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| ■メルマガ紹介 17歳で気象予報士試験に合格した藤田真司は、 20歳から気象キャスターを6年余り担当した後、 2005年春に藤田真司の気象予報士塾を開塾した。 天気予報が好きな人、気象予報士になりたい人、 お天気キャスターを目指す人にはぜひ読んでほしい。 ■配信形式 シンプルテキスト形式・隔週刊(日曜日発行) ■著者 藤田 真司 (ふじた しんじ) 1978年(昭和53年)、奈良県生まれ。 株式会社ウェザーニューズで、気象予報士・気象キャスターとして勤務後、 2005年4月に退社し、「藤田真司の気象予報士塾」を開塾。 ■目次 (まえがき)気象予報士・気象キャスターを目指すあなたへ 1、高校球児、気象予報士試験に興味を持つ。 2、参考書に書いてある意味が分からない。 3、早朝から勉強するも、2回連続で不合格。 4、3度目の正直、17歳で試験合格! 5、目指せ!気象キャスター。まずは仲間探し。 6、学習塾の講師で、説明することの勉強。 7、お天気キャスター森田正光さんに会いに行く。 8、突然、舞い込んだ大きなチャンス 9、深夜2時起床の生活スタート! 10、体力が勝負の世界 11、文系でも試験に合格できる。 12、試験と実務は違います。 13、動いた者が注目される。 14、勉強の仕方 〜独学or通学〜 その1 15、勉強の仕方 〜独学or通学〜 その2 16、気象キャスターに向いている人とは? 17、中学校の宿題から消えた「天気図作成」 18、台風情報を伝えるという仕事 19、難しい試験・・・でも恐れる必要はなし。 20、気象庁のホームページを活用しよう。 21、ときには自然に触れて、風を感じよう。 22、勉強モードへの切替が大切。 23、合格までに必要な時間は? 24、分からないところを探す。 25、名刺集めよりも必要なこと 26、日本の気候 〜冬〜 27、日本の気候 〜春〜 28、できない理由を探さない。 29、日本の気候 〜夏〜 30、代役になる準備はできているか? 31、「受験勉強日記」を作ってみよう。 32、日本の気候 〜秋〜 33、将棋の習得で学ぶ「天気図の読み方」 34、気象情報は大きなビジネス 35、雨を知らせる名曲 36、肌感覚が大切 37、何かを選ぶことは何かを捨てること 38、勢いだけでは続かない 39、耳に残る話し方とは? 40、質問こそが理解への近道 41、ライバルはわりと少ない。 42、気象予報士の資格でメシが食えるか?(前編) 43、気象予報士の資格でメシが食えるか?(後編) 44、難問は少ない。 45、自由とは「誰も働きかけてくれない」こと。 46、最大限の夢を描こう。 47、協力し合える仲間はいますか? 48、価値観は遣ったお金に表れる。 49、「気象」は、21世紀の必修科目だ! 50、東大入試より難しい? 〜一般知識試験の攻略法〜 51、最新情報を押さえよ 〜専門知識試験の攻略法〜 52、苦手だと感じるものに挑戦してみる。 53、半年後の試験に備えて 54、合格を諦めない。 55、学科合格なくして完全合格なし 56、【特別対談】私たちはこうして気象予報士になった。 57、新しい予報用語を学ぶ 58、秘術? 学科試験免除期間を延長する方法 59、実技試験での計算問題 60、睡眠時間を削って勉強するのは有効か? 61、実技試験攻略法 〜精読から速読へ〜 62、自分の言葉で天気予報を解説するために。 63、実力とコネは自分で作る。 64、写真やイラストの多い本から始めよう。 65、ミニノート活用術 66、二次試験まで、あと5か月。 67,「お天気」と「気象学」のギャップに耐える。 68,参考書を活用する方法。 69,試験結果の分析から得られる教訓 70,観察→分析→実行 71,気象業界で仕事をしたい方へ(前編) 72,気象業界で仕事をしたい方へ(後編) 73,勉強の質と量を確保するために。 74,転職の準備としての受験勉強 75,気象予報士を志す学生さんへ 76、走り続けることができた人だけ合格できる。 77、少しずつ知識を積み上げる。 78、過去問題ぐらいはマスターしておきたい。 79、あの人はどのようにして気象予報士になったのか? 80、講義録で勉強した人たち 81、電車の中で過ごす時間を有効活用しよう。 82、添削を受けることで文章力は磨かれる。 83、買った本で勉強するべし。 84、登ってみて初めて見える景色がある。 85、作図問題の勉強法 86、大切なのは暗記よりも、理解。 87、アウトプットの作業で知識を定着させる。 88、過去問題演習での注意点 89、試験会場で心を落ち着ける方法 90、合格して受験勉強を終えよう。 91、「実行」のために「有言」する。 92、勉強に終わりはない。 93、マスコミに出るということ。 94、出題された問題について勉強することが大事。 95、自分を奮い立たせる方法を持っているか。 96、その習慣、本当に必要ですか? 97、効率的な学習のためにお金を遣う。 98、忘年会の二次会には出ない。 99、一年の計は年末にあり。 100、種をまくから、収穫できる。 101、合格体験記の読み方 102、気分転換としての勉強 103、理解できるから、覚えられる!勉強が楽しくなる! 104、気象会社への就職を目指す学生の皆さんへ 105、生涯学習としての気象予報士試験 106、どんな気象キャスターを目指すか。 107、長く続けるための3つの方法 108、息抜きは必要。 109、一人で進める勉強・仲間と進める勉強 110、「大気の熱力学」という山を越える。 111、興味を持つことで、知識は増える。 112、パソコンを活用した実技試験の勉強 113、「読むだけで理解できる参考書」は存在するか? 114、夏休みを基礎固めに使ってみる。 115、勉強道具にこだわる価値あり。 116、試験当日までに心得ておきたい3つのポイント 117、難しい試験だからこそ、挑戦する価値がある。 118、「サボリ」と「オーバーワーク」を避ける。 119、受験仲間を作ったほうが良い2つの理由。 120、実技試験合格のために大切なこと。 121、理数系の勉強を恐れない。 122、分かりやすい本で勉強を始める。 123、3か月続ければレベルアップ。 124、次につながる勉強を。 125、好きなものを1つ断て。 126、勉強時間を編成する。 127、最高の状態で試験に臨むための秘訣 128、第33回気象予報士試験を振り返って 129、学びたいときこそ学習適齢期 130、半年先までの学習計画を立てよう。 131、「アサベン」のすすめ 132、得意な分野で自信を付ける。 133、アクセルはゆっくり踏む。 134、仲間とともに難関試験に立ち向かおうぞ! 135、分からなくなったら基礎に戻る。 136、実技試験の勉強の進め方 137、日常生活とつながりがあるから、気象の勉強は面白い。 138、目だけでなく、耳も使う。 139、「分からないことノート」を作る。 140、成功する受験生になるために、押さえたいツボ 141、行き詰まったときはペンを動かせ。 142、試験前2週間で集中的に取り組みたいこと。 143、実技の壁が高い人と低い人 |
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| ◆電車の中で資格を取ろう◆ 学校を卒業してからも人は勉強を続けるべきです。 そのための動機付けとして、 資格取得の学習は良い手段になります。 忙しさを理由に学ぶことから離れていませんか? 単なる資格ゲッターにとどまるのではなく、 本当の学びを知りたい方に、お薦めのページです。 メールマガジンとセットでどうぞ。 |
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| (はじめに) 私は気象予報士として、民間の気象会社で勤務していました。 会社を退職した後も、天気予報は大好きです。 なにしろ、未来を予測できるわけですからね。 「先のことは分からない」とよく言われますが、 天気予報なら、少なくとも明日・明後日くらいの範囲ならば、 かなりの傾向が分かる時代になりました。 これって、すごいことだと思いませんか? 株価・競馬・選挙・景気・商品など、 世の中には多くの予測が流れていますが、 天気予報ほど的中率の高いものはないと思います。 また、日常生活に深く関わってくるのも天気です。 晴れて雲一つない青空が広がれば、 それだけで一日を楽しく過ごせそうな予感がしますし、 朝から雨が降っていれば、服が濡れるんじゃないか、 黒板の文字が見えにくくなるなあと、憂鬱な気分になりがちです。 (なぜそうなるのかは↓のコラムを参照下さい) http://rojiura.jp/tenki-30.htm#11 台風接近が予想できるからこそ、 海で事故に遭う危険も避けられますし、 雷発生の危険性が予想できるからこそ、 屋外で落雷に遭う危険も避けることができます。 天気との関連はこれだけに留まりません。 健康とも大きく関係します。 寒くなれば風邪を引きやすくなりますし、 暑ければ胃腸が弱りがちになります。 また、天気の変化によって、古傷が痛んだり、 ぜんそくの発作が出やすくなる、ということも言われます。 冬に大雪になれば、被害を受ける人がいる一方で、 スキー場でのゲレンデコンディションの良さに喜ぶ人もいます。 夏が暑ければ、冷房器具が売れるので電器店は大喜びですが、 熱中症でダウンしてしまう人も多くなります。 健康にも、生活にも、景気にも、 天気は深く関係しているといって良いでしょう。 1994年には気象予報士という資格ができました。 この資格を取得したのをきっかけに、 気象の世界で働くようになった方を何人も知っています。 そして、私自身もそうでした。 私がどのようにして、気象予報士試験を突破し、 天気の仕事に就くことになったかを、ご紹介したいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1、高校球児、気象予報士試験に興味を持つ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1994年(平成6年)の夏。私は京都府内の高校に通う高校生でした。 夏休みの期間なので、学校は休みですが、 野球部員だった私は、たいてい学校のグラウンドで走り回っていました。 京都の夏は暑いことで知られていますが、 その年の夏は特に記録的な猛暑だったので、今でもよく覚えています。 なにしろ、この年に記録した気温39.8度が、 京都の観測史上最高気温なのです。 私は休憩時間に水が飲めることだけを楽しみにして、 焼けるようなグラウンドで守備練習をしていました。 長い練習が終わって家に帰っても、全身が暑く、 1リットルの冷えた牛乳を飲みながら、食事を摂る毎日でした。 そんなある日、食卓で母親が「こんなのがあるよ」と言って見せたのが、 「気象予報士」という資格についての新聞記事でした。 ちょうど、始めて気象予報士試験が行われたときでした。 新しい国家資格ということもあって、 当時はマスコミでも、よく紹介されていたのです。 なぜ、母親がそんな記事を私に見せたかというと、 私は幼い頃から天気や宇宙に興味を持っていたからです。 父親がそういった話をしてくれたことや、 田舎に住んでいたので夜空が比較的きれいだったことが、 興味を持つ理由だったのかも知れません。 小学生のときは、ラジオの天気図を書いたこともありましたが、 あくまでも、「興味があった」「好きだった」という程度で、 特に何か専門的な勉強をすることもありませんでした。 学校の勉強もおぼつかない私でしたが、 「ちょっと本でも見てみるか」と思ったのは、 やはり、天気に対する興味が強かったからなのでしょう。 これが、私と気象予報士試験との出会いでした。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2、参考書に書いてある意味が分からない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「気象予報士試験でも受けてみるか」と、 軽い気持ちながらも乗り気になった私は、気象の本を探しました。 しかし、地元の本屋には気象の専門書はなく、 野球部の練習がない定期試験の時期に、 大きな書店のある大阪まで出かけていきました。 当時はまだ気象予報士試験が始まって間もない頃でしたから、 気象予報士試験対策の本は少なかったように思います。 その点で、今の受験生は恵まれています。 例えば、「過去問題集」だけで20冊以上あるわけですからね。 いろいろ探したところ、一冊の大きな本が目に留まりました。 『天気予報の技術』(東京堂出版)という本です。 普段買う漫画や文庫本と違って、値段が高いことに驚いたものの、 興味を持つと凝り性になる私は、思い切って買うことにしたのです。 早速、買った本を家で読み始めました。 しかし、すぐに読むのを辞めたくなってしまいました。 というか、読むことができませんでした。 専門用語や数式のオンパレードで、何が書いてあるのか分からないのです。 『天気予報の技術』は、後に改訂版も出され、 私もお薦めする本ですが、初心者には高度な内容です。 当時の私は専門的な勉強など何もしていなかったのですから、 本に書いてある意味が分からないのは当然のことでした。 私は再び大阪へ行き、気象専門用語を解説した事典を買いました。 分からない言葉を調べながら、本を読むことにしたのです。 とりあえず、勉強するための道具は集まりました。 しかし、私は毎日学校へ通う高校生であり、 授業後はユニフォームに着替える野球部員でした。 日・祝日も練習や試合があったのですが、 試験勉強の時間をどうやって捻出したのかは、次週に書くことにします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3、早朝から勉強するも、2回連続で不合格。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験の受験生になったとはいえ、当時の私は高校生でした。 朝6時に起きて学校に通い、授業が終われば野球部の練習。 定期試験もありましたし、週末も野球部の練習や試合がありました。 夏休みも冬休みも、野球・野球・野球です。 家に帰って風呂に入れば、自然と眠くなるもので、 夜に試験勉強(もちろん学校の勉強も)などできるものではありません。 そんな中で、私はどうやって勉強の時間を捻出したかというと、 夜ではなく、朝を利用することにしたのです。 起きた後の頭はリフレッシュされているから、勉強には良かろう、 そう思って、午前3時に起きることにしました。 もちろん、起きるのが辛かったことも結構ありました。 特に冬の朝は寒さが厳しく、布団から出たものの、 こたつに潜り込んで、再び寝てしまうこともあったほどです。 しかし、早起きによって、ある程度の勉強時間を確保できました。 こんな時間でもFMラジオは放送していて、 流れてくる音楽は、勉強の友になってくれました。 朝早く起きると、朝食も美味しく摂れます。 また、早朝に起きるメリットとして、 テレビの天気番組をじっくり見ることができました。 早朝番組の天気コーナーは、時間に余裕があるのか、 詳しく解説してくれることが多く、勉強になりました。 まさか、数年後に自分自身が、 この時間帯に出演することになるとは思いませんでしたが。 こうして、早朝勉強の習慣ができたとはいえ、 試験の結果は冴えませんでした。 特に、最初に受けた試験では、問題が解けないあまり、 試験会場で寝てしまう有様。 半年後、2度目の受験もあっけなく失敗。 高校生にとって、一回12000円の受験料は財布に痛いものでした。 (現在、受験料は11400円に改訂) 「いつまでも受からないままでは、勉強など無駄ではないか?」 試験勉強を始めてから、1年が過ぎた頃には、 そういった不安が出てきたのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4、三度目の正直、17歳で試験合格! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私が受験した頃から試験対策のための私塾はあり、 試験に2度失敗した私も授業を受けたかったのですが、 「授業料が高い」ことと「時間がない」のが理由で、行けませんでした。 気象予報士の勉強も次第に面白くなりつつある中、 野球も好きだったので、辞めたくなかったのです。 何冊かの本だけが私の先生でした。 そんな私の勉強法は、徹底した過去試験問題の攻略です。 まだ試験実施回数も少ない時代でしたが、 それでも、試験問題と解説が書かれた本で勉強したのです。 最初の頃は、問題文の意味さえ分からない状態でしたが、 事典などで調べながら、いろいろな本を読み続けているうちに、 何となく分かるようになってきました。 分かることで、私は勉強を続ける意欲を持ち続けることができました。 問題を復習しながら、分からないことを潰していく勉強法で、 少しずつ合格への手応えを感じるまでになっていたのです。 そして、3度目の試験を受ける際には、 「何としても、今回は合格したい」と思いました。 そのときの試験で受かれば、17歳で合格できるのです。 当時、気象予報士合格者の最年少は17歳の男性でした。 今は人気アカペラグループ「RAG FAIR」で、 「おっくん」として活躍している奥村政佳君です。 誕生日の関係で、私がその試験で合格しても、 彼が持つ最年少記録を更新することにはならなかったのですが、 17歳で合格することを、自分の中の目標としました。 1996年1月、第5回気象予報士試験が行われました。 私は試験会場におにぎりとチョコレートを持ち込みました。 「炭水化物は脳の活性化に良い」ということを聞いていたからです。 それが功を奏したのか、私は3回目の受験で合格することができました。 合格発表が行われた日は、高校2年の終業式の日でもありました。 このときにの試験で、同じく17歳で合格しながら、 最年少合格記録を更新した人がいました。 後に富山大学・大学院へ進んだ川原靖広君です。 合格発表後、彼はテレビ取材を受けたそうですが、 私には何の取材もありませんでした。(まあ、当然ですね) 学校に取材班が来るかもしれないと密かに思っていた私は、 当時からマスコミに顔を出すことに興味があったようです。 ちなみに、17歳で合格した奥村君・川原君・私は、 20歳の頃に東京で初めて3人で集まりました。 その後、別々の道を進むことになりましたが、 当時に計画した「共著で天気の本を出そう」という夢は、 いつか実現するに違いない、と思っています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 5、目指せ!気象キャスター。まずは仲間探し。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 晴れて気象予報士試験を突破したわけですが、 何か周囲の状況が変わるわけではありませんでした。 私は高校3年に進級し、引き続き野球部員として日々を過ごしていました。 連日の厳しい練習だったのですが、 京都の西京極球場で行われた夏の大会(甲子園の予選)では、 あっさりと負けてしまいました。 しかも、私がラストバッターだったのです。 見逃し三振をし、試合を終わらせてしまい、 私の高校球児としての夏は終わりました。 最後の一球が「空振り」ではなく「見逃し」であったことは、 今でも悔しい思い出として、脳裏に焼き付いています。 もし、バットを振っていれば、ボールに当たったかもしれない、 そんな思いが、「機会を与えられれば、必ずバットを振ること」 という考え方を強めました。 これが今後の私の行動方針に影響することになります。 高校を卒業後、大学に進んだ私は、 気象予報士の資格を生かして、 キャスターをやってみたい、と思うようになりました。 しかし、そんな仕事はどうすればできるのか? 相談しようにも、私の周辺には気象予報士の仲間がいませんでした。 そこで、仲間を探すことにしたのです。 幸いにも、気象予報士向けの勉強会で、 私は知り合いを作ることができただけでなく、 気象勉強会を紹介していただくことができました。 さらに気象予報士の集まるパーティーがあるときは、 私はパソコンで作った名刺を配ることにしました。 とにかく、バットを振ってみることにしたわけです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 6、学習塾の講師で、説明することの勉強。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 大学生のときに最も長く続けたアルバイトは学習塾の講師でした。 塾の講師の仕事をした理由は、 担当教科である社会科が好きだったことや、 ほかの仕事に比べて給料が良かったこともありますが、 最大の理由は「分かりやすく説明すること」を勉強したかったからです。 塾講師と気象キャスターには、いくつか共通した点があると思います。 (似ている点) ・限られた時間で、情報を伝えること。 ・大勢の人に対して、同時に伝えること。 ・視覚的手段も用いること。(テレビ画面・黒板) また、実際に塾講師を始めてから、重要なことに気がつきました。 講師にとって必要な能力は「話術」よりも、 むしろ「知識量」であるということでした。 「しっかり喋れること」というのは、 「しっかり知っていること」でもあるのです。 たとえ、話術に自信が無くても、 知識が豊富にあれば、的確に話すことができると思います。 例えば、地震・航空機事故・戦争などが発生した場合、 テレビに専門家の先生が出てきて、解説することがあります。 先生方はキャスター・タレントではないので、 テレビに出る機会もそれほど多くないでしょうし、 話し方の勉強もされていないと思うのですが、 その説明は、とても分かりやすいのです。 「どれだけ情報を持っているかによって、 どれだけ情報を発信できるかが決まる。」 このことは、後に気象キャスターの世界に入るときに、 嫌というほど自覚することになります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 7、お天気キャスター森田正光さんに会いに行く。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 森田正光さんといえば、全国で最も有名な気象キャスターの一人です。 放送界でのご活躍だけでなく、本も数多く出されています。 その森田さんが設立された気象会社で、 「気象キャスター候補」を募集していたので、私は応募しました。 連絡してみると、「東京まで面接に来て欲しい」とのこと。 私は「青春18きっぷ」を使い、 奈良から鈍行と快速列車を乗り継いで、東京へ向かいました。 面接には15人くらいの志願者が来られていました。 大半が関東の方で、関西から来ていたのは私だけでした。 試験とは一体どんな問題なのか? いろいろ想像しているうちに、森田さんやスタッフの方が来られました。 森田さんは壁に貼ってある今日の天気図を指して言いました。 「この天気図を見て、何か話して下さい。」 それだけのシンプルな問題ですが、これが難しい。 私の番が回ってきましたが、何を言ったのかは記憶にありません。 覚えているのは、1分間も喋れなかったことです。 「何言っているのか分からないよ。『エー』とか『アー』が多すぎる。 天気図一枚から3分間は話せるくらい、 いろいろなことを勉強して、知っていなくちゃダメだ。」 森田さんは私に対し、そう仰いました。 なかなか痛烈ですが、今の私が当時の私を面接しても、 似たようなことを言ったと思います。 気象キャスターになるためには、 気象予報士試験に合格する以上に、勉強が必要だったのです。 その後、テレビ局のスタジオで、 森田さんが出演されている番組を見学しました。 小道具を使って、面白く分かりやすく解説されていましたが、 その裏には、相当な準備と勉強があるのだなと思いました。 「面接の結果は後日にお知らせします」とのことで、 私は再び鈍行列車を乗り継いで奈良へ帰りました。 そして、天気予報の勉強に励んだか? 残念ながら、そうではありません。 私は一人で名古屋から苫小牧行きの船に乗っていました。 途中に寄港する仙台で船を下りた私は、 積んできた自転車にまたがり、北に向けてペダルを踏みました。 前年夏にも、奈良−宗谷岬を走破した私は、 自転車旅の魅力にはまり込んでいたのです。 …………………………………………………………………………………………… 自転車旅行については、メルマガ『作って遊ぶ』第6号で書きました。 写真付きのバックナンバーはこちらをご覧下さい。 …………………………………………………………………………………………… ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 8、突然、舞い込んだ大きなチャンス ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 9月といえども、北海道では既に本格的な秋になっていました。 北の大地を自転車で旅していた私は、 テントで野宿をするたびに、朝晩の厳しい寒さを感じていたのです。 本では実感できない、その土地の空気を、 全身で感じることができるのが、自転車旅行の魅力です。 天気予報の仕事をする人にとって、 「気象を肌で感じる」ことは大事だと思います。 今はモニターの前に座っていれば、 データという形で、何でも情報が入ってくる時代ですが、 いくらデータを見たところで、 その気象をイメージすることができなければ、 他の人に伝えることはできません。 ですから、天気予報の仕事をする人は、 どんどん旅行をされるのが良いと思います。 そう言う私も、「氷点下30度の寒さ」や「1時間に100ミリの雨」 を未だ経験していません。実地で学ぶことが山積みです。 話は、私の自転車旅に戻ります。 旅路の途中で、買ったばかりの携帯電話が鳴りました。 画面に表示された市外局番は、東京都内からでした。 「先日は面接にきていただき、ありがとうございました。 選考の結果、合格としたいと思います。 天気キャスターのための勉強をしていきましょう。」 天気図を見ても、ろくなことが言えなかった私ですが、 ともかく機会を与えていただいたことに大きな喜びを感じました。 今から考えても、なぜ合格なのかよく分かりませんが、 当時20歳だった私の将来性を買ってくれたのだろう、 と勝手に解釈しています。 とにかく業界に潜り込むことさえできれば、次の進展が期待できる。 そう考えた私は、合格を大きなチャンスと受け止めました。 早速にも、キャスターになるための研修を受けたかったのですが、 私は奈良に住み、京都の大学に通っていることから、 長期休暇のときに受けることになりました。 研修を受けることを楽しみにしていた中、 知り合いの気象予報士の方から、電話がかかってきたのです。 「大阪の放送局で、早朝の天気番組を担当しませんか?」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 9、深夜2時起床の生活スタート! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知り合いの気象予報士の方からかかってきた電話は、 テレビ出演に関する話でした。 まさに、私の望んでいたことが目の前に迫ってきたわけです。 当然のことながら、私はその依頼を受け、 番組での面接を経て、出演することが決まったのでした。 早朝5時30分から始まる番組でした。 当時、大学生だった私にしてみれば、 「そんな早朝から起きている人がどれくらいいるのか?」 と思いましたが、早起きの方は案外多いのです。 「早起きは3文の得」といいますが、 確かに早く起きると気持ちが良いですね。 特に春から夏にかけての季節は、5時を過ぎれば明るくなるのですから、 この清々しい時間を布団の中で味わうのは勿体ないものです。 さて、早朝番組を担当することになった私は、 何時に起きることになったかというと、午前2時でした。 放送局の近所にマンションを借りてもらったのですが、 午前3時までに局入りするためには、その時刻に起きなくてはなりません。 そして、早起きよりもキツかったのは、 「生放送に対するプレッシャー」でした。 気象予報士試験には合格したというものの、 実務の経験もなく、知識も少ない私が、 テレビの前で天気予報をお伝えするわけです。 出演が正式に決定した後、アナウンス研修を受けたり、 本番を想定したシミュレーションを何度もやっていただきました。 放送は1999年(平成11年)の年初から始まりましたが、 その直前に、声が出なくなるほどの風邪を引きました。 相当に緊張感が高まり、免疫力が落ちていたのでしょう。 初めてのOAが終わり、録画したテープを見てみると、 「そうですね」「そうですね」ばかり言っていました。 素人丸出しのキャスターだったわけですが、 そんな私を起用して下さったテレビ局の方には、 今でも感謝の気持ちでいっぱいです。 |
| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 10、体力が勝負の世界 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 早朝番組のために、夜中から起きる生活は大変なものです。 さらに私はテレビ局での仕事に加えて、塾講師も続けていましたし、 一応は大学生だったので、講義にも顔を出していました。 夜遅くまで塾で教えた後、大阪へ向かい、 ホテルで仮眠を少しとってから、未明にテレビ局入り、 放送終了後に大学へ向かうということもしていました。 まあ、無茶なことをしていたものです。 放送の業界で、レギュラー番組を担当していると、 「しんどいから今日は休みます」と言うことができません。 もちろん、ぶっ倒れてしまえば、仕方が無いのですが、 生放送では代役を確保することも難しく、 周囲の方に大きな迷惑をかけてしまうのです。 だから、私も体調管理には気を使いました。 風邪をひかないように、うがいを心がけました。 ホテルの部屋は、空調の影響で空気が乾燥しやすいため、 わざと浴槽の湯を残し、部屋の湿気を保つようにしました。 午前2時半に起きた日は、どうしても眠くなりますが、 睡眠不足を補うのには、仮眠することが一番です。 特に電車の中は、仮眠に適しています。 慣れると、目的駅でドアが開く瞬間に目が覚めます(笑)。 しかしながら、たまには体調を崩してしまうときもあり、 何度か苦しい思いもしたものです。 最もキツかったのは、出演の前日に食中毒を起こしたときです。 尾籠な話で恐縮ですが、「上から」も「下から」も・・・でした。 出演中もずっと気分が悪く、ただ時が過ぎるのを待つだけでしたが、 視聴者の方に気づかれぬよう、カメラの前では普通に話せたことは、 誇れることかも知れません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 11、文系でも試験に合格できる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験を受けようと思っている方の中には、 「理科が苦手だから」と躊躇している方がいらっしゃるかも知れません。 確かに、試験の中には物理や数学の知識を問う問題もあり、 私も問題を初めて目にしたときは、真っ青になったものです。 でも、資格に興味があるのでしたら、試験に挑戦してみるべきです。 全体の合格者に理系の方が多いのは事実ですが、 私の周囲には、文系の方のほうが多いくらいです。 私自身も文系で、大学では文学部でした。 それでも、気象予報士試験に何とか合格できたのは、 気象の勉強に強い興味を持ち続けられたからだと思います。 それに、試験全体が「理科系問題」で構成されているわけではありません。 気象予報士試験には、大きく分けて3つの課程があります。 ・学科試験(予報に関する一般知識) ・学科試験(予報に関する専門知識) ・実技試験(2種類あります) このうち、計算を要する問題は全体の2割程度です。 一方で、学科試験(予報に関する一般知識)の問題では、 気象業務法などの法律知識を問うものが4〜5題も出題されます。 数学の苦手な方は「法律問題でカバーしよう」という作戦も良いと思います。 財団法人気象業務支援センターの発表によると、 学科試験の合格ラインは「15問中11問正解」とのことです。 つまり大相撲に例えれば、11勝4敗でクリアできるということです。 もちろん、朝青龍関のように全勝優勝できれば理想ですが、 苦手な分野が少しくらい残っていても、 試験をクリアできる可能性は高いと思います。 確かに、私自身も試験を受けるときには、計算問題で苦しみました。 しかし、順を追って勉強すれば誰でも「理解」に到達するはずです。 東京大学理科1類の試験問題が出てくるわけではないのです。 詳しく解説した本も出版されていますから、 じっくり取り組んでみると、案外スムーズに修得できると思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 12、試験と実務は違います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私がマスメディアの世界に入って、痛感したのは知識不足でした。 第7話でも書いたように、天気図を前にして1分間も話せなかった私は、 現場でも、知識の足りなさを強烈に自覚させられたのです。 砂漠地帯の天気予報なら「今日も晴れ、明日も晴れ」で済むでしょうが、 中緯度帯に位置し、周囲を海に囲まれている日本では、 四季の変化がはっきりしていて、さまざまな気象現象が起こります。 夏は北日本でも30度を超える暑さになりますし、 冬になると、西日本でも雪が積もります。 台風や低気圧もよく通るので、気象災害も頻発します。 昨年(2004年)だけで、いくつの気象災害が発生したでしょうか。 これら日本の気象について、過去の経緯を把握し、 今後の予想を、カメラの前でお話しするわけですが、 知識が足りないと、言葉は出てこないのです。 また、こういった知識を持つだけでは不充分で、 マスメディアの世界では、専門知識を翻訳する能力が要ります。 「相当温位342Kの暖湿流が太平洋側に流入するため、 対流不安定により積乱雲の発達が予想され・・・」 気象予報士の実技試験で書く答案なら、これで良いのですが、 マスメディアで必要なのは、メカニズムよりも具体例です。 「結局、明日の天気はどうなるのか?」 「傘を持っていたほうが良いのか?」 「何か注意することはあるのか?」 これに対する答えが無ければ、天気情報の価値は無きに等しいのです。 また、桜・紅葉・花粉・紫外線といった知識は、 予報士試験ではほとんど問われませんが、 多くの人が関心を持つ話題ですから、勉強は欠かせません。 「学問としての気象」ではなく「生活としての気象」、 これがマスメディアで求められる知識であり、能力だと思います。 気象予報士試験を突破された方で、天気キャスターを目指す方や、 マスメディアでの放送支援業務に関心のある方は、 こういった勉強をされることをお勧めします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 13、動いた者が注目される。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「気象キャスターになるにはどうすればいいですか?」 というご質問を良く受けます。 私自身が、気象の知識が特に豊富であったとか、 話術に長けていたとか、タレント性に優れていたわけではありません。 単に、運が良かっただけのようにも思えますので、 上記のような質問を受けると、返答に窮するのですが、 一つ言えるのは、「動き回っているうちに運を拾う」と感じたことです。 今の時代に「気象キャスターになりたい」と思ったなら、 まず行うべきことは、気象予報士試験に合格することです。 この資格が作られてから、すでに10年以上が過ぎ、 業界では必須の資格になったような感があります。 そのために、どうやって勉強すれば良いか。 私のように本屋さんでテキストを買って、 一人で勉強するのも一つの方法ですし、 資格取得のための学校に通われるのも、一つの方法です。 通信教育を受けるというのも、良いでしょう。 大切なのは、どんな方法であれ、 自分で何かを始めないと、試験には合格できないということです。 試験に合格すれば、次はどうすれば良いか。 実のところ、試験合格後のほうが難しいように思います。 試験には「突破方法(マニュアル)」がありますが、 「気象キャスターになるための方法」に、定石は存在しないからです。 キャスターが所属する事務所(プロダクション)に入ったり、 気象会社にキャスター募集を問い合わせてみたりするのも方法です。 実際に気象キャスターに会いに行ってみるのも良いかも知れません。 もちろん、会えるかどうかは分かりませんが、 決まった方法が無い以上、 可能性のあることは何でも試してみる気持ちが大事です。 私もキャスターになりたいと思ったときは、よく動きました。 気象予報士の集まりに出かけては、手製の名刺を配り歩きました。 面接では、とにかく目立つことを心がけました。 上手く話そうと考えるのではなく、 どのようにすれば人目に付くか、ということを考えていました。 それが20歳で気象キャスターを始めることができたのと、 無関係でないと思っています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 14、勉強の仕方 〜独学or通学〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「気象予報士試験に合格するためには、 専門のセミナーに通うほうが良いのか?」ということを良く聞きます。 結論から言いますと、「独学でも充分に合格は可能」です。 書店に専門書や試験対策本が売っていますので、 それをもとにコツコツ勉強すれば、合格できると思います。 実際、私自身も「本だけが先生」でした。 高校生のときに合格したわけですが、 学校の成績は「下の上」といったところでした。 英語はいつも30点前後でしたし、(昨年にTOEICを受けたら400点でした) 世界史では、「1」(注、10段階)を取ったこともあります。 そんな私でも、独学で合格できるわけです。 独学で合格すると、大きな達成感を伴います。 自転車だけで、北海道・宗谷岬に到達するような気分でしょうか。 (両方とも経験しましたが、似ているような気がします。) 一方、スクールで学ぶことのメリットは大きく分けて2つあります。 まず、一つめをご紹介しましょう。 1,時間を節約し、効率的に学ぶことができる 私自身がそうだったのですが、試験勉強は試行錯誤の連続でした。 分からない語句が出てきては、あーでもない、こーでもないと考え、 解説を読んでも分からない問題にぶつかっては、悩んだものです。 そんなとき、講師に質問できる環境であれば、 抱えていた疑問は氷解したに違いない、と振り返ります。 私の試験勉強は非常に回り道の多い方法でした。 気象予報士試験の勉強を、一つの趣味・学問と捉え、 勉強に伴う試行錯誤も恐れることなく、 楽しみながら学んでいこうと思われる方には、独学をお勧めします。 時間はかかりますが、試行錯誤することも決してムダではないからです。 結果的には、そのほうが深く学べるかも知れません。 しかし、「早く資格を取得して次の目標を目指したい」 「就職活動までに資格を取っておきたい」という方は、 試験に合格することが最終目標ではないはずです。 資格取得は単なる「通過点」「一里塚」に過ぎないわけですから、 そのための勉強は、「最短コース」を選択されるのが良いと思います。 独学を普通列車に例えれば、 スクールを上手く活用することは急行列車であり、特急列車なのです。 ですから、「早く合格したい」「早く修得したい」ということでしたら、 私は迷いなく、専門の講師に学ぶことをお勧めします。 「スクールで学ぶ2つのメリット」、 もう一つの理由については、次回にお話ししたいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 15、勉強の仕方 〜独学or通学〜 その2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「スクールで学ぶ2つのメリット」、前回にお話しした一つめの理由は、 1,時間を節約し、効率的に学ぶことができる ということでしたが、二つめの理由がこれです。 2,同じ志を持つ仲間に出会うことができる これも私自身の経験がもとになっています。 高校生だった私は、完全独学で気象の勉強をしていました。 周囲で気象に興味を持つ人は皆無だったからです。 高校時代に天気の話をさせていただいたのは、地学科の先生だけで、 しかも、それは私が試験に合格してからのことでした。 受験生時代は、文字通り「本だけが先生」という状態でしたから、 大きな書店の「気象コーナー」で待ち伏せして、 予報士受験関連の本を見ている人に、声をかけようと思ったくらいです。 気が小さいので、そこまではできませんでしたが。 試験に合格してから、第5話にも書きましたように、 多くの気象予報士の方と知り合うことができましたが、 受験生だったときに、同じ志を持つ人に出会えていれば、 勉強のときも、もっと心強かったに違いありません。 第3話でも書きましたように、2回目の受験で失敗したときは、 「合格率も低いし、このままずっと受からないのではないか?」 と不安になったものです。 気象予報士を受験する人は増加傾向にありますが、 そうは言っても、年間受験者は1万人くらいです。 これは、行政書士試験の10分の1程度であり、 TOEICテストの100分の1以下です。 テレビに出る人が多いので、ある程度の知名度はあるものの、 専門性の高い資格であると言えるでしょう。 私が受験した当時から10年以上が過ぎ、 今はインターネットも普及していますから、 受験生仲間を見つけるのは、当時ほど難しくはないはずです。 掲示板を開いているホームページも見かけます。 と同時に、スクールに通われることでも、 仲間と出会う機会が高まるのではないかと思います。 「旅は道連れ世は情け」と言いますが、 資格取得のための勉強にも、この言葉が当てはまるのかも知れません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 16、気象キャスターに向いている人とは? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「どんな人がウェザーキャスターに合っているのですか」 「気象キャスターになりたいのだけど、自分は向いているでしょうか」 メールマガジンを発行していますと、 このようなご質問をいただくこともありますので、 今回は、それにお答えしたいと思います。 結論から言います。 気象キャスターに向いている人とは、 「気象キャスターになりたい!」と公言できる人です。 言うだけでなく、自分自身をドンドン売り込める人、 こんな人は天気キャスターに向いているのではないかと思います。 単純明快でしょう? でも、これが一番重要な要素なんです。 『アナウンサーになってやる!』というWebサイトがありますが、 タイトルが非常に良いですね。 http://tobeana.com/ 「なれたら良いのだが」「なってみたいものだ」ではなく、「なってやる!」。 何としてでも願いを貫徹する姿勢が大切です。 ウェザーキャスターも、広義のアナウンサーだと思いますから、 同じような心意気が求められるのは、良く分かります。 「天気キャスターになったるわ!」という意気込みですね。 技術的な面に関して、「向き」「不向き」を言うつもりはありません。 気象キャスター・気象解説員に必要とされる技術が、 他の職業技術より、際立って高いとは思わないからです。 「なりたい」という気持ちを持ち、それを外に出すことができれば、 技術は後から付いてくるものだと思います。 例えば、ここ10年ほどの傾向として、 気象予報士の資格が重視されているのは事実ですが、 今まで天気について何も知らなかった文系の方が、 合格していくのを私は何人も見ています。 統計的な調査をしたことがないので、あくまでも主観的な感覚ですが、 「気象キャスターになりたい」という目標を持っているほうが、 気象予報士試験の勉強にも力が入り、 合格を引き寄せている方が多いように感じます。 「テレビやラジオで天気予報の仕事をしたい」と願う人は大勢いても、 それを、自分の夢として目標として、人前で言える人は僅かです。 さらに、実際に「行動」という形で、 目標に近づいていく人は、もっと少なくなります。 競争率は非常に高いように見えて、実は案外低いのです。 逆に言えば、気象予報士の資格を持っていても、 黙っていてキャスターになれることは、まずあり得ません。 いきなり「キャスターになりませんか?」と電話がかかってきたら、 詐欺商法の可能性が高いと考えるべきでしょう。 「では登録料65万円を」などと言ってくるに決まっています。 私自身も気象予報士試験に合格した後は、 「必ずや気象キャスターとしてテレビに出る」と公言して憚りませんでした。 周囲は「バカじゃなかろうか」と思っていたかも知れませんが、 その数年後に、実際に仕事をいただくことになったのは自分でも驚きでした。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 17、中学校の宿題から消えた「天気図作成」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 7月も下旬になり、学校は夏休みのところが多いかと思いますが、 夏休みの宿題といえば、読書感想文・問題集・絵画・工作など、 いろいろ出されたのを思い出します。 私は読書感想文・作文が苦手で、難儀した覚えがあり、 今こうして、メールマガジンを発行しているのが不思議です。 http://rojiura.jp/make-play.htm#4.5 さて、夏休みの宿題といえば、 私が中学生のときには「天気図を作成する」という課題がありました。 NHKラジオの第2放送を聞いて、天気図を書くのです。 たしか、中学2年の時だったと思いますが、 今はこうした宿題が出されていないところが多いようです。 といいますのも、文部科学省「中学校学習指導要領」には、 「天気図を作成すること」という課程が存在しないのです。 http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301c/990301d.htm 平成元年(1988年)に文部省が改訂した「中学校学習指導要領」には、 「天気図の作成」が書かれていました。(平成5年度から施行) http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/890303.htm#024 > (ア)天気図を作成し、気圧配置と風向、風力及び天気との関係を見いだすこと。 > (イ)天気図や気象衛星画像などから、日本の天気の特徴を気団と関連付けてと > らえるとともに、天気の予測ができることを見いだすこと。 夏休みの宿題から「天気図作成」が消えたのは、 どうやら、この辺に理由があるようですね。 現在の「中学校学習指導要領」が施行されたのは、 平成14年(2002年)のことです。 いわゆる「ゆとり教育」というものですね。 「ゆとり教育」に対する批判として、 「学力低下」「理科離れ」といったことが、よく言われますが、 その中で私が感じるのは「地学軽視」の傾向です。 例えば、インターネット書店「Amazon」のサイトで、 学習参考書カテゴリーの中から、「地学」「化学」「物理」「生物」と入れ、 それぞれ何冊の本が検索で出てくるかを試してみました。 結果は以下の通りです。 「化学」917件 「生物」603件 「物理」528件 「地学」201件 理科4分野の中で、明らかに地学関連書の数が少ないことが分かります。 第3位の物理と比べても、半分以下です。 確かに、「センター試験を地学で受けた」という人もあまり聞きませんし、 私の通っていた高校でも、地学科の先生は一人だけでした。 では、地学分野が私たちの生活とかけ離れているのかというと、そうではなく、 日本は毎年のように大きな地震が起こる国です。 (この原稿執筆中の7/23にも、関東で大きな地震が起こりました。 被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。) また、台風をはじめとする気象災害にも遭うことが多いのは、 日本に住む人なら、誰もが感じることでしょう。 それを反映してか、小さな地震が起こっても、 テレビ画面には速報スーパーが表示されますし、 多くの新聞では、天気予報欄が1面にカラー印刷で掲載されています。 大切な情報であることはみんな知っていながらも、 地震や気象に関する知識を持った人は少ないわけですが、 学校で教えてくれなくても、自分で勉強する価値は充分にあると思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 18、台風情報を伝えるという仕事 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私が気象会社に勤務していた頃、台風が接近してくると、 妻は周囲からこんなことをよく言われたそうです。 「今日みたいな日、ご主人は海岸で台風中継をしているの?」と。 台風が接近すると、よく目にするのが台風中継です。 背景の海は大荒れで、至るところで白波が立ち、 レポーターの立っている場所にも、波しぶきが時々かかる。 横殴りの強い雨が容赦なく降り続き、 風でリポーターは吹き飛ばされそうになる。 多くの人が一度は目にしたことのある「台風中継」、 しかしながら、私自身は経験したことがありません。 では、台風が接近してきたときに、私は何をしていたのかというと、 放送局の中で走り回っていました。 台風といった異常気象時には、とんでもなく忙しくなるのです。 忙しくなる要素を挙げてみました。 1,情報量が猛烈に多くなる。 2,急に出演する必要が出てくる。 3,普段の何倍も原稿を書く必要がある。 まず、1についてですが、 気象庁から入ってくる情報だけでも、膨大な量になります。 日本に台風が接近すると、台風の位置情報は1時間ごとに発表され、 臨時の気象情報も出てきますし、 警報(大雨・暴風・波浪など)が随時出されます。 「○○町で300ミリの大雨」などの情報も入ってきます。 仕事場のデスクには、紙の束でいっぱいです。 情報量が増えるのですから、発信量が増えるのは当然です。 2・3のように、出演や原稿作成という形で、 刻一刻と変化する台風情報・防災情報をお伝えしていかねばなりません。 台風中継を行うレポーターのために、原稿・資料を用意しましたし、 私自身が気象解説者として出演したこともありました。 限られた字数、限られた秒数の中で、 どうすれば、分かりやすく有益な情報を伝えることができるか。 災害を減らするための情報を発信しなければならないわけです。 情報の送り手側だった私は神経をとがらせて、 原稿を書き、マイクに向かったのでした。 当然ですが、台風は日時を構わずやってきますから、 昼夜問わずの24時間体制となります。 スタッフは複数人数いて、交代で勤務していたものの、 非常にハードな仕事であったことに変わりはありません。 しかし、災害を防ぐ・災害を減らす、 そのための情報発信に携わることができたことは、 今でも誇りに感じています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 19、難しい試験・・・でも恐れる必要はなし。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士という資格ができて、10年以上が過ぎ、 この資格の認知度はかなり高くなったと言えるでしょう。 私が試験を受けたとき(第5回試験)の受験者数は3000人足らずでしたが、 次回8/28に行われる第24回試験では、実に5401人もの方が、 試験を受けられるとのことです。 (財団法人気象業務支援センターの発表による) これだけ多くの方が受験されるにもかかわらず、 毎回の合格者は、200〜300人くらいのことが多いようで、 「難関資格」といわれる所以になっています。 気象予報士試験に興味を持っても、 その合格率の低さに尻込みしてしまう人もいるのです。 もちろん、数字が示すとおり、 気象予報士試験は簡単に突破できる試験ではありませんし、 私自身も、それなりに勉強しました。 (その経緯は、第1話〜第4話で書いています。) しかし、大学受験の浪人生のように、 一日の大半を試験勉強に費やさなければならないほど、 難しい試験であるとは思いません。 普通に生活しながら、毎日1時間程度を勉強に充てることができれば、 着実に、合格へと近づくことができると思います。 また、「気象予報士は理系の試験」という認識も、 一つの誤解ではないかと考えています。 理由は2つあります。 まず、理科系といっても、さほど高度な内容ではないことです。 気象予報士は、気象学者ではありません。 そもそも、気象予報士に求められていることは、 「気象データを用いて、現象の予想を行うこと」であって、 物理学や数学を駆使して、研究・開発することではないのです。 ですから、難しい方程式を解くような問題が試験で出ることもなく、 順を追って勉強していけば、誰でも理解できると思います。 もう一つは、文系の問題も出されるということです。 例えば、学科試験(一般知識)では、 15問の中から4問も、気象業務法などの法規問題が出てきます。 また、オゾン層破壊や地球温暖化の知識を問う問題もありますが、 雑学をより深く学ぶような感覚で、勉強できるはずです。 実際にテレビで活躍している気象キャスターの方々も、 プロフィールなどを見ていますと、 大学の理学部で、気象学や地球物理学などを専門的に学んだ方は、 それほど多くないようです。 一方で、これまで天気に特別な興味を持たなかった人が合格する姿を、 私自身も何度となく目にしています。 理系といったイメージを恐れることなく、 勉強を着実に重なることができれば、誰でも取れる資格。 それが気象予報士資格であると私は思っています。 |
| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 20、気象庁のホームページを活用しよう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験は、実務経験がなくても受験できる試験ですが、 試験そのものは「実務で使える知識・技能」を試されるため、 気象業務に携わっていない人にとっては、不利な点もあります。 特に学科試験の専門知識や実技試験に出題される内容は、 実際の気象業務に関係するものが多いのです。 例えば、週間予報がどんな形で発表されているのか、 業務を経験している人は、自然と覚えてしまうものですが、 一般の方にとっては、一つ一つ勉強する必要があります。 とはいえ、試験突破のためには大変大変とばかりも言っていられません。 良い教材をご紹介しましょう。それは気象庁のホームページです。 最近は特に内容も充実してきました。 ホームページには試験対策本よりも優れた部分があり、 ぜひ活用していただきたいと思います。 気象庁ホームページで活用したい部分は、特に次の3つです。 1,【速報性に優れている。】 気象庁ホームページでは、「報道発表資料」を見ることができ、 新しい気象業務についての発表や、統計資料の公開を行っています。 例えば、気象衛星「GOSE9号」に代わって、 2005年6月から「ひまわり6号」の運用が始まりました。 書籍では更新が追いつかない内容でも、 ホームページなら、いつでも最新情報を手にすることができます。 2,【詳細な情報を得ることができる。】 「ひまわり6号」は「GOSE9号」よりも優れた性能を持っていますが、 気象庁ホームページでは、その性能について細かく掲載されています。 天気予報で用いる用語についても、詳細に載っていて、 その内容は学科試験(専門知識)で出題されることも多いのです。 先日の第24回試験(学科試験の専門知識)を例にとると、 問1や問11がそれに相当します。 3,【実際の気象事例を学ぶことができる。】 気象庁ホームページには「気象画像事例集」というコンテンツがあり、 特徴的な衛星写真が解説とともに掲載されています。 これは衛星画像を勉強するのに役立ちます。 また、気象災害が発生すると、気象庁や各気象台からは速報が出されますが、 実技試験で出題される内容は、災害の恐れのある気象ばかりです。 気象庁ホームページでは、過去の気象事例を勉強することができるのです。 このように、気象庁ホームページは以前よりも内容が充実し、 気象予報士試験にも役立つ内容が増えました。 しかし、「天気図」に関しては、地上天気図がいくつか公開されているだけで、 実技試験に登場するような専門的な天気図は見ることができません。 韓国気象庁では、すでに様々な種類の天気図が、 カラーでネット公開されていることを考えると、 日本の気象庁でも、専門天気図の公開が待ち望まれます。 気象庁ホームページ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 21、ときには自然に触れて、風を感じよう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「気象予報士は空や雲を見て天気を予想するのか?」 このようなご質問を数多くいただきます。 しかし実際のところは、空を見る時間よりも、 天気図などの気象資料を見ている時間のほうが多く、 雲を見るにしても、下(地上)からではなく、 上(気象衛星ひまわりを通した画像)から見ることのほうが多いのです。 もちろん、それは多くの技術を結集して得られた気象資料のほうが、 空や雲を見ることよりも、正確に天気予報ができるからです。 気象予報士試験において求められる能力は、 気象資料の分析・解釈が大部分を占めると言って良いでしょう。 でも、紙の資料やモニター画面だけ見ていれば良し、とは思いません。 天気予報を利用するのは、生身の人間です。 その人間に伝わるような予報のためには、 やはり実際の天気に触れる機会を多く持つことが必要だと思います。 ハイキングやキャンプ・カヌーなどのアウトドアスポーツ、 サーフィンやスキューバダイビングなどのマリンスポーツ、 パラグライダーやスカイダイビングなどのスカイスポーツ、 スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツなど、 天気が好きな人は、自然の中で遊ぶのも好きな人が多いのです。 自然と一緒に遊んでいるからこそ、 自然・宇宙・風・天気・大地・生き物に、興味を持つのかも知れません。 私も二度も自転車で北海道を訪れるほどの自転車好きで、 ここ数年は、山に登ることを趣味にしています。 昨日も三重県の青山高原を友人と一緒に歩いてきたところです。 登り始めて約3時間、標高756mの三角点に立つと、 遠くに伊勢平野の街々が見え、その向こうには伊勢湾が望めました。 海から湿った空気が流れ込んでいたので、 景色がぼんやりとしていたのが残念でした。 それにしても、「上空では地表付近よりも風が強い」とは言いますが、 稜線まで登ってきたときの風の強かったこと。 汗が冷えたこともあって、肌寒くさえも感じました。 「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、残暑の季節も終わり、 いよいよ本格的な秋の到来です。 勉強の疲れは、自然の中で思いっきり発散しましょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 22、勉強モードへの切替が大切。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験は、試験日から合格日までの期間が長く、 試験を受けてから合否が判明するまで、40日くらいかかります。 私自身、試験を三度受けましたが、そのたびに気を揉んだものです。 今は気象業務支援センターのホームページで、模範解答が発表されていますが、 私が受験した当時はそういったものもなく、 やきもきしながら、合格発表日を心待ちにしていたことを思い出します。 試験前日までは、早朝に起きて問題を解いたり、 通学の電車内で野球部カバンに潜ませた『一般気象学』を広げるなど、 寸暇を惜しんで勉強したように思います。 ただ、試験を受けた後は勉強習慣が途切れしまいました。 合否は気になるのですが、勉強の意欲は失せてしまうのですね。 同じような気持ちになった方、たくさんいらっしゃるかと思います。 今まで勉強に打ち込んできたことで生じた疲労感によって、 しばらくは、ゆっくりと休みたくなってしまうのですね。 さらに、「もし試験に受かっていたら、もう試験勉強はしなくていい」 という気持ちが、机に向かう意欲を失わせてしまうのも事実です。 私自身もそうでしたから、よく分かります。 でも、過去のデータは厳しい現実を物語っています。 「受験生の約95%は試験に落ちている」 あまりにも非情な内容ですが、この95%の方が合格を手にされるためには、 いち早く、次の試験に向けて勉強を始めることが必要です。 なぜか? それは次の試験までの時間は決して長くないからです。 合格発表から次の試験までの期間を見てみましょう。 ★合格発表(10月上旬)→試験(1月下旬)・・・約3か月半 ★合格発表(3月上旬)→試験(8月下旬)・・・約5か月半 特に、夏の合格発表日から冬の試験日までの期間が、 かなり短いことに気づかれると思います。 日数に直すと約100日しかありません。 ただでさえ、試験準備期間が短いにもかかわらず、 勉強のエンジンがフル回転するまでに時間がかかってしまっては・・・ですね。 試験の結果が明らかになったら、すぐに勉強モードに切替。 これが、冬の試験を征するための秘訣だと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 23、合格までに必要な時間は? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本屋さんで資格の本を見ていていたのですが、その数の多さに驚きました。 私など資格といえば、気象予報士に持っているものといえば、 運転免許(AT車限定。取るのに半年かかった。)と英検3級だけ。 新しく気象予報士の勉強を始められる方が多い中で、よく出るご質問が、 「どのくらい勉強すれば合格できるのか?」という内容。 しかしながら、お答えするのは容易でありません。 中には、「オレは一発で合格した!」という声も耳にしますが、 大半の方は、試験に落ちた経験をお持ちです。 何しろ合格率が4%台(第24回試験では4.1%でした)、 つまり「25人に1人しか合格を手にできない」のですから、当然です。 人それぞれ確保できる勉強時間も異なりますし、 独学で勉強されているのか、学校に通っておられるのか、 ということでも、違ってきます。 また、科目によって得手・不得手があるわけで、 一概に「合格までの勉強期間は○年」とは言いにくいのです。 しかしながら、敢えて「何らかの数字を挙げろ」と言われれば、 「少なくとも1年半はしっかり勉強することが大切です。」 と答えるようにしています。 もちろん、「私は1日15時間勉強する!」という方なら、 半年いや、もっと短い時間で合格できるかも知れません。 しかし、多くの受験生は気象予報士試験の勉強だけに、 一日の時間を割けるわけではないはずです。 他の学業・仕事があり、そのうえで余った時間を惜しんで、 勉強されているに違いありません。 気象予報士の試験範囲は、↓のようになります。(注、かなり大雑把です。) ・気象学の基礎(一般知識) ・気象法規(一般知識) ・気象現象(一般知識・専門知識) ・天気予報の作り方(専門知識) ・気象災害と防災(専門知識) ・天気図を読み取り予想する(実技) これらの内容を熟知できてこそ、試験合格につながるわけですが、 知識ゼロから始められるのであれば、 少なくとも1年半程度はかかる、と私は思っています。 合格を勝ち取ることが困難だからこそ、その資格に価値はある。 「決して諦めない」勉強をする上で一番大切なことだと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 24、分からないところを探す。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「効率よく勉強を進める上で大事なのは何ですか?」 という質問をいただくことがありますが、私は次のように答えます。 「理解できている部分と、理解できていない部分を ご自分でしっかりと把握されることです。」 独学であれ、スクールに通うのであれ、この原則に変わりはないと思います。 どんな試験であれ、合格するために必要なのは、 「試験範囲の内容を理解すること」ですが、 それは家を建てることに似ています。 家に応じた建材を用意し、組み立てていくのが試験勉強です。 組み立てキットを見ながら、一人で部品を加工することから始めるのが独学、 加工済みの建材と組み立て方を教えてもらえるのが、 スクール通いと例えれば良いでしょう。 ここで重要なのは、ある程度まで組み立てが進んだ段階で、 「これから必要な工程」を細かく把握できるのは本人だけ、ということです。 もちろん、スクールの講師ならば、 「土台ができていない」「柱が不足している」といったことは分かりますが、 「この部分のネジが緩んでいる」といった部分まで把握するのは無理です。 専属講師からマンツーマンで指導を受けたとしても、 まるでパソコンのハードディスク残量でも覗くかのように、 他人の「知識量」を推し量ることは相当に難しいでしょう。 結局、自分の足りないところは自分で把握する。 これが最も早道で確実な方法です。 そのためには、何となくテキストを眺めるのではなく、 実際に問題を解いてみるのが効果的だと思います。 こうして「分からないこと探し」を始めてみると、結構出てくるもので、 何を隠そう、私自身も問題を間違えることがあり、 そんなときは勉強の不徹底に反省します。 「分かったふりをして誤魔化さない。分からないことに耐える。 本当に分かるまで追求することが大切。」 『知的生活の方法』(講談社現代新書)という本で、 渡部昇一さんが述べておられますが、まさにその通りだと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 25、名刺集めよりも必要なこと ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「キャスターになるためには人脈が必要なのか?」 といったことを聞かれることがあります。 私は決して長い間、業界に身を置いていたわけではないので、 正直なところ、そのへんの事情はよく分かりません。 でも思うのは、「必要なのは人脈よりも能力」ということです。 「自分をキャスターにさせてくれる人」を探さないほうがいいです。 そんな人は、まずいません。いたら詐欺だと思ってもいい。 「人脈」という言葉をはき違えている人がいます。 あちこちから名刺を集めて喜んでいるような人です。 名刺をもらったからといって、その人から協力が得られるのでしょうか。 「○○部長の名刺を持っている」だけでは、 タダの紙切れを抱いているのと同じです。 名刺を交換した程度の関わりで、誰が自分の夢に協力してくれるでしょうか。 多くの「何かあったら、いつでも連絡下さい」が、 社交辞令であることに気が付かなければなりません。 では、どうすれば人の協力が得られるのか? それは「この人を紹介すれば、自分の利益になるな」と思わせることです。 そうすれば、頼み込まなくても、向こうからやってきます。 逆に「この人を紹介しても、自分の利益にならないな」と思われたら、 その人との繋がりは無いも等しいと考えるべきでしょう。 「人脈よりも能力」と最初に書いたのは、このような理由です。 ずいぶん以前のことですが、ある深夜番組で、 若き日の桂三枝さんについて紹介していたエピソードが私は好きです。 三枝さんは一般人を装って、テレビ局に電話をかけ、 「○○駅前の路上で、変なヤツが何かパフォーマンスやってます。 すぐに来て下さい!」と息を切らせて伝えました。 そして、公衆電話ボックスから出た後、すぐに○○駅前に向かい、 自ら路上で芸を披露されていたそうです。 自作自演で、テレビ局の取材を引っ張り寄せたわけですね。 「そこまでやるか!」という感じですが、 あの三枝さんでさえも、こんなことをしてこられたのだ、と思うと、 何でもやってやろう、という気持ちが湧いてくるのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 26、日本の気候 〜冬〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【南北の気温差が40℃以上になることも】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 日本列島は南北に長い国ですが、 夏よりも冬のほうが、北海道と沖縄で大きく気候が異なります。 札幌では、最高気温が0℃を下回る「真冬日」が、 一年間で平均約130日に達するのに対し、 沖縄では、真冬でも昼間の気温が20℃を超えることは珍しくありません。 北海道と沖縄の気温差が40℃を超えることさえあるのです。 【冬型の気圧配置】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ テレビの気象解説などでもお馴染みの言葉ですが、 日本の東に発達した低気圧、日本の西に強い高気圧が存在することが多く、 「西高東低」とも呼ばれます。 このような気圧配置になると、日本海側では雪が降りやすく、 特に山沿いでは、積雪量が2m、3mに達する所も出てきます。 一方、太平洋側では冷たい北風が吹くものの、 雪や雨が降ることは少なく、乾燥した晴天が続きます。 また、沖縄では季節風が海を吹き渡る間に、雲が発生するため、 ぐずついた天気となることが多いのです。 【太平洋側での雪】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ あまり雪の降らない太平洋側でも、雪の降ることがあります。 低気圧が太平洋側を通過し、かつ冷たい空気が流れ込むと、 途中で融けることなく、雪のまま落ちてきます。 慣れぬ積雪のため、滑って転ぶ人が続出したり、 交通障害が発生することもしばしばです。 このタイプの雪は、真冬よりも春先に多いのが特徴ですが、 「雨として降るか、雪として降るか」が非常に予想しにくく、 気象関係者の頭を悩ませます。 【流氷・霜・霜柱・霧氷】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 日本で唯一、流氷が押し寄せるのが北海道のオホーツク海。 1月頃から流れてきて、春先まで留まっています。 また、ほとんどの地域で見ることのできる霜は、 空気中の水蒸気が氷となって、草などに付着したものです。 言葉は似ていますが、霜柱は土の中の水分が凍ったもので全く別物です。 (予報士試験でも、その違いについて出題されたことがあります。) また、霧氷は空気中の細かい水滴が木などに付着して凍ったもので、 成長すると、木全体が氷に覆われて雪像のようになります。 蔵王の「モンスター」は有名です。 【凧揚げの季節】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 冬将軍・木枯らし・北風・・・。 冬は風の強い季節ですが、それは東西の気圧差が大きいからです。 夏の天気図には等圧線の数が少ないのですが、 冬の天気図にはビッシリと等圧線が描かれています。 ときには、東京と福岡の間に5本も等圧線が入っていることも。 だから、冬は凧揚げの季節なのですね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 27、日本の気候 〜春〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【春はまず光から】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 最初に春が訪れるのは光、つまり日差しです。 一年で最も昼間の時間が最も短いのは「冬至」(12月20日頃)で、 その後は少しずつ日差しも強くなってきます。 3月下旬になると、日差しの強さは9月下旬並みになります。 ちょうど、センバツ甲子園の頃ですが、天気のほうはと言えば、 西日本や東日本でもまだ雪が降るほど寒い日もあります。 光の春を追いかけるようにして、気温の春がやってくるのです。 【日本海低気圧がもたらす「春一番」】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 春先に、日本海を低気圧が発達しながら通過するときがあります。 このとき、南から暖かい空気を引き込むので、 強い南寄りの風が吹き、これを「春一番」といいます。 春の訪れを告げる風ですが、「春一番」の後には、 決まって強い冬型の気圧配置になり、寒さが押し寄せてくるのです。 3歩進んだかと思えば、2歩下がる。 このようにして、ゆっくりと季節は進んでいきます。 【4か月かけて、桜前線が北上】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 春と言えば桜ですが、沖縄では1月に咲きます。 3月後半になると、九州や四国に桜前線が上陸し、 やがて、近畿・東海・関東の太平洋側でも開花します。 西日本から東日本にかけての平地では、4月上旬に咲きますが、 東北では4月中旬から下旬、北海道では5月に入ってからです。 また、標高の高いところでも開花は遅くなり、 100m高くなると2〜3日遅れます。 【春の空に浮かぶもの 〜黄砂と花粉〜】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 黄砂とスギ花粉、どちらも春の迷惑浮遊物です。 黄砂は中国大陸にある砂漠で吹き上げられた砂が、 日本上空まで飛んできたものです。 冬の間は地面が凍っていて、砂が吹き上げられないのです。 一方、スギ花粉はスギ林から飛んできているわけですが、 飛散量は前年夏の天気と大きな関係があります。 夏に晴れて暑い日が続くと、翌年の飛散は多くなります。 【春の天気は周期変化】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 冬の間は、同じような天気が長続きする傾向がありますが、 春になると、低気圧と高気圧が交互にやってくるようになるため、 天気は周期的に変化するようになります。 「春に3日の晴れなし」という言葉もあるように、晴天が長続きしません。 太陽や月に「暈(かさ)」と呼ばれる輪が見えたら、 天気の崩れは迫ってきていると考えて良いでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 28、できない理由を探さない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2005年8月に行われた気象予報士試験は、合格率が4.1%で、 全24回の試験の中で、2番目に低い数値となりました。 実に「25人に1人」しか通らない試験だったということです。 この結果に尻込みしてしまうのか、奮起して勉強に取り組むのか、 それは受験生の気持ち次第だと思います。 何事においてもそうだと思いますが、「できない理由」を探し始めると、 できることでも、できなくなってしまいます。 私のことを例に出すのも何ですが、 試験に取り組む私の環境は、決して良いものではありませんでした。 1,時間がない 当時の私は月〜土まで学校に通う高校生(週休2日制ではなかった)で、 野球部の部員でもありましたから、時間は決して豊富でありませんでした。 野球部を辞めて、帰宅部になれば時間は捻出できたでしょうが、 何とか両立したかったのです。 2,カネがない お金があれば、セミナーに通ったり、通信教育を受けたりできましたが、 アルバイトもしていない高校生に余剰資金はありません。 勉強のための専門書を買うのですら「こんなに高いのか」と思いましたし、 受験料12000円(当時)を払うのも、惜しいと感じたものです。 3,仲間がいない 勉強で分からないところがあっても、誰も教えてくれませんし、 試験の情報なども、なかなか入ってきませんでした。 今と違って、インターネットも普及していませんでしたから、 ネット掲示板で情報を得る、ということもできなかったのです。 このように、3つの「ない」がありましたが、 私は「気象予報士になりたい」という意志だけは強く持っていました。 だからこそ、試験に2度落ちても、やる気を失うことなく、 勉強を続けることができたのだと思います。 これは気象予報士試験に限った話ではなく、 司法書士試験でも、英語検定試験でも、大学受験でも同じです。 合格の価値が高い試験ほど、難易度も高いものです。 私の知っている方でも、仕事で激烈に忙しい方がおられましたが、 ちょっとした休みの時間でも、勉強に充て、 実技試験における天気図の見方を、ちょくちょく私に聞いてきたものです。 その方が合格を手にされたのは、言うまでもありません。 いくら「時間がない」と言っている人でも、 電車に乗っている間くらいは、本を広げることができるでしょう。 たとえ一日30分であっても、その時間を集中して復習に充てられるのなら、 半年後には大きな違いが出ているはずです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 29、日本の気候 〜夏〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【長雨の季節】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 日本の大部分では本格的な夏を迎える前に「梅雨」があり、 太平洋側を中心に雨の多い季節となります。 沖縄や奄美ではゴールデンウィークを過ぎた頃から、 九州・四国・九州でも、6月に入ると梅雨入りします。 梅雨の期間は40日くらい続きますが、 特に期間の後半には強雨・大雨が多くなります。 なお、北海道には梅雨はなく、6月は晴天の多い季節です。 【不快をもたらす湿気】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 人が暑苦しさを感じるのは、温度が高いことだけが理由ではありません。 温度が高くても、空気中の湿気が少ないと、 つまり湿度が低ければ、それほど暑苦しさは感じないのです。 湿度が低いと汗がすぐに乾いて、同時に皮膚の熱を奪ってくれるからです。 梅雨前線の北側には乾いた空気、南側には湿った空気がありますが、 通常の梅雨明けは、南側の湿った空気が梅雨前線を押し上げる形で起こります。 梅雨明けが近くなると、急に寝苦しくなるのはそのためです。 【入道雲は「不安定な夏」の証し】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 夏というと、砂浜や水平線、 そして青空に浮かぶ白い入道雲を思い浮かべますが、 実は「本当の夏空」では、入道雲はあまり現れません。 日本付近に夏空をもたらしているのは、太平洋高気圧ですが、 この高気圧がしっかりと日本付近を覆っているときは、 入道雲もあまり出現しなければ、夕立もほとんど起こりません。 特に「梅雨明け10日」という言葉があるように、 梅雨が明けてしばらくの間は、非常に安定した天気が続くことが多いのです。 入道雲は、太平洋高気圧が弱まったときや、 上空に寒気が流れ込んだときに多く出現します。 【都市化が真夏の夜をもっと暑くする】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 都市化が進むと、夜の気温が下がりにくくなる傾向があります。 草地や水面が減る一方で、コンクリートやアスファルトが増えると、 地上から放出される熱が増えるのです。 また、冷房機・自動車・工場などからの排熱が増えることも原因です。 これによって、冬の夜の冷え込みは弱くなるのですが、 夏の夜は気温が下がらないことによって、寝苦しさが増大します。 特に最低気温が25℃を下回らない日を「熱帯夜」と言います。 【秋は朝晩から訪れる】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ お盆休みを過ぎると、少しずつ夏は遠ざかり始めます。 まだまだ昼間はカンカン照りの暑さですが、 朝晩の気温が少しずつ低くなり、過ごしやすくなってきます。 真夏の天気を支配していた太平洋高気圧が勢力を弱め、 代わって大陸から乾いた涼しい高気圧が日本にやってくるようになります。 鳥の羽毛のような雲が空に現れれば、秋はもうすぐです。 |
| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 30、代役になる準備はできているか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ミュージカルの本場、ブロードウェイの練習場では、 主役級と全く同じ「歌・ダンス・演技」を、 フロアの片隅で練習している役者がいるそうです。 練習をしている役者は、その劇において端役を与えられているに過ぎない存在。 すでにキャストは完全に決まっているにもかかわらず、 また誰に強制されたわけでもないのに、どうしてそんなことをしているのか? それは、何らかの理由で主演級の役者が交代しなければならないときに、 すぐに自分が代役として出られるように、準備をしているからなのだそうです。 人気俳優といえども、うかうか風邪も引いていられませんね。 気象キャスターの仕事は、実際に経験してみたところ、 ミュージカル俳優のような華々しい仕事ではないと思いましたが、 「ああいう仕事をやってみたい」と感じる人が多い点では似ています。 日本全国、あちこちの放送局にお天気キャスターはいますが、 全てのキャスターが、やがて降板するときが来ます。 そのとき、何らかの理由で立候補できる立場であったときに、 「私がやります」と言えるかどうか。 キャスターに向いている人は、「私がやります」とハッキリ言える人です。 理由は二つあると思います。 ・人気のある職業なので、黙っている人には転がり込んでこない。 ・自分の意見もハッキリ言えないようでは、 「多くの人にものを伝える」という仕事には向いていない。 もちろん、「やりたいです。なりたいです。」と叫ぶだけではダメです。 そのための能力を磨き、準備することも大切でしょう。 気象キャスターに不可欠なのは、豊富な気象の知識です。 知識がないと、カメラの前で話すことができずに、 他の人が書いた原稿を丸読みするだけになります。 実は「気象業務法」を読めば分かりますが、 気象予報士の資格は、法的に「お天気キャスター必須の資格」ではありません。 では、マスコミに登場するキャスターのほとんどが有資格者なのはなぜなのか。 それは、資格に裏付けされた「知識量」が求められる時代だからです。 「能力」と「積極性」。この二つの両輪が上手く回転したとき、 自信を持って「私にやらせて下さい!」と言えるようになるはずです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 31、「受験勉強日記」を作ってみよう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 中学校や高校の定期テストで、猛勉強する友人がいました。 私と同じ野球部でしたので、普段は練習でヘトヘトになって、 とても勉強どころではないのですが、 試験前になり部活動が休止すると、一気に試験モードに切り替わるのです。 例えば、英語の試験対策で彼が使った方法が「教科書丸暗記」でした。 出題される単元の英文を全部覚えてしまうのです。 彼は記憶力が優れているのか、それとも暗記慣れしているのか、 毎回毎回の試験で、粛々と暗記を繰り返していました。 「これをやっておけば、単語の穴埋めも簡単にできるし、 口で唱えながら覚えれば、1週間で間に合うんだ。」 そういって、試験中はほとんど睡眠も摂らずに勉強していました。 事実、彼は英語の試験で80点を下回ることはありませんでしたし、 他の教科の成績も良かったのです。 そんな人間性を無視した機械的なやり方なんて!と私は思いましたが、 後に読んだ野口悠紀雄さんの『超勉強法』という本に、 この英語攻略法が紹介されているのを見て、 同じような方法で勉強した人が他にいるんだな、と感じたことがあります。 さて、私のほうはといいますと、 丸暗記は面倒くさい、正攻法で勉強するのはもっと面倒くさい、 ということで、英語の試験で35点を上回ることはありませんでした。 部活動休止を良いことに、一人で山越えサイクリングをしていましたから、 他の教科もロクな結果が出ませんでしたが・・・。 ・・・それはさておき、学校の定期テストならともかく、 入学試験や資格試験になると、いわゆる「一夜漬け」は通用しません。 そこで求められるのは、総合的な知識量です。 膨大な知識は短時間で習得できるものではありませんから、 大事なのは、いかにして勉強を継続できるかということですよね。 いくら奮起しても、その勢いが短時間で萎んでしまっては、 決してトータルで見た勉強量は多くなりません。 頑張る気持ちをどうやって維持することができるか。 その方法の一つが、「受験勉強日記」を作って公開することです。 ブログで日記を公開すれば、不特定多数の人が目にしますから、 うかうかサボっていられませんね。 また、自分から情報を発信することによって、 逆に読者の方からアドバイスを得ることもあるのです。 今、いくつかの「気象予報士受験」のブログが公開されています。 メルマガ読者の皆さんも「受験勉強日記」を作って、 公開されてみてはいかがでしょう? もし、ブログを作成された方がいらっしゃれば、ご連絡下さい。 当メルマガでご紹介したいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 32、日本の気候 〜秋〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【秋の長雨】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 秋と言えば、運動会や遠足など、野外イベントの多い季節ですが、 秋の前半である9月は雨の多い時期にあたります。 真夏に日本付近を覆っていた太平洋高気圧が勢力を弱め、 一方で、北からはシベリア高気圧が少しずつ力を強めてきます。 この二つの高気圧にできるのが秋雨前線で、 ちょうど梅雨のような天気がしばらく続くことになります。 【台風シーズン】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 8月から9月にかけては台風の上陸数が1年で最も多くなります。。 統計的には、この2か月で約2個の台風が上陸していることになり、 台風による、雨や風の被害を受けることが多いのです。 特に、秋になってからやってくる台風は、 夏にやってくる台風と異なり、日本付近で速度を上げるのが特徴です。 「まだ風が強くないから大丈夫」と思っても、 猛スピードで台風が近づいてくることもありますので、 台風情報に十分注視する必要があります。 【秋晴れ】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 長雨の季節が終わると、 日本付近は移動性高気圧に覆われることが多くなり、 晴れの天気が続きやすくなります。 昼間は暖かいのですが、晴れていると夜は冷え込みます。 湿度によっても異なりますが、気温が15℃を下回るようになると、 吐いた息が白くなってくるのです。 【紅葉前線南下】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 春の訪れが南からやってくるのに対し、秋の深まりは北からやってきます。 気温が下がる冬に備えて、葉を落とす木を落葉樹といいますが、 葉を落とす前に、紅葉という準備があるわけです。 北海道の大雪山系では、9月に紅葉の見頃を迎え、 その後、紅葉前線は南へ、標高の低いところへ進んでいきます。 西日本や東日本での紅葉は、11月下旬になることが多いようです。 【木枯らし1号】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 日本では、夏は南風が、冬は北風が吹くことが多くなります。 秋が深まるにつれ、次第に空気が冷たさを増す頃に、 強い北よりの風が吹くことがあり、これを木枯らしと言います。 木枯らしが各地で吹くようになると、 紅葉の季節を終えた山では、雪が積もるようになります。 麓から雪が積もっているのを初めて確認できたときを「初冠雪」といいます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 33、将棋の習得で学ぶ「天気図の読み方」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象業務法第二十四条の二には、次のようなことが書かれています。 「気象予報士試験は、気象予報士の業務に必要な知識及び技能について行う。」 ここでいう「技能」を試す問題が、いわゆる「実技試験」です。 初めて実技試験に取り組んだ人の多くは、こう言います。 「時間が足りなかった。」 確かにそうなんです。私自身もそうでした。 でも実技試験では、あえて短時間で適切な答えを出さなければならないのです。 実技試験は、いわば実際に気象業務を行う上で直接に必要な技能です。 短期的な天気予報は、資料を手にしてから極めて短い時間で、 「現象の予想」を行わなければなりません。 「明日の天気予報を3日かかって予想した」では笑い話にしかならないのです。 実技試験において、問題が早く解けるかどうかは、 天気図を中心とする気象資料をどれだけ早く正確に読み取れるかがカギです。 では、どうすればいいのか? 「天気図を読むこと」は、将棋の習得に似ていると私は考えます。 将棋という盤上ゲームを習得するために最初に必要なことは何でしょうか? どんな駒の種類があるのかを把握し、 それぞれの駒の動かし方について知ることですね。 「将棋には、王将・金将・銀将・桂馬・・・といった駒があり、 例えば金将という駒は、前・横・斜め前のどれかに一マス進める。」 という知識を最初に勉強します。 天気図を読むこともこれと似ていて、 まず、天気図の中に登場する記号がどんな役割をするのか知る必要があります。 主な天気記号・等圧線・前線などの概念を把握することは、 天気図を解読していく上では不可欠なことです。 将棋において、駒についての勉強をした後は、 基本的なルールを把握していくのが大切なことです。 例えば「敵の陣地に入った場合は、駒を裏返すことができる」とか、 「二歩はダメ」「歩を打って詰めるのはダメ」などのルールです。 天気図でこれを例えてみれば、 「等圧線が込んでいると、風が強いことを示す」 「海から風が入り込むときは、天気が悪くなりやすい」 などが当てはまるでしょう。 将棋の基本ルールが分かってきた後は、 「定跡」を勉強することが大切なのではないでしょうか。 「金矢倉で守る」「棒銀戦法で攻める」「穴熊を決め込む」など、 将棋には多くの人が認める「定跡」が存在します。 やみくもに駒を動かすよりも、 定跡を習得し、それを生かしたほうが強くなります。 またまた、これを「天気図読み」に置き換えれば、 「顕著に登場する気圧配置」の勉強だと思います。 例えば、日本付近によく現れる気圧配置を見てみますと、 春なら、日本海低気圧・移動性高気圧 夏なら、梅雨前線・北東気流・太平洋高気圧 秋なら、秋雨前線・台風・帯状高気圧 冬なら、西高東低・南岸低気圧 という形で、ある程度のパターンが見られます。 これらの気圧配置を勉強しておくと、 似たものが天気図上に現れたときに、早くパターンを掴むことができるのです。 気象予報士試験に出題される天気図は、典型的な気圧配置(つまり定跡)が多く、 定跡を丁寧に勉強できれば、かなり問題が解けるようになるはずです。 天気図の精読ができれば、次第に速読もできるようになります。 昔は「天気図3000枚」という言葉がありました。 「3000枚天気図を書いたら一人前の予報官になれる」という意味です。 かつて天気図は「手で書くもの」だったのですね。 今はコンピュータが書いてくれますから、自分で書く必要はありません。 完成品の天気図をインターネットで好きなだけ見ることができます。 やる気のある人にとって、素晴らしい環境が整った時代になりました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 34、気象情報は大きなビジネス ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ もう、かなり前のことですが、 ある気象キャスターの方とお話をしていたときに、 こんな話題が出たことがあります。 「自分がいる位置の天気予報が携帯電話なんかに出ると、便利だな。 移動すれば、自動的に表示される天気予報が変わるんだ。 例えば、出張で福岡へ行ったときには、 携帯電話の画面に福岡の予報が出る、という具合にな。」 それを聞いていた私は「そんなことできるのかね・・・」と思いましたが、 今、私が持っている携帯電話には、 場所の移動に伴って、自動的に当地の天気予報が表示されます。 そのキャスターと同じことを考えついた方たちが、 新しいビジネスとして、実用化されたのでしょう。 「天気予報をビジネスにする」というのは、不可能なように見えます。 なぜなら、テレビ・ラジオ・新聞などという媒体で、 ほぼ無料の形で、天気予報が流れているからです。 そんな中で、「177」の電話天気予報サービスを考案した人はスゴイ。 無料の天気予報が数多く存在しても、 新聞の天気欄は「情報の更新」という点で劣りますし、 テレビやラジオは、天気予報コーナーの時間まで待たなければなりません。 「今すぐ天気予報を知りたい」という人にとって、 「177」のサービスは、お金を払ってでも知りたい情報なのですね。 そして今、携帯電話の画面で天気予報を入手できるようになりましたが、 これを最初に考案した人も、素晴らしい発想の持ち主です。 各社が月額100円程度でこういったサービスを行っているようですが、 会員が100万人になれば、月額1億円の売り上げになるのですから、 これは大きなビジネスですね。 現在、多くの気象会社がさまざまな気象サービスを提供しています。 これからも無数の気象ビジネスが生まれるに違いありません。 明日の天気を気にする人がいなくなることは絶対にないのですから。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 35、雨を知らせる名曲 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先日、家族で百貨店の店内をうろついてきたときのことです。 妻が私に「今、雨が降ってきたんじゃない?」と言いました。 確かに今日の天気は下り坂で、店に入る前も厚い雲がたれ込めていましたが、 周囲に窓のないフロアで、今降ってきたことがなぜ分かるのか? その答えは「店内のBGMで『雨に唄えば』が流れたから。」でした。 雨が降り出すと、百貨店ではいろいろな対応に迫られます。 全ての出入り口に傘袋を設置し、足下が滑りにくいようにマットを敷く。 商品によっては包装の紙袋の上から、ビニールを被せる必要もあるでしょう。 しかし、あからさまに「雨が降ってきたので・・・」と、 館内放送で指示を出すというのは、あまりにも野暮というもの。 そこで、往年のミュージカル映画の名曲を、さりげなく流すことによって、 窓の外の様子を知ることのできない従業員に対し、 空模様の変化を伝えているというわけです。 このエピソードは、客商売において、 いかに天気を気にしなければならないか、ということを示しています。 天気に特に注意を払う仕事として、 建設現場やレジャー施設を挙げる人は多いでしょうが、 むしろ、天気を気にしなくて良い業界のほうが少ないのかも知れません。 かなり以前の話ですが、私は超短期アルバイトで、 食べ物の展示博覧会のスタッフをしていたことがあります。 野球場のような広い会場に、世界中から集めたご馳走が並んでいたのですが、 初出勤の私に渡されたのは、大量の「ペット用トイレシート」でした。 私が面食らっていると、常勤スタッフが展示場へどんどん歩いていきます。 そして、生鮮食品を冷やし続けている大型冷蔵庫の裏へ回ったかと思うと、 冷蔵庫の下に置かれている大きな洗面器を取り出して私に渡したのです。 「これ、こぼさないように持っていけ。」 洗面器の中に入っていたのは大量の水でした。 24時間休まず働いている冷蔵庫からは大量の水が出ます。 その水はこぼれないように、洗面器に溜まるようになっていて、 洗面器が溢れて、展示場の床が水浸しになってしまわないように、 定期的に水を捨てる必要があるのです。 つまり、私は「水捨て要員」としてアルバイトに雇われたわけですね。 「ペット用トイレシート」は、何らかの理由で水をこぼしてしまったときに、 すぐに拭き取るための道具です。 さすがに吸収力は抜群でしたが、このような用途で使われているとは、 メーカーさんもご存じないかも知れませんね。 「雨の日なんかは、かなり頻繁に水抜きをしないとダメなんだ。」 と常勤スタッフの方は仰っていました。 空気中の水蒸気が増えるために、溜まる水の量も多くなるからです。 私たちが地球上で暮らしている以上、 天気と生活は切っても切れない関係にあると言えるでしょう。 ちょっとした身近な出来事も、気象を考慮したものが無数にあるはずです。 そんな視点で、天気を見てみるのも面白いですよ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 36、肌感覚が大切 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先日、私が主宰する「気象予報士塾」の懇親会を行いました。 お集まり下さった十数人のうち、男性は私を含めてわずか3名。 残りは全て女性の受講生でした。 実は受講生全体から見ても女性が圧倒的に多いのが、当塾の特徴なのですが、 「なぜこれほどまでに女性が多いのか」が、宴席でも話題に上りました。 確かに試験会場での顔ぶれを見てみても、 以前に比べて、女性の受験者が多くなった印象を受けます。 「テレビで活躍する女性キャスターが増えたからだ」とか、 「女性のほうが男性よりも自分に投資する人が多いのだ」など、 いろいろな理由を挙げることができると思いますが、 「女性のほうが、男性よりも気象と生活が密着しているからだ」ということも、 見逃してはならないことだと私は思っています。 四季の移り変わりがハッキリしている日本において、 女性は男性よりも、天気の変化を敏感にとらえているはずです。 さほど大きな変化が見られない紳士服売り場とは対照的に、 婦人服売り場は、常に季節の変化を意識した商品が並べられています。 5月にもなると、目にするのは夏物の服ばかりです。 また、化粧品コーナーをのぞいてみますと、 各社が競うようにして、日焼け止めクリームを販売しています。 男性である私が紫外線を気にするときといえば、 山登り(標高が高くなると紫外線が強くなる)のときくらいでしょうか。 冷え性を気にされるのも女性のほうが多いでしょう。 また、暑い時期に汗をかけば、化粧くずれが気になるでしょうし、 冷房による足もとの冷えを訴える方も多いはずです。 冬になれば、乾燥や寒さによる、 肌のかさつき・手荒れに悩む方も少なくないでしょう。 洗濯物を干すときに、天気が気になるのは言うまでもありません。 私も含めて男性は気象状況を「数値データ」で判断しがちであるのに対し、 多くの女性は自らの肌感覚も敏感に取り入れているように思えます。 詳細な観測データやコンピュータによる数値予報が、 天気予報に不可欠なものとなって、すでに久しくなりました。 極端なことを言えば、データさえ揃っていれば、 地球の裏側の天気予報でさえ、密室のスタジオから伝えることは可能です。 しかし、その予報を受け取るのが生身の人間であることには、 今も昔も変わりありません。 いつの時代になっても、天気予報に携わる人は、 「肌感覚」を忘れないでほしいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 37、何かを選ぶことは何かを捨てること ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 昼間の日差しが強すぎる季節になると、夜の散歩が快適です。 しっとりとした空気には、新緑の香りが混ざっていて、 歩いているだけで気持ちの良いものです。 先日も夜9時過ぎに、近所をウロウロしていますと、 闇の向こうに明々と輝くライトがいくつも見えました。 ライトの下にいたのは高校球児たちでした。 何度も甲子園出場経験のある、有名な強豪野球部です。 日が沈んでから、もう何時間も経っているというのに、 泥まみれのユニフォーム姿で、バットを振ったり、 ボールを打ったりしていました。 さすがに、帰る支度をしている部員もいましたが、 家に着くのは何時になるのだろうかと想像しつつ、 私の高校時代と思い比べていました。 私が在籍していた野球部では、練習は夕方の6時まででした。 「6時までに下校しなければならない」という規則があったからですが、 これでは平日の練習時間は2時間程度しか確保できません。 それでも私は「なんてキツイ練習なんだろう」と思っていましたが、 結果は「夏の甲子園予選−すべて初戦敗退」でした。 練習量と野球の実力は、必ずしも比例するわけではないでしょうが、 少なくとも、強豪校はそれくらいの練習を重ねているわけです。 高校在学中に、気象予報士試験に合格した私は、 周囲から「勉強も野球もできるスーパー高校生だったのですね」 と言われることが少なくありませんが、実体は異なります。 弱小野球部であったことはお話のとおりですし、 勉強が良くできたわけでもありません。 気象予報士試験のために、午前3時から起きていたのは事実ですが、 不足していた睡眠時間は全て学校の授業中に補っていたのです。 もし、私が「甲子園出場」もしくは「東大合格」という目標を立てていれば、 高校在学中に気象予報士試験に受かることなど、絶対になかったでしょう。 どんな人間でも、1日に与えられている時間は「24時間」です。 いくら「効率」や「時間管理」に気を配っても、 1日が30時間になったり、40時間になったりはしません。 つまり、「1日にやれること」というのは概ね限られているのです。 風呂に入りながら歯を磨くことくらいは誰にでもできますが、 仕事を持つ人が、会計と法律の勉強を両立するのは至難の業でしょう。 何かを選択するというのは、同時に何かを捨てることでもあります。 「あれも、これも」と欲張っていると、全てが中途半端になるかも知れません。 どうしても乗り越えたい壁があるときは、荷物を捨てるのが一番だと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 38、勢いだけでは続かない ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高校から大学へ進学する頃に、本屋でアルバイトをしていたことがあります。 本屋での仕事といいますと、レジ打ちや本棚の整理などが思い浮かびますが、 それ以外に重要な仕事として、「返品の梱包」がありました。 最新号が出版されたために古くなってしまった雑誌や、 売れなくなってしまった書籍を段ボールに詰めて、返送するのです。 何しろ「本」ですから、ものすごく重い。 腰を痛めないように、慎重に段ボール箱を運んでいた記憶があります。 本屋でこのような仕事をしていただけに、 「どんな雑誌がどの程度売れているのか」ということは、自然と頭に入りました。 中でも印象に残っているのは、NHKの語学雑誌です。 ふつう、雑誌というものは売れ行きが極端に変動することはないのですが、 語学雑誌の場合、4月号だけが特によく売れるのです。 4月から番組がスタートするからですね。 ところが、5月・6月になると、売れ行きは落ちてきます。 理由はお察しのとおり、勉強に挫折する人が出てくるからです。 各語学講座の放送時間は20分ほどだったと思いますが、 これを継続するのは、かなり大変なことなのですね。 私も5年ほど前に「ロシア語講座」というのを始めたことがあります。 たしか、バルト三国へ旅行に行きたくなり、 「そのためにはロシア語ができたほうが良かろう」ということで、 ラジオ講座の雑誌を買ったのです。 しかし、英語さえもできない私にロシア語が身につくはずもなく、 結局、2冊目の雑誌を買うことがないまま、勉強は終了しました。 未だにロシア語のアルファベットも分かりません。 6月にもなると、新年度に始めた新しいことが徐々に新鮮さを失い、 行き詰まりを見せ始める時期でもあります。 しかし、語学に限らず、あらゆる勉強をものにできるかどうかは、 「続けられるかどうか」にかかっています。 もちろん、気象予報士試験も同じことで、 合格率4%の試験を突破する方法は、継続なしではあり得ません。 大切なのは一発奮起ではなく、着実な持久力なのです。 挫折することなく勉強を続けるコツは、ペースを落としてもいいから、 「分からない部分」を「分かる部分」に変えることです。 スポーツでも勉強でもそうですが、上手くできるからこそ好きになるのです。 勉強を好きになるためには、勉強ができるようになるしかありません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 39、耳に残る話し方とは? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「気象キャスターになるためには、話し方が上手でないとダメなのですか?」 このように質問されると、返答に困ります。 ある意味ではYesであり、また別の意味ではNoでもあるからです。 「立て板に水を流す」という諺があるように、 一般によどみなく話せる人を「話し上手」と見る傾向があります。 こういった話し方は、確かに聞き心地が良いものですが、 あとから振り返ってみると、情報が何も頭に残っていないことがあります。 気象キャスターにとって、最も大切なことは、 「リスナーや視聴者の頭に重要な情報をどれだけ定着させるか」です。 内容が記憶に残らない話し方など、キャスターとして失格ではないでしょうか。 もちろん、話し始めに「えー」とか「あー」とか出てしまう話し方は、 聞く側にとっても、耳障りというものですが、 「流暢」であることに、それほど拘らなくて良いと私は思います。 普段の生活においてもそうですが、 「分かりやすい話し方」のできるときというのは、話の内容を十分に咀嚼し、 内容の重点を押さえられているときではないでしょうか。 例えば、何度も見た大好きな映画の話を人にするときなら、 「重要な場面」や「カギとなる台詞」は十分に分かっています。 その部分を説明するときは、大きな声でゆっくり話したり、 わざと話の間を少し大きく置くことによって聞き手を注目させたり、 言葉を少し変えて同じ意味合いの説明を繰り返したりするでしょう。 こういったことは話すことを職業にしている人だけでなく、 多くの人が無意識に行っていることなのです。 しかし、単に話す内容を事前に丸暗記して、はき出すだけの場合は、 こういったことを行うことはできません。 どの部分が話の重点であるか、把握できていないからです。 仮に流暢に話せたとしても、内容が聞き手に残りにくくなります。 気象キャスターになるために、自分が話し上手かどうかを、 あまり気にされる必要はないでしょう。 誰でも自分がよく知っている分野については、熱っぽく語りますよね。 つまり、気象キャスターにとって大事なのは、 その日に話す内容をいかに自分のものにできるか、だと思います。 |
| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 40、質問こそが理解への近道 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先日、かつて他塾で教鞭を執っておられた方と、 情報交換をする機会に恵まれました。 「どんな生徒さんが短時間で実力を伸ばすか」という話題が上ったのですが、 お互いの印象がピタリと一致しました。 「やはり、質問の多い人は伸びますね。」ということです。 その理由を私なりに解釈してみますと、次の2つを挙げることができます。 1,勉強に励むからこそ、質問量も増えるから。 2,質疑応答のやりとりで、理解が定着するから。 まず、1です。 なんとなく「質問の少ない人・全くしない人」は、 「勉強内容が全て理解できている人」であるように見えます。 しかし実のところ、そうでない場合が多いのです。 といいますのも、気象予報士試験に限らず、 勉強というのは、進めるほどに分からないことが増えるものだからです。 逆に、全く勉強をしなかった場合、 分からない部分(正確には分からないと感じる部分)は0です。 勉強に励んでいる人ほど、分からないことを多く抱えているわけで、 質問の数も増えるというわけです。 続いて、2です。 勉強には「知識を収集する作業」と、 「知識と知識を結びつける作業」があるのですが、 質問に来られる方の多くは、後者の点で引っかかりを感じています。 具体的な例を出してみますと、 知識A:台風の中心付近は下層から上層まで暖気で構成されている。 知識B:暖かい空気は冷たい空気よりも密度が小さい。 という2つの知識を上手く結びつけることができてこそ、 「台風(熱帯低気圧)の上層では、高気圧循環になっている」 ということが理解できるわけです。 講師の話を一度聞くだけで、全てを飲み込める人はごく僅かです。 ほとんどの人は、飲み込めていない部分や誤解している部分を、 質疑応答によって修正し、消化していく必要があるのです。 「なるほど!」「そうだったのか!」と納得できるのは、 知識と知識が上手く結びついた瞬間です。 「分かるほどに勉強が楽しくなりました!」との声を聞きますが、 これこそが学ぶことの楽しさ(=知的快感)ではないでしょうか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 41、ライバルはわりと少ない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「気象キャスターの募集って、ぜんぜん見あたりませんね。」と、 何人かの方から尋ねられました。 確かに「テレビの天気キャスター募集中」というような情報は目にしません。 その理由は何なのでしょうか? 1,募集そのものが少ないから 2,公募を行うとは限らないから まず1ですが、日本国内の放送局数が限られていて、 天気予報番組の数に大きな変化がない以上、当然のことと言えます。 人気のあるキャスターは、辞めずに続けるでしょうから、 そのぶん新規参入も難しいというわけです。 それから2については、別に気象キャスターに限った話ではありません。 「番組出演者を公募で選ばねばならない」という決まりはないのです。 こんな話をしていると、「気象キャスターになんて、なれるわけがない」 と思われる方も多いことでしょう。 でも、そう思った人は、それで終わりです。 例えば、テレビで活躍している俳優やタレントの全てが、 公開オーディションやタレント養成学校を経てきたのでしょうか? もちろん、有名なオーディションで選ばれた人もいるでしょうが、 徒手空拳で頑張っているうちに、夢を手に入れた人も少なくないはずです。 「きちんと体裁の整った公開募集」に慣れすぎていませんか? この傾向はインターネットが普及してから、さらに強まったように思えます。 例えば、就職活動サイトに登録されている企業だけが、 就職先の候補だと錯覚してしまいます。 キャスターであれ、俳優であれ、志望業界であれ、 本気で目指しているものがあるならば、受け身の情報だけで満足できません。 必ず自分から何か動いてみようとするはずです。 気象キャスターは多くの人が憧れる職業です。 しかし、そのほとんどの人は「公募が見つからない」というだけで、 簡単に諦めてしまうことでしょう。 つまり、本気で目指している人は案外少ない、これが私自身の感覚です。 この最初の関門で、脱落してしまう人がいかに多いことか。 最後にある塾のお話を。 その塾は、無料で授業見学ができることを、あえて公表していません。 『「見学したい」と自ら願い出る人にだけ、授業を見てほしい』からです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 42、気象予報士の資格でメシが食えるか?(前編) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「気象予報士の資格で転職できますか?」多くの方からいただくご質問です。 気象予報士試験の受験指導を行っている私の立場からすると、 「もちろんです。未来は明るいですよ!」とでも言えば良いのでしょうが、 実際のところは、必ずしもそうとは言えない部分があります。 まず、これは大半の資格に言えることだと思いますが、 「資格を取得しただけでメシが食える」ということは、ありません。 例えば、駅のホームにある立看板に目をやると、 いかに医院・歯科医院の看板が多いかが分かります。 私の住んでいる町は、人口10万人足らずの地方都市ですが、 それでも徒歩圏内の病院・医院は、軽く10件を超えるのです。 (加えて歯科医院が5〜6件はあると思います。) 医学部で6年間の勉強を続けた上で、やっと取得できる医師免許でさえ、 「開業しただけで生活ができる」とは限らないのです。 医師免許と並んで、超難関資格といわれる弁護士資格であっても、 司法試験制度の改革によって、今よりも有資格者は増える見通しです。 つまり、それだけ同業者の中での競争が激しくなることを意味します。 机の上での勉強が得意な人ほど、、 「試験に合格して資格を取得すれば、仕事は向こうからやってくる」 と考えてしまう傾向にあります。 資格が「黄門さまの印籠」のように見えてしまうのですね。 しかし現実を見てみますと、いわゆる社会的地位の高い資格業務であっても、 それを仕事(=商売)として行うためには、泥臭いこともしなければなりません。 例えば、私が知っている行政書士さんは非常に営業熱心です。 個人で事務所を構えているにもかかわらず、 サイトをいくつも作って、あらゆる種類の顧客を獲得しようとしています。 行政書士が作成できる書類は1万種類を超えると言われますから、 仕事の幅は非常に広いと言えます。 もちろん、行政書士の資格を取っても、 寝転がっているだけでは、一件の仕事依頼も入ってこないでしょう。 私の場合、17歳で気象予報士の資格を取得しました。 「現役高校生の気象予報士」なんて、いかにも話題性がありそうだ、 と思ったのは自分だけ。 誰も取材に来ませんし、誰も声をかけてくれませんでした。 初めて気象予報士仲間に出会えたのは、 自分で申し込んだ財団法人気象業務支援センターによる講習会の場でした。 結局、自分が動かないと、何も変わらなかったのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 43、気象予報士の資格でメシが食えるか?(後編) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象庁のホームページによりますと、 現在、全国に5629人もの気象予報士がいます。(2006年3月31日現在) このうち、実際に資格を生かして仕事をしている人はどのくらいなのか? データが手元にないので、正確なところは分かりませんが、 気象会社の数などを考えてみても、おそらく半数を下回るのは確実でしょう。 もちろん、気象の勉強は趣味としても非常に面白いものですから、 最初から「個人として楽しむため」と割り切って、 試験に臨まれる方も決して少なくはありません。 しかし、そういった人々の割合を考慮しても、 弁護士や公認会計士・医師などと異なり、 「有資格者のプロ率」が低いのが、気象予報士なのです。 気象予報士の資格を仕事に生かしている人の中で多くを占めるのが、 気象会社の社員(気象会社と契約を結んで仕事をしている人も含む)です。 しかし、資格を持っているからといって、 気象会社にスムーズに入社できるわけではありません。 当たり前の話ですが、気象会社も営利を目的とする組織である以上、 「天気が好き」「気象に詳しい」だけで、入社試験に合格するとは限りません。 会社員として有能であると経営者側から判断されることが、 入社の条件であるのは、他の業界と全く変わらないはずです。 「気象予報士資格があれば業界へフリーパス」ということはありません。 ・・・とまあ、気象予報士を取り巻く状況を書かせていただきました。 前回と今回の記事をお読みになって、「やっぱり無理だ〜」と思われる方は、 どうぞ、気象予報士を目指すのをお止め下さい。 本気で気象予報士になりたいという人は、困難な状況を目の前にしても、 夢の実現に向かって走り出しています。 何者も阻止することができないほど、燃えています。 そんな方にこそ、気象予報士試験に合格して活躍してほしいと思うのです。 最後にある業界関係者から私が直接に聞いた言葉を紹介しておきます。 「気象キャスターの世界は、いつでも人材不足なんです。 目指したい人には、どんどん飛び込んできて欲しいですね。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 44、難問は少ない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験の後は、試験勉強に関するご相談をよくいただきます。 中でも特に目立ったご質問は、 「学科試験で難問が多く出題されたので、太刀打ちできない。 どんな方法で勉強すれば良いのか?」という内容です。 それに対する私の回答は実にあっさりしていて、 「過去問題を徹底して勉強すれば、合格ラインに届きます。」と申し上げます。 これが合格の近道であると、私は考えているのです。 学科試験の問題を分析してみますと、大きく3つに分類できます。 1,過去に出題された問題とほぼ同じ内容の問題 2,過去に出題された問題を少しひねった問題 3,過去にほとんど出題例のない問題 1のタイプが特に多いのは、一般知識試験の「法規分野」です。 法規分野では、何度も出題される条文がいくつもあるのです。 2のタイプもわりと多いと言えるでしょう。 例えば、第26回試験における一般知識試験の問5などは、 第19回試験における一般知識試験の問8を勉強していれば、 十分に対応できるであろう問題だと思います。 実のところ、気象予報士試験で出される問題は1か2がほとんどです。 3のタイプとして、第26回試験における一般知識試験の問10、 第25回試験における一般知識試験の問11などが該当しますが、 全体から見れば、その数は少ないと言えるでしょう。 「難問が出題された」「応用問題が多かった」と言う方の多くは、 たいていの場合、次のいずれかのケースに該当します。 1,基礎的な勉強が足りていない。 2,過去問題の演習不足。 基礎的な勉強が足りていないと、試験で頭を抱えることになるのは自明です。 例えば、「温位」という用語を、 「ある空気塊を1000hPa面にもってきたときの絶対温度」 と丸覚えしているだけでは、試験対策として十分ではありません。 特に「大気の熱力学分野」では、用語の概念を正しく把握しているかどうか、 あらゆる角度から問題が出されます。 「暗記」ではなく「根本的な理解」が試されているわけです。 また、過去問題の演習は試験対策に欠かせません。 少なくとも過去5年(10試験分)程度の試験には、取り組んでおくべきでしょう。 (注、専門知識試験の場合、技術の進歩や制度の変更があるため、 過去の正答が現在も常に正しいとは限りません。この点は注意が必要です。) もちろん、ただ単に「過去問題をやった」だけでなく、 全ての問題において、他人に説明できるくらいまで勉強することこそ、 本当の意味での「試験勉強」であると私は思います。 過去問題の演習が大事だというのは、気象予報士試験に限らず、 多くの資格試験にも言えることのようです。 毎回の試験で、常に一定レベルの合格者を出すことが、 試験主催者の目的であるということを考えれば、 過去問題演習で対応できない問題ばかりを出題するわけにはいかない、 という結論になるはずなのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 45、自由とは「誰も働きかけてくれない」こと。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いよいよ本格的な秋を迎えつつある今の時期、 修学旅行で奈良を訪れる中学生や高校生をよく見かけます。 最近は10人程度のグループ単位で行動する学校が多いようですね。 言葉のイントネーションが関西弁と異なるため、 話をしているのを聞いていると、修学旅行生だとすぐに分かります。 こうした姿を見て思い出すのが、私自身の高校生時代。 気象予報士試験に合格して間もない頃に、 研修旅行(修学旅行のことです)で沖縄へ行きました。 本州とは異なる沖縄の風景が素晴らしかったことも良い思い出ですが、 一番よく覚えていることは、夜遅くまで友達同士で騒いで、 見回りの先生にどえらく怒られたことですね。 学校行事としての旅行ですから、生徒の自由は制限されています。 消灯の時刻は決まっていて、夜中にトランプをすることはできません。 男子生徒が女子生徒の部屋に忍び込んで良からぬことが起こらぬよう、 男子用客室と女子用客室は、階ごとに分かれていました。 ましてや宿の外へ出て、歓楽街に繰り出すことなどもってのほか。 当たり前です。高校生ですからね。 最もツライ思いをしたのは、友人のK君かも知れません。 今だから言えますが、18歳にして既にニコチン中毒だった彼は、 4日間における旅行期間中の「禁煙」が何よりもキツかったとのこと。 関西国際空港にて解散後、真っ先に空港のトイレに駆け込み、 一気にマールボロ4本を立て続けに吸ったそうです。 規則で固められた修学旅行は窮屈です。(楽しかったですけど) 行きたい場所へ自由に行けて、夜遅くまで好きなだけ夜更かしして、 思いっきり羽目を外した旅行がしたいものだ!、と当時は切望したものです。 そんな願いは、わりと早い時期にあっさり叶いました。 大学生になって友達同士で旅行へ行けば、 「早く寝ろ」とか「酒はダメ」とか「パチンコするな」とは言われません。 そして望み通り、大いにいろいろ楽しんだのですが、 最近は「修学旅行みたいなのも良いな」と思うようにもなりました。 例えば深夜、わずかな懐中電灯の明かりを頼りにして、 布団の上で密かに繰り広げられる「賭けトランプ(1回50円)」は、 夜回りをしている先生の存在におびえながら行うからこそ楽しいのです。 「土産に○○円使って、菓子に○○円使って・・・」と頭を悩ませながら、 最大限に楽しめるお金の使い方を模索できるのも、 生徒の所持金額が決められているからですね。 自由の少ない環境に身を置かれると、「自由になりたい」と感じるものですが、 「自分自身に対し、何の強制力も働かない状態」というのは、 ある意味で、なかなか厳しいことではないかとも思います。 私は高校球児だった頃、真夏の炎天下でも走り回っていましたが、 これは野球部という組織に所属していたからこそ、 厳しい監督と、怖い(理不尽な?)先輩がいたからこそ、できたことです。 「高校時代と同じ内容のトレーニングを自主的にやれ」と言われても、 とてもやり遂げられるものではありません。 勉強だってそうでしょう。 本屋さんで有名大学の赤本を手に取って見てみると、 手も足も出ないような問題がビッシリと記載されています。 でも、これを解いて大学に合格する高校生は何万人以上もいるわけです。 その素晴らしき学力の原動となったものには、 「将来への夢」「向学心」といったキレイなものもあるでしょうが、 「勉強せざるを得ない環境だったから」という人も少なくないでしょう。 大人になると、「イヤなものはイヤ」と言えることが多くなります。 仕事としてではなく、「興味があるから」というだけでやっている場合、 いつでも止めることができる「自由」があります。 それは確かに良いことではありますが、 同時に「強制力」が働きにくいことも意味します。 本当に何か結果を残したいことであれば、 自らを「強制力の働く環境」に身を置くことも大切なのかも知れません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 46、最大限の夢を描こう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前回は「自由を奪うことで試験勉強はうまくいく」というお話をしましたが、 自分の夢や目標に対しては、思いっきり自由であるべきだと考えます。 「富士山ほど願って、蟻塚ほど叶う」という言葉があるように、 描いた夢以上のことは実現しないと思うからです。 「蟻塚ほどしか叶わないなら、願うことなどやめておこう」 と言いたいのではありません。 「大きく叶えるために、できるだけ大きく願おう」と言いたいのです。 「気象キャスターという仕事が自分に向いているのかどうか分からない」 と考える人は、気象キャスターに向いていません。 私の周りだけでも「我こそが気象キャスターに!」という方がたくさんいます。 夢を描くことに躊躇している人が、そういった人に敵うはずがないでしょう。 だいだい「キャスターは自分には不向きだ」と思ってしまえば、 さっさと途中で辞めて、方向転換すれば良いだけのことです。 何を隠そう、私自身がそうでした。 6年あまり、放送現場で仕事をしてきましたが、 最終的に職を辞することになった理由の一つは、 「これは自分には向いていない」と感じたことです。 「6年もやってきて、分からなかったのか?」と言われそうですが、 事実そうだったのですから、仕方がありません。 長い間、出演させて下さった番組には申し訳なかったのですが、 降板を申し入れ、勤めていた気象会社も退職しました。 そして、「気象キャスター・気象予報士を目指す方を支援したい」 という思いから気象予報士塾を開業し、今に至っています。 今の私は「やはりキャスターよりも講師のほうが自分には合っている」 と感じていますが、気象報道の現場で勤務していたことが、 今の講師業に大きく役立っていることも、これまた事実です。 私がそうだったように、価値観は不変ではありません。 だからといって、最初から夢に挑戦することを諦めるべきでないでしょう。 目標の軌道修正など、後からいくらでもできますし、 チャレンジすること自体が後々どんな形で役立つか分からないからです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 47、協力し合える仲間はいますか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私が主宰する塾では、2か月に1回程度の割合で懇親会を開いています。 難関試験を突破するには、一人で挑戦するよりも、 仲間がいたほうが良い結果を生み出しやすい、と思うからです。 ここで言う「仲間」とは、単に馴れ合うだけの仲間を意味するのではありません。 「仕事が忙しかったから、勉強時間が確保できなかったんだよね〜。」 「問3と問7と問11さえ合っていたら、一般知識は合格してたんだけどな〜。」 まあ、そういうのも必要なのかも知れませんが、 私は「教え合う仲間の存在」こそが大切だと考えているのです。 気象予報士試験には、暗記しなければならない内容よりも、 理解しなければならない内容のほうが多いのです。 どんな試験でもそうだと思いますが、 試験主催者側が合格させたいのは「本当に理解している受験生」であり、 「丸暗記で無理やり突破しようとする受験生」は落としてしまいたいはずです。 問題を作成するときも、それを考えて作っていることでしょう。 そこで単純暗記ではなく、理解しながら勉強を進めていく必要があるわけですが、 一人で勉強していると、「分かったつもり」になっている場合がよくあります。 長い期間にわたって勉強しているにもかかわらず、 なかなか合格できない人は、この状態を疑ってみる必要があります。 特に難しい事柄に対しては「妥協」が生じるため、 知らず知らずのうちに「まあ、こんなもんでいいか」となってしまうのです。 例えば「空気塊の定圧比熱は定積比熱よりも値が大きい」という、 大気の熱力学における決まり事があります。 これを丸暗記しているだけでは、実戦であまり役に立ちません。 自分が本当に理解できているのか、それが明確に分かるのは、 ズバリ!本試験で問題が出されたときです。 ・・・試験に出されてからでは遅いですね。年2回しか試験ありませんからね。 もっと早く気づく方法は? ハイ、あります。 それは、「なぜ空気塊の定圧比熱は定積比熱よりも値が大きいのか?」と、 他人から質問されたときなのです。 ここで納得させられるように回答できればOK!なのですが、 質問者は「分かりたい」と熱望していますから、 スッキリ納得できない部分については、容赦なく突いてきます。 「そもそも比熱って何だ?」「定圧比熱と定積比熱の違いは?」 「本には定容比熱って言葉も載っていたけど、どういうこと?」 これらに対してキチンと答えられないとき、 自分自身の勉強が中途半端であったことに気がつくのです。 私が初めて「教える側」に立ったのは、進学塾講師の仕事を始めたときでした。 「他人に教えねばならない」という立場に立って初めて気づいたのは、 「まず自分が分かっていないと教えられない」ということです。 まさかイイカゲンなことを教えるわけにもいきませんから、 教えねばならない部分については必死に勉強することになります。 それが結果的に「教える側」の試験勉強として役立つわけです。 常に「教え合う」という環境に身を置くことで、 勉強に対する妥協を減らすことができます。 そう考えると、教わって得をする「教えられる側」よりも、 「教える側」のほうがメリットが大きいとも言えるかも知れません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 48、価値観は遣ったお金に表れる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 以前に、ある気象予報士の方から話を聞いたとき、 そのお金の遣い方に驚いたことがあります。 酒・タバコには、ある程度のお金を遣うものの、 服装はいつも同じ・車は持たず・ギャンブルもやらず・・・という人で、 「給料のかなりの部分は残る」らしいのです。 そんな堅実な方がこっそり教えてくれた大盤振る舞いとは、 「気象衛星ひまわりの画像受信システム」を個人で購入されたことでした。 ・・・ピンとこない読者もおられると思いますので、少し説明します。 「気象衛星ひまわりの画像」というのは、人工衛星が撮った「雲写真」のこと。 テレビの天気予報でお馴染みですね。 インターネットが非常に普及した今であれば、 世界中の気象衛星が撮影した写真をリアルタイムで入手できますが、 今から10年前以上昔であれば、それは非常に困難なことでした。 大学などの研究機関やテレビ局・気象会社など、 一部の限られた人だけが入手できる資料だったのです。 しかし、個人がリアルタイムで衛星画像を手に入れる方法もありました。 それが先ほどの「気象衛星ひまわりの画像受信システム」です。 衛星が撮影した写真は、電波によって地上に送信される仕組みになっており、 専用の受信設備があれば、個人でも電波を受信して画像を入手できるのです。 受信機器とパラボラアンテナなど一式で、約200万円!! 私も子供の頃から気象が好きで、天気図などを書いていた少年ですから、 分からないでもありませんが・・・、しかし驚きました。 クルマも200万円くらいするものがありますが、 気象衛星受信機は人を乗せて走りません。雲の写真が写るだけです。 よく「その人の友達を見ることによって、その人なりが分かる」と言いますが、 「その人が何にお金を遣っているか」というのも、 人物像を映す鏡であると思います。 200万円を衛星受信機につぎ込むことができるのは、 それだけ気象を愛しているということでもあり、カッコイイことです。 私の場合は「本」です。 単体としては安いものの、数が多いため、 合わせた金額はおそらく300万円にはなるのではと思います。 大学時代の4年間で約1000冊の本を読みましたが、その95%以上は買った本です。 チラシであれ、常に何かを読んでいないと落ち着かない性格を考えると、 私の価値観・人間性が、遣ったお金に表れていると言えます。 以前に、ある新聞記事で読んだのですが、 ある有名な気象キャスターさんは、気象予報士の資格を取るのに、 予備校の費用など、およそ100万円を遣われたそうです。 (私は独学でしたので、受験料を含めて10万円もかかりませんでした。) 100万円つぎ込んだから、気象予報士試験に合格するとは限りませんし、 100万円つぎ込んだから、気象キャスターになれるとは限りません。 しかし、この方が100万円を気象の勉強に遣わなければ、 おそらく全く別の人生を歩んでおられたのではないでしょうか。 皆さんは何にお金を多く遣っていますか? 強く意識することなく、自然にお金をつぎ込むことのできるものこそ、 最も自分が好きなものであるに違いありません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 49、「気象」は、21世紀の必修科目だ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「地学の授業」や「気象予報士試験」ばかりが気象の勉強ではありません。 もちろん、単位や合格を目指して頑張ることも大切なことですが、 そういったものが無かったとしても、やはり私は天気の勉強をお勧めします。 「勉強をしておくと何かと得なことが多いですよ」と思うからです。 気象の勉強をする目的は何でしょうか? 「自分だけのオリジナル天気予報を作ってみよう」ではありません。 気象予報士制度が始まって、とかく「独自の予報」が着目されがちですが、 現在の天気予報は、全世界で観測した膨大なデータをもとにして、 スーパーコンピュータが計算して作っています。 観測網もスパコンも持っていない一個人が、 本当の意味での「独自の予報」を作ることは、不可能だと私は思っています。 私が気象の勉強をお勧めする目的は、勉強をすることによって、 「気象庁や気象会社が提供する情報を最大限に使いこなそう!」ということです。 気象の勉強をしたほうが、気象の情報の有用性が分かるので、 より的確に使うことができるのです。 例えば、携帯電話でウェブ画面を見る方がここ数年で増えましたが、 「雨雲レーダー」の画像をご覧になった方は、どれくらいおられるでしょう? これを見ると、雨雲がどの地域にあるのかが一目で分かります。 最近の携帯電話の画面は解像度が良く、 数センチ四方の小さな画面でも鮮明に映るのです。 こういった情報を上手く活用できれば、雨に対して能動的な行動ができます。 例えば、「今、雨雲の隙間に入った。30分は止み間がありそうだから、 今のうちに外へ出て用事を済ませておこう。」といった具合です。 また、天気を知ることは「自分の命を守ること」でもあります。 これは決して大袈裟な表現ではありません。 登山で吹雪、海水浴で高波、ゴルフで雷、キャンプで夕立。 楽しいはずのレジャーが、一転して悲劇を生み出すことがあるのです。 確かに、現代の高度な予報技術を駆使しても、 「何時何分にどこで気象災害が起こるか?」を予測することは不可能です。 しかし「気象災害が起こる危険度がどの程度あるか?」については、 充分に予測することが可能になってきました。 気象の勉強をすることによって、 事前にどんな情報に着目すれば良いのかが分かるようになります。 的確な情報を正確な知識によって判断することで、 自分の命を守ることにつながるのです。 気象の勉強をし、1か月〜半年先までの長期予報を活用することで、 投資に役立つことがあるかも知れません。 小豆やトウモロコシといった商品先物相場において、 生産地の天候が値動きに影響することは大いにあるでしょう。 また、2005年にアメリカを襲ったハリケーン「カトリーナ」の影響で、 メキシコ湾岸のある製油所の稼働率が低下したことが、 原油高騰の一因になったとも言われています。 ネットで株式の売買を趣味にされている方であれば、 天候が業績に影響する企業が少なくないことに気づくでしょう。 猛暑であれば、エアコンやビールなどの売れ行きが良くなりますし、 厳冬であれば、石油業界の売り上げが伸びることでしょう。 平年より雨が少なく、晴天が続くことが多ければ、 レジャー施設の業績に良い結果を与えるように思えます。 長期予報については、まだまだ精度的には充分ではありませんが、 他の投資家があまり注目しない視点を持つことができるだけでも、 一歩リードすることになるかも知れません。 どんな情報であっても、それを的確に使いこなすためには、 それに関する勉強が必要です。 気象の勉強をすることで得られる対価は、 決して小さなものではないと私は考えています。 |
| ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 50、東大入試より難しい? 〜一般知識試験の攻略法〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いきなりですが、まず次の問題をご覧下さい。 ( )の中には、どんな言葉が入るでしょうか? > 対流圏内で大気の大規模な運動を時間平均および帯状平均して模式的に表すと、 > 子午面で三細胞の循環が見えてくる。[中略] > 赤道付近から上昇する循環は(a)循環といわれ、 > これは(b)風の駆動力となっている。 【平成12年度第2回気象予報士試験「一般知識・問10」から引用・一部改題】 来年1月の試験に向けて勉強に励んでおられる方ならば、 空欄に適切な用語を入れることは、それほど難しくはないはずです。 (a)ハドレー (b)貿易 ですね。 では、次の問題はいかがでしょうか? > 大気の上端で入射する太陽放射と地球から宇宙へ放出される赤外放射は、 > 緯度約(A)度以下では入射の方が多くなっており、 > 大気や海洋はこの熱的不均衡を解消すべく地球規模の大循環を形成している。 > 低緯度では、赤道付近の熱帯(B)帯を中心とする積雲対流の活発域で上昇し、 > その極側の亜熱帯高気圧帯で下降する、いわゆる(C)循環が卓越している。 > (C)循環の上昇域には、亜熱帯から空気が流入している。 > この気流に地球自転による(D)が働くと、 > 風向きは東から西に向かう成分を持つ、いわゆる貿易風となる。 先ほどの問題と似た傾向が見られます。 (A)40 (B)収束 (C)ハドレー (D)コリオリの力 が正解ですね。 さて、過去問題を熱心に演習しておられる方でも、 この問題には出会ったのは、おそらく初めてではないでしょうか? といいますのも、これは気象予報士試験の問題ではありません。 実は東京大学の入試問題なのです。【1998年・理科前期「地学」から引用】 気象予報士試験の勉強を熱心にしておられる方なら、 「意外に簡単だな」と感じられたはずです。 上記の問題も実際には4つの選択肢から選ぶ形式になっていますので、 難易度はもう少し低くなるかと思います。 (「地学」の試験は気象だけでなく、天文や地質などの問題も出ます。) 「お天気お姉さんになるための切符」として、 認識されることの多い気象予報士資格ですが、 その試験内容は、大学入試問題のレベルを上回るものもあり、 生半可な勉強では間違いなく挫折してしまうことでしょう。 大学入試に取り組むくらいの気合いが必要ではないかと思っています。 また、いわゆる「お天気マニア」であることは、 一般知識試験での成績にまず関係がないと言って良いでしょう。 NHKラジオの気象通報を聴いて天気図を何枚書こうと、 日本各地の気象記録をいくら詳しく記憶していようと、 そういった技能や知識は、一般知識試験でほとんど問われないからです。 (専門知識試験や実技試験では、ある程度役に立つと思います。) 一般知識試験について言えば、高校で理系だった人が有利なのは明らかです。 特に「物理」「数学」を一生懸命に勉強した方なら、 勉強しなかった人に比べると、習得速度にかなりの違いが出ると思います。 一般知識試験では基礎的な気象学に関する問題が数多く出ますが、 気象学を理解するには、ある程度の物理や数学の知識が必要になるからです。 このように書くと、長らく理系科目から遠い位置にあった方は、 「では過去の試験を全て丸暗記してしまおう」と思われるかも知れません。 しかし、それは労多くして功少ないやり方と言わざるを得ません。 今まで26回の試験が行われ、一般知識試験だけで400問近い出題がありました。 それだけの問題をどうやって暗記すれば良いのでしょう? また、いくら苦労したとしても「丸暗記」は「丸暗記」に過ぎません。 少しでも出題パターンを変えられたら、それで終わりです。 勉強が面白いと感じるのは、内容が理解できたときです。 一つ理解できたことによって、一つ面白いと感じます。 これが次の勉強への原動力となるのです。 しっかりと勉強時間を確保し、この好循環を作り出すことができれば、 文系初学者が半年で「一般知識合格レベル」に達することは、 決して困難なことではないと私は考えています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 51、最新情報を押さえよ 〜専門知識試験の攻略法〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 専門知識試験が一般知識試験と異なるのは、 技術革新や制度変更に伴って、問題が若干変化することです。 例えば、1996年に出題された問題(平成7年度第2回)では、 15問のうち3問に、すでに現在の業務と合っていない部分が見られます。 気象予報士試験に出題される基礎的な気象学は、 すでに学説として定着したものばかりでしょうから、 それを根底から覆す新説が登場することは、・・・まあ無いと思います。 しかし、気象庁が行っている気象業務はどんどん変化します。 毎年、どこかの部分で技術革新が行われているのです。 具体的に思いつくままに挙げてみます。 *レーウィン観測の廃止(2004年) *気象ロケット観測の廃止(2001年) *気象衛星観測において3.8μm帯画像の提供を開始(2005年) *気象レーダーのドップラー化(2006年〜) *非静力学モデルの運用を開始(2004年) *台風の図表示を変更(2007年予定) *ウィンドプロファイラ観測業務を開始(2001年) *アンサンブル台風予報を開始(2007年度予定) *領域モデル・台風モデルの運用を廃止(2007年度予定) 挙げたのは一部ですが、ここ数年だけでも、 かなりの変更が生じていることがお分かりいただけると思います。 一般知識試験の勉強、つまり基礎的な気象学を学ぶためなら、 10年前の本でも、大きな問題はないでしょう。 しかし、専門知識試験の対策として使う書籍は、 3年前に発行されたものでも、かなり訂正箇所が出てしまいます。 ですから、専門知識試験の勉強をされるうえで大切なのは、 なるべく新しい書籍を使うことが大切です。 また、書籍の場合はどうしてもタイムラグが生じますから、 予報業務の更新など最新の情報については、 気象庁のホームページを確認しておくと安心です。 「報道発表資料」という部分で公開されています。 試験対策のためであれば、これで問題ないはずです。 気象庁が毎年発行している『気象業務はいま』という書籍や、 財団法人気象業務支援センターが発行している書籍などを見れば、 近い将来に予定している技術革新などの情報も入手できます。 もし、ご興味のある方はご覧下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 52、苦手だと感じるものに挑戦してみる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「趣味は何ですか?」と聞かれると、「本を買うことです」とよく言います。 買うくらいですから、読むほうも好きなのですが、 10冊買って、最後まで読み通す本は半分程度だったりします。 ですから、私の本棚を覗いてみると、 『ユリシーズ』『古事記』『アンナ・カレーニナ』『国富論』などが、 本棚の肥やしになったまま、背表紙が色あせかけています・・・。 「面白そうだ」と思って買うわけですが、 実際にページをめくってみると、これが難しい。 『ユリシーズ』なんて訳注だけで200ページもあるんです。 ・・・本が届いた当日に挫折しました。 よく思い出してみると、私の読書ジャンルはもっぱらノンフィクション系で、 文学作品をまともに読了できたことがほとんど無いことに気づきました。 今まで読み終えられた作品は、武者小路実篤『友情』(高校時代に読んだ)と、 サマセット=モームの短編集(大学時代に読んだ)だけのような? いずれも短いものだったから、読了できたのかも知れません。 学生時代のように、読書感想文のために無理やり読む必要もないのですから、 別に「読みやすい本」だけ手を付けていれば全く構わないのです。 でも、「多くの人が感銘を受けた名作」を知っておいても損はないだろう、 いや、その感銘をぜひとも味わってみたい!と思うのですね。 それが(読めもしない)本を買い続ける理由でもあったのですが、 昨年秋から決心して、ある作品に挑戦することにしました。 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』 上巻・中巻・下巻ともに600ページを超える大作です。 逆上がりのできない子供が、大車輪に挑戦するような気がしました。 これまで『罪と罰』『悪霊』に挫折していたのにも関わらず、 ネット上での「凄い!」「深い!」「最高!」という各書評、 そして新潮文庫の裏表紙に書かれた「世界文学屈指の名作」。 ・・・また買ってしまいました。 買ったからには読み終えて、私も「最高!」と感じたい! しかし、読み始めると、早速にも壁が立ちはだかりました。 ロシア人の名前は長くて覚えにくいゆえ、呼び方が時々変化するのです。 (例えば、「ドミートリィ」と「ミーチャ」は同一人物。) 私は何とか挫折しないよう、意味が分からなくなってきたときは、 ページを戻って読み返すように心がけたり、 作品の概要を紹介したホームページを見たりしながら、読み進めていきました。 あれから2か月あまり。 私の手元には読み終えた上巻と中巻、そして読み始めた下巻があります。 「最高!」と感じるほど、読み込めているわけではありませんが、 とりあえず内容を把握し、ここまで辿り着くことができました。 最後まで読むのは、まだ時間がかかりそうですが、 「本を買うだけ」の悪癖に、ストップをかけることができそうです。 読者の中には毎年、「今年こそは本格的に勉強を始めるぞ!」と誓いながらも、 仕事や他の学業のために、後回しになってしまっている方も、 きっとおられることでしょう。 初学者の方が過去問題集を紐解いたときに感じる拒否反応は、 きっと私がロシア文学を開いたときに感じたものよりも強烈だと思います。 しかし、適切な方法で勉強を進めていくことができれば、 決して手の付けられないような試験ではありません。 2007年は始まったばかりです。 年末に「勉強を始めて良かった!」と思える人が増えることを祈っています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 53、半年後の試験に備えて ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【それぞれの学科試験の正答数が8以下だった方へ】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 自己採点で15問中の正答数が8問以下であれば、 その科目の勉強を基礎からやり直すことを強くお勧めします。 学科試験は5つの選択肢から答える問題ですから、 デタラメに答えても3問は正解する確率になります。 それを考慮すると、正答数が7〜8問というのは、 実質的にその科目において3分の1程度しか理解できていない、 という可能性が高いと言えるのです。 基礎をしっかり復習したうえで、過去問題に取り掛かりましょう。 次回8月の試験で、少なくとも「一般か専門のどちらかに合格」を 目標とされるのが良いでしょう。 次の試験において、また全て不合格であれば、 気象予報士を目指すモチベーションが維持できなくなる可能性もあります。 逆に一つでも合格すると、気持ちに弾みが付いてきます。 【それぞれの学科試験の正答数が9〜10だった方へ】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 特に正答数が10だった方は大変悔しい思いをされたかと思います。 学科試験に合格すると、その科目の受験は一年間免除されますから、 実技試験など他の科目に集中することができ、とても有利なのです。 ですから、学科試験を攻略する姿勢としては11問正解を目指すのではなく、 余裕で合格できる13問正解あたりを目指していけば良いかと思います。 そうすれば、つまらないミスや勘違いなどがあっても、 まず、合格圏から外れる心配はないでしょう。 正答数が9〜10だった方は、科目内のいくつかの単元が、 まだ合格レベルに達していなかったことが考えられます。 必要であれば基礎から、基礎がすでに固まっている方の場合は、 過去問題の演習に励んで下さい。 少なくとも、過去10回分の過去問題は丁寧に演習することをお勧めします。 【学科試験に合格し、これから実技を初めて勉強する方へ】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 両方の学科試験に合格された方は、次の試験まで実技の勉強に集中できます。 ただ、初めて実技試験の勉強をされる場合、 見慣れない予報資料を目の前にして、面食らうことがあるかも知れません。 実技試験では、天気図(地上or高層・実況or予想)だけでなく、 レーダー・衛星画像・アメダス・エマグラムなどの資料も出てきます。 それらの資料から「何を読み取れば良いのか」を勉強するのが、 実技試験では大切であると言って良いでしょう。 まずは基本的な資料の見方をしっかり学ぶことが必要です。 【実技試験に挑戦中の方へ】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 実技試験で合格圏に達しない理由として2つが挙げられます。 1,問題の意図を充分に読み取れていない。 2,問題の意図や答えるべきことも思い浮かぶが、上手く文章にできない。 実技試験では起こりうる気象状況を頭に入れておく必要があります。 例えば、「山に向かって湿った空気が吹くとどうなるか?」といったことです。 それから、日本周辺を支配する気圧配置についても、 十分に理解しておかねばなりません。(冬型・夏型・台風・梅雨など) これらの知識が不足していると、問題文を目にしてもピンと来ないわけです。 勉強がある程度進むと、2の状態になるのですが、 これを解決するには、過去問題演習が最も効果的だと私は考えます。 実技試験の記述問題の解答を初めて見てみますと、 自分では真似できない独特の文章のように映ります。 これに慣れ、自分でも同じような文章を書くためには、 問題と解答を丁寧に合わせていく勉強が良いでしょう。 私自身、解答の文章をノートに書き写す勉強をしたこともあります。 こうすることによって、要点を的確に書き綴る練習になったように思います。 なお、解答文を暗記してもあまり意味はありません。 思考法を理解することが大事だとお考え下さい。 試験後はどうしても気持ちが緩みますが、 1月の試験から8月の試験までは期間が長いため、 実力を大きく伸ばせるチャンスでもあるのです。 今回の試験で惨敗した方も、8月で飛躍できる可能性が大いにあります。 早く気持ちを切り替えることができれば、 そのぶんだけ、長く勉強時間を確保できることになるかと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 54、合格を諦めない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私は気象予報士試験の講師という立場ではありますが、 「いったん気象予報士を目指したからには、何が何でも合格するまで頑張れ!」 と言うつもりは全くありません。 人生には楽しいことがいろいろあります。 その中の一つに「資格を取得してステップアップを目指す」というのがあり、 さらに数ある資格の一つが「気象予報士」なのです。 長くて100年の人生において、私たちは無数の選択肢から、 ごく限られたものだけを選んで生きているわけです。 ですから、「気象予報士試験に合格すること」は、 全ての人がクリアしなければならない目標でも何でもありません。 「何としても受かりたい」と思う方だけが挑戦すれば良いのであって、 他の分野に強い興味が移ったのなら、それを追求すべきです。 「気象予報士試験はやめて、行政書士試験に挑戦しよう」でも、 「資格試験はやめて、旅行でも行こう」でも良いではありませんか。 しかし、「気象予報士になりたい」という望みを強く抱きつつも、 「試験が上手くいかないから」というだけの理由で撤退するのは、 何とも勿体ないことだと思います。 何もかも捨てて、5年も10年も勉強しなければならない試験ではなく、 しかも一度合格してしまえば、一生涯にわたって有効な資格です。 気象予報士試験は、学科と実技に大きく分類できますが、 最初はとにかく学科試験に合格することだけを考えて勉強して下さい。 実技試験の勉強は、学科試験のどちらかに合格してからで良いと思います。 学科試験に合格すると、1年間はその科目の受験が免除になりますから、 免除が有効である間に完全合格を目指しましょう。 例えば、今回(2007年1月)の試験で一般知識試験だけ合格した方は、 次々回(2008年1月)までの完全合格を心に誓うのです。 そのためには、次回(2007年8月)での専門知識試験合格は、 どうしても譲れない絶対的な目標となります。 ここで専門知識試験に合格しておけば、 2007年9月以降は、実技試験対策に全力を注ぎ込むことができます。 また、実技試験の勉強は今からスタートするべきです。 次回試験で専門知識に合格してから実技の勉強を始めていたのでは、 明らかに時間不足だからです。 つまり、専門知識試験の勉強をメインにしつつ、 実技の基礎的な勉強を始めていくことを、課題にするのが良いでしょう。 何度も不合格を繰り返している方は、 悪い意味で「慣れて」しまっている恐れがあります。 惰性で試験を受けて「ああ、今回もダメだった」では、 時間も受験料も無駄になるだけです。 「昔、気象キャスターを目指して、ずっと予報士試験受けてたんだけど、 試験が難しくて結局あきらめてしまったよ。」 これでは、なんとも悲しい話ではありませんか。 本当に気象予報士になりたいのなら、本気になるしかありません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 55、学科合格なくして完全合格なし ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前回に発行したメルマガにおいて、私は次のようなことを書きました。 > 最初はとにかく学科試験に合格することだけを考えて勉強して下さい。 > 実技試験の勉強は、学科試験のどちらかに合格してからで良いと思います。 学科試験の勉強がいかに大切であるかを伝えたかったのですが、 今回はそれを裏付ける資料分析をご紹介したいと思います。 財団法人気象業務支援センターのホームページには、 合格者の受験番号が公開されていますが、 これを見ていますと、興味深いことに気がつきます。 ここからは、あくまでも私の推測ですので、 そのつもりでお読みいただきたいのですが、 6桁の受験番号を分析してみると、次のようなことが読み取れます。 最も左にある数字は、受験地を表しています。 1:札幌、2:仙台、3:東京・・・という具合です。 その右にある数字は、受験者によって「0・1・2・3」という、 4種類に分かれているのですが、 私の推測によると、おそらく次のような分類ではないかと考えています。 0:学科試験の免除が全くない 1:専門知識試験のみ受験免除 2:一般知識試験のみ受験免除 3:一般知識試験・専門知識試験とも受験免除 その視点で、今回の試験で合格された294人を分類してみますと、 次のような分布となりました。 (それぞれの値を四捨五入しているため、合計は100%になりません。) 0:18% 1:12% 2:20% 3:51% ダントツで合格者が多いのは、一般も専門もクリアした受験生です。 今回の試験全体の合格率は6.3%ですが、 両方の学科試験に合格した受験生に限った場合、 その値は非常に大きくなるはずです。 これらのデータは公表されていませんので、推測の域を出ませんが、 受験番号の並び具合などを見ると、25%程度ではないかと思われます。 逆に言うと、学科試験に合格していない受験生の合格率は、 地を這うほどに低い数字であると考えられるのです。 学科試験合格者の完全合格率がこれほどに高い理由として、 次のようなことが挙げられます。 ・実技試験に必要な基礎学力が充分に備わっている。→だから学科合格 ・受験勉強において、実技試験のみに全力を注ぐことができる。 前号のメルマガで書きましたように、 最初は学科試験合格に全力を注ぐことがいかに大事か、 そして、学科試験に合格すれば完全合格は確実に近づく、 ということがお分かりいただけるかと思います。 今回の試験では、久々に合格率が6%を上回りましたが、 それでも9割以上の受験生が残念・・・という事実に変わりはありません。 学科試験にも合格できていないのにかかわらず、 「実技試験が分からなかった。これをどうすれば良いか。」 などと分析しているようでは、気象予報士試験を攻略することはできません。 学科試験(特に一般知識)の勉強を決してオロソカにするべきではないのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 56、【特別対談】私たちはこうして気象予報士になった。(SnowDropさんとの対談) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【SnowDropさんプロフィール】 Webページ「SnowDrop〜独学で気象予報士を目指せ〜」管理人 無料メールマガジン「〜独学で気象予報士を目指せ〜1日1問模擬テスト」発行人 1981年 新潟県生まれ。 2002年 地元の高専を卒業後、そのまま専攻課程へ進学。 ヒートアイランド現象の研究に携わり、土木学会より学会賞を受賞。 2004年 気象予報士試験に合格。 2005年 Webページ「SnowDrop〜独学で気象予報士を目指せ〜」を開設し、 独学で気象予報士試験に挑戦する人々を応援し続けている。 現在は、地元の建設コンサルタント会社に勤務する傍ら、 土木と気象のさらなる融合を目指して奮闘中である。 【1,どのくらいの勉強量で気象予報士試験に合格できたのか?】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ Snow:私が勉強を始めたのが2003年の7月頃からです。 1日平均約1時間の勉強をして、2003年冬の試験を受けました。 藤田:結果はどうでしたか? Snow:学科の一般知識のみ合格でした。他は玉砕です・・・(笑) 藤田:上出来じゃないですか。私が最初に受験したときは、 全部落ちましたからね。(笑) Snow:次こそは!!と思い2004年夏の試験に向け、 平日の勉強時間は1日平均約1時間なのですが、 休日に4時間くらい狂ったようにしていた記憶があります。 一般知識の方は前回の試験で合格して免除になっているし、 実技の勉強もかなりやっていたので、これはいける!!と思ったのですが、 残念ながら学科の専門知識で合格ラインに達せず、 実技試験は採点さえしてもらえませんでした。 この試験の直後、私は目の前の壁のあまりの高さに少し鬱ぎみになり、 3ヶ月間くらい全く勉強しませんでした・・・。 ただ飲み会はよくしていましたが(笑) 藤田:ああ、分かる、分かる。 「もう自分は一生合格できないんじゃないだろうか〜」って 思ってしまうんですよね。 Snow:そうなんですよー。 でもここで諦めたら今まで使った参考書代と受験費用がもったいない、 と思い再起しました!! そして最後の力を振り絞り2004年冬の試験に向け、 1日平均約3時間の鬼のようなスパルタ勉強を決行しました。 その結果、めでたく合格することができました。 藤田:受験勉強中の「飲み会」が良かったんじゃないですか? と言いますのも、大切なのは「スパルタ勉強」を長期間続けることが できるかなんですよね。 いくら奮起しても、それが一時的なものであっては、 この試験を突破することなどできないわけです。 そのためには、ちょっとした息抜きも大事だと思うんですよ。 頑張り続けるための「充電」って大事ですよね。 もっとも、それが長くなりすぎて、 「放電」になってしまってはダメなんですが。(笑) 2,【二人が合格まで勉強を続けられた原動力とは?】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ Snow:私の原動力は一言に尽きます。「気象が好きだからです。」 藤田:それはお互いそうでしょうね。好きでないと勉強は続けられない。 Snow:いつもこんなに身近にあるのに気まぐれで未知なものって、 他には無いと思います。とても魅力的です。 藤田:昔、朝焼けの写真を撮ることが好きだったのですが、 同じ晴れた日の朝であっても、 日によって空の色が違うことに気づきました。 Snow:朝焼けですか。すごく幻想的ですよね。 藤田さんにとってはそれが原動力になったのですか? 藤田:いいえそれだけではありません。 私の場合は「どうしても17歳のうちに合格したい!」 というこだわりもありましたね。 といいますのも、第4回気象予報士試験において、 17歳で合格した方が話題になっていたのです。 Snow:・・・もしかして、その方は? 藤田:お察しのとおり、アカペラボーカリスト「RAG FAIR」の奥村政佳君です。 ですから、私も何とか17歳のうちに合格したかったんですよ。 私が合格したのは第5回気象予報士試験で、そのときの年齢は17歳11か月。 本当にギリギリでした。 Snow:奥村さんのことはニュース番組でも話題になったことを覚えていますが、 すると、藤田さんもいろいろ取材が殺到したんですか? 藤田:全くなし・・・。(笑) だからこそ、「一度テレビに出てみたいものだ」 という思いが強まったのかも知れません。 【3,一人で勉強を続けるうえで大変だったことは何か?】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 藤田:私が気象予報士試験に挑戦しようと思い立ったのは、1994年の秋でした。 Snow:ちょうど初めての試験が実施されて間もない頃ですね。 藤田:そうです。今でこそ書店には「試験対策本」が、 ずらりと並んでいますけれども、当時は非常に少なかったのです。 東京堂出版から出ていた『天気予報の技術』を手に入れましたが、 その内容の難しさには、本当に頭を悩ませました。 分からない用語を調べるために、1万円くらいする事典も買ったのですが、 調べた先に出てくる文章の中にも、分からない用語が・・・(笑)。 「質問をしようにも相手がいない」という状況には参りましたね。 仕方がありませんから、 何度も何度も本を繰り返して読んだ記憶があります。 そうすると、少しずつですが内容が分かってきました。 Snow:私も周りに気象予報士がいなかったため、 一人で勉強することはもちろん大変でしたが、 それよりも気象予報士試験を受験できる最低限の環境を つくることが大変だったのを覚えています。 藤田:といいますと、具体的にどういったことですか? Snow:私が気象予報士試験を受けようと思ったのは、2003年の夏です。 当時の私は20歳の貧乏学生でした。 奨学金を少しだけ借りていましたが、親からの仕送りが全く無い状態で、 食費・アパート代などの生活費すべてを賄わなければならず、 アルバイトをする毎日でした。 藤田:それは大変な状況だったのですね。 学費だけでも結構高いのではないですか? Snow:学費は学校側に免除申請が認められたため、 払わなくて良かったのはせめてもの救いでした。 そんな過酷な貧乏生活の中で私が苦労したのは、 価格の高い参考書を買うお金と高い受験料です。 藤田:気象関係の本って、一般の書籍に比べると高いですよね。 Snow:まぁ私の場合は中古のものばかりでしたが・・・(泣)。 それと新潟県は受験地ではないので、 一番近い受験地である東京までの交通費も洒落になりません。 藤田:まさに「身銭を切って」気象予報士試験に臨まれたのですね。 受験料も学生にとっては決して安い値段ではありませんし。 でも、それが「早く合格しなければ」という 原動力につながったのだと思いますよ。 【4,気象予報士になってから、資格をどんなことに活かせているか?】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 藤田:私は17歳のときに試験に合格した後、縁あって大阪のテレビ局で、 気象キャスターとしての仕事を始めることができました。 そのときの年齢が20歳、大学2年生でした。 調べたわけではありませんが、 男性で気象キャスターの仕事に就いた人間としては、 最も若かったのではないでしょうか。 まして、私はタレントの素質も全くなかったわけですから、 こういった仕事に就けたのは、 気象予報士という資格のおかげだと思います。 Snow:現役の大学生のときに、キャスターとしてデビューされたのですね。 大学を卒業された後はどうされたのですか? 藤田:ウェザーニューズという民間気象会社に入社しました。 学生時代はキャスターの仕事だけでしたが、 ウェザーニューズの社員になってからは、放送局における天気予報全般、 つまり、アナウンサーが読む原稿を書く仕事なども行いました。 Snow:すごいですねー。文章力の無い私には到底できそうもありません。 私の場合、直接的に資格は活かせていません。 というよりも活かす努力をしていません。 でも気象の知識そのものは仕事に活かせています。 藤田:SnowDropさんは、今どんなお仕事をされているのですか? Snow:私の本業は道路などの土木構造物の設計の仕事です。 藤田:気象とは全く関係のないようなイメージですね。 Snow:意外にそうでもないんです。 例えば、道路を設計するには雨水処理が非常に重要になってきます。 藤田:ああ、確かに雨水がたまりやすい道路ではスリップしやすいですよね。 Snow:少し、簡略化した説明になりますが、 その道路がある地域の降雨特性等によって、 側溝の規格や勾配、道路を横断する埋設管の大きさが決まります。 まさに気象条件を踏まえた道路設計です。 気象を勉強しなくてもこのあたりは技術者であれば、 無難にできると思いますが、 一歩進んだ理解をして設計をするとより良いものができると信じています。 【5,お勧めしたい参考書】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ Snow:私のホームページでも紹介済みですが、 その中でも、『一般気象学』(東京大学出版会)は、 絶対に購入しておいたほうが良いと思います。 藤田:小倉義光先生のご著書ですね。私も受験するときに購入しました。 今は改訂版が出ていてさらにパワーアップしていますね。 Snow:「気象予報士塾」の講師という視点から見て、この本はいかがですか? 藤田:この本の素晴らしいところは、 初歩的な気象学をとても丁寧に解説してあることです。 講師になってからも、蛍光ペンで線を引いて読んでいますよ。 Snow:まさに気象のバイブル的な書籍ですね。 藤田:私は著者の小倉先生にサインしていただきましたよ。(笑) ただし、この本は「気象予報士試験対策本」として、 出版されたものではないですから、 例えば、一般知識試験の「気象法規」や専門知識試験の範囲は、 他の書籍で勉強する必要がありますね。 あと、特に初めて気象を学ぶ方にとって、 『一般気象学』は難しすぎる部分もあります。 途中で挫折しないためにも、ナツメ社から出ている、 『気象予報士試験 徹底攻略テキスト 改訂第2版』で、 勉強されるのも良いかと思います。 Snow:それは言えてますねー。 初めて気象を学ぶ人には、俗に「試験対策本」と言われるもので、 かつ図や写真が多く載っているものをお勧めします。 SnowDropお勧め本→http://www16.plala.or.jp/SnowDrop/sankousyo.html 藤田真司お勧め本→http://rojiura.jp/w-book.htm 【6,防災士を取得した理由】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 藤田:SnowDropさんは気象予報士のほかに、 「防災士」という資格を持っておられますね。 この資格を取られたのはどうしてですか? Snow:私が防災士を取得した理由は、気象予報士としての義務感からです。 私は過去に7.13水害や新潟県中越地震などの様々な災害を経験しました。 藤田:両方とも、2004年に発生した大きな自然災害でしたね。 Snow:そうです。おまけにその年の冬には豪雪災害も起きました・・・。 これらの経験で、私自身の防災の知識がゼロであることに気づいたんです。 気象災害が多い現代に、気象予報士が防災の知識を持ち合わせていない ことに矛盾を感じたため取得しました。 まぁ正直なところ、取得したことに若干の後悔はありますが・・・。 【7,将来の夢について】  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ Snow:私の将来の夢は起業することです。 どんなに小さな会社でも構いませんが、 気象と何か他の分野を組み合わせた形の業務をしたいと考えています。 日本は平成5年に気象業務法が改正され、気象業務が自由化されました。 その時、大手のシンクタンクでは、 日本の気象業界は躍進すると言われていました。 藤田:「気象ビジネスは1000億円規模に達する!」 と言われていたことを思い出します。 Snow:しかし、実際はどうでしょう? 藤田:私が奉職していた株式会社ウェザーニューズは、 東証一部上場を果たしましたが、業界全体として見るならば、 まだまだ民間気象会社は伸び悩んでいますよね。 Snow:そうですね。黒字経営のところなんか 本当に数えるほどしかないんじゃないでしょうか? 日本では気象情報が無料のものだという認識が蔓延しているので、 もう気象情報の提供のみでコンスタントな利益をあげていくのは 無理だと思います。 気象分野以外の何か付加価値をつけなければならないと思います。 藤田:花粉症の方が「スギ花粉の飛散予報」という情報を重視するように、 気象をベースにした総合的な情報が求められているわけですね。 Snow:7年前位からいろんなアイデアは蓄積してきましたが、 もう少し時代を見据えて、 「チャンス」があれば起業したいなと思っています。 気象業界で一緒に戦う戦友も見つけなければなりませんし。 藤田:私にできることがあれば、ぜひ協力させて下さいよ。 Snow:そのときは宜しく! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 57、新しい予報用語を学ぶ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2007年3月29日に、気象庁から「予報用語」についての改正が行われました。 本来の目的は天気予報をより適切に利用するためのものですが、 気象予報士試験受験にも役立つ情報が載っています。 印刷してファイルにまとめておく価値があると思います。 http://www.jma.go.jp/jma/press/0703/29b/yougo_henkou.pdf 「新しく追加される用語(P,22〜31)」の中から、 試験勉強の上で、私が特に大事だと思った用語を挙げてみます。 (カッコ内の数字は『予報用語改正』のページ) ◎マクロバースト・マイクロバースト(P,22) 積乱雲の下で起こる強い下降気流のことを「ダウンバースト」といいますが、 その規模の大きさによって、2つの用語を使い分けます。 ◎藤田スケール(P,23〜24) 2006年は北海道佐呂間町をはじめ、各地で竜巻による被害が相次ぎました。 この用語は竜巻などの強い風の尺度として使用されています。 気象学者の藤田哲也博士が1971年に考案したもので、 強度に応じて、F0〜F5の6段階に分けられています。 ◎吹き寄せ効果・吸い上げ効果(P,24) 台風などに伴って発生する高潮の原因はこの2つです。 専門知識試験だけでなく、実技試験でもこの知識は必要です。 ◎猛暑日(P,25) 新しく作られた用語で、定義は「日最高気温が35度以上の日」です。 「夏日(同25度以上)」「真夏日(同30度以上)」に加えて、 暑さを示す指標として使用されることになります。 ◎落雪(P,26) 雪解けが進んだときに起こりやすい現象として、 「なだれ(P,26)」「融雪(P,26)」に加えて、この用語が追加されました。 特に雪の少ない地方にお住まいの方は、 雪害については意識して勉強しておかれることをお勧めします。 ◎ウィンドプロファイラ(P,27) 試験においては用語そのものよりも、資料を読み取ることが大切です。 ウィンドプロファイラが観測したデータは、 専門知識試験だけでなく、実技試験においても問題が出ています。 また、今回の予報用語改正では、 「名称や説明などを変更した用語」も掲載されています。 全体として、用語の説明がより分かりやすくなっています。 例えば、「気圧」を簡単に説明できますか? 気象学の基本となる部分ですが、これが案外難しいですね。(P,2をご覧下さい。) それから、「削除する用語」も掲載されています。 気象庁部内で使用する専門的な用語であることなどが、 削除の理由として書かれていますが、 気象予報士試験で不要というわけではありませんので、ご注意を。 「寒冷低気圧(P,31)」「ドライスロット(P,32)」「波状雲(P,32)」など、 試験でよく登場する用語が集まっています。 この部分もしっかり勉強しておかれることをお勧めします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 58、秘術? 学科試験免除期間を延長する方法 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ご承知のとおり、気象予報士試験には、 「学科試験(一般・専門)」と「実技試験」があり、 学科試験のいずれかまたは両方に合格した場合は、 その試験の受験が1年間(次回と次々回)免除されるシステムになっています。 ただし、これは「申請を行って免除してもらう」のであって、 「受験を禁止されている」のではないのです。 具体的に申し上げますと、例えば第27回試験で一般知識試験に合格しても、 第28回試験・第29回試験で一般知識試験を受けることは可能なんです。 「免除申請ができるにもかかわらず、 そんなことを行うメリットはどこにあるのか?」 と思われるかも知れませんが、 再び合格すれば、免除期間を延長できるのです。 先ほどの例を続ければ、第28回でも一般知識試験に合格すれば、 免除期間は第29回試験・第30回試験と伸びることになります。 免除期間が延びることによって、他の科目の勉強に集中できるわけです。 ただし、このやり方にはデメリットがあることも知っておく必要があります。 再び先ほどの例を用いて説明しますが、 一般知識試験の免除申請ができるにもかかわらず、 第28回試験で一般知識試験を受験し不合格だった場合は、 その時点で不合格が確定するということです。 つまり、もし他の試験(専門知識・実技)が合格ラインに到達していても、 一般知識試験を受けて不合格になってしまったばかりに、 (免除申請を行っていれば完全合格していたにもかかわらず!) 泣きを見ることになります・・・。 要は出願の際に免除申請を行わなければ、 試験実施者(財団法人気象業務支援センター)は、 その受験生を「受験免除者」とは見なさないわけです。 ちなみに、免除申請を行わずに受験して失敗しても、 「免除申請権」そのものが消失するわけではありません。 下の流れでご確認下さい。 1,第27回試験で一般知識試験に合格した ↓ 2,第28回試験で免除申請を行わずに受験して失敗した ↓ 3,第29回試験では免除申請を行って受験した。 今回の記事は、財団法人気象業務支援センター試験部に取材して作成しました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 59、実技試験での計算問題 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実技試験における計算問題は、以前によく出されていましたが、 最近の出題頻度は極めて低くなっています。 これまでの計算問題の出題回数をまとめると次のようになります。 *平成10年度までの出題回数(試験実施回数11回)・・・14回 *平成11年度以降の出題回数(試験実施回数16回)・・・6回 (平成18年度第2回試験まで。ごく簡単な四則演算は除外してあります。) 明らかに出題傾向が変化していることが一目瞭然です。 しかも、単に出題回数が減っただけでなく、難易度も低くなっているのです。 平成11年度以降に出題された計算問題の内訳は次の通りです。 ・上昇流hPa/h→m/sへの変換・・・100hPa=約1000mに気づけば簡単 ・ノット(kt)→km/hへの変換・・ごく基本的な法則を覚えておくだけ ・擾乱の移動速度の算出・・・・・緯度10度=約1100kmを利用する ・相対湿度の算出・・・・・・・・一般知識「大気の熱力学」の基礎的事項 ・海面上昇幅の算出・・・・・・・「1hPaで1cmの海面上昇」の鉄則を使う ・気温減率の計算・・・・・・・・気温減率の意味が分ければ、ただの割り算 かつては、さまざまな種類の計算問題が出題されていました。 中には、公式を覚えていなければ、 限られた時間で答えるのが困難と思われる問題も出されていたのです。 ・地衡風・傾度風の計算 ・海面上昇幅の算出 ・擾乱・強雨域の移動速度の算出 ・可降水量の計算 ・水平方向の発散量・収束量の算出 ・上昇流hPa/h→m/sへの変換 ・水平方向の温度移流量の算出 ・相当温位の計算 ここまで出題傾向が変化した以上、 もはや実技試験において計算問題は主たる課題ではないと考えるべきでしょう。 最近7〜8年に出題された実技試験での計算問題は、 学科試験で合格できる実力があれば、 ほとんど特別な対策を必要としないと私は考えます。 つまり、計算問題よりも取り組むべき課題が数多くあるということです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 60、睡眠時間を削って勉強するのは有効か? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 資格を取得するために勉強する人というのは総じて努力家です。 「勉強をしないと怒られる」といった学校の勉強と異なり、 本人の意志が大きな原動力になっているからです。 特に気象予報士という資格は、その傾向が特に強いと言えるでしょう。 誰かに強制されたわけでもないのに、 レベルアップを目指して勉強を続けるというのは、 非常にエネルギーのいることです。 また、気象予報士試験の受験生は、司法書士試験や公認会計士試験などと比べ、 試験勉強のみに1日を費やす人が少ない資格だと思われます。 司法書士や公認会計士ほど難易度が高くないことが、 仕事や他の勉強との「兼業」を可能にしていると言えるでしょう。 しかし、現実問題として、それは決して楽なことではありません。 受験生の中には、勉強時間を捻出するために、 寝る時間を削っている方もおられることでしょう。 しかし、私は睡眠時間を大幅に短縮することに対し、否定的です。 これは私自身の経験に基づいています。 10代後半〜20代前半の私は、睡眠を削ることに非常な努力を傾けていました。 若者にありがちな発想でしょうが、「寝る時間が惜しい」と感じていたのです。 そこで、1日の睡眠時間を4〜5時間にすることを目標にしました。 こういった生活をしていた時期は、高校時代(野球部と試験勉強)、 大学時代(テレビ出演と進学塾講師)とちょうど重なります。 当時の生活というのは、例えばこんな感じでした。 「○○さん、今度一緒にメシでも行きましょう。 えーと、その日は午前3時にテレビ局入りしないとダメなんで、 午前1時〜午前3時なんてどうですか? では、当日はよろしく〜!」 そんな真夜中に食事に付き合ってくれた友人も友人ですが、 まさに「早朝・深夜お構いなし」の日々を過ごしていたわけです。 さて、29歳になった今の私が当時の生活を振り返ると、 「睡眠時間を削った効果は、それほど大きくなかった」と総括します。 と言いますのも、確かに夜に寝る時間は短かったものの、 昼寝をする回数が実に多かったからです。 電車やバスの中、高校や大学の教室では、ほとんど寝ていました。 映画館でも、エンドロールまで保たなかったことがいかに多かったか! つまり、夜に削った睡眠の多くが、昼間に回されただけのことなのです。 その代償は、昼間に猛烈な睡魔にたびたび襲われ続けた結果、 「高校・大学での授業が何も頭に入っていない」という形で、 払わされることになったのです。 学生時代は「学校の勉強など何の役にも立たない」などと考えがちですが、 もし、当時の私がきちんと勉強しておけば、 今、気象の英文資料を目の前にして、絶句することもなかったでしょう。 今の私は、当時とは全く異なった生活リズムです。 午後9時に寝て、午前5時に起きるという生活です。 8時間も眠れば「昼間に眠くて仕方がない」ということはまずありません。 つまり、昼間の時間全てを全力投球に使えるのです。 気象予報士試験を志す受験生の中には、 「睡眠時間を削って頑張るんだ!」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。 確かに、短期的には無理が利くこともあるでしょうし、 お仕事や他の勉強との兼ね合いから、そうせざるを得ない場合もあるでしょう。 しかし、人間が1日に使えるエネルギー量というのは、 概ね限られているのではないか、と思うのです。 つまり、何かを選択するためには、何かを捨てることも大事だということです。 また、手だけを動かすような単調作業ならともかく、 未知の事柄を学ぶ際には、スッキリした頭で取り組まないと効果が出ません。 寝ぼけ眼でコクリコクリと2時間取り組むくらいなら、 全力集中できる状況で30分間勉強したほうが結果が出ると思います。 くれぐれも「睡眠時間を削って頑張るボクって素敵☆」とはならぬようご注意を。 自分に酔っていた私自身の経験談です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 61、実技試験攻略法 〜精読から速読へ〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 学科試験に合格した後、実技試験に取り組むことになりますが、 その内容の違いに、途惑われる方が少なくありません。 学科試験は単純に知識を問われるだけの内容で、しかも選択式であるのに対し、 実技試験は知識を組み立てた上で、記述で答案を作る問題だからです。 実技試験の受験生には3段階のレベルがあります。 勉強を始めたばかりを「レベル1」、合格に近い段階を「レベル3」とすると、 面白いことに両者は、ある面で似ている部分があります。 それは、問題に取り組むのに要する「時間」です。 「レベル1」の受験生は、実技試験の問題文を読んでも、 問われている内容が十分に理解できません。 これでは当然ながら、まともな答案を書くことはできないわけです。 結果として、答案を埋めることもできずに、時間を持て余すことになります。 実技試験の勉強を続けていくうちに、問題文の指示が分かり、 それを解くための気象資料を少しずつ読み取れるようになってきます。 これが「レベル2」の段階です。 75分の本試験に取り組んで「時間が足りなかった」と感じれば、 このレベルに達したと考えて良いでしょう。 さらに、合格に近づいたのが「レベル3」です。 問題文を熟読するだけで、どの資料を見れば良いのか短時間で見当を付け、 適切に解答を導き出せる水準です。 速く問題を解けるようになるため、時間が余るようになってきます。 まだ試験終了前にもかかわらず、試験会場から出てくる方がわりといますが、 おそらく「レベル1」か「レベル3」の受験生と思われます。 実技試験というのは、自動車の運転免許に例えれば「路上教習」だと思うのです。 実際に道路を走るためには、交通標識や運転ルールを覚える必要がありますが、 これは天気図などの気象資料の読み取り方に相当します。 つまり、実技試験を勉強するためには、 まず気象資料の読み取り方から学ぶことが大切なのです。 気象資料を読み取るための基礎知識が備われば、 あとは過去問題を解いていくことをお勧めします。 つまり、実際に道路で車を走らせていくということです。 最初はゆっくりで構いません。(実技の勉強に最低速度規制はありません。) 問題文の意味を着実に読み取ることから始めましょう。 ある程度、問題を考えた後は模範解答を読みます。 「この答案を作るためには、どの資料を見れば良いのか?」を考えながら、 気象資料を見比べていくのが良いでしょう。 つまり、正答者の思考を自分で再現していくことが大切なのです。 私が受験生のときには、模範解答をノートに書き写すこともしましたが、 これも同じ考え方に基づく勉強法だと言えます。 また、自分の答案を添削してもらうのも良い勉強になります。 周囲に気象予報士の方がいれば、お願いしてみると良いでしょう。 車の運転に例えれば、助手席にいる指導教官といった位置づけでしょうか。 受験生だった私自身はそれを受けられなかったために、 ずいぶん迷走(?)した記憶があります。 ゆっくりと勉強を続けていけば、少しずつ慣れてきます。 最初のうちは天気図の下に書かれている、 「太実線:850hPa気温(℃) 網掛け域:湿数3℃以下」といった凡例を見ないと、 天気図が読み取れないかも知れません。 しかし、慣れてくるうちに、そうしたことが不要になります。 つまり、スピードアップしていくのです。 ですから、最初からスピードを求めてはいけません。 それをすると、ただ雑になるだけです。 精読を重ねていくうちに速読ができるようになる、とお考え下さい。 今活躍している全ての気象予報士も、最初は「レベル1」だったのですから。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 62、自分の言葉で天気予報を解説するために。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象キャスターにとって大事なことは、勉強することだと思います。 最初に勉強すべきことは、放送用の原稿を自分で書くことです。 「いちいち原稿を書かなくとも、直接に話せば良いのでは?」 と思われる方もいらっしゃるかも知れません。 でも、それはなかなか難しいことなのです。 パソコンのハードディスクが空であれば、 印刷も音声出力もできないのと同じです。 「話す内容を文章で表現できる」からこそ、「話せる」のであって、 話す内容を書き言葉で表現できない人が、 限られた時間で的確な内容を話すことは困難です。 最近の天気キャスターは大半が気象予報士の資格を持っていますが、 試験に合格することと、放送用の原稿を上手く書くことは別の能力です。 気象予報士試験そのものは、理系の要素も含んでいるわけですが、 原稿作成には文系的な感覚が大事だと思います。 「南東からの高相当温位気流が強制上昇することにより、対流雲が・・・」 というのは実技試験の答案としては正しくても、 気象を専門的に勉強したことのない一般の方への解説として相応しくありません。 「暖かく湿った空気が山にぶつかることによって、雨雲がたくさんできる。」 といった表現に変換することが求められます。 こうした解説原稿をキャスター自身が作ることができなければ、 そのキャスターは他人が書いた原稿を丸読みすることになります。 慣れないうちは仕方がないでしょうが、いつまでも続けるのは面白くない。 ですから、まず気象キャスターとして必要なのは、 「自分の言葉で天気解説の文章を作ること」だと思うのです。 最初は時間もかかりますし、なかなか適切な表現が思い浮かびません。 原稿を読み返してみると、日本語として変な文章だったりします。 でも、これを乗り越えれば、正しい原稿が書けるようになり、 その時間がどんどん短くなっていきます。 天気予報の放送は時間との戦いですから、 「速く書ける」というのは、すごく大事な能力なのです。 放送原稿を書くことを相当に長く続けていると、 やがて紙という形で出力しなくとも、頭の中で原稿がまとまります。 気象キャスターの中には原稿を作らない人、 メモ程度しか作らない人もおられるわけですが、 決して最初からそれができたわけではないということです。 私自身もこれができるまで結構時間がかかりましたが、 自分の言葉で天気予報を伝えることは大事なことだと思います。 好きなキャスターの放送を録画して、原稿に起こしてみるのも、 良い勉強になることでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 63、実力とコネは自分で作る。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「テレビやラジオの出演者って、コネで決まるんですか?」 というご質問をいただくことがあります。本当のところはどうなんでしょう? そもそも、私自身が気象キャスターとして仕事をすることになったのは、 ある方が私を紹介して下さったからなんです。 もちろん、それで採用が決まったわけでなく、選考があったわけですが、 その方の紹介がなければ、選考そのものを受けることができなかったのです。 つまり、「コネ」ですね。 「コネ」という言葉には汚いイメージがつきまとうものですが、 現実の社会においては、普通にあることです。 例えば、私は本屋さんでアルバイトをしていたことがありますが、 アルバイト情報誌を見て、その本屋さんに入ったのではありません。 高校の同級生がすでにその店でアルバイトをしていて、 その人の紹介で、社長の面接を受けたのです。 そして、無事に採用されてアルバイト従業員になった後、 「藤田君の知り合いで、誰かおらんか?」と、社長から尋ねられたものです。 店の前に「アルバイト募集」という張り紙もあるのですが、 新しく入る人は、現従業員の知り合いである場合が多かったように思います。 これも一種の「縁故採用」ですね。 どんな業界でもそうでしょうが、人材を採用する際には、 「できるだけ優れた人物がほしい」と考えるのは当然です。 しかし、「いくらカネがかかっても良い。とにかく一番優れた人物を探せ!」 と言えるのは、お后選びをしている王子様くらいのものであって、 普通は「なるべく手間も費用もかからない方法で」という言葉が加わります。 つまり、コネ採用の利点というのは、 1,信用できる人物による推薦が1つの保証になる。 2,人材を集めるための手間と費用が少なくて済む。 という点にあるのであり、人を集めるときに必ず考えることなのです。 「公募(公開募集)」という方法は、いずれの利点も満たしていませんから、 公募によって集まってきた受験生の能力を見る際には、 筆記試験や面接によって、しっかり見極める必要があります。 それだけ、手間と費用をかける必要があるということです。 多くの入社試験や入学試験が、公募という形で行われるのは、 1,手間と費用をかけても、良い人材を確保したい。 2,「不公平なことをしている」と世間から見られたくない。 という理由なのであって、裏を返せば、 1,公募を行わなくても、良い人材が確保できる。 2,世間からの批判を浴びることがない。 などの条件が満たされれば、公募を行う必要がないわけです。 実際のところ、企業の中途採用は非公開のケースも多いようですし、 テレビ番組の出演者が公募で行われることは少ないと思います。 「○○放送局の出演者 2名募集」と就職情報誌には載ってませんね。 世間に広く募集をかけて、大規模なオーディションを行わなくても、 適切な人材が集まる方法があるからです。 つまり、「コネ」というものは、ある程度存在するものだと、 お考えになったほうが良いということです。 すると、「私はコネがないから諦めるしかない」と、 考える方が出てくるかも知れませんが、 コネがないのであれば、私がしたように、 自分を紹介してくれそうな人をたくさん作れば良いのです。 当然ですが、「業界関係者と不適切な仲になること」ではありません。 もし、気象キャスターになりたいのであれば、 その気持ちを強く表に出して、あちこち動いてみることです。 もちろん、こうすれば必ず結果が出るとは言えません。 「気象キャスターになりたい!」と望む人はたくさんいて、 そのための決まった手順など存在しない世界だと思うからです。 でも、動かないと、「人のつながり」ができないのもまた事実です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 64、写真やイラストの多い本から始めよう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 学校の夏休みが近いということで、 書店には夏休み関連の本がいろいろ並んでいます。 工作・自由研究・読書感想文といった宿題対策のために、 いろいろなガイドブックが発売されているのですね。 私などは読書感想文を書くのが昔からエラく苦手でしたから、 当時こういう本があれば、間違いなく飛びついていたように思います。 さて、いろいろな本の中で「天気」に関する本もありました。 手に取って中を見てみたところ、カラーのイラストや写真が豊富で、 しかも値段が1000円程度とお手頃です。 早速にも、次の2冊を買いました。 武田康男著『天気の自由研究』永岡書店 山内豊太郎監修『お天気まるわかりBOOK』成美堂出版 両方とも、小・中学生向けに書かれたのだと思いますが、 気象予報士試験の勉強にチャレンジしようか迷っている人にも、 読んで欲しい本だと思います。 おそらく、気象予報士試験に興味のある人の多くは、 地球が作る気象現象の美しさや不思議さを感じたことが、 1つのきっかけになっているはずです。 「朝起きたら、窓の外が一面の銀世界だった」 「夕立の後に、きれいな虹がかかっていた」 こういった現象を目の当たりにして、 素朴に「もっと地球について学びたい」と興味を持つ人は多いと思います。 しかし、気象予報士試験というのは、あくまでも国家試験であり、 気象予報士として充分な知識や技能を持っているかどうかが問われます。 当然ながら、天気変化のメカニズムを知るために、 ときには無味乾燥とも思える理屈も学ばなければなりません。 最低限の数学や物理の勉強も避けて通ることはできません。 ですから、初めて気象予報士試験にチャレンジする方が、 気象予報士試験対策の本を読むと、身構えてしまうのです。 「気体の状態方程式」「静力学平衡の式」といった見慣れない用語を前にして、 「こんなはずではなかった〜」と困惑される方もおられるかも知れません。 ご紹介した2冊の本は、気象予報士試験に初めて挑戦される方にとって、 「架け橋」のような役割を果たしてくれると思います。 例えば、『天気の自由研究』のP,70には、 菓子袋が大きく膨らんだ写真が載っていて、 それは気圧の変化によって起こるのだ、ということが書いてあります。 このように、まず写真やイラストでイメージをつかめば、 「では気圧というのは何なのか?」と、さらに興味が持てます。 また、『お天気まるわかりBOOK』のP,11では、 「なぜ遠くの山は青く見えるのか?」という理由を説明しています。 いきなり、「散乱にはレイリー散乱とミー散乱があって・・・」 という話から始まったのでは、なかなかイメージが湧きません。 しかし、まず「なるほど!」と感じてから、 そのカラクリ(ここでは「レイリー散乱」)を勉強すれば、 頭の中にしっかりと定着するはずです。 もし、気象予報士試験に初めて挑戦しようと思っておられるのであれば、 カラー写真やイラストが豊富に載った本をめくることから始めて下さい。 これらの本で興味をさらに高めることができれば、 次のステップ、つまり少々難しい理論でも頑張って勉強できるはずです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 65、ミニノート活用術 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験に限った話ではありませんが、 効率的に勉強を進めていくために大事なことは、 分からない部分を自分でしっかりと把握することです。 どの部分が納得できないか? どの部分がスッキリしないか? これは、他人から容易に見て分かるものではありませんから、 自分できちんと把握して、解決しようと思わない限り、 分からない部分は、いつまで経っても分からないままです。 「分からない」を「分かった!」に変えるために、 参考書で調べたり、講師に質問したりすることは大事なことですが、 その前にやるべき重要なことがあります。 それは、「分からない部分を忘れてしまわない」ということです。 当たり前のことのように思えますが、これが大切です。 テキストを読んでいて、「この文章の意味が分からないな」と感じたら、 絶対にそのままにしておかないことです。 放っておくと、いつの間にか「分からなかったこと」自体を忘れてしまい、 レベルアップする機会を逃してしまいます。 ですから、分からない部分が出てきたときは、 すぐにメモする癖を付けておきましょう。 ここで大事なことは、できるだけ面倒くさくない方法を選ぶことです。 「メモをするのがおっくうだ」と感じるようでは、メモ癖が身につきません。 私の場合、コクヨ製の小さなノートを愛用しています。 コクヨの「キャンパスノート」はコンビニでも売っていますから、 皆さんもご存じだと思いますが、 このシリーズの中に、「縦10.2cm×横7.2cm」のミニノートがあるのです。 (↓の一覧表の一番下の「ノ−242A」という商品です。) http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/campus/lineup/a.html このノートの良いところを挙げてみますと、 1,コンパクトで、軽いこと 2,紙がバラバラにならないこと 3,安いこと まず、1は非常に大事です。 シャツやズボンのポケットにも収まりますから、 持ち運ぶ際のストレスが全くありません。 持ち歩いていることを忘れてしまうくらいの大きさ・重さこそ、 メモ帳として最適だと思います。 次に2ですが、いわゆる電話機の横に置いてあるような「メモ帳」、 つまり、紙を一枚ずつはがせるタイプのものは、 この条件を満たしていません。 以前、私はこういったメモ帳を持ち歩いていましたが、 毎日持ち歩くうちに、紙がバラバラになってくるのです。 それがイヤになって、持ち歩くのをやめてしまいました。 ノート型なら、紙が分離することもありませんから、 後から見返すことも簡単です。 それから3ですが、このミニノートは一冊50円ほどで売っています。 安いからこそ、無造作にバンバン使えるのです。 なまじ高価な手帳を買っても、大事に鞄の中に入れているだけでは、 ただのファッションでしかありません。 読者の皆さんの中には、「携帯電話でメモすれば良いのでは?」 とお考えになる方もおられると思います。 それが便利だと思う方は、そうされると良いでしょう。 私自身もメモ帳を忘れてしまった場合などは、 携帯メールを自宅のパソコンメールに送ることで、 メモ代わりにすることがあります。 ただ、指で文字を打つのが苦手なので、 やっぱり、紙とペンを使うのが一番楽だと感じます。 勉強で分からないことがあれば、どんどんメモしていきましょう。 そして、その内容が解決すれば、 ミニノートに残っているメモを、赤のサインペンで線を引いて消すのです。 赤のサインペンで消すことに快感を覚えるようになれば、 メモ帳を充分に活用できている証拠です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 66、二次試験まで、あと5か月。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 試験が終わり、ほっとされている方も多いことでしょう。 猛勉強の疲れをとるために、ゆっくりと休まれるのも良いかと思います。 しかし、自己採点で不合格だった可能性の高い人は、 なるべく早い段階で勉強を再開されることをお勧めします。 来年1月の試験を良い状態で臨むためです。 1月の試験から8月の試験までの期間が、7か月あるのに対し、 8月の試験から来年1月の試験までの期間は、5か月しかないのです。 さらに、10月の合格発表を待ってから勉強を始めるのは圧倒的に不利です。 その時点で残された時間は3か月半しかありませんし、 試験後、1か月以上も勉強から離れていると、 間違いなく成績は下がっていると考えるべきです。 ちょっと極端な表現かも知れませんが、 大学入試で例えれば、今回の試験を「センター試験」、 来年1月に行われる試験を「二次試験」、 と捉えるくらいの気持ちが大切だと思います。 今回の試験で何も合格できなかった方は、 勉強に対するモチベーションを維持できるかどうか、 ご自身に問いかけてみて下さい。 もし、くじけずに勉強を継続していけるのであれば、 来年1月の試験で何か結果を出せるように頑張っていきましょう。 今回の得点によって、今後にするべき勉強法が異なります。 詳細は以前に書いた「53、半年後の試験に備えて」をお読み下さい。 今回の試験で「一般だけ合格」「専門だけ合格」の方は、 これで合格への階段を一段上ったことになります。 次のステップは、1月の試験で残りの学科試験に合格することです。 そうすれば、2月から実技試験の勉強に専念できますし、 8月で完全合格も視野に入ってくるでしょう。 今回の試験で両方の学科試験に合格された方は、 いよいよ実技試験の勉強に力を入れていくことになります。 ただし、これまで実技の勉強を全くしたことがない方が、 来年1月で合格するのは相当な努力が必要となるでしょう。 1月は「運良くいけば合格」、8月は「確実に合格」、 といったプランを立てるのが良いと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 67,「お天気」と「気象学」のギャップに耐える。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「天気に興味があるので、気象予報士試験に挑戦したいのですが・・・。」 このようなご質問をいただくことがよくあります。 もちろん、勉強をされるうえで気象に対する興味は大切です。 気象予報士を目指すのに、「天気なんて興味ない」では困ります。 ただ、「空に対する興味」だけでは、 勉強に対するモチベーションを維持できない恐れがあることにご注意下さい。 それだけ気象予報士試験が難関資格であるということであり、 学問としての「気象」が持つ、奥深さを意味することでもあります。 青い空・白い雲・心地良い風・清々しい空気・美しい虹・・・。 地球が織りなす美しい光景に魅せられて、 気象を学ぼうとお考えになる方も多いことでしょう。 それが勉強を始めるきっかけとなるのは良いのですが、 学問として、資格試験として、気象を学ぶことになれば、 ややこしい物理や数学についての勉強もしなければなりません。 気象予報士試験で要求される物理や数学のレベルは、 大学受験より難易度が低いとはいえ、学生時代に「文系」だった方にとっては、 苦痛に感じられる場面もあるのではないかと思います。 どんなことでも、そうだと思いますが、 「お遊び」で満足するだけなら、敢えて苦労をする必要はありません。 しかし、一定以上の水準に達したいと望むのであれば、 それなりの努力は避けられないのです。 例えば、趣味として野球を嗜むのであれば、 月に一回程度、ゲームを行うことで充分に楽しめるでしょう。 でも、甲子園に出場したいとか、プロの選手になりたいということであれば、 素振りや投げ込みといった、地味なトレーニングが欠かせません。 気象だって同じです。空を見るのが好きで、気象の図鑑を眺めているだけなら、 テレビの気象キャスターの解説を聞いているだけなら、 「静力学平衡」も「コリオリの力」も知る必要はありません。 しかし、気象予報士試験の合格を目指すのであれば、 自分自身が気象キャスターとなって解説を行いたいのであれば、 表面的な現象の裏に存在する理論を学ぶことが不可欠となります。 特に気象は、「現象」と「理論」の解離が大きい学問であると言えます。 それだけに、天気が好きな人ほど、 気象学の本を開いたときに途惑うことになります。 しかし、気象予報士試験の合格を目指すなら、ここから逃げてはいけません。 理論を学べば、それまでバラバラだった知識が、線で結ばれるようになります。 それは、もっと天気が面白くなることを意味するのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 68,参考書を活用する方法。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 大阪市内で「気象予報士試験講座」の授業を終えた後、 私は月に一度程度、大型書店に立ち寄ります。 もちろん、新しい気象関連の本が出ていないかをチェックするためです。 最近は特に気象予報士試験対策の本が充実してきました。 そこで、以前に開いた「おすすめ気象BOOK」というページを更新しました。 勉強の進み具合に応じて、分類しています。 このように、質の良い参考書がたくさんあることは、 受験生にとって非常に有利なことなのです。 そして、何よりも大事なのは参考書を上手く生かすことです。 つまり、参考書に書かれた知識を適切に吸収し、 それを自分のものにすることによって、試験突破のための実力となるのです。 そこで、参考書を充分に生かす方法として、次の3つを挙げたいと思います。 1,自分のレベルに合った参考書を選ぶ。 2,買った参考書は必ず読む。 3,参考書を読んで理解した後は、自分で要点をまとめる。 では、順番に1つずつ見ていきましょう。 1,自分のレベルに合った参考書を選ぶ。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 参考書のレベルが現在の自分の実力に合っていなければ、 勉強を続けるのが苦しくなってきます。 例えば、小倉義光先生の『一般気象学』がいくら名著だと言っても、 気象を始めて学ぼうとする文系の受験生には、 決して勉強に適しているとは言えないと私は思うのです。 「早く合格したい」という気持ちが強い方ほど、 レベルの高い本を求めようとする傾向がありますが、「急がば回れ」です。 途中で挫折してしまっては、それこそ合格から遠ざかってしまいます。 やさしい本から始めて、徐々にレベルを上げていくのが良いでしょう。 2,買った参考書は必ず読む。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 当たり前のことですが、本を読まずに内容を理解することは不可能です。 (速読術の達人でも、中身はちゃんと読んでいるはずです。) でも、本を買うことで満足感を得てしまうことって結構あるのですね。 はい、私もその一人です。オークションで落札した瞬間が一番うれしいです。 でも、そんなことを続けているうちに、いつの間にか、 書棚には読めもしない洋書が10冊以上並んでいます・・・。 本をたくさん買うと、自分の頭が良くなったような錯覚を覚えますが、 キチンと読まない限り、知識が増えることはありません。 持っている本の数が多いほど、目移りしてしまい、 結局、どの本も丁寧に熟読できなくなるものです。 極論を言えば、1冊しかない優れた参考書をボロボロになるまで、 トコトンまで使いこなすほうが、効果は上がりやすいと言えます。 3,参考書を読んで理解した後は、要点をまとめる。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 試験勉強をするうえで大切なのは、 詰め込んだ知識を自分の頭の中でキチンと整理することです。 丁寧な説明が書かれている参考書は、最初に勉強する上で非常に役立ちますが、 それを理解できた後は、結論だけを短くまとめたようなもののほうが、 試験対策としては有効であると思われます。 ちなみに、これをゼロから作成するのは大変ですので、 私が主宰する塾では、授業時にプリント教材をお渡ししています。 これを土台にして、講義内容などを書き込んでいくことで、 自分だけのオリジナル教材が完成するというわけです。 ある受講生の方のオリジナル教材をご紹介しましょう。 写真をクリックすると、別ウィンドウが開いて拡大表示されます。 (注1:受講生の承諾を得たうえで掲載しています。) (注2:写真に写っている紙のうち、印刷文字が書かれた左半分のみが当塾配布分です。 右側は受講生が紙幅を拡張し、講義内容等を書き込んでおられています。これも一つの活用法です。) 特に「自分でペンを動かす」という作業は大事だと思います。 「読む」という行為は、書物を通して授業を受けているようなもので、 言ってみれば、一方的に話を聞いているのと似ています。 しかし、ここに「書く」という行為が加わることによって、 より理解が深まることになります。 例えば、専門用語の意味を赤ボールペンで書き込んでおくだけで、 本を再読するときに、スムーズに読み進めることができます。 本の中に字を書くことに対して躊躇される方もおられるかも知れませんが、 勉強効率を薦めたいのであれば、書き込みは行うべきだと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 69,試験結果の分析から得られる教訓 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 以前にも調べたことがありますが、 財団法人気象業務支援センターが発表された情報をもとに、 今回(第28回試験)も「受験生の状況別合格率」を算出してみました。 サンプル数の最も多い東京会場をもとにした推定値です。 学科試験の免除なし・・・・・・約0.5% 一般または専門のみ免除・・・・約4% 一般・専門とも免除・・・・・・約20% 状況別受験者数は明らかではありませんが、 3つのケースを平均した合格率は約4%と、 発表された合格率4.3%に近い数字が出ましたので、 上記の試算は、かなり精度の高い推定値ではないかと考えています。 やはり、このデータから学ぶべきことは、 「学科試験の勉強が不十分では、完全合格は望めない」ということです。 特に一般・専門のどちらにも合格していない受験生の合格率は0.5%です。 この中には、以前に学科試験に合格していながら、 免除期間が過ぎたために、再挑戦された方も含まれていることでしょう。 おそらく、そういった方々を除いた合格率はゼロに近いと思います。 両方の学科試験に合格している方の完全合格率が非常に高いのは、 次のような理由が考えられます。 1,実技試験の勉強だけに全力を注ぐことができたから。 2,実技試験の勉強をするための基礎知識が豊富だから。 3,真剣に合格を目指す方ばかりだから。 まず1についてですが、学科試験(一般・専門)と実技試験の勉強を、 同時並行で行っていくのは時間的になかなか大変なことです。 例えてみれば、チャンバラで一人の敵だけを相手に戦うか、 二人または三人の敵と同時に戦うかの違いがあります。 特に次の試験までの時間が充分でない場合は、 合格を目指すべき試験を絞っていくことも一つの作戦です。 2についてですが、「学科試験の勉強を充分にやりなさい」といったことは、 多くの参考書に書いてあることだと思います。 その理由は「学科試験に合格しないと、実技試験を採点してもらえない」 という、試験のシステム上の話だけではありません。 むしろ、「学科の知識が不十分だと、実技の勉強が進みにくい」 というのが、実質的な理由です。 例えば、一般知識の勉強において「放射」の概念が曖昧であれば、 専門知識の勉強で、「気象衛星による赤外画像」の意味が分かりにくく、 実技試験における「衛星画像の読み取り」が正しくできない、 といった具合です。 「学科の復習を丁寧にしたら、実技の勉強が進みやすくなった」 という受講生からのご感想をいただくことがありますが、 まさにそれを示しています。 3については「合格率の低さに悲観しないで」ということを述べたいのです。 確かに今回(第28回)の試験での合格率は4.3%で、 単純に考えれば「23人に1人しか合格しない」試験です。 それに対し、新司法試験(平成19年)の合格率は約40%でした。 分野がまるで違うので、単純に比べることはできませんが、 「気象予報士試験のほうが10倍難しい」と考える人はまずいないでしょう。 新司法試験の受験者は、法科大学院で2年〜3年も勉強されているのです。 合格率と難易度は必ずしも連動するものではないことが、 お分かりいただけるかと思います。 気象予報士は世間でもよく知られた資格であり、 「学歴不問」「中学生や高校生でも合格した」という事実に、 「テレビのお天気キャスター」というイメージがあります。 このため、(善し悪しは別として)ミーハーな気持ちで受験される方が、 一定数おられると想像しています。 全体の合格率がここまで低い理由の一つではないかと私は考えています。 もちろん、難関試験であることは事実ですが、 真剣に勉強して試験に臨んだ方の合格率は、もっと高いはずです。 (ここで言う「真剣に勉強」とは、一時的に奮起することではなく、 地道に長時間にわたって勉強を懸命に続けることを指します。) 学科試験から着実に勉強を重ねていけば、 きっと合格に到達できると、私は確信しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 70,観察→分析→実行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ かつて、「『学び』は『真似ること』から始まる」ということを、 大学の講義で耳にしたことがあります。 気象キャスターと塾講師を掛け持ちしていた私にとって、 大学の教室というのは、昼寝か読書の場でしたが、 卒業して6年経った今でも、この言葉は印象に残っています。 「○○を習得したい」と考えたときに、まず成すべきことは、 すでに習得した人間が、どのようにして成功したのかを知ることです。 そのためには、観察が欠かせません。 鉄棒の逆上がり・自転車の練習・縄跳びの二重跳びなどにおいて、 上手くできる人の技をじっくり観察された経験が、誰でもあるはずです。 気象予報士試験だって同じです。 メルマガなどで「勉強仲間を作りましょう」とよく言ってますが、 これは「真剣な受験生はどのくらい勉強しているのか」ということを、 実際に見聞きすることの重要性も含んでいます。 気象予報士試験は大学入試と異なり、絶対的な受験者数が少ないですから、 どうしても、一人で試験攻略を練ることが多くなります。 このため、「井の中の蛙」状態になり、 行うべき勉強量についても正確に見極めることが難しいのです。 (もっとハッキリ言えば、甘く見積もりがちになります。) ですから、「試験に合格するために必要なこと」を、 意識して入手することが必要なのです。 「気象キャスターを目指すこと」ついても同様です。 試験というのはレールが引かれていますから、まだ攻略しやすいのです。 そのレール上を一生懸命に走れば、「合格」という名の駅に到着します。 しかし、キャスターになるために決まった道などありません。 つまり、自分で道を拓くことから始めなければならないのであって、 その点では、試験に合格することよりも難しいのです。 だからこそ、すでに気象キャスターになった人から、学ぶことが大事なのです。 直接にあって話を聞くのがベストでしょうが、なかなか難しいことですから、 「あの人は、どのようにしてキャスターになったのだろう?」と、 いろいろ調べてみると良いでしょう。 著書やインタビュー記事などで、経緯を公開されている方もいるはずです。 これらの情報は非常に貴重なもなのですが、 成功者の体験談というのは、ある意味で「自慢話」ですから、 なかなか気前良く、詳細を語っておられたりするものです。 もちろん、情報を入手するだけで満足していてはいけません。 仕入れた情報を分析・加工したうえで、実行することが大切です。 「見る」「聞く」だけではなく、 それを基にして「真似る」ことが「学ぶ」ことなのですから。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 71,気象業界で仕事をしたい方へ(前編) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ おかげさまで、当メルマガを発行してから3年近くが経ち、 購読されている方は700名以上になりました。(まぐまぐ+melma!) 「気象予報士」「お天気キャスター」という、 限られたテーマを取り扱っているメルマガであるにも関わらず、 これだけ多くの方にお読みいただけるのは、うれしい限りです。 「よくネタが尽きませんね。」とも言われますが、 発行日が近くなると、ワーワー言いながら頭を抱えているのですよ。 無料誌とはいえ、読者の皆様に役立つ情報をお届けすべきですからね。 読者の皆様は、どんな情報を知りたいと思っておられるのか? そこで、Yahoo!を使って「気象予報士」と検索ワードを入れてみました。 そうすると、「気象予報士」と一緒に検索する言葉が自動的に出てくるのです。 これは「関連検索ワード」と呼ばれていて、合計10種類が出てきました。 1,気象予報士 試験 2,気象予報士 就職 3,nhk 気象予報士 4,気象予報士 求人 5,気象予報士 資格 6,気象予報士 合格率 7,気象予報士 独学 8,気象予報士 仕事 9,気象予報士 給料 10,気象予報士 根本 入手したい情報の種類は、大きく3つに分類できるようですね。 まず、1・6・7は、気象予報士試験についての情報を求めている方。 それから、3と10は、関心のある気象キャスターについて知りたい、 と思っておられる方の検索と考えられます。 残りの2・4・5・8・9については、 気象予報士の資格を生かした就職に興味がある方で、 ここでの10種類のうち、実に半分を占めていることが分かります。 実際、私自身もある週刊誌から、 「業界の給料」というテーマで取材を受けたことがあります。 多くの方にとって関心があるのは、おそらく次の質問でしょう。 質問:気象会社の給料ってどのくらいですか? 回答:私は450万円くらいでした。 正直なところ、私は気象業界全体の給与水準を知りませんし、 お世話になった会社の給与体系をベラベラ喋るのも憚られましたから、 素直に自分が受け取っていた年俸を答えました。 これを安いと見るか、高いと見るかは、人それぞれでしょうが、 新入社員のときから、この金額をいただけたのは良かったと思います。 私が勤務していたウェザーニューズは上場(東証一部)していますから、 『会社四季報』を見ると、全社員の平均年収が載っています。 2007年3集(夏号)には、521万円とあります。 このメルマガをお読みになっている方の中には、 「気象会社で働いてみたい」「気象業界へ転職したい」 「気象キャスターになりたい」と思っておられる方が多いはずです。 「就職のために気象予報士の資格を取るのだ」という方も多いでしょう。 しかし、大事なのは「資格」だけではありません。 それについては、次回のメルマガで述べることにしましょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 72,気象業界で仕事をしたい方へ(後編) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 読者の皆さんにお尋ねします。 料理人を目指す人が、調理師試験の勉強だけをしていて良いのでしょうか? 起業を志す人が『株式会社を作る方法』という本を読むだけで良いのでしょうか? もちろんダメに決まっています。 料理人にとって調理師の免許は必要なものでしょうが、 それを取得しただけで料理人になれるわけではありません。 むしろ、自分の好きな料理店に飛び込んで、 雑用でも何でもして働きながら、料理技術を学ぶことのほうが、 優れた料理人になるために大事なことではないかと私は思うのです。 起業するために、株式会社の設立は必ずしも必要なものではありません。 業態にもよりますが、最初は個人経営で構わないことが多いのです。 起業とは「業を起こす」と書きます。つまり、大事なのは「業」の中身です。 中身が優れていれば、事業は拡大し、売上も増加することでしょう。 その時点で、法人化を考えれば良いのです。 中身が充実していないのに、箱のことばかり考えているようでは、 事業の立ち上げさえもおぼつかないと言わざるを得ません。 誰しも、「調理師」とか「代表取締役」といった、 名刺に刷り込めるような肩書を持つことを格好良いと感じます。 それを目標にして頑張ることも良いでしょう。 しかし、肩書を得ることが、中身を得ることになるとは限らないわけです。 気象予報士試験の勉強も同じです。 単なる趣味や生涯学習として、試験勉強をされるのであれば、 資格取得後のことをとやかくお考えになる必要はありません。 しかし、この気象予報士資格を就職や転職に生かしたい、 つまり、資格を取得することによる実利も得たいというのであれば、 試験勉強以外にするべきことがあるということです。 ここで注意しておかねばならないことがあります。 「気象予報士の資格を持っている」ということだけで、 就職や転職がフリーパスになることなど、あり得ない話だということです。 これはどんな難関資格にも言えることではないでしょうか。 仮に「取得すれば絶対に就職できる」と言われる資格があったとしましょう。 そういった資格試験には、必ず受験者が殺到することになります。 受験者数の増加に伴い、普通は試験合格者も増えることになりますが、 業界における雇用者数は急に増えるものではありませんから、 その資格を生かした専門職に就けない人が必ず出てくるわけです。 結局、その資格は「取得しても就職できるとは限らない資格」になります。 もちろん、気象業界を目指す方にとって、 気象予報士の勉強に取り組むことが大事であることは言うまでもありません。 しかし、気象予報士試験合格が「終着点」ではなく「経由地」であり、 先にある目標を持っている人にとっては、 その目標を達成するために考え、行動することが非常に大切です。 同じ目標を持った仲間をつくり、コミュニケーションを図ることで、 一人で行動するときよりも多くの情報が集まるはずです。 読者の皆さんの中には、気象予報士試験の勉強をするために、 スクールに通っておられる方も大勢いらっしゃることでしょう。 スクールを単なる勉強の場と考えるだけではなく、 受講生どうしで情報交換をする場と考えることも大切です。 合格後の目標や夢を語り合うことによって、 「今の自分が行うべきこと」を、より具体化させていくことができるからです。 それが試験勉強に対する原動力にもなるのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 73,勉強の質と量を確保するために。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ よく言われているように、勉強量は「質×時間」で表されます。 集中した状態で長時間の勉強を続けることができれば、 時間あたりの勉強効率が最も高くなるというわけです。 では、具体的に質と量を高めるためにはどうすれば良いのか? 私が思っていることを3つご紹介します。 1,スキマ時間を勉強に活用せよ。 2,疑問点を洗い出し、それを解決することを心がけよ。 3,便利な道具が必ずしも勉強に役立つとは限らないと考えよ。 まず、1についてですが、 机に向かって「さあ、これから2時間みっちりやるぞ」だけが、 つまり、連続した長い時間だけが勉強時間ではないということです。 5分や10分の時間であっても、参考書を広げることはできるのです。 1日において、まとまった勉強時間を確保できれば理想ですが、 それができなくても、1日の中に勉強時間を溶け込ませることは可能です。 人と会う約束をしていて待っている時間や、電車に乗っている時間など、 ちょっとしたスキマ時間はいくらでも見つかるものです。 例えば、私は風呂に入っているときにCDやテープを聴くことがあります。 冬は長風呂で体を温めたいところですが、黙って入っているのは暇です。 テープやCDを聴いていると暇にならず、一石二鳥なのです。 スキマ時間そのものは決して長くありませんが、 1日のスキマ時間を全て勉強に充てれば、 意外なほどの勉強時間を確保できるものです。 勉強時間を増やすために、とかく睡眠を削りたがる人がいますが、 昼間に頭がボンヤリしてしまうほどに睡眠を削ると、 かえって勉強の質が悪くなりますし、何よりも体に毒です。 →関連記事「60、睡眠時間を削って勉強するのは有効か?」 次に、2についてです。 例えば参考書を広げるときに、漠然と読み進めるだけではダメです。 重要な箇所に線を引くことも大事でしょうが、 それよりも大切なことは、「疑問点を洗い出すこと」です。 普通は参考書をサラッと1回だけ読んだだけで、 その内容が完全に理解できるということはありません。 「よく分からない部分」が必ず出てきます。 その部分を解決してこそ、理解が深まり、実力がアップするわけですから、 絶対に放置していてはいけません。 本に付箋を挟んだり、メモするなどして、 どの部分が理解できていないのかをチェックすることが大事です。 つまり本を読むときは、次のサイクルを繰り返すことを意味します。 読む→分からない部分を見つける→分からない部分を解決する→再び読む これを繰り返すことによって、少しずつレベルアップし、 やがて一冊の本全体の内容を理解することにつながるわけです。 →関連記事「68,参考書を活用する方法。」 最後に3についてです。 科学技術の進歩に伴い、便利な道具が数多くあります。 例えば、図書館で借りた本の中に重要な記事が載っていた場合も、 コピー機を使えば、簡単に記事を複写できます。 しかし、便利な道具は必ずしも勉強に役立つとは限りません。 コピーしてノートに貼り付ければ、1分で済みますが、 それだけで満足してしまって、記事を熟読しないのであれば、 頭の中には何も入らないことになります。 コピー機がなかった時代は、ノートに書き写していたわけで、 その作業は実に大変だったでしょう。 しかし、筆写することで必然的に記事をよく読むことになり、 きちんと頭に残りますから、勉強になるわけです。 昔の学者は本を書き写すことによって、本を手に入れていました。 おそらく、それ自体が勉強になっていたのだと思います。 もう一つ例を挙げましょう。 私は大学時代にMDプレーヤーで講義を録音したことがあります。 講義を収録しておけば、聴き漏らしたときも心配なないし、 家でも勉強できるだろう、そう思ったわけです。 しかし、その試みは失敗に終わりました。 まず「録音しているから、いつでも聴ける」という状態が、 気持ちの緩みを生み出し、講義中の居眠りが多くなりました。 では、録音した講義を家で聴いたかというと、そうではありませんでした。 自宅での1講義90分という時間は、教室にいるときよりも長く感じられ、 とても最後まで聴くだけの集中力が維持できなかったのです。 道具に頼ったために、勉強が頓挫してしまった例です。 逆に「授業の録音厳禁。ノートを取ることも一切許さん。」という状況なら、 先生の講義を一言も聴き漏らさぬよう、全神経を集中させ、 聴いた内容を必死で理解するように頭を働かせながら、 授業を受けたことでしょう。(スパイ養成学校みたいですね) つまり、これらのことから言えるのは、 あくまでも自分の頭に知識を入れるのが勉強だということであり、 道具はそれを助けるものであるということ。 道具の存在が、勉強を怠けさせてしまうのであれば、 その道具は自分には合っていないということなのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 74,転職の準備としての受験勉強 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 転職をする際の格言として「猿の枝渡り」というものがあるそうです。 猿が木から落ちることなく、枝から枝へ上手に渡ることができるのは、 必ず次の枝をしっかりと掴んでから、それまで掴んでいた枝を離すからです。 つまり、『転職先が決まるまで、今の会社を辞めてはならない。』というのが、 転職を成功させるための原則だそうです。 転職先も決まっていないのに、今の会社に辞表を叩き付けていては、 木から落ちてしまう危険が高いということですね。 現在、気象キャスターとして活躍されている方の中には、 キャスターになる以前に、現在とは違った仕事をされていた方もおられます。 いわば、気象キャスターに「転職」されたとも言えるでしょう。 ご存じのとおり、気象キャスターになるためには、 気象予報士の資格が非常に重要視されるようになっています。 これは法律で決まっているわけでも何でもありません。 しかし、「気象キャスターは気象予報士の有資格者だ」というのが、 すでに世間一般での認識になっていると思われます。 ですから、それまで気象を学んだことのない方が気象キャスターを目指すとき、 気象予報士試験の勉強からスタートするというのは、 自然な流れであると言えるでしょう。 ここで「猿の枝渡り」の法則を当てはめてみると、 会社勤務を続けながら、気象予報士試験の勉強をすることを意味します。 しかし、これは決して容易なことではありません。 気象予報士試験が難関であることは、メルマガで何度も書いてきましたし、 少しでも勉強をかじったことのある方であれば、何方でもご存じでしょう。 試験突破のためには、少なからぬ時間を勉強に充てる必要があります。 例えば、夕方6時に会社の勤務が終わるとしましょう。 仕事を終えて疲れた体にアルコールでも入れたいと思うわけですが、 ベロベロに酔ってしまっては勉強になりません。 会社から真っ直ぐ家に帰って、夕食を終えた後、 1時間でも2時間でも、参考書や問題集と格闘せねばなりません。 もし、塾や予備校の類に関与するのであれば、 週に1回くらいは会社からスクールへ直行し、講義を受けることになります。 同僚が居酒屋やカラオケ店でワイワイ騒いでいたりしているときに、 将来の夢に向かって黙々と学び続けるわけです。 このように、仕事を続けながらも勉強を重ね、 気象予報士試験に合格した人を私は数多く知っています。 目標をしっかり設定し、自分を律して努力を続けることができれば、 気象予報士試験を突破することは可能であると考えます。 しかし、現在の仕事が極端に忙しく、 どうしても勉強時間を確保することが難しいのであれば、 今の環境を変えることも一つの手段ではないかと思います。 と言いますのも、『仕事で忙しい』というのは、 勉強を中断するための「正当でカッコイイ理由」になってしまうからです。 「遊んでいて勉強できていない」というのは、誰しも後ろめたさを感じます。 しかし、「仕事で忙しいから勉強できない」という理由ほど、 自分自身に対して、大義名分の立つ言い訳はありません。 後ろめたさを感じないぶんだけ、危険なわけです。 「中断」はやがて「永断」になり、目標は未達成のまま消えてしまいます。 趣味で気象予報士資格を取るのであれば、 現在の仕事を最優先するのが、一番正しい選択でしょう。 時間に余裕ができた段階で、ボチボチ勉強を再開すれば良いのです。 しかし、早く資格を取得してキャスターを目指したい、ということであれば、 会社を辞めて、勉強に専念するのも一つの選択肢であると思うのです。 例えば、長い人生の中で1年間を勉強に捧げることを考えます。 睡眠を充分に取った新鮮な頭で、毎日5時間の勉強を続けるのです。 日曜日だけを休日とし、残り週6日を勉強に充てれば、 1年間で約300日、つまり約1500時間を確保できます。 勉強量は時間だけで決まるものではありませんが、 適切な勉強法と適切な指導書(または指導者)が備わっていれば、 初めて気象の勉強をする人にとっても、 1500時間は気象予報士試験合格のために充分な時間であると思われます。 もちろん、会社を辞めてまで勉強に専念するというのは大きなリスクであり、 安易な気持ちで、それを選択するべきではありません。 まずは、何とかして勉強時間を捻出することをお考え下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 75,気象予報士を志す学生さんへ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメルマガをお読みの方の中には、学生さんも少なくないと思いますので、 今回は「学生時代に気象予報士資格を取得する」ことについて書きます。 思えば、私自身も高校在学中に資格をいただいたわけですが、 その経験も踏まえて、学生には3つの有利な点があると考えます。 1,中学〜高校時代に学んだことを生かせる 2,勉強時間を確保しやすい 3,期限を定めて集中できる 1については、学科試験(特に一般知識)の勉強を行う際に言えることです。 やはり、高校時代に「地学」を履修された方や、 センター試験・2次試験で「地学」を受験科目にされた方は有利です。 少なくとも、導入部分の学習はスムーズに進むことでしょう。 また、地学そのものを学んでいなくても、 中学〜高校時代に勉強した物理や数学の知識は役立ちます。 気象予報士試験では、基礎的な物理や数学の素養が求められるからです。 2については、「3つの利点」の中で最も大きな部分です。 学生ほど時間に恵まれている人々は、それほど多くありません。 平日の朝8時の時点で、布団の中にいる割合が最も高いのが、 大学生ではないかと思っています。(私もそうでしたからね。) もちろん、単位に厳しい学部や学科もあるでしょうから、 一括りに「学生はヒマである」と断じるつもりはありませんが、 「気象予報士試験の勉強をしたい」と思ったときに、 社会人よりも一定の勉強時間を確保しやすいことは明らかです。 どんな資格試験であれ、「難関」とされる試験を攻略するためには、 充分な勉強量を確保しなければ、合格できません。 卒業して就職すれば、勉強時間の捻出に苦心することが多くなるはずです。 3については、心理的な後押しが期待できるということです。 「就職活動までに資格を取りたい」「卒業までに合格したい」という、 期限の付いた目標を、学生の皆さんは掲げておられることでしょう。 目標を達成せねばならない期日が決まっていれば、 自ずとそれに合わせる形で勉強スケジュールを組むことになります。 敢えて自分を追い込むことによって、頑張る気持ちを高めるわけです。 これは試験勉強だけでなく、多くの仕事にも言えるのではないでしょうか。 このメルマガも今回で75話を数えますが、ここまで続けて発行できたのも、 「隔週で発行する」という縛りがあるからです。 「不定期発行」であれば、おそらく続かなかったことでしょう。 社会人の場合、直接に仕事が絡んでいる場合を除き、 資格試験の勉強に対して明確な期限を設定することが難しく、 この点でも、学生に有利な部分があると言えます。 これまでに学生にとって有利な部分を述べてきましたが、 それらを生かして勉強に励めるかどうかは、その人次第です。 学生さんの場合、明確な目標が定まっていない方もおられることでしょう。 「なんとなく・・・気象予報士」という意識で勉強していても、 いたずらに時間が過ぎていくだけです。 学生時代に成すべきことを真剣に考え抜いて、 その結論が「気象予報士資格取得」なのであるならば、 あとは目標に向かって真っ直ぐに走り続けるのが良いと思うのです。 また、意欲的な学生さんの傾向として、 「あの資格も取りたい」「この資格も学びたい」といった、 幕の内弁当的な志向が見られます。 しかし、気象予報士を目指すのであれば、「選択と集中」をお勧めします。 ただでさえ、学校の勉強を抱えているわけです。 タコのように足を広げすぎると、どれも中途半端で終わる可能性があります。 いろいろなことに挑戦する気持ちは大切だと思うのですが、 「私は学生時代に、これを勉強した!」と胸を張って言えるような成果は、 決して片手間で得られるものではないということです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 76、走り続けることができた人だけ合格できる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験を陸上競技に例えると、「マラソン」であると言えます。 短い期間での集中した勉強で結果が左右される短距離走ではなく、 長期間に及ぶ勉強の積み重ねが合否を決める長距離レースなのです。 長距離レースを成功させるためには、大事なことが2つあります。 1,ゴール(試験合格)までの長期的な計画を立てる 2,計画に沿って、着実に勉強を進める まず、1は計画を立てることの重要性です。 気象予報士試験は、学科試験から順番に合格していくことができますから、 「一般知識試験→専門知識試験→実技試験」と学習計画を立てやすいのです。 誰でも「一気に全ての試験に合格したい」と望むものですが、 自分の勉強量がそれに追いつかなければ、結果は出ません。 目標を限定したほうが勉強範囲が小さくなるため、達成しやすくなるのです。 次回試験での目標が決まったら、 今度は目標を達成するために成すべき具体的な勉強量を考えます。 例えば、一般知識試験合格のために、過去問題全てを演習することを考えれば、 15問×29回=435問もあるわけです。 一日の勉強で5問ずつ取り組めば、87日かかることになります。 次の試験まで半年ほど残っているならば、 このプログラムを2回繰り返して勉強するのが良いだろう、 といった感じで計画を立てていくわけです。 2は、勉強習慣を付けることの重要性です。 油のように一時に激しく燃えるような勉強はお勧めできません。 例えば、睡眠時間を削った無茶な勉強は続かないのです。 炭のように長く燃え続ける勉強が理想的です。 また、やる気の炎は一度消えてしまうと、再点火するのが難しくなります。 消えていた時間が長いほど、燃えにくくなっていきます。 勉強しないことが、習慣として定着してしまうからです。 中には、試験直前になって慌てて猛勉強を始める方がおられますが、 この時点で走り出しても、間に合わないことが多いのです。 「気象予報士試験はマラソンである」と最初に述べました。 合格率5%である気象予報士試験を、1000人で行うマラソンレースに例えると、 上位50人の選手だけが入賞、つまり合格を手にすることができるのです。 後方にいる選手が35km地点からラストスパートをかけても、 上位陣に食い込んでいくことは、もはや困難です。 今日、気象予報士試験が終わったわけですが、 それは同時に、次のレース(試験)が始まったことを意味します。 次の試験に取り組む必要のある方は、 明日からでも勉強を再開されることをお勧めします。 次のゴールを目指して、計画を立てていきましょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 77、少しずつ知識を積み上げる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 昨日(2008年2月9日)は、奈良でも雪が積もりました。 奈良県の平野部では北風に乗って小雪が舞うことはあっても、 街が雪化粧するほどの積雪は珍しいのです。 子供のときの私にとって、雪が積もることは心を躍らせる出来事でした。 どんなときに雪が降るのか? どんなときに雪は解けずに積もるのか? こういった興味が、気象の勉強を始めたきっかけとなっています。 空から落ちてくる一つ一つの雪片は小さなものですが、 一定の強度で長時間降り続くことで、景色を真っ白に変えてしまうわけです。 勉強もこれと似ているような気がします。 少しずつでも継続して学んでいくことによって、 着実に頭の中に、知識が積み上がっていくことでしょう。 解ける雪よりも、新たに降る雪のほうが多ければ、 積雪が深くなっていくのと同じように、 忘れてゆく知識を上回る勉強を続けることができれば、 驚くほどの蓄積が出来上がるに違いありません。 このメルマガでも、何度かご紹介しましたが、 私は昨年春(2007年4月)から、小さなメルマガを発行しています。 気象予報士試験に関連する簡単な問題を一つずつ、 土日祝日を除く毎平日にお送りしてきました。 風邪をひいたときに、お休みしてしまったこともありますが、 それを除けば、ほぼ休刊することなく発行を続け、 お陰様で200回を超える発行を行うことができました。 もちろん、これからも発行を続けていきます。 メルマガ誌上で問題を配信する理由は、 もちろん気象を勉強する面白さを知ってほしい、 毎平日の配信によって勉強習慣を付けてもらいたい、ということなのですが、 実は私自身のためということでもあります。 問題のネタを考え、資料を調べることで、作成者である私も勉強になるのです。 講師という立場である私にも、分からないことはたくさんあります。 むしろ勉強が進むほど、知らないことが増えたように感じることさえあります。 知らないことを解決するためには、勉強するほかありません。 勉強の面白さは、叩けば門が開くこと、 つまり、自分が学ぶことで疑問点を解決できることにあると思います。 最先端の研究であれば、解明されていない未知の事項も多いでしょうが、 少なくとも、参考書に載っているような内容であれば、 定説が確立されているものがほとんどであると言えるでしょう。 特に気象予報士試験に出題される問題は、 正誤をハッキリさせなければならないため、 定説の定まっていない問題は出ないと考えるのが自然です。 つまり、適切な方法で継続的に学ぶことができれば、 内容を習得していきやすいのが資格試験の勉強であると言えます。 「少しずつ」を続けることを大切にしていきたいものです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 78、過去問題ぐらいはマスターしておきたい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験に挑むうえで、過去問題演習は必須であると私は考えます。 過去問題を分析してみると、傾向の似た問題が何度も出されているからです。 これは学科試験・実技試験の両方に当てはまることです。 書籍やCD-ROMという形式で過去問題が市販されていますから、 実際に確認されると良いでしょう。 ここで一例を挙げてみます。 平成19年度第1回試験の「実技1」における、問5(2)の問題をご覧下さい。 この問題は、平成16年度第1回試験の「実技1」における、 問5(3)の問題と非常によく似ています。 ハッキリ言って、問題を解くために必要な思考法はまるで同じです。 ここまで似ている問題はそれほど多くないものの、 出題意図や傾向に類似性が見られる問題は、数多くあります。 過去問題演習を熱心にされている読者の皆様はご存じのことでしょう。 ですから、過去問題の演習を丹念に行い、 さらにその問題の周辺知識についても一緒に学んでおけば、 本試験で「過去問に似た問題」に出くわす可能性が高いということです。 私が過去問題演習を重要視するのは、 過去問題演習の充実度が、試験の合否を大きく左右すると考えるからです。 気象予報士試験には、過去に一度も出題されたことのない問題も出ますが、 そういった問題は、多くの受験生が頭を悩ませるはずなのですね。 結果として、こうした目新しい問題による受験生の点数差は、 それほど大きくならないと想像できます。 点数差が広がるのは、試験全体の多くを占める「過去問に似た問題」です。 過去問演習をキッチリ行っている受験生ほど着実に得点できるでしょうが、 過去問題演習量の不足している受験生にとっては、 これらの問題も「初めて見る問題」として目に映ることでしょう。 ここで受験生の得点に大きな差が付くはずだと私は確信しています。 「次の試験で、どんな目新しい問題が出るか」を予想することは、 一部(新しく導入される予報技術など)を除いて、非常に困難です。 そんなことを予想するよりは、過去に出されたことのある内容について、 着実に理解できるように学習を重ねたほうが、明らかに得です。 毎回の気象予報士試験の問題に過去問題との類似性が見られるのは、 試験の難易度が概ね均一化していることの現れと言えるでしょう。 ご存じのとおり、気象予報士に求められる技能は、 気象資料を適切に解釈して現象の予想を行うことであり、 「斬新なアイディア」や「奇抜な独創性」は不要なのです。 学者として気象を研究するのであれば、独創性も必要かも知れませんが、 少なくとも気象予報士試験では、そういったことは求められていないわけで、 気象予報士に必要な知識・技能を習得していると試験で判断されれば、 「気象予報士試験合格」がもらえるわけです。 ですから、過去問題と似た問題が出るのは当然のことであると言えますし、 どのような知識や技能が気象予報士に求められているかは、 過去問題を分析すれば見えてきます。 良質の模擬問題が存在するのであれば、それで勉強するのも良いでしょうが、 すでに過去問題が豊富に存在する以上、 まずはそれを使って勉強することが望ましいと考えています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 79、あの人はどのようにして気象予報士になったのか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 試験で結果が出なかったり、勉強が思うように進まなかったりすると、 どんな人であっても、辛く感じるものです。 私自身、2回目の受験に失敗(専門知識のみ合格)したときには、 「もしかすると永久に合格できないのではないか」と思いました。 今にして思えば、難関資格である気象予報士試験において2度の不合格など、 大半の合格者が経験するであろうことだと思われますが、 目の前の試験結果は、それほどに人を落ち込ませてしまうわけです。 こんなときに、気象予報士として活躍している人が、 どのようにして試験を突破したのかを調べてみるのも良いでしょう。 気象予報士を志したからには、目標にする気象予報士がいるはずです。 その多くは、テレビ・ラジオなどで活躍するキャスターだと思います。 今はネット上にいろいろな情報が溢れている時代です。 ちょっとした調べ物をする際に、私は「ウィキペディア」をよく使います。 ご存じの方も多いかと思いますが、 このウェブ上の百科事典には、たいていのことが載っています。 例えば、世界遺産「石見銀山」へ今度行こうと思っているのですが、 これについても詳細な記事が載っていて、とても勉強になります。 また、従来のCD-ROM百科事典と大きく異なるのは、 歴史人物ではない著名人についての記事が数多く載っていることです。 目標にしている気象予報士の名前を入れて検索してみるのも良いでしょう。 中には、「○度目で気象予報士試験に合格」とか、 「試験勉強のため、□□まで予備校に通っていた」といった、 気象予報士試験の受験時代における苦労話が載っていることもあります。 ウィキペディアは、誰でも記事を執筆することができるので、 中には誤った情報も含まれているかも知れませんが、 大まかな人物像を知るためには、最も手っ取り早い方法だと思います。 テレビやラジオで颯爽と解説を行う気象キャスターの姿を見ると、 何もかもが順風満帆で、泥臭い部分など見えないかもしれません。 でも、それは「見せてないだけ」であって、実際には努力と苦労を重ねた結果、 試験に合格し、キャスターの仕事を手に入れた方も多いわけです。 実際に、私はそういった方々を数多く見てきました。 「あの方は、今は気象キャスターとして活躍しているけれども、 あのとき挫折して諦めていれば、今の姿は無かったのだろうな。」 としみじみ思うことさえあります。 今回の試験で合格できなかった人の中にも、 将来、気象予報士として活躍する人が間違いなくおられるはずです。 未来を信じて頑張りましょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 80、講義録で勉強した人たち ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験の予備校講師という立場にある私ですが、 大学での学部は理学部ではなく、文学部です。 文学部において教育学を専攻していました。 教育学といっても、教師になるための勉強ではなく、 教育史を、具体的には戦前の学校教育制度(学制)を調べていたのです。 戦前の学制は、現在の学制とは大きく異なっていました。 今は、中学校も義務教育となっていますが、 戦前において、中学校(旧制中学)や高等女学校へ進学する人々は、 小学校(尋常小学校)卒業生のごく一部に過ぎなかったのです。 例えば、大正13年(1924年)における中学校の生徒数は約27万人、 高等女学校の生徒数は約25万人です。(※1) 中学校も高等女学校も5年制でしたから、 両者を合わせた1学年あたりの生徒数は10万人余りということになります。 これに対し、現在における大学の学生数は約250万人ですから、 1学年あたりの学生数は60万人余りとなります。(※2) 総人口の違いもあり、単純には比較できないものの、 大正時代において、中学校や高等女学校を卒業することは、 かなりの学歴エリートだと見られたはずです。 日本全体が現在よりも貧しかった当時は、 進学を諦めざるを得なかった人々も多かったことでしょう。 しかし、上級学校への進学を断念することは、 学びそのものを放棄することと必ずしもイコールではなかったのです。 学校へ行かなくても勉強できる手段、それが「講義録」の存在です。 「講義録」というのは、今で言うところの通信教育のことで、 その受講生数は相当に多かったようです。 例えば、早稲田中学校講義録の受講生数は、 大正13年において、約16万人にも上っています。(※3) 講義録を提供する会社・学校は数多くありましたから、 講義録で勉強する人々の総数は、 中学校・高等女学校の生徒数を上回っていた可能性もあります。 事情あって進学できなくても、勉強を続けようとした人がいかに多かったか、 講義録の受講生数は、それを示しているように思います。 時代は流れ、現在では「講義録」も進化しました。 NHKや放送大学では、テレビやラジオを通して、 自宅にいながら多くの授業を受けることができます。 また、DVDやインターネットを使った通信教育も数多くあり、 「学びたい」という意欲に応えるツールは豊富になっています。 あとは、これらをどう生かすかということです。 ◆参考文献◆ ※1:文部省編『学制百年史 資料編』 ※2:文部科学省編『文部科学白書2006』 ※3:竹内洋著『立身出世主義』NHK出版 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 81、電車の中で過ごす時間を有効活用しよう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先日、高校時代からの友人と会う機会がありました。 人事異動で新しい職場に移ったとのことで、 それに伴い、マイカー通勤から電車通勤に変えたのだそうです。 「電車通勤は、車内での勉強時間を確保できるのが良い。」と彼は言います。 読書と仕事の準備に充てるため、わざわざ各駅停車に乗るとのこと。 急行よりも時間がかかりますが、そのぶんだけ車内は空いていて、 座席に腰掛けて、ゆっくりと本を広げることができるらしいのです。 電車の中といえば、携帯電話を開くのが習慣になっている方が多いでしょう。 最近の携帯電話は、実に多機能です。 メール・テレビ・ゲーム・ウェブなどが使えて、 もはや「電話」というよりは、「超小型パソコン」といった感じですね。 ちょっとした空き時間を埋める道具として、 携帯電話ほど適したものは無いかも知れません。 そんな中で、私は携帯電話をあまり使いません。 数ある機能の中で、最もよく利用しているのは「時計」だと思います。 朝5時に起きる際には、振動アラームをセットしています。 携帯電話といえば、「メール機能」を重宝している人も多いと思いますが、 私の場合、携帯電話からメールを送信するのは週に2〜3通程度です。 携帯電話なら、移動中もメールの送受信ができて便利ですが、 私は敢えて「業務としての携帯電話メールの使用」を制限しています。 ビジネスで使用するメールの大半は、パソコン(PC)を利用しているのです。 「携帯かPCか」これは好みの問題と受け取られるかも知れませんが、 私はPCメールを利用する3つの合理的な理由を挙げることができます。 1,充実した文章作成ができる 2,送受信メールの一元化 3,セキュリティ対策を講じやすい まず1ですが、「入力の速さ」という点では、 推測変換機能によって、携帯メールはPCメールに劣らなくなったと思います。 しかし、キチンとした文章を作るには、他のツールも必要だと考えます。 特に業務としてメールを使用する場合は、 過去にやり取りしたメールを簡単に確認・引用できると便利ですし、 用語や言い回しが誤っていないか確認できることを重視します。 これらについては、パソコンを使ったほうが圧倒的に便利です。 大きな画面で一覧性にも優れていますし、 メールソフトを立ち上げたまま、ブラウザでネット辞書を使用できるからです。 次に2です。 過去の送受信メールは、できるだけ1か所で管理するのが便利です。 これは紙媒体でも同じで、複数の引き出しに重要書類が少しずつ入っていると、 あちこちの引き出しをひっくり返して探し出さねばなりません。 「あのメールは携帯に入っていたか、それともパソコンの中か?」と、 いちいち考えて探すのは面倒なことです。 そこで、重要性の高いメールは全てPCメールに送ってもらうようにしています。 私は1996年からパソコンを利用しているのですが、 送信メール数だけで9000通ほどありました。 受信メールも含めると本当に膨大な数です。 これだけのメールを平気で保存できる容量の大きさも、 パソコンの利点であると言えるでしょう。 最後に3です。 軽くて小さい携帯電話は、持ち運びに便利ですが、 それは同時に、紛失・盗難の可能性があることを意味します。 送受信メールやアドレス帳が流出してしまう状況は何としても避けたいもの。 そういったことに備え、私の携帯電話は顧客アドレス帳を作成していません。 もし、携帯電話の中に重要情報をたくさん抱えておられる方は、 パスワード機能を利用するようにされるか、 これを機会に、パソコンに移して管理されることをお勧めします。 (もちろん、パソコンのセキュリティ対策も必要です。) また、電車の中で携帯電話を開くということは、 知らぬうちに、誰かに画面を見られていることも考えるべきです。 のぞき見防止用のため、画面に貼る特殊フィルムも売られていますから、 こういったものを利用されるのも良いかと思います。 さて、話は電車の中での過ごし方に戻ります。 もし、気象予報士試験の勉強時間を確保したいと思っておられる方であれば、 電車の中では携帯電話を封印すべきです。 最初に述べたように、最近の携帯電話は多機能で、 いくらでも楽しめるようにできています。 これを使えば、少々の長い時間でも簡単に潰せるということです。 通勤・通学に電車の中で過ごす時間が長い人も多いでしょう。 その時間が長いほど、有意義な勉強時間を確保できます。 超満員電車であれば、勉強どころではありませんが、 座席に座れるか、座れなくても自分の周辺空間を確保できる程度であれば、 書物を広げることをお薦めします。 多くの人にとって、電車に乗ることは習慣となっているでしょうから、 「電車の中では本を読む」というルールを作ってしまえば、 勉強習慣を定着させやすいのです。 ちなみに、私も受験時代に電車内学習を実践していました。 野球部仲間が途中の駅で下車して、一人になったときは、 カバンから汗と泥にまみれたシャツをかき分けて、 底に埋もれている『一般気象学』(少し砂だらけ)を取り出したものです。 電車内学習に慣れてくると、手ぶらで車内に座っていることに、 何か物足りなさを感じるようになってきます。 ここまでくれば、しめたものです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 82、添削を受けることで文章力は磨かれる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実技試験の難しいところは、記述で解答する問題が多いことにあります。 5つの選択肢から選んで解答する学科試験と大きく異なるのがこの点です。 実技試験で最も重要なのは、天気図などの気象資料の読み取りですが、 受験生の中には、これができるようになっても、 「解答内容を文章化するのが上手くいかない」と仰る方もおられます。 今回は、これについて私が考えていることを書いてみたいと思います。 1,解答したいことを箇条書きで挙げてみる。 2,書いた文章は自分で熟読する。 3,添削を受けることが上達の秘訣。 まず、いくら文章力に自信のない人であっても、 述べたいことについて箇条書きで挙げることくらいはできるはずです。 例えば、実技試験で「60字程度で述べよ」とあれば、 2つか3つくらいの項目が浮かぶのが普通です。 それをハッキリと挙げることができないのであれば、 そもそも気象資料の読み取りが充分にできていない可能性が高いですから、 まずは、その学習から始めることをお勧めします。 もし、箇条書きで挙げることができるのであれば、 それらを文章としてつないでみれば良いわけです。 ここで大事にしたいことは、書いた文章を自分で読んでみることです。 自分で読んで意味の通らない文章であれば、 他人(採点者)が読んで分かるはずがありません。 実技試験での記述試験では、美しい文章が求められるわけではありません。 論理的で読みやすい文章であれば良いのです。 それは文才といったものではなく、 トレーニング次第で向上させることができるものだと思います。 文章力を高めるための最も効果的な方法は、 自分の書いた文章について、添削をしてもらうことだと考えます。 それは、私自身も添削を受けることによって、 以前よりもマシな文章が書けるようになった経験があるからです。 私が気象キャスターの仕事を始めて間もない頃、 当時の上司から徹底的に気象原稿の添削を受けたことがあります。 「これなら問題ないだろう」と思って書いた原稿であっても、 何か所にもわたって、辛辣なコメントを付けられました。 もちろん、指摘された内容は決して理不尽な内容でなく、 全て自分で納得できるものばかりでした。 自分が書いた文章の修正を受けることは、決して愉快なことではありません。 しかし、私は半年以上にわたって、この上司からの添削を受け続け、 その後に原稿書きで苦労することは滅多になくなりました。 上司が異動になった後は、私自身が新米の気象予報士に対して、 同じような原稿添削を行うようになったのです。 私が書いたメルマガやホームページの文章について、 美文だとか、名文だとか言われたことは一度もありませんが、 「論旨が明らかで読みやすい」という評価をいただくことはあります。 昔に受けた文章添削のおかげなのかも知れません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 83、買った本で勉強するべし。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 他人から借りた教材で勉強しているようでは、 実力を伸ばすことはできない、私はそのように考えています。 たしかに気象予報士試験関連の書籍は、決して安いものではなく、 2000円〜3000円くらいの値段が付いているものは珍しくありません。 それでも、自分で買った本で勉強するべきなのです。 その理由は、「自分の本でないと自由に活用できない」ということです。 教科書・参考書というのは、キレイなままで使うものではないと考えています。 必要あれば、蛍光ペンで線を引き、赤ボールペンで書き込むべきなのです。 大事だと思った文章に線を引いておくと、 後でパラパラとめくったときに、その箇所をすぐに見つけることができます。 もし、線を引いてなければ、記憶を頼りに最初から斜め読みする必要があり、 すごく時間が無駄にかかってしまうのです。 本に出てくる用語が分からなかったときは、 事典(辞典)などで調べて、その意味を赤ボールペンで書き込みます。 また、本の文章だけでは内容を充分に理解できなかったときは、 「?」を書き込むこともありますし、 何らかの方法で解釈できたときは、「注釈」を書き入れておくのです。 これらの作業を行うことで、疑問点が明らかになり、 1度理解できた事柄については、2度悩むことがなくなるわけです。 さらに、場合によってはページの角を折ることもあります。 私がこれをするのは、面白そうな参考文献が紹介されているときです。 気象に限らず、何かに興味を持って本を読む際には、 その本の中で紹介されている別の本も読むことで、知識が広がります。 このように、本を使って勉強する際には、 ただ、キレイに読むだけでは、充分に活用できないと私は考えます。 私の場合、「これは素晴らしい本だ」と思ったものほど、 その本の中身は蛍光ペンとボールペンで「汚れて」いるのです。 他人や図書館で借りた本で、こんなことはできません。 あくまでも「読む」「中身を知る」ことが目的の本(小説など)であれば、 図書館や友人から借りるのも良いと思います。 しかし、「その本の内容を理解して頭に入れる」ということが目的なら、 お金を出して、自分のものにしてしまうことが大切です。 購入する本は別に新品でなくても良いのです。 「ピカピカの本でなくても、ちゃんと勉強できれば良い」 と考えるのであれば、古本を買うのも良いでしょう。 私は気象の本を100冊以上持っていますが、 古本として購入したものも数多くあります。 特に定価の高い本であれば、値引き金額も大きくなりますから、 AmazonやYahooオークションなどで探してみるのも良いでしょう。 ただし、最新の情報が求められる分野については、 その出版年を確認されることをお勧めします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 84、登ってみて初めて見える景色がある。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 見たこともない食べ物が皿の上に置かれています。 これは美味しいのか、不味いのか? いくら見つめていても、その味を知ることはできません。 食べてみることで初めて判断できるのです。 「〜をするほうが良いのか」「それとも、しないほうが良いのか」、 何か物事を始める際に、ひたすら悩む人がいます。 しかし、熟慮を続けても結論が出ないことが多いのです。 気象予報士試験の勉強や、気象キャスターを目指すことも同じです。 その勉強が自分に合っているのか、その仕事が自分に合っているのか、 結局は実際に始めてみなければ、よく分からないのです。 気象予報士試験に興味を持ったのであれば、 簡単そうな本を1冊買って勉強を始めてみればいいのです。 それで続けられそうだったら、それで良し。 ツマラナイと感じたら、別の本を買うか、勉強から撤退すればいいわけです。 1994年、大学入試の心配をしなくていい高校に在学していた私は、 高校1年のときに気象予報士試験の勉強を始めました。 勉強などというと少し大袈裟で、 実際には、一風変わった趣味といった感覚で始めたような感じです。 「資格取得」と「その後の将来」を絡めて考えたことは無かったのです。 「気象キャスターになりたい」と思うようになったのは、 気象予報士試験に合格してからのことです。 私は20歳でキャスターのお仕事をいただき、 27歳からは気象予報士塾の講師として、人前で話をする商売をしています。 そういった経歴だけを目にされると、私がいかにも子供の頃から、 「明るく話芸に長け、友達に囲まれた少年」を想像されるかも知れませんが、 もともと性格は内向的で、本を読んでいるのが好きな少年でした。 この性格は基本的に今も変わっていません。 その私に「テレビでキャスターをやりたい」と思わせたのは、 やはり、気象予報士試験合格としか考えられません。 この時期、試験勉強を始めて間もない方であれば、 「次の試験を受験しようか」と迷う方もおられるでしょう。 受験料は決して安くありませんが、 事情が許せるのであれば、受験されることをお勧めします。 「奇跡の一発合格」のために受験を勧めるわけではありません。 まぐれで完全合格できるほど甘い試験でないのは、 受験を経験した人なら誰でも知っていることです。 そうではなくて、受験手続きをすることで、 自分の意識を変えることが大事だと考えているのです。 実際に受験手続きを行い、「試験まで○○日」と意識すれば、 自分の中のスイッチが「ON」になります。 参考書を読むときにも、問題集を解くときにも、 受験生としての立場で接するようになります。 気持ちが高まることで、勉強内容が充実してくるわけです。 また、試験会場の空気も、実際に受験してみて初めて分かることです。 隣に座った受験生が、ボロボロの参考書を熱心に読んでいるのを見れば、 「この程度の勉強量ではイカン!」と実感できるでしょう。 初めての受験で、試験問題の難しさに衝撃を受けるかも知れません。 「とてもじゃないが、この試験を攻略するのは無理だ。」と感じたのであれば、 気持ちを切り替えて別の道に進むのも、1つの選択肢です。 逆に「何としてでも合格してやる!」と闘志を燃やす人もいるでしょう。 どちらにしろ、試験を経験することで次の行動が生まれるわけです。 このメルマガでは、いろいろな情報を載せていますが、 「知っている」と「実感している」は別物です。 自分の気持ちを変えるためには、実感することが必要なのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 85、作図問題の勉強法 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今はインターネットを使えば、無料で数多くの天気図を入手できますが、 一昔前までは、ラジオを聴いて自分で天気図を書くことが、 最新の天気図を手に入れるための手段でした。 私が始めて天気図を書いたのは小学5年生のときです。 「1989年」と書かれた天気図が今でも残っています。 http://rojiura.jp/make-play.htm#13 自分で天気図を書く際に最も苦心したのは、等圧線でした。 なかなか上手く滑らかに引けなかったことを思い出します。 「受験英語の神様」とも称される伊藤和夫先生(故人)は、 「言語の習得は理解が半分、理解した事項の血肉化が半分である。」 と述べておられます。(『英文解釈教室』はしがき) それをパクる形で、作図が上手くなるための要素を表せば、 「作図が上手くなるためには、理解が半分、慣れが半分である。」 となるかと思います。 最初に勉強すべきことは、「作図の理屈」です。 「マニュアル」と言っても良いでしょう。 どのようにすれば等値線が引けるのか、前線を解析できるのか、 それらのルールについてしっかり学んで下さい。 いくつかの書籍に載っていますし、私が主宰する塾でも講義を行っています。 「作図の理屈」を学んだ後は、それを実践することです。 すでに数多くの気象予報士試験が実施されていますので、 過去問題を使って勉強されるのが良いでしょう。 最初から上手く作図できる人などいません。 慣れないうちは、解答例の作図をじっくりとご覧になり、 「なぜ、このような等値線になるのか」ということを観察して下さい。 解答例の作図が理屈と一致していることを確認するのです。 それが終わった後は、解答例を横に置いて、 解答例の模倣を始めるのが良いでしょう。 書道教室でお手本を見ながら筆を運ぶことと同じです。 もちろん、無意識に丸写しをするのではなく、 自分で作図の理屈を意識しながら、書くことが大事です。 その次のステップとして、今度は解答例を見ることなく、 解答例を再現できるように、練習していきましょう。 なお、作図練習を行う際には、 問題用紙のコピーを何枚も取っておかれることをお勧めします。 原本に直接書き込んでしまうと、一回しか練習できません。 作図問題は過去に数多く出題されていますから、 できるだけ多くの問題について、練習されることが望ましいでしょう。 私がそれなりに納得できる天気図を書けるようになるまで、 100枚くらいは書き続けたように記憶しています。 仮に、20種類の作図過去問題を5回ずつ練習すれば、のべ100回です。 何回練習すれば上手くなるか、というのは個人差があると思いますが、 作図の理屈を血肉化させるためには、慣れが必要だということです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 86、大切なのは暗記よりも、理解。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 以前、あるキャスターの方と食事をしたときのことです。 その方は気象予報士だけでなく、法律関係の資格もお持ちなので、 気象法規についても詳しく知っておられます。 「藤田さん、気象業務法第24条の24で、 『登録事項の変更の届け出』という規定があるのを知っていますよね?」 「気象予報士の氏名や住所に変更があった場合に、 気象庁長官に届け出なければならない、という内容でしたね。」 「そうです。あれってキチンと届け出なかったときに、 罰則があるかないか、ご存じですか?」 「・・・たしか、罰則は規定されていなかったはずです。」 「仰るとおりですが、ちょっと自信なさげですね(笑)。 実は、条文を見れば、そのことはすぐに分かるんですよ。」 「どの部分を見れば良いのでしょう?」 「『遅滞なく、その旨を気象庁長官に届け出なければならない。』にある、 『遅滞なく』という部分です。この表現って曖昧でしょう?」 「3日くらいかなと思う人もいれば、1か月程度と思う人もいるでしょうね。」 「そうなんです。条文に『遅滞なく』とか『すみやかに』と書かれていた場合、 その内容に違反したかどうかを、客観的に決めることができないわけです。 ですから、罰則は設けられていないんですよ。」 この話を応用して、気象業務法第22条の内容に当てはめてみましょう。 第22条は、予報業務の許可を受けた事業者が業務を廃止・休止する際に、 気象庁長官に届け出なければならない、といった内容ですが、 その期限が『(廃止・休止した日から)30日以内』と定められています。 これだと、遵法者と違反者の区別が明確ですから、 違反者に対して罰則があるのでは?と推測できるわけです。 実際に、気象業務法第50条に罰則が規定されています。 一般知識試験には、15問のうち4問の法規問題が出てきます。 「大気の熱力学」や「大気の力学」が難単元として知られていますが、 「気象法規」を苦手とする方も少なくありません。 法規の勉強をする際に、条文の丸暗記をする必要はないのです。 いくら出題法規の範囲が限られているとはいえ、 一つ一つを棒暗記する方法では、全てを学習する前に挫折する恐れが大です。 法律や規則があるのは、それが必要とされたからであり、 それを作っているのは生身の人間です。 「法律が作られた目的」を考えながら勉強することができれば、 単純暗記を必要とする部分を、かなり減らせるはずです。 例えば、気象業務法において「予報業務の許可」に関連する内容が多いのも、 天気予報が社会に与える影響が大きいからですね。 そこで、あらかじめルールを設けてあるのだ、と考えるわけです。 そうすれば、予報業務の許可を受けるために必要な事項、 違反者に対する制裁・罰則の規定なども、頭に入りやすくなるはずです。 円周率のように、規則性のない数の羅列を暗記するのは大変ですが、 意味や理由付けのできる話であれば、記憶に残りやすいですよね。 法規の学習は、内容を充分に理解することから始めるのが良いでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 87、アウトプットの作業で知識を定着させる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高校時代、たしか毎週月曜日だったと思うのですが、 英語の単語テストというものがありました。 単語帳数ページ分がテスト範囲で、テストには20問が出題されます。 多くの生徒が20点中15点以上の得点を取るのですが、 いつも私は5点以下だったと記憶しています。 英語に限らず、元素表だとか、古文における動詞の活用だとか、 とにかく暗記を要する作業が極めて苦手でした。 「頑張って覚えると、頭の中に記憶の回路ができるので、 物覚えも良くなるのだよ。」 と英語の先生が仰っていたのを覚えています。 しかし、そうは言われても、 エスカレーター式で大学に進学できる学校にいた私は、 勉強に対する気力そのものが低下していましたから、 歯を食いしばってまで暗記に勤しむことがどうしてもできませんでした。 このように、記憶力に自信のない私は、 「定期テスト前に教科書を丸暗記した」と友人から聞かされて驚き、 放送業界に入った後は、3分に及ぶ「放送原稿」を、 丸暗記するキャスターを見て驚いたものです。 気象予報士試験の勉強は、大量の暗記を必要とはしないものの、 「なかなか知識が頭に定着しない」とお悩みの受験生も多いことでしょう。 大人になってから行う勉強は、周囲から強制されるものではないだけに、 忍耐・根気・辛抱・苦痛・我慢などを伴う勉強は、なかなか大変なものです。 ここで受験生の皆さんに、1つの方法をご紹介しましょう。 それは「アウトプットの作業をすることで記憶の定着を図る」ことです。 1つの分野について学習が終われば、 習得した知識を、テーマごとに紙に書き出してみて下さい。 分量はA4用紙片面、もしくはノート1ページ程度が良いでしょう。 例えば、「ハドレー循環」をテーマにするならば、 「熱帯収束帯」「貿易風」「亜熱帯高圧帯」「亜熱帯ジェット気流」など、 いくつものキーワードを必要とします。 言葉だけでなく、図や表などを書き加えると良いでしょう。 こうして習得した知識を可視化することで、 知識の不足している部分や、理解の曖昧な部分が明らかになります。 知識や理解が不十分であると、その部分のアウトプットができない、 つまり、「白紙」という形で現れるからです。 ある気象キャスターは、放送前にモニターを見ながら、 放送内容を何度も繰り返して口に出しておられました。 事前に話す内容をアウトプットすることで、頭の中が整理されます。 そして、話の内容に飛躍や論理的矛盾がないか、 分かりやすい説明になっているかどうか、 といったことを確認されているのだと感じました。 知識の定着を図るためには、ただ注入するだけでなく、 それらを消化しやすいように、整理することも大切だということです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 88、過去問題演習での注意点 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 初めて解く過去問題を前にして、良い点数を取ることは、 勉強を続けていくうえで、大きな励みになります。 しかし、過去問題の点数に一喜一憂し過ぎるのは考えものです。 確かに初見の実技問題で70点取れるのは喜ばしいことです。 しかし、それで気象予報士試験に合格できるわけではありません。 試験会場で受ける本試験に合格しなければ、資格は取得できないわけです。 過去問題演習を行う意義は、これまでの出題傾向を把握し、 解法を理解したうえで、蓄積していくことにあります。 その視点に立てば、着目すべきことは、 70点を得られたことではなく、30点を失ったことです。 解答用紙には「×」が付くだけのことですが、 「×」が付いた理由は、受験生によって異なります。 ・問題の内容が分からなかった。 ・問題内容は分かったが、その解法が見えてこなかった。 ・時間切れで、問題に取り組めなかった。 ・問題文を読み違えていた。 ・問題にある資料の読み取り方が分からなかった。 ・解答は思い浮かんでも、適切な文言が思い浮かばなかった。 ・解答を求められていないことを答案として書いてしまった。 ・答案の中に誤字脱字や日本語としておかしな文があった。 前半の5項目は全ての試験に対して、 後半の3項目は実技試験に対して考えられる「×」の要因です。 次に似たような問題が出たときに正答するため、 克服すべき課題は、誤答の種類によってさまざまです。 そして、自分の弱点を分析し、それを解消するのは、 受験生自身が行わねばならないことです。 実力が伸びるか否かは、これができるかどうかで決まります。 自己採点で○を付けるのは嬉しいものです。 逆に、自分の答案に×を付けるのは誰でも辛いものです。 しかし、大事にするべきことは×の付いた問題であり、 ここから目を背けるべきではありません。 「本当は分かっていたんだけど・・・」「うっかりミスだった。」 といったゴマカシをしているようでは、何度でも同じところで失敗します。 初めての問題演習で70点取ることよりも、 100点を取れるまで何度も演習を繰り返すことのほうが、 本試験の準備のためには大事なことなのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 89、試験会場で心を落ち着ける方法 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 試験に対する緊張の度合いは、その試験の重要度に比例します。 自分にとって大事な試験であるほど、緊張度は高まります。 私が最初に大きな試験を受けたのは、中学入試のときでした。 2つの中学校を受けたのですが、「滑り止めの学校」を受験したときは、 ハッキリ言って、塾で模擬試験を受けている気分で合格しました。 しかし、その後に受けた「行きたい学校」の入試の際には、 想像以上の緊張感に襲われたことを思い出します。 特に算数の試験の際には、頭が真っ白になってしまうほどでした。 実は、その学校の偏差値は「滑り止めの学校」より低かったのですが、 そんなことは本番では関係ありません。 事前に「9倍」という競争率が公開されていたことも影響してか、 「失敗したらどうしよう」という思いが、激しい緊張感につながったようです。 それだけ、その中学校に入りたかったということですね。 まあ、何とか合格できたから良かったものの、 試験における過度の緊張感は、間違いなく実力を下げる方向に働きます。 もちろん、気象予報士試験でも同じことで、 「放送局のアナウンサーも受けに来ているかも?」といった、 ミーハーな気分で受験していれば、お気楽なものですが、 半年に一回の真剣勝負として試験に臨んでいる受験生は、 多かれ少なかれ、気分が高揚するものです。 高まる緊張をほぐし、できる限り平常心で試験に臨めるようにすることこそ、 試験前において第一に成すべきことです。 中学入試のときにも、気象予報士試験のときにも、 分厚〜い参考書を広げている受験生を私は数多く見かけました。 試験前に参考書を読みふける最大の理由は、 「最後まで諦めずに、知識を吸収する」ということだと思いますが、 土壇場で足掻いても、そう知識量など増えるものではありません。 今まで続けてきた勉強時間に比べれば、試験前の数十分など微々たるものです。 そんな小さな可能性にかけるよりも、 自分の潜在能力を最大限に引き出す努力をしたほうが、得だということです。 「参考書を読むほどに心が落ち着く」というのなら当然良いのですが、 「参考書を読むほどに不安が高まる」のであれば、絶対にやめておくべきです。 試験会場では、「平常心を取り戻す」ことに気を配りましょう。 例えば、試験とは全く関係のない本・雑誌・新聞などを持ち込んで、 のんびりとページを捲るのも良いでしょう。 漫画本などは、こういったときに最適ではないでしょうか。 できれば、普段から読み慣れているものが一番良いでしょう。 私なら、『浦安鉄筋家族』や『ミナミの帝王』あたりを選ぶと思います。 大事なことは、試験会場の教室内で、 ボロボロの『一般気象学』を読む受験生を見ても、うろたえないことです。 試験は受験生どうしの戦いではありません。 受かるも落ちるも、自分の振る舞いで全てが決まるのです。 自分に合った緊張解消法で、普段どおりの実力を出せるようにしましょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 90、合格して受験勉強を終えよう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いよいよ試験まで1週間となりました。 試験を受ける皆さんにお伝えしたいことがあります。 それは、合格を手にしたうえで受験勉強を終えて欲しいということです。 北京オリンピックを見ていますと、 この大舞台を最後にして、現役生活に終止符を打つ選手も多いようです。 中でも、自分が満足できる結果を残せたうえで引退することは、 1つの理想であるに違いないでしょう。 仮にメダルが取れなくとも、予選敗退であったとしても、 「日本代表として五輪出場を果たせた」というだけで、 満足できる競技者人生だったと感じる選手も多いはずです。 しかし、気象予報士試験という舞台を考えたとき、 「満足できる結果」=「合格」以外に考えられないはず、と私は思っています。 受験制限のない試験において、「受験できただけで大満足」は無いでしょう。 つまり、受験生が「試験のための勉強」を終えるのは、 合格したときか、(もちろん合格後も勉強そのものは続けるべきでしょうが) 嫌気がさして諦めてしまったとき、のどちらかなのです。 もちろん、気象の勉強に対する興味が尽きてしまえば、 受験などやめて、さっさと新しいことを始めれば良いのですが、 もし、「気象予報士になりたい」という気持ちが残っているのであれば、 決して勉強を諦めるべきではないと思います。 試験日は、気持ちに大きな区切りが付く瞬間でもあります。 試験前日までトイレにまで参考書を持ち込んで勉強していた人でも、 試験が終わってしまうと、本に見向きもしなくなる場合があります。 それで試験に受かっていれば良いのでしょうが、 合格するのは受験生の約5%というのが、気象予報士試験なのです。 「試験前に何を言うか」と思われた読者の方もおられるかも知れません。 今回は受験生の約95%を占める方々に向けたアドバイスを書いています。 試験後に発行するメルマガに書いたのでは、 気持ちが切れてしまって、このメルマガを開かない方もおられるだろうと思い、 敢えて、この時期に書いているのです。 要は「勉強のペースに波を作ってはいけない」ってことです。 おそらく、最近1か月くらいで、 火がつき始めたように勉強を始めた方がおられるはずです。 それで合格すれば、「短期集中で要領よく受かった」となりますが、 全体として見れば、本試験に間に合わない方が圧倒的に多いのです。 気象予報士試験は、それくらい難度の高い試験だということです。 短期的に集中しすぎると、その反動で試験後に勉強が手に付かなくなります。 そして、次の1月試験が近づく年末あたりになって再び猛勉強・・・。 これは努力の仕方が間違っていると言わざるを得ません。 何度も何度も受験しても、一向に結果が出ない場合は、 「勉強のペースに大きな波がある」ことが一因として考えられます。 試験が終わって、自己採点を行ったうえで、 このメルマガをもう一度お読みになることをお勧めします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 91、「実行」のために「有言」する。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先日(2008年8月27日)、日本経済新聞朝刊の1面に、 株式会社ウェザーニューズに関する記事が写真付きで載っていました。 入社して僅か1年余りの社員によって開発されたシステムが、 大きな成果を上げたという内容で、 その成功は、この会社の社風にあると記事は分析しています。 記事を引用してみます。 > 「不言実行」より「有言不実行」。 > 同社は三カ月おきに自分の目標を広く宣言することを社員に求める。 > こっそりやって成功するより、大見えを切って失敗する方が評価が高い。 > 一人で閉じこもっては顧客が欲しがるサービスは生み出せない。 > 周囲を巻き込む手法を社風にまで高める。 (『日本経済新聞』8月27日朝刊・1面「働くニホン」より一部引用) この考え方は、私がウェザーニューズに在職していた当時からあり、 会社を退いた後、久々にこの記事で目にしました。 何かを実行するためには、実現するためには、 まず「有言」することが、最も大切だということです。 これは、あらゆる物事について適用できると思います。 例えば、気象予報士試験でもそうです。 友人や同僚に対して秘密にしたまま、受験している人が結構います。 実は私もその一人でしたから、気持ちは良く分かります。 不合格になるのが格好悪いということです。 秘密受験であれば、失敗しても恥をかくことはありません。 しかし、秘密受験であれば、受験に対するモチベーションが下がっても、 それを突いてくれる人、盛り上げてくれる人もいないということです。 つまり、合格まで勉強を続けることができずに、 一人でこっそりと受験を諦めてしまう可能性もあるのです。 どうしても合格するまで勉強を諦めたくないのであれば、 堂々と受験宣言をしてしまいましょう。 さらに受験生仲間を作って、「○月の試験に合格する!」と互いに宣言すれば、 競争原理もはたらき、良いプレッシャーをかけることができるでしょう。 もちろん、「勉強に行き詰まったときに助け合う、励まし合う」という点でも、 受験生仲間を作ることの大きなメリットです。 私は気象予報士試験の合格後に、「有言」の大切さに気づきました。 その後、事あるごとに私は「将来は○○か△△という番組に出演する」などと、 (○○や△△には、誰もが知っている有名な報道番組名が入ります。) 大風呂敷を広げて、方々に触れ回ったものです。 結局、私の目標は少し違った形にはなったものの、 約3年後に実現することとなります。 「藤田とかいう、目立ちたがりの小僧がいるらしい」ということが、 業界関係者の耳に入ったようです。 「自分を奮い立たせること」「協力してくれる仲間を得られること」 実現したいことを高らかに宣言することには、 この2つの効能があるように思います。ぜひ、お試し下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 92、勉強に終わりはない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 現在、テレビやラジオで活躍している気象キャスターは、 大きく2種類に分けることができます。 A:放送用原稿を自分で作成しているキャスター B:他人に作成してもらった原稿を読むだけのキャスター 中には原稿を作成せずに、そのまま解説を行う人もいますが、 これは頭の中に自分で作った原稿があるということですから、 Aタイプに分類されます。 気象予報士として、解説業務を行うのであれば、 Aタイプのキャスターを目指したいところです。 しかし、試験に受かったからといって、資格を持っているからといって、 必ずしも自分で解説原稿を作成できるとは限りません。 受験生から見ると、気象予報士試験というのは、 非常に高いハードルのように見えます。 しかし、実際の業務を行うためにおいては、 試験合格レベルの知識・技能では充分とは限りません。 気象キャスターの平井信行さんは、著書で次のように述べておられますが、 私もこの意見に大いに納得できます。 > 私が思うに気象予報士試験は、単なる運転免許に過ぎない。 > 免許を持っていても運転しなければ上手くなれない。 > 本来は、一年間ぐらいの実地経験を経て初めて、 > 資格を与えていいのではないかと思うことがある。 『天気予報はこんなに面白い』角川書店 2001年 P,80より引用 実際の気象実務を行うためには、試験科目以外の勉強も必要です。 これはどんな分野を担当するかによって、大きく異なりますが、 私の担当していたマスメディア向けの気象業務であれば、 暦・歳時記や、生活と気象との関わりについて、 かなり詳細な知識が求められました。 放送用原稿を作成するのであれば、作文能力も求められますし、 実際に自分が出演するのであれば、喋るための技術も必要です。 これらを習得するためには、勉強しなければなりません。 さらに、予報技術の進歩は早いので、 常に最新の情報を学んでいく必要があります。 気象予報士の資格は生涯有効ですが、 もし、試験合格から10年間にわたって、何も勉強をしなければ、 実業務に携わることは厳しいだろうと思われます。 気象業務従事者というのは、一種の専門職であり、 他の人が持たない知識や技能を有することで成り立つ職業です。 特に、アウトプットを仕事とする気象キャスターは、 常にインプットを心がけていないと、やがて知識が枯渇します。 勉強に終わりはない、ということです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 93、マスコミに出るということ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 国際エコノミストの長谷川慶太郎さんは、 その著書『情報力』の中で、次のように述べています。 > 私はよく「マスコミに出ることは、 > ピラニアに自分の肉を食わせるようなものだ」と言っている。 > (中略) > だからピラニアにかじられるよりも、 > 自分の肉を増殖させる速度のほうが上回るという自信がない場合には、 > マスコミにはかかわらないほうがいい。 (長谷川慶太郎『情報力』サンマーク出版 1997年 P,60〜61) 私がこの本を最初に読んだのは、24歳の頃だったと思いますが、 「自分はマスコミに出るのが早すぎたのではないか」と感じたことがあります。 私が初めてテレビに出演するようになったのは、20歳のときです。 調べたわけではありませんが、おそらく「気象予報士」としては、 全国で最年少の気象キャスターだったと思います。 若くして世に出れば、世間の注目も集まりますから、 そういった点では心地良いものです。 しかし、インプットが充分でないままマスコミに出ることは、 アウトプット量に、インプット量が追いつかなくなる危険性を含んでいます。 肉を食いちぎられて、骨だけになってしまう恐れがあるということです。 実力よりも評価・評判が先行する形になるのは、危ういものです。 当時、私は初めてメルマガを発行することにしたのですが、 そこには、こういった危機感があったのかも知れません。 黙々と天気に関するコラムを100本以上書き続けたのです。 一方、自分に対する周囲の評価が、 自分の実力よりも遅れていると感じる方もおられるでしょう。 私もそうだったので、よく分かりますが、 若いときほど「早く成功したい」と熱望し、 「目に見える結果を早く出したい」と奮起します。 結果を急ぐと、どうしても短期的な視点ばかりが優先され、 物事を長期的に考えることができなくなるのです。 しかし、どんなことでもそうでしょうが、 成功して結果を出すためには、充分な準備期間が必要です。 充分な蓄積の時間を与えられていることをラッキーだと感じるほど、 気持ちの余裕を持つことができてこそ、 腰を据えて勉強を続けることができるのではないかと思うのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 94、出題された問題について勉強することが大事。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 大きな紙の上に「◎」が描かれていて、 それを指定時間のうちに、色鉛筆で塗りつぶすゲームがあったとします。 「◎」のうち、内側の小さな○には「60点」、 内側の小さな○と外側の大きな○との間には「30点」、 「◎」の外側には「10点」と記載されています。 それぞれの領域を塗りつぶせば、これだけの点が与えられるのです。 もちろん、このゲームで高得点を挙げるためには、 まず、内側の小さな○を塗りつぶすことが先決です。 内側の小さな○を仕上げてから、外側に色鉛筆を進めることになるでしょう。 当然ながら、「◎」の外側に手を付けるのは最後です。 色塗りゲームの例え話をしたのは、 このような考え方が試験勉強で必要だと思っているからです。 気象予報士試験で出題される範囲は、概ね決まっています。 過去問題を分析してみると、すぐに分かりますが、 解答を導くために必要な「知識」「思考過程」の似た問題が多いのです。 分野によっては、過去10回以上出題されている部分もあります。 こういった箇所は、先ほどの「◎」で例えると、内側の小さな○です。 勉強の成果が最も得点につながりやすい場所です。 もちろん、試験では新しい知識や思考法を問うものも出題されます。 しかし、それは問題全体の割合からすると、わずかを占めるに過ぎません。 先ほどの「◎」に例えれば、円の外側に位置しているのです。 「次の試験で新たに出題されるのは何か?」というのは、 多くの受験生にとって、大いに気になることですが、 それを予測することは至難の業です。 「◎」の外側には、限りなく多くの事項が広がっていて、 問題を作成する材料は、数多く存在しているのです。 仮に予測が的中しても、それは問題全体の一部に過ぎません。 受験生として、他人が知らないような情報を、 手に入れたくなる気持ちは分かりますが、 それは明らかに「◎」の外を色鉛筆で塗ろうとする行為です。 試験対策で大事なのは、「◎」の円内について、 どれだけ丁寧に勉強できるかってことです。 今回の試験で合格された方々のお話を聞いていると、 驚くほど丁寧に、過去問題演習を進めておられたことが分かります。 満点が取れるまで、何度も繰り返して勉強されているのです。 もちろん、学習には長い時間を要します。 実のところ、行うべき勉強の範囲は概ね限られているのです。 この範囲について、愚直に勉強を続けることが、 合格への最短経路であると私は確信しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 95、自分を奮い立たせる方法を持っているか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先日、私が主宰する塾において、「合格お祝い金贈呈式」を行いました。 所定の条件を満たした方が気象予報士試験に合格された場合、 これまでにお支払い下さった受講料の半額に相当する金額を、 「合格お祝い金」としてお贈りしているのです。 メルマガの本文では、原則として塾の広報を行わないことにしていますので、 合格お祝い金制度そのものの詳細について関心のある方は、 「藤田真司の気象予報士塾」のホームページをご覧下さい。 ここでは、私がこの制度を採用した背景にある、 「目標達成のための方法」についての考え方を述べたいと思います。 私は「あらゆる行動には、動機が存在する」と考えるのですが、 それは、大きく2つに分けられます。 1,「○○をしないと損をする。だから○○をしよう。」 2,「○○をすると得をする。だから○○をしよう。」 1はマイナスから逃れようとするための行動、 2はプラスを得ようとするための行動ですね。 子供であれば、「先生に怒られないように、宿題をキチンとする」、 「野球部を辞めさせられないように、中間テストで良い点を取る」 といったことも、よくあるように思いますが、 自発的に行う大人の勉強は、2の動機で進めたいものです。 よく、「自分へのご褒美」という言葉を耳にしますが、 動機付けのためにご褒美を有効活用するためには、 「ご褒美をあげる人」と「ご褒美をもらう人」は別々のほうが良いのです。 自己裁定では、どうしても基準が甘くなってしまいますし、 自分の左手から、右手にご褒美を渡すよりは、 他人からもらったほうが嬉しいですからね。 そこで、「合格お祝い金」という制度を採ることにしたわけです。 もっとも「合格お祝い金」は、数ある動機付けの一つに過ぎないと思います。 これをきっかけにして、勉強を進めていくうちに、 「勉強そのものに充実感を覚えるようになった」と仰る方も多くおられます。 こうなれば、「もっと学びたい」という気持ち自体が、 さらなる勉強への大きな動機になります。 もちろん、「気象キャスターになりたい」「資格を取って転職したい」 といった目標が、大きな動機になっている方も多いでしょう。 動機は数多くあるに越したことはないのです。 できれば、その中に「遠くにある大目標」だけでなく、 「わりと手の届きそうな小目標」「少し遠くにある中目標」といった感じで、 種類の異なるものを揃えておくのが理想的だと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 96、その習慣、本当に必要ですか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ まず、「ニュートンの運動の第1法則(慣性の法則)」をご紹介します。 「物体に加わる力がなければ、その物体は現在の運動を続ける。」 つまり、静止している物体は、そのまま止まった状態を続け、 時速30kmで真っ直ぐに動いている物体は、そのまま動き続けるわけです。 地球上では、空気などによって運動を止めようとする力が働くため、 投げたボールはやがて止まってしまいますが、 宇宙空間で投げたボールは、どこまでも飛び続けるわけです。 この有名な物理の法則は、人間の行動と似ているように思います。 「今やっていることは、とりあえず今後も続ける。」ということです。 例えば、通勤や通学で電車を毎朝使っている人であれば、 何時何分の電車に乗るか決まっていることが多いでしょう。 それどころか、「前から3両目の車両で、一番後のドア」といった感じで、 乗り込む場所まで決めている人も少なくありません。 私も中学時代から通学に電車を使っていましたが、 いつもの電車・車両・ドアが決まっていました。 周囲の顔ぶれも、概ね同じだったように記憶しています。 昼食を摂るために入る食堂も、数軒のうちのどれか。 夕方、駅から歩いて家まで帰る道のりも同じ。 このように、一度決まった行動については、 特に疑問を差し挟むことなく、そのまま続けることが多いのです。 気象予報士試験の勉強を本格的に進めていく際に、 「勉強時間をどうやって確保するか」が課題となります。 そのときによく出てくるのが、「寝る時間を減らす」という方法ですが、 これはお勧めできない、ということを以前にも書きました。 むしろ必要なのは、起きている間の生活行動を見直し、 不要な習慣が見当たらないかを、点検することです。 試験に合格された方にお話を聞いてみると、 「テレビを見るのをほとんどやめた」と仰る方がおられました。 たしかに、テレビを見ることは習慣性の強い行動です。 特に独り暮らしの方であれば、部屋も静かであるがゆえに、 「とりあえず、テレビをつけておく」ということも多いでしょう。 面白いテレビ番組を数多く知っている人ほど、 テレビを見る習慣から離れられませんが、 試験勉強の時間を確保するためには、 この時間を「聖域化」するべきではないと思います。 不思議なことに、「テレビを見ない」という習慣をつけてしまうと、 それほど苦にならないそうです。 私自身、夜に放送しているバラエティー番組やドラマは滅多に見ませんが、 それをキツイと感じたことはありません。 見ないことで損をしている部分もあるのでしょうが、 得をしている部分もあると思います。 新しい習慣(ここでは受験勉強)を定着させるためには、 これまでに存在している習慣の一部を取りやめることが大切です。 1日のうち、自分の意志で自由に行動できる時間は限られているからです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 97、効率的な学習のためにお金を遣う。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 小学生だった頃、近所にある公民館へよく行きました。 公民館の2階にある図書室には、子供向けの本が数多く並んでおり、 特に夏の暑さが厳しいときなどは、涼しく読書を楽しめたものです。 冷暖房が行き届いていて、なおかつ静かな図書室は、 常に多くの人が利用していました。 しかし、その利用者の大半は本を読みに来たのではなく、 受験勉強のために来ていました。 あれから20年ほどが過ぎましたが、 最近は図書館での自習を禁じているところが多いようです。 やはり、本来の目的とずれているわけですから、 そこで読書をする人が最優先、ということなのでしょう。 それに代わって、このところ目にするのが「自習室」の存在です。 私は授業のために、大阪へ週2回行きますが、 「貸し自習室」と書かれた看板がよく掛かっています。 有料で自習スペースを提供してもらえるのです。 設備や立地にもよりますが、月額1万円〜3万円程度で利用できるようです。 考えようによっては、勉強するだけのスペースを確保するために、 わざわざ、これほどの大金を毎月支払うことに、 抵抗を感じる方もおられることでしょう。 確かに、自宅で勉強すれば余計なお金は掛かりません。 しかし、これほど自習室が流行っているということは、 多くの人が価値を認めているとも言えるでしょう。 実際、私が主宰する塾でも、ある受講生の方が自習室を利用されていました。 ご自宅ではなかなか密度の高い勉強ができなかったそうですが、 自習室では、集中して学習を続けることができたそうです。 その成果は、「気象予報士試験合格」という形で表れたのです。 お金をかけたからといって、必ず成果が出るとは限りませんが、 お金を出し渋ることで、勉強が非効率になってしまうことは多いのです。 その1つが、インターネットによる情報収集に対する過度な期待です。 定額料金でインターネットを利用できるようになったことで、 接続に要する通信費は、10年ほど前に比べて非常に安くなりました。 しかし、ネット検索は決して万能ではありません。 ネット上の情報の中には、真偽が曖昧なものが数多く含まれています。 特に個人が発信している情報内容には、充分に注意する必要があります。 また、情報内容が正しくても、一般的にネット上の情報は、 教科書や学習書として掲載されているわけではありませんから、 断片的な内容が多く、何かを基礎から順番に学ぶ際には不適です。 充分な知識を持った人が、補助的に活用することで、 「最新情報をいち早く得られる」などといったメリットを享受できる、 私はこのように考えています。 インターネットなら何でもタダで情報収集できると考えて、 本を買うことを躊躇うと、効果的な学習から遠ざかってしまいます。 マウスをいくら動かしても、優れた本10冊にはかないません。 では、優れた本を見つける方法は何か? もちろん、その道をよく知る人からアドバイスを受けることも有益ですが、 本当に自分に合った本を見つけるためには、 自分で試行錯誤しながら、本を買い集めていくことです。 結局、身銭を切らないとダメだということです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 98、忘年会の二次会には出ない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私が通っていた高校は、ある私立大学の系列校でした。 今はどうなっているか知りませんが、 当時は全生徒の大半が、推薦で系列の大学に進学していました。 私もそのうちの一人です。 推薦入試と言っても無試験ではなく、一応は入学試験がありましたが、 私が受けた筆記試験は、英語のテストだけ。 しかも、辞書の持ち込みが許されていました。 しかも、その入試問題は前年に出されたものでした。 しかし、私は問題の意味が全く分かりませんでした。 持ち込んできた英和辞書を使って、 長文の単語を一つ一つ調べていくのですが、 個々の単語が分かっても、文法が分からなければ、 文の意味を取ることはできません。 結局、何も分からないまま、適当に記号を入れただけでした。 それでも平然としていられたのは、この英語の試験が、 本質的に合否を左右するものではないことを察していたからです。 これほど出来の悪い受験生だったのも無理はありません。 「問題行動さえ起こさねば、上(大学)には必ず行ける」 という認識があったものですから、 まともな勉強など、何一つしていなかったのです。 定期試験などで午前中に下校できる場合は、 「普段はできないのだから」と自転車で山登りをし、 友人の家に集まって、深夜までバカ騒ぎに興じていました。 そんな中、敢えて推薦入試を受けずに、 一般受験で他大学に合格し、進学した生徒が何人かいました。 煙でモウモウになった部屋で、私が麻雀牌をかき回していた頃、 おそらく、彼らは赤本と格闘していたのでしょう。 他人と違う結果を残したいのであれば、 当然ながら、他人と異なる時間を過ごす必要があります。 これは気象予報士試験に挑戦するときも同じです。 大勢と馴れ合っているようでは、勉強時間を確保できません。 例えば、今は忘年会シーズンですが、 二次会・三次会と飲み歩いているようでは、ダメです。 一次会に参加することで「つきあいの義理」は果たしたと考え、 帰りの電車の中で参考書を広げるくらいの気持ちが大切です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 99、一年の計は年末にあり。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2008年も残すところ10日となりましたが、 今年を振り返ってみて、いかがでしょうか? このメルマガをお読みになっておられる方の中には、 ・念願の気象予報士試験に合格できた ・初めて学科試験に合格できた ・初めて気象予報士試験に挑戦できた 今年1年で達成できた目標をお持ちの方も多いかとお察しします。 一方で、いろいろなご事情もあって、 ・試験勉強が思うように進まなかった ・試験勉強を中断してしまった ・気象予報士試験に挑戦しようと思いつつ、できなかった といった方々もおられるに違いありません。 今年の反省をバネにして、ぜひ来年には目標に向けて、 第一歩(もしくは再スタート)を踏み出していただければと思います。 このメルマガを書くときもそうなのですが、 最初に書き始めるまでが、なかなか時間がかかるのです。 半月に一回のメルマガですが、たいてい書き始めるのは前日か当日です。 しかし、原稿画面を立ち上げて、 少し書き始めてしまうと、後は比較的簡単に筆が進みます。 不思議なのは、何か書き始めることで、 次に書こうとする内容が頭に思い浮かんでくるのです。 一人でウンウン考えているときよりも、 その内容について、人と話をしているときのほうが、 良い考えが浮かんだりすることと似ています。 勉強もこれと同じであると言えるかも知れません。 最初の一歩を踏み出すまでが大変です。 特に、気象予報士試験は「理系科目の試験」というイメージが強く、 学生時代に文系だった方には、取っつきにくい印象があります。 確かに、理系科目を勉強する必要があるのは事実ですが、 一つ一つを着実に学んでいけば、確実にレベルアップできるのも確かです。 これは、文系・理系に関係なく、勉強に共通して言えることでしょう。 これまで文系の勉強をしてこられた方が、 理系の資格も取得できるなんて、カッコイイじゃないですか。 そう考えて、第一歩を踏み出してみることが大切だと思います。 さて、「一年の計は元旦にあり」というのは有名な諺ですが、 できることなら、年末から計画を練っておかれることをお勧めします。 確かに、年末は何かと忙しいのですが、 29日や30日になれば、ある程度まで落ち着くはずです。 そこで、今年1年を振り返ったうえで、 来年に実現したいことを思い浮かべてみて下さい。 そうすれば、新年を迎える際には、 それを実現するための具体的な方法が少しずつ見えてくるはずです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 100、種をまくから、収穫できる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私が気象予報士の勉強をしていた頃、 「そんな勉強をして、どんな役に立つのかね?」 と言われたことがあります。 私が気象予報士試験の勉強を始めたのは1994年(平成6年)のこと。 第1回試験が実施されて間もない頃でした。 今ではテレビやラジオの気象解説と言えば、 気象予報士が出てくるのが当たり前になりましたが、 当時は、資格そのものが今ほどには知られていなかったのです。 もし、私が途中で勉強を投げ出していれば、 その後の人生は、大きく変わったものとなっていたことでしょう。 勉強をすることは、畑に種をまくことと似ています。 種そのものを食物として食べることもできるわけですが、 敢えてそれをせずに、種を土に埋めて、水を撒き、肥料をやるわけです。 勉強のために「時間」「労力」「お金」を使うということです。 こうして、種が芽を出し、苗が生長していくわけですが、 「○○年に収穫できる」と予め決まっているわけではありません。 しかし、これだけはハッキリと言えます。 種をまいて、育てなければ、絶対に収穫できないということです。 何もこれは気象予報士試験に限った話ではなく、 楽器でも、語学でも、肉体改造でも、同じだと言われています。 私は4年ほど前に、アコーディオンを買いましたが、 もうずっと、押し入れで眠ったままです。 大きいので、かなりのスペースを占領し続けています。 フルートだったら、もっとコンパクトなのですが、 cobaさんに憧れてアコーディオンをやってみたかったので、仕方ありません。 「マンションだから楽器はダメ」というのを言い訳にして、 この4年間ほとんど触っていませんが、 1週間に1回でも、カラオケ店で練習していれば、 「My Way」が弾けるようになっていたような気もします。 種をまいたが、その後の世話を怠っているということです。 気象予報士試験で挫折する人は、収穫時期が見えないからです。 「そんな勉強をして、どんな役に立つのかね?」 という心の声が聞こえてくるからです。 しかし、種まきの時期と収穫期の間には、必ずブランクがあります。 未来を信じて耕し続ける人だけが、収穫できるのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 101、合格体験記の読み方 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験の参考書などに、「合格体験記」が載っていることがあります。 また、ネット上で【気象予報士 体験記】などと検索してみると、 数多くの合格体験記を目にすることができます。 試験合格を目指す人にとって、合格体験記は羅針盤のようなものです。 成功者の足取りを文章で追うことで、有益な情報が得られるからです。 合格体験記を読む際には、3つのポイントがあります。 1:着眼点を決めたうえで読む。 2:納得できたものだけ受け入れれば良い。 3:読むだけでなく、実践してみるのが大切。 まず1ですが、合格体験記を漠然と読んでいるだけでは、 役立つ情報を適切に受け取ることは難しいと考えます。 どんな試験の合格体験記にも共通していることですが、 その内容は「どのように勉強して試験に合格したか」を書き綴ったもので、 ダラダラと読み続けていると、だんだん飽きてきます。 体験記を読む際には、事前に着眼点を決めておくことが大事です。 例えば、「勉強時間を捻出する方法」とか、 「勉強が上手くいかなくなったときの克服法」とか、 何かテーマを1つに絞っておくのです。 そのうえで読み進めていくと、有益なメッセージが浮かび上がってきます。 例えば、日曜日なのに、急に歯が痛くなったとき、 休日でも診察している歯科医院を探して、 近隣をウロウロと探し回ったことはありませんか? 普段は全く意識していなかった「歯科」の看板が数多く目に付いたはずです。 これは、美容院・郵便ポスト・公衆電話などでも同じです。 意識して「探そう」と思うからこそ、ハッキリと目に飛び込んでくるのです。 次に2ですが、複数の合格体験記を読むと、 勉強の仕方が数多く出てきて、混乱することがあります。 つまり、「どの人の言うことが正しいのだろう?」となるのです。 山の頂上に至るまでの道が1本とは限らないのと同じように、 合格に至るまでの適切な勉強法も1つとは限りません。 ですから、体験記の内容を「絶対的に正しい」と考える必要もありません。 読んだうえで「なるほど納得!」と思ったものだけを、採用すれば良いのです。 そういう意味では、自分と相性の良い勉強方法を見つけるために、 複数の合格体験記を読まれることをお勧めします。 最後に3ですが、合格体験記を読んだだけではダメだということです。 中には「効果的な勉強法は何か?」といったことを探し続けるだけで、 ちっとも勉強しない人がいますが、これでは合格できません。 合格体験記を読む目的は、あくまでも実践のためです。 「こういうやり方があったのか! 自分も真似してみよう!」というのが、 適切な合格体験記の活用法です。 体験記に書かれていることを実践してみることで初めて、 自分に合っているのか、そうでないのか、ということも分かります。 薬の効能書きを読むだけでは、効果が出ないのと同じです。 「ノウハウの習得」と「その実践」は、ワンセットだということです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 102、気分転換としての勉強 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ある気象予報士の方は、受験時代を次のように振り返りました。 「仕事のストレス解消のために勉強していたようなものですよ。」 この言葉の中には、効率的な勉強を生み出すためのヒントが隠されています。 この方は、気象とは関係のない仕事をされています。 つまり、勤務時間中に行う業務内容とは全く異なる勉強を、 早朝や休日に行うことで、大いなる気分転換になったというのです。 私にも似たような経験がないかと思い出してみると、2つありました。 1つは、奈良から北海道まで自転車で1か月かけて旅をした際に、 無性に本を読みたくなったことです。 テントや寝袋などの全ての道具を自転車に積み込む必要があり、 本は一冊しか持っていくことができませんでした。 そのせいか、旅の後半になると無性に書物に目を通したくなり、 小樽から舞鶴行きのフェリーに乗る前日には、 本屋を探してウロウロしたものです。 これは、朝から晩まで自転車をこぎ続けるという生活に少し飽きてきて、 本を開き、活字を目で追うという生活に転換したい、 という欲求が出たのだと解釈しています。 そういえば、同時に「パソコンに触れたい」という欲求も出ていました。 普段の生活では、パソコンを毎日操作しながら、 「なんとしても、宗谷岬まで自転車で行ってやる」と望んでいたわけですが、 今度は逆に、「普段の生活に戻ってみるのも良いな」と感じたのです。 もう1つの経験は、気象会社に勤務していた頃のことです。 テレビ局で気象報道に携わる仕事をしていたわけですが、 勤務が終わった後は、気象と関係のないことに取り組んでいました。 古いホーロー看板の写真を撮ろうと、あちこちを散策したり、 株式投資のために本を買い込んで研究し、売買を行ったり。 街中で見かけた珍品の写真をホームページで紹介しているうちに、 雑誌(『編集会議』2005年10月号)でも、取り上げて下さいました。 もっとも、株式投資はトータルで50万円以上の損を出してしまった挙げ句、 損を取り戻すこともできず、いつしか辞めてしまいましたが。 振り返ってみると、無意識に仕事とは関係のない趣味を選択することで、 気分転換を図っていたように思います。 社会人の勉強というと、自分の仕事に関連したものを選びがちです。 おそらく、その勉強の成果は仕事には役立つでしょうが、 勉強自体は気分転換になりにくいだろうと思います。 あくまでも、意識は「業務の延長」のままだからです。 面白いもので、息抜きに専念しているうちに、 今度は本業に力を入れたくなってきます。 息抜きと本業の切り替えを行うことで、 車の両輪の如く、双方とも上手くいくのが一番良い状態ですね。 そういう意味で、理科系科目と関係のない毎日を過ごされている方こそ、 気分転換としての「気象予報士試験の勉強」をお勧めしたいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 103、理解できるから、覚えられる!勉強が楽しくなる! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 小学6年生の頃、学校で「百人一首を覚えよ」という課題が出ました。 100首の和歌がずらりと印刷されたプリントが配られ、 毎朝の授業開始前に、児童が一人ずつ覚えた短歌を暗唱していくのです。 小学生の頃の私は先生の言うことをよく聞き、まじめに勉強していましたから、 百人一首の暗唱についても、努力して取り組んだ記憶があります。 中には100首全て覚えた人もいましたが、私は半分くらいがやっとでした。 現代語と異なる表現で詠まれた和歌を暗記するのは、結構大変だったのです。 今になって、ようやく気づいたことがあります。 > 久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ 紀友則 当時、この歌も必死になって唱えながら、暗記に努めていたのですが、 「光のどけき」って何だ? これは「光の/どけき」だろうな。 で、「光をどける(取り除く)」って、どういう意味だ? などと大きな勘違いしていたことを思い出します。 > 日の光がのどかにさすこの春の日に、どうして静かな落ち着いた心もなく、 > 桜の花はあわただしく散っているのであろう。 井上宗雄『百人一首を楽しく読む』笠間書院 2003年 P,76より引用 実際には、「光のどけき」というのは、 「光がのどかな(穏やかな)」という意味だったことを、 30歳になって、ようやく気づいたというわけです。 当時、担任の先生は「百人一首を全部覚えよ」とは仰いましたが、 和歌の内容について解説していただいた記憶はありません。 古典文法の知識もない小学生に説明するのは難しいでしょうし、 「今は意味が分からなくても、とりあえず暗記しておけば、後で役立つ」 というお考えだったのでしょう。 しかし、これは勉強の仕方として、あまり良い方法とは思えません。 ものを覚える際には、何らかの「理解」があったほうが、 より効果的に覚えられるからです。 具体的には、話の筋道であったり、因果関係であったりなどです。 例えば、私は歴史の年代を「暗記」したことがありません。 語呂合わせで覚える本が出回っていますが、 それを活用した記憶もないのです。 なぜなら、自然に頭に入ったからです。 これは私の記憶力が良いからではありません。 (記憶力が良ければ、百人一首も全部覚えられたはず。) 日本の歴史に興味を持つことができ、 歴史を「流れ」として捉えることができたからこそ、 年代も自然に覚えてしまったというわけです。 歴史に興味を持つようになったのは、 家にあった、小学館の『学習まんが 日本の歴史』を読んだからです。 この考え方を古典文学に当てはめると、 まずは、マンガなど内容を分かりやすく記したものを読み、 自分なりに「わけが分かる」状態になったときに、 さらに高度な勉強に取り組むと知識や理解が深まる、と言えます。 いきなり、歴史の年表をB4版のプリントで配られ、 「これを全て暗記してくるように」と言われれば、 後に進学塾の講師として、小・中学生に歴史を教えることも無かったでしょう。 もちろん、私は「暗記教育は全て悪」と考えるわけではありません。 歯を食いしばって、暗記に努めることも必要な場合があります。 例えば、外国語を習得する際の単語学習として、 「この単語の語源はどうなっているのか?」などと最初から細かく考えると、 単語の知識を効率的に広げていくことは難しいでしょう。 また、古典文法における動詞の活用形についても、 まずは暗記してしまうことが大事だと思われます。 気象の勉強で言えば、天気図に登場する天気記号については、 覚え方のコツはあるものの、ひとまずは暗記するしかありません。 問題なのは、本来は丸暗記が不要であるにも関わらず、 そういった手段を選択している場合です。 特に、因果関係などの論理的なつながりを掴めなかった場合、 「○○は△△なのだ、と覚えておくか・・・。」となりがちです。 しかし、暗記という作業は大変ですし、 筋道が理解できていない状態での表面的な棒暗記は、 試験で役に立たないことが多いのです。 気象予報士試験の勉強は、覚えることも結構ありますが、 もっと重要なのは、内容を理解することです。 知識と知識をつなぐ架け橋の存在が見えてくれば、 試験勉強はもっと楽しくなります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 104、気象会社への就職を目指す学生の皆さんへ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ そろそろ本格的な就職活動の時期ですが、当メルマガの読者の皆様には、 気象会社への就職を考えておられる学生の方も多いことでしょう。 かつて気象会社に身を置いた私の立場から、3点を申し上げたいと思います。 1,キャスターだけが仕事ではない。 2,気象をビジネスとして捉える。 3,資格は「熱意の大きさ」としてアピールする。 まず1ですが、テレビやラジオに出演する業務は、 気象業界全体における仕事のごく一部に過ぎないということです。 志望する会社で、どんな仕事をしているのかについては、 詳しく研究しておかれると良いでしょう。 また、予報業務に関係した仕事の場合は、 時間的に不規則な勤務もあり得るとお考え下さい。 気象状況は、人間が作った時計と関係なく動きますから、 夜中や早朝であっても、年末年始であっても、 誰かが業務を担当する必要があるわけです。 マスメディアに関係した業務についても、同じようなことが言えます。 ちなみに、私がテレビ局で仕事をしていたときは、 勤務日の半分以上が、午前3時頃の局入りでしたし、 元旦に仕事をしていたこともあります。 次に2です。 基本的なことですが、気象会社も営利を追求する組織です。 要は「儲ける」ことを、絶対に譲れない目的としています。 これは気象会社に限らず、どんな会社組織でも同じですが、 この部分の意識にあまり重点を置かれない学生さんが結構おられます。 現在、数多くの気象会社がありますが、 考え方によっては、「お天気」は商売になりにくい業種とも思えるのです。 なぜなら、日本では国のお役所(気象庁)が気象情報の提供を行っています。 国民の税金によって、気象庁はお仕事をしておられるわけですが、 多くの人は、「タダで天気予報が手に入る」という感覚を持っています。 この状況において、有料で気象情報を提供するビジネスを成立させることが、 決して簡単ではないことにお気づきいただけるかと思います。 「社会への貢献」「地球環境を守る活動」も非常に大事なことですが、 それができるのも、会社が社員に給料を払えるからです。 給料を払うためには、利益を出さねばなりません。 その利益をどうやって捻出するのかということです。 気象会社の社員になるということは、 この点において当事者になることを意味します。 つまり、仕事を進める際には、 商業的な面を常に意識していかねばならないのです。 単に「天気が好き」「空を見るのが楽しい」というだけであれば、 仕事ではなく、趣味として気象に携わったほうが良いかも知れません。 最後に3です。 中には学生時代に気象予報士試験に合格した方もおられるでしょう。 大きな努力で勝ち取った資格なのですから、 それを最大限に生かした就職活動を行いたいところですが、 面接やエントリーシートなどで、「私が持つ専門的能力を生かして・・・」 といった自己アピールには少々違和感を持ちます。 気象予報士資格を持つ人は全国で6000人あまりしかいないとは言え、 気象会社には、気象予報士がゴロゴロといます。 タクシー会社に2種運転免許を持つ社員が多いことや、 病院の医局に医師免許を持った人が多いことと、同じようなものです。 また、どんな業界でもそうですが、免許や資格を持っているからと言って、 業務の最前線において、即戦力として活躍できるほど、 プロの世界は生ぬるくありません。 有資格者であることをアピールする際には、 その辺の意識と節度を持っておかれたほうが良いと思うのです。 「能力の高さ」ではなく「業界への熱意の証」として示すのが良いでしょう。 思いつきで気象会社への就職活動を行っているのではなく、 キチンとした志があって、以前から準備をしてきたのだ、 ということを示すことができます。 気象予報士の資格の有無が、 採用に一切影響しないことを表明している会社もある一方で、 気象予報士の資格を、応募条件としている会社もあります。 どちらにしろ、気象業界で仕事をしたいのであれば、 気象予報士の資格くらいは取っておきたいところです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 105、生涯学習としての気象予報士試験 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第31回気象予報士試験では、13歳の中学生が最年少合格記録を更新したことが、 各マスメディアで大きな話題として取り上げられています。 しかし、今回の試験の最高齢合格者として65歳の方がおられることにも、 大いに注目したいところです。(「山陽新聞」の記事による) 実際に、試験会場に足を運ばれる受験生には中高年の方も多く、 気象予報士試験を生涯学習として捉える方も少なくないと考えます。 そこで、今回は中高年の方の受験アドバイスを書いてみました。 それは次の3項目に集約されます。 1,急がず、焦らず、着実に。 2,記憶力よりも理解力で勝負する。 3,不必要な手間と時間は避ける。 まず、1についてです。 生涯学習として気象予報士試験に挑戦する場合は、 「短期間で如何にして合格するか」を考えることよりも、 「勉強を長期にわたって続けられること」を考慮するほうが大事です。 就職活動を控えた学生さんであれば、 「徹夜勉強をしてでも合格してやる」という方もおられるでしょう。 そういった方は、勉強そのものよりも、 結果として得られる「資格」が目的なのだと思われます。 確かに生涯学習においても、合格は大きな励みになりますが、 「知ること」や「学ぶこと」自体を最大の目的とされるわけですから、 短期的に無理をして、ガツガツされる必要は無いわけです。 貯金箱に小銭を入れるような感覚で、少しずつ勉強を重ねることができれば、 やがて、一里塚としての「試験合格」が見えてくると確信しています。 次に、2についてです。 「年齢とともに、記憶力が低下した」とよく耳にしますが、 それが本当なのかどうかは、私にはまだ分かりません。 渡部昇一上智大学名誉教授は、『知的生活を求めて』(講談社)の中で、 歳を取って記憶力が向上した旨を書かれています。 もしかすると、脳の働きが低下するというよりも、 コツコツと地道に覚える、ということが面倒になるからかも知れません。 その一方で、人生経験を重ねるとともに物事を理解する力は、 むしろ高まるのではないかと考えます。 このメルマガでも、何度も触れていますように、 気象予報士試験を「暗記科目」と捉えてしまうと、勉強がつまらなくなります。 内容を理解することに努め、覚える内容を最小限にすることこそが、 試験勉強を続けていくためのコツだと考えます。 最後に、3についてです。 私は15歳の時に、関東や東北地方を電車で旅したことがあります。 普通電車と快速電車が一日中乗り放題の「青春18きっぷ」を使ったのです。 旅行日程は5日間でしたが、一度も宿には泊まりませんでした。 全ての夜を、夜行列車の座席で明かしたのです。 これで5日分の列車の運賃と宿泊代を1万円強でまかなうことができました。 観光のために下車する以外は、ずっと電車内にいましたから、 旅の後半には、痔になりかけてしまいましたが、 わずかなお金を節約するために、あらゆる労苦に耐えられるのが若さです。 しかし、30歳になった今、そういう旅はできなくなったように思います。 2008年春に、友人と中国地方のローカル線「三江線」に乗ったのですが、 2時間ほど乗っていただけで、かなり疲れてしまいました。 特急列車の快適さが分かったように感じます。 勉強もこれと同じです。 金が無く、時間と体力が有り余っている学生であれば、 古本屋で買った線だらけの参考書をボロボロになるまで読み込めます。 勉強の際に不明な点が出てきたときは、雨の中でも足繁く図書館まで通い、 【禁帯出】のラベルが付いた事典を広げ、ひたすら大学ノートに書き写す、 といった勉強もやり通せるはずです。 しかし、年齢を重ね、ある程度の金銭的な余裕ができると、 勉強のために必要な書籍は、そのつど新刊本を買って、 手元に置いておきたいと思うようになります。 さらに言えば、長時間にわたって細かい活字を目で追っていくよりも、 書籍の内容を分かりやすく解説した講義を受けてみたい、 と望む方もおられることでしょう。 「手間」と「時間」は、ある程度まで「お金」で代用することができます。 些末な部分で躓かずに、効率的に学習を進めていく際には、 ある程度の金銭的な出費が必要とも言えるでしょう。 それは別に狡いことでも何でもありません。 鈍行列車で旅をするか、特急列車で旅をするかは、価値観の問題であり、 それに対して、優劣を付けられないのと同じだからです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 106、どんな気象キャスターを目指すか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ テレビやラジオで活躍する気象キャスターには、 大きく分けて3種類があります。 1,放送局の職員として出演 2,気象会社の職員として出演 3,放送局と出演契約を結んで出演 1は、いわゆる「局アナウンサー」のことで、 待遇も良く、立場も安定していて、非常に人気のある職業です。 それだけに、アナウンサーになるためには、 非常に狭き門を突破しなければなりません。 私が主宰する塾の元受講生(気象予報士試験合格)の中にも、 テレビ局のアナウンス職試験に受かった方がおられますが、 就職活動では相当に努力されたとお聞きしています。 2のように、気象会社の職員として、 気象キャスターに就くという方法もあります。 私も大学卒業後は、気象会社に入社し、 放送局で出演を含めた気象報道業務に携わっていました。 1と同様に、会社員としての立場は保障されていますが、 必ずしも、キャスターの仕事を担当させてもらえるとは限りません。 番組に出演するというのは、気象会社全体における業務のごく一部ですし、 中には気象報道に全く関わっていない気象会社もありますから、 その点は就職活動を行ううえで充分に留意しておかれるべきでしょう。 3は、フリーで活躍するキャスターのことです。 気象会社から独立する形でフリーキャスターになる方は少なくありません。 人気の高い気象キャスターであれば、高収入も期待できます。 有名アナウンサーが放送局を退職して、フリーに転身するケースが多いのも、 収入面でかなり有利な面があるのだと思われます。 また、やりたい仕事だけに専念できるという点も魅力なのかも知れません。 しかし、フリーキャスターの立場は必ずしも安定していません。 番組を降板してしまえば、その分だけ仕事が減ることになりますし、 もちろん、代わりの仕事が入ってくるとは限りません。 私自身も気象会社に入社するまでは、この立場で出演していましたが、 自分の立場がいかに不安定であるかを実感した記憶があります。 初めて気象キャスターとして出演を開始してから、わずか2か月のこと。 担当していた番組が終了してしまったのです。 当時、私は20歳。番組そのものが消滅してしまうのですから、 出演もこれで終わりかと腹を括りました。 幸いにも別番組で起用していただけることになり、 驚きと安堵感を同時に経験したことを、ハッキリと記憶しています。 気象キャスター志したいと思われる方は、 1〜3のどの形でキャスターを目指すのか、考えてみると良いでしょう。 そこから具体的に成すべきことが見えてくるはずです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 107、長く続けるための3つの方法 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 新年度が始まり、これを機会に新しく勉強を始める方も多いかと思います。 学習の進め方には、いろいろな方法がありますが、 気象予報士試験を突破するためには、ある程度の長期的な勉強が必要ですから、 長く続けられるやり方こそ、一番正しい方法なのです。 私は長く続けるためのコツとして、次のようなものを挙げます。 いずれも私自身の経験から導き出したものです。 1,余裕のある計画を立てる。 2,他人を上手く利用する。 3,苦しいときの「臨時休業」を容認する。 まず、1についてです。 計画を立てるときは、やる気が高まっている状態ですから、 どうしても限度一杯のスケジュールを作ってしまいがちです。 しかし、最高の状態に合わせた計画を立てると、 こなしきれない日が必ず出てくることになります。 例えば、私は携帯電話でも読める『気象予報士試験講座』という、 メルマガを2年ほど続けています。 創刊当初は「毎日欠かさず発行や!」と考えたこともありましたが、 結局のところ、「平日のみ発行」という形で始め、現在に至っています。 ちょっとした問題を1題ずつ配信するだけのメルマガですが、 もし、完全日刊であれば、ここまで続いていたかどうか分かりません。 週に2日の休刊日を入れておいたからこそ、 500回近くの配信を行うことができたような気がします。 また、「毎朝5時に起きる」という習慣も、始めてから3年目を迎えます。 これが続いているのは、夜9時には布団に入っているからです。 おそらく、夜12時を過ぎてから床に就くようであれば、 早朝5時に起きるのは辛いことであるに違いありません。 私は眠気を我慢するのが嫌いなので、そういった無理が生じるのであれば、 おそらく習慣として定着しなかっただろうと思われます。 2についてですが、私は「ヤクルトを毎日飲む」という習慣を、 2年半ほど続けています。 冬場は冷たいヤクルトを風呂の湯で温めてから、入浴中に飲んでいます。 そのヤクルトは、店で買ってくるのではなく、 毎週火曜日に配達してもらっているというのが、ポイントです。 それは何かを習慣づけたいときに、他者の力を借りるのが有効だからです。 もし、スーパーでヤクルトを買うことにしていたのであれば、 習慣として定着したかどうかは分かりません。 「うっかり買い忘れた」「雨が降っているから買いに行くのが面倒くさい」 といった理由で、習慣づけることができなかったかも知れません。 まして、「学習習慣を定着させる」という行動は、 ふつうは「ヤクルトを毎日飲む」ことよりも難しいはずです。 そうであれば、他人を上手く利用することを、 より重視したほうが良いと言えるでしょう。 勉強の場合であれば、毎週その成果を発表せねばならないような場があると、 効果的に進めていくことができるはずです。 勉強に対して厳しい高校が、大学入試で大きな成果を上げることが多いのは、 まさに、この点にあると考えています。 勉強せざるを得ない環境を作ることが大切です。 3については、真面目な方に特に申し上げたいことです。 計画を立てたからには、できる限り実行するのが理想ではありますが、 ある程度の例外は、自分で認めてあげるほうが良いと思います。 例えば、メチャクチャ疲れているようなときに、 無理をして本を開いても、頭には何も入りませんし、何も残りません。 私は高校や大学の授業で、眠気をこらえながら、 何とかしてノートをとろうとしたことが数え切れないくらいありますが、 結局のところ、何の結果も得られなかったように思います。 頭が「頑張れ!」とハッパをかけても、 体がついてくるとは限らないということです。 そんなときは、潔く「臨時休業」にして、さっさと休むことです。 当メルマガも創刊から5年目を迎えますが、 今号のように、当初の発行予定日に間に合わなかったこともあります。 今回は、花粉症で体調を崩してしまったことが原因ですが、 「まあ、そんなこともあるもんや」と開き直ってしまうことが、 メルマガ発行を長く続けられた一因と思っています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 108、息抜きは必要。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前回のメルマガで「勉強を習慣づけることが大切」と書きましたが、 そのときに大事なことがあります。 それは、「息抜きの時間を必ず確保する」ということです。 息抜きというのは、趣味であるとは限りません。 むしろ、趣味とも呼べないような些細なものであることも多いのです。 例えば、混雑した通勤快速ではなく、ガラガラの各駅停車でゆっくり帰ること、 入浴剤入りの風呂に浸かって、肩や首のコリをほぐすこと、 「You Tube」の映像をダラダラと見ること、などです。 自己紹介の「趣味」欄に書けないほどの、ちょっとした行動や、 他人にはあまり言えない恥ずかしい行動が、 その人にとって、息抜きの役割を果たしていることがあります。 「特に趣味はない」と言う人でも、息抜きをしない人はいません。 息抜きの時間を削ってしまうと、息が詰まってしまうからです。 私の知り合いで、朝から晩まで元気に働く社長がいます。 従業員の誰よりも懸命に仕事をする社長です。 特に趣味のようなものは無いように見えましたが、 仕事終わりに酒を飲むのが日課になっているそうです。 この社長の場合、晩酌が息抜きになっているわけです。 「酒・たばこ・ギャンブル」というと、 「やらないのが良い」というイメージがありますが、 それが、本人にとって大切な息抜きになっているのであれば、 一概に「やめなさい」とは言えない部分があります。 ちなみに、13歳前後の私は、どうしても爪を噛むくせが直りませんでした。 それが息抜きになっていたのかも知れません。 ちなみに、現在の私の息抜きの1つは、 ネット書店の「Amazon」で欲しい本を安く買うことです。 前から目を付けていた商品が古本として安く売られているのを見たときに、 【1-Clickで買う】のボタンを押す瞬間がたまりません。 実際に届いた本を手にするときよりも嬉しいような気がします。 また、日曜日の授業を終えて帰宅した後、 「サザエさん」をダラッと見るのも、なかなかリラックスできます。 「なぜサザエさんの家は黒電話なのか?」などととツッコミながら、 今も昔も変わらぬアニメを見ていると、息抜きになるのです。 会社や学校においても、息抜きの場があるのと無いのでは、 その人の負担が大きく変わってきます。 ちょっとした空き時間に、缶コーヒーを片手にバカ話ができる環境なら、 少しくらい仕事が大変でも、頑張れそうな気がします。 いくら気象予報士試験の勉強が好きになったとしても、 受験勉強である以上、合格を目標にして努力せねばならないのですから、 「勉強そのものが息抜きです。」という人は、ごく僅かです。 ホッとする時間を意識的に確保することこそが、 長期間にわたって勉強を続けていくために大切だと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 109、一人で進める勉強・仲間と進める勉強 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「2万5000人のうちの1人」・・・この数字は何でしょう。 日本の全人口に対する、毎回の気象予報士試験での受験者数の割合です。 回によって変動はありますが、最近の受験者数は5000人程度です。(※1) 同じ国家資格でも、行政書士試験は60000人以上と10倍以上です。(※2) 「2万5000人に1人」ということは、観客席が満員の甲子園球場においても、 自分以外の受験生が1人か2人いるだけという計算になります。 もし、2万人〜3万人程度の市町村にお住まいであれば、 受験生は自分のみ、という可能性も高いわけです。 要はそれくらい気象予報士を目指す人というのは、 全国でも少ないということです。 かつて受験生だった頃、気象の本を探すために、 大阪にある大きな書店を訪れたことがありますが、 気象関連の書棚で別の人が同じような本を探しているのを見て、 少し嬉しくなった記憶があります。 それだけに、この試験の勉強を独りで進めておられる方も多いことでしょう。 独りで勉強を行う際に、最も懸念すべきことは、 勉強に対する気持ちが弱まったときに、孤独感が生じやすいことです。 ある気象予報士の方は、受験時代に他の受験生の方々と週に一度集まり、 お茶を飲みながら話をする場を設けておられました。 そこで、仲間と会話を楽しむことで、大いにリラックスできたとのことです。 前回も述べましたが、こういった「息抜きの場」は本当に大切ですね。 仲間の存在は、実利的な面からも有効だと考えられます。 独りで勉強を進めていると、どうしても自分に甘くなりがちです。 「合格のために必要な勉強量」の見通しが不明瞭になることもあります。 「まあ、こんなもんかな」と、手探りで判断していくことになるわけですが、 これが「井の中の蛙」であることも、しばしばです。 もし、合格した人に直接話を聞く機会があれば、 自分が今まで進めてきた勉強が、いかに甘かったかを痛感するかも知れません。 また、効果的な学習方法の1つとして、 「他人に上手く説明できるかどうか」を理解度の指標にする方法があります。 自分では何となく納得しているように感じていても、 いざ他人に説明することになると、弱点が露呈することがあるのです。 この方法は、仲間どうしで「教え合う」という効果も期待できます。 もちろん、誤解の無いように述べておきますが、 複数で集まって行う勉強が常に効率的であるとは限りません。 むしろ、勉強とは基本的に一人で行うものだと私は考えます。 上で述べたように、「知識の確認」は仲間と行う利点が大きいのですが、 「知識の吸収」という最も基本的な学習過程については、 一人で行うのが効果的であると言えるでしょう。 大勢でワーワー集まると、集中して取り組むことが難しいからです。 一人で頑張る時間を充分に取り、 少し人恋しくなったときに、仲間と集まってみる。 時間的な比は、前者が20時間とすれば、後者は1時間くらいでしょうか。 でも、この1時間こそが、一人での20時間を心強いものにしてくれるのです。 (※1)財団法人気象業務支援センターの資料より (※2)財団法人行政書士試験研究センターの資料より ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 110、「大気の熱力学」という山を越える。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 自転車で世界一周を果たした、のぐちやすお氏は、 長期の自転車旅行の前に「一泊の壁」が立ちはだかると述べておられます。 (『自転車野郎養成講座』山海堂 1993年) ここでの「一泊」とは、野宿を指します。 日帰り旅であれば、基本的に自転車を走らせれば良いだけですが、 たとえ一泊二日でも、野宿をする際には、 考えなければならないことが数多く出てきます。 私は1か月程度の自転車旅を2度行ったことがありますが、 キャンプ場以外では、テントを張る場所を探すのに一苦労です。 安眠のためには、水平で滑らかな地面であることが必要です。 少しでも傾斜があったり、石がゴロゴロしていると、グッスリ眠れません。 草地であれば、地面が柔らかくなるので、眠るのには向いていますが、 草の中に潜む大量の蚊に悩まされたことがあります。 テント設営中に、足に何匹もの蚊がとまり、血を吸っているという状況です。 もちろん、虫が中に入らないように、テントのジッパーを閉めるのですが、 真夏であれば、暑さで蒸し風呂状態です。 夜中に目が覚めて、水を飲み干すことも結構ありました。 一方、北海道の内陸部では、まだ9月なのに夜の冷え込みが厳しく、 あまりの寒さで、ろくに寝られなかったこともあります。 外気温の影響を大きく受けるのが野宿です。 また、夜中にいきなりの激しい雷雨によって叩き起こされたこともあり、 できれば、屋根の付いた場所にテントを張りたいものです。 人通りが多い場所にテントを張れば、何となく落ち着きませんし、 周囲から迷惑がられることも考えられます。 実際、公園で寝ているときに警察官から声をかけられたこともありました。 逆に人が全くいない場所で、一人で夜を明かすのもちょっと怖いです。 賊に襲われるのではないかと思い、手元には常に木刀を用意していました。 さらに、これは少々贅沢な要望ですが、 トイレが近くにある場所にテントを構えると、用を足すのに便利なだけでなく、 飯を炊いたり、後片付けをする際に必要な水を確保することができます。 こんな感じで、宿に泊まれば考えなくて済むようなことが、 野宿では噴出してくるため、旅慣れない頃は多くの不安を抱えていました。 ただ、野宿を一度やり遂げることができれば、 次第に「まあ、こんなものか」と思えるようになってきたのです。 実際に、橋の下・道の駅・公園・無人駅・海岸など、 いろいろな場所で夜を過ごしました。 野宿という宿泊方法を一度経験することができれば、 あとは、それを繰り返していくだけです。 「昼は自転車で走り、夜は野宿する」という一日を過ごすことができれば、 これの繰り返しで、長期の旅が可能となります。 私の場合は、全て野宿で夜を明かしたわけではありませんが、 奈良から出発して、24日間で宗谷岬に到達しました。 (注:青森→函館はフェリーを利用) 気象予報士試験の勉強を続けていくことは、これと似ています。 ご存じのとおり、この試験の勉強を合格まで続けていくのは大変です。 自転車旅行での「一泊の壁」に該当するものは、 一般知識試験における「大気の熱力学」であると考えています。 たいていの人は、一般知識試験の勉強から始めるわけですが、 「大気の熱力学」の単元を充分に習得できるかどうかで、 その先の勉強が順調に進むかどうかを大きく左右すると考えています。 「大気の熱力学」は、基礎的な物理学(熱力学)を学習する単元です。 「お天気の勉強」と聞いて、雲の写真を見たり、 百葉箱の観察をしたりすると思っていた人は、 この単元の学習で、そのギャップの大きさに驚きます。 もちろん、こういった地味な基礎知識をコツコツ学習することは、 気象について深く学ぶために必要なもので、だからこそ試験科目なのです。 表面的な天気現象だけを見ていては、こういった知識は身につきません。 この単元を習得するためには、単なる暗記では太刀打ちできません。 レンガを丹念に積み上げるように、基礎から学習を重ねることが必要です。 よく分からない部分や納得できない点に対して、 適当にごまかしたり、無理矢理に覚え込んでしまうのではなく、 納得が得られるように努力しよう、という姿勢が大切です。 そうして、最終的に問題演習まで仕上げることができれば、 気象予報士試験の受験勉強として、1つの山を越えたことになります。 「大気の熱力学」の学習において、 理解・納得を伴う知識の習得が、いかに大事であるか実感できれば、 他の一般知識試験の単元や、専門知識試験・実技試験の勉強においても、 基本的な学習スタンスは同じであることに気がつきます。 それこそが試験合格のために大切なことであると、私は考えています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 111、興味を持つことで、知識は増える。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 小学生の頃に読んだ本に載っていた言葉を、今でも覚えています。 書名は忘れてしまいましたが、子供向けのクイズの本でした。 「問題の答えが分からないときは、答えのページを見て下さい。 その後で、もう一度問題を見れば、今度は正解が分かるはずです。 これは、1つ[ものしり]になったということです。」 解答を一度見てしまえば、次から正答できるのは当たり前のことですが、 当時の私は「なるほど〜」と思ったものです。 考えてみれば、私が重視している「過去問題演習」も、 「模範解答を見ながら勉強する」という点で、 あのクイズ本に載っていたメッセージと一致します。 クイズと並んで子供が好きなものに「なぞなぞ」がありますが、 私はあまり好きではありませんでした。 『パンはパンでも、食べられないパンはなぁーんだ?』 といったような問題のことですね。 私がなぞなぞ嫌いだった理由は簡単で、答えがなかなか思いつかないからです。 頭を柔らかくして発想を転換させなければ、謎解きはできません。 一休さんのように、ピンと閃けば楽しいのでしょうが、 そういった能力は備わっていなかったようなのです。 一方、クイズは結構好きでした。 クイズを解くために柔軟な思考は不要です。知っているかどうかが全てです。 自分の興味のある分野なら、誰でもある程度の知識は持っています。 そうすると、正解できる問題も多くなります。 正解できれば、嬉しいものですから、 もう少し詳しく知りたい、という気持ちも出てきます。 テレビ番組や本で知識を得たいと思うようになります。 このようにして、知らず知らずのうちに好循環が出来上がるのです。 「興味を持つこと」と「知識を積み上げること」。 結局のところ、勉強はこの2つの繰り返しなのですね。 両者が連動すれば、勉強の効率は高まります。 私は中学生になってから、学校の勉強は全くできなくなりましたが、 幼いときから興味を持っていた天気と宇宙については、 その後も、本を読んだり、テレビ番組を見たりしていました。 これが後に、気象予報士試験の土台になったように思えます。 気象予報士試験に合格するために、特別な才能は必要ありません。 興味を持って、勉強を続けていけば、 必ず合格に到達することができる、私はこのように確信しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 112、パソコンを活用した実技試験の勉強 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ご承知のとおり、実技試験は記述問題が多いのですが、 私は実技の受験勉強において、パソコンを利用することを推奨しています。 パソコンを使った実技試験勉強には、次のようなメリットがあります。 1,短い時間で効率的な勉強ができる。 2,答案の推敲が手軽にできる。 3,ネット検索を活用できる。 なお、上に挙げた3つのメリットは、 普段からパソコンを使い慣れている方であることが条件です。 まず1ですが、タイピングに慣れた方であれば、 手書きよりも遙かに早く入力できるはずです。 また、手書きに比べて、手の負担が小さいはずです。 つまり、短い時間で多くの文を書くことができるわけですから、 効率的に勉強を進められることを意味します。 次に2です。手書きの場合、文章の手直しが大変です。 鉛筆と消しゴムを交互に使いながら、 「消しては書き、消しては書き」を繰り返さねばなりません。 消しゴムを使わなくとも、斜線で消したり、 色の違うペンを使って書き込んだりすることはできますが、 だんだんゴチャゴチャしてきますので、推敲できる回数は限られます。 一方、パソコンでの文書作成は、編集が自由自在です。 さらに、ソフトを活用することで、ますます答案作成が便利になります。 実技試験では字数に関する指示があるので、 なるべく指定字数に近い形で、答案をまとめる練習が大切です。 しかし、その都度「1,2,3・・・」と字数を数えるのは大変で、 かなり面倒くさいものです。 私はマイクロソフト社のWord2007を使っていますが、 このソフトでは、書いた文をマウスなどで選択し、反転させるだけで、 画面左下に文字数が表示されますので、とても便利です。 Wordには文書校正機能が付いていますから、 「ら抜き言葉」などの不自然な表現を自動的にチェックしてくれます。 また、日本語入力ソフトのATOKにも、 「日本海の低気圧の中心の」といった表現を変換すると、 《「の」の連続》といった形で、指摘してくれる機能があります。 最後に3です。実技試験では気象の専門用語を使って答案を書くわけですが、 「こういった表現は一般的によく使用されるのか?」と迷うことがあります。 そんなときに、Yahoo!やGoogleの検索で、その言い回しを調べてみるのです。 もし、その言い回しを含んだページが数多くヒットすれば、 その言い回しは、一般的に広く使用されていることが分かります。 ただ、個人のホームページやブログ内の表現は、 信用性の点で少し不安がある(内容が誤っている可能性がある)ので、 「ac.jp(学術機関)」や「go.jp(政府機関)」の ドメインを持つページに絞って検索を行うと、信頼性が高まります。 例えば、「気温移流」という言葉をYahoo!で検索しても、 該当するページは全く出てきませんでした。 これは「気温移流」という用語は存在しないことを示しています。 (正しくは「温度移流」です。) こうやって、気になる表現を検索ページで確認する癖を付けておけば、 勝手な造語を答案に書いて失点してしまうというミスを防ぐことができます。 もちろん、手書きで答案を作成することにもメリットがあります。 問題集とノートさえあれば、どこでも試験勉強ができますし、 キーボードを叩くよりも、ペンを動かしたほうが、 頭に入りやすいという方もおられることと思います。 また、実際の試験では筆記で答案を作成しなければなりませんので、 そういう意味でも、慣れておく必要があるのは事実です。 試験まで時間に余裕があるときは、パソコンを中心に、 試験が迫ってきたときは、手書きを中心にという形で、 両者をうまく使い分けるのも1つの方法です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 113、「読むだけで理解できる参考書」は存在するか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「何か良い参考書はないものか?」という情報は、 どの分野の勉強であっても、多くの学習者が知りたいことです。 ただ、文系・理系を問わず、どんなに評価の高い参考書であっても、 その本を一読するだけで全てを理解できてしまう本はないと思っています。 これが小説であれば、スイスイ読んでいくことも可能です。 私は中学生〜高校生の頃、西村京太郎さんの鉄道ミステリーが好きで、 古本屋で大量に買い集めては、夢中で読んでいました。 2時間程度で1冊を読み終えることも珍しくありませんでした。 しかし、勉強のために参考書を読み進めていくためには、 単に「読む」だけでは、頭に入っていきません。 「読む」+「理解する」という作業が必要となります。 確かに、日本語で書かれた本であれば、 漢字の読みさえ分かれば、どんな本でも「読む」ことはできます。 しかし、本に書かれた内容を「理解する」というのは、別次元の話です。 ページを追う目を止めて、頭の中での整理が必要となります。 参考書に書かれた内容が、読者の知的水準を上回る内容であれば、 多かれ少なかれ、この作業は必ず要るわけです。 これが「読むだけで全て理解できる参考書はない」と考える理由です。 例えば、「微分積分」の勉強に興味を持つ人は意外に多いようで、 大型書店へ行きますと、ものすごい数の本が出ています。 試しに、Amazonの検索で《微分積分 わかる》と入れてみたところ、 なんと53冊もの本がヒットしました。 「分かりやすく説明する」という点について、 特に力を入れて書いておられる本が多いことに気づきます。 しかし、いくら「分かりやすく」説明した本であると言っても、 読者の知的格闘を想定していないものはないはずです。 今度は、《微分積分 わかる 読むだけ》と入れて検索してみましたが、 これでは1冊もヒットしませんでした。まあ、当然です。 参考書を使った勉強とは、読者(生徒)がページを追うことで、 著者(先生)が本から登場して始まる、バーチャルな授業と解釈できます。 授業内容をものにするためには、受け手がウンウン頭を絞る作業が必要です。 (これは、リアルな授業であっても同じです。) 決して、短時間でサクサク進むものではありません。 これを意識しておかなければ、少し難しい部分が出てきた時点で、 「もっと分かりやすく説明してある本はないだろうか?」 と別の参考書を探し求めるようになってしまいます。 もちろん、参考書の側に問題点があることも想定されますが、 読者の読み込み不足が原因であることも考えられます。 「青い鳥」は、すでに自分の本棚にあるのかも知れない、ということです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 114、夏休みを基礎固めに使ってみる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 7月も下旬に入り、学生の方にとっては夏休みに入る頃だと思います。 そこで、お勧めしたいのが、夏休みの計画を立てることです。 なぜかと言いますと、自由な時間が手に入ると、 それを持て余してしまうことが多いからです。 私自身も、高校時代の夏休みは野球部の練習で、 わりと型にハマった生活を続けていたのですが、 大学時代は、ユルい夏休みを過ごしていたように思います。 宿題と言っても、ちょっとしたレポートが何本かあるだけ。 1年生と2年生の夏には、約1か月の自転車旅に出て、 とても充実した時間を過ごせたと思うのですが、 もしかすると、集中講義や補修が続くような大学であれば、 別の意味で、有意義な夏休みだったかもしれません。 このメルマガを購読されているということは、 何らかの形で気象予報士資格について、興味をお持ちなのでしょう。 もし、興味がありながらも、本格的な勉強を始めていないのであれば、 この夏にスタートされることをお勧めします。 その理由として、初めて勉強に取り組まれる方が、 翌年1月に一般知識試験に合格するための実力を付けるためには、 夏から始めるのが、おそらく時間的に最後の機会だと思うからです。 もちろん、ゼロから学んで半年で合格を目指すのは、 決して、簡単なことではありません。 しかし、他の課題が少なく、勉強時間を充分に確保できる夏期休暇を、 最大限に生かすことができるのであれば、好条件です。 集中して学習に取り組み続けることができれば、 社会人の方に比べて、短期間で基礎事項を学ぶことも可能と言えるでしょう。 ご存じのとおり、気象予報士試験は短期間で取れる資格ではなく、 合格まで勉強を続けていくためには、上手く軌道に乗せることが大切です。 多くの方にとって、勉強を始めたばかりの頃は、 「あれも分からん、これも分からん。」という状態ですが、 ここを抜け出して、知識が増えることに面白さを感じるためには、 ガッチリと基礎を固めてしまう必要があります。 時間的な余裕がある夏休みは、基礎固めの時間に適しています。 学習計画を立てることは、何もない道路に標識を立てることに似ています。 標識が無ければ、どこを走っているかも分かりません。 計画を立てようとすることで、 これから何をしていこうかを考える場ができます。 社会人になれば、今よりも時間の融通は利きにくくなってきます。 豊富な時間を大切に使いたいものです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 115、勉強道具にこだわる価値あり。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 以前、市民プールによく通っていたときがありました。 ひたすら25mプールを往復して、泳ぎ続けるのですが、 特に苦しいと感じたのは、100m〜200mほど泳いだときでした。 それから、さらに泳ぎ続けると、苦しさが無くなり、 楽に泳げるようになってきたのです。 例えて言えば、「体が自動的に泳いでいる」といった感じで、 ランナーズ・ハイならぬ、スイマーズ・ハイの状態になったのです。 勉強もこれと似た部分があって、 右も左も分からない状況で本を読み進めていくのは大変ですが、 学習習慣が定着し、ある程度の全体像が見えてくると、 次第に余裕を持って取り組めるようになってきます。 特に、天気は多くの人にとって身近であり、親しみを感じるため、 気象予報士試験の勉強を始めたばかりの頃は、好奇心が先行します。 しかし、その次に学習内容のレベルの高さに圧倒されるのです。 この時点で、挫折してしまわれる方が少なくないと見ています。 そこで、上手く軌道に乗せるための1つの手段として、 勉強道具にこだわることをお勧めします。 もちろん、「弘法筆を選ばず」という諺もあるように、 新聞の折り込みチラシの裏紙とボールペン1本があれば、勉強はできます。 しかし、「道具がマズかったために、勉強が続かなかった」では、 何とも勿体ないというものです。 私は3冊で100円のノートを使ったことがあるのですが、 綴じ方が良くないのか、すぐにページが取れてしまいました。 ボールペンで線を引くと、その部分の紙が切れてしまうこともありました。 余計なことでストレスを感じるノートは、勉強に不向きです。 例えば、コクヨのノートなら、大きさ・紙の枚数・罫線幅について、 自分に合ったものを選ぶことができます。 ちなみに、私は普通のノートよりも小さいA5サイズを愛用しています。 本の大きさと一致するため、持ち運びに便利なのです。 筆記具についても、使いやすく疲れにくいものを選びたいですね。 シャープペンシルをお使いの方も多いと思いますが、 私は筆圧が高いので、すぐに芯が折れてしまいます。 そこで、ゼブラの2色ボールペンを持ち歩いています。 黒だけでなく、必要に応じて赤を使うことができ、便利だからです。 DVD教材を使って勉強されている方は、再生機器にもこだわりたいところです。 以前に見終えた部分から再生を再開できる機能があると便利ですし、 等倍再生よりも少し速い再生ができると、時間の節約にもなります。 ちょうど自分に合った早回し再生ができる機器・ソフトを使うことで、 ストレスを最小限に抑えつつ、効率的な勉強を進めることができるでしょう。 ちなみに、私が使っているCyberlinkの「PowerDVD DX」というソフトは、 1.2倍再生・1.4倍再生・2倍再生ができ、 早回ししても、音声がほとんど甲高くならないのが良いところです。 良い勉強道具は、合格までの良き伴走者となってくれます。 手間と時間をかけて選んだ道具に愛着を感じるようになれば、 簡単に勉強を投げ出すこともできなくなるはずです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 116、試験当日までに心得ておきたい3つのポイント ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 試験会場で実力を発揮できるよう、私は次の3項目をお勧めします。 1,よく寝る 2,食べ過ぎない 3,時間に余裕を持つ まず、1です。 十分な睡眠こそ、頭を最大限に働かせるために必要不可欠と考えます。 心を落ち着けて、目の前の問題に取り組む際には、 たっぷりと睡眠を取った新鮮な頭脳を要するということです。 学生時代の期末試験で、前日から徹夜で知識を詰め込みまくって、 そのまま寝ずに試験を受けた方もおられるかもしれませんが、 気象予報士試験は、そういう小細工が通用するほど甘い試験ではありません。 私は初めての気象予報士試験の際に、緊張と睡眠不足が原因で、 試験中に寝てしまったことがあります。 結果は学科試験も含めて不合格でした。 特に、一般知識試験から受験される場合は、 普段よりも早起きしなければならない方もおられることでしょう。 可能であれば、事前に早起きの習慣を付けておくのも良いと思います。 次に、2です。 私が授業を行う前には、あまり食べないようにしています。 その理由は、満腹になるまで食べてしまうと、頭がボーッとしてきて、 「複雑なことはあまり考えたくない」という気分になるためです。 私の講義は、最初から最後まで喋り続けるスタイルなので、 頭が冴えた状態であることが、とても大切です。 満腹だと、説明の際に適切な表現が出にくくなり、言葉に詰まって、 「エ〜〜〜〜」とか「ア〜〜〜〜」といった声がよく出るようになります。 そこで、授業前は食事を控えめにしているわけです。 試験問題に取り組むときも、 満腹では十分に頭を働かせることができないと私は考えます。 試験が終わった後に、ビアガーデンなどでパーッとやればいいのですから、 昼休み中の食べ過ぎには、注意されたほうが良いでしょう。 最後に、3です。 試験会場には余裕を持って到着したいものです。 試験開始前ギリギリに駆け込んでくるというのは、 それだけで、気力・体力とも削がれてしまうことになり、 試験を受けるうえで不利に働くように思います。 気象予報士試験は、常に同じ会場で行われるとは限りません。 ときには、自分が初めて訪れる場所が試験会場だったりします。 その場合、もし可能であれば、事前に下見をしておくのが理想的です。 実際に一度訪れることで、下車した駅でどの出口から出るのか、 どの道を通っていけば良いのかが、肌で分かります。 下見をするだけの余裕がないのであれば、 インターネットを使って、駅構内図や地図を見ておかれると、 当日に慌ててしまうリスクを減らすことができるでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 117、難しい試験だからこそ、挑戦する価値がある。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験が終わってから、いつも思うのは、 頑張った全ての受験生が合格を手にして欲しいということです。 「全ての受験生」ではなく「頑張った全ての受験生」です。 資格のネームバリューに引き寄せられて、ろくな受験勉強をしないまま、 記念受験した人が落ちるのは当然のことですが、 この勉強と真剣に向き合ってきた人には、結果を出して欲しい。 それが、講師を務める私の素直な願いです。 しかし、気象予報士への道は決して簡単ではありません。 合格率4〜6%というのは、難関大学の入試でもあまり見られない数字です。 もちろん、合格率の大小だけで試験の難易度は比較できませんが、 気象予報士試験が難しい国家試験であることは言うまでもありません。 学科試験の場合、15問中11問の正解が合格ラインとなることが多いわけですが、 これは100点満点で約73点という、なかなか高いハードルです。 また、実技試験の合格率は試験回によって異なりますが、 こちらも、総得点の約70%が合格ラインの目安となっています。 それが、結果として4〜6%の合格率という形になっているわけです。 もっと合格のハードルが低ければいいのに、とも思うわけですが、 それを考えたときに気が付くのです。 「難しい試験だからこそ、挑戦する価値があるのだ」ということに。 講習を受けるだけで、認定証がもらえる講座があります。 とにかく教則本を丸暗記するだけで、受かると言われる試験があります。 気象予報士試験の場合、塾や予備校の授業を受けても、資格はもらえません。 やみくもにテキストを丸暗記しても、試験には通らないでしょう。 基礎から積み上げる学習をしていかなければ、 そもそもテキストに書いてある内容が、全く理解できないはずです。 つまり、気象予報士の資格を得るためには、 多くの汗をかくことが必要だということです。 マスメディアの世界で活躍する気象キャスターの皆さんも、 おそらく、受験で苦労されたに違いありません。 電車の中で、携帯電話のゲームをする代わりに、 赤ボールペンを片手に、過去問題と格闘していたかもしれません。 そうやって勝ち取った資格だからこそ、 多くの人が、大きな価値を見いだすのだと思っています。 気象予報士試験の受験勉強は大変ですが、 試験に対する勉強である以上、基本的に答えが存在するものばかりです。 もちろん、気象学全体を見渡せば、 答えの見つかっていない問題は数多くあるわけですが、 試験範囲についてであれば、答えはすでに明らかになっています。 「解けるか解けないか分からないパズル」に挑戦するのは骨が折れますが、 最初から「必ず解けるパズル」であると分かっていれば、 いくらは気が楽になるはずです。 解くために必要な知識を着実に学んでいけば、 難解に見えるパズルも、必ず解きほぐれる瞬間が訪れます。 それを続けていけば、着実に合格を手元に引き寄せることができる、 私はそのように確信しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 118、「サボリ」と「オーバーワーク」を避ける。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 誰でも、「勉強をサボってはいけない」ということは知っています。 しかし、「勉強をしすぎてはいけない」ということは、 あまり知られていないように思います。 勉強を1日に1時間するよりは、3時間したほうが良い。 1日に3時間するよりは、5時間したほうが良い。 多くの人が、そのように思われることでしょう。 しかし、次のような条件が付くことを忘れてはなりません。 「それを続けることができるなら」という条件です。 総勉強時間は、「1日の勉強時間×それを続けた日数」で示されますから、 きちんと続けることができないのであれば、総勉強時間は増えません。 特に勉強を始めたばかりの方は、意気込みも強く、 「頑張って勉強して、早く習得したいものだ」と考えます。 しかし、自分の持つ1日の中に、上手く勉強時間を組み込むことができないと、 その志は、短期間で消沈してしまうことになります。 気象予報士試験を受験される方の多くは、 勤務・家事・育児・介護・他の学業などを抱えておられます。 そういった方々にとって、最も大切なのは、 勉強時間をいかに適切な形で確保し、それをいかに継続するかです。 ここで大事なことは、決して無理をしてはいけないということです。 「石にかじりついてでも毎日3時間勉強するぞ!!」と目標を立てても、 その人の生活事情から考えて無理があれば、続きません。 寝不足で頭をカクカクさせながら、本を読んでも頭に入りません。 (私自身も経験があるので、よく分かります。) そうなるくらいであれば、睡眠を2時間増やし、 残った1時間を「質の高い勉強時間」にしたほうが効果的だと考えます。 一方、勉強に費やす時間的・体力的な余裕があるにも関わらず、 ついつい「テレビを見てしまう」「ダラダラしてしまう」という方は、 何らかの方法で、自分を縛ることが必要になると思います。 具体的には、受験生数人が集まって勉強会を開く、 私語厳禁、ペンを床に落とすだけで周囲から睨まれるような自習室に籠もる、 予備校や塾の類に関与する、などといった方法が考えられます。 「サボリ」と「オーバーワーク」は、表面的には正反対の現象ですが、 「自分で適切な勉強時間を設定し、それを続ける」ことができていない点では、 同じであると言えるでしょう。 大切なのは、自分の中に適切な勉強習慣を定着させることです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 119、受験仲間を作ったほうが良い2つの理由。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験の合格ためには、受験仲間を作ることが、 プラスになると私は考えています。 受験仲間を作る意義とは、次の2つにあります。 「競争」と「不安解消」です。 良きライバルになってくれる人こそ、受験仲間として適切です。 徒競走でも一人で走るより、二人で走ったほうが、 良いタイムが出ると聞いたことがあります。 難関校を目指す進学塾では、実力テストでの優秀者の得点を、 掲示板に公開することがよくありますが、 これも適度な競争心を生み出す素になっていると言えるでしょう。 自分をレベルアップさせるために、競争の場に身を置くのです。 例えば、実技試験の過去問題演習を行っていくとき、 「平成12年度以降の問題を、3か月で全て演習するぞ」などと、 仲間で決めて、取りかかっていくわけです。 週に1回程度は、お互いに進捗を確認し合うと良いでしょう。 こうして同じ課題を並行して行っていくだけでも、 互いに他人の目を意識することになりますから、 独りで行うよりも、勉強が続けやすくなるはずです。 そして、受験仲間の存在は、受験勉強の不安解消としても大切です。 独りで受験勉強を進めた経験をお持ちの方の多くが、 不安に襲われた経験があるはずです。 私が2回目の受験で不合格通知を受け取った際には、 「最年少合格は17歳」というニュースが出ていました。 自分と同い年の高校生が合格して、私は不合格という現実を前にし、 「自分は気象予報士試験に失敗し続けるのではないか」 と感じたことを覚えています。 また、受験勉強が順調に進まないときも、不安が顔をのぞかせます。 こういったときに、同じ立場にいる仲間が一人でもいれば、 勉強で苦労していることなどを話し合うだけで、 いくらか気持ちが楽になるというものです。 受験仲間は、数多くいれば良いというものではありません。 たしかに、大人数でワイワイ過ごすことも楽しいのですが、 互いに切磋琢磨するためには、気の合った一人がいれば良いと思うのです。 例えば、日曜日の午後に必ず喫茶店で集まって、黙々と日暮れまで勉強を続け、 勉強が終われば、息抜きのために街へ繰り出すのも良いでしょう。 小さな勉強会を開くことも、長期的に学習を続ける1つのコツなのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 120、実技試験合格のために大切なこと。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 試験時間内に、実技試験の問題を仕上げられなかった方も多いかと思います。 5年前の試験と比べて、実技試験の問題数が増えているのは明らかです。 その一方で、問題を解く時間はそのままなのですから、 迅速な解答が求められていることを意味します。 実際、気象予報に関わる業務はスピードが大切です。 限られた時間で資料を読み取り、判断が求められるわけですから、 早く問題を解く能力も重要であると言えるでしょう。 実技試験の実力を高め、速く解答できるようになるためには、 過去問題を使った演習が最も効果的であると何度も述べてきました。 例えば、平成21年度第1回試験の実技2(以下、21-1-2)では、 台風による高潮の問題が出ました。 これは、平成16年度第1回試験の実技1(以下、16-1-1)問5や、 平成19年度第1回試験の実技1・問5の問題と似ています。 事前に、これらの問題について丁寧に学習していた方なら、 今回の問題は、過去に出された問題の応用であることに、 すぐ気づかれたことでしょう。 例えば、(16-1-1)における問5(4)であれば、 単に、「吹き寄せ効果」についての知識を問うただけとも言えますが、 (21-1-2)における問5(4)では、知識をもとにして資料を読み取り、 そこから答案文を作成するという方式でした。 覚え込んだ知識を、そのまま吐き出すのではなく、 きちんと活用できるかが問われる良問だと思います。 実技試験で失敗された方、つまり合格点に到達できなかった方の原因は、 次のいずれか、もしくは複数が重なっていると分析しています。 1,過去問題演習量の不足 2,答案についての検証不足 3,学科試験に関する知識不足 まず、1です。 私は、過去7〜8年分の問題を繰り返して学習することをお勧めしています。 試験の回数にして約15回、実技試験にして約30題の演習量です。 数多くの問題に取り組むことで、網羅できる問題パターンも増えます。 また、豊富な過去問題演習とは、単に問題数を増やすことだけでなく、 何度も繰り返して学習するということも意味しています。 私は標準的な数字として、3回程度の繰り返しを想定していますが、 今回の試験で合格された方の中には、 5回以上繰り返して勉強された方もおられました。 何度も取り組むからこそ、資料の読み取りにも慣れてきますし、 自分の弱点を克服することができます。これが大切なのです。 次に、2です。 単に問題を解いただけでは、その学習効果は低いということです。 問題を解くこと自体は、自分の頭の中に入っているものを、 紙に書き出す作業に過ぎないからです。 知識を増やしたり、誤った認識を修正したりすることで、 問題を解く能力を高めることができます。 そのためには、答案についての検証が必要です。 検証とは、単に解答例を見て赤ボールペンで丸を付けたり、 自分の答案の横に、解答例を書き写すことではありません。 問題に正解できなかった理由をトコトン考え、分析することです。 単なる知識不足なのか、根本的な思考法が誤っているのか、 資料の読み取りの際に欠けている視点があるのか、など、 時間をかけて取り組んでいかれる必要があります。 また、答案を自分で分析することも大切ですが、効率的に進めるためには、 講師的立場の人間による添削を受けることも重要です。 一人ではなかなか気づかないことについて指摘・指導を受けることは、 一回の問題演習での改善点が増すことを意味するからです。 最後に、3です。 過去問題演習を進めていくためには、時間も労力もかかります。 これを丁寧に続けることが、合格にとって必要だと考えるわけですが、 「続けられる人」と「続けられない人」の違いは、 単に「勉強に対する意志の強弱」とは言えない部分もあります。 実技試験の勉強は、学科試験に関する知識を土台にしているため、 学科試験の学習が不足していると、すぐに支障を来します。 先ほど、高潮の問題が出題されたことについて述べましたが、 そもそも高潮に関する知識が不十分であれば、問題演習そのものが困難です。 知識が不足している状態で実技試験の勉強を行っても、 手応えを感じることができないため、やる気が失せてしまいます。 これを「勉強に対する意志が弱い」と見なすのは正しくなく、 誤った学習順序によって滞りが生じたと考えるべきです。 完全合格に直結する勉強に取り組みたいのは誰でも同じですが、 「急がばまはれ瀬田の長橋」、まずは基礎知識を充分に学ぶことが大切です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 121、理数系の勉強を恐れない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いわゆる「文系」と自称される方、 つまり、人文科学系や社会科学系を得意とされる受験生は、 理数系の勉強を苦手とされる方も少なくありません。 気象予報士試験における一般知識試験では、初歩的な気象学を学びますが、 ここでは、理科(特に物理)や数学についての勉強が必要になります。 市販されている問題解説書や参考書を読むと、 dx/dtとか、縦に長い「S」のような記号が出てくることがあります。 微分や積分の知識がなければ、これらを理解することは困難ですので、 中には解説を読むのをやめてしまった方もおられることでしょう。 そして、気象予報士試験に合格するためには、 「高度で複雑な数学の知識がなければ、絶対に太刀打ちできない」 と思われた方も、いらっしゃるかも知れません。 しかし、それは事実ではないと私は考えます。 試験に出てくる計算問題を解くことが目的であれば、 複雑な数学の知識は不要だというのが、私の認識です。 大半は、小学校〜中学校の算数や数学で事足ります。 高校数学の内容も一部は含まれますが、限られた内容にとどまっており、 その部分だけを学習すれば十分だと考えています。 また、「理数系の勉強」=「公式をいっぱい覚える」 と考えておられる方もいるかも知れませんが、 気象予報士試験で、押さえなければならない公式は限られています。 「気体の状態方程式」や「静力学平衡の式」など、数は決して多くありません。 そもそも、「公式を丸暗記すれば良い」という考え方自体が、 正攻法の勉強ではないと捉えるのが私の考え方です。 過去の試験を分析してみれば、すぐに分かりますが、 気象予報士試験では、丸暗記した公式に数値を代入して解くといった、 単純な問題は、ほとんど出ないのです。 試験に出されるのは、見た目は「計算」という形をとっているものの、 結局のところは、本質的な理解が伴わないと解けない問題が大半です。 つまり、気象学の勉強は「計算」と「それ以外」に分けて捉えるのではなく、 両者を一体のものとして学ぶことが大切です。 数式は、表現のための道具であると考えればよく、 文章の代わりに数式を使っていると言えるのです。 もちろん、よりレベルの高い気象学を学ぶためには、 もっと難しい数学(特に微分積分学)の勉強も必要です。 しかし、気象予報士試験の水準であれば、数式を使う部分は限られ、 その概念を言葉で把握できればOKである場合が多いのです。 ですから、決して恐れるようなものではありません。 基礎から積み上げていけば、理解に達することができるはずです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 122、分かりやすい本で勉強を始める。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この前から、吉川英治『三国志』(講談社)を読み始めています。 私は本を買っても、途中で意味が分からなくなって、 読了できずに投げ出してしまうことがよくあるのですが、 吉川三国志は最後まで楽しむことができそうな気がします。 それは以前に、横山光輝『三国志』(潮出版社)を読んだからです。 漫画の横山三国志でストーリーを把握しているおかげで、 吉川三国志がよく分かりますし、登場人物の顔も浮かんできます。 最初から字だけの三国志に手を出していれば、挫折したかも知れません。 また、私は『ゴルゴ13』が好きだということもあって、 さいとう・たかを『太平記』(中央公論新社)も読みました。 古文を知らないので、古典の『太平記』には手が出ないと思いますが、 漫画なら、どんどん読み進めていくことができます。 文学作品に限らず、何か新しいものに挑戦するときには、 できるだけ分かりやすいものから手を付けるべきですね。 これは、気象の勉強についても言えることだと思います。 勉強は、階段を上ることと似ています。 無理をして足を高く上げても、10段目から始めることはできません。 最初から、あまり高度な内容の本を買ってしまうと、 理解できないことが多すぎて、苦痛になってしまいます。 それが、勉強への興味や意欲を削いでしまうことになり、 本は書棚でホコリを被ることになるのです。 入門の段階では、学習に対する興味を高めてくれる本や、 簡単に理解できる本が適しています。 具体的には、漫画で説明した本や図鑑などです。 しかし、「小学生じゃあるまいし、今さら学習漫画など・・・」 と思われる方は、次の1冊をお勧めします。 『みるみる理解できる天気と気象』 (ニュートンプレス) 『ニュートン』という月刊科学誌があるのですが、 この雑誌に掲載された内容をもとにしたものが、上記の書籍です。 私も、この雑誌を毎月買うことが多いのですが、 美しいイラストと詳しい説明で綴られているのが特長です。 専門家向けではなく、一般向けの科学雑誌ですから、 丁寧に読んでいけば、内容が分かるようになっています。 『みるみる理解できる天気と気象』は、 気象予報士試験に挑戦する方にとって、かなり良い教材です。 初学者だけでなく、ある程度勉強の進んだ方でも、 得られるものは大きいと思います。 これを充分に読み込むことで、さらに高度な学習に進むことができるはずです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 123、3か月続ければレベルアップ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ざっくり言ってしまえば、気象予報士試験に合格するためには、 2つのことを満たせば良いと私は考えています。 1,何を勉強すればよいかを知る。 2,その勉強を続ける。 試験に合格するために必要な学習範囲はどういったものか、 これを知らないままに勉強するのは、地図を持たずに旅に出るようなものです。 必要な学習範囲を甘く見積もれば、抜け穴だらけの勉強になりますし、 必要な学習範囲を過剰に見積もれば、拘らなくて良い細部に時間を割き、 結局のところ、非効率な勉強になってしまいます。 私の経験上から言えば、独習で受験勉強を進めると、 甘く見積もる傾向が出やすくなります。 ある程度の勉強が進まないと、全体の学習範囲は見渡せないためです。 どの範囲を勉強すればよいか、というのが分かってしまえば、 あとは、その勉強を丹念に続けていくだけのことです。 ・・・と簡単に書いてしまいましたが、これが大変なのですね。 もちろん、どんな参考書を使ったら良いかを考えることも大切なのですが、 実のところ、何をすべきかを知ることは、それほど難しくありません。 ネット検索で「気象予報士 合格体験記」とでも打ち込めば、 数多くの合格体験記を読むことができます。 情報の入手そのものは、昔に比べて楽になりました。 むしろ、なすべきことを着実に実行していくほうが、圧倒的に困難です。 これは、今も昔も変わりません。 ですから、気象予報士試験に合格するためには、 どうすれば勉強を続けていけるのかを、真剣に考えていかれる必要があります。 どの方法で実行すれば、挫折せずに続けていけるのかについては、 人それぞれ合ったやり方がありますから、画一的な処方箋はありません。 このメルマガでも多くのことを書いてきましたので、 それらを参考に、自分に合った作戦を考えると良いでしょう。 長期間にわたって勉強を続けるのは大変なことですが、 毎日、一定の学習時間を確保して継続できれば、 3か月くらいでレベルアップを実感できるのではないかと思います。 今日は11月23日です。8月の第32回試験から約3か月が過ぎました。 試験終了直後からブランクを空けずに勉強を続けてきた方が、 読者の方々の中にも、間違いなくおられるはずです。 その手応えは、ご自身が実感しておられるに違いありません。 これから気象予報士試験の勉強をお始めになる方も、 しばらく勉強を休んでしまった方も、 まずは3か月間、集中して取り組んでみましょう。 過ぎてしまえば短いものですが、実際に続けるのは容易ではありません。 要は「続けられるか、続けられないか」ということだけ。 分かりやすい参考書探しも、勉強仲間作りも、予備校への関与も、 結局のところ、この目的を達成するための道具なのであり、 その道具を使いこなせるかは、自分次第です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 124、次につながる勉強を。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 野球の試合を想像して下さい。 同点で迎えた9回裏、走者無しの状況において、 打者が成すべきことは何でしょうか? それは、何としてでも出塁することです。 確かに「ホームランを狙う」という考え方もあるでしょう。 しかし、強打者でもホームランを打てる確率は、決して高くありません。 プロ野球の世界でも、1シーズンに30本打てる選手は、ごく一握りです。 スタンドに叩き込もうと、大振りした挙げ句、 三振したり、外野フライに打ち取られたりするのは、避けたいところ。 内野安打でも、セーフティーバントでも構わないので、 まずは1塁に突っ込むことが大切です。 気象予報士試験を狙う際も、これと似ている部分があります。 学科試験に1科目も合格できていない状態で、完全合格を狙うのは、 いきなりホームランを狙うのと同じ思考です。 受験生なら誰でも、少しでも早く資格を取りたいと望むのが普通です。 それは百も承知なのですが、願望に見合った実力が無ければ、 大振りしても、凡フライに打ち取られるだけなのです。 特に、今まで一度も学科試験に合格したことのない方は、 学科2科もしくは1科だけに絞った形で、受験勉強を行うことをお勧めします。 一般・専門・実技を同時並行で進めていくのは、相当に大変です。 受験科目を絞ることで、その科目にエネルギーと時間を集中できます。 私が学科試験の合格にこだわる理由の1つは、 目に見える結果を出すことが、モチベーション維持・向上のために、 とても重要だと考えるからです。 完全合格を狙うつもりで勉強して、もし全部不合格だったら、 人によっては、やる気を一気に失って、 再チャレンジできない状況になってしまうかも知れません。 完全合格できなくても、学科1科もしくは2科に合格できれば、 資格取得に近づいたことを実感できるはずです。 そして、ここが大切なことなのですが、 学科合格によって、気象予報士資格を取りたい気持ちがさらに高まり、 その後の勉強に勢いが生まれてくることがあるのです。 これは野球で言うところの「試合の流れ」と似ています。 相手チームに得点リードを許している状況であっても、 走者を貯め込み、1点ずつ返していくような場面が生まれると、 不思議なくらいヒットが連続することがしばしば見られます。 例えば、私の母校の野球部での今夏の試合は、 11-5で迎えた9回裏に、一気に6点を叩き出して、延長戦に持ち込みました。 良い流れを生み出すことで、試合展開が一気に変わる例だと言えます。 合格率75%の試験であれば、一発ホームランを狙えば良いでしょうが、 ある程度の長期戦で考えていかねばならないのが、気象予報士試験です。 自分の気持ちを上手く高めながら、 合格まで勉強を続けられるように作戦を練ることも、 試験対策の1つだと私は考えています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 125、好きなものを1つ断て。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私が知っている限りでは、気象予報士試験に楽々と合格した人は1人もいません。 忙しい中で時間をやりくりし、豊富な勉強時間を確保したうえで、 集中して取り組まれた結果、合格を勝ち取られた方ばかりです。 つまり、この試験に受かるためには、 一定以上の勉強時間の確保は欠かせないと考えられます。 もちろん、「時間さえかければ良い」というものではありません。 ダラダラ続けていても、得られるものは少ないでしょうし、 短時間でも集中して取り組むことができれば、成果は大きいでしょう。 私は以前のメルマガで、スキマ時間を有効活用することについても書きました。 「73,勉強の質と量を確保するために。」 気象予報士試験では短い時間に集中することと同時に、 じっくりと腰を落ち着けて勉強できる時間を確保することも大切です。 特に、実技試験では、大量の資料を丹念に読み解くことが求められます。 これは時間がかかるため、思考が途切れないような環境が必要なのです。 集中して取り組める勉強時間を確保するためには、どうすればよいか? 「寝る時間を削るな」と常に私は言っています。それは推奨できません。 その代わりに、「好きなものを1つ断つ」ことをお勧めします。 人によって「好きなもの」はさまざまですが、 好きであるだけに、それに長い時間を割いているはずです。 これを1つ断つことで、時間を作り出すのです。 例えば、コンピュータゲームが好きな人は「ゲーム断ち」を、 パチンコが好きな人は「パチンコ断ち」をするのです。 かつて私も、テレビゲームが好きだった時期があります。 当時は「ファミコン」とか「スーファミ」と呼ばれていました。 エスカレーター式で進学できる学校に入学し、 受験勉強も一生せんでええわ!ということで、 夜遅くまで、ゲームに没頭していたときがありました。 床につくときも、脳裏にゲームの画面が出てくるほどでした。 また、パチンコ屋通いにハマったこともありました。 新聞の折り込みチラシに、「新装開店」「新台入替」などと書かれていれば、 あちこち顔を出していたものです。 もっとも、勝率がかなり低かったため、 すぐに軍資金が枯渇し、それほど長くは熱中しませんでしたが。 今の私は、ゲームもパチンコも一切やりませんが、 それぞれに魅力があり、面白いということはよく知っています。 「くだらない」と思うから、やらないのではなく、 「面白すぎてハマりそう」と思うから、手を出さないのです。 気象予報士試験に合格したいのであれば、 受験期間中は「面白すぎるもの」に手を出さないほうが得です。 気象予報士塾の受講生だった方で、合格までテレビを断った方もおられます。 トレンディードラマ(←今もこう呼ぶのでしょうか?)が好きで、 いつも何かを毎週見ている人は、それを断つのも良いでしょう。 何も一生断つわけではありません。合格を勝ち取れば、再開すれば良いのです。 好きなものを断つことは簡単ではありませんが、 受験勉強に適した環境を自ら作り出すのは大切なことです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 126、勉強時間を編成する。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 見たいテレビ番組をうっかり見逃して、 悔しい思いをされた経験は誰にもあるかと思います。 「見たいときに、見たい番組を見ることができれば、どんなに良いことだろう」 子供のときから、そう思っていた私にとって、 親戚宅からやってきた中古のビデオデッキは、夢のようでした。 その後、大学時代には足繁くレンタルビデオ店に通い、 手当たり次第に映像作品を見続ける生活を続けました。 「男女7人夏物語」も「東京ラブストーリー」も、全てビデオで見たのです。 今では、わざわざレンタル店に足を運ばなくても、 DVDを自宅まで宅配してくれるサービスもありますし、 光回線を通して、パソコンなどで映像作品を楽しむことができます。 まさに、見たいときに見たい番組を見られる時代となったわけです。 それは良いことずくめだと思っていたのですが、 最近になって、忘れかけていた価値に気づく機会がありました。 先日、何気なくNHKラジオ第2放送を聞いていたときのことです。 中学生向けの番組として「基礎英語」というのがありますが、 この特別編のような形で、番組の活用方法について話をしていました。 その中で「毎朝早起きをして、番組を必ず聴くようにしています」 という体験談が出てきました。 これが、オンデマンドに慣れた私には意外な感覚でした。 ラジオ番組をタイマー録音する機能の付いたオーディオ機器など、 決して高いものではないはずです。 そう思って、Yahoo!ショッピングで「ラジカセ 時計」で検索したところ、 3,000円程度で売られていました。 番組を録音しておけば、都合の良いときに、いつでも聴くことができます。 しかし、それは同時に「いつでも聴けるから、今は聴かなくて良い」という、 言い訳もできてしまうという側面も持ち合わせているのです。 敢えてタイマー録音という手段を選ばずに、早起きしてラジオの前に座る。 録音をしないのですから、聞き逃してしまえば、それで終わりです。 (NHKラジオの語学講座は再放送がありますが、朝の放送は1回だけです。) 1回しか聴くことができないからこそ、緊張感が生まれ、 集中して学習できるという面もあるでしょう。 また、放送時間に自分のスケジュールを合わせることで、 毎日一定量の時間を語学学習に充てる形になり、 勉強のペースメーカーになってくれます。 いつでも好きなときに勉強できる教材は大きな利点を持っていますが、 長所であるはずの性質が、逆に欠点となってしまうこともあるわけです。 そこで、「好きなとき」ではなく、敢えて学習時間を決めてしまうのも、 1つの有効な活用法だと思います。 例えば、「○曜日の△時〜□時にDVDで講義を受ける」とスケジュールを設定し、 それを守っていくことで、勉強習慣を定着させるのです。 娯楽のためのソフトであれば「いつでも好きなときに」は大きな魅力ですが、 勉強を続けることが目的であれば、その機能の一部を制限することも、 1つの方法として有効であるように思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 127、最高の状態で試験に臨むための秘訣 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 試験が直前に迫った時期においては、 「いかに点数を積み増すか」という戦術だけでなく、 「いかに減点を防ぐことができるか」という戦術も重要です。 「試験日まで残すところ、あと数日」という状況では、 すでに詰め込める知識量は限られています。 気象予報士試験は短期集中型の試験ではありませんので、 今から頑張っても、伸ばせる実力は限定的です。 少し厳しい見方をすれば、現時点でバタバタしている受験生は、 これまでの勉強不足の裏返し、とも解釈できます。 時間をかけて根気よく勉強を続けてきた方であれば、 「やるだけのことはやった」という気持ちをお持ちのことでしょう。 試験直前で行う勉強は、習得した知識の確認が中心となります。 特に暗記の必要な事柄について、重点的に見ておかれると良いでしょう。 具体的には、気象法規・注意報や警報の発表基準・天気記号などです。 入念な確認で記憶の定着を図って下さい。 一方、減点を防ぐためには、できるだけベストコンディションで、 試験に臨めるようにすることが大切です。 試験問題の多くは、気持ちを落ち着けて思考を重ねていく必要があるため、 同じ実力でも、コンディションによって得点は変動すると考えます。 特に実技試験については、1点差が合否を分けることもあるのですから、 持っている実力を最大限に発揮できることが重要です。 私の経験から申し上げれば、 寝不足・疲労・食べ過ぎは、思考力・判断力を弱める方向に働きます。 そういった理由で、十分な実力が出せないのは勿体ないことです。 前日は早く布団に入り、しっかりと睡眠を取る、 苦しくなるほど食べ過ぎない、といったことに注意されると良いでしょう。 当日は、時間に余裕を持って試験会場に向かうことをお勧めします。 「遅刻するのではないか」という不安を抱えながら、 バタバタと教室に入っていくのは、それだけで無用の緊張を強いられます。 特に、初めて訪れる試験会場であれば、 事前に交通事情や道のりを調べておかれると安心です。 また、試験会場や教室内の座席位置によっては、 暖房が十分でない・暖房が強すぎるといった状況もあるかも知れません。 これについては、脱いだり着たりしやすい服装で対処すると良いでしょう。 また、足先の冷え込みも、集中力を妨げる要因になりかねないですから、 普段から冷えやすい体質の方は、 靴用・靴下用のカイロを用意しておかれるのも、1つの手段です。 「89、試験会場で心を落ち着ける方法」 「116、試験当日までに心得ておきたい3つのポイント」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 128、第33回気象予報士試験を振り返って ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第33回気象予報士試験を受験された方々のご感想で最も多かったのは、 「試験問題が易しくなったような気がする」ということでした。 私も試験問題に目を通し、同じような印象を受けました。 今後に実施される試験が、今回と似た傾向をとるのか、 それとも、以前と似た傾向に戻るのかは、全く分かりません。 しかし、いずれにせよ、私は次のように考えています。 試験勉強の方針はこれまでと同じで良い、ということです。 第33回試験の難度が少し下がったように感じた理由は、 いわゆる「超難問」が減ったことにあると分析しています。 仮に、試験問題の難易度を「レベル1」〜「レベル4」に分けたとき、 「レベル4」の問題がほとんど見られなかったという感じがします。 「レベル4」の問題に遭遇すると、その難度の高さのあまり、 試験が終わった後も、奥歯に何かが挟まったような感じがして、 いつまでも気になるものです。 しかしながら、難度が極端に高い問題であれば、 多くの受験生が正答できないはずであり、 その正答率は、5つの選択肢からなる学科試験であれば20%に近づき、 実技試験であれば0%に近づくことになります。 つまり、難問が多い場合は受験者の中で得点差が付きにくく、 合否ラインが低下するだけ、だと考えています。 受験者の中で得点差が生じやすいのは、「レベル2」「レベル3」の問題です。 キチンと勉強した受験生なら正答できるが、 実力が不足していると太刀打ちできない、という問題が多いほど、 得点差が広がりやすいと言えるでしょう。 つまり、「レベル2」や「レベル3」の問題を、 着実に獲っていくことこそが、合格のためには大切なのであり、 結局のところ、それは私が以前から申し上げている試験対策法です。 今回の気象予報士試験でも、数多くの知識や技能が試されました。 いずれの問題も、短時間でホイホイと習得できるものではなく、 ある程度の時間をかけ、丁寧に勉強しないと、正答が難しいと感じます。 基礎から着実に学習を積み上げていくことこそが、 気象予報士試験合格のために必要な勉強法です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 129、学びたいときこそ学習適齢期 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 勉強を行ううえで大切なことは、興味・関心を持つことです。 「もっと知りたい」という意欲を持って学ぶ場合と、 義務感で机に向かう場合では、その効果に大きな違いが出ることでしょう。 私にとって、今でも印象に残っているのは、 小学6年生で初めて塾に入ったとき、最初に受けた社会科の授業でした。 授業内容は、関ヶ原の合戦から江戸幕府が開かれるところです。 「関ヶ原から見て東にあるから『関東』、西にあるから『関西』だ。」 「『譜代大名』と『外様大名』の違いは何か知っているか?」 大人であれば、誰でも知っているような内容ですが、 12歳の私にとっては、何もかもが新鮮でした。 小学校の授業では経験することの無かった知的刺激をズバズバ受けたのです。 中学入試対策の進学塾だったので、難しい内容も含まれていましたが、 乾いたタオルが水をグイグイ吸収するように、 習得していったことを思い出します。 その後、私は大学まで事実上の無試験で進める私立中学校に進学しましたが、 そこで勉強に対する意欲を失ってしまいました。 中学1年生の1学期における英語の期末テストが30点台という有様です。 高校に進学したときには、あまりにも英語ができなかったため、 少人数制の特別クラスに放り込まれたほどです。 私が再び勉強に対して燃えるようになったのは、16歳のときでした。 気象予報士という国家資格が新設され、 テレビや新聞で盛んに紹介されていたのを目にしてからです。 よく「勉強ができる人」「勉強ができない人」という言い方をいますが、 私はその分類は正しくないと思っているのです。 なぜなら、自分自身が意欲的に勉強に取り組めた時期と、 全く手に付かなかった時期の両方を経験しているからです。 学校を卒業してしまえば、無理に勉強する必要はなくなります。 大切なのは、「学びたい」と感じたときに、 生まれた興味をいかにして育むかが大切なことだと思います。 ちょっとしたキッカケで、関心や興味が湧き、 そのときに、時間や気持ちにある程度の余裕があり、 さらに、学習を手助けしてくれる良い師に巡り会えば、 意欲を持って学び続けることができるはずです。 我が家の書棚には、数学の参考書が10冊以上入っていますが、 学生時代に購入したものは1冊もありません。 全て社会人になってから買ったものです。 いつから学び初めても、遅すぎるということはないと思うのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 130、半年先までの学習計画を立てよう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 平成22年度の気象予報士試験日程は、まだ発表されていませんが、 例年どおりの日程であれば、次の試験は8月下旬です。 今日は3月1日ですので、次回試験までおよそ半年ということになります。 「試験まで半年」というのは、勉強に取り組むうえで、 ちょうど良い長さだと思うのです。 1年だと長すぎて、「まだ大丈夫」というダラケ心が出てきますし、 2か月だと短すぎて、「もう間に合わない」という諦めが生じます。 6か月という時間は「3か月+3か月」「2か月+2か月+2か月」と分割しやすく、 そういう意味でも、学習計画を立てやすいと言えるでしょう。 具体的には、半年間を学科試験の対策に費やす場合であれば、 前半3か月は主として基礎事項の学習・確認に、 後半3か月は主として過去問題演習に充てることになるでしょう。 演習する過去問題の数を、一般知識・専門知識で各450問と考えた場合、 1日10問ずつ取り組むことで、90日間で900問の演習が可能です。 ただし、2科目に挑戦すると、1科目のときに比べて勉強量が2倍になります。 受験勉強の進捗に応じて、場合によっては2科を1科に絞るといった、 選択と集中の決断をせねばならないことがあるとお考え下さい。 実技試験に挑戦する場合は、なるべく早い段階で、 天気図の読み取り方などの基礎事項を学習し終えることが大切です。 基礎学習の完了後に取り掛かるべきことは、過去問題演習です。 実技試験において、私は過去7〜8年分の過去問題を、 入念に取り組むことが大切だと考えます。 それは、試験回数にして約15回、題数にして約30題を意味します。 この勉強を経験された方であれば、誰でもご存じですが、 実技試験の過去問題演習というのは、すごく時間がかかるのです。 問題の出題形式や資料の読み取りに慣れていない段階なら、尚更です。 しかも、単に問題を解くだけではなく、解いた後の自己答案分析も大切です。 ときには、1題の演習を仕上げるのに、5時間以上かかることもあるでしょう。 また、同じ問題を何度か繰り返して演習するのが理想的です。 それらを踏まえたうえで、8月試験での合格を目標とすれば、 遅くとも、5月には過去問題演習に着手すべきと私は考えます。 半年という期間は、長いようにも短いようにも感じられます。 受験勉強モードに入れないままだと、すぐに時間が過ぎてしまいます。 でも、毎日着実に受験勉強を重ねることができれば、 大きなジャンプアップを可能にするために充分な時間だと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 131、「アサベン」のすすめ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 春は新しいことを始める良い機会です。 気持ちを新たに切り替えて、勉強を進めてきたいところですが、 受験生の皆様に、私は「アサベン」をお勧めします。 「朝弁」「朝便」という意味ではなく「朝勉」、 つまり朝に勉強するということです。 勉強というと、深夜にコツコツと行うものというイメージもありますが、 私は早朝の時間を活用して、気象予報士試験の勉強を行ってきました。 受験生だった頃から、もう15年ほど経ちますが、 今でも5時頃に起きることが多いのです。 早起きして勉強を行うことのメリットはいくつか挙げられます。 まず、朝の頭と体は新鮮だということです。 言ってみれば、夜は寝る前なのですから、 1日のうちで、頭と体が最も疲れている時期ではないでしょうか。 次に、朝は誘惑が少ないということです。 夜であれば、面白そうなドラマやバラエティー番組がいろいろあり、 ついつい見たくなってしまい、リモコンに手が伸びてしまいます。 また、私は酒が飲めない体質なのですが、 もし、飲めるタイプであれば、一杯やりたくなるときもあることでしょう。 勉強時間を早朝にシフトさせることで、これらの誘惑から逃れやすくなります。 また、朝の5時に起きるような生活を始めると、 夜は早く眠くなり、遅くまで起きていることができなくなります。 人が1日に使える時間が概ね限られていることを考えますと、 夜の娯楽時間を減らすことが、勉強時間の捻出につながるわけです。 「朝勉生活」を送ることで、夜更かしができにくくなるため、 受験生にとっては、好都合なのです。 こうした生活は禁欲的で堅苦しいとお感じになるかも知れませんが、 試験に合格した後で、元の生活に戻せば良いのです。 早朝の静けさは勉強に向いた環境だと思うのですが、 もし、「静かすぎる」とお感じになるのであれば、 NHK-FMで毎朝6時から放送される「バロックの森」という番組をお勧めします。 歌詞のない音楽ですから、気を取られることもないと思います。 また、私は「1.FM」というネットラジオで音楽を聞くこともあります。 パソコンが必要ですが、時刻に関係なくいつでも楽しめるのが良いですね。 もうすぐ春分を迎える今の時期は、かなり夜明けが早くなっています。 朝の冷え込みも弱くなり、真冬よりも早起きしやすい季節です。 眠ければ、少し家の周りを散歩してみるのも良いでしょう。 人も少なく、普段とは少し違った風景が見られるはずです。 早朝の光を浴び、清々しい空気を吸い込みながら、 勉学に打ち込もうではありませんか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 132、得意な分野で自信を付ける。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ テレビで高校野球を見ていると、 グラウンドを走り回っていたことを思い出します。 高校時代、私は野球部に所属していたのです。 でも、野球の腕前はといいますと・・・、 外野フライを捕り損ねて、ボールが顔面に直撃し、 メガネを壊したことがあります。 さすがに硬球は痛い! 額を4針縫ってもらうことになりました。 しかも、その3か月後にも同じような経験をしました。 バットには、なかなかボールが当たらなかったのですが。 練習試合などがあると、試合に出場した仲間たちは、 帰路において、試合を振り返っての感想に興じるわけですが、 ベンチで声を張り上げているだけのことが多かった私は、 ツマラナイ気分になることもありました。 野球部で過ごした3年間は楽しく、本当に良い思い出なのですが、 野球そのものでは、満足できる結果を残すことはできなかったのです。 その後、大学に入ってから、私が始めたのは自転車でした。 競技ではなく、1人で宗谷岬(北海道)を目指すという旅です。 他人よりも速く走る必要はありません。 大切なのは、ひたすら毎日走り続けること。 雨の日も、風が強い日も、悪路でも、お尻が痛いときも。 上り坂でペダルを踏むのがしんどくなったら、自転車を押して進む。 これを続けることで、目標に到達することができました。 自転車では、旅の過程を楽しむだけでなく、 最初に決めたゴールに辿り着くという結果を残すことができました。 「たしかに野球は下手だが、 他人がやらないような長距離自転車旅を成し遂げた。」 と思えるようになりました。 気象予報士試験に挑戦したというのも、 天気が好きだったのが大きな理由ではありますが、 好きな分野での勉強で何か結果を出したい、という望みがあったように思います。 「たしかに学校の勉強は全然ダメだが、 他人が持っていないような資格を持っている。」 試験に合格できた後には、そう思えるようになりました。 「資格は手段」と言われますが、同時に目的でもあると考えます。 難しい試験に挑戦し、合格を手にすることで自信を得ることができれば、 人によっては、その資格が持つ実体的な効力よりも、 大きなものを手に入れられるかも知れないと感じます。 不得意な分野について無理やり進めていくよりも、 自分に合うものを見つけて、得意分野に変えていくほうが、 プラスになることが多いような気がするのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 133、アクセルはゆっくり踏む。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今春から気象予報士試験の勉強を始めた方、始めようとされる方が、 たくさんおられることとお察しします。 そこで、今から勉強をスタートされる方に、役立つお話を書きます。 勉強を始めたばかりの状態というのは、気持ちが高まっているものですが、 その気分に任せて、ハード過ぎる学習計画を組まないよう、 気をつけられたほうが良いと思います。 学習意欲の高まっているときに合わせてアクセル全開にすると、 勉強以外のことで忙しくなるなどして、充分に学習時間を確保できないときに、 計画を達成できなくなってしまいます。 その未達成感がイヤな気持ちを引き起こし、勉強の邪魔をします。 スタート時は、ほどほどの学習ペースを維持し、 ある程度、勉強が軌道に乗ってきたら、 少しずつアクセルを踏んでいけば良いでしょう。 目先を考えますと、8月に試験が実施されます。 「場慣れ」という意味もありますので、挑戦されるのは良いことですが、 本気で「結果」を出そうと思えば、相当の努力が要ります。 ここで言う「結果」とは、一般知識試験の合格を指しますが、 基礎学習から始まり、試験合格レベルまで実力を引き上げるためには、 相当量の勉強が必要になります。 無理に無理を重ねたスケジュールを組んで、それに見合った結果が出なければ、 その時点で意気消沈してしまう恐れがありますので、 基本的には、来年1月試験での一般知識試験合格を目指したいところです。 この試験は、長丁場です。気象の学習経験がない方であれば、 どんなに順調に進んでも、合格まで最低1年半はかかります。 試験に合格された方の多くが、途中での失敗を経験しています。 長い受験期間において、いろんなことがあるのは当然です。 できるだけ、気分の変動が大きくならないように気を配ることも大切ですし、 何らかの理由で、勉強に手が着かなくなったときに、 気持ちを立て直す方法を知ることも大切だと思います。 成功者の経験談から学べることもあるでしょう。 初学者の方が、現時点で試験問題を目にされても、 何が書いてあるのかを把握することさえ、困難であるはずです。 でも、着実に勉強を重ねていけば、 来年のこの時期には、分かることが相当に増えていることでしょう。 それを想像しながら、勉強を進めていかれると宜しいかと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 134、仲間とともに難関試験に立ち向かおうぞ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「結局のところ、『やるか・やらないか』ってことなんですね。」 気象予報士試験の合格を勝ち取られた方から、 こういった話をよくお聞きします。 メルマガでも、勉強法についての記事をいろいろ書いていますが、 「勉強法の勉強」をいくら行ったところで、 実際の勉強が手つかずであれば、成果など出るはずもありません。 もちろん、「自分に合った効率の良い勉強法」を知ることは大切ですが、 気象予報士試験の合格のために、最も大事なことは、 「受験勉強に対する高い意欲」を持続させることです。 吸収せねばならない知識が多いからです。 とはいえ、人の気持ちは変わりやすいものであり、 ある時点で、やる気が絶頂に達していても、 3か月すれば、すっかり忘れてしまっていることも、しばしばです。 そう考えてみますと、3か月というのは長い時間ですね。 合格への遠い道のりを目にしたとき、次々に不安が襲ってきます。 「文系より理系のほうが有利なのか」 「記憶力が高くないとダメなのか」 「大学を出ているほうが有利なのか」 「そもそも合格には素質が必要なのか」 しかし、ここに挙げたことよりも、遙かに大切なのが、 「この受験勉強を長期にわたって続けること」なのです。 気象予報士試験の合格者の大半は、1年半以上の受験期間を経ています。 勉強を1年半以上続ければ、必ず合格できるというわけではありませんが、 少なくとも合格を手にされた方は、これだけの勉強を続けたわけです。 そう考えますと、モチベーションの維持を図るという点において、 意識的に注意を払うことは、とても大切だと言えるわけです。 「意欲」「やる気」について考えたとき、重要なのは他人の存在です。 「気象予報士を目指しているということを秘密にしておきたい」 その気持ちはよく分かります。 しかし、一切を隠したままの「コソ勉受験生活」よりも、 何らかの形で、他の受験者と関わりを持っておかれることをお勧めします。 「俺は気象予報士を目指している」と公言しなくてもいいですから、 ちょっとした小窓を開けておくことが大切だと考えています。 たった1人でも受験生仲間がいると、孤独感が和らぎます。 1人と2人の差はそれほど大きくありませんが、 0人と1人の差は歴然たるものです。無と有の違いですからね。 仲間がいるからこそ、「一緒に頑張っていこう」という連帯感が生まれます。 「自分だけ挫折するのは格好悪いな」という競争心が生まれます。 それが、学習意欲の向上・立て直しに効力を発揮するのです。 私の感覚としては、リアルに顔を合わせる関係のほうが、 学習意欲の維持という点では、望ましいように思います。 ただ、ブログなどで、匿名性を維持したまま、 他の受験生とコミュニケーションを取る手段もあります。 こういった方法のほうが向いているとお感じになる方は、 試してみると宜しいでしょう。 毎回の受験者数は、全国でたったの5000人程度です。 仲間の存在を意識したほうが、受験生活も充実するように思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 135、分からなくなったら基礎に戻る。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ どんな種類の勉強でも、「多くの知識を習得する」という点は同じですが、 知識の習得の仕方については、大きく2つに分かれると考えています。 これを、私は「積み上げ型」「横並べ型」と勝手に呼んでいます。 「積み上げ型」というのは、ある学習内容が、 別の項目を学ぶために必要不可欠の土台になっているものを指します。 つまり、Aを学んだ後に、Aという知識を土台にしてBを学び、 さらに、B(Aも含む)の知識を土台にしたうえで、Cを学ぶというタイプです。 それに対して、ある学習内容が、 別の項目を学ぶための土台になっていないものは「横並べ型」です。 もっとも、それぞれの知識は分離独立しているわけではないので、 勉強科目の中で、完全な「横並べ型」というのはあり得ないのですが、 学校の勉強でいえば、算数は「積み上げ型」の色合いが濃く、 社会科は「横並べ型」の傾向が強いと言えます。 例えば、算数において、九九と図形の面積を求める学習を、 同時に行うことは困難であると考えられますが、 日本史を学ぶときに、奈良時代と室町時代と明治時代を、 同時並行的に学んでいくことは、不可能ではないはずです。 「積み上げ型」の学習において大切なのは、 土台がキチンと構築されたかどうかを確認することです。 不完全な土台では、上に新たな知識を積み上げることは困難です。 一般知識試験を例にとれば、気象法規の勉強は「横並べ型」と言えそうですが、 その他の科目については、「積み上げ型」が多いのです。 一般知識試験で苦労されている方は、この点に留意されたうえで、 学習を行っていかれると宜しいかと思います。 例えば、典型的な「積み上げ型」といえる大気の熱力学には、 「相当温位」という物理量(概念)が出てきます。 これについての学習を行うためには、 「温位」と「凝結熱」という概念を把握していることが必要です。 「温位」を理解するためには、「空気塊の断熱変化」について、 「凝結熱」を理解するためには、「水の相変化」について、 それぞれ知識を持っておくことが必要です。 さらに、基礎に立ち返ってみれば、「気圧とは何か?」「温度とは何か?」 といったことが土台になっていることが分かります。 私も本を読んでいて、途中でワケが分からなくなることがよくあります。 そうなると、つい飛ばし読みをして、先に進もうとしてしまいます。 「横並べ型」の科目なら、分かる内容が後に出てくることもあるのですが、 「積み上げ型」の場合は先にページをめくっても、分からないままです。 ですから、理解できたところまでページを戻して、 もう一度読むことにしています。 「積み上げ型」の学習は大変な面もありますが、 土台となる知識と、その上に載せる知識の繋がりが強いため、 一度理解してしまえば、忘れてしまいにくいと言えます。 頑丈な建物は土台を固めることから、です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 136、実技試験の勉強の進め方 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、実技試験の勉強で大切なことを3つ挙げてみたいと思います。 1,時間を計らない 2,順番に解く 3,問題文を熟読する まず、1についてです。 実際の実技試験は75分間で解かねばならないわけですが、 練習として(つまり受験勉強として)問題を解くときには、 あまり時間にとらわれないほうが良いと考えます。 時間を意識すると、どうしても「速く解かねば」という意識が働きます。 しかしながら、気象資料は「速く読み取る」ものではなく、 着眼点を増やしたり、慣れたりするに従って、 少しずつ「速く読み取れる」ようになっていくものです。 ですから、まだ慣れていない方が速く読み取ろうとすると、 読み取りが、ただ雑になるだけなのです。 ある程度、実力を付けた方が、ペース配分を考える意味で、 時間を計測して問題に取り組むことは有効ですが、 実力を養う段階では、時間を気にせずに熟考されることが大切です。 次に、2についてです。 これは実際の試験においても言えることですが、 実技試験は、問題の最初から順番に取り組むのが、最も解きやすいのです。 試験では「分からない問題は飛ばして解く」というのが定石です。 確かに、3つの大問で試験が構成されていたとして、 それらの3つが互いに関連が薄い場合は、この戦術が有効です。 (例:社会科の試験で、問1が歴史・問2が地理・問3が公民の問題) しかしながら、気象予報士試験では、 問題全体が、ある時期における気象事例を取り上げているため、 多くの場合において、各問は互いに関連しています。 具体的には、問1では実況資料を用い、問2では総観スケールの予想資料を用い、 問3ではメソスケールの予想資料を用いるといった形で、 見るべき資料は異なるものの、テーマは概ね共通しています。 しかも、先に出てくる問題や解答の内容が、 後に出てくる問題のヒント・前提になっているものも見られます。 例えば、作図問題が出てきた後で、 完成した作図からの読み取りが、次の問題になっていることもあります。 言ってみれば、試験全体が大河を構成していて、 川の流れに乗る形で、上流から順に進めていくと、 スムーズに解けるような構成になっているのです。 最後に、3についてです。 実技試験において資料の読み取りが重要であるのはもちろんですが、 意外に軽視しがちなのが、問題文の読み取りです。 問題文には、解答を導き出すための要素が詰まっています。 というより、問題文の内容によって解答要素は決定されるのであり、 これを熟読したうえで、資料を読み解かないと、 適切な解答要素は導き出せません。 例えてみれば、問題作成者がミットを構えているところに、 ボールを投げなければいけないわけですが、 捕手(問題作成者)のサインをキチンと読み取れなければ、 投手(受験生)は暴投してしまうことになるわけです。 問題文を読み取る際には、何を問われているのか、 解答に際してどんな指示が出ているのかを入念に読み取ることが重要です。 長い問題文であれば、題意と指示を読み取るのが大変ですから、 例えば、文中において、題意を示す箇所を赤ボールペンで、 指示を示す箇所を青ボールペンで引くのも良いでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 137、日常生活とつながりがあるから、気象の勉強は面白い。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気象予報士試験の勉強で、多くの方が苦労されるのは、 この試験が持つ理数的な側面ではないでしょうか。 それほど複雑な数式が出てくるわけではないとはいえ、 細かいことを1つ1つ学習していくのは、なかなか大変です。 「気象法規」の部分で行き詰まって、勉強を投げ出す人は少なくても、 「大気の力学」や「大気の熱力学」の部分で、苦戦する人は多いはずです。 世の中には、数多くの勉強がありますが、 それらは「真理の探究」と「実学」という2つの面を持っています。 気象予報士試験の学習は、後者の色合いが強いのです。 気象予報士試験の範囲であれば、多くの学習内容は、 「それが実際の気象現象とどのように関係しているか」 という視点で捉えられるものが多いです。 一見、些末で小難しいだけのように思える話であっても、 実際の現象と関連していれば、面白く感じるものです。 例えば、「降水過程」の単元では、 雲の中で水滴や氷の粒がどのように発達していくのかを勉強します。 このときに、少しややこしい理屈について学ぶ必要があるのですが、 それを知ることで、なぜ雲から雨が降るのかが分かります。 また、90℃の湯に浸かれば、大やけどをしますが、 90℃のサウナなら、数分くらいは入っていることができます。 なぜ、それが可能であるかを知るためには、 水が、氷や水蒸気に姿を変えること、 姿を変える際に、熱を放出したり、吸収したりすることを、 知る必要があるわけです。 地球大気の底で生活している我々にとって、 大気の流れや、それによって生じる天気は、密接な関係があります。 無味乾燥に感じる学習内容の中に、 「生きた気象の知識」が入っていることを確認すれば、 受験勉強も楽しくなることでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 138、目だけでなく、耳も使う。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 最近、NHKの高校講座をよく視聴しています。 教育テレビやラジオ第2放送で流れている番組ですが、 今ではインターネットで視聴できるようになっています。 放送時間に合わせて、テレビやラジオの前に座ったり、 録画や録音のタイマー予約をするのは面倒だと感じる方も多いでしょう。 インターネットなら、放送済みの番組を全部視聴できます。 昨年度に放送されたものは、最初から最後まで揃っていますので、 興味のあるものだけを選べば良いわけです。 (「ライブラリー」というところに入っています。) 私がよく見ているのは、テレビ講座の「世界史」です。 高校時代に、10段階評価(10が最良)で「1」を取ったこともある科目です。 カタカタの長い人名が全く頭に入りませんでした。 日本史は好きで、外国の歴史にも興味はあるのですが、 全体の流れがキチンと掴めないので、本を読んでも頭に入ってこないのです。 そんな私にとって、映像による授業は興味を持って視ることができました。 本と違って、耳からも情報が飛び込んでくるので、理解度が高まるのです。 私は作業をしながら、番組を再生することも多いのですが、 ちょっと聞き漏らしたりして、意味が分からなくなったときは、 映像を少し戻して、もう一度再生することにしています。 何度でも繰り返して視ることができるのは良いですね。 もちろん、時間が空いたときに少しずつ見ていくこともできます。 この「世界史」は、ただテキストを丸読みするような授業ではなく、 「なぜ○○になったのか?」「□□ということは、△△を意味するのか?」 といった問いかけと、それに対する回答が盛り込まれています。 つまり、「疑問→納得」を耳で繰り返していくうちに、 少しずつ理解が深まるという感じです。 この高校講座のシリーズの中には、気象予報士試験とも関係のある、 テレビ講座の「地学」もあります。 特に、コリオリ力の理解には、苦戦される方が多いと思いますが、 実験映像が紹介されていますので一見の価値ありです。 高校講座HOME >> ライブラリーTOP >> 地学 >> 第34回 大気の大循環において、 番組開始10分後〜16分後が、コリオリ力の説明部分です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 139、「分からないことノート」を作る。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 受験勉強の第一歩は、「分からないところを見つけること」です。 「分からない部分は無い/見つからない」というのは、 勉強が完璧に仕上がっているか、思うように進んでいないかのどちらかであり、 たいていは後者であると考えられます。 1,何が分からないのかを把握する。 2,「分からない」を「分かる!」に変える。 3,理解できたものを頭の中に入れる。 結局、受験勉強とは、この作業の繰り返しであり、 レベルアップのためには、これを続けることが重要です。 「理解できない」と感じることは、決して気分の良いものではありませんが、 ここから勉強がスタートするのですから、 気軽に「分からないこと」を見つけていくことが大切です。 例えば、実技試験で「等圧線を引く」という問題がありますが、 その方法について書かれた文章を、ただ流し読みするだけでは、 なかなか疑問点が湧いてこないというものです。 しかし、実際に資料と向き合いながら、等圧線を引こうとすると、 分からないことが数多く出てきます。 例えば、次のようなものです。 ・前線を跨ぐ際には、どちら側に等圧線を曲げるのか? ・不整合が生じないように等圧線を引く秘訣はないものか? ・海上の沖合にも等圧線を引くべきか? ・観測点の風向と等圧線の走向には、どのような関係があるか? このように、学習を進めている最中で「ん?」と感じたときは、 そのことを記録しておくことが重要です。 私は本を読んでいて、疑問に感じたことがありながら、 そのこと自体を忘れてしまったことが何度もあります。 記憶に残っていない疑問は解決できませんし、 そもそも「解決せねば!」という意識も消えているものです。 ですから、思いついたときに書き留めておく必要があります。 読書中における「?」は、その本に書き込むのも1つの方法ですが、 疑問点を一元化するという点で考えれば、 「分からないことノート」を作成するのが一番です。 文房具屋さんに行けば、いろんなサイズのノートが売っています。 大きめのA4ノートが良いという人もいれば、 小さいほうが持ち歩きやすいという人もいるでしょう。 自分に合った大きさのノートを用意してみましょう。 以前にメルマガで書きましたが、私はコクヨの小さなノートを使っています。 縦10.2cm・横7.2cmなので、ポケットに入れて持ち運べるのがいいですね。 サイズは小さくても、結構いろいろなことを書けるものです。 「分からない」ことがあぶり出されてくれば、 あとは、それを1つずつ解消していく作業に入ります。 もちろん、それが勉強の一番大変なところなのですが、 本で調べる、ネットで調べる、知っている人に尋ねる、など、 方法を尽くして、「?」を「!」に変えていくことができれば、 そのぶんだけ、勉強が進んだことになります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 140、成功する受験生になるために、押さえたいツボ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 受験勉強を成功させるために大切な、3つのポイントを以下に挙げます。 1,取捨選択する。 2,時間は分割して捉える。 3,必要に応じて軌道修正を行う。 まず、1ですが、人間が持っている体力と気力と時間は有限だということです。 どんなにタフな人間でも、使えるエネルギーには限りがあります。 通勤電車の中で新聞を端から端まで全部読む人は、ほとんどいないはずです。 駅に着くまでの限られた時間の中で、読む記事を選ぶのと同じように、 勉強も取捨選択しなければなりません。 意欲的な方ほど、「あの資格も、この資格も取りたい。」と思うものですが、 手を広げ過ぎると、どれも中途半端に終わってしまいます。 気象予報士を志す以上、この勉強に集中することこそが合格への近道です。 また、受験科目を絞り込むことも、大切な取捨選択の1つです。 もし、気象予報士試験で学科試験の受験免除が認められていなければ、 合格率はもっと低くなっていたことでしょう。 一般知識試験→専門知識試験→実技試験と、 1つずつ階段を上っていく方法こそ、メリットが大きいと考えます。 次に2です。 時間を、ある程度の長さごとに区切って捉えていきましょう。 学生時代における、長い夏休みを思い出して下さい。 「長すぎる自由時間」は、持て余してしまいがちです。 1か月や1日というのは、天体の動きから作り出されたものですが、 1週間という概念は、人類(もしくは神?)による素晴らしい発明品です。 川のように流れる時間に、さまざまな種類の目盛りを打ち込むことで、 我々は、時を上手く使うことができます。 受験勉強の際にも、「土日祝の午前中」とか、 「朝に目が覚めてから朝食まで」など、時間を区切って使うと良いでしょう。 私は以前から、「勉強は習慣づけるのが大切」と述べていますが、 決まった時間帯を勉強に充てることで、習慣化しやすいという利点があります。 最後に、3です。 合格を目指して学習計画を立てても、いろいろな事情があって、 計画通りには、勉強がなかなか進まないこともあるかと思います。 そのとき、「せっかく計画を立てたのだから、ちゃんと実行しないとダメだ」 と考えてしまいがちです。 中には、これまでの勉強の遅れを取り戻したいという気持ちもあって、 さらにハードな学習スケジュールを組む方もおられるかも知れません。 しかし、「理想(計画)」と「現実」に大きな解離が生じてしまうのは、 そもそも、その計画自体に無理があると判断されるのです。 ド根性で遂行しようとしても、長続きしない可能性が高いので、 この場合は、学習計画を修正したほうが良いのです。 気象予報士試験は、長期戦を要する難関資格であり、 朝起きてトイレに行くくらいの自然な感覚で、机に向かう習慣を付けないと、 合格を勝ち取るのは厳しいと考えています。 確実に進められる計画を立て、それが軌道に乗ったことを確認したうえで、 余裕があるなら、少しずつハードルを高めていく、という方法が良いでしょう。 試験勉強は、鉄道のレールと同じようなものだと考えます。 毎日、列車が通過するからこそ、レールは綺麗に磨き上げられています。 しかし、列車が通らなくなれば、すぐにレールには茶色いサビが浮き、 敷石の合間から雑草が茂ってくることになります。 少しずつで良いですから、着実に実行できる学習計画を立て、 目標に向けて、進んでいきましょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 141、行き詰まったときはペンを動かせ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 貴重な時間をやりくりして勉強を行う場合、 「読む」または「聴く」という行為が主体になると思います。 例えば、駅や電車の中での時間を利用する際に、本を広げる人は多いはずです。 車内の混雑が特にひどい状況で、本を開くことができなくても、 イヤホンやヘッドホンを使って、耳から学ぶという方法があります。 「読む」または「聴く」という勉強法は、ともに基本的な進め方ですが、 それだけでは、内容が頭によく入らないことがあります。 こんなときの打開策としてお勧めするのが、「書き写す」という手法です。 本に書かれた内容をノートに書き写すというのは、なかなか大変です。 まず時間がかかります。そして手が疲れます。 しかし、時間がかかるということは、書かれた内容について、 じっくりと頭の中で整理できるということであり、 複雑な内容を理解するためには向いていると言えます。 「読む」「聴く」は、受け身の学習であると言えますが、 「書き写す」は、文字列を読んだ後に自らも出力しますから、 内容が理解できているかを常に確認しながら、進める方法であると言えます。 確かに、「流し読み」「聞き流す」といった行為はあっても、 「書き流す」というのは聞いたことがありません。 ペンを動かして学ぶ手法は、計算を含む問題について特に効果的です。 目で数式を追うだけよりも、手を使って書き進めたほうが、 深い理解を得られることでしょう。 私の受験時代には、法律の条文を書き写すという勉強もしました。 条文は一つの文が長く、論理の繋がりがよく分からないものもあるので、 ただ読むだけよりも、自分で書き写したほうがよく理解できると考えたのです。 パソコンによるタイピングでも、似た効果が得られるように思います。 たしか、若き日の勝海舟だったと思うのですが、 貴重な洋書を借りてきて、1冊丸ごと書き写したというエピソードを、 テレビか何かで目にした記憶があります。 書物が高額で、コピー機が無かった時代で、必要に迫られたとはいえ、 この書き写すという行為は、大きな勉強の成果を生み出したはずです。 今は、本を1冊コピーすることも、わりと簡単にできますし、 ネット上の文章なら、一瞬でコピーできるわけですが、 便利な時代だからこそ、筆写の効果が見えにくくなっているように思います。 面倒くさくても、有効な学習法として活用できるものがあるということです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 142、試験前2週間で集中的に取り組みたいこと。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 試験までの残り時間が限られている中で、取り組んでおかれると有効なのは、 「記憶の確認」と「作図の練習」であると私は考えています。 試験には思考力だけでなく、知識量も問われます。 特に、一般知識試験における気象法規は、覚えるべきことも多いですね。 全ての条文を丸暗記する必要はありませんが、 過去に穴埋め問題が出題された箇所に関しては、 内容を充分に押さえておくことが大切です。 また、注意報や警報の名称や、その内容に関しても、 専門知識試験や実技試験で、問われる可能性がある部分です。 こういった部分についても、もう一度確認しておかれることをお勧めします。 壁に塗ったペンキが、日が経つと徐々に薄くなっていくように、 一度学んだ知識は、時間経過とともに少しずつ忘れていくものです。 そこで、試験直前において、もう一度ペンキを塗り直すことで、 正確な知識を定着させておきましょう。 「作図の練習」とは、実技試験に出題される、 等値線や前線の作図問題のことです。 正確な作図を短時間で仕上げるためには、慣れが必要であり、 試験直前に練習しておかれることをお勧めします。 作図の方法そのものについて、丁寧に学習することは大切ですが、 上達のためには、実際に鉛筆を握って練習を繰り返すことも必要です。 もし、描いたものを添削してもらえる場があれば、 さらに効率的に上達できることでしょう。 NHKラジオを聴いて、天気図を描いた経験のある方ならご存じだと思いますが、 慣れるほどに、素早く天気図を仕上げることができるようになります。 最初は、放送内容が速すぎて聞き取れないので、予め録音したうえで、 再生と停止を繰り返しながら、少しずつ書き取っていきます。 1枚の天気図ができあがるのに、2時間ほどかかった記憶があります。 しかし、慣れれば、ラジオの放送を聴いて。そのまま天気図に記入でき、 20分の放送時間が終了した後、10分程度で仕上げられるようになります。 たいていの実技試験では、何らかの作図問題が出てきます。 基本となる作図の練習を充分に行っておけば、 本試験で同種の問題が出たときに、時間短縮が期待できます。 それは、他の問題に取り組める時間を長く確保することにもなるのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 143、実技の壁が高い人と低い人 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実技試験で苦労される方は多いのですが、 その理由の1つとして、学科試験範囲における学習の充実度にある、 と私は考えています。 実技試験を「花」に例えれば、学科試験は「茎」や「根」です。 土台となる知識が充分かどうかが、 実技試験の勉強の進捗に、大きく関わってくるということです。 具体的なお話をしましょう。 衛星画像や状態曲線の読み取りは、実技試験の定番ですが、 そのためには、放射・熱力学の知識を必要とします。 水蒸気画像の仕組みが理解できてこそ、暗域の意味が分かるのであり、 状態曲線を読み取れるからこそ、鉛直安定度を把握できるのです。 また、「温度移流」「風のシアー」といった用語が、 実技試験の問題文や解答例によく出てきますが、 これらの用語の把握が曖昧だと、題意に対応した答案を書くのは困難です。 さらに、作図問題として、前線解析が頻繁に登場しますが、 「前線と前線面の違いは何か」「温暖型閉塞と寒冷型閉塞の違いは何か」 などの点から、丁寧に押さえておかれることが大切です。 作図問題はフィーリングではなく、合理的に解くものですので、 その背景にある知識・理屈を学ぶことが必要なのです。 ご承知のとおり、実技と学科では解答形式がまるで異なります。 記号選択式である学科試験では、消去法で正答を導き出せる場合もあります。 例えば、「誤っている記号を1つ選べ」と問われた際に、 ある1つの選択肢についてのみ、「確実に誤り」と判断できれば、 残りの選択肢の正誤は判断できなくても、正解がもらえるわけです。 しかし、実技試験は文章や作図で解答する問題が大半を占めます。 知識不足や誤解があった際に、それが答案という形で露呈しやすいのです。 実技試験の勉強の進み具合がイマイチだ、とお感じの場合は、 学科試験の範囲における一部の科目に不十分な点がある可能性が考えられます。 学科試験の合否に関係なく、復習されることが大切です。 合格している学科試験の科目を勉強するなどというのは、 無駄なことだとお感じになるかも知れませんが、 そうではなく、実技試験のための土台を学ぶのだということです。 「天気図などの資料は、慣れが大切」とよく言います。私もそう思います。 しかし、「数多く見ていれば、自然に読み取れるようになる」 というのとは、少し違います。 何千枚もの天気図を漠然と眺めていても、 背景となる知識や、それに基づいた着眼点が無ければ、 天気図から読み取れることはあまり増えない、私はそう考えます。 新聞を読むときと同じで、国際面を読む際には世界情勢の知識、 経済面を読む際には経済の流れを把握していることが大切です。 例えば、テレビでニュースを分かりやすく解説している番組がありますが、 そういったもので知識を養っていくのと、何もしないのとでは、 同じ「1ドル=83円突破」という記事を目にしても、 頭の中を駆け巡るものが変わるはずです。 天気図などの気象資料も同じで、キチンと読み取って、 問題に対して適切に解答するためには、 それを導くための知識が大切だと思います。 |