藤田真司の気象予報士塾は、気象予報士試験合格をトコトン応援する通信型の塾(予備校)です。

無料メルマガ『めざせ!気象予報士・お天気キャスター』バックナンバー(第251話~第300話)


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  251、誘惑を遠ざける。
  252、年末年始を有効に活用する。
  253、余裕のある学習計画を立てる。
  254、試験当日のために行っておきたい準備
  255、休息から抜け出す。
  256、合格体験記から課題解決法を学ぶ
  257、合格で得られる自信がある。
  258、遠くの山を見ながら一歩ずつ歩き続ける。
  259、過去問題演習で思考パターンを蓄積する。
  260、気象予報士試験の勉強を検討している学生の皆さんへ
  261、情熱を持ち続けることこそ、合格のための必要条件だ。
  262、自分に適した学習環境を考えてみる。
  263、課題を可視化する。
  264、始業前学習で勉強習慣を定着させる。
  265、受験生活は一人だが独りでは無い。
  266、知識を繋ぎ合わせて理解する。
  267、解答例をお手本にする。
  268、試験直前でしてはいけない3つのこと。
  269、日常の受験勉強の延長線上に合格がある。
  270、試験終了後の気持ちを忘れないうちに作戦会議を。
  271、基礎学習と問題演習をバランス良く
  272、添削を通じて自分の課題を知る。
  273、勝つために再度立ち上がる。
  274、勉強はいつからでも始められる。
  275、第44回試験の実技試験を振り返って
  276、覚えるべきことと覚えてはいけないこと
  277、しっかり洗い出す。キチンと解決する。
  278、数学が苦手なだけで気象予報士を諦めるのはもったいない。
  279、二歩目は一歩目よりも楽。
  280、事前準備で過度の緊張を防ぐ。
  281、合格のコツは「深く振り返り、早く切り替えること」
  282、第45回気象予報士試験を振り返って(実技)
  283、メインの仕事を充実させるために、気象を学ぶ。
  284、冷めないうちにエンジン再始動を。
  285、多くの支えによってキャスターは育てられていく。
  286、この時間管理術で勉強時間を確保しよう。
  287、頭の中のアップデートは自分にしかできない。
  288、最終目標から逆算して計画を立て、課題は細分する。
  289、1日の中から「勉強枠」を天引きする。
  290、何のために過去問題演習をするのか?
  291、2017年8月試験での合格に向けて
  292、一人で集中できる時間と空間を確保する。
  293、やっぱり知識の充実度がものを言う。
  294、ダサい基礎学習こそ大切。
  295、夏試験を乗り越えた先輩方から学ぶ
  296、限られた時間を上手く使う。
  297、自分に合った勉強道具を見つけよう。
  298、合格体験記は先輩からの引継書
  299、合格に向けて登り続ける。
  300、難度の低い問題のほうが重要だ。

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251、誘惑を遠ざける。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 勉強時間の捻出には、日常の中で浪費している時間を洗い出す事が重要だと思います。
> 自分は「ネット」に費やす時間が多かったので、そこを中心に削りました。
> (人によっては「ゲーム」や「酒」などの時間も削減の対象になろうかと思います)
■Iさん(30代・会社員・第42回気象予報士試験合格)


小学校のときだけですが、私は勉強が良くできました。
中学校以降は全くダメになってしまい、
大学卒業時にも単位取得のために冷や汗をかくことになるのですが、
とにかく小学校のときは、わりと勉強ができたのです。

その理由を後から振り返ってみますと、
誘惑の少ない環境が大きかったように思います。

当然ながら、当時(バブル景気の頃)はスマホもネットも無く、
大流行したのは、任天堂のテレビゲーム機「ファミコン」です。
私が小学生だった当時、家にはファミコンがありませんでした。
商店の抽選会で、人気ソフト「ドラクエ4」が当たったのですが、
ハードが無いのに、ソフトだけ手に入っても、意味は無く、
結局、誰かにあげてしまった記憶があります。

また、友達の家に遊びに行くと、「ここはマンガ図書館か?」と思うほど、
本棚にギッシリとマンガが揃っていて、驚いたことがあります。
私の家にも『ドラえもん』はあったのですが、
数が少なく、それを弟と奪い合って読んだものですから、
いつの間にかカバーは無くなり、本自体もボロボロにくたびれていました。
台詞を全部覚えるくらいまで読み尽くした後は、
そのマンガを紙に模写して遊んでいました。

家の中での大きな娯楽といえば、テレビです。
アニメもよく見ましたが、我が家には1台しかテレビが無かったですから、
子供向けの番組ばかり見るわけにはいきません。
レンタルビデオはすでに登場し、家の近くにも店はありましたが、
実際に私がビデオソフトを借りたのは、高校生になってからです。

もし、ファミコンがあり、本棚にはマンガが溢れかえり、
自分専用のテレビとビデオデッキがあったとすれば、
私は学校の宿題が手に付かなかったように思います。
娯楽があまり無かったからこそ、「宿題でもやっとくか」となるわけです。

また、我が家にはマンガ以外の本も少なかったので、
学校で新しい教科書をもらうのが楽しみでした。
それを読んで時間を過ごすということは、
知らず知らずのうちに予習をしていることになるわけで、
これも学校の勉強にプラスに働いたと言えます。

あれから四半世紀が過ぎた今、当時よりも娯楽となるものが多いと感じます。
例えば、スマホ1つあれば、いくらでも楽しい時間が過ごせそうです。
しかし、楽しみが大きいことは、受験生への誘惑も大きいことを意味します。
没頭すれば、どんどん時間は流れていき、
そのぶんだけ受験勉強の時間が削られてしまうことになります。

娯楽が制限された研修所に放り込まれて、受験生活を送ることができれば、
勉強にも集中できるでしょうが、現実的ではありません。
楽しいことが溢れかえっている環境で、合格を目指すためには、
自分自身で誘惑を遠ざけねばならないのです。

今、自分にとっての楽しみは何かを洗い出してみて下さい。
そのうえで、娯楽時間の一部を削って、勉強時間に充てるのが良いでしょう。
たくさん削るほど、より多くの勉強時間を確保できますが、
全部削ってしまうと、息抜きができなくなり、
受験生活そのものが頓挫してしまう恐れがあります。
いくらかは残しておくことも大切だと思います。




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252、年末年始を有効に活用する。
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早いもので、次の試験まで残り約1か月となりました。
すでに試験勉強は、仕上げの段階に入っていると言って良いでしょう。
年末年始には、普段よりも勉強時間を多く確保できる方が多いと思います。
受験勉強において、まとまった時間を確保することは大切です。

もちろん、5分・10分といった細切れ時間も、
暗記事項の反芻など、すでに習得した知識の確認には有効に使えますが、
未学習の分野を切り拓くような学習には不向きです。
丁寧に論理を辿って、理解を積み重ねていくためには、
どっぶりと没頭できる長い時間が必要なのです。

多くの受験生にとって、年末からお正月にかけての時期は、
こうした貴重な学習時間を確保しやすいと思います。
コタツに入って箱根駅伝を観るのも良いものですが、
10人の選手がたすきを繋いでいる時間を、勉強マラソンに充てるのも、
受験生らしい正月の過ごし方かな、と思います。

さて、間もなく年末年始を迎えるわけですが、
次の試験のために立てた目標が妥当であるのかどうかを、
現時点で確認しておかれることをお勧めします。
夏~秋に掲げた目標に向かって、順調に走り続けることができていれば、
もちろん、このまま突っ走るだけなのですが、
想定よりも進捗が遅れている場合は、軌道修正を検討されたほうが良いです。
例えば、学科2科合格を目標にしていたものの、
当初の学習計画において未達部分が多いのであれば、
一般知識試験だけの合格に目標を絞り込むべきです。

一度立てた計画を修正すること、特に下方修正することには、
気持ちのうえで、大きな抵抗感が生じることもあるでしょう。
年末年始休暇を利用すれば遅れを挽回できる、と思えば尚更です。

しかし、試験までに残された時間は、決して多くないので、
残り1か月でできることを過剰に見積もるべきではないと私は考えます。
現時点で勉強に明らかな遅れが生じていれば、少しでも試験の成果を出せるよう、
合格目標を絞るという「勇気ある決断」が大切だと思います。




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253、余裕のある学習計画を立てる。
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2年前のクリスマスシーズンのことです。
娘たちが希望するプレゼントは、「ジュエルポッドダイヤモンド」という、
スマートフォン風のおもちゃでした。

12月に入ってから、あちこちのお店であたってみたのですが、品切ればかり。
何点か入荷するという情報が事前に入ると、
開店前から行列ができ、すぐに売り切れてしまうのだそうです。
ある店で商品が売られているのを見つけたのですが、
不人気のおもちゃとの抱き合わせ販売になっていて、諦めました。
プレゼントのためとはいえ、不要な物まで買うわけにはいきません。

ネット通販のAmazon(アマゾン)で調べてみますと、
ジュエルポッドが売られていましたが、標準価格よりも高くなっていました。
しかも、クリスマスが近づくにつれて、ますます高騰していったのです。
普段であれば、6,000円程度で買えるはずなのですが、
付いている値段は10,000円を超えていました。

サンタとして厳しい立場に追い込まれました。
クリスマスシーズンを過ぎれば値段は下がるはずだから、
プレゼントを渡すのは正月明けにしようか。
いや、それではクリスマスの意味が無い、
余計なカネを使ってでも、ジュエルポッドを確保するべきではないか。
いずれとも決断できずに、どんどん日が近づいていきました。

結果的には、クリスマス直前の段階で、Amazonに商品が入ったため、
その機会に、標準的な価格でジュエルポッドを手に入れることができました。
(それらが短時間で売り切れた後、また値段がつり上がっていました。)
サンタとしての役目を何とか無事に果たせたわけですが、
時間に余裕を持って準備することの大切さを感じました。

気象予報士試験においても、似たようなことが言えると思います。
2015年がスタートして、「今年は気象予報士試験に挑戦したい」と、
心に決められた方もおられることでしょう。
まずは8月に予定される試験で、一般知識試験の合格を目指したいところです。

真冬の寒い時期に、厳しい暑さの8月をイメージするのは難しいですが、
必要な学習量を考えますと、今からスタートされるのが良いのです。
夏に収穫したい作物は、冬のうちに種を蒔いておかねばなりません。

何かをスタートさせるとき、大変なのは最初の一歩を踏み出すことです。
荷車を押すときに最も力が必要なのは、動かし始めるときですね。
一度車輪が動けば、それほど大きな力が無くても、回り続けます。
面倒くさい仕事でも、手を付ければ、それなりに進んでいくのと同じです。

今の時期は年の初めということで、学習計画を立てる方も多いと思います。
立てた計画を上手く進めるコツは、予定を緩めにしておくことです。
「これなら、前倒しで計画が達成できそうだ」と思えるくらいが適切であり、
実際に、前倒しで勉強を進めていっても良いのです。

学習計画が頓挫してしまう原因の1つとして、
無理なスケジュールを積め込んでしまうことが挙げられます。
「これくらいやれるはずだ/これくらい頑張るべきだ」という気持ちで、
キツめの学習計画を立ててしまいがちです。
しかし、現実には、いろいろな理由で勉強できないこともあるわけで、
それが続くと、未達のままカレンダーが進むことになります。
「1か月前にする予定だった勉強がまだできていない。」となってしまいます。

不思議なもので、同じように勉強していても、
「予定を前倒しする形で進めている」という状況と、
「未達の予定に追われながら進めている」という状況では、
受験勉強に取り組む気持ちが大きく変わってきます。
お金に例えてみれば、前者が「貯金の増加」で、
後者が「借金の返済」だともイメージできます。
達成できていない計画が、あまりにも大きくなってしまった段階で、
勉強を続ける意欲が失われ、長期休止に追い込まれることになります。

ですから、余裕を持った学習計画を立てることが求められるわけであり、
そのためには、学習期間を長めに設ける必要があります。
「時間」に忙しい人であるほど、「期間」を味方にして、
受験生活を進めていかれることが大切です。




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254、試験当日のために行っておきたい準備
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試験まで残り数日となり、多くの受験生は不安を抱えておられることでしょう。
難関試験にチャレンジするのですから、心細い気持ちになるのは当然です。
「もっと勉強しておけば良かった」と思われるかも知れませんが、
残り時間を考えれば、これからの実力の伸びしろは僅かです。
逆に言えば、昨夏の試験終了後から継続して頑張ってきた方は、
その足跡に自信を持つことができるはずです。
「あとは、実力を出し切るだけなんだ」と。

試験日を直前に控えた今、受験勉強以外の「試験対策」こそが、
当日に力を発揮するために大切であると考えます。

まず、試験会場までの経路を確認しましょう。
特に、初めての会場であれば、事前の下見が望ましいです。
そこまでの時間的余裕が無い場合であれば、
インターネットなどを使って、乗換や道のりなどを確認しておいて下さい。
冬の試験ですから、会場の場所によっては、
雪による交通機関の乱れが生じる可能性があります。
できれば、第2・第3のルートも想定しておいたほうが安全です。

そして、当日は時間にゆとりを持って試験会場に向かいましょう。
「深夜遅くまで詰め込み学習→寝坊して直前に会場に駆け込む」などは、
自分で合格を捨てるような行動パターンだと、私は考えます。
最高のパフォーマンスを発揮するには、たっぷりの充電(睡眠)が必要です。
早めに試験会場に着き、のんびりと熱い缶コーヒーでもすすりながら、
他の受験生を観察するくらいの余裕で臨むのが理想的です。

そして、筆記用具の確認をしましょう。
シャープペンシルをお使いになる方が多いと思いますが、
芯が無くならないように、補充しておく必要があります。
また、途中でなくしたり、何らかのトラブルが発生したときに備えて、
予備のシャープペンシルや消しゴムを用意しておけば安心です。

教室で参考書や問題集などを広げている受験生も多いですが、
試験本を目にすると、かえって気持ちに焦りが生じてしまう方は、
マンガ雑誌などを捲っていても良いのです。
理解して習得した学習内容は、マンガを読んだくらいで抜けるとは思えません。
大切なのは平常心を維持できるように心がけることです。




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255、休息から抜け出す。
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明日は節分ということで、1年の中で最も寒い時期ですね。
朝、布団から出るのが辛い季節でもあります。
でも、目が覚めているのに、寒いからといって布団の中にうずくまっていると、
貴重な朝の時間を浪費してしまうことになります。

試験が終わった後は、少しのんびりしたいものですね。
もちろん、充電をすることは大切ですが、
その期間が長すぎると、「充電」のはずが「放電」してしまうことになります。
特に、1月試験~8月試験の期間は、
8月試験~1月試験の期間よりも2か月ほど長いため、
休息時間が長くなってしまいがちです。
寒い朝に思い切って布団から飛び出すのと同じように、
次の試験に向けての準備を始めることが大切です。

1つの区切りは、気象業務支援センターから正式な解答例が発表される日です。
試験が終わって10日ほどすると、ホームページに問題と解答例が掲載されます。
「怖いので解答例は見たくない」という方もおられますが、
解答例を見たからといって、自分の書いた答案が変わるわけではありません。
もちろん、得点が上がることも下がることもありません。
自分の解答した内容を思い出しながら、試験を振り返ることが大切です。

解答例を照らし合わせた結果、「どうやら合格してそうだ」と思われれば、
3月の合格発表日を心待ちにしたいですね。
一方、「ちょっと厳しいようだ」とお感じになった場合は、
気分を切り替えて、走り始めることが大事です。
まず、今回の試験問題をじっくりと分析していきましょう。
本試験ではないのですから、時間をかけて問題に向き合えば良いのです。

今回の試験を受けられた受験生の中には、
準備不足を痛感された方もおられることでしょう。
前述のとおり、8月試験~1月試験の期間は短いうえに、
年末の忙しい時期を挟むために、勉強時間を確保しにくいです。
間際になってから慌てて問題演習に取り組んでも、
基礎事項の学習がキチンとできていなければ、
問題に対する十分な理解が得られず、その場しのぎの暗記に偏りがちです。
これでは、本試験での対応力は充分に養えないと考えます。

「もう少し丁寧に勉強しておけば良かった」という後悔は、
次の試験に向けてのエネルギーに転換させるべきです。
これから5月頃にかけて基礎事項の学習・確認を行っていき、
その後は、過去問題演習を中心とした実戦的な学習を行われると良いでしょう。
スタート時期によって、総勉強量に大きな違いが出てきます。




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256、合格体験記から課題解決法を学ぶ
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検索サイトで「気象予報士試験 合格体験記」とでも入れてみますと、
いろいろな合格体験記を目にすることができます。

ネット上で見ることのできる合格体験記は相当な数に上り、
漫然と眺めているだけでは、時間を浪費してしまう恐れがあります。
受験生として、合格体験記を活用することを考えた場合、
「体験記の筆者が抱えていた課題と、その解決法」
に着目することが重要です。

常に順風満帆で、気象予報士試験に合格した人を私は知りません。
多かれ少なかれ、受験生時代に「壁」を経験しておられます。
しかし、その「壁」を最終的には乗り越えることができたからこそ、
「『合格』体験記」という形になっているわけです。

つまり、合格を勝ち取られた受験生の多くは、
受験勉強の過程で生じた障壁の存在に悩み、
その障壁をぶち壊す手法を見つけることで、合格に至っています。
生じた課題と、その解決法の両方が載っている作文こそが、
合格を目指す受験生にとって、有益な合格体験記である可能性が高いです。

言い方を変えれば、「合格体験記」には「受験失敗記」が含まれているのです。
ただし、単に「○○が原因で落ちました」で終わっているのではなく、
失敗を繰り返さないための対策をとったことで、合格を勝ち取っています。
その対策法を具体的に記してある体験記は、
同じ課題を抱える受験生にとって大いに参考になるはずです。
「失敗」→「課題の解決」→「合格」という流れに着目してみて下さい。

受験生の皆さんが合格体験記をお読みになる場合、
「自分にとって合格を阻む壁は何か?」を分析されることをお勧めします。
(この点が曖昧であると、同じ失敗を何度も繰り返す原因になります。)
そのうえで、似たような課題に悩まされていた元受験生の体験記に出会えれば、
その解決手法に学べることは大きいです。




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257、合格で得られる自信がある。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ずっと劣等感を持っていた自分が今は気象予報士です。
> とても信じられない気持ちです。
■積乱雲さん(ペンネーム・20歳・男性・浪人・奈良県・第42回試験合格)


「合格という形で、受験勉強を締めくくってほしい」と私はよく言います。
受験対策の講師という立場上、数多くの合格者に接してきました。
その方々の大半は、かつて「今回はダメでした」「今回もダメでした」という、
合格を勝ち取れなかった受験生だったのです。
過去の敗戦を知っているだけに、勝利の喜びも大きいです。

一発合格することが極めて困難な気象予報士試験において、
ほとんどの合格者は、以前の試験の不合格者の中から生まれます。
受験勉強の苦労を吹き飛ばすために、合格に勝るものは無いように思います。

例えば、世の中には資格取得を趣味にしている方がおられますが、
それは「合格の嬉しさを味わいたい」という理由もあるのだと想像します。
当然ながら、その関門が狭いほど、突破したときの爽快感は大きいはずです。

私の場合、合格によって得られたのは大きな自信でした。
今から19年前のことです。
当時高校2年だった私は、学業もスポーツも冴えない生活を送っていました。
エスカレーター式で大学進学できるという環境で、すっかりダラけてしまい、
学校の勉強は、まるで手が付かない状態でした。
一方、運動センスが無く、野球部ではベンチウォーマーのまま。
外野フライを取り損なって、顔面にぶつけることが2回あり、
眉間には今も当時の傷が残っています。
「文武両道」という言葉が、眩しすぎました。

そんな私が気象予報士試験に合格したことで、
「確かに学校の勉強や野球はダメダメだが、この分野だけは胸を張れる」
という自信を持つことができました。
それから僅か2年半後、幸いにもテレビ出演のお仕事をいただけましたが、
合格をきっかけに、自分の中で何かが勢いづいたような気がします。

気象予報士試験の合格率はとても低く、合格に至る道は険しいです。
合格者の中には、かなり受験回数を重ねた方もおられます。
試験で失敗することは辛いことですが、気象予報士になりたいのであれば、
簡単に諦めてしまうのは、勿体ないことです。
当然ながら、早く合格できるに越したことは言うまでも無いのですが、
合格時期の違いは、合格から時間が経つほどに差が小さくなるのだと、
気象予報士として20年目を迎える私には感じられます。




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258、遠くの山を見ながら一歩ずつ歩き続ける。
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4月はテレビやラジオの番組改編がよく行われる時期です。
当塾を経て気象予報士資格を取得された3人の方からそれぞれ、
気象キャスターとして新たに番組を担当するという、お便りをいただきました。

いずれの方も、受験生時代に奮闘されていました。
気象予報士試験に合格するため、懸命に努力を重ねておられた当時に、
今のような道が拓けることを想像するのは難しかったと思いますが、
ご質問や添削のメールを振り返ってみれば、ほんの数年前のことなのです。

「試験を突破すること」と「気象業界で仕事を得ること」という2つには、
質の異なる難しさがあります。
もちろん、強く願ったからといって、簡単に叶うことでは無いのですが、
「その道に進みたい」という気持ちを固めることは、
目標を実現するための必要条件のように思います。

昨日と今日を比べてみると、何の変わりも無いように見えます。
言い換えれば、両者の差であるΔxは0に等しいように感じられます。
もちろん、何もしなければ、Δx=0なのですが、
歩き続けている限りは、Δx=0ではありません。
Δxがとても小さいので、0のように思えてしまいますが、
何度も何度もΔxを足し合わせていけば、やがて大きな変化が現れます。

テレビで目にする気象キャスターは、
最初からそのポジションにいたように見えてしまいます。
それは、その人の変化を知らないことによる錯覚に過ぎません。
実際は、受験生からΔxを足し続けた結果として、
今、カメラの前で活躍しているのです。

この事実は、現時点で受験生として勉強している人にも、
やがて、大きな変化が生じる可能性があることを意味しています。
気象予報士試験に取り組む動機は、人それぞれだと思いますが、
いずれであっても大切なことは、Δxをできるだけ大きなものにすることと、
そのΔxを足し続けることだと思います。




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259、過去問題演習で思考パターンを蓄積する。
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実技試験の勉強において、「丸暗記はダメ」と私はよく言います。
しかし、誤解の無いように申し上げておきますと、問題を解くにあたって、
「常にゼロから思考するべきだ」という意味ではないです。

試験で合格できる理由は、短時間で多くの問題を正答できるからです。
限られた時間で、正答を積み上げていくことができる理由について、
具体例を挙げて、考えてみることにしましょう。

「1から100までの数を全て足すと幾つになるか」という算数の問題があります。
ここで、「1+2=3 3+4=7 7+5=12・・・」というふうに、
延々と足し算を続けていくと、かなり長い時間を要します。
「1から100までの数の和」なら、足し算の積み重ねでも答えを出せますが、
これが「1から1000までの数の和」であれば、制限時間内での解答は困難です。

この問題では、「1+100」「2+99」「3+98」・・・という、
足して101になる数が全部で50組できることに着目すれば、
101×50=5050 と解答を導くことができます。
この解法を習得すれば、「1から1000までの数の和」でも、
同じ要領で、長い時間をかけずに解くことができます。

ここで「1から100までの数の和は5050である」と暗記しても、
出題される数字を少しでも変えられてしまえば、お手上げです。
一般知識試験において、静力学平衡の式を丸暗記したうえで、
問題に出てきた数値を強引に突っ込むという行為も、これと大差は無いです。
また、実技試験の問題文に「低気圧の発達」と書かれているだけで、
「前面の暖気移流と上昇流が・・・」と答案を書き始めることも同様です。

大事なのは、解答に至るプロセスを充分に理解したうえで、
それを使いこなせるように習得する(=頭に入れる)ことです。
1つの思考過程のパターンが頭にしっかり定着すると、
同一の思考過程パターンが要求される問題は必ず解けます。
また、同種の問題で無くても、似た内容の問題であれば、
身に付けた思考パターンから類推する形で、解答を導けるようになります。
習得した思考パターンの数が多くなるほど、類推力も高まるように感じます。

つまり、過去問題演習を行う目的は、
こうした思考パターンを数多く頭の中に入れることにあります。
これは、「鍵をたくさん作ること」に例えることもできます。
数多くの鍵を持っているほど、ドア(問題)を目の前にしたときに、
差し込んで試せる本数が増えますので、ドアが開く可能性が高まるわけです。

実技試験で、過去7~8年分の問題演習を丁寧に行うことを私が推奨するのも、
量的に充実しなければ、鍵(思考パターン)の数を増やせないからであり、
丁寧に演習して理解を深めなければ、本試験で役に立つ鍵を作れないからです。
演習で生じた疑問を、キチンと解決できなければ、
「思考過程の鍵」は不完全なままであり、類似の問題を解くのは困難です。
つまり、疑問の解消こそが、レベルアップのためには必須なのです。
学科試験であれ、実技試験であれ、過去問題演習に取り組まれる際は、
こうした点を強く意識されることが大切です。





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260、気象予報士試験の勉強を検討している学生の皆さんへ
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 普通の大学生らしく勉強よりアルバイトや遊びに精を出していました。
> それなりに楽しいですが、このまま学生生活を過ごすのも勿体無く、
> 何かに挑戦しようと思いました。
(■K.I.さん・21歳・男性・大学生・兵庫県・第43回気象予報士試験合格)


学生時代において、遊びやアルバイトに精を出すことも、
人生を豊かにする要素だと思いますが、
やはり、勉強に時間と労力を費やすことも大切ですね。

学校での勉強が充実していれば、それに越したことはありません。
しかし、分厚いシラバスを手がかりに受講登録をした授業を、
実際に受けてみると、それほど魅力を感じられないこともあります。
私自身にもそういった経験があり、出席が必須であった講座に対しては、
大教室の後ろで、授業とは関係の無い本を読んでいました。
そうしなければ、貴重な時間が無駄になると感じたのです。

また、学校の勉強自体には満足していても、
さらに違う種類の勉強にも挑戦してみたいという、
エネルギー溢れる学生さんもおられると思います。
気象予報士試験に挑戦することは、
そういった方々にとって、数多くある選択肢の1つになると思います。

しかし、気象予報士試験に合格するためには、
大きな労力と時間を投入する必要があることも事実です。
例えば、普通自動車の運転免許であれば、
集中して教習を受ければ、短期間で取得できることが多いです。
しかし、気象予報士試験の合格のためには、相当な学習量を要します。
軽い気持ちで、片手間で勉強を進めても、合格は難しいですし、
資格取得のための明確な動機(例:就職活動など)が無ければ、
長期戦の受験勉強には耐えられないことでしょう。
受験勉強を始めたからには、合格という形で締めくくってほしいので、
最初に試験難度の高さについては、十分に承知してほしいと思います。

そのうえで、この試験に挑戦する決意を固めた方は、
できるだけ早く学習を開始することをお勧めします。
忙しい学生さんは多いでしょうが、それでも社会人に比べれば、
時間的な余裕が大きいはずです。
つまり、集中した受験勉強の場を確保しやすいのであり、
こうした環境を最大限に生かして勉強すれば、
在学中に資格を取得できる可能性を高めることができるからです。




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261、情熱を持ち続けることこそ、合格のための必要条件だ。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 気象予報士の勉強において
> モチベーションを保ち続けることは非常に重要だと思います。
> 落ち込んだ時は、「気象予報士になってからの自分」を
> 具体的に思い描くと良いと思います。
> 夢を見るのは自由なので、なるべく大きいことを考えましょう。
> その方がわき出る力は大きいはずです。
(■N.Mさん・男性・42歳・公務員・関東在住・第43回気象予報士試験合格)


「文系でも合格できるのか?」
「学生時代、勉強が不得意だったので心配・・・。」
受験勉強を始めるにあたって、このような不安が湧き出すことがあります。

気象予報士試験は理科的な要素が強い試験ですので、
「理系のほうが圧倒的に有利に違いない」と思う方もおられるでしょう。
もちろん、受験勉強においてアドバンテージがあるのは事実です。
ただし、その差をフルマラソンに例えて感覚的に表現してみますと、
理科系の学習経験のある方は、5km地点からスタートできるという程度です。
つまり、残りの37.195kmは、他の受験生と同じように走る必要があり、
「理系だから楽勝」と言えるほどの優位性は無いです。

なぜなら、一括りに「理系」といっても、
その学習分野は細分化されているからです。
例えば、同じ理科分野である「天気(てんき)」と「電気(でんき)」は、
名前こそ似ていますが、学ぶ内容はまるで異なります。
もっと言えば、大学で気象学を専攻している場合であっても、
気象予報士試験のためには、追加的な学習が必要になるのです。
研究のための勉強と、資格取得のための勉強には、異なる部分も多いからです。

学生時代に勉強が得意だったことは、気象予報士試験に役立つと言えます。
それは、勉強の方法を身に付けているという点にあります。
「一定の時間を確保し、机に向かう習慣を付ける」
「基礎事項の学習を重視し、疑問点は解決することが大事」など、
受験勉強には、どの科目にも共通する基本的ルールがあります。
それを習得していれば、気象予報士試験の受験勉強にも当てはめることができ、
結果として、勉強を早く軌道に乗せやすくなります。

それを踏まえたうえで、敢えて強調したいことは、
学生時代に勉強が良くできたかどうかというのは、
気象予報士試験の学習過程で、それほど大事では無いということです。
なぜなら、合格への情熱を持ち続けることこそが、最重要だと考えるからです。

学生時代に成績優秀で、理科系科目が得意であっても、
気象予報士試験への意欲が無ければ、合格は困難です。
この試験のために、労力と時間を費やせる熱い気持ちを持っていないと、
合格を勝ち取ることは難しいと私は感じています。

資格試験ですから、試験には対策法が存在します。
もちろん、「100%受かる勉強法」といった魔法は無いと考えますが、
疑問点を潰していけば、1つずつ着実にレベルを上げていくことは可能です。
極端な話、分数の掛け算が分からないのであれば、
小学生の教科書からやり直せば良いだけです。
そうしたコツコツ勉強を支えるのが、資格取得への情熱です。
勉強に対するモチベーションがあれば、
どのスタート地点からでも、前へ進んでいくことができます。
合格を勝ち取るために最も大切で、決して失ってはいけないものなのです。




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262、自分に適した学習環境を考えてみる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 図書館の自習室を頻繁に利用しました。
> 自分が考えるメリットは、周りの目的意識を持った人たちに看過されることです。
(■Aさん・51歳・会社員・岐阜県・第43回気象予報士試験合格)


自習室利用の長所は、勉強に集中しやすい環境が整っていることです。
喫茶店やファミリーレストランでは頻繁に見られがちな、
大きな話し声・携帯電話の着信音・食べ物やタバコの匂いなども無いですし、
「いつまで席を占領していて良いのか」などと心配することもありません。
静かな空間のほうが、受験勉強に没頭できる方は多いはずです。

また、引用した体験記にもありますように、
自習室には、本気で勉強に取り組もうと考える人が多く集まりますので、
そうした集団の一員に加わることで、自分に刺激を与えることもできます。
「朱に交わって赤くなる」ということです。

公立図書館では、自習のための利用を禁止している場合も多いようですが、
私が住んでいる町では、図書館ではない公共施設において、
自習室として無料で利用できる部屋があります。
読者の皆さんが住んでおられる町にも、同じようなものが有るか、
探してみると良いかと思います。
(ネット検索ではなく、実際に訪れてみないと分からないこともあります。)

また、有料の自習室を利用するというのも、1つの手段です。
無料の自習室ですと、開館時間前に行列ができるほど混雑していることもあり、
「今日は席を確保できるだろうか」と心配せねばなりません。
しかし、料金を払って利用する自習室の会員になれば、
時間をかけて待つという労力と時間を、勉強のほうに投入できます。

有料自習室によく見られる設備・サービスとして、
 ・机がパーティーションで仕切られている。
 ・勉強道具を格納するロッカーや、ネットに繋がったパソコンがある。
 ・深夜や早朝であっても、利用できる。
といったことが挙げられます。
さすがに無料の自習室では、こうしたサービスを受けるのは難しいでしょう。
有料自習室は商売目的で運営しているだけあって、
利用者がいかに快適に勉強できるかという点をよく考えています。

また、お金を払って利用するからこそ、
勉強へのモチベーションが高まるという点もあります。
毎月、安くない料金を支払うからこそ、
「投資した分を回収したい」という気持ちが働くのです。

いずれにせよ、受験勉強は必ず自宅で行わねばならないという決まりは無く、
効率的かつ継続的に勉強できる場所があるのなら、
その受験生にとっては、それが適切な学習環境であると言えます。




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263、課題を可視化する。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 苦手な問題をノートに拾い出しておき、折を見て何度も解き直しました。
> その際、なぜ自分はこの問題が苦手なのかを分析しながら取り組むようにすると
> 具体的な対策も生まれやすく、効果が高かったです。
(■I.K.さん・34歳・男性・会社員・東京都・第43回気象予報士試験合格)


受験勉強での実力を高めるためには、
「分からない」「解けない」「知らない」「誤解している」を、
「分かる」「解ける」「知っている」「理解している」に、
換えていくことが求められます。

例えば、試験突破に必要な知識が10000個だとします。
この知識をオセロゲームの石(駒)で表現しますと、
勉強を始める前の最初の状態は、10000個全てが白面なのです。
これらのオセロ石を1つずつひっくり返して、
白面を黒面に換えていく作業こそが、受験勉強にあたるわけです。

勉強を始めたばかりの時期は、全てが白面なので、
順番に勉強を行っていけば、白面を黒面に換えていけます。
その後、勉強がある程度進んでくると、白面と黒面が混在した状態になります。
このとき、それを自覚していないと、すでに黒面になっている部分、
つまり既習内容をなぞるだけの学習になりがちです。(ラクだからです。)
未習部分をウンウン唸りながら学んでいくのは骨が折れるのですが、
そうした形で白面を黒面に換えていかない限り、実力は伸びません。

この過程で大切なことは、何が白面であるのかを自分で認識することです。
受験勉強の流れをオセロの白面と黒面に例えましたが、
実際の学習進捗は、盤面上に可視化されているわけではないので、
受験生本人もよく把握していないことがあります。
しかし、「解決すべきことは何か?」を自分で捉えていなければ、
効率的に白面を黒面に換えていくことは難しいのです。

そこで、日々の学習で引っかかったことを、記録されることをお勧めします。
メモをするのが面倒であれば、テキストや問題集に付箋を貼ったり、
ページの端を折り曲げたりするのも、有効な手段です。
また、スマートフォンをお使いであれば、アプリ「Evernote」も活用できます。
理解できなかった過去問題の写真をスマホで撮り、
Evernoteに放り込んでいくだけでも、課題は可視化されるのです。

自分の課題を「見える化」することが、実力向上の第一歩です。
こうして洗い出された課題を解決していかれることで、
着実にレベルアップを図ることができると確信しています。




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264、始業前学習で勉強習慣を定着させる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 早朝しか勉強する時間がなく、
> 始業約2時間前に出社して会社で勉強していました。
> 私の場合は朝の方が頭が冴えるので、
> この学習スタイルが結果的に良かったと考えています。
> また、これくらい早く会社に出社するとまだ殆ど誰も出社しておらず、
> 非常に静かでこれ以上無い優れた勉強空間でした。
(■Cさん・39歳・男性・会社員・京都府・第43回気象予報士試験合格)


始業前の受験勉強は、忙しいビジネスパーソンにお勧めしたい方法です。
数多くの利点がありますので、順番にご紹介します。

【1.睡眠を摂った後の頭は、勉強に適している。】
テキストを読んで論理展開を理解するときや、
問題を目の前にして解法を考えるときには、頭をフル回転させます。
こうした頭脳作業は、睡眠によってリセットされた朝が適していると感じます。
もちろん、朝型・夜型という体質の違いはあるかと思いますが、
「脳を休める前に勉強すること」と「脳を休めた後に勉強すること」であれば、
後者のほうが良いと思いますし、私も実感しています。

【2.始業前の受験勉強は、習慣化しやすい。】
合格を勝ち取るために大切なのは、一時的なガリ勉ではなく、
長期にわたって継続した学習です。
つまり、総学習量がものを言う世界ですので、
「学習習慣を付けることができるか」が最終的な合否を大きく左右します。
そこで、「出勤」という既に固定されたスケジュールの中に、
受験勉強を上手く組み込むことができれば、習慣化につながります。
例えば、週5日出勤する人が始業前学習を始めれば、
週5日の受験勉強ができることになります。

【3.早朝は環境が良い。】
朝の通勤通学の時間帯は、混雑が激しいです。
夜のほうが帰宅時間が分散されるぶんだけ、混雑度もマシなのですが、
出勤や登校の時刻には大きな違いが無いので、その時間帯に人が集中します。
(おそらく「ギリギリまで寝ていたい」という人が多いということですね。)
自動車通勤も同じで、混雑に苛立ったドライバーのクラクションを耳にすると、
朝から気分が萎えるというものです。
ところが、時間を少し早めると、電車も道路も空いています。
私は朝5時台に仕事場に入ることが多いのですが、
空はすっかり明るいのに、街はまだ眠っている、という感じがします。
少し大袈裟な言い方をすれば、
「この街は映画撮影のために作られたセットなのか」と思ったりします。
早朝に出勤すれば、通勤時の体力的・精神的な負担を小さくできますし、
電車通勤であれば、座席で勉強することも可能になるかも知れません。
辛い通勤時間を、楽かつ生産的なものに変えることができるのです。
また、誰もいないうちに出勤すれば、受験勉強を冷やかされることも無く、
雑談をする相手もいないので、自分のデスクで黙々と勉強ができます。
早く出勤する人を悪く言う人もいないでしょうから、その点でもお得です。

【4.時間の使い方にシビアになる。】
当然ながら、朝早くスッキリ目覚めるためには、早寝が大切です。
睡眠時間が足りなければ、目覚まし時計で無理やり早く起きたとしても、
通勤電車の中で居眠りし、出勤した後もデスクに突っ伏することになります。
これでは、早く出てきた意味がありません。
早朝にスッキリと起きることを生活の基本にすれば、
就寝時刻が遅くなるような要因を、できるだけ削ろうとする姿勢が生まれます。
なるべく残業しなくても良いように仕事を効率化することや、
歓送迎会の類は一次会で上手く抜け出してくる、といった工夫は、
その必要性(ここでは始業前学習)があって初めて生まれるものだと思います。
忙しいビジネスパーソンにとって、勉強時間を確保するのは至難の業ですが、
時間の流れに身を任せているだけでは、現状を変えることはできないです。
始業時刻よりも大幅に早く出勤するという、常識から外れた行動には、
より能動的な時間管理が行えるようになる効果があると、私は思います。




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265、受験生活は一人だが独りでは無い。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 様々な職種で気象予報士を目指している方々と知り合いになり、
> 「次は気象予報士として会いたいですね」と言って別れた光景を思い出し、
> 絶対に最後までやり遂げると気持ちを奮い立たせました。
(■Cさん・39歳・男性・会社員・京都府・第43回気象予報士試験合格


一般財団法人気象業務支援センターのホームページによりますと、
前回の第43回気象予報士試験における受験者数は、3116人でした。
日本の全人口に対して考えれば、およそ4万人に1人しか受けない試験です。
「この町で受験するのは自分だけ」ということもあり得るわけで、
英語の資格試験などに比べると、かなり小さな世界です。
それゆえに、自分以外の受験生を知らぬまま、
勉強を進めておられる方もいると思います。

しかし、こうした中で受験生どうしの関わりを作っていくことは、
合格を勝ち取るために大切なことだと考えます。
その理由は、「勉強法などに関する情報交換」ということも挙げられますが、
むしろ、「勉強を続けるためのモチベーション維持」という面が大きいです。

例えば、学科2科合格を果たした受験生が、
完全合格へリーチをかけた実技試験で落ち、
受験免除を全て失ってしまったときの失望感は、
この試験の受験経験が無い人には、実感できないことでしょう。
あと一歩で合格を逃した経験を、他の受験生と分かち合うことで、
失いかけていた受験勉強への意欲を取り戻すきっかけになるのです。

さらに、試験合格者と顔を合わせることにも、大きな意味があります。
受験生活を続けていると、「果たして自分は合格できるのだろうか?」
「ずっと合格できないまま、時間だけが過ぎていくのだろうか?」といった、
悲観的な情念に囚われることがあります。
そんなとき、先輩受験生が合格を勝ち取っていく姿を目にすれば、
トンネルの向こうには必ず出口があることを、
理屈ではなく、皮膚感覚として持つことができるはずです。
「出口まで辿り着けるよう、頑張っていこう」という気持ちを抱き続けることは、
長い受験生活において大切なことです。

受験勉強そのものは、一人で机に向かって行うものであり、
これは、「自分との戦い」という側面が大きいです。
そのとき、同じように黙々と問題に取り組んでいる仲間の顔が思い浮かべば、
受験生活は決して孤独なものでは無いと感じることでしょう。
長期間の勉強が必要な気象予報士試験に挑戦するにあたって、
同志の存在を意識できることは心強いことだと思います。




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266、知識を繋ぎ合わせて理解する。
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気象予報士試験では、ノートや書籍の持ち込みが認められていませんので、
学習内容を頭に定着させる必要があります。
自分の記憶だけを頼りにして、問題を解かなければなりません。

ただし、記憶を頭に植え付けるにあたって、
筋道をキチンと理解しておくことは大切なことであり、
できる限り、丸暗記を避けたいところです。

単純暗記の弱点は、その活用性が小さいところにあります。
例えば、「北半球での低気圧周辺での風は反時計回り」と覚えているだけでは、
「では、南半球での高気圧周辺での風は?」と問われたときに、
正しい答えを導き出せないです。

ここで、南半球での気圧分布やコリオリ力の向きを踏まえ、
傾度風平衡の知識を基に考えることができれば、
「南半球での高気圧での風は反時計回り」と導き出すことができます。

つまり、個々の断片的な知識だけを雑然と暗記するのでは無く、
その背景も含めて理解し、頭に入れることによって、
実戦的に応用の利く知識が定着することになるわけです。

当然ながら、その過程では「なぜそうなるのか?」という疑問が、
あちこちからふつふつと沸いてくるわけであり、
それを1つずつ潰していくのは、時間も労力もかかります。
しかし、その知的格闘が面倒だからと言って、表面的な知識だけをなぞっても、
実際の試験で活用できる幅は小さいです。
例えて言えば、葉の部分だけを切り取るのではなく、
葉と葉を結ぶ枝の部分や、さらに枝と枝を結ぶ幹の部分も含めて、
自分のものにすることができたほうが、試験に強くなれます。




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267、解答例をお手本にする。
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実技試験の受験勉強を効率的に進めるためには、
気象業務支援センターから発表された解答例を、
どれだけ上手く活用できるか、という点がかなり重要です。

1.解答例を丸暗記する。
2.解答例を使わずに、自分で模範解答を作り出す。
3.解答例を詳しく分析する。

1がダメなのは、前回のメルマガで申し上げたとおりです。
過去問題と完全に同じ問題は出ないのですから、丸暗記は意味が無いです。

2は一見すると、「これぞ学問の王道」という感じがしますが、非現実的です。
これから答案の作り方を勉強しようという人が、
自分で模範解答を作り出すことは極めて困難だからです。

試験勉強に限らず、何かを学ぶ際には、
「お手本」となるものが重要な役割を果たすわけですが、
実技試験の受験勉強では、解答例がそれに該当するのです。

当然ながら、解答例は問題文の指示に基づいて作られたものです。
問題において、「指示A」「指示B」「指示C」という3つの指示があれば、
それに対応して、「解答要素A」「解答要素B」「解答要素C」があるはずです。
つまり、ある問題文から、どのようにして解答例ができあがるのかを、
細かく確認していく過程が大切だと私は考えます。
「指示」から「解答要素」に至るまでの資料の着眼点や思考過程を探ることこそ、
実技試験で欠かすことのできない勉強なのです。
こうした道筋を丹念に追えば、事前に自分で作った答案に対しても、
「何が不足しているか」「何が余計か」ということも見えてきます。
解決すべき改善点が炙り出されるということです。

正直に申し上げますと、一部の解答例に対しては、
「このように書いたほうが良いのでは?」と感じることもあります。
ですから、決して完璧な模範解答だけで占められているとは思いません。
しかし、それは前述の勉強法を揺るがすほどのものではないと考えます。
つまり、解答例に対しては基本的に充分な信頼が置けるものであり、
実技試験の実力を高めるのに必要不可欠なものだと確信しています。




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268、試験直前でしてはいけない3つのこと。
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8月の試験が近づいてきました。
受験勉強にも特に力が入る時期ですが、
今回は試験の直前において避けるべき3つの事柄を挙げてみます。


1.目標とする科目を増やすこと

当初は一般知識試験だけの合格を目標としてきた受験生が、
「やっぱり専門知識試験も合格できたら良いな」と思って、
直前で目標を拡大することは、避けたほうが良いです。

充分な時間が残っていない段階で、目標を高くしてしまうと、
科目あたりの勉強時間が減ってしまうことになるからです。
当初に立てた目標を達成できるよう、全力を尽くしたほうが良いです。

むしろ、試験直前の状況で、必要だと感じた際には、
合格目標にする科目数を減らすという、
「選択と集中」を行うという判断が求められます。


2.「足し算」で勉強時間を確保すること

試験が近づくと、勉強時間を増やしたくなりますが、
そのためには、別の時間を上手く削ることが大切です。
「受験勉強の時間は増やしたい。でも遊ぶ時間は減らしたくない。」
ということでは、体力的な負荷が大きくなってしまいます。
勉強時間を無理に押し込んだ結果、体調を崩してしまえば、逆効果です。

質の良い勉強時間を着実に確保したいのであれば、
別の部分で使う予定の時間を削ってきて、それに充てることが求められます。
可能であればの話ですが、仕事の休暇を1日取ることができれば、
その1日を受験勉強に充てることができます。
また、盆休みに3回遊ぶ予定だったのを2回に減らせば、
1回分の時間を受験勉強に充てることができます。

他の予定を削ることなく、「足し算」で勉強時間を確保すると、
オーバーワーク傾向になりますので、その品質も高くないです。
勉強時間は「引き算」で確保すべきです。


3.「直前の模擬試験」と称して手つかずの過去問題を残すこと

過去問題演習は、「解く→分析→課題解決」の流れで完結します。
問題にあたることで生じた疑問を、1つ1つ納得に換えていくことで、
実力を高めていくことができると、私は考えます。
問題を解くこと自体は、試薬にリトマス紙を浸けるだけの作業であり、
この行動そのものに、実力を高める効果は無いです。

つまり、「直近の過去問題を『実力試し』のために取っておく」というのは、
受験勉強として、あまり意味の無いことです。
過去問題を直前まで温存するのではなく、
できるだけ早い段階で課題の炙り出しをしてしまい、
その解決を試験までに完了させることが大切です。




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269、日常の受験勉強の延長線上に合格がある。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 試験本番は非日常の空間です。
> 非日常をなるべく日常に近付ける仕掛けを持っておくといいと思います。
> 私は、待ち時間の間は勉強せずにスマホで好きな音楽を聞いていました。
(■I.K.さん・34歳・男性・会社員・東京都・第43回気象予報士試験合格)


試験日が迫ってくると、「直前で最も効果的な勉強法は何ですか?」
といったご質問をいただくことがあります。

暗記が必要なものについては、直前に定着を確認しておくことが大切ですが、
逆に言えば、それ以外の分野においては、
試験直前であっても、成すべきことは大きく変わらないと私は考えます。

もし、短期間で劇的な効果が出る勉強法があるのなら、
別に試験直前でなくても、それをやり続ければ良いはずです。

これまでの学習進捗が芳しくないほど、
一発逆転満塁ホームランのようなものを探したくなりますが、
そういった虫の良い話が転がっていることもなく、
結局は、地道な学習の継続がものを言うことになります。

学習習慣を上手く日常生活に取り込み、
その日常生活を黙々と続けていった先に、合格があるというのが、
地味ながら、気象予報士試験の勝率を上げるには大切だと確信しています。

普段通りの受験勉強を続け、当日は落ち着いて試験会場に入り、
平常心で試験問題に臨む、これが理想的です。
ただし、試験当日に平常心を保つことは簡単ではありません。
そのことを事前に想定せずに、試験当日に初めて心の動揺を経験し、
思うようなパフォーマンスを発揮できなかった方もおられると思います。

試験会場で充分に力を発揮すること、
言い換えれば、本番に強くなるにはどうすれば良いか?
これはなかなか難しい問題ですが、
私はできるだけリラックスすることが大切だと思っています。
冒頭で引用した合格体験記にもありますように、
待ち時間に好きな音楽を聞くことも、そのための1つの方法です。
別に音楽でなくても、ゲームでもマンガでも良いのです。

また、当塾のホームページに載せた合格体験記には、
試験当日にどのようなことをして過ごしたかという記事が多数あります。
これをお読みになれば、合格された受験生も、
試験会場で不安と緊張を抱えていた方が多いことが分かります。
そういった受験生は自分だけではないことを実感できれば、
自身を客観的に見つめることができ、平常心を取り戻せるように思います。
試験が上手くいくよう、願っています。





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270、試験終了後の気持ちを忘れないうちに作戦会議を。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 実技試験の途中でギブアップし、退室してしまいました。
> その帰り道に、今後について深く考えました。
> 「家族との時間を大切にしたい。しかしあこがれの気象予報士にもなりたい。
> 合格まで長い時間はかけられない。
> 次回の第39回で必ず合格する!」という強い決意をしました
(■Y.Mさん・35歳・東京都・第39回気象予報士試験合格)


昨日の気象予報士試験を受けられた手応えは、いかがでしたでしょうか?
「これまでの受験勉強で培った実力を出し尽くせた」という方もおられるでしょう。
一方で、「もっと勉強しておけば良かった」と感じた方もおられることでしょう。
試験後に湧いてくる感情は、今までの受験生活が凝縮されてできています。
偽りや装飾の無い素直な気持ちがこみ上げてきます。
だからこそ、大切にしたいものです。

特に、今回の試験で「悔い」を残してしまった方は、
その感情を忘れぬうちに、作戦会議をしておかれたほうが良いです。
「作戦会議」といっても、自分1人だけで行う会議です。
今回の反省点を炙り出し、次につなげるための戦略を練るのです。
こうしたことは、できるだけ早いうちに行う必要があります。
人間はイヤな気持ちを忘れようとする力を備えています。
試験当日に「ああ~、○○しておいたほうが良かった・・・。」と感じても、
ある程度の日が経過してしまうと、その感情は薄らいでいき、
やがて、何事も無かったかのように忘れてしまうものです。

悔しい気持ちを理性で受け止め、それに対する改善策を立てることで、
次に受験したときに、一歩前へ進むことにつながるわけです、
これが無ければ、目立った進歩が無いまま、
受験回数だけが増えていくことになりかねません。

合格を確信している方は、10月の発表日を待つだけのことですが、
そうで無い方は、来年1月の試験に向けて走り出しましょう。
いったんエンジンが止まって、時間が経つとすっかり冷えてしまい、
次にエンジンを掛ける際に、大きなエネルギーを必要とします。
少しトーンダウンしても、エンジンを回転させ続けるほうが、
後々のことを考えると、楽だと思います。

特に、8月試験から1月試験までの期間は短いので、
試験後の作戦会議を早く済ませ、具体的な行動に素速く取り掛かったほうが、
有利に受験勉強を進めることができます。




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271、基礎学習と問題演習をバランス良く
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早いもので、8月試験が終わってから半月が過ぎました。
1月試験に向けての作戦を練っておられる受験生も多いことでしょう。

受験勉強で大切なのは、基礎学習と問題演習の両立です。
どちらもバランス良く学んでいかれることが大切です。

「過去問題演習で勉強するのが、一番実戦的だ。」というのは正しいですが、
基礎学習が足りないまま演習を繰り返しても、問題を十分に理解できません。
理解を欠けば、正答に至るまでの過程を無理やりこじつけるようなことになり、
これでは本試験への対応力を高めることはできないです。

「しっかりと基礎学習に取り組むことが大切だ。」というのも正しいですが、
「AはBである」「CはDである」といった受け身的な学習だけでは、
習得した知識がどのような形で問われるのかを学ぶことが難しいです。
「問いかけに対して答える」というのが試験の形式なのであり、
それに対するトレーニングも、大事な勉強だと言えます。

1月試験に向けて、基礎学習と問題演習の両方を、
しっかりと勉強していかれる必要があります。
受験生のこれまでの学習進捗にもよりますが、単純に期間を二分すれば、
11月頃を境として、それまでを基礎学習メインに、
それ以降を問題演習メインに進めていかれると良いと思います。

もし、11月までに基礎学習を充分に終えることができない場合は、
無理をして、1月試験に合わそうとされるよりも、
8月試験に照準を合わせて勉強していかれたほうが良いです。
焦らず、着実に進めていきましょう。




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272、添削を通じて自分の課題を知る。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■先生に添削して頂き、変な日本語を分かりやすい日本語に直しました。
> (K.I.さん・21歳・男性・大学生・兵庫県)
>
> ■これらの過去問題は全て藤田先生に添削をお願いしました。
> (N.Mさん・男性・42歳・公務員・関東在住)
>
> ■質問や添削も…申し訳ないなと思うくらいの量をお願いしていました。
> (Bさん)
>
> ■ひたすら過去問を解いて先生に添削をお願いする、
> というサイクルを繰り返しました。
> (Cさん・39歳・男性・会社員・京都府)
>
> ■私の場合、過去問を何回も何回も添削してもらいました。
> しかも、メールではなく、郵送で。
> (Dさん・39歳・男性・中学校教諭・福岡県)

これらは、全て第43回試験の合格体験記からの引用です。
実技試験の対策において、答案添削の重要性を示していると私は思います。

もちろん、答案添削を受けずに合格される方もおられますので、
添削は合格のための必要条件ではありません。
しかし、効率的に受験勉強を進めるための強力なツールであろうことは、
答案添削に日々取り組んでいる私にも感じられます。

自分で書いた答案が適切であるのかどうか、
それを自分自身で検証するのは、なかなか難しいことです。
解答例を丹念に分析すれば、ある程度のことは分かるとは言え、
学習の道半ばにある受験生にとって、それは簡単なことではないです。
例えてみれば、英語を学習中の人が自分で英作文を書いたとき、
それが正しいのかどうかを自分で確認しようとすることと似ています。

ちなみに、私が答案添削において主に着目する点を挙げてみます。

 ・題意に対応する形で、過不足無く解答要素が含まれているか。
 ・漢字や送り仮名の誤り、不自然な読点(、)の打ち方は無いか。
 ・知識の誤りに基づく記述は無いか。
 ・慣習的では無い表現や自作の用語が含まれていないか。
 ・問題文の指示に基づいたアプローチでの答案になっているか。
 ・日本語の表現として不自然な点は無いか。
 ・指定字数の指示を概ね満たしているか。
 ・論理の整合性が取れているか。

適切な答案を作るためには、「外形」と「中身」の両方を揃えることが必要です。
ここで言う「外形」とは、日本語の文として整っているかどうかを指します。
頭の中で正しい解答要素を作り出すことができても、
それを的確な文として出力できなければ、正答は得られません。
つまり、「分かっている」と「正答できる」には明らかな差があり、
この差を決して軽視してはいけないということです。

そして、「中身」とは、解答要素そのものが正しいかどうかを指します。
これが誤っていれば、いかに分かりやすい文で答案を作っても、
全く得点に結びつかないことは明らかです。
適切な解答要素を掴むことができない原因としては、
題意の把握や資料の解釈に誤りがあることが挙げられますが、
その土台となる学科試験範囲での知識に不足があることも多いです。

実技試験は、完全合格の前に立ちはだかる最後の壁です。
壁を乗り越えるためには、自分の課題がどこに残っているのか、
それを把握することが、大切なことだと思います。




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273、勝つために再度立ち上がる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 25回目の挑戦でやっと合格することができました。
> 合格したときは飛び上がるような感じではなくて意外とホッとした感じでした。
■てるてる風雲録さん(45歳・男性・大阪府・第43回気象予報士試験合格)

ここ最近、気象予報士試験の受験者数は減少傾向が続いています。
気象業務支援センターのHPでの統計情報によりますと、
平成22年度第1回試験(通算第34回試験)の申請者は5383人で、
平成27年度第1回試験(通算第44回試験)の申請者は3616人でした。
つまり、受験申請をされた方は、5年で1767人減ったことになります。
一方、この期間(平成22年度第1回試験~平成26年度第2回試験)での
合格者総数は1831人で、受験者数の減少分とほぼ同じです。

一見すると、合格者数のぶんだけ受験者数が減ったように見えますが、
当然ながら、毎回の試験で新たに挑戦される方が必ずおられます。
にもかかわらず、受験者数が減っているのは、
何らかの事情によって、合格を得られないまま、受験から離れる方が、
新規挑戦者と同じくらいおられるということです。

次の受験を断念される理由は、人それぞれでしょうが、
不合格のショックによる学習意欲の低下という方が多いと思います。
平成23年度第1回試験(通算第36回試験)以降、
合格率が5%を上回ったことは一度も無く、
この点から見ると、最近における試験の難度は上がっていると言えます。

気象予報士になることへの興味が失せたのであれば、仕方が無いですが、
合格を勝ち取りたいという気持ちが残っているのであれば、
再び挑戦されることは大切だと思います。

冒頭にて合格体験記を引用しましたように、
第43回試験では、25回目の受験で合格を勝ち取られた方がおられました。
これは私が知る合格者の中では最多受験回数です。
普通は、これだけの受験回数を重ねる前に諦めてしまわれるものです。
でも、挑戦を続けられたことで、受験勉強を合格で締めくくられました。
最終的に合格を勝ち取れるかどうかは、
不合格からいかにして立ち上がることができるか、という点が大きいと思います。

もちろん、強調しておかねばならないことは、
単に受験回数を重ねることだけで、合格率が高まるわけでは無いということです。
合格するためには、受験生全体の上位約4%に入らねばならないのであり、
そのためには少しずつであっても、実力を高めていくことが必須です。
具体的には、過去問題演習などを通して、課題や改善点を見い出し、
それを1つずつ解決していかれる過程が挙げられます。

受験勉強は登山にも似ているような気がします。
上りと下りを繰り返す道や、山腹を取り囲む平坦な道を、
延々と歩き続けていても、頂上に辿り着くことはできません。
ゆっくりでも、薄暗い登り坂を一歩一歩進んでいくことができれば、
やがて、視界の開けた山嶺に達すると確信しています。




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274、勉強はいつからでも始められる。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 私のように66歳になってから気象予報士になっても、
> 若い人達のように実務経験を積むことは無理でしょう。
> ただ、受験資格に制限がなく
> 誰でも受けることができるということは非常に有難いことで、
> 目標を持って勉強することが出来ました。
■T.S.さん(66歳・男性・京都府・第44回気象予報士試験合格)


気象予報士試験の勉強に取り組む動機はさまざまです。
気象業界への就職や転職を志して奮闘する人がいます。
現在の仕事の幅を広げるために学び続ける人がいます。
そして、仕事とは関係の無い形で研鑽を重ねる人もいます。

地球上で生活している以上、天気と無縁の生活はあり得ません。
日々の暮らしと密接に関係している空模様について、
系統立てて学んでみたいと思うのは、ごく自然なことです。

気象予報士試験の科目は、気象に関する基礎事項について、
物理学的な側面と博物学的な側面の両側から学ぶ形になっています。
さらには、天気図などの資料解釈についての学習も必須です。
こうした幅広い内容を一通りにわたって修めることができれば、
気象の専門家としての入口に立てるようになっているのです。
ですから、取得した資格を予報業務の現場で使うかどうかに関係なく、
気象を学んでみたい全ての人にお勧めします。

先日の第44回試験では、女子中学生や男性アイドルタレントが、
合格を勝ち取られたことで話題になっていますが、
若い方だけでなく、年配の方にも試験に挑戦していただきたいと思います。

歳を重ねると、「記憶力が落ちる」という声を耳にすることがあります。
人によっては、そういった傾向があるのは事実だろうと思いますが、
1つ1つの学習を丁寧に進めていかれれば、
多少時間はかかっても、実力を高めていくことができると考えます。

それに、仕事をリタイヤすることで、現役のときに比べれば、
時間的な余裕を持てるようになる方が多いと思います。
多くの受験生が学習時間の確保に悩んでいることを考えますと、
そうした悩みを軽減できる環境にあることは、
試験勉強を進めていくうえで、大きな優位性なのです。

「学びたい」と思ったときこそが適齢期であり、
それは気象予報士試験の勉強においても言えることです。




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275、第44回試験の実技試験を振り返って
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気象業務支援センターの発表によりますと、
第44回試験での実技試験の合格基準は正答率66%でした。
ここ最近での試験と比べると、難度が若干低くなり、
そのぶんだけ合格最低点が少し高くなったという印象です。

いつの試験であれ、受験生が頭を抱えてしまうような難問は出されます。
それゆえに、「難しい問題を解けるのが合格の条件」とも思えますが、
私自身はそのようには考えません。
現実問題として、難問を限られた時間でサクサク解くのは困難であり、
大切なのは、それ以外の問題をどれだけ確実に拾えるか、だと思います。

では、第44回試験における実技試験の内容を見ていきましょう。

まず、実技1における問3は、一般知識試験の学習範囲である、
積乱雲の一生に関する知識が試される問題でした。
特に、(1)~(4)は連続的な設問になっているため、
上手く題意を掴めれば、流れに乗ってスイスイと解いていくことができますが、
積乱雲に関する知識が抜けていると、問題作成者の意図を把握するのが困難です。
また、(5)では鉛直安定度を求める問題が出されており、
大気の熱力学における知識が要求されました。
なお、当問と実技1の問2(2)2は、第38回試験の実技1でも類題が出ています。

実技2における問1では、専門知識試験の内容が目に付きます。
(1)1は水蒸気画像に関する基礎知識が問われており、
(4)は「発達する熱帯低気圧に関する情報」についての問題です。
いずれも正確な知識が備わっていることが、正答のための必要条件です。
ちなみに、(1)の2と3、(2)については、実技試験での定番問題と言え、
着実に刈り取っていくことが求められます。

そして、実技2の問3(3)では、相当温位という物理量が、
温度と湿度という2つの要素を併せ持つことを前提にしたうえで、
組み立てられた問題であると言えます。
大気の熱力学を勉強するとき、相当温位については後のほうで学びますが、
それだけに複雑な部分があり、学習が不十分になりがちです。
当問で引っかかってしまった受験生は、相当温位の概念について、
復習をされることをお勧めします。

実技2の問4でも、降水短時間予報や土砂災害警戒情報など、
専門知識試験に出てくる知識が要求されました。
図12の「スネークライン」と呼ばれる資料そのものは、
この問題で初めてご覧になった受験生も多いと思います。
しかし、資料自体が初見であったとしても、
土壌雨量指数と土砂災害の知識について正確に掴んでいれば、
資料が示している内容を的確に読み取ることが可能です。

第45回試験まで残り3か月を切りました。
第44回試験の問題を再度振り返って、課題を洗い出していきましょう。
試験対策で大切なのは、未来(出題の予想)を見ようとすることよりも、
過去(過去問題や学科範囲の学習)を振り返ることにあると思います。




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276、覚えるべきことと覚えてはいけないこと
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 前回の実技で失敗した点は、模範解答の文章を暗記した点でした。
> 今だから言えますが、暗記は無駄です。というかやってはいけません。
> 内容は合っているが、題意と乖離して結果的に不正解になる場合が多いからです。
(■M.Yさん 男性・39歳・会社員・千葉県・第44回気象予報士試験合格)


実技試験の勉強では、覚えなければならないことが数多くあります。
その中心となるのが、資料の読み取り方です。
天気図・エマグラム・衛星画像・ウィンドプロファイラなど、
実技試験に出される資料は数多いですが、
読図のために必要なルールは細かく覚えておかねばなりません。

例えば、地上天気図を読み解くために押さえるべき約束事は多く、
天気記号や海上警報などは、試験での頻出事項です。
また、予想図における網掛け域が何を示しているのかについては、
図の種類によって全く異なります。
正渦度域なのか、上昇流域なのか、湿潤域なのか、
資料を見た瞬間に判別できなければ、短時間での読み取りは困難です。

道具を使いこなすためには、道具の使い方に熟知する必要があります。
資料読解のルールを自分のものにしてこそ、
気象資料を道具として使いこなしていくことができるのです。

一方、実技試験の勉強では、覚えてはいけないこともあり、
その1つが、この体験記で書かれているように、解答例の暗記です。
特に、「内容は合っているが、題意と乖離して結果的に不正解になる」は、
とても重要な指摘だと思います。

実技試験の問題は、食堂での注文に似ています。
つまり、題意と指示を満たした答案を作成することは、
客の注文に応じた料理を出すことに例えられます。

例えば、カレー店での注文において、
「ご飯とルウは大盛で、辛さは控えめ、トッピングにはチーズとエビフライを。
 あと、ラッキョウの小鉢と、ヨーグルトドリンクを一緒にお願い。」
と言われているのに、激辛のカツカレーを出せば、客は満足しませんね。

過去問題の解答例は、その問題に対しては正答ですが、
類似の別の問題に対しても正答になるかどうかは分からないのです。
似た問題であっても、問題文での指示が異なれば、
書くべき答案は違ったものになるからです。

カレー店に来る客は、カレーを食べに来るという点では共通していますが、
それがシーフードカレーなのか、キーマカレーなのか、カレーうどんなのかは、
その都度、注文を聞いてみないと分からないわけです。
丸暗記した過去の解答例を、そのまま答案用紙に吐き出すというのは、
どの客に対しても、激辛のカツカレーを出すのと同じです。
それが美味しいカツカレーだとしても、客の注文に応えられていない以上、
客を満足させることはできないということです。

大事なことは、出題者の指示に耳を傾けることです。
実技試験に問題文を読んでみると、細かな指示が多いことに気付きます。
そうした指示に対して、1つ1つ答えられるようになることこそ、
実技試験での合格に求められているものです。




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277、しっかり洗い出す。キチンと解決する。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> DVDで基本事項の確認が終わったら、過去問に取り掛かります。
> はじめは時間や字数を気にせず解いていました。
> 解き終わったら、まずはテキストの解答解説を読んで答え合わせをし、
> 疑問点をピックアップしておきます。
> それからDVDの解説を聴くようにしていました。
> DVDの解説で、疑問点はほぼ解決できていましたが、
> それでもわからないところは藤田先生に質問をしていました。
(■A.M.さん 女性・大学生・21歳・京都府・第44回気象予報士試験合格)


学習の過程で大事なのは、次の2つです。
 1.課題(改善点・疑問点)をどれだけ洗い出せるか。
 2.課題(改善点・疑問点)をどれだけ解決できるか。
結局のところ、この2つがキチンとできれば、自ずと実力は上がっていきますし、
いずれか一方でもキチンとできなければ、苦戦することになります。

課題を洗い出すためには、過去問題に取り組むのが一番です。
教科書を読んで「フムフム」と思っていても、
いざ教科書を閉じた後に、その内容を問われると、
自分の言葉で答えられないことがあります。
「何となく分かっている」と「熟知している」の違いは小さいように見えますが、
テストを受けてみれば、点数という形で明瞭化されます。
つまり、問題に取り組んでみることで、自分の課題がよく見えてくるわけです。

実技試験の過去問題に取り組む際において、
「これは課題の洗い出しのためにやるのだ」と意識すれば、
時間や字数を厳密に意識することは、事の本質では無いことが分かります。
(もちろん、勉強の仕上げの段階では、注意を払う必要があります。)

そして、問題に取り組むこと自体は、「洗い出し」に過ぎないのであり、
これ自身に、「課題の解決」という効果は含まれていないことも明らかです。
つまり、極論すれば、課題の洗い出しは本当の意味での勉強には含まれず、
作業(もちろん、勉強のために必要不可欠な作業です)であると言えます。
この点から考えれば、「試験直前に新しい問題に取り組みたい」というのは、
試験対策としては、大きな意味が無いと言えます。
洗い出された課題の解決まで完了しなければ、勉強にならないからです。

課題の解決が甘い(充分でない)と、実力を伸ばしていくことができません。
過去問題演習において、同じような問題で何度も躓いているのであれば、
それは、課題の解決がキチンとできていない証拠です。

実力(≒点数)を高めるためには、未知を既知に変えることです。
言い換えれば、欠損しているものを充足させることです。
この部分にパワーを投入し、徹底して「潰す」ことで、レベルアップできます。
地味な過程ですが、これをコツコツと進められるかどうかが、
受験勉強においては、とても大切なことです。




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278、数学が苦手なだけで気象予報士を諦めるのはもったいない。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 私は数学・物理の初歩的なところから何度も質問させていただきました。
> 初歩的過ぎて恥ずかしいような質問でも藤田講師は詳しく解説してくれました。
> 「加速度ってなんですか?」みたいな質問も
> させていただいたことがあるように思います。
> そのおかげで物理・数学に対する苦手意識は少なくなりました。
(■Aさん 36歳・男性・会社員・神奈川県・第44回気象予報士試験合格)


気象学は物理学の仲間であり、大気の流れは物理の法則に従って説明できます。
つまり、数式で表現することが可能なのです。
「それでも地球は回っている」のエピソードで有名なガリレイは、
「自然の書物は数学の言語によって書かれている」といった旨を述べています。
大気の流れを数式で表現できれば、コンピュータで未来の天気を計算できます。
これが、現在の天気予報を支えている「数値予報」です。

こうしたことから、気象学にとって数学はなくてはならないものであり、
その学習において、数学を避けて通ることはできません。
しかし、読者の皆様の目標が何であるかによって、
要求される数学の知識水準は大きく異なってきます。

1.大学などの高等教育機関で、気象学を研究したい。
2.気象庁に入って、数値予報モデルの開発に取り組みたい。
3.気象予報士資格を取得したい。

誤解を恐れることなく、敢えてざっくりと申し上げますと、
1や2で求められる数学の水準を、甲子園やプロ野球に例えるならば、
3で求められる数学の水準は、草野球だとお考え下さい。

そもそも、気象予報士は、研究や開発のための資格ではなく、
現象の予想をするための資格であり、1や2とは活躍の方面が異なります。
1や2では、特定の分野をトコトン深く掘り下げるのに対して、
3では、それほど深くないものの広範な学習が求められます。

この違いを知らないまま、何となく「気象予報士≒気象学者」と捉え、
「とんでもなく難しい理数系の勉強があるんだろうなァ・・・」と恐れていては、
受験勉強に取り掛かる前に、不戦敗を喫することになってしまいます。

もちろん、気象予報士試験では、基礎的な気象学の知識が問われるので、
数学や物理の学習を避けることは、絶対にできません。
しかし、その壁は、「気象予報士になりたい」という情熱で、
乗り越えられるのではないか、と私は信じています。

テレビなどで活躍しておられるキャスターの経歴を見てみて下さい。
大学や大学院で気象学を修めた方は、決して多くないです。
その一方で、理数系とは関係しない学歴の方が多いことも分かります。
私自身も私立エスカレーター式進学で、文学部卒であり、
(資格取得後の)高校3年に、地学の科目で気象を教わっただけです。

もし、気象が好きなのであれば、数学が苦手なくらいで、
気象予報士資格の取得を簡単に諦めるのは、もったいないです。
分数の掛け算や割り算が苦手であれば、比や割合の概念が分からないのであれば、
小学校の算数まで戻って学習し直せば良いのです。全く恥ずかしくないです。
それだけの意欲と情熱があるか、結局はその点に尽きると思います。




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279、二歩目は一歩目よりも楽。
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2016年が始まり、気持ちを新たに切り替えて、
「今年こそは、気象予報士試験合格!」と決意を固めた方も多いと思います。

ただ、合格までの道のりは決して平坦ではありません。
学習過程において、いろいろな壁は出てくるのであり、
実は「勉強を始める」というのが、なかなか大変なのですね。
これは受験勉強に限った話ではありません。

寒い日の夜明け前に目が覚めても、布団から出るのは辛いものです。
しかし、ここで「エイッ!」と気合いを入れて外に飛び出し、
寒いのを我慢して、暖房を付けるのです。
部屋が暖まってくれば、体も動くようになってきます。

自転車をこぎ出すときも、ペダルが最も重いのは最初です。
いったん自転車が動き出せば、ペダルは軽くなり、
比較的小さな負荷で、走り続けることができます。

受験勉強もこれと似ていると思います。
机に向かい、ノートを広げ、書かれた文字列に目を通し始めるまでが、
一番大変なところです。
「仕事が終わって疲れているから」「テレビを見たいから」
「何となく気乗りしないから」「明日にやろうと思っているから」
「まず風呂に入りたいから」「後で電話がかかってきそうだから」
「満腹でだるいから」「酒を飲んでしまってボーッとしているから」
「試験まで日があるから」「今日はあまり時間が無いから」・・・
最初のエンジンがかからない理由は、いくらでも湧いてきます。

こうした理由(言い訳)を払いのけたうえで、
火花を飛ばし、エンジンに点火することこそが、最初の大きな壁です。
これを乗り越えて、勉強を無事にスタートさせた後、
いわゆる「興に乗る」という状態に持ってくれば、しめたものです。

合格を勝ち取るためには、相当量の学習が必要なので、
勉強習慣を確立できるかどうかに、かかってきます。
こうした習慣を定着させている人は、エンジンをかけるのがスムーズです。
おそらく、最初はかなり強い意志を持って、
足で踏みつけるようにして「ブルブルン!」とエンジンをかけていたのでしょう。
来る日も来る日も、エンジンをかけ続けることによって、
やがて、半ば無意識にエンジンがかかるようになったのだと思われます。
これが、学習習慣の定着というものです。

最初から、無意識に机に向かえる人はいないはずで、
それができるまでは、気合いを入れて一歩踏み出し続けるのです。
冬の早起きや自転車のこぎ出しと同じで、
最初の一歩を踏み出せれば、次の二歩目・三歩目はそれよりも楽になります。




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280、事前準備で過度の緊張を防ぐ。
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1月も後半になり、気象予報士試験が近づいてきましたので、
受験勉強の仕上げに、奮闘されている受験生も多いと思います。

率直に言いますと、現時点で実力の95%超は固まっている、と私は考えます。
今度の試験で完全合格を勝ち取られる受験生の方々は、
短い人でも1年以上にわたって受験勉強を続けてこられたはずです。
その期間を考えれば、残り10日あまりという時間など、ほんの一瞬です。
これまでの学習の積み重ねで培った実力を考えれば、
これからの時間で学べることは、僅かな上乗せに過ぎません。

ですから、キチンと受験勉強を続けてこられた方は、自信を持って良いのです。
そうでない方は、無茶な追い込みをかけることよりも、
冷静になって8月試験への準備を進めるべきなのです。

「試験直前に目を通していた内容が、なんと出題されたのです!」
といったドラマチックな合格エピソードは、ほとんど耳にしたことがありません。
奇跡をあてにせずに、堂々と合格を勝ち取ろうではありませんか。

やるべきことを、やり尽くした受験生にとって、
あとは、試験当日にそのままの実力を出すのみです。

試験時間内での解答内容によって、3月での合否が決まるのですから、
試験会場にて、緊張が高まるのは当然のことです。
もし、「合格したい」という気持ちを完全に捨て去ることができれば、
試験を上手く乗り切る必要も無くなるので、緊張は消えるでしょう。
しかし、それは資格取得を目指す受験生にとって、あり得ないことです。
つまり、受験時の緊張は必ずあるもので、完全に除くことはできないと考えます。
ですから、「緊張してはいけない」と念じるのでは無く、
緊張している自分を意識的に認めることが大切だと思います。

そのうえで、できるだけ緊張を高めないようにするためには、どうすれば良いか。
それは、事前準備の充実度にあります。

試験会場までの経路や時刻表を、事前に確認しておく。
教室内の環境を想定して、脱ぎ着しやすい服装を準備しておく。
筆記用具が十分に揃っているか、事前に確認しておく。
試験当日の朝に、昼食を用意しておく。

こうした事前準備が大事だと実感できるのは、試験当日を迎えてからであり、
それゆえに、つい忘れてしまいがちな部分です。
無駄に緊張を高めることを防ぎ、良いコンディションで受験するためには、
こうした用意を怠らないことが大切です。

さらに、自分にとってリラックスできる環境を準備しておくと良いでしょう。
リラックスのための方法は、人それぞれです。
ヘッドフォンで音楽を聞くのが好きだという人もいます。
スマホのゲームが好きだという人もいます。
マンガ雑誌をめくるのが好きだという人もいます。
コーヒーを飲みながら、他の受験生と雑談をするのが好きだという人もいます。
試験会場内をウロウロ歩き回るのが好きだという人もいます。

試験会場だから参考書を広げなければいけない、というルールは無いです。
どんな受験生でも、本に書いてある内容を100%暗記しているわけでは無いので、
むしろ、試験直前に参考書を見ると、アタフタする恐れがあります。
無駄に緊張を高めるのは、得策ではありません。

いかに自分の実力を100%に近い形で出せるか。
試験当日においては、それを第一に考えることが大切です。




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281、合格のコツは「深く振り返り、早く切り替えること」
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昨日の試験での手応えはいかがでしたでしょうか?
正式な解答例が発表されれば、仮採点でおおよその成績が見えます。
良い感触を掴めれば、あとは合格証が送られてくることを願うのみですね。

一方、満足できる答案を作れなかった方もおられることでしょう。
試験直後というのは、次の試験までの時間が最も長い時期です。
特に、1月試験~8月試験には、約7か月もの期間があり、
次の試験に向けての決意を固めるために、最適の時期であると言えます。

この時期に大切なのは、「振り返り」と「切り替え」です。

まず、「振り返り」というのは、試験日までの受験勉強を思い返すことです。
何か改善すべき点は無かったかを、検証してみましょう。
 ・学科試験だけに絞って勉強すれば良かった→【戦略】
 ・本格的な受験勉強に入るのが遅すぎた→【時間配分】
 ・分からない部分が増えてきて、行き詰まってしまった。→【戦術】
 ・何となく勉強に対する意欲が高まらない。→【動機付け】

受験勉強というのは、レンガを積み重ねて家を作るのと似ています。
家が10000個のレンガで構成されるのであれば、
毎日20個ずつ積み上げる作業を500日続ければ良いのです。
でも、これがなかなか簡単では無いのですね。

ある日、思いっきり張り切って、200個のレンガを積み上げたとしても、
それで腰を痛めてしまい、翌日から作業が滞れば、家は完成しません。
一方、コツコツ続けるのが大事ですが、1日に1個しか積み上げられなければ、
家が完成するまでに30年近くかかることになります。
つまり、ある程度の短期間で、家を完成させるには、
一定量のレンガを持続的に積み上げていく必要があるわけです。

ここで、積み上げたレンガを破壊しにくる輩はいないのと同時に、
自分の代わりにレンガを積み上げてくれる助っ人もいません。
家が完成するかどうかは、あくまでも自分自身の作業の仕方次第です。
これが受験勉強の厳しさであり、面白さでもあります。

試験前のレンガ積み作業が、果たして効率的であったのかを、
振り返ってみると良いと思います。
(積み上げ計画に問題は無かったか、作業道具は適切であったか、など)

そのうえで、改善点が見つかれば、今度は気持ちを切り替えて、
前を向いていかれることが大切です。
反省や分析は、あくまでも未来のために行うものです。

試験が終わってから、気が抜けてしまい、
なかなか勉強が手に付かないことがよくあります。
いつの間にか、次の試験が近づいていて、慌てて取り組むものの、
時間切れで勉強が完成せず、試験後に意気消沈・・・。
勉強のムラが大きいと、こうした負の連鎖を引き起こしかねません。

受験勉強の再開時期が早いほど、長い学習期間を確保できるので、
次の試験準備を優位に進めることができます。
時間を自分の味方にしましょう。




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282、第45回気象予報士試験を振り返って(実技)
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第45回試験の実技試験を受けられた方々から寄せられたご感想は、
「実技1が難しかった。実技2はそれほど難しくなかった。」が多かったです。
結果として、両方が合わさった合格基準点は、
普段とそれほど大きな違いは無いだろうと、私は見ています。

実技1における特徴としては、記述の問題が少なめで、
そのぶんだけ語句や数値で解答する問題が多かったように感じます。
特徴や根拠について答案文を組み立てることよりも、
資料を詳細に読み取って、1つ1つ解答する力が試されたと言えます。
解答できる問題数は、資料読解の力量に大きく左右されたはずです。

また、実技1では台風の温帯低気圧化についても問われました。
問1(2)・問2(1)(2)の問題は、温帯低気圧化の知識が土台になっており、
知識の充実度について、実資料を通して試されたといって良いでしょう。
知識というフィルターを通して、資料を見るからこそ、
着目すべき点が浮かび上がってくるのです。
やはり、学科試験の学習内容があっての実技試験です。

実技2の特徴は、下に挙げるように過去の頻出問題が多かったということです。
 ・前線と対応する等温線の読み取り(問1(2))
 ・低気圧の盛衰を、気圧の谷の軸の傾斜から判断する。(問1(4))
 ・衛星画像での層雲と積乱雲の読み取り(問2)
 ・温暖前線と寒冷前線の解析(問3(1))
 ・低気圧の進路を風向変化から読み取る。(問3(3))
 ・風向の鉛直分布から温度移流を読み取る。(問4(1))
 ・時系列資料から寒冷前線の通過を読み取る。(問5(2))

よって、過去問題演習が充実していれば、実技2は解きやすかったはずです。
もし、実技2の手応えが良くなかったのであれば、
量的にも質的にも、過去問題の学習を丁寧に行われる必要があります。

そして、実技試験での点数を高めるには、ケアレスミスを極力防ぐことです。
実技1の問1(2)では、「輝度温度」が問われていますので、
「輝度」を解答すると誤りになります。
数多く出された穴埋め問題では、いろいろな指示が出ており、
これを沿った解答が求められています。
また、実技2では、気圧低下量と気温降下量が問われており、
いずれも負の符号を付けると誤りになります。(問1(1)・問5(1))

正確な知識・充実した演習量・ミスの少なさ、
この3要素を揃えた受験生こそが、第45回試験の合格を勝ち取ることでしょう。




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283、メインの仕事を充実させるために、気象を学ぶ。
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「気象予報士資格は、気象業界やマスコミ業界志望のためのものではないか?」
一般的に、このような認識を持つ方が多いと思います。
確かに、気象会社への就職や、気象キャスターを目指す方の多くが、
この資格試験の勉強に勤しんでいます。

しかし、気象予報士という資格は、
「気象業務に従事する人のためのもの」だけではありません。
私は、資格の用途として、3種類があると捉えています。

1.主業務を行うために用いる。
2.主業務を掘り下げたり、幅を広げたりするために用いる。
3.趣味として用いる。

気象会社での勤務や、気象キャスターとして働くことは、1に該当します。
1と3の用途だけを考えれば、気象予報士の資格は、
「ごく限られた人向けの特別な資格」という位置付けになります。

しかし、私は2についても大切だと考えますし、
実際に受験支援に携わる者の皮膚感覚としては、
この用途で資格取得を目指す受験生が最も多いと感じています。

2の具体的な例としては、
 ・交通機関(道路・鉄道・航空・船舶など)の運行業務
 ・役所(国・地方自治体)における防災業務
 ・農林水産業での業務支援
 ・小売業における販売促進・商品開発
 ・教育機関での理科・防災の教育
などが挙げられます。

世間では「気象予報士=自分で天気予報ができる」という見方が多いですが、
私は独自に現象の予想を行うことには、あまり重要性を感じていません。
気象庁が、さまざまな用途に応じた予報を出しているのですから、
基本的には、それらを活用すれば良いと思うからです。
むしろ、私は次のような点が重要であると考えます。

気象をメインとしない仕事に携わっている人が、気象予報士資格を取得すると、
本業の知見と気象の知見が合わさって、新しい視点が生まれます。
気象の知見が無いと思いつきにくいようなことが頭に浮かんだり、
本業で生じた課題を、気象の知見で解決できるようになる、といったことです。

例えば、医療の世界で仕事をする人が、気象の知見を併せ持つことで、
気象と関係の深い疾患(スギ花粉症・熱中症など)を、
より深く捉えることができるようになるでしょう。
また、地球温暖化に伴い、北極海航路への関心が高まっていますが、
ここでは、気象と海上輸送の両方の知見が求められるわけです。

メインの仕事に対して、それとは関係の薄い世界の知見を備えることで、
その業界だけに身を置いた立場では見えにくいものが浮かび上がるのであり、
私は、それを「化学反応」に例える形で捉えています。
よく、「仕事ができる人は、趣味も多い」といったことを耳にしますが、
これは、表面的には「遊び」「気分転換」にしか見えない趣味が、
本業に対して、独自の気づきの視点を与えているからだ、とも解釈できます。

ある人が、気象予報士試験の勉強を行うことによって、
具体的にどんな「化学反応」が起こるのかは、私自身にも分かりません。
事前には分からないからこそ、「化学反応」なのであり、面白いところです。

気象と全く関係が無いと思しき職種に携わる方が、
実際に勉強を始めると、それまで気付けなかったことが見えるかも知れません。
これこそが、勉強の持つ大きな意味なのであり、
メインの仕事を重視する立場からすれば、試験合格さえも凌ぐほど、
大きな収穫につながる可能性を秘めていると思います。




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284、冷めないうちにエンジン再始動を。
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私が最も忙しくなる時期をご存じでしょうか?
それは、「年末年始」と「お盆」です。

当塾の業務は、受講生の皆様への個別指導が、かなりの部分を占めています。
もちろん、基本的には教材(DVD・プリント)で勉強されるわけですが、
どの部分で学習が躓くかは、人によって異なるのです。
その点を補うのが、質疑応答・答案添削という個別指導サービスです。

特に、過去問題演習においては、必ず「引っかかり」が出てきます。
訳が分からない、納得できない、意味が取れない、という箇所です。
それは例えてみれば、排水溝に絡まった髪の毛やホコリのようなもので、
たくさん絡まると、やがて水が流れなくなってしまいます。
つまり、受験勉強が行き詰まってしまうということです。

そこで、こうした「引っかかり」を取り除くことが大切であり、
排水溝を掃除する「使い古しの歯ブラシ」のような役割が、私の仕事です。

ご承知のとおり、気象予報士試験は1月と8月に行われます。
それぞれの試験直前で、多くの受験生が休日を取りやすい時期である、
「年末年始」と「お盆」には、特にご質問が集中するのです。

では、逆に私が最もヒマな時期をご存じでしょうか?
こちらは分かりにくいかも知れないですが、実は2月です。
この時期を活用して、半日の人間ドックにも行ってきましたよ。

もちろん、「ヒマ」といっても、教材制作や教材発送の業務もあります。
1月の試験終了後から受験勉強を再開される方も多く、
日々のご質問が途絶えることは決してありません。

ただ、2月は「1月試験の結果待ち」という時期でもあるうえに、
1月試験~8月試験の期間が長い(7か月程度)ことから、
「少し休憩しよう」とお考えになる方が多いようです。
これに対して、同じく「結果待ち」の時期である9月は、
1月試験までの時間が短いため、すぐに受験モードに戻る方が多いです。

さて、2月が過ぎ、3月の合格発表を迎えました。
多くの方が次々に受験勉強を再開されていますが、
長く休みすぎて、エンジンのかかりにくい方はおられませんか?

エンジンが冷えてしまうと、受験勉強を再開しづらくなります。
試験までの期間が短くなれば、こなせる勉強量も減ってしまい、
次の試験での勝機を逸してしまうことになるのです。

3月も半ばに入り、地域によって違いはあるものの、
着実に季節は春に移ろいつつあります。
夜明けも早くなり、早朝勉強にも適した時期が近づいてきました。
前回の試験結果から気持ちを切り替え、
8月試験に向けて、清々しく再スタートしていきましょう。





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285、多くの支えによってキャスターは育てられていく。
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「藤田先生、ご無沙汰しています。
今度、新しい番組を担当することになりました。」

かつての受講生で、今は気象キャスターをされている方からのお電話でした。
塾での受講を終えられてから、もう随分と年月が経つのですが、
気象予報士資格を生かして、放送の現場で活躍されているのは、
とても嬉しいことです。

ご承知のとおり、新年度は番組改編がよく行われる時期です。
日本全国の放送局や番組の数には、大きな変化が無いので、
気象キャスターを務められる人の数も限られています。
その狭き門をくぐり抜けて、キャスターに選ばれることや、
さらには、キャスターとして仕事を続けられることには、
気象予報士試験に合格することとは、異なる種類の難しさがあります。

「どんな人がキャスターに向いているのか?」という問いに対しては、
人によって、いろいろな答えがあるでしょうが、
私は「周囲の支えを常に意識できる人」を挙げたいと思います。

シンクロナイズドスイミングで、1人の演技者が、
水中から湧き上がるようにして、水上に姿を現すことがあります。
まるで、水面に立っているかのように見えるのですが、
当然ながら、その下には、彼女を支える多くの演技者たちがいるわけです。
水面下で何人もが支えるからこそ、1人だけが水面上に姿を見せられるのです。

放送の仕事もこれと似ていて、テレビ画面には出演者しか映りません。
出演者以外のスタッフが画面に映ることを「見切る」といい、
テレビの世界では、「あってはならないこと」とされていますので、
放送されている画面には、基本的に出演者しか映らないのです。

しかし、実際には、フロアディレクター・カメラマン・音声や照明の技術者など、
多くの番組スタッフがスタジオ内で仕事をしています。
また、スタジオの隣には、機材で埋め尽くされた「副調整室」という部屋があり、
番組全体の進行を取り仕切る人や、画面の切替を担当する人、
時間進行の管理をする人など、ここでも多くのスタッフが、
放送中の画面を凝視しながら、仕事をしているのです。
さらには、メイクや衣装を担当するスタッフもいます。

番組のエンドロールの部分で、名前が次々に出てきて、
これを見ると、「多くの人が番組に関わっているのだな」と思いますが、
実際には、ここに個人名が載らないスタッフもいるのです。
それぞれの役割を担当するスタッフが、大きなチームを形成することで、
1つの番組が制作されているわけです。

出演者は「私が!」「僕が!」という形で、前に出ようとする人が多く、
それは、カメラやマイクの前で話す職業として、もちろん大切な力です。
と同時に、多くの方々の支えを常に意識することも、大事なことだと思います。

「キャスティングの能力が高ければ、それで良いではないか」
と思われるかも知れません。
しかし、どんなキャスターでも最初から技術的に洗練されているわけでは無く、
現場で失敗しながら、場数を踏むことによって、磨かれていく面も大きいです。
そのときに、「このキャスターを育ててやろうじゃないの」と、
見守ってくれるスタッフがどれだけいるかが、大切だと感じます。
つまり、長年にわたってキャスターを続けている人は、
「勉強させてもらう機会」を得られたからだとも言えるのです。

私は、出演を担当すると同時に、裏方としても仕事をしていました。
つまり、両方の立場で、放送業務に携わっていたのです。
そんな中、制作や技術のスタッフさんに丁寧に挨拶をされる、
あるアナウンサーの方の姿には驚きを感じました。
「抜擢されるのは、こういった理由もあるのかな」と思ったのです。

普段は気象予報士試験の勉強法について書くことが多いですが、
今回は、自分の経験も踏まえ、気象キャスターについての話を書いてみました。




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286、この時間管理術で勉強時間を確保しよう。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 朝残業がない日は、原則朝7時から会社近くのカフェで出勤まで勉強しました(約1~2時間程度)。
> 昼も原則1人でカフェへ行って勉強しました(40分程度)。
> 昼の時間は就業後より元気がありますし、週単位で見ると馬鹿にならない時間が確保できます。
> 会社の飲み会はできるだけ断りました。
> 夜は21時までに家の最寄り駅に着いたら、気が進まなくても近くのカフェへ入るようにしていました。
> とにかく座ってコーヒーを飲めば、効率は低いものの何とか勉強し始められます(0.5時間~2時間)。
> 但し金曜の夜は勉強せず、ほぼ友達と飲みに行っていました。仕事のストレスも含め一気に解消。
■Jさん(38歳・男性・東京都・会社員・第45回気象予報士試験合格)


新年度を迎え、書店にはNHKの語学テキストが平積みされています。
春は新たな勉強を始めるのに、ちょうど良い時期です。
しかし、4月号の語学テキストを購入した人のうち、
翌年3月号まで購入を続けた人は、どれくらいいるでしょうか。
もちろん、「始めること」が大事なのは言うまでもありませんが、
同時に「続けること」を伴わなければ、勉強の成果を得ることはできません。
ですから、学習習慣の定着は、とても大切なことですね。

とは言え、忙しい社会人受験生にとって、
まとまった勉強時間を捻出することは至難の業です。
そこで、冒頭で引用したJさんの合格体験記で、私は3つの点に着目しました。

1.細切れ時間をかき集める。
2.身銭を切って、質の良い勉強空間を確保する。
3.対人関係を主体的に調整する。

まず、1です。
忙しい受験生が「連続して3時間」などといった学習時間を確保するのは、
現実的なスケジュールとして成立させることが極めて困難です。
しかし、「小1時間ならば何とかなる」という人も多いと思います。
40分程度の時間でも、1日の中で3つ確保できれば、2時間になります。
毎日2時間も勉強に費やせるのであれば、平日だけで10時間になり、
これを活用すれば、かなりの学習量をこなせます。

次に、2です。
カフェなど、お金のかかる場所で勉強するのは、一見ムダなように感じますが、
「金銭を投入するからこそ、それに見合った結果を!」という心理が働き、
結果として、勉強に身が入りやすくなります。
追加料金のかかる座席指定の有料列車に乗ることも、これと似ています。
また、心理面だけで無く、やはり有料サービスで得られる空間は快適です。
カフェであれば、好きな飲み物を注文できますし、テーブルも使えます。
また、座席指定の有料列車では、落ち着いて座ることができます。
公園のベンチや、混み合った通勤電車の中よりも、
密度の高い勉強時間を確保しやすいと言えるでしょう。

そして、3です。
人間は社会の中で生きているわけですから、
人間関係を全て切り離して、日々を過ごすことはできませんし、
それは決して幸せなことでは無いと、私は思います。
しかし、常に周囲の顔色をうかがい、目立ったことをしてはいけない、
「変な奴だと見られてはいけない」と怯えているのも、幸福では無いです。
つまり、極端な独走も、極端な同調も、望ましくないことです。
「気象予報士試験に合格したい」という目標があるのなら、
昼休みくらいは1人で勉強しても良いではないですか。
会社の飲み会への参加も、ある程度は間引くことが可能だと思います。
Jさんの場合、金曜日の夜は友達と飲みに行かれたのであり、
決して全ての人間関係をバッサリ切っているわけでは無いことにも着目です。

もちろん、人によって取り巻く環境は異なりますので、
Jさんと同じことをするのは、難しい人もおられることでしょう。
ですから、自分に合った学習時間の確保の仕方を考えることが大切です。
目標を達成するために大切なのは、可能な範囲において、
自分が主体となって時間管理をすることだと思います。




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287、頭の中のアップデートは自分にしかできない。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> この時に私は藤田塾を受講していきなり正解だったと確信しました。
> 最初の添削で、これまでの私は、「正渦度域」と「正渦度移流域」が
> まったく区別できていないことに気づかされたからです。
> 今思えば明らかな基礎事項ですが、
> 独学のままではこの先何年勉強してもこのような基礎事項ですら
> 誤解したままであったであろうと思います。
> そして、このような誤解を他にもたくさん抱えているのではと思い、
> どんどん添削をお願いして少しでも疑問に思ったことは
> どんどん先生に質問しようと思いました。
■H.Y.さん(37歳・愛媛県・第45回気象予報士試験合格)


受験勉強に欠かせないのは、正確な知識を数多く持つことです。
「自分のアタマで考える」といっても、基礎事項の知識が備わっていなければ、
天気図を見ても、出てくるのはトンチンカンな解釈だけです。

よく「同じ天気図は1枚も無い」と言われますが、
それでも読み解けるのは、ある程度のパターンが頭の中にあるからです。
つまり、典型的パターンを1つずつ勉強していくことにより、
初見の資料に対しても、類推を働かせることができるようになります。
この類推こそが、「自分のアタマで考える」ということですが、
蓄積された知識があるからこそ、それも可能になるわけです。

ということは、受験勉強で大切なことは、次の2つだと言えます。
 1.未知を既知に変えること
 2.誤解を理解に変えること

知らない事柄を、自分のものにするという知的作業は、とても大変ですが、
もっと大きな労力を要するのは、2ではないかと私は考えます。
「誤解」とは、本人がそれを意識していないからこそ、「誤解」なのです。
つまり、2を行うためには、ある事柄に対する認識について、
それが「誤解」であることに気付くことが第一歩になるわけです。
これは簡単なことではありません。

パソコンやスマートフォンであれば、ネット経由で診断を行うことによって、
ソフトウェアのアップデートの必要性を調べることができます。
しかし、人間の頭脳は、そういった方法でアップデートの確認ができません。
とても原始的な手法ですが、自分の知識をいったん外部に出力し、
知識の正確度について、何らかの方法で確認する必要があるのです。

「過去問題を解くこと」は、こうした検証作業なのです。
もし正答できない問題があれば、「未知」や「誤解」があるからであり、
それを解決することで、「既知」や「理解」に変える過程が、
コンピュータで言うところのアップデートだということです。

もし、「未知」や「誤解」を見つけられない場合や、
「未知」や「誤解」が見つかっても、放置したままである場合は、
頭の中はいっこうにアップデートされないまま、ということになります。

そして、大事なことは、自分の頭の中身をアップデートできるのは、
自分自身しかいないということです。
「未知」や「誤解」を、「既知」や「理解」に変えようとする意識があればこそ、
本を読んだり、講義を受けたり、答案添削を受けたりすることが生きてきます。
「未知」や「誤解」を探し出して、片っ端から片付けていこう、
という姿勢を持って、受験勉強に取り組まれることが大切です。




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288、最終目標から逆算して計画を立て、課題は細分する。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> 2回生へ上がる春、この忙しい生活の中で気象予報士資格を取るには、
> 一般知識、専門知識、実技、と1つの試験で1つずつクリアしていくしかないな、
> と気づきました。
> 「大学院入試のある4回生夏は厳しい。ということは3回生冬までに合格したい。
> そのためにチャンスはあと4回しかない!今始めな間に合わん!」
> そう思い、インターネットで調べる中で『藤田真司の気象予報士塾』を見つけました。
■Y.Mさん(女性・21歳・大学生・第45回気象予報士試験合格)


気象予報士試験のように、合格まで長い時間を要する試験では、
目標を分割することが大切です。
大きな課題であっても、それを小刻みに分けてしまい、
細分化された課題を1つ1つ片付けていく作戦をお勧めします。

一般・専門・実技を一気に合格しようとすると、
学習の範囲が広すぎて、途方に暮れることになります。
幸いにも、学科試験(一般・専門)に合格すれば、
1年間は受験を免除される制度があるのですから、これを有効活用するのです。

3科の試験科目も、学習内容ごとに単元が分かれており、
さらに単元の中での学習内容も細分されます。
試験全体の学習量はかなり多いですが、それらを細かく分ければ、
わりと短い時間で学習を完了することができます。
これを繰り返すことで、試験合格という大きな目標を達成するのですね。

また、完全合格を勝ち取りたい時期についての目標を設定し、
日程を逆算することで、日々の学習過程を決めていくことが大切です。
この合格体験記をお書きになった方のように、
3回生(3年生)の冬の試験での完全合格を目標にされたのであれば、
いつまでに専門知識試験や一般知識試験に合格する必要があるのを、
逆算で求めていきます。
そうすれば、いつの時期にどれだけの勉強をしなければならないのかも、
自ずと明らかになってくるということです。

大学の標準的な修学期間は4年ですが、
就職活動や大学院入試までに合格することを目標にすれば、
かなり早い段階から受験勉強を始める必要があります。
期限が決まった中での受験勉強は、緊張を強いられるものですが、
最終的なゴールの時期を明確に設定しているからこそ、
メリハリの利いた学習ができるとも言えます。




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289、1日の中から「勉強枠」を天引きする。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 私は運よく一度も挫折せずに合格まで頑張ることができましたが、
> 燃え尽き気味になった時の対処として、形だけ以前のままを維持することに努めました。
> 私の場合はとにかく生活リズム(早起き)だけは維持してとっととカフェに入ってしまいます。
> テキストの流し読みやスマホをいじったりなどで薄い時間を過ごしながらも、
> 1週間くらい繰り返すと感覚が戻ってきて元の集中力を取り戻せました。
■Jさん(38歳・男性・東京都・会社員・第45回気象予報士試験合格)

このメルマガでも何度も述べていますように、
気象予報士試験突破のカギは、「学習の継続」にあります。
一般・専門・実技という、3科の試験に合格する必要があるうえ、
各試験の学習範囲の広さを考えますと、相当な学習量が必要です。

世の中には、いろいろな種類の資格試験があって、
「講習を1日受けると取得できる資格」もあれば、
「2週間ほど勉強すれば受かる試験」もあります。
気象予報士試験を、こうした時間感覚で捉えると必ず失敗します。
この試験は、「1年で受かれば奇跡」「2年で受かれば上出来」と言えるくらい、
長期的な受験勉強が必要な試験です。
一般的に「難関資格」と呼ばれるものについては、この程度の期間、
もしくは、これ以上に長い期間を要するものばかりですね。

さらに、多くの受験生が、日々の本業(就業・家事など)の傍ら、
気象予報士試験の学習に取り組んでおられます。
このため、「学習時間の確保」「学習習慣の確立」という点において、
苦労されている方が実に多いです。

日々のスケジュールというのは、水のようなものだと私は思うのです。
例えば、勉強のために「1時間」を確保したいと思っても、
その時間帯をしっかりと堰き止めておかなければ、
他の予定がどんどん入り込んできて、その時間が埋められてしまいます。
このため、「余った時間を勉強に充てよう」と思っていても、
なぜか余った時間が出てこず、勉強が進まないということも起こります。

ですから、受験勉強を進めるために大切なことは、
自分自身のスケジュールの中に、しっかりと「枠」を設けることです。
この体験記をお書きになったJさんの場合であれば、
「早起きして、カフェに入る」というのが、それに該当します。
早朝からカフェに身を置くことで、勉強のための時間を確保されたわけです。
別の言い方をすれば、「時間の源泉徴収」であり、
最初から、学習に必要な時間を天引きしてしまうのです。

「とにかく生活リズム(早起き)だけは維持して」と書かれていますが、
この点については、私も重要なことだと認識しています。
休日などは、朝寝坊を楽しみたくなるものですが、
普段に比べて、起床時間があまりにも遅くなると、生活リズムが狂ってしまい、
翌日に支障を来すことがあると本で読んだことがあります。

私自身は、カレンダーに関係なく、朝5時頃に目を覚ましています。
この生活を続けた結果、アラーム無しで勝手に目が開くようになりました。
忙しくて、寝るのが深夜になった場合でも、同じように目が覚めますので、
体の中に、そういうリズムが出来上がったようです。
もちろん、睡眠時間が短くなった日は、昼間も眠気に襲われます。
そのときは、10分程度の仮眠を重ねることで、何とか凌いでいますし、
疲労が溜まらないよう、次の日はなるべく早く寝るようにしています。

「早起きして、カフェに入る」という行動は、1日の中に枠を設けることです。
一度、こうした枠がスケジュールの中にできあがると、
それを前提とした生活パターンが定着します。
一時的に勉強に身が入らない時期であっても、枠そのものを維持することで、
学習意欲が戻ったときにも、スムーズに受験勉強を再開できたのだと言えます。
勉強時間の確保を課題とされている方は、試してみる価値があると思います。




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290、何のために過去問題演習をするのか?
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 独学で過去問演習を繰り返し繰り返し行っていましたが、
> 実技試験において以下の疑問点が何度やっても払拭出来ずにいました。
>
> 1自分の回答と模範解答を比べて、自分の回答が合っているのかどうか分からない。
> 2自分の回答の表現ではなぜ間違いなのか分からない。
> 3模範解答がなぜ正答なのか分からない。
>
> 同じような疑問があるのであれば、プロの方に質問する場が必要であると思います。
> 私は第44回試験までずっと疑問を解決できないまま勉強していたので、
> 量をこなしていてもずっと同じ場所で足踏みしている状態でした。

■M.Yさん(女性・23歳・お天気キャスター志望・第45回気象予報士試験合格)
(注:原文には機種依存文字が含まれるため、数字の一部を変更しています。)

次の試験までの残り時間が3か月を切った今、
受験生の皆様は、本格的な問題演習に取り組まれていることでしょう。
問題を解くことで、自分の実力が如実に表れますので、
過去問題演習は試験勉強に欠かせない過程です。

特に、実技試験においては、文や作図での解答が大半を占めるため、
実際に鉛筆を握って、答案作成を行うトレーニングが不可欠です。
私自身、実技試験の勉強を開始した当初は、
「解答例のような文章は自分には書けない」と感じました。
しかし、受験勉強が着実に進展すれば、
同じような文章を作り出せるようになるものです。

気象報道の世界において、放送原稿を書く仕事を始めたときも同じでした。
それまで、視聴者としてテレビで読み上げられる原稿を聞く立場だったのが、
自分が書く立場になるのですから、戸惑うのは無理もありません。
しかし、当時の上司による厳しいトレーニングを受けることで、
数年後には、自分自身が原稿作成を指導する仕事を担っていました。
とにかく道を突き進むことが大切ですね。

しかし、実技試験の勉強においても言えることですが、
単にガムシャラに努力するだけでは、得られるものが少ないです。
私は実技試験の推奨演習量の目安として、
「過去7~8年分の問題を3回転」とよく言いますので、
「演習量に比例して、実力が高まる」と解釈される方がおられますが、
これは私の意図するところとは少し異なります。

例えば、野球部員がバットの素振りをすることを考えてみましょう。
やみくもに100回、200回、300回・・・と振り回すのと、
スマホのカメラで自分のスウィングを確認し、
コーチの指導を受けつつバットを振るのとでは、意味が全く異なります。

確かに、300回もバットを振れば、手のマメは潰れ、
(私もよく左手の親指の付け根から出血したものです。)
腕の筋肉も付くと思いますが、正しいスウィングができるかどうかは別です。
もっと言えば、ヒットが打てるかどうかも別です。

過去問題演習もこれと似たところがあり、
強引に演習回数を増やしても、ツボが押さえられていなければ、非効率です。
ここで言う「ツボ」とは、課題(=改善すべき点)を見つけることと、
見つかった課題を適切に解決することです。

問題演習を繰り返すと、解答例の表現が頭に入ってしまうので、
解答例に似た答案を書けるようにはなります。
このため、表面上は実力が高まってきたように見えるのですが、
根本的な理解に至っていなければ、類題には対応できません。

「過去問題演習ではできたのに、なぜ本番ではできないのか? 不思議だ。」
いえいえ、類題なのに本試験で解けなかったのであれば、
実は過去問題でも「できていなかった」と考えるのが、自然です。
過去問題演習の回数を重ねすぎると、「実力で解けているのか」、
それとも、「半ば答えを覚えてしまっているのか」の区別が付きにくくなるのです。

私が提唱する「過去7~8年分の問題を3回転」の真意は、
「3回転するまでに、洗い出した課題を全部解決しましょう」ということです。
1回目の演習で、課題を出し切り、解決に努める。
2回目の演習で、残ってしまった難しい課題を、再学習で解決する。
3回目の演習で、全て理解できていることを確認する。
理想論ではありますが、こういった姿勢で勉強していくことが望ましいのです。

労力と時間は、必ずしも実力向上と正比例するわけではありません。
過去問題演習の目的は何か、その目的はどうすれば達成できるのか、
これを考えたうえで、机に向かうことが大切です。




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291、2017年8月試験での合格に向けて
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今日(2016年6月20日)から、第46回試験の受験申請の受付が始まり、
8月の試験日に向けて、ますます熱の入る受験生が多いと思います。
前回の第45回試験から約5か月が過ぎ、
相当に勉強を積み重ねられた方も多いことでしょう。
残りの約2か月で、さらに実力の上積みを続けていきたいですね。

さて、目先の試験も気になるところではありますが、
初めて気象予報士試験に挑戦される方にとって、
2017年8月試験での完全合格を目標にできる最後の機会が今夏です。

具体的に言えば、2017年1月試験で学科2科合格、
2017年8月試験で実技合格という流れと、
2017年1月試験で学科1科合格、
2017年8月試験で学科1科と実技合格という流れが考えられます。

2017年8月試験で全科合格というパターンもあり得ますが、
その前に行われる2017年1月試験で学科合格を勝ち取り、
2017年8月試験での受験科目を減らしたうえで挑むほうが有利です。

よって、2017年1月試験で、少なくとも学科1科の合格が望ましいです。
まだ2016年の真っ只中なので、来年は遠くにあるように見えますが、
2017年1月試験までの残り時間は、約7か月しかありません。
試験勉強に必要なのは、基礎学習と過去問題演習ですから、
7か月間で両方を行うためには、各学習を3~4か月で仕上げる必要があります。
必要な学習量を考えますと、決してのんびりした学習計画ではないです。

2017年1月試験で学科2科に合格すれば、
そこから8月試験に向けて、実技試験だけの勉強に専念できますので、
並行して学科試験の学習が必要な受験生よりも優位に立てます。
ただ、そのぶんだけ2017年1月試験向けた受験勉強はハードになります。
単純に考えて、学科2科の受験勉強は、
学科1科と比べて2倍の時間と労力を要します。

もし、2017年8月試験で完全合格を勝ち取ることができれば、
受験勉強の期間は、1年あまりということになりますが、
これは想定することのできる最短の合格ルートだと思います。
「最短の合格ルート」というのを言い換えれば、
最も密度の濃い勉強が求められるということであり、
1日あたり、1週間あたりの学習量も相当に多くなることを意味します。
集中して受験勉強に取り組まれる覚悟のある方だけが、選べる道です。




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292、一人で集中できる時間と空間を確保する。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ・長期休暇(夏季休暇と1月の試験直前)
> 1人合宿しました。
> ビジネスホテルで連泊し最寄りのカフェかホテルの中で勉強しました(1日10時間強)。
■Jさん(38歳・男性・東京都・会社員・第45回気象予報士試験合格)


7月に入り、いよいよ本格的な暑さがやってきました。
暑いときの受験勉強は本当に大変ですが、
次の気象予報士試験は夏の終わりに行われるのですから、
何とか克服していかねばなりません。

古典的な手法ですが、早朝からの受験勉強はお勧めです。
夏は夜明けが早いうえ、寒くないので、冬よりも起床が楽ですし、
昼間のような厳しい暑さもないので、勉強する環境は適しています。

また、気温の高いときは、冷房を活用して学習効率を高めたいところです。
公民館などの公的施設や、ショッピングモールでは、
無料で自習できる場所が設置されていることもあります。
また、飲食代は要りますが、喫茶店やファミレスの利用も一つの手法です。

そして、集中した勉強の時間を持つためには、
涼しさだけでなく、静けさも必要だと思います。
普段、我々は大勢の人間の中で日常生活を送り、
お互いに支え合って生きています。
その一方で、受験勉強を集中的に進める際には、
一人の時間・空間を確保したうえで、没頭することも大切です。

合格体験記を書かれた方のように、ビジネスホテルに泊まり込み、
長時間の勉強漬けに取り組まれることも良いでしょう。
もう随分前の話ですが、私が気象報道の仕事に携わっていたとき、
1年で100泊以上、ビジネスホテルのお世話になったことがあります。
狭くて簡素なシングルルームは、自分だけの静かな空間を確保してくれるので、
読書をしたり、ノートを広げて書き物をしたりするのに、適していました。

ただ、いくら安いビジネスホテルでも、それなりの利用料金はかかりますし、
受験勉強を目的とした外泊が難しい方も多いと思います。(私もそうです。)
そのときは、「なるべく人気の少ない場所」という視点で、
勉強場所を探してみると良いと思います。

流行っている喫茶店ではなく、閑古鳥の鳴いている喫茶店を選びます。
入りづらいかも知れませんが、混んでる店よりも長居しやすいはずです。
乗降客の少ない駅のホームに降り、ベンチで本を広げるという方法もあります。
また、マイカーをお持ちの方であれば、小さな勉強部屋に早変わりです。
(ただ、夏と冬は冷暖房のためのアイドリングが必要なので、お勧めできません。)

一人暮らしの方は、自宅が勉強部屋になりますが、
同居の家族がいても、活用の仕方によっては、一人の時間・空間を確保できます。
最初の話と重なる部分が出てくるのですが、
家族がまだ寝ている早朝や、家族が寝た後の深夜は、
一人で勉強に集中できる時間帯です。
自分の生活リズムを崩さない程度に、時間を捻出してみると、
効率的な受験勉強につなげることができると思います。




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293、やっぱり知識の充実度がものを言う。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 直前1か月前からは、心身ともに試験合格のために生活をギアチェンジしました。
> 晩酌をやめ、その代わりに暗記すべき事項の時間にあてました。
> 有給休暇もまとめてとりました。また試験時間に合わせた勉強もはじめました。
> 実技は午後なので、昼食後の睡魔が襲う時間帯でしかも暑い時間帯。
> どんな環境でも力が発揮されないと実力があっても合格できません。
■H.O.さん(46歳・男性・高校教員・神奈川県・第40回気象予報士試験合格)

早いもので、第46回試験まで残り1か月あまりとなり、
試験勉強もラストスパートに近づきつつあります。
当初に立てた目標が妥当であるのかについても、冷静な見極めが必要です。
狙う科目を増やすほど、1科目あたりの学習が手薄になるため、
共倒れの危険が増すのです。

野球で例えれば、1塁ランナーをホームまで返すには、
長打(2塁打・3塁打・本塁打)が必要になります。
しかし、長打を狙える可能性が低いのであれば、
まずは成功確率のより高いバントで、ランナーを2塁に進めたほうが良いです。
無理にバットを振って併殺打になるよりも、次につなげられます。

これまでの学習実績を振り返ったうえで、目標設定を確認し、
軌道修正をするかどうかを判断されることが大切です。

そして、軌道修正するかどうかに関係なく、
これから試験までの期間は、特に充実した受験勉強の場を持ちたいですね。
体験記で書かれていますように、有給休暇の取得は学習時間の確保のためであり、
晩酌を止められたのは、明晰な頭脳で受験勉強に臨むためです。
こうして環境を整えたうえで、試験に向けた総仕上げが始まります。

気象予報士試験において、丸暗記という戦術は効果が低いですが、
それは決して、「頭に入れること」を否定しているわけではありません。
試験の場では、書物の持ち込みが認められず、
自分の頭一つで勝負するのですから、
知識が豊富で無ければ、勝ち目はありません。
要は、「理解を伴ったうえで、しっかり覚える」というのが大事です。

これは実技試験においても、学科試験とそれほど大きくは変わりません。
「自分の頭で考える」というのは、
あくまでも基礎事項の知識が備わっているからできることです。
知識不足で気象資料を眺めても、ヘンテコな独自解釈しか出てこないのであり、
適切な答案を作成することは不可能です。
実技試験も、正確な知識がどれだけ備わっているかで勝負が決まります。

試験までのこれからの期間は、さらなる知識の習得に勤めつつも、
すでに学習を終えた部分における再確認も行っていかれると良いでしょう。
「何となくスッキリしないな」と感じている部分を、入念に点検すると、
間違った形で頭に入っていたことに気が付く場合もあるものです。

1か月で取り組める勉強は、まだまだ多いです。
今の時期は、厳しい暑さとの戦いでもありますが、
着実に実力を積み重ねていきましょう。




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294、ダサい基礎学習こそ大切。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 過去問は、そんなに難しい問題ばかりではありません。
> 差がつくのは、一部の難しい問題だと考え、そこにこだわったのです。
> 結局、意識が難しい問題ばかりにいっているので、
> 簡単な問題で取りこぼしをしてしまう。
> 合格できなかったのは、やはり、基礎的な問題の軽視だったと思います。
> 基礎的な問題でも、題意をきちんと理解せず、解答していたのです。
> きちんと勉強したら、だれでもわかる問題を、確実に根こそぎとる。
> 過去問では100点を目指すよう、すべての問題を題意をきちんと把握し、
> どんな人が採点しようと、非の打ちどころのない解答を目指す。
> それが合格の最短ルートです。
■Hさん(男性・39歳・大阪府・第41回気象予報士試験合格)

受験生の皆さんは、どんな合格者像を描いておられますか?
「難問もスパスパ解けるすごい人」といったイメージをお持ちであれば、
それは、合格者全体の平均的な姿から離れていると思います。

仕事柄、多くの受験生と接してきて実感するのは、
ほとんどの方が壁にぶつかりながら、少しずつ歩みを進めておられることです。

気温減率と乾燥断熱減率の概念の違いについて理解に悩んだり、
等圧面天気図のイメージを捉えるのに苦しんだりしつつも、
目の前の疑問を解消することで、1つずつレベルアップを続けられた方が、
最終的に合格を勝ち取られていくのです。

逆に言えば、こうした「ダサい」とも言える基礎学習を面倒くさがり、
手当たり次第に新規の問題にあたることだけを繰り返していると、
足腰が十分に鍛えられず、草刈り場のような問題でも躓くことになります。

この試験での問題が解けるかどうかは、
知識量とその活用法の充実度で決まる、というのが私の認識です。
受験勉強を進めていくうちに、易しい問題から順に解けるようになっていき、
「難問は解けるが、簡単な問題は解けない」という逆転現象は起こりません。

ここで、試験問題の難度を「易」「並」「難」という形で3等分したとき、
「易」と「並」の問題が解ければ、かなりの得点を積み重ねることができます。
結果的に、難度の高い問題での正答率がそれほど高くなくても、
合格ラインに到達する(≒合格による受験勉強の終了)ことになります。
合格者の平均像が「難問もスパスパ解けるすごい人」ではないと述べたのは、
こうした理由によります。

ですから、「易」と「並」の問題に対する正答率をどれだけ高めるか、
これが合否を分けるのだと私は考えます。
「易」と「並」の問題だけでは、受験生どうしの差が付かないのでは?
と思う方もおられるかも知れないので、データで考えてみましょう。

例えば、ここ最近の実技試験の合格ラインは65点前後のことが多いですが、
合格率は4~5%に過ぎません。
もちろん、実技試験の採点を受けられない受験生も相当数いますが、
それを考慮しても、65点前後に届かない受験者数の多さがうかがえます。
つまり、相対的に難度の高くない問題で取りこぼす受験生が多いのです。
データから考える限り、「易」と「並」の正答率が、
受験生の合否にかなり寄与していると私は確信しています。
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295、夏試験を乗り越えた先輩方から学ぶ
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 試験会場で、夏は冷房が効きすぎていたり、
> 冬はその逆だったりしますので、服装には注意しました。夏は水分も欠かせません。
> また、実技試験の2問目は疲れてきて集中力も切れがちになりますので、
> 私は栄養ドリンクを飲んで集中しました。
■Eさん(50代・男性・公務員(技術職)・第42回気象予報士試験合格)


> 思わず心臓が飛び出します。血圧が上がります。
> けれどどの試験でも冷静沈着でいる事が必要でしたので、
> 私はお気に入りの音楽を試験開始直前まで流して弱気を起こさないように、
> 心臓が飛び出さないように、血圧を下げました。音楽の力は偉大です。
> 休憩時間には見直しや勉強するのは控えました。
> 貴重な休憩時間までも頭を働かせて長い試験の最中に集中力が途切れ、
> より焦りが出てしまった経験があったからです。
> なので休憩時間はここぞとばかりに頭を休めるために、
> 外に出て新鮮な空気を吸いつつ空を見たり、仮眠を取ったり
> (実際は到底眠れないので目を閉じて頭を空っぽにする事に近いです)
> をしていました。
■積乱雲さん(20歳・男性・浪人・奈良県・第42回気象予報士試験合格)



今回、引用したのは、いずれも2年前の夏試験、
つまり、2014年8月の第42回試験で合格された方々の体験記です。

「夏バテ」「熱中症」という言葉がありますように、
夏は体調管理に対して、特に注意が必要な時期です。
8月下旬に行われる気象予報士試験を征するためには、
体の状態を整えることも、大切な試験対策であると言えるでしょう。

そして、注意すべきは暑さだけではありません。
試験会場では冷房が効いているはずですが、
心地良いと感じる温度には個人差があります。
また、室内の場所によっても、冷え具合は異なる可能性があります。
ある人にとっては、「冷房の利きが悪くて暑い」と感じるかも知れませんし、
別の人にとっては「冷房が効きすぎて寒い」と感じるかも知れません。
「暑い/寒い」と感じながらの受験は、パフォーマンスを低下させますので、
服装などで調節できるよう、準備をしておかれることをお勧めします。

また、のどの渇きは試験への集中を妨げるだけでなく、
健康面でも注意すべきことですから、水分補給は大切ですね。
ただし、冷たい飲料を摂り過ぎたことによって、
試験中にトイレに駆け込むような事態は、極力避けたいものです。
そこで、私は常温の水・お茶をお勧めします。
最近はコンビニでも常温ペットボトルを売っていることがわりとありますが、
自宅から水筒やペットボトルを持っていくことができれば、安心ですね。

そして、これは夏試験に限ったことではないですが、
試験に対する緊張感が高まるのは、多くの受験生に共通することですね。
大切なのは、焦り・不安・苛立ちをできるだけ引き起こさないことです。
最後のギリギリまで、本や教材をチェックしている人は少なくないですが、
それによる効用(該当箇所が試験に出た)が、
弊害(焦りが高まって狼狽えた)を上回るのかは、大いに疑問です。
キチンと受験勉強をしてきた方にとっては、
最後の30分など、総学習量の1000分の1にも満たないのですから、
自分のパフォーマンスを高めることに専念されたほうが良いと思います。




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296、限られた時間を上手く使う。
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「暑い暑い」と言いながら夏を過ごしていましたが、
先日の土曜日の夜は、涼しい風を感じました。
前線が南下して、秋の空気が一時的に流れ込んできたからですね。

気が付けば、9月も目前です。
梅雨時に比べますと、夜明けの時刻も遅くなってきました。
プールのタダ券も手元に残っているのですが、
使えないまま8月31日を迎えることになってしまいそうです。

気象予報士試験が終わったばかりですが、手応えはいかがでしたか?
引き続き、受験勉強が必要な方にとって大切なのは、
ここで長い休みを取らずに、1月試験に向けて歩むことです。

多くの資格試験が、年に1回しか行われないのに対して、
気象予報士試験は、年に2回行われます。
しかも、その日程が「1月と8月」であるために、
8月試験から1月試験までの期間が短いのですね。

試験と試験の期間が短いということは、
時間を上手く味方にできる受験生が強いということです。
なんだかんだ言って、試験勉強というのは、
どれだけ頭の中に情報を詰め込めるか、という要素が大きいです。
そのためには、ある程度の時間を要するのであり、
学習時間の確保こそが、合格のための必要条件です。
よく「スキマ時間を活用せよ」と言いますが、
そういった細切れの時間でさえも、無駄にはできないということですね。

しかし、時間管理というのは、一度ルーズになってしまうと、
元に戻すのが、なかなか大変です。
子どものとき、夏休みが40日くらいありましたが、
後半になると、だらけてだらけて、無意味な毎日を送っていたように思います。

ここまで書いて、以前にある自治体の市長とお話ししたことを思い出しました。
「市長という仕事は、お休みが無くて本当に大変ではないですか?」
「大変だけど、長い休みがあっても、しょうがないじゃないか。
要は時間をどうやって効率的に使うかということ。
こう見えても、先週末は友達を呼んで蕎麦打ちパーティーをしたんだよ。」

あり余る時間よりも、限られた時間のほうが有効活用できるということですね。
たしかに、40日間の夏休みも良いですが、
9月の3連休のほうが、貴重に使えるような気がします。

気象予報士試験の受験生の皆さんも、この重要性を認識している方が多く、
1月試験の後よりも、8月試験の後のほうが、
受験勉強を早く再開される方が多いです。
少し疲れが取れた時点で、ゆっくりと歩き始めることをお勧めします。




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297、自分に合った勉強道具を見つけよう。
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先日の気象予報士試験が終わった後で、受験生の皆様と打ち上げを行いました。
そこで出てきた話題の1つが印象的でしたので、ここでご紹介しますと、
効率的に学習を進めるためには、勉強道具の選び方が大切だということです。

試験の合格を勝ち取るまでに要する学習時間は、個人差が大きいですが、
1000時間、2000時間といった、長時間を要するものです。
この期間を伴走してくれる勉強道具が、自分にフィットしているほど、
より効率的に、より快適に、受験対策を進められるということです。

例えば、「鉛筆」と言えば、子どもの頃からの代表的な勉強道具です。
大人になるにつれて、鉛筆からシャープペンシルに変える人は多いですが、
これらの黒鉛を用いた筆記具に、こだわらなくても良いと思うのです。

私が受験生時代によく使っていたのは、サクラクレパスから出ている、
「ボールサイン」という筆記具です。
これだと、鉛筆やシャープペンシルよりも濃く書けますので、
後から見返したときに、読み取りやすいのです。

もちろん、鉛筆やシャープペンシルのように、
一度書いたものを消せない、という欠点はありますが、
私はあまり気にせずに、誤字をグジャグジャと塗り潰していました。
最近では、パイロットから「フリクション」シリーズと呼ばれる、
書いた後に消せるボールペンやサインペンも出ていますので、
これを試してみても良いと思います。

さて、「文字などの読みやすさ」という点で話を続けますと、
実技試験での細かい資料の読み取りに苦労される受験生も多いと思います。
そこで、試験会場にもルーペ(虫眼鏡)の持ち込みが認められているわけです。
私は38歳で、そろそろ年齢的に老眼が出始める時期が近づいていますが、
強い近視ということもあって、まだ細かい文字の見づらさは感じていません。
それだけに、ルーペに対する関心が低かったのですが、
お客様が実際に試験会場で使われたルーペを見て、驚きました。
すごく大きいんです。まるで手鏡のようでした。
大きいルーペですと、より広い範囲を拡大することができ、
天気図のような資料を見るには、とても適しているのですね。
また、ルーペで拡大しながら、前線解析などの作図を行うこともできます。

インターネットで買い物ができるようにより、こうした勉強道具についても、
数多くの種類から、自分に合ったものを選べる時代になりました。
良い道具を選んで、効率的に受験勉強に取り組んでいきたいですね。




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298、合格体験記は先輩からの引継書
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入学試験や資格試験の受験時代を振り返った合格体験記は、
合格を目指す受験生にとって、とても役立つツールだと私は考えます。

誰しも、1つの試験において、2度の合格を勝ち取ることはまずありません。
気象予報士試験の場合、制度上はすでに合格した人の再受験も可能ですが、
受験自体が趣味で無い限り、そんなことをする人はいないはずです。
当たり前のことですが、その試験に合格したことの無い人が、
「最初でかつ最後の合格」を目指して頑張るわけです。

できるだけ少ない受験回数で合格を勝ち取るためには、
効率的に勉強を進めていくことが大切であり、
それを助けてくれるのが、合格体験記です。
合格体験記の文章の中には、元受験生だった方々による、
「このようにしたら良い」「このようにしたらダメ」が埋まっています。

特に、失敗例を知っておくことは重要であり、
知らなければ、自分も同じような落とし穴にハマる恐れがあります。
体験記の文面を通して疑似体験をすることで、失敗を回避できます。

他人の事例を全く知らずに、受験に挑戦した場合、
自分自身が失敗を繰り返すことで、1つずつ学んでいくことになります。
もちろん、これによっても少しずつ成長していけるのですが、
あらかじめ他者の経験を知っておけば、避けられたことも多いのであり、
残念ながら、非効率な方法だと言わざるを得ないです。

そもそも、我々はあらゆる機会で他人から学んでいます。
人生で初めて、ナイフとフォークでの食事の席についたとき、
どのように振る舞えば良いのか、周囲をチラチラ見回したはずです。
初めての海外旅行での入国審査手続きにおいて、
係官から何を尋ねられるのか、行列の後ろからじっと見ていたはずです。
仏式のお葬式において、一人ずつ順番に焼香を行う際には、
前の人の振る舞いを注視していたはずです。
友人の結婚式において、お祝いのスピーチをすることが決まれば、
本やネットで調べて準備しておこうと思うはずですし、
他人のスピーチ内容も、自分の参考にしようとすることでしょう。

このように振り返りますと、我々はゼロから方法を組み立てるのではなく、
多くの場面で先達から学んでいることが良く分かります。
「今から俺がやることをよく見ておけ」は、学びの基本なのです。

受験勉強もこれと同じで、良いところを上手く真似し、
悪いところを避けて通るようにすれば、同じ轍を踏むリスクを減らせます。
ただし、合格者が受験時代の姿を見せることは実際にはできないので、
合格体験記というメッセージを介することになるわけです。
これは、新たに仕事を担当することになったとき、
前任者からの引継書を読み込むことと似ているように思います。

なお、数多くの合格体験記を読んでいますと、
執筆者によって意見の違いがあることも読み取れます。
これらは決して、合格体験記の価値を落とすものではありません。
頂上に至るまでの登山道が複数あるのと同じように、
合格までの道のりも1本では無いというだけのことです。
それらの中から、自分に合うものを選んで実践していくことが大切です。

もちろん、合格体験記を読んだだけで、行動を伴わなければ、
実力を高めていくことはできません。
ガイドブックは、登山をするために存在するものです。
体験記の内容を最大限に踏まえつつも、自分に合ったものを取捨選択し、
さらには、自身の受験勉強の進捗に応じて、軌道修正していけば、
自分なりの受験勉強のスタイルを確立できます。
それが、未来の合格体験記という形で綴られることになるのです。


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299、合格に向けて登り続ける。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ポストに届いていた1通のはがきをおそるおそる、
> 部屋の中で開封すると、、、そこには「合格」の文字が!!!
> 震えが止まらず、深夜にも関わらず家族や仲のいい友達に報告の電話をしてしまいました。
> 遅い時間でしたが、母からは「受かると思ってたよーー!!」
> と温かいことばをかけてもらいました。
> いまでもその喜びは忘れられません。
> 受験開始から5年。10回目にしてようやくつかんだ合格。
■Bさん(38歳・女性・東京都・マスコミ業界・第45回気象予報士試験合格)


山登りの最中にうれしく感じるのは、「道しるべ」が見えてきたときです。
道しるべには、「現地~山頂の距離」と「現地~登山口の距離」が示されています。
山道を進み、道しるべを通過するにつれて、次第に登山口からの距離が長くなり、
頂上までの距離が少しずつ短くなっていくのを確認すると、
自分が着実に山の頂上に近づいていることを実感できます。

同じ山に登る場合でも、もし道しるべが設置されていなければ、
「今、どこまで登ったのだろうか?」「頂上まで辿り着けるのだろうか?」
などと、不安を抱えながら進むことになるはずです。

受験勉強が大変だと感じるのは、これと似ている部分があります。
ある程度の進捗は把握できますが、
「あと154時間の勉強で合格」とか「残り17題の演習で合格」といった、
正確な合格までの距離を示せるものではありません。
つまり、受験勉強というのは、詳細な道しるべが無く、
しかも霧に覆われた山道を登ることに例えられます。
もしかすると、もう目の前に山頂の展望台があるのかも知れないし、
あるいは、まだ7合目あたりかも知れません。

もし、「円周率1000桁丸暗記」といった試験内容であれば、
「650桁まで覚えられたので、あと350桁覚えれば良い」などと分かるので、
進捗と残された課題は、正確に把握できます。
しかし、気象予報士試験の性格上、受験生の進捗を正確に知ることは困難です。
具体的にどんな問題が出てくるか、分かりませんし、
同じ問題であっても、厳しい時間制限がかけられている以上、
その日の受験生のコンディションによって、正答率は左右されるからです。

ゴールまでの正確な距離が分からない中で、進み続けるのは辛いことですが、
それは全ての受験生に言えることです。
大事なのは、少しずつでも登り続けることです。
炙り出された課題を解決したぶんだけ、山頂に近づくことができます。

10月の合格発表が行われた時点で、次の試験までの残り時間は僅か3か月半です。
この時間を最大限に有効活用し、集中的に学習に取り組まれる受験生こそが、
1月の試験で成果を出せるのだと確信しています。
合格でしか体験できない喜びを勝ち取るために、頑張っていきましょう。
道のりが険しいからこそ、ゴールでの達成感が大きいのだと思います。




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300、難度の低い問題のほうが重要だ。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 試験の一部には難しい問題が登場することがあります。
> 6~7割正解すれば合格するので、基本的な問題について取りこぼしがないように
> 日頃から簡単でも馬鹿にせず勉強することが重要です。
■Aさん(39歳・会社員・第46回気象予報士試験合格)

第46回気象予報士試験の実技2では、難度の高い問題が出ました。
気象業務支援センターが発表した合格基準が63%で、
普段よりも低かったことも、試験の難度を反映しています。

難しい問題が数多く含まれている試験の後には、
「出題傾向が変わったような気がする。どうやって対策すれば良いか?」
というお問い合わせをお客様からいただくことが時々あります。

それに対する私の回答を要約すれば、次のようになります。
「出題傾向に特段の変化は無い。過去問題演習を充実させるべし。」

いつの試験でも、過去問題との類似性が低い問題は出されます。
その割合が普段よりも高い場合、「難しい試験だった」と感じるのです。
最近でいえば、第43回試験の実技1や、第40回試験の実技1、
少し遡って、第29回試験の実技2などは、その代表格だと思っています。
そのたびに、前述のようなご相談が私のもとに寄せられるのです。

これは私の推測ですが、過去問題との類似性が低い問題の正答率は、
おそらく相当に低いだろうと考えています。
75分という制限時間の中で、スパスパ解くのは至難の業です。
となると、結局のところ、合否を分けたのは、
「難度がそれほど高くない問題をどれだけ正答できたか」という点だと思います。
この合格体験記にも書かれていますように、
「基本的な問題について取りこぼしがないように」という点が重要なのです。

外形的に見れば、合格と不合格には天と地ほどの差がありますが、
「あと一歩及ばなかった人」と合格者との実質的な差は、ほんの僅かです。
それは、試験当日のコンディションの差だったのかも知れませんし、
あるいは合格に対する指一本分の執念の違いだったのかも知れません。

ここで「合格者は難問をたくさん解けたから受かったのだ。」と分析すれば、
「難問が解けないと合格できない」という結論が導かれてしまいます。
これでは、受験勉強に大きな不安を抱くのも当然でしょうし、
「次に何が出るのか」を予想したくもなるでしょう。
でも、合格を目指して歩むべき道は、もっとシンプルなものです。
基礎学習を土台にして、最近の過去問題を丁寧にやり抜くことです。

試験ごとに、いろいろ凝った問題が出ていますが、
開塾以来、私の指導方針に変わりはありません。

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