直近の過去問題を模擬試験のために温存する受験生が結構おられます。
今なら間に合いますので、率直に申し上げますが、あまり意味の無い行為です。
お盆休みの時点で、模試の結果が95点であろうと、30点であろうと、
残り時間を考えれば、打つ手はほとんど残っていないからです。
結局は、その刀で戦うだけのことです。

直近の過去問題のような、受験生にとって大事な教材を、
単なる「試し切り」のために使い捨ててしまうことは、とても勿体ないです。
過去問題は、実力査定のためではなく、実力向上のために使うものです。
例えれば、「試し切りのための藁束」ではなく、
「刀を磨く砥石」のようなものだとお考え下さい。
弱点を洗い出し、それを全力で解決するために使い潰す道具なのです。

私は講座の中でも、「試し切りは勉強に含まれない」と言っています。
「勉強」を「実力向上のために知識を増やす頭脳行動」だと考えれば、
単に問題を解くだけの行為は、実力向上をもたらさないからです。
体重計に乗るという行為自体は、体重の変化をもたらさないのと同じです。

そもそも、普通に受験勉強に取り組んでいれば、
どの程度の「手応え」を感じるかどうかは、自分で気が付くものです。
実力査定は、それで十分です。

試験勉強に魔法は無いと私は考えます。
単純に言えば、目の前の過去問題が解けるようになるために、
ひたすら知識を補強し続ける作業です。
それは、暗くて長いトンネルを走り続けることに似ています。
だからこそ、トンネルの出口までの距離を知りたくなってしまうものですが、
仮にそれを知ったところで、トンネルから抜け出すためには、
自分自身が出口まで走らねばならないことに、変わりは無いです。
だから、ひたすら疾走する。これに尽きます。




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320、試験直前には範囲を限定して取り組む。
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前回に引き続き、試験直前における学習方針について書きます。

試験日が近づくと、多くの方が焦りを感じるわけですが、
そうした気持ちが、戦略上のミスを誘発しやすくなります。

ありがちなのが、「やみくもに大量の過去問題に手を出す」といった戦線拡大です。
これまで基礎学習を丁寧に積み上げてきたのであれば、
数多くの問題演習で実践力を養うことは理にかなっていますが、
基礎力不足での問題演習は、時間と労力の浪費になりかねません。

問題を解くことは、単なる実力査定に過ぎず、
そこで生じた課題を解決しないと、実力はアップしない、
といった内容を前回に書きました。
大量の過去問題を片っ端から解いていると、
「今、自分は受験勉強を頑張ってるぞー!」という気持ちにはなるのですが、
かいた汗が得点につながるかどうかは、別問題です。

よく「試験直前で何をしたら良いですか?」というご質問をいただきますが、
特別な試験直前メニューなど、基本的には存在しないと私は考えます。
確かに、試験直前での暗記物の確認は有効ですが、
それ以外の学習については、地道な勉強を続けるしかありません。

「飛躍的に得点の上積みが期待できる手法」がもし実在するならば、
試験直前だけでなく、最初から使えば良いはずです。
実際には、そういった魔法は無いと私は考えます。
1つ1つの疑問を納得に変えていくという、ダサい方法の積み重ねこそが、
試験勉強を成功させるための最短経路だと確信しているのです。

よって、試験直前でなすべきことは、学習範囲を広げることではなく、
むしろ学習範囲を狭めることにあります。
必要と判断される場合は、3科から2科へ、2科から1科へ、
限られた残り時間と労力を集中して投入することで、
その科目の得点引き上げを図るのです。

例えて言えば、畑を目の前にして、バケツ一杯分の水しか無いとき、
どの作物にも均等に水をやろうとすると、全ての作物が干上がってしまいます。
しかし、バケツの水を一株だけに与えれば、その株だけは生き残るでしょう。
もちろん、本来は全ての作物に十分な水を与えられるのが望ましいですが、
時間と労力が限られている以上、選択と集中を行うのが正しい戦略です。

また、基礎事項の学習に不安があれば、その部分の補強は必須です。
試験が近くなるほど、実際の問題に手を出したくなりますが、
基礎ができていなければ、問題演習の成果は乏しいです。
泳げないのに、水泳大会に出ても意味が無いのと同じで、
まず成すべきことは、速く泳ぐ方法の習得ではなく、泳ぎ方の習得です。
基礎をしっかり固めることで、問題演習で実戦力を付けることができます。




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321、試験前に焦ったら合格体験記を読もう。
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いよいよ試験が目前に迫ってきました。
あとは、これまでに頑張ってきたことを信じ、試験で発揮するのみですね。

お盆休みを活用して、ハードな受験勉強を続けている方もおられると思いますが、
試験までの残り時間が少なくなった今、最も大切なのは体調を整えることです。
暑さ・冷房・寝不足などで、コンディションを崩してしまうと、
長い試験時間で集中力を持続していくことが難しくなってしまいます。

また、試験に対する焦り・緊張が高まってくるのも、この時期の特徴です。
真剣勝負に挑むのですから、これは当然のことです。
そんなときは、合格体験記をお読みになることをお勧めします。

私が合格体験記をお勧めするのは、
「試験前に役立つマル秘学習法」が書かれているからではありません。
合格体験記に目を通されれば、かつての受験生の皆さんも、
不安を抱えながら、試験に臨んでいたことがよく分かります。
試験前に、あれこれ心配するのは、自分だけではないということ、
それに気付いてほしいからです。

かつて、進学塾の非常勤講師を務めていたときに、
中学入試や高校入試の現場に立ち会ったことがあります。
校門前で、塾や学校を同一とする生徒が集まって、
円陣を組んでいる光景を見かけました。
「決して独りで受験するのではない」ことを確認するために行うのです。

気象予報士試験の場合、大人が個人で受験するのが一般的ですから、
試験会場前でワーワーやるわけにもいきません。
でも、何歳になっても、真剣勝負を前にすれば、身震いするものですよね。
だからこそ、合格体験記を通して、
元受験生の皆さんからエールを受け取ってほしいと思います。




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322、「明日から」ではなく「今から」勉強を再開する。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 試験も終わったことから、1週間のつもりで試験勉強を休んだところ、
> 1週間が過ぎても「明日から学習を始めよう」という状態が3ヶ月超続いてしまい、
> まったくエンジンに火が入らなくなってしまいました。
> その後何とかスイッチを入れることができましたが、
> その後はこの反省を踏まえて学習の休みは取っても1日と決めました。
●M.Iさん(男性・51歳・制御装置設計エンジニア・茨城県・第47回気象予報士試験合格)


まだ正式な解答例が発表されていないので、待ち遠しいところですが、
昨夜は久々にゆったりとした気持ちで、床に就かれた方も多いと思います。

ただ、今回の試験を、1つの経由点と捉えておられる受験生の皆様にとっては、
すでに次の試験に向けた準備を進めていかれる必要があります。
事実として、第49回試験までの残り時間は5か月です。
年明け後なので、先のように感じますが、それほど長い時間は残っていないです。

もちろん、今回の試験での完全合格を確信されている方にとっては、
あとは、10月の合格発表を待つだけなのですが、
十分な手応えを得られなかった方、仮採点での結果が思わしくなった方は、
早めに手を打っておいたほうが良いです。

引用した体験記の中でも、述べられていますように、
少し長めの休みを取ってしまうことで、再スタートが難しくなることがあります。
例えて言えば、山登りの途中での休憩時間が長すぎることで、
汗が冷えて体が重くなってしまうことと似ています。

1週間休むつもりが、3か月を超える休みになってしまえば、
受験勉強としては、修復の効かない打撃になります。
多くの受験生が、忙しいスケジュールの中で勉強を進めておられますので、
一度、スケジュールからはみ出てしまうと、元に戻しにくいとも言えます。

短い休みを頻繁に取ったほうが、再スタート時の負荷は小さいです。
次の試験を見据えて受験生活を送っておられる方は、
今回の試験でリズムを崩さないよう、進めていきましょう。




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323、第48回試験を振り返って(一般知識試験)
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出題された15問の中で、特に私が着目した問題を4題取り上げます。


【問1】
見方によっては「引っかけ問題」だと解釈することもできますが、
気圧の概念を正確に捉えておられれば、決して引っかからない問題です。

「静力学平衡」という用語を知らない受験生はいないと思いますが、
「Δp=−gρΔz」という式を頭に入れるだけでは、
この概念の有用性が見えにくいのです。

気圧面p1と気圧面p2に挟まれた気層があるとき、
p1とp2の気圧差は気層の重さに等しい、という点がツボです。

そうすると、当問に出てきた3つの気層は、いずれも気圧差が100hPaであり、
同じ重さであることが導き出されます。
つまり、気温や相対湿度に関する情報は、解答において不要な要素ですね。

静力学平衡に関する問題は、これまで数多く出されており、
27-2-般1(「平成27年度第2回試験の一般知識試験問1」の意。以下同様。)
25-2-般2・23-1-般8・22-2-般7・19-2-般1などが挙げられます。
一般知識試験対策における、最重要箇所の1つだとも言えます。


【問3】
実技試験でも頻出の対流不安定に関する問題です。
教科書的には、「高度が増すにつれて、相当温位が低くなっている気層」を、
対流不安定な気層であると学ぶわけですが、
その知識だけでは、当問の正誤を判断できません。

エマグラム上において、対流不安定な気層を持ち上げる操作を行うことで、
気層内の気温減率が大きくなることを確認してこそ、理解が深まります。
また、そうした学習を行っておられた受験生であれば、
おそらく、30秒程度で自信を持って正答を選ぶことも可能だと思います。

また、鉛直安定度の分野に限っても「○○不安定」という用語は複数あり、
それぞれの意味の違いを正確に把握していることが必須です。
特に実技試験では、語句を書かせる問題が多いので、
点数を積み上げていくためには、正確な理解が求められます。


【問7】
「地衡風」「傾度風」「偏西風」「貿易風」などと異なり、
「温度風」は「風」という字を含むにも関わらず、その概念は風ではありません。
この時点で、頭が少し混乱してしまうので、苦手とされる方も多いのです。

気圧面p1で吹く地衡風と、気圧面p2で吹く地衡風の差が温度風であり、
言い換えれば、「風の鉛直シア」のことを指しているのです。
この点を踏まえて、学習を積み上げていけば、
風の鉛直分布から温度移流の種類を判別できる理由も、明らかになります。
(大気を立体的に捉えることがポイントです。)

「時計回りなら暖気移流、反時計回りなら寒気移流」というのは、
試験対策としてのテクニックとしては有効ですが、
少しひねった問題に出くわした場合、本質を押さえておいたほうが強いです。
今回も南半球の事例が出て、戸惑った方もおられると思います。


【問9】
教科書的な海陸風の説明図を丸暗記しておけば解ける、
と考えるのは、あまりにも労力が大き過ぎます。
海陸風の概念を理解していれば、自ずと選択肢は絞られていくのです。

当問で必要な知識は、次の3つです。
 1:海上から陸上に向かって海風が吹き、陸上から海上に向かって陸風が吹く。
 2:上空では、海風・陸風とは逆向きの「反流」があり、循環を形成している。
 3:コリオリ力が無視できる場合、風は高圧側から低圧側に向かって吹く。

当問では、2の知識を活用すれば、選択肢1または選択肢4に絞られます。
そこで重要なのが、3の知識です。
問題の断面図から、どちらが高圧部であるかを読み取れるかが勝負です。
断面図において、真っ直ぐに横線(等高度面)を引いてみれば、
等圧面高度が高いほうが、高圧部であることが分かります。

ここで、等圧面という概念が出てきましたが、苦手とされる方がわりと多いです。
等高度面であれば、ビルの床面をイメージすれば良いのですが、
等圧面については、頭に思い浮かべるのが難しいです。
私は「空中に絨毯が浮いている」といった言い方をすることがあります。
一度イメージできれば、後はそれほど強く意識する必要は無いのですが、
最初にしっかりと理解をしておかれることは、とても大切です。
(これは、先ほどの「温度風」についても、言えることです。)




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324、第48回試験を振り返って(専門知識試験)
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今回の専門知識試験では、過去に出題された問題と関係するものが、
普段よりも多く出題されたという印象を受けます。

例えば、問2のドップラーレーダーによる風の動径速度分布図は、
平成24年度第2回試験の専門問3や、
平成26年度第2回試験の専門問2などでも出題されました。
これらの問題で読み取り方を習得しておけば、当問の解答は難しくないです。

また、問4・問5はいずれも数値予報に関する問題ですが、
正誤判断に登場した問題文の多くは、過去に何度も出ています。
つまり、気象予報士として特に重要な知識が問われたとも言えます。

問7では、発雷確率ガイダンスについて問われました。
かなり以前の平成11年度第2回試験の専門問12で出題されたものの、
このようなガイダンスがあることを、初めて知った方もおられると思います。
しかし、問題文には発雷確率ガイダンスについての説明がなされており、
これを踏まえれば、降水確率からの類推で正誤判断は可能です。
降水確率が意味するところについての問題は頻出で、
最近では平成23年第2回試験の専門問7で出ています。

また、問9では積乱雲について、問11では台風について出題されましたが、
これらは一般知識試験の問題として出されることもあります。
具体的な気象現象に関する問題は、一般・専門のいずれでも出題されており、
いずれか一方の受験であっても、対策を行っておきたいところです。

専門知識試験は、気象庁が行う観測業務や予報業務についての問題が多く、
技術的な仕様などに関する細かい内容が問われたこともありました。
ただ、あまりに込み入った事柄が問われると、正答を得るのは困難です。
今回の試験では、比較的オーソドックスな問題が多く、
基礎学習をきちんと踏まえたうえで、過去問題演習に丹念に取り組めば、
望ましい結果が得られやすい試験だったように思います。




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325、「適切な手法」と「圧倒的な分量」を兼ね備える。
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このメルマガでは、合格体験記の一部を引用し、
それに対して私がコメントする手法をよく用いますが、
次の体験記は、いつの試験で合格された方のものか、お分かりでしょうか?

> 臆することなく、ご自分に合った方法で、
> 「自分はこれだけやったんだから」という充分な準備と自信をもって
> 本番に臨むことができれば絶対に大丈夫だと思います。
> 藤田塾では、受講生のレベルに合わせて塾長が適切なアドバイスをしてくれます。
> そのアドバイスを愚直に実行できれば必ず良い結果が出ると思います。
> 要は自分がやるか、やらないかです。


これは、今から10年前の2007年(平成19年)8月に行われた、
第28回試験で合格された方による、合格体験記の一部です。
(M.Nさん 男性・42歳)
あれから10年が過ぎ、20回もの試験が行われましたが、
合格の秘訣は当時も今も全く変わりません。
それは、「適切な手法」と「圧倒的な分量」を兼ね備えることです。

ここで、「2つを兼ね備える」という点が大事です。
両方とも欠けている状態がダメなのは、直観的に明らかだと思いますが、
片方だけ満たしていても、合格を勝ち獲るのは難しいのです。
「努力しているのに、結果が出ないのはなぜ?」とお感じになる方は、
この点を振り返ってみて下さい。

例えば、同一の過去問題について、演習を10回繰り返して行ったところで、
正確な理解を伴っていなければ、実力は伸びません。
誤った認識を修正し、1つ1つ納得していけることが必須であり、
こうした過程で学習を進めていくことが、前述の「適切な手法」です。

また、学習方法が正しくても、実際の学習量が少なければ、
短期間で実力を高めていくことは困難です。
勉強の効率性を意識し、いろいろ試してみることは大切ですが、
どんなに優れたノウハウでも、100の時間を10に縮めることは不可能です。
勉強法の本を100冊読むよりも、10冊に減らしたうえで、
空いた時間を勉強に充てたほうが、前に進めます。
つまり、自分である程度の確信を持てる手法に辿り着いたら、
バンバン進めていかれることが大切です。

例えて言えば、広大な面積の草刈りをする際に、
錆びた鎌でガムシャラに草を刈ろうとするのもNGである一方、
性能の良い草刈り機を手にしながら、それを動かすことなく、
「もっと優れた草刈り機はないか」と考え尽くすのもNGだということです。
草刈り機の性能が良いと分かれば、それで草を刈りまくるのがベストなのです。

このように、受験勉強の基本ノウハウは、いたって簡潔なのですが、
あとは、それを実践に移せるかどうかが、肝心なところです。
1年に2回も合格のチャンスがある国家試験は、そんなに無いです。
この試験は、常に敗者復活戦です。
次の試験での合格者の多くは、これまでの敗者の中から生まれます。
質・量ともに充実した受験勉強で、実力を高めていきましょう。



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