平成26年度第1回試験(第42回試験)で合格された方の合格体験記
平成26年度第1回試験(第42回試験)では、当塾から10名様の合格者が生まれました。 ご厚意でお寄せ下さった合格体験記を掲載します。受験生の皆様にとって非常に役立つ言葉が綴られています。誤字・脱字の修正を除き、原文の内容をそのまま掲載しています。当塾を受講される・されないに関わらず、時間をかけてじっくりとお読みになることをお勧めします。
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■積乱雲さん(ペンネーム)の合格体験記 (20歳・男性・浪人・奈良県・第42回気象予報士試験合格) はじめに 僕は多くの人が常識と言う知識を持っていないです。中学生時代は登校拒否し、週に一度登校する高校が僕の母校です。何の目的も期待もなく進学する事に納得できない気持ちを覚えていた頃、360度満天の空を目にして心から感動しました。そんな時に父から貰った本をなんとなく読み始めたのが、思えば僕のはじめです。 受験結果、合格まで 第39回:一般× 専門× 第40回:一般× 専門◯ 第41回:一般◯ 専門免除 実技× 第42回:一般免除 専門免除 実技◯=合格! 初受験は全科目を狙った結果、文字通り当たって砕けましたので、後の試験では毎度毎度「次で気象予報士に」という思いを敢えて抑えて試験科目を絞る作戦に切り換えました。少々苦渋の決断でしたが、合格後だからこそ言えるもので、試験科目を幾らか絞って挑んだほうが効率良く合格できると思います。 実技試験に関しては独特の雰囲気がありましたので、少しでも慣れるために毎度受けていました。 学び方【一般・専門】 私は独学でしたので多くを話せませんが、強いて言うなら、参考書を一通り読んだ後は応用の方が大切になってきます。本を読むより問を解けです。特に数式と法規に言える事で、実際に問を解く経験から自然とその使い方が身に付いて行くと思います。なんだか食材を集めた後に、実際にそれらを使って料理をしてみない事には食材の性格を掴めないのと似ていますね。 解く問は圧倒的に過去問が良いです。一般ならザックリと「前半に計算問題を含めた物理的な問、中盤に常識問題、後半には法規」など全15問の分野の”テンポ”を掴めますし、類似問題も多いです。私は問15(法規)を始めに逆から解いていき、計算問題は後でじっくり解く方法で合格ラインに手が届きました。 他に、実技の対策にも有効な気象庁のウェブサイトを散策や、外出時にはスマートフォンで気象予報士試験に関するアプリケーションを活用しました。 学び方【実技試験】 さぁ問を解こうと鉛筆を握ったところで、参った事にいったい何に注目して,いったいどんな言葉で解答すれば良いのかさっぱり分かりませんでした。なので初めは問を解かずに問題文と解答を見比べて注目すべきポイントを知ろうと努めました。その後に試験一回分に挑みますが、試験時間75分どころか休憩を挟んで結局2・3日がかりでようやく解き終えたり、途中で挫折して放置してしまったことさえあります。 「実力以上に早くは解けない。」今も印象に残る先生の言う事です。この事はつまり「実力さえ伸ばせば誰であっても早く解けるようになる」というまったく当然のことで、ならば”一問一問をとことん分析”してどんな塵であっても自分のものに出来れば、もう既にその私は次に似たような問を解く時に、考え、解答するまでの時間が少しでも短くなっている私です。 ”一問一問をとことん分析”するという事は、それはもう、ものすごく面倒です。根性だって必要でしょう。時には気が滅入りました。滅入ったんかい!と関西人ゆえツッコミを入れたくなりますが、それもいい思い出、おそらく知識を最も自分のものにできる学び方だと思います。 1.『分析すること』 問題に対する自分の解答の正誤などは、言い過ぎてしまえばどうでも良い事です。正誤に関わらず、問題文そのものから解答や解説までに渡って分析することが大切だと思います。 特に「天気図の色付け」はかなり効果的で、実際の現場でもなされている事だそうです。地上低気圧・高気圧や地上前線などの位置は各気圧高度の天気図・衛星画像・レーダーエコー図に描き加えておくと、気付ける事がより多くなります。 また、出題される問の解答というのは、例えば物理量に関するものならその定義にとても忠実で、衛星画像やウィンドプロファイラに関するものならその技術上の特性にとても忠実な解答である事がほとんどです。最近の試験はここを大切にして突いてくることが多いので、出てきた用語は”いちいち調べる”事を強くお勧めします。 自分なりに分析していると、取り上げられている気象現象のみならず、解答例やそれに対する問題文でさえも「なぜそうなるのか」という疑問を持ち、「きっとxxxだからyyyになるのだろう」という様な自分なりに”推論”を立て始めることと思います。 2.『推論すること』 例えば、「なぜこの状況で雨が降る事ができたのか」や「なぜ低気圧が発達できたか、あるいはなぜ発達せずにいられたのか」、「なぜそのような解答になるのか」そして「なぜこのような事が問われたのか」、 などなどを考えるとやはり面倒さを隠せないですね。けれども、これら全てに理由があります。なかでも「なぜ問われたのか」を分析・推論すれば、その問は前後の問に良く関連していることを知れるはずです。それはまるで一つのストーリーのように見えます。 それに、問われた理由を知ることは、その問題を作った人(問題作成者)との”対面しない会話”にもなります。問題を解く側の私たちは謂わば”探偵”なので、そこにあるだけの問題文と天気図から「この問題を作った人はいったい何を企んでいるのか…」を探り出さなければなりません。そのための推論です。 推論と言っても隅々まで理屈が通っているなんて事はありません。あくまで”自分の考え”です。なので間違えている事が沢山あります。ですが、私はそれを敢えて先生にメールで送り、見て頂いていました。こうする事でただ解答のみを見てもらう事とは違い、もっと根幹にある自分の誤った解釈に気付けます。 私自身、自分の考えを先生に見てもらう事は勇気のいる事です。正直に言うと気が進みませんでしたが、思い切ってメールの送信ボタンを押せば、数日後、先生は誠実かつ率直に間違いを指摘くださり、私が自身満々であった事が誤りであったりとよく驚かされたのを覚えています。いつの間にか先生にメール送る度にワクワクしていました。大きなやる気に繋がっていたのは間違いないです。 ところで、藤田先生の気象予報士塾では実技試験対策講座の受講した後も、合格するまで実技に関して質問,し放題です。通話,し放題!と言う様などこかの宣伝が思い浮かぶのは恐らく気のせいでしょう。当初躊躇っていた私が言うのも変ですが、利用しない手はないです。このサービスには本当に驚きました。先生、ありがとうございます。 参考書 問の分析や推論などの自分の考えの出発点のために、解りやすくて親切な参考書(問題集も含む)は必要不可欠だとつくづく感じます。もし、あまりに不親切な参考書で苛立ってしまい辛さを感じるのなら、それは参考書に問題があるのであって私たちに問題はないはずです。せっかくの熱意が参考書によって損なわれるのはあまりに悲しいことです。思い切り良く買い換えるのも大切だと私は思います。 少し明かすと、先生の教材はA4用紙の片面に要点をまとめられており、図や表がふんだんに使われています。一枚だけを取り外すのも可能で、私はよくお世話になったものです。また通販サイトの評価(レビュー)は判断材料になってくれるでしょうし、中古品なら過去数年分の試験問題も集めやすいと思います。 注意した学びかた 短期間に同じ問を何度も繰り返すのは避けていました。実技に言える事で、問を短期間に繰り返し過ぎると、問に新鮮さがなくなってしまって解く上で大切な面白みが失せて行きます。そうなっては同じことの繰り返しに嫌気がさしたり、自分の成長を感じられなかったりと負の連鎖にはまりかねません。これは避けたかったので、私は試験一回分を1周目に時間をかけて分析・推論するようにしていました。繰り返し解く場合は期間を空けました。 試験当日 思わず心臓が飛び出します。血圧が上がります。けれどどの試験でも冷静沈着でいる事が必要でしたので、私はお気に入りの音楽を試験開始直前まで流して弱気を起こさないように、心臓が飛び出さないように、血圧を下げました。音楽の力は偉大です。 休憩時間には見直しや勉強するのは控えました。貴重な休憩時間までも頭を働かせて長い試験の最中に集中力が途切れ、より焦りが出てしまった経験があったからです。なので休憩時間はここぞとばかりに頭を休めるために、外に出て新鮮な空気を吸いつつ空を見たり、仮眠を取ったり(実際は到底眠れないので目を閉じて頭を空っぽにする事に近いです)をしていました。 実技試験は独特です。試験開始直後に響く天気図を切り離す大音量にびっくりして、つい釣られて切り離してしまいますが、私には天気図の順番がバラバラになったり、狭い机に広くスペースを取る事が気に掛かったので、折り目を付けるに留めました。 予想センス ここ最近の実技試験は難しい問が度々出題され難易度が増している。この勘は私だけではないはずです。私は難問には過去問から得られる知識の他に、実際の天気予想の”センス”が必要ではないだろうかと思っています。お話しするのは、実技試験の”直接的”な対策ではないです。あくまで”間接的”な対策で、個人的にやる事です。でもきっと役立つことと思います。 「短期予報解説資料(気象庁予報部)」と言うものがあります。かなり専門的で天気図の色付けと同じくに実際の現場でも用いられるそうです。私は早い段階から、なるべく毎日読んでいました。感覚的には”読む”というより”読み取る”・”解読する”と表現した方が良いかもしれません。 資料が解説するのは今日と明日以降の気象現象と防災事項なので、インターネットで「専門天気図」,「衛星画像」,「レーダーエコー図」等々を集めた上で照らし合わせながら読むと、より一層理解が深まります。(「短期予報解説資料」等々の資料はネット検索して頂ければ見つけられます。)気象予報士になった後でも、この資料からは多くを学びます。 そしてもう一つ、衛星画像を24時間の”動画”で見るのもお勧めしたいです。私たちは静止画をよく目にしますが、実際の大気は川の流れのようにダイナミックに動いていて、決して留まりません。是非是非見てみてください。 簡単な問は自分だけでなく誰にとっても楽に解け、難問は誰にとっても歯が立たないのは、まったくその通りだと思います。だからこそ差がつくのはその楽な問を決してミスしない事ではありますが、せっかくなら難問だって解いてみせたいです。 私はこれからの実技試験では、天気予想の”センス”を求められる様になる気がします。 おわりに これほど長く読んで頂き、ありがとうございます。 世間では気象予報士試験の合格率はかなり低いと言われますが、目指している人間にとってはそんな数字は関係ないです。壁がどれだけ高かろうと、今挑んでいる人間にはその壁が何メートルであるかなど関係ないです。そんな事はまわりの人間が言うことであって、挑戦者自身には関係ないです。 気象予報士試験の勉強はどうしても独学になってしまい、しばしば自己嫌悪になりがちに思います。そんな方に僕はこの「藤田真司の気象予報士塾」をお勧めしたいのです。大きく組織立っていないからこそ出来るこの塾の良さをきっと見付けられると思います。 先生には自ら学ぶという事を教えて頂きました。僕の2014年の字は「感謝」です。ずっと劣等感を持っていた自分が今は気象予報士です。とても信じられない気持ちです。ようやく大学を目指す決心が付きました。先生のお陰です。心から感謝致します。 先生、ありがとうございました。 僕はよく空を見ます。こんなものを予想するなんて、まさに雲を掴むような話だなぁといつも思わされます。 |