藤田真司の気象予報士塾は、気象予報士試験合格をトコトン応援する通信型の塾(予備校)です。

無料メルマガ『めざせ!気象予報士・お天気キャスター』バックナンバー(第151話~第200話)


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  151、長期休暇を使って習慣の見直しを。
  152、問題を解くことで知識は定着する。
  153、平常心が凡ミスを防ぐ。
  154、夏に冬のことを考え、冬に夏のことを考える。
  155、第35回実技試験を振り返って
  156、時間を味方にする。
  157、合格体験記のここに着目
  158、学習において、「幹」と「細い枝」を見極める。
  159、実技試験の勉強は答案分析にあり。
  160、「気づき」によって、思考回路が1つ増える。
  161、先頭集団は本気のランナーばかり。
  162、基礎学習で知識をしっかり養う。
  163、勉強を進めるうえで大切なこと。
  164、削る時間・捨てる時間を見つけ出す。
  165、「良い質問」とは何か?
  166、合格者がとった試験当日の行動とは?
  167、第36回気象予報士試験を振り返って
  168、コツコツを続けるためのコツ
  169、分析から学習課題が見えてくる。
  170、時間をかけるからこそ、効率を考える意味がある。
  171、スランプを乗り越える方法を知る。
  172、勉強の成果は自分の言葉で残す。
  173、過去問題で資料の読み取り力を養う。
  174、受験勉強に必要な「選択と集中」
  175、年末から年明けに感じたこと
  176、快適な環境で試験を受けるために準備しておくこと
  177、問題演習は基礎学習のあとで
  178、同志の存在を感じるから、1人で頑張れる。
  179、スマートフォンは勉強にも使える。
  180、大人の受験勉強は、持続力で勝負
  181、「お付き合い宴会」との上手な付き合い方
  182、気象庁ホームページを活用する。
  183、?をどこまで追求すべきか
  184、過去問題の調達方法
  185、実技試験の勉強は、検証→納得→再現
  186、試験勉強の優先順位を高める。
  187、受験生は「選手兼トレーナー」
  188、一人合宿のすすめ
  189、夏休みにゼロから始めて軌道に乗せる。
  190、範囲を絞り込んで、苦手分野を克服
  191、緊張の先に合格がある。
  192、第38回気象予報士試験を振り返って(学科)
  193、第38回気象予報士試験を振り返って(実技)
  194、課題の洗い出しと解決こそがレベルアップへの道
  195、実技試験で問われる「国語力」
  196、合格率は自分で高めるもの
  197、「誤解を理解に変えること」が実力向上の秘訣
  198、引き算の発想で勉強時間を確保する。
  199、受験勉強再開のすすめ
  200、疑問解決ノートを作ろう。


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151、長期休暇を使って習慣の見直しを。
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気象予報士試験に合格するためには、かなりの勉強量を蓄積する必要があり、
そのためには、「瞬発力」よりも「持久力」が求められます。
全体としての勉強量を、かけ算で考えてみますと、
「一日の平均勉強時間」×「日数」となります。

いずれの数値も大きいほど、トータルの勉強量は多くなりますが、
「一日の平均勉強時間」の部分に「8時間」といった数値を入れるのは困難です。
気象予報士を志す方の大半は「兼業受験生」です。
本業を進めながら、合間を見つけての受験勉強ですから、
一日の平均勉強時間は、長くても2時間程度といったところだと思います。
ですから、大切なのは、「日数」の部分を大きくすること、
つまり、長期にわたって勉強を続けることにあります。

気象予報士試験に合格された方の多くは、
一日の中に上手く受験勉強を溶け込ませることに成功しています。
一言で言えば、「受験勉強を習慣化できた」ということです。

人間は「習慣の動物」であると私は考えています。
家を出て駅まで向かうときに通る道は、1つに決まっているのが普通です。
もし、駅までの距離がそれほど変わらない別ルートがあっても、
たいていの人は、ある1つのルートを通って駅へ向かいます。
通勤や通学の際に、何時何分発の電車に乗るかが決まっていて、
乗車する車両やドアの位置も同じだという人が結構多いはずです。
私もそうでした。車内の顔ぶれまでだいたい決まっていたので、
他の人も同じ習慣を持っているのだなと思いました。

別の話をします。以前に旅行して家に帰ってきたとき、
私は荷物をそこらに置くなり、すぐにダラッとくつろいでいたのですが、
妻はすぐに荷物を片付けていました。そういう習慣を持っているのです。
どうせ荷物は仕舞わなければならないのですから、
先にチャッチャと片付けたほうが気持ち良いですね。
ですから、私もそういった習慣を身に付けるように心がけています。
小さな習慣の有無が「片付けできる/できない」の差を生じさせます。

受験勉強に関しても同じことが言えます。
試験に合格した人が、それだけの勉強を成し遂げられた理由は、
受験勉強を習慣化することに成功したからです。
「毎日1時間は机に向かうことにしている」という習慣が定着し、
それを継続することで、膨大な量の勉強を成し遂げることができたのです。

ただ、「受験勉強の習慣化」を確立させるためには、
現時点での一日の使い方を見直す必要があります。
別の言い方をすれば、既存の習慣を少し削ることによって、
新たな習慣を作り出すということです。
私たちの周りには、娯楽がたくさんあります。
テレビ・飲酒・ゲーム・読書・ギャンブル・メール交換・カラオケなどです。
ブラウザを立ち上げれば、目の前に楽しいものが広がります。
ただ、難関試験に挑むのであれば、これらの楽しい習慣を少し削ったうえで、
受験勉強を新たな習慣として、導入しなければなりません。

日々の習慣を検証して、新たな習慣作りを始めるためには、
長期休暇を取れるときが、最も好都合です。
忙しい日々では、生活習慣を見直すことが困難ですが、
少し時間の余裕ができたときには、じっくりと振り返ることができるからです。
年末年始ほど、これに適した時期はないと思います。




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152、問題を解くことで知識は定着する。
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受験勉強の順調な進捗を感じるのは、
知識がどんどん増えて、その知識どうしが繋がり合うときですね。
豊富な知識が必要であることは、学科試験だけでなく、
実技試験にも言えることです。
勉強を始めた頃は、天気図などの資料を目にしても、
単なるゴチャゴチャした線が書かれているだけのように見えますが、
学びを重ねることで、そこから有益な情報を見つけ出せるようになります。

知識の蓄え方には、2つの大きなツボがあると考えています。
 1.「なぜそうなるのか」を理解して吸収する。
 2.関係する問題を解いて知識を定着させる。

「なぜそうなるのか」を知ると、興味を持って学習できます。
「状態曲線における、沈降性逆転層と前線性逆転層の違い」を考える際も、
「逆転層付近の湿数に着目せよ」だけでは、その理由がピンと来ませんが、
それぞれの逆転層の成因を考えてみれば、納得できるはずです。
子供は九九でも、漢字でも、丸暗記しますが、
大人になれば、そういった単純暗記は辛いものです。
その代わり、理解力や全体の流れを捉える能力は、
子供よりも長けているように思います。

受験勉強の範囲においては、「なぜそうなるのか?」を探るよりも、
とりあえずは結論を押さえておいたほうが良いものも中にはありますが、
基本的には、筋道を立てて学習したほうが面白く、
かつ意欲的に学べると思います。

学習内容を定着させるためには、問題演習も大切です。
本を読んだり、講義を受けたりするというのは、
基本的には受け身の作業です。
人間の集中力は、それほど長時間にわたって維持できないと思いますので、
少し気が抜けると、その部分の学習内容が曖昧になります。
本であれば流し読み、講義であれば聞き流し、になるわけです。
そういった点をチェックし、知識の定着を図るために、
問題演習は良い方法だと考えています。

最近、私は英文法の参考書を読むことが多いのですが、
全体の半分くらいまでページを進めたときに、
それまでの問題に取り組んでみると、
たった3分の1くらいしか正答できていないことが分かりました。
字面を眼で追うだけでは、知識が十分に定着しないことがよく分かります。
その後、参考書読みと問題演習を交互に行うようにすると、
7~8割くらい正答できるようになりました。
問題が目の前に出されると、「なぜだろう?」と自分で考えるようになります。
その?を抱えながら参考書を読むと、「そういうことか!」と納得できます。
そして、最初に参考書を読んだときには、
内容を全く読み込めていなかったことに気付くのです。

気象予報士試験の場合、幸いにも過去問題が豊富です。
一般知識試験だけでも500問以上の過去問題がありますので、
これを大いに活用されることをお勧めします。




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153、平常心が凡ミスを防ぐ。
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試験会場に入ると、緊張感が一気に高まります。
仮に教室に受験生が200人いると考え、これに平均的な合格率を当てはめれば、
その教室から生まれる合格者は10人程度です。

「こんな大勢の中から、たった10人か・・・。」
そう思いながら周りを見回すと、
他の受験生が凄く優秀に見えますから不思議です。
中には、分厚い参考書を一心不乱に読みふけっている人もいて、
こういった雰囲気が、緊張感をますます高めます。

このとき、「では、自分も参考書を」と本を広げる人が多いと思いますが、
私はあまりお勧めしていません。
なぜなら、参考書を読むことで、新たに分からない点が見つかると、
ますます焦りが高まってくる恐れがあるからです。

「ええい、昨日までに積み重ねた勉強で勝負するのだ!」と構えれば、
必死の形相でノートを見返している受験生を見ても、
「日頃の勉強が足りていないから、直前にジタバタしているのだな。」
と余裕を持って見ることができます。
周りによってペースを乱されないことが大切です。

試験において平常心を保つことを重視しているのは、
問題文の熟読がとても大切だと捉えているからです。
学科であれ、実技であれ、問題文を適切に理解できなければ、
正しい解答を行うのは困難です。

例を挙げると、一般知識試験における「大気の熱力学」の問題では、
「空気塊を断熱的に上昇させるケース」と、
「定圧下で冷却させるケース」が出題されたことがあります。
いずれを仮定するかによって、保存される物理量が異なってくるわけです。

また、実技試験でよく出てくる前線解析の作図においても、
「前線記号を付けるのか、実線で描画するのか」
「地上前線の解析か、850hPa前線の解析か」
「前線の描画範囲は指定されているのか」
など、問題によって指示が細かく出ています。

問題文に書かれた指示をうっかり読み落としてしまうと、
「分かっていたのに間違えた」という悔しい減点を被ることになります。

過度の緊張や焦りがあると、どうしても解答を急ぐ傾向があります。
「白紙の答案用紙を早く埋めてしまいたい」という心理です。
もちろん、規定時間内での解答が求められますから、
時間を気にしなければならないのは当然ですが、
焦りのあまり、問題文の読解が疎かになるのは避けたいところです。
そのためには、できるだけ平常心で試験に臨むことが大切です。

試験で実力を上回る結果を出すことは困難です。
その一方で、持っている実力を充分に出せないことは結構あります。
大切なのは、普段どおりの実力を発揮することです。




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154、夏に冬のことを考え、冬に夏のことを考える。
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昨日の朝6時30分、ようやく東の空が赤く染まりつつある頃、
試験会場に向かう私は、自動改札を通って駅に入りました。
そのとき、電車から坊主頭の高校生が何人か降りてきました。
大きな野球カバンには、甲子園にも何度も出場経験のある、
強豪校の名前が刺繍されています。

「寒いのに、日曜の早朝から練習か・・・」
私は数日前に野球部の練習グラウンドの横を通ったことを思い出しました。
寒いときに肩を酷使すると良くない、といった理由だと思いますが、
野球の場合、真冬にはあまり実戦的な練習をしません。
その代わり、足腰を鍛えるといった基礎トレーニングを主に行うのです。

私も高校時代は野球部に所属していましたので、
古タイヤを押して(転がすのではありません)往復するトレーニングや、
走ることに主体を置いたノック(アメリカンノックと呼ばれていました)を、
受けたことを思い出しました。
しかし、野球そのものの練習ではないだけに、地味でつまらないのです。
他の部員も感じることは同じのようで、監督が顔を見せない日などは、
トレーニングをサボって別のことを・・・、といったこともよくありました。
その結果なのでしょうか、私が野球部に在籍していた3年間は、
夏の大会(いわゆる甲子園の予選)は全て初戦敗退でした。

試合後に「せめて1回、1回だけでも勝たせてやりたかった・・・」と、
監督が涙ながらに語ったことを思い出すとき、
完全燃焼できなかった後ろめたさも同時に横切るのです。


気象予報士試験を受け終えた後の感覚は、いかがでしたか?
可能な限りの勉強を尽くした方は、ある種の爽やかさをお感じだと思います。
「やれる限りのことはやった」「完全燃焼した」という感覚です。
しかし、いろいろな事情があって、
充分な受験勉強ができなかった方もおられることでしょう。
こなせなかった勉強は、例えてみれば不完全燃焼による燃えかすです。

気象予報士試験で合格を勝ち取っている方の特徴は、
充分な時間を勉強に充てているということです。
もちろん、「集中的に取り組む」「効率を考える」というのも大切ですが、
一定以上の時間を確保することはとても大切です。
言ってみれば、パイロットの訓練における飛行時間のようなものです。
量的な充実のためには、長期間の勉強が必要だということです。

この試験の勉強量はかなり多いので、
試験日がはるか遠くにある頃から、受験勉強に取り組むのが理想的です。
切羽詰まった状況でもないのに、勉強を進めるのはなかなか大変ですが、
勉強に対するモチベーションを維持することができれば、
試験日までに実力を高めることが可能なはずです。

1月の試験で結果を残せる人の多くは、
昨年の夏から秋にかけて、勉強を積み上げてきた人です。
そして、8月の試験で結果を残すためには、
風の冷たい時期から、トレーニングを重ねていくことが大切だと思います。




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155、第35回実技試験を振り返って
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今回は、受験された方に向けて書きました。
受験されなかった方は、後日に試験問題を入手された際にご活用下さい。


【実技1】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
問1
実技試験では、冒頭部に実況資料をもとにした問題がよく出てきます。
今回も出された海上警報は頻出問題ですので、しっかり押さえたいところです。
(3)については(21-1-1)で出題されたものと似ており、
気温が海面水温よりも高いという点に着目する必要があります。

問2
前回の試験に引き続き、前線解析の問題が出ました。
ただ、前回は閉塞前線を伴う解析でしたが、
今回は寒冷前線のみということで、それほど時間はかからないと思います。
まず、850hPa前線を解析し、その後に地上前線の描画を行うという手順ですね。
地上予想図における矢羽根も、前線位置の決定に役立ちます。
なお、実線で記入せねばならない点は、問題文で要確認です。

問3
前線に関しては、天気図上における位置だけでなく、
立体的な構造を把握することが大切です。
また、日本は山が多い国ですので、
地形が降水に与える影響が大きいと言えるでしょう。
風向きによって、降水が強まったり、弱まったりしますので、
この種の問題については、風向が重要な着眼点になります。

問4
風の鉛直シアーから温度移流の種類を把握する問題は、
(19-2-2)などで出題されています。
試験対策としては、「高度とともに時計回りに変化すれば暖気移流」
「高度とともに反時計回りに変化すれば寒気移流」と覚えることも多いですが、
一般知識試験の対策としては、「なぜそうなるのか?」を、
確認しておかれたほうが良いと思います。

問5
気象災害や防災気象情報に関する知識は、
必ずといって良いほど、問題のどこかで出てきます。
この点では専門知識試験の対策と重なっていると言えます。



【実技2】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
問1
(3)では鉛直安定度を尋ねる問題が出ました。
当問に限らず、「大気の熱力学」の知識が土台になっている問題は多く、
この単元に不安を感じておられる場合は、復習が大切です。
放射冷却が強まったときの状況を問う(4)は、目新しく感じました。

問2
中心気圧や等圧線の間隔に着目することは、
地上予想図を読み取るうえでの基本ですね。
当問では出されませんでしたが、等圧線の走向から、
風向を読み取る練習も行っておかれると良いでしょう。

問3
予想図における等圧線や矢羽根が示している情報は、
その予想日時における瞬間的なものですが、
予想降水量については、予想時刻までの積算値です。
この点をしっかり押さえれば、(4)(5)は簡単な問題です。

問4
関東地方における降雪に関する問題は、これまでに何度か出題があります。
特に(5)2に関しては、(21-2-2)問4(2)とよく似ています。
熱力学における相変化に関する知識も必要であり、複雑な問題ですが、
予め勉強されていた方にとっては、ラッキーとお感じになったことでしょう。
(6)のように気象情報の内容が出題されることはよくあります。
気象情報は気象庁のホームページで読むことができますので、
普段から目を通しておかれると、良い勉強になるはずです。




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156、時間を味方にする。
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新年度に行われる気象予報士試験の日程は、毎年4月に発表されますが、
これまで通りであれば、8月下旬に次の試験が行われることになります。
次回試験まで【半年】という時間が残っているわけですが、
これは受験を予定されている方にとって、大きなチャンスです。
気象予報士試験を征するためには、時間を味方にすることが大切だからです。

ご承知のとおり、気象予報士試験の学習範囲は広く、
試験までの時間が少ないと、打てる対策は限られてきます。
イヤな言い方をすれば、「焦りで後手後手に回る泥縄式勉強」というものです。
これでは、満足のできる結果を出すのが難しいと言わざるを得ません。
もちろん、「学習効率」「勉強の質」を考えるのはとても重要なのですが、
それが効果を発揮するのも、「絶対的な勉強量」があってのことです。

151のコラムでも述べましたように、全体としての勉強量は、
「一日の平均勉強時間」×「日数」というかけ算で示されます。
多くの受験生の皆様は、一日の勉強時間をそれほど長く取れませんので、
「日数」をかけることが重要になってきます。
1日1時間でも、半年続ければ、約180時間になります。
これは、5時間もの猛勉強36回分にも相当します。

私は、NHKの連続テレビ小説を昨秋から見ています。
一日あたりのドラマはわずか15分間ですが、今日で128回目でしたので、
すでにトータルの放映時間(=視聴時間)は32時間にもなっています。
いやあ、継続というのは凄いものですね。
勉強もこの方式で積み重ねていくという考え方です。

私が推奨する試験勉強は、大きく2段階に分けられます。
宇宙船の打ち上げに例えれば、1段目ロケットが基礎事項の学習、
2段目ロケットが過去問題の演習です。
この2段階方式で、合格圏への突入を狙うのです。
基礎がしっかりしていれば、2段目ロケットの推進力も大きくなります。

春が近づき、夜明けが早くなってきました。
正月の頃と比べて、日の出の時刻は40分ほど早くなっています。
朝の起き辛さが和らぎ始める今の時期こそ、
学習習慣を作り上げる1つの好機のように思います。




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157、合格体験記のここに着目
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毎回の試験の受験生が5000人程度の気象予報士試験では、
勉強を1人で進めておられる方も、少なくないと想像します。
私も、そんな受験生の1人でした。

今は、数多くの書籍が出ていて、いろいろな教材もありますが、
これに加えて、実際に試験で成功した人の体験談に接することは、
とても大切なことであると考えます。

登山の際に、道がそれほど整備されていない場合、
頂上への道筋がハッキリ分からないことがあります。
こんなときに、木々に赤いビニールテープが貼られていて、
正しい経路を示してくれていることがあり、とても助かります。
また、下山してきた人から話を聞くことも有効な情報になります。

数年にわたって受験勉強を続けていくのは本当に大変です。
失敗を避け、成功者のノウハウを参考にすることは、
登頂の可能性を高めるうえで、大いに役立つと確信しています。

そこで、私が運営する塾の元受講生の皆様がお寄せ下さった合格体験記を、
一部引用して、それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■休日は近くにある図書館に行って勉強しました。
>  家の中に比べ誘惑するものがないため集中して勉強することが出来ました。

> ■モチベーション維持のため、有料自習室を契約しました。

「集中できる環境を用意すること」の大切さを示しています。

「どこであっても、勉強はできるはず」という考え方もあるでしょう。
確かに、物理的にはそうです。本やノートを置く机さえあればいい。
しかし、実際には、頭の中を勉強モードに切り替えることも大切です。
テレビのリモコンや食べかけのスナック菓子が目の前にあるという状況では、
なかなか集中できないこともあるでしょう。
勉強に不要なものを遠ざけねばなりません。

それと、もう1つ重要なことがあります。
「他人の目を意識するような環境」に身を置くということです。
図書館や自習室が勉強の場として優れているのは、
熱心に読書をしたり、勉強をしたりする人が何人もいるからです。
学校や予備校の教室で集中できるのは、他の人と一緒に授業を受けるからです。
ボールペンを床に落としたり、携帯電話の振動音が鳴ったりしたときに、
ヒヤリとするくらいの雰囲気があると良いのです。
もし、誰もいない図書館・自習室であれば、
緊張感が緩みっぱなしで居眠りしてしまうかも知れません。

作家の佐藤優さんは、東京拘置所に512日間拘留されている間に、
数多くの書物を読んで勉強されたとのことで、
『獄中記』(岩波書店)には、膨大な書籍リストが載っています。
娯楽が遠ざけられ、常に監視される環境は、勉強に適していると言えます。
これは極端な例ですが、集中して受験勉強に取り組むためには、
ある程度の緊張感が大切であり、それを意識的に作ることが、
密度の高い勉強時間を確保するためには必要だと思います。


> ■職場へ通勤中の車内でのDVD視聴     約80時間
>  藤田塾へ通学中の車内でのDVD視聴    約80時間

「電車の中は使い方次第で勉強部屋になる」ことを示しています。

車内では振動もありますので、筆記用具を使うには不向きですが、
テキストを読むことなど、インプットの学習は十分に可能です。
体験記にありますように、映像や音声による学習もできます。
通勤や通学で電車を利用される方は多いので、
上手く習慣づければ、トータルで大きな勉強時間となります。

電車学習を習慣づけるためには、コツがあります。
それは、できるだけ勉強道具を減らすことです。
「重い・かさばる」は、面倒くさくなってしまうので、禁物です。
特に混雑した車内では、大きな本を広げるのは難しいですね。

かつて大ベストセラーになった英単語帳に『英語基本単語集』があります。
「赤尾の豆単」と呼ばれ、多くの受験生が持っていたそうです。
書店で実際に手にとってみると、愛称どおりの手のひらサイズでした。
このコンパクトさが、売れに売れた理由の1つだと実感しました。

気象予報士試験の書籍では、豆単ほど小さな本はないはずですが、
天気予報技術研究会編『最新天気予報用語集』(東京堂出版)は、
新書版より一回り大きい程度で、持ち運びにも便利な書籍です。
ある程度混雑した車内でも、使えるように思います。

また、書籍という形に拘らなければ、スマートフォンの活用が挙げられます。
携帯電話を持っている人なら、追加的に勉強道具を持ち歩く必要がありません。
朝夕のラッシュであれば、本が読めないほど車内が混雑することもありますが、
そんなときでも、スマートフォンやICレコーダーにヘッドフォンを付ければ、
車内を勉強空間に変えることができます。

もちろん、混み合った車内で、つり革を握りながら勉強するよりは、
座席に座ったほうが快適に学習を進められますので、
可能であれば、時間帯や車種を変えることで、空いた車両を選ぶことや、
有料の指定席を確保するのも、1つの方法です。




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158、学習において、「幹」と「細い枝」を見極める。
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今回も、合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■「なぜそうなるのか」を徹底的に理解するように心がけました。

> ■問題や解答とけんかせず読み飛ばす勇気も時には必要と思います。


勉強を続けていると、良く理解できない事柄が必ず出てきますが、
そういったときの対処法は、2つあります。

1,理解して納得できるまで、奮闘する。
2,細部は見えなくても、とりあえずは飲み込んでおく。

私がここで述べたいのは、「1と2のいずれが正しいか」ではありません。
学習する内容に応じて、1と2を適切に選択することが大切なのです。

試験勉強で学ぶ内容は、その性質によって、
「幹」「太い枝」「細い枝」に例える形で分類されます。
例えば、「大気の熱力学」を学習する場合において、
「空気塊の断熱変化」の部分は、幹であると言えるでしょう。
状態曲線を学ぶにも、温位や相当温位の概念を理解するためにも、
フェーン現象について勉強する際にも、この学習が思考の土台となります。
つまり、避けて通ることができない学習であり、だからこそ幹なのです。

幹の部分の学習は、理解にこだわる必要があります。
簡単に妥協せずに、「なぜそうなるのか?」を追求し、
十分に納得したうえで、頭に入れていくことが大切です。
「頭に入れる」という点では、丸暗記と共通していますが、
「理解して納得する」という点で、大きく異なります。

それに対して、同じ「大気の熱力学」でも、
「仮温度」の概念を学習することは、少なくとも幹の部分ではありません。
気象予報士試験の勉強においては、細い枝といっても良いでしょう。
もちろん、頻度は少ないとはいえ、試験に出題されたこともありますし、
今後に出題される可能性も、充分に考えられます。
ただ、仮温度を理解しなくても、先々の学習を進めることは基本的に可能です。
それは、この試験の範囲において、仮温度という概念が、
思考の土台になっていないと言えるわけです。

細い枝の部分の学習についても、理解に努めることは大切です。
理解できたほうが、勉強としても面白い。
しかし、多くの受験生にとって、勉強時間は限られています。
貴重な時間を捻出して、高い壁に挑む方が多いはずです。
そんなとき、細い枝の部分の学習については、
「詳細には深入りせずに、表面的な部分だけを捉えておく」ということも、
学習法として正しいわけです。
「分け入っても分け入っても青い山」という山頭火の句があるように、
勉強の奥深さにはきりがありません。

受験勉強の世界では、学習深度の調節も大切な作戦です。
勝敗とはあまり関係の無い小城を、むきになって攻め続けるよりは、
貴重な時間と労力を、重要拠点に振り向けたほうが、
受験勉強においては、大きな成果を得られると考えられます。
合格を勝ち取られる方の多くは、意識的であれ、無意識下であれ、
学習内容に応じた戦術の使い分けを行っているはずであり、
この点が学習効率を大きく左右することになります。

今取り組んでおられる内容と、全力で格闘することも大切ですが、
ときには鳥の眼を持って、今の学習内容が試験全体において、
どういった位置づけであるのかを考えてみることも、
試験対策では重要であると言えます。




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159、実技試験の勉強は答案分析にあり。
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今回も、合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■記述問題では、次の三段階を経て解答することになります。
> 「題意を把握する」→「解答要素を導く」→「論理的に答案を作成する」
> そこで、記述問題すべてについて
> 「自分はどの段階でどのように誤っているか」を一問ごとに分析し、
> 自分の弱点を突き止めるようにしました。

試験勉強には「適切なやり方」があることを示しています。
「実技試験の勉強は難しい」と言われますが、ここには2つの意味が含まれます。

 1,学習すべき量が多く、その内容が難しい。
 2.実力を高めるための学習方法がよく分からない。

一般的に、「勉強が難しい」という場合、
1の意味と解釈することが多いのですが、2にも着目することが大切です。

山に登る際に、いきなり道無き斜面をやみくもに駆け上がる人はいません。
登山道に沿って登っていくはずです。
実技試験の勉強についても同じで、手順・攻略法が存在します。
「とにかくガムシャラにやれば良い」という精神論だけでは、
限られた学習時間を有効には使えないことでしょう。

実技試験で最も重要なのは、解答までの手順を理解することです。
上記の体験記でも述べられていますように、
まず「問題文が何を尋ねているか?」を明らかにします。
題意の把握こそが、全ての問題の基本であり、これを誤ってしまうと、
「魚を求められているのに、蛇を与えてしまう」ことになりかねません。

題意を把握した後は、資料を読み取ることで解答要素を引き出します。
このとき、単に資料からそのまま拾ってくるだけで事足りる問題もありますが、
(例:等値線の読み取りなど)
たいていは、知識に基づいた解釈が求められます。
よって、ここで一般知識試験や専門知識試験で学んだ内容を活用します。
知識が不十分であると、資料解釈が適切に行えないため、
学科に戻って復習を行う必要があります。
どの知識を補わねばならないのかを把握することも、大切な学習です。

解答要素が明らかになれば、後は答案文を綴っていきます。
限られた字数で、解答要素を過不足なく書いていくことは、
小さな駅の売店に、売れ筋商品を陳列することと似ています。
解答要素に抜けがあるのはダメですし、
かといって余計なことまで書いてしまうのも適切ではありません。
当然ながら、この頭の働かせ方をするためには、
「題意が何であるか」→「解答要素が何であるか」を、
常に意識している必要があることを意味しています。

受験勉強として、過去問題を解くとき、
最初からパーフェクトな解答ができる人はいないはずです。
答案の中には、多くの課題が残っています。
そこで、解答を終えた後は、答案を分析することが大切です。
上記の手順に従って、三段階のどの部分に改善点があるのか、
じっくり時間をかけて分析を行っていきます。
極論を言えば、実技試験の勉強において、問題を解くということ自体は、
自分の思考手順や知識量を俎上に載せるだけの行為に過ぎません。
本当の勉強(=実力を高めるための勉強)は、答案分析から始まります。




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160、「気づき」によって、思考回路が1つ増える。
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今回も、合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

■人に解答を見てもらうことで、解答すべきキーワード、
 題意や表現の仕方など解答に必要な知識が身に付くのだと思います。


実技試験の難しさは、文章や作図での解答が大半を占めるゆえに、
自分の書いた答案の妥当性を把握しにくい点にあります。

前回のコラムでも書きましたように、答案と解答例を見比べながら、
丁寧に分析を重ねていくことは大切なことですが、
他者の目を通すことで、これとは違ったものが得られると考えます。

答案添削について私がメルマガで述べるのは、今回が初めてではありません。
それだけ答案添削の重要性を実感しているからです。
ただし、私の場合は受験時代ではなく、放送用原稿の修行をしていたときです。

テレビ局で気象キャスターのお仕事をいただいてから、
私は天気予報の放送用原稿を書くことについて勉強していました。
そのときに、添削でビシビシ鍛えて下さったのが、当時の上司です。

気象庁が発表する予報や、さまざまなデータを参照して、
それを決まった秒数の原稿としてまとめていきます。
頭を絞って考えた内容を書き綴っていくわけですが、
上司に提出した原稿は、添削だらけになって返ってくるのが常でした。

例えば、「今夜にかけても、青空が広がるでしょう。」
といった一文を書いたことがあるのですが、
スパッと『夜に青空は見えません。』のコメントが。
指摘されれば、すぐに気がつくことなのですが、
自分でウンウン唸って書いているときは、
その不自然な表現に全く気がつかなかったのです。

誤りに気がつくことで、頭の中に思考回路が1つ出来上がります。
添削を受けることで、こうした思考回路が増えていったのです。

このようなトレーニングを延々と受け続け、
ようやく、自分の書いた原稿が修正されることなく、
生放送でアナウンサーに読んでいただけたときは、
気恥ずかしいものを感じたことを思い出します。

自分の文章を何度も読み返して確認を行ったり、
お手本となる文章を書き写したりすることも、良い勉強になりますが、
自分の答案にコメントを付けてもらうことも、
文章力を高めるうえで効果的な方法だったと感じています。




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161、先頭集団は本気のランナーばかり。
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今回も、合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

■私は今まで合格した資格試験のいずれもそうですが、
 いかに試験に対して本気になれるかが合否の別れになっていたように思います。

最近における気象予報士試験の平均的な合格率は、5%前後です。
「5%」という値を目にして、思い浮かぶのは抽選です。
箱の中に20個の玉が入っていて、そのうち1個だけが当たりの赤玉、
残り19個はハズレの白玉であるとします。
このとき、赤玉を引き当てることができる確率は5%ですが、
試験合格率を、この確率と同一視するのは適切ではありません。

5%というのは、あくまでも受験生全体における合格者数の割合であって、
それぞれの受験生が持つ「合格の可能性の度合い」は、
当然ながら、実力の高低によって異なります。
マラソンに例えれば、「上位5%に食い込めば入賞(合格)」ということであり、
トップ集団に入れるかどうかは、ランナーの走り方次第です。
抽選は全ての人の当選確率が同じであり、この点が大きく違います。

ですから、極端な言い方をすれば、
試験の合格率は、試験の難度を示す参考値にすぎず、
自分が実際に合格を勝ち取れるかどうかは、別問題だということです。
合格率90%の試験であっても、全く勉強せずに試験に臨めば、
合格は覚束ないことでしょう。

立場上、気象予報士試験の合格を勝ち取られた方を数多く知っていますが、
共通しているのは、「本気の受験勉強」を成し遂げたという点です。
「暇つぶしで適当に参考書をめくっていたら、合格していた」
といった体験談を披露された方を未だに見たことがありません。
誘惑を断ち、時間を捻出し、全力で格闘した方ばかりです。

そして、敢えて現実を率直に申し上げれば、
懸命に汗をかいて受験勉強を重ねても、
さまざまな理由(体調・ケアレスミス・学習方法・運など)で、
惜しくもあと一歩及ばないことは、ざらにあるのです。
不合格の悔しさをバネにして、再び全力疾走する受験生も数多くいます。
この試験に一発合格する方はほとんどおられませんから、
ほぼ全ての合格者は、不合格という障壁を乗り越えています。
本気でない受験生が、合格圏に入る余地はどこにもないのです。

実力を高めるための参考書があり、
実力を高めるための時間管理術があり、
実力を高めるための学習法があります。
しかし、ノウハウを数多く知っていても、
気持ちが伴わなければ、結果にはつながりません。
「本気のやる気」こそが起爆剤となります。




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162、基礎学習で知識をしっかり養う。
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今回も、合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■気象予報士試験対策の教科書は、受験するたびに通読していました。
> 気象予報士試験は類題ばかり出題される甘い作りではなく、
> 系統立てて勉強しないで過去問題を解こうとするだけでは
> 合格点が取れるようになれないと思ったからです。
https://rojiura.jp/taikenki35.html#9

試験勉強において過去問題演習が大切なのは勿論ですが、
その前提として、充分な基礎学習が必要です。

例えば、次のような問題が出てきたとします。

> Q.次の文の正誤について述べよ。
> 「移流霧は、暖かい海面に冷たい空気が流れ込むことで発生する。」

正解は×ですね。
冷たい海面や陸面に、暖かい空気が流れ込むことにより、
空気が冷やされて凝結が生じ、発生する霧が移流霧です。

過去問題演習において「この文は間違いだな」で済ませるだけでは、
得られる知識は少なく、学習の効果はあまり高くありません。
「では、移流霧はどのようにして発生するのか?」と考えて、
前述のような知識を確認しておくことが大切です。

さらに、こういった問題をきっかけにして、
「霧にはどんな種類があるか?」ということを、
体系的に学習・確認しておくのが理想的です。
過去問題は、知識の一部を切り取る形で構成されているものが多いため、
知識全体を学ぶ場合には、書籍などを使用する必要があります。

書籍などを使って、霧について学習していると、
霧には数多くの種類があることが分かります。
いくつもの名称があるので、頭がこんがらがってしまいそうですが、
発生要因に着目すると、2つに大きく分けられます。

 1,空気が冷やされることで発生する霧
 2,空気に水蒸気が供給されて発生する霧

このように分類・整理を行うことで、知識の定着が促されます。
また、霧には「成因による名称」と「発生場所による名称」という、
2パターンの名称があることにも気付かれるはずです。
例えば、「移流霧」は前者で、「海霧」は後者ですね。

本試験に直結する学習が、過去問題演習ですので、
受験勉強に過去問題演習は欠かせないと、私は考えます。
しかし、基礎学習が足りないと、演習効果が充分に出ないことがあります。
また、問題と解答を繋ぎ合わせることだけを目的にしてしまうと、
不正確な知識やこじつけによる、誤った思考過程が生じかねません。

そういったことを防ぐため、過去問題演習の前には、
充分な基礎学習を行っておくことが大切です。
また、演習の途中で「?」が出てきたときは、強引な解釈で凌がずに、
基礎に戻って確認を行うといった学習をお勧めします。





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163、勉強を進めるうえで大切なこと。
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新年度から勉強をお始めになった方は、そろそろ3か月です。
学習習慣が定着し、上手く軌道に乗りましたか?
今回は勉強を行ううえでのコツを、いくつかご紹介します。


■用語を覚えるのではなく、用語の意味を覚えるのが大切。

重要語句を蛍光ペンでマーキングして、その部分を覚えることは、
受験勉強におけるオーソドックスなスタイルです。
しかし、この学習法は、語句を問われる問題に対しては有効ですが、
気象予報士試験には、あまり効率的では無いと考えます。
この試験では、語句そのものよりも、
語句の意味についての正誤を問われることが多いからです。

例えば、「定圧比熱」という用語があります。
もちろん、この用語そのものを頭に入れておくことは大切ですが、
それだけでは、「定圧比熱とは~~~のことである。○か×か。」
といった形式の問題には対応できません。
語句は短いので、覚えるのが楽ですが、
それだけでは、全体の一部しか学習できていないことになります。
語句の持つ意味・概念を掴んでこそ、使える知識です。


■よく分からない部分は、とりあえず書き出してみる。

書物を読むというのは、書物以外の道具を要さないだけでなく、
電車の中でも、食堂でも、どこでも可能ですので、
受験勉強の手段として、最も用いられる方法だと思います。
ただ、勉強は「未知」を「既知」に変える作業ですので、
軽い小説を楽しく読むようにはいきません。
読んでいて「?」と感じたときは、しばらく前に戻ってから、
ゆっくりと読み直してみることが大切です。

また、熟読するだけでなく、紙に書き出してみることもお勧めします。
黙読すれば速く読めるのにもかかわらず、紙に書き出すのは、
情報量の速度を落とすことで、深読みができ、理解度が高まるからです。
私は受験生時代からこの手法を時々取り入れ、
今でも、数式が含まれているような本に取り組む際には、
ノートとボールペンを使うようにしています。
私はボールペンのインクが減ったのを見ると、妙なやり甲斐を感じます。


■繰り返して学習することを厭わない。

何かを学ぶ際に、一発で全てが頭に入ることは少なく、
たいていは何度も繰り返しながら、少しずつ習得していくものです。
学生時代に英和辞典を使っていて、「この単語さっき引いたところだったよ」
といった経験をお持ちの方も多いと思います。
私自身、気象に関する簡単な用語でも、何度も事典を引いて、
その都度、誤解している部分がないかを確認しています。

過去問題演習でも、以前に解けたはずの問題に改めて接してみると、
解法が分からなくて、困ってしまうことがあります。
しかし、その解法について納得するために要する時間は、
1回目の演習よりも、2回目の演習のほうが短いはずです。
勉強は螺旋階段に例えられると思っています。
一度通った道のように見えても、2回目には少し高い位置に達しています。
グルグル回りながら、少しずつ上っていくのです。




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164、削る時間・捨てる時間を見つけ出す。
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気象予報士試験の受験生にとって、
勉強時間の捻出に苦労される方は多いと思います。
1日や1週間の中に、どのようにして勉強時間を入れようかと悩むところですが、
実は、もっと大切だと思われることがあります。
それは、現在のスケジュールから不要な用件を選び出して、削除することです。

1日は24時間であり、1週間は168時間と決まっています。
受験勉強という、新たな時間枠を入れるためには、
今までに使っていた時間枠を削ることが大切です。

これは部屋の片付けをすることと似ています。
上手くやりくりして押し入れに収納できるようにする、というのも大切ですが、
空間の容積以上に、モノは入りません。
ですから、根本的に片付けるためには、一部を捨てることになります。

受験勉強を始める際にも、時間管理の効率化は重要です。
「スキマ時間も活用する」「集中すれば短い時間でも実力が上がる」
というのはよく言われていることですが、
これは片付け法における、いかに上手く収納できるかの話です。
もちろん、これも大切ですが、まとまった勉強時間を確保するためには、
現在行っていることの一部を捨てる、という選択も必要だと思います。

つまり、時間管理には「足し算」だけでなく、
「どの時間を削るか」という「引き算」をすることも大事です。
結局のところ、新たに始めた勉強が上手く軌道に乗るかどうかは、
この点が大きく関与しているように思います。
無理に勉強時間を詰め込もうとすると、他の予定に支障を来したり、
寝る時間を充分に取れないといった歪みが生じてしまい、
結果として、学習習慣を確立できないことにつながってしまうのです。
押し入れに荷物を入れすぎて、パンクしてしまうことと似ています。

私がこの試験に比較的短期間で合格できたのも、良し悪しは別として、
学校(高校)の勉強に、ほとんど手を付けなかったからだと思います。
定期テスト前でも、ほとんど何もしないという状況でした。
別に気象予報士試験の勉強のために、意識的に時間確保をしたわけでなく、
単に学校の勉強に身が入らなかっただけですが、
もし、大学受験の準備で忙しければ、
気象予報士試験どころではなかったことでしょう。

さて、具体的にどういった時間を削るかということですが、
私の知っている範囲では、「テレビを見る時間」を削る人が多いです。
面白い番組を見るのは息抜きになりますが、
ダラダラと見続けてしまうのも、テレビが持つ性質です。
長年の習慣を切り崩すのは抵抗がありますが、
やってみると、わりと簡単だったりします。

これから試験勉強を始めたいと思っている方、
勉強習慣の確立に課題をお持ちの方は、一週間の予定を思い起こして、
「時間の引き算」をされることをお勧めします。




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165、「良い質問」とは何か?
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もし、受験勉強において、誰かに質問できる環境をお持ちであれば、
それを積極的に活用されたほうが良いです。

もちろん、自分で調べることによってこそ、
理解が深まり、記憶の定着が良くなる場合もありますが、
疑問解決のために要する労力や時間を考えますと、
それを知っている人に尋ねたほうが、効率的であることが多いです。

ただ、質問をすることに対して躊躇される方もおられるかも知れません。
「良い質問ですね~。」という言い回しがありますが、
質問に「良し悪し」があると考えてしまうと、
「良くない質問をして、恥をかきたくない。」
といった気持ちが生まれるのも無理はありません。

私はお客様からのご質問に回答を差し上げる立場ですが、
「良い質問かどうか」ということは意識になく、
ただ「良い回答ができるかどうか」だけを考えて、回答を行っています。

そもそも「良い質問」って何でしょう?
難しいことを尋ねるのが、「良い質問」なのでしょうか。

学習進度に応じて、質問内容の水準に差があるのは事実です。
山登りは登山口から始まるのと同じように、
受験勉強も最初はゼロからのスタートです。
8合目にさしかかった人と、3合目を登っている人とでは、
質問の内容が異なるのは当然です。
しかし、それは優劣の問題ではありません。
高度な内容の質問が「良い質問」で、初歩的な質問が「良くない質問」、
ということは全く無いわけです。

ある程度勉強が進むと、初歩的な内容の質問を行うことに対して、
躊躇いの気持ちが生じることは、よくあると思います。
しかし、「初歩的」とは、すなわち「基礎的」ということであり、
勉強を進めていくうえで土台となる部分です。
この部分をしっかりと構築しておくことが、
応用内容の学習を進めるうえで、必要不可欠になります。
ですから、むしろ「初歩的な内容」の疑問こそ、
積極的に解決しておいたほうが良いと言えるのです。

受験勉強において、ある質問が「良い質問」であるかどうかは、
回答者が決めるものではなく、質問を行った人自身が評価するものです。
その質問に対して得られた回答によって、学習が大きく前進すれば、
それは「良い質問」であると言えるのです。
たくさん疑問を解決して、効率的に受験勉強を進めましょう。




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166、合格者がとった試験当日の行動とは?
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合格を勝ち取られた受験生は、どのようにして試験に臨まれたのでしょう?
試験直前の今だからこそ、参考になる点があるように思います。

> 試験前日まできたら、最後にいくら粘っても、たかがしれてるんですよね。
> それだったら、しっかり寝て、頭をスッキリさせ、
> コンディションを整えたほうが良い。
>
> それから、教室に入ったら、もうテキストや参考書は広げないことですね。
> テキストや参考書を広げると、ひとつ不安な点が出てきます。
> (中略)
> 教室での待ち時間はずっとイヤホンで音楽を聴いていました。
> 「平常心が大切」ってことですね。

「最後の最後まで粘り強く」と言えば、聞こえは良いですが、
試験は「頭脳格闘技」ですから、前夜の睡眠不足はダメージが大きいです。
荷物を背負ってマラソンレースに参加するようなものです。
自分に合った睡眠を確保したいものです。

また、試験会場において、周囲の受験生を過剰に意識すると、
無用の緊張が高まることがあります。
私も中学受験で、鉛筆を持つ手が震えるほどの、
強い緊張感に襲われたことを思い出します。
眼を静かに閉じ、好きな音楽をイヤホンで聴けば、
周囲から与えられる影響をかなり遮断できますので、
緊張が和らぐという方もおられることでしょう。
体験記にもあるように、いかに気持ちを平常に保つかが重要です。


> 試験で最も注意することは、試験の問題や図、
> 表などは内容しっかりと見ることです。
> ここで見間違えたことにより、理解している筈の問題で
> 間違えたりするなんて勿体なさすぎですからね。
> ちなみに私は第31回試験の実技2で天気図の縮尺を間違えたり、
> 緯度線の間隔を間違えたりで5点ぐらい引かれました。
> このようなことが無いように気をつけましょう。

「よく問題文を読む」は、あらゆるペーパーテストに当てはまる、
基本中の基本といえる注意点ですが、
意外と抜けてしまうことがあるので、肝に銘じておかねばなりません。

気象予報士試験では、過去に出題された問題と似た問題が、
後に実施される試験で出てくることがありますので、
演習を繰り返した方であれば、問題文にざっと目を通すだけで、
おおよその解答要素を掴める場合があります。

これこそが過去問題演習の成果の1つであり、
時間あたりに処理できる問題の増加にも繋がっているわけですが、
「見当」を「確信」に変えるためには、問題文の熟読が大切です。

例えば、第35回試験の実技1では、問1(2)において、
衛星画像(赤外)から、「輝度温度」を解答させる問題が出ました。
「輝度」であれば、過去に何度も出ていますから、
これと混同された方も多かったようです。
赤外画像において、輝度が高ければ、輝度温度は低いですから、
輝度と輝度温度を取り違えてしまうと、誤答になってしまいます。

「どれだけ得点を積み上げられるか」も大切なことですが、
「どれだけ失点を防ぐことができるか」も大事です。




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167、第36回気象予報士試験を振り返って
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第36回気象予報士試験を見てみますと、
全体として、オーソドックスな問題が多かったように思います。
専門問1のように、詳細事項に関する正誤問題もありましたが、
基礎的な内容をしっかりと学習し、丁寧に過去問題演習を行うことで、
対応できる問題が多かったように感じました。

例えば、一般問8は、平成9年度第1回試験の一般問2とよく似ています。
静力学平衡の概念をキチンと理解し、大気が充分に乾燥しているならば、
地上~高度5000mにおける気圧差(=気層の重さ)は、
気層における平均温度によって決定される、というのがポイントです。
静力学平衡に関する問題は、前回も出題されていますので、
大事に勉強しておきたいところですね。

過去に出題された問題と似ているものと言えば、一般問7も同じです。
平成18年度第1回試験の一般問5と似た問題です。
ただし、まるまる同じ問題というわけではなく、
立方体の面によって空気密度の違いがある点が、一段複雑になっています。

過去に出た問題を勉強したことが、当問で生かせるかどうかは、
問題演習の仕方によると考えています。
具体的に言えば、過去問題演習の目的を、
計算過程だけに着目した、単なる「解答の再現」だけに留めるのではなく、
問題が作られる土台にも目を向けることが大切です。

2つの問題において共通している考え方は「質量保存の法則」です。
つまり、立方体を出入りする空気は、途中で消滅もしないし、
また何もないところから、いきなり空気が湧き出すこともないということです。
だからこそ、立方体の質量が一定であるという条件が与えられれば、
「立方体に入る空気の質量」と「立方体から出る空気の質量」は同じであり、
立方体の5面における空気の出入りが分かれば、
残る1面での空気の出入りは計算によって求められるわけです。
この考え方を数式にしたものが、数値予報にも出てくる「連続の式」ですね。

一般問7は、以前に出題された問題よりも捻ってありますが、
質量保存の法則をもとにして解くという点では、同じです。
問題演習を進める際には、「なぜ、こういう考え方ができるのか」といった、
根底の部分を重視されることが大切です。




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168、コツコツを続けるためのコツ
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「気象予報士試験の受験勉強のコツを教えて下さい」と聞かれれば、
私は「コツはコツコツです」とお答えします。

「コツ」という言葉には、「ゴルフ上達のコツ」「物件選びのコツ」など、
「最小の労力で楽に行う方法」といったイメージがありますが、
「コツ」を漢字で書くと「骨」です。
それを行ううえで絶対に必要な要素を「コツ」と呼ぶわけですね。

勉強を進めていく際において根幹となるのが「コツコツ」、
つまり、継続的に学習を行っていくことだと私は考えているわけです。
簡単なように見えて、かなり大変なことです。

「人の噂も七十五日」という諺がありますが、これを別の側面から見ますと、
1つのことに関心を持ち続けることの難しさを意味しているように思えます。
同じ勉強を続けていくことは、根気が要ることです。

では、「勉強をコツコツと続けていけるためのコツ」は何でしょう?
それに対する答えは1つではありませんが、
「勉強の進捗を日々実感できること」は大切なことだと思います。

長い時間をかけて、書物や問題と格闘しても、
「・・・よく分からんな」という気持ちしか残らなければ、
明日も勉強を進めていこうという気力が湧かなくなるのは当然です。
進捗が感じられない中で、意地で勉強を続けることは、
多くの人にとって、かなりのストレスを感じることでしょう。

よって、受験勉強では、少しであっても前進を感じることが大切です。
「昨日まで分からなかった問題が、今日は解けるようになった。」
「昨日まで知らなかったことを、今日は知ることができた。」
本のページに換算したとき、半ページ分でも良いですから、
毎日の学習において、少しずつでも前に進むことができれば、
その達成感が、明日の学習の原動力になります。

レベルアップを実感できれば、受験勉強は趣味的要素を帯びてきますので、
「強い意志を持ってやり遂げる」という色彩が薄まってきます。
これが「勉強が軌道に乗る」という状況であり、
難度が高く、ある程度の長期的な勉強を進めていくためには、
上手く軌道に乗せられるかどうかが、カギになると言えます。





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169、分析から学習課題が見えてくる。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■もう一度冷静に敗因を分析してみて、
> わかったことは「わかったつもり」だったということでした。
> そこでやったことは、①問題文が何を問い(意図)、
> ②答えがどのように述べられ(正解)、
> ③どうしてそのような解答になるのか(解説)の
> 3つの「つながり」に徹底的にこだわりました。

この体験記からは、失敗から学ぶことで、勉強法に改善を加え、
それを実行していくことの大切さを知ることができます。

「とにかく時間をかければ良い」と、
ただ闇雲にガリガリと勉強を進めていても、
それが必ずしも、十分な効果を生み出すとは限りません。

同じ労力を使うのであれば、できるだけ多くの学習効果を得たいですね。
そのためには、現状における課題を丁寧に洗い出すことが必要です。
課題が見えてくることで、成すべきことも明らかになってきます。

この点を意識せず、ただ机に向かうだけ、ただ本を広げるだけでは、
 ・すでに理解できている事柄を何度もなぞっている。
 ・理解できていない部分を無意識に飛ばしている。
といったことの繰り返しになる恐れがあります。

ここで指す「現状の分析」というのは、
言ってみれば、「自分自身のあら探しをする」ということであり、
あまり気持ちの良いものではありません。
場合によっては、今までの努力を「徒労」と認識することもあるわけで、
それは、とても辛いものです。
ですから、意識的に「やってみよう」と思わない限り、できないのです。
しかし、克服すべき点を明確にすることは、
受験勉強のゴールである「合格」までの道筋を明らかにする作業でもあり、
とても大切なことだと私は考えます。

上記の体験記における「3つのつながり」は、
実技試験を攻略するために大切なことです。
このような方針を立て、題意の把握から答案文の作成までを、
常に意識的に捉えながら勉強を進めていけば、
題意の認識が不明瞭なまま、感覚的にキーワードらしきものを繋げて、
答案文を作成するといった方法よりも、
短期間で実力を高めていくことができるはずです。

限られた勉強時間を有効に活用するためにも、
行うべき学習内容を明確にしたうえで、合格への道を歩んでいきましょう。




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170、時間をかけるからこそ、効率を考える意味がある。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■実技問題過去問演習は休日にまとめて各回2題を2~3時間かけて何回も解いた。
> 勉強時間は2年半で1500時間以上に上る。


世に勉強法の類について書かれた本は数多くあります。
しかし、なんだかんだ言って、机に向かわなければ、
本を開かなければ、勉強は進みません。

「時間をかけさえすれば良いというのものではない。学習効率が大切だ。」
これは正しいと思います。

しかし、「効率」というのは、いくらでも高められるものではありません。
ですから、「時間をかけずに、劇的に実力を伸ばす方法」といった、
魔法のような学習術は無いと思っています。

そもそも、効率云々というのは、量的に充実してこその話です。
仮に、学習効率が1.3倍に高まったとしましょう。
これにより、1000の勉強量を1300の効果に変えることができます。
しかし、勉強量が100しかなければ、効果は30増えるだけです。

パイロットの世界に「飛行時間」というものがあるように、
受験勉強の世界でも、学習時間は大切です。
もちろん、1時間の勉強から得られる効果には個人差があり、
効率を考えることも大切ですが、
それは、学習量を充実させることの大切さを、否定するものではありません。

1500時間もの勉強量を重ねるのは、実に大変なことだと思います。
これを成し遂げるためには、ある程度の期間をかける必要がありますので、
中・長期的にわたって、モチベーションの維持が大切です。
学習意欲を失わずに、続けていけるからこそ、
山のような勉強量になるわけです。

このように、気象予報士試験の受験勉強には大きな労力を伴いますが、
「頭に汗をかいたぶんだけ、実力が高まる」という側面も持ちます。
たいていの勉強には、こういった性質があります。

世の中には、自分一人が頑張っても、
必ずしも進展に繋がらないことって、いろいろありますよね。
でも、資格試験の勉強は自分だけの戦いです。
自分で頑張ったぶんだけ、着実に階段を昇っていくことができます。
これが魅力だと私は思います。




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171、スランプを乗り越える方法を知る。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■私が気象予報士試験を目指す上で感じたことは、
> 「どんなことがあっても諦めない」ことです。


伝記や自叙伝を読むときに、私が大切に読む部分は、
「物事が上手くいかなかったときに、どのように解決したか」という点です。

想定していたことがズバリ的中し、トントン拍子で成功した、
というのも、読んでいて痛快です。
でも、それよりも、目の前に想像を絶する大きな壁が立ちはだかったときに、
試行錯誤のうえ、見事に乗り越えた話のほうが心に残りますし、
自分自身のためにも役立ちそうに思えます。

気象予報士試験で合格を勝ち取る際に、苦労はつきものです。
合格に至るまでの過程で、何の苦労も迷いも困難も無かったという人に、
未だ出会ったことがありません。スランプを経験して当然の世界です。

忙しくて充分に勉強時間が取れないことがあります。
難しい過去問題に直面して、途方に暮れることもあります。
試験対策として、どの程度まで学べば良いか迷うこともあります。
何となく勉強に気が乗らないこともあります。
精一杯の力を出し切った試験で結果が出ずに落ち込むこともあります。

気象予報士試験を征した人は、受験生活の過程で生じた、
これらの多くの障壁をぶっ壊し、乗り越えたということです。
障壁の前で立ち尽くしてしまった時点で、合格は遠ざかってしまいます。
つまり、挑戦を諦めたくなることが仮に10回出てきたとすれば、
10回とも解決できたからこそ、合格を掴めたわけです。

ですから、合格体験記を読むにあたって、
困難を解決した過程こそが、最も重要で役立つ情報であると思います。
合格するまで諦めないためには、歯を食いしばることだけでなく、
具体的なノウハウを知ることも大切だからです。




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172、勉強の成果は自分の言葉で残す。
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記憶というのは、かなり抜けやすいもののようです。
以前に解けた問題であっても、時間を経てから再挑戦してみますと、
まるで解き方が分からなくなっている、という経験がわりとあります。
イヤなことを忘れられるようになっているからこそ、
過去のことで腹を立てることなく、日々穏やかに過ごせるわけですが、
勉強を進めていくうえで、習得した知識を維持することは大切なことですね。

そこで私がお勧めしたいことは、インプットの学習において、
「読む」「聴く」だけでなく、「書く」を加えることです。
答案文作成などのアウトプットの学習であれば、
「書く」ことは当然ながら必要になるわけですが、
知識習得を目的としたインプットの場であっても、書くことは大切です。

例えば、「AはBである」という内容を学ぶとき、
文章を読んだり、講義を聴いたりして、
そのときは「なるほど納得」と感じても、後で忘れてしまうことがあります。
これは、多かれ少なかれ、誰にでも起こることだと思います。

そこで、「なぜ『AはBである』と言えるのか」を書き留めておくのです。
これは自分が納得に至った過程を、記録しておく作業です。
その時点では、「もう納得できたので、いちいち書く必要は無い」
と感じることもあります。
しかし、ここで書き残しておくことによって、
時間が経ってから復習をしたときに、威力を発揮するのです。

自分で書いた思考過程のメモが残っていると、
もし当時の記憶が薄れていても、「おお、そうだった!」と、
短時間で再び学習内容を蘇らせることができます。
しかし、メモも何も残っていない場合は、
「なぜ『AはBである』と言えるのだろう?」と頭を抱えることになり、
最初に勉強したときまで戻ってやり直す必要が出てくるのです。

私は、この方法で何度も救われています。
本を開いてみると、かつて自分が赤ボールペンで記した思考過程が残っていて、
今となっては、それを書いたことすら殆ど忘れているわけです。
しかし、そのメモを読めば、比較的容易に記憶を戻すことができます。
もし、メモが無ければ、ゼロから思索を積み上げねばならないところですが、
いわば「過去の自分に教えてもらう」ことで、早く理解が得られるわけです。

本に書き込みを入れることに抵抗がある方もおられると思いますので、
ノートにまとめるという方法や、電子データとして管理する方法もあります。
また、大きめの付箋紙に書いて、ページに貼り付けるというやり方もあります。
ただ、こういった学習は「手軽に行えること」が、習慣化を促しますので、
私は赤ボールペンで直接に記入するという手法を好んでいます。

「本への書き込み学習」をしていると、自分の記憶力の頼りなさを再認識し、
ますます、勉強内容を記録しておくことの大切さを痛感しました。
と同時に、自分の言葉で綴った「納得への過程」は、
再学習を行う際において、強力な手助けになっていることを実感しています。




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173、過去問題で資料の読み取り力を養う。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> 合計16回の試験を3周させることができ、ものすごく自信がつきました。

実技試験にも出てくる数値予報天気図が、ネットで見られる時代ですが、
試験勉強という立場から見たとき、
その有効度については懐疑的な立場を私は取ります。

確かに、明日や明後日の予想図を見ながら、
実際の気象状況の経過について確認していくことには、
学べることも数多くあるとは思います。

ただ、実技試験の勉強においては、資料解釈法を学ぶことが大切であり、
自分の読み方が「適切であるかどうか」を検証する必要があります。
1000枚もの予想図に目を通しても、その解釈が誤っていれば無意味であり、
それを修正する機会が無ければ、実力の向上には繋がらないわけです。

資料の読み取り方が正しいか検証するためには、
過去問題を活用するのが最もお勧めです。

過去問題には、実際の気象資料が出てきて、
その読み取りに関する問題がたくさん用意されています。
しかも、読み取りが正しいかどうかは、
問題に対する解答例を読むことで判断できるわけですから、
これほど適した教材はないということです。

また、過去問題演習とは、単に問題を解くことではありません。
極論すれば、「問題を解く」のが主目的ではなく、
「解いた答案を分析する」のが最大の目的です。
答案を分析することで、自分の課題が洗い出されます。
逆に言えば、こうした過程を経なければ、課題の発見は困難です。
そして、見つかった課題が多ければ多いほど、
実力の伸びしろが大きいことを意味しています。

過去問題演習は、繰り返して行うことが理想的です。
2回目の演習を行うことで、実力の定着度が確認できます。
時間に余裕がなければ、1回目に躓いた部分だけをピックアップして、
問題に取り組むという方法もあります。

こうした問題演習には、とても時間がかかります。
実力の高まりを実感できるのは、日単位でもなければ、週単位でもなく、
おそらく月単位という方が最も多いかと思います。
それだけ幅広く、かつ奥深い勉強科目なのですね。
実技試験の攻略に促成栽培法はありませんが、
大きな労力を払って身に付けた実力は、試験に合格した後も、
日々の天気図・予想図をチェックする際に大きく役立つはずです。




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174、受験勉強に必要な「選択と集中」
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受験科目の優先度は決めていますか?
「残すは実技試験のみ」という状況であれば別ですが、
複数の科目について受験の必要があれば、
どの試験の合格を優先させるか、作戦を立てておかれる必要があります。

全ての試験に合格することが理想であるのは言うまでもありません。
しかし、「何を望むか」と「実際に何ができるか」は別物です。
現時点での学習進捗を冷静に見極めることが大切です。

私がこういったことを言うのは、仮に完全合格が叶わなくても、
次回の試験で、何らかの結果を出すことが大切だと考えているからです。
入学試験や入社試験には、「三振」か「ホームラン」しかありませんが、
気象予報士試験には、「ヒット(学科1科合格)」もあれば、
「長打(学科2科合格)」もあります。
そして、合格された方の多くは、いきなり完全合格を狙ったのではなく、
まず塁に出ることを目標にして、勉強を進めていきます。

汗をかき、やりたいことも我慢して臨んだ試験で、何の結果も出なければ、
勉強を続けていけなくなる状況に陥る恐れがあります。
しかし、着実な進捗を感じると、「また頑張ろう」という気持ちになります。
小さな結果よりは、大きな結果のほうが良いに決まっているのですが、
大きな魚を狙ったがために、釣果がゼロになってしまうくらいであれば、
小さな魚を獲るための努力に切り替えるべきです。

勉強に投入する時間と労力を、結果に繋げていくためには、
「選択と集中」が大切だと考えています。
そもそも、「試験勉強」と名のつくものは、
全て「選択と集中」を意識した取り組みを心がける必要があると思います。

受験生が試験までに使える時間は限られています。
限られた時間を有効に使うためには、
取り組むべき課題に順序を付けることが求められます。

これまでの試験に10回出題された箇所は、
1回しか出題されなかった箇所に比べて、
優先して勉強せねばならないと考えるのが普通です。
全てを均等に、端から端まで学んでいくというのは、
「学問に対する姿勢」としては正しいのですが、
「受験勉強に対する姿勢」としては必ずしも正しいとは言えないです。

特に普段から忙しい方は、受験勉強の計画が遅れがちになる傾向があります。
学習計画に遅れが生じた際は、それを無理に取り戻そうとされるよりも、
目標そのものを修正されることをお勧めします。
長期にわたって受験勉強を続けられる環境こそが、
最終的に合格を勝ち取るために必要だと考えるからです。




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175、年末から年明けに感じたこと
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年末の大掃除をしていると、買ったものの未だに読めていない本や、
1ページだけ書き込んでホコリを被ったままのノートが出てきました。
掃除という作業は、部屋の中を綺麗にするだけでなく、
1年を振り返るための、自分自身の棚卸し作業でもあります。
「2011年にできたこと」と「2011年にできなかったこと」を確認することで、
新しい年に行うことが見えてきました。

実は全ての片付けが終わったわけではなかったのですが、
新しい年を迎えると、なぜか気持ちがリセットされたように感じました。
カレンダーが人間が作ったものに過ぎないので、
年が明けても、朝に東から日が昇ることに変わりは無いです。
でも、2011年12月31日の次の日が、2011年12月32日ではなく、
2012年1月1日となるからこそ、気分が新鮮になるのですね。

正月の新聞を見ていますと、「2012年の予定」が書いてありました。
5月21日には金環日食が起こるのですね。
毎日が忙しいと、目の前の事柄を処理することに追われてしまい、
長期的な視点で眺めることが難しくなります。
気象予報士試験の勉強も、年単位で目標を立て、月単位で進捗を確認し、
週単位で学習スケジュールをこなしていくのが良いように思います。
これから初めて試験勉強に取り組む方であれば、
8月の試験での一般知識試験合格を目標にされるのが良いでしょう。

1月の週末には私立中学の入学試験が行われることが多いです。
私も、かつて中学入試の指導(社会科)を行っていましたので、
日曜日の朝に、緊張の面持ちで電車に乗り込む子供たちを見ると、
校門の前で入試応援を行っていたことを思い出します。
彼らの受験は1シーズン限りです。「また来年に」はありません。
その年限りの大勝負に挑むプレッシャーは大きいことでしょう。
気象予報士試験も難関ではありますが、何度でも挑戦できます。
というか、難関なので、ふつうは何度も挑戦しないと受からないのです。
10回目の受験で、合格を勝ち取られた方がいます。
もし8回目の失敗で挫折すれば、もし9回目の失敗で諦めてしまえば、
合格証が送られてくることもなかったでしょう。
粘り強く挑戦することも、気象予報士試験では大切だと思います。




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176、快適な環境で試験を受けるために準備しておくこと
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以前にも書きましたが、試験直前において大切なことは、
持っている実力を100%出し切れるような環境を作ることです。

ギリギリまで過去問題と向き合う人もいるでしょうが、私は否定的です。
直前のバタバタ詰め込み学習ぐらいで合否が簡単に左右するほど、
気象予報士試験は底の浅い試験ではないからです。

参考書や過去問題を見ると、必ず分からない点が出てくるものです。
それが不安感・焦燥感を引き起こし、平常心を揺さぶるため、
問題文の指示を読み飛ばしてしまう、といったミスにつながりかねません。
もし直前勉強をするのであれば、すでに学習した内容に限定し、
A4用紙1枚ほどの量をチェックする程度に留めておかれたほうが良いです。

そもそも、今までに十分な受験勉強を行ってこられたのであれば、
直前でオロオロすることも無いはずです。
そして、いかにして平常心で試験に向き合えるかを考えることになります。

冬の試験の場合は、試験会場での体温調節が大切です。
暖房機の真下や真横と、教室出入り口付近や窓際では、気温が違います。
そこで、脱いだり着たりしやすい服装をお勧めします。
例えば、タートルネックのセーターよりも、
前にボタンが付いたカーディガンのほうが良いと思います。

また、自分にとって室内の温度が適切かどうかは、
ある程度の時間にわたって、その席に座っていないと分からないものです。
例えば、冷たい風が吹く中を歩いて試験会場に入れば、
そのときは「暖かくて心地良い」と感じても、
20分も30分も教室にいれば、少し暑いと感じるようになるかも知れません。

ですから、時間に余裕を持って会場に着くようにするのが良いのです。
試験が始まってしまえば、服装が汗ばんできても、足下が冷えると感じても、
ヘンな動作をするわけにはいきません。
早めに教室に入っておき、漫画雑誌でもめくりながら、
「暑すぎず・寒すぎず」の環境を整えることが大切です。

さらに、寒い季節の試験で特に大切なことが、もう1つあります。
寒い中を歩いていると、手が悴むことが起きやすいので、
試験が始まるまでに、使い捨てカイロなどを利用して、
手の悴みを解消しておくことです。

特に、実技試験は筆記量が多いため、この点は重要です。
コンピュータの普及で、手書きの機会が減っているだけに、
「手が悴んで上手く字を書けない」という場面が少なくなっています。
このため、実際に鉛筆を持つまで気がつかないこともあるわけですが、
この点についても、早めに試験会場に入ることで解消できることでしょう。




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177、問題演習は基礎学習のあとで
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試験対策として、過去問題の演習を重視する人は多いことでしょう。
私自身も、本試験で正答を重ねるためには、
充分な過去問題演習が不可欠であると考えています。

と同時に、過去問題演習というのは、
それを行うのに適した時期がある、とも私は考えます。
これを考慮せずに、闇雲に問題演習に取り組むことは、
効率的な受験勉強を行ううえで、必ずしも得策ではないという意見です。

例えば、「二酸化炭素は温室効果ガスである」という、
正誤問題が出されたとしましょう。もちろん、この問題は正しいですね。
仮に誤った場合も、解答を参照することで、
「二酸化炭素は温室効果ガスである」という知識を習得することになります。

これだけを考えますと、基礎学習を経ずに、
いきなり問題演習を始めても、知識を習得していけそうに思います。
しかし、この方法には大きな注意点があります。
それは「問題演習では知識を体系的に習得できない」ということです。

演習で「二酸化炭素は温室効果ガスである」という知識は習得できても、
ここから派生した「メタンは温室効果ガスである。○か×か?」
という問題には対応できないのです。

勉強の順序としては、まず最初の段階で、
「温室効果ガスには次のようなものがある。
水蒸気・二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・オゾン・フロン類など」
ということを学習しておくのが手堅いのです。

つまり、試験勉強では基礎事項の学習がとても大切だということです。
問題演習は、基礎学習の後で行うものであり、
その目的は知識定着の確認や、知識の応用的な使い方の習得にあります。

例えば、静力学平衡について学んでも、
それが試験で、どのように問われるのかは分かりません。
問題という形で尋ねられるからこそ、
静力学平衡について誤解していた部分があったことに気が付いたり、
実際的な式の使い方を学べたりするわけです。

しかし、問題演習を、基礎知識習得の場とするのは非効率だと考えます。
なぜなら、一般的に試験問題というのは、
膨大な知識の一部分だけを切り取る形で、出題されるものだからです。
イメージとして言えば、試験全体で1000という量の知識が必要だとして、
そのうち、毎回の試験では10だけが問題として出てくるのです。

つまり、過去問題を「習得した知識の確認」として活用するのは有効ですが、
そもそも基礎知識の構築を行うためには作られていないということです。
ですから、問題演習だけで基礎事項の学習を進めると、
断片的な知識が雑然と頭に溜まる、といったことになりかねないわけです。
基礎事項の知識に、隙間が多く見られる場合、
その隙間部分が試験で問われてしまえば、正答できる可能性は低くなります。

学科試験の合格には、原則として11問以上の正答が求められます。
過去に類題の無いような問題が出る可能性も考慮しますと、
ハードルは結構高いと言えるでしょう。
そのためには、少なくとも基礎事項とされる分野についての学習は、
できるだけ隙間なく、綿密に勉強するのが大切だと考えます。




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178、同志の存在を感じるから、1人で頑張れる。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■友達や先輩がとても応援してくれて、勉強するのが辛くなったときなどは、
> その応援が支えになって頑張ることができました。


基本的に「勉強とは1人で進めるものである」というのが私の持論です。
勉強会だ、意見交換会だといっても、結局のところ、主戦場は自分の机です。
それは、受験勉強というものが、
自分にとって未知なる知識を、自分の中に植え付ける作業であるためです。

ですから、集団で講義を受けていても、
頭の動きは、1人で書物や問題と格闘しているときと同じです。

本だけを使って勉強することを、しばしば「独学」といい、
講義などを通して勉強することと区別する場合があります。
しかし、両者は外部から情報を受け入れる方法が異なるだけであり、
本質的には変わらないと捉えています。

極端な例を挙げれば、博士10人に家庭教師となってもらい、
手取り足取りで、丁寧な講義・解説を受けても、
その内容を咀嚼して飲み込む作業を行うのは、
自分自身であることに全く変わりはありません。
つまり、この点においては、いかなる勉強も「独学」なのであり、
孤独な知的格闘の場であると言えるでしょう。

だからこそ、受験勉強では他人の力を借りることも大切だと考えます。
長期間にわたる受験生活では、好不調の波があります。

・難しい単元で、思うように勉強が進まない。
・試験で思うように実力を発揮できなかった。
・忙しい日が続いて、勉強習慣が崩れてしまった。
こうしたスランプを脱するためには、自分1人の力だけでなく、
周囲の力を借りたほうが良いというものです。
それが、同じ試験を志す仲間であれば、なお良いでしょう。

受験仲間とノウハウの交換ができるのも良いことですが、
実のところ、具体的なアドバイスが得られなくても、
受験での苦労を共有し合うだけで、気持ちは楽になるものです。
同じように頑張る仲間の存在を感じることで、
また1人で机に向かう気持ちが湧いてきます。




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179、スマートフォンは勉強にも使える。
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昨年(2011年)の12月に、スマートフォンに買い換えました。
実際に使ってみると、従来の携帯電話との違いは予想以上でした。
パソコンでしか見られなかったWebページも閲覧でき、本当に便利です。
特に、私は電話をあまり使わないので、たまに電話がかかってくると、
「あれ、この手のひらサイズのパソコンには電話機能も付いていたの?」と、
ヘンな驚きを感じるほどです。

ちょっとした時間を過ごすための玩具としても良い道具ですが、
これを勉強に使わない手はありません。
スマートフォンを活用すれば、従来よりも学習効率が高まるはずです。

スマートフォンの良い点は、その携帯性にあります。
家の外で勉強をする場合、持ち出せる勉強道具には限りがあります。
例えば、語学の学習をすることを想定してみますと、
テキスト・ノート・辞書など、結構かさばります。
「勉強は習慣づけることが大切」と、常々メルマガでも申し上げていますが、
習慣化するためのポイントは、面倒くささを極力取り除くことです。
勉強道具が多くなるほど、面倒くささが増し、
習慣づけるのが難しくなってしまいます。

例えば、パソコンで録音したNHKの語学番組をスマートフォンに入れ、
それを通勤電車で聴くという学習であれば、勉強道具は1つで済みます。
(スマートフォン自体で番組を録音できれば、さらに理想的です。)
出かけるときに、財布と携帯電話を忘れる人は少ないでしょう。
常に持ち歩く携帯電話の中に、勉強道具を収納できるからこそ、
勉強習慣も定着しやすいというものです。

音声だけでなく、映像で勉強するという方法もあります。
従来ならば、DVDに収録された講義を電車の中で視聴する場合、
ポータブルDVDプレーヤーを持ち込む必要がありました。
しかし、大きさや重さを考えますと、座席に座れることが条件であり、
つり革を握ったまま、立って視聴することは困難です。
しかし、スマートフォンに映像ファイルを入れることができるならば、
かなり混雑した車内でも、視聴は可能であると言えるでしょう。

さらに、スマートフォンをインプットの道具だけでなく、
アウトプットの道具として活用することも可能です。
スマートフォン用の折りたたみ式キーボードが売られており、
これを使うと、パソコン感覚で文字入力ができます。
つまり、外出先で実技試験の答案練習も可能だということです。

実は、私も折りたたみ式キーボードを使っています。
もともと携帯電話での親指を使った文字入力が苦手な私にとって、
スマートフォンに買い換えた動機が、このキーボードの存在でした。
折りたたみ式のキーボードは、広げると30cm近い幅があり、
通常使っているデスクトップ用のキーボードに比べると少々手狭ですが、
十分に実用に耐えられる性能を持っています。
無線なので、ケーブルを接続するといった面倒な操作も不要です。
先日も新幹線の中で、問題の解説を書き上げました。
このメルマガの草稿を書いたこともあります。

10年前には考えられなかった便利な道具がいろいろ出てきています。
これらを活用して、効率的な受験勉強を進めたいものです。




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180、大人の受験勉強は、持続力で勝負
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■基本的に平日は朝しか勉強はしませんでした。
> この朝勉はもう10年以上のキャリアになります。


学校を出て、気象会社に就職してから感じたことは、
「ああ、学生時代はのんびりしたものだったなあ」ということです。
春休みと夏休みがそれぞれ2か月、時間的には十分なゆとりがありました。
しかし、社会人になれば、毎日時間に追われることも多くなります。
その中で、新たなことを始めるのは容易ではありません。
まして、難しい資格試験の勉強を続けていくのは、本当に大変なことです。
1日1時間、いや1日30分であっても、
勉強だけに費やせる時間を確保するためには、いろいろと調整が要ります。

1日に使える時間が限られている場合、
試験合格までを長期的に捉える必要があります。
例えば、1日5時間勉強できる人は、1年で1800時間以上勉強できますが、
1日1時間しか確保できなければ、1年で確保できるのは、せいぜい400時間です。
この差が明確である以上、あまり早急な結果を求めようとすることは困難です。
「瞬発力」で勝負するのではなく、
「持続力」で勝負するのが、大人の受験勉強です。

私は、19歳のときに、奈良から北海道・宗谷岬まで、
自転車旅をしたことがあります。
北海道までフェリーで乗り付けて、道内だけを自転車で走る人は多いのですが、
「津軽海峡以外は全て自転車」というのは、わりと珍しがられたものです。
しかし、別に私は「鉄人」の体力を持ち合わせているのではなく、
特別な技能を習得していたわけでもなかったのです。
実に単純なことで、「朝から晩までペダルをこぐ」という作業を、
ただただ毎日続けただけのことなのです。

食事と休憩以外は、とにかく自転車を走らせます。
上り坂もあれば、向かい風の日もあります。
それでも、8時間も足を動かし続けていれば、
平均的な1日の走行距離は90km程度になりました。
これを続ければ、奈良からスタートして、
1週間で新潟に、2週間で青森に到着したのです。
特別な技術など何も要りません。
走り続けることさえできれば、奈良と青森が地続きであることを、
自分で確かめることができるのです。

大人の受験勉強も長旅に例えることができます。
ジェット機を駆使した短期集中型の勉強ではなく、
自転車旅行のように長い時間のかかる勉強です。
毎日、少しでもいいですから、ペダルをこぐ。
この習慣を定着させることで、走行距離は着実に伸びていきます。
「1日30分の勉強で何ができるか」と思われるかもしれません。
しかし、短い時間であっても、解決した疑問の数だけ、
少しずつレベルアップするのが、勉強です。
朝の日射しを受けながら、机に向かう習慣ができれば、
1日当たりの学習量が限られていても、
継続するに従って、その積算量は膨大になることでしょう。
特別な技能が要るわけではありません。
ただ、毎日ペダルをこぎ続けられるかどうか、というだけのことです。




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181、「お付き合い宴会」との上手な付き合い方
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お花見や歓迎会・送迎会など、春は宴会の多い季節です。
気心の知れた仲間と飲食を共にしながら、語り合うことは楽しいものですが、
中には「お付き合い」で出席せねばならない宴席もあります。
忙しい日々の中から少しずつ削り、勉強時間の確保をしている人にとっては、
度重なる宴席を少々疎ましく思う人もいるかも知れません。

また、私もそうですが、体質的にアルコールに弱い人にとっては、
体調面での影響を気にされることも多いと思います。
酔ってしまうと頭が働かなくなり、頭痛が起こることもあります。
また、夜遅くまでの酒席で朝起きられないといったことにもなりやすく、
朝からの受験勉強を日課としている人は、
生活リズムの調整に、苦心されることでしょう。

かつて私もサラリーマンだったので、よく分かりますが、
宴会に出席しないことは、何となく後ろめたいものを感じたものです。
ですから、「これも仕事の一部や!」と言い聞かせて参加するわけですね。
確かに、組織・チームの一員である以上は、和を乱したり、
非礼な行動をとったりすることは、なるべく避けるべきものです。
ですから、メインの宴席(いわゆる「一次会」)には、
できるだけ顔を出したほうが良いと思います。
しかし、二次会・三次会などは、参加したい人だけが行けば良いのであり、
不必要に気を遣うのは疲れるだけです。
堂々と「お先に失礼します」と言って帰宅すれば良いのです。
私自身も二次会に参加したことは、ほとんどありません。

「あの人は付き合いが悪い」と思われたくないがために、
宴会に出席するというのは辛いことです。
ここは発想を変え、「付き合いの悪い人」になっちゃうのも一つの方法です。
「あいつは二次会でも、三次会でも、どこまでもついてくる」
と認識されてしまうからこそ、周囲の期待値も高くなってしまうのであり、
それに反した行動を取ることが難しくなります。
日頃から「付き合いの悪い奴」と思われれば、周囲の期待値は低くなり、
「あの人いつも二次会に出ないから」という認識になります。

こうした付き合いの悪さをカバーする方法もあります。
その1つは、他人が面倒臭がるような用事を時々進んで引き受けることです。
例えば、お花見であれば、会場の選定・場所取りから始まって、
料理や飲物の注文、紙皿やコップなどの買い出しを行うのです。
今まで私自身も、宴会の幹事役を何度も経験していますが、
店の予約・出欠の確認・会費の徴収など、いろいろな雑務があるものです。
しかし、人の嫌がる仕事を時々引き受けるからこそ、
少々の個人的なワガママも大目に見てもらえるというものです。
また、幹事は宴会中も雑用に追われることになりますので、
特にアルコールの苦手な人にとっては、
苦手な酒もあまり飲まずに済ませられるかもしれません。

また、私も実践したことがありますが、送迎会に出席する代わりに、
直接に贈り物をすることで個人的に謝意を伝える方法もあります。
(同じ予算なら、ネクタイよりハンカチのほうが良いものを用意できます。)
要は宴席に出ることだけが「誠意」や「礼儀」ではない、ということです。

世の中には、「暗黙の掟」のように見えるものがありますが、
実際には、工夫次第で自分の都合の良い方向に運用できることもあります。
また、「鉄の掟」だと勝手に自分自身が解釈しているだけで、
単に周囲の目を過剰に気にし過ぎているだけかも知れません。
考えてみれば、去年の花見で、誰が来ていて誰が来ていなかったかなど、
正確に覚えている人は、ほとんどいないはずです。

肩の力を抜いて、「ほどほどの付き合いで良い」と割り切ってしまえば、
宴会に対するストレスも小さくなり、気分良く過ごせるように思います。




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182、気象庁ホームページを活用する。
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■気象庁のホームページを閲覧することから始めました.
> (中略)
> 10日間位で気象庁のホームページを隅から隅まで読破し,
> 自分なりにノートにまとめてゆきました.


気象庁のホームページを試験勉強に活用することは、
次の3つの利点があると、私は考えています。


1,情報が正確

気象予報士試験の中でも、特に専門知識試験では、
気象庁の業務内容について問われることがよくあります。
具体的には、観測業務と予報業務です。

どのような観測を行っているのか、
どのような種類の予報を発表しているのかは、
気象庁のホームページに、細かく掲載されています。
知識の内容に不安を感じたとき、気象庁のホームページで確認すると、
その正確性を判断できることがよくあります。


2,具体的な資料がある

「異常天候早期警戒情報」「雷ナウキャスト」など、
気象庁ではさまざまな情報を発表していますが、
それらの内容をしっかり頭に定着させるためには、
本物の資料に接することが大切です。

受験勉強として学ぶ場合、短い言葉での説明を頭に叩き込む、
といった学習法になりがちですが、
実際の資料を閲覧してこそ、説明文の内容も頭に入りやすくなり、
学習を効率的に進めることにつながるはずです。


3.最新情報をチェックできる

技術革新や制度変更に伴って、
観測業務や予報業務には、少しずつ変化が見られます。
専門知識試験では、新たな業務内容が出題されることもある一方で、
すでに廃止された業務については出題されなくなります。
つまり、過去問題の内容が、全て現在でも有効だとは限らないわけで、
その点を整理したうえで、勉強を進めることが大切です。

こうした新しい情報は、気象庁のホームページで公表されることが多く、
定期的にチェックすることが大切です。




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183、?をどこまで追求すべきか
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ある会社の社長と、採用面接に関する話をしていたときのことです。
その会社では、社長が全ての応募者の面接をすることになっており、
採用シーズンは実に忙しそうでした。

「1人1人と話をするのは大変でしょう?」と私が尋ねると、
「いや、話をすること自体は、案外楽なものなんや。」と仰いました。

「履歴書に書いてあることを、本人に聞いてみればええ。
 そのときに返ってきた答えについて、さらに深く聞いていくことで、
 いくらでも話を掘り下げていくことができるのや。」

つまり、例えば「趣味:音楽鑑賞」と書いてあった場合、
「どんな音楽が好きなのか?」→「クラシック音楽です」
「クラシック音楽の中で特に好きなのは何か?」→「ベートーヴェンです」
「ベートーヴェンのどの曲が好きなのか?」→「やっぱり『運命』です」
といった具合に、応募者の回答の中から次の質問を作っていき、
それに対する受け答えの内容から、採用の是非を判断しているのことでした。

こうした話をふと思い出したのは、今冬の寒さが厳しかった理由について、
気象庁の資料を読みながら、頭の中で整理しているときでした。
(報道発表資料「平成24年冬の天候と大気の流れの特徴について」)

「2011年~2012年の冬において、寒さが厳しかったのはなぜか?」
「日本付近に強い寒気が流れ込んだためである。」
「なぜ日本付近に強い寒気が流れ込んだのか?」
「日本付近での偏西風が南に蛇行したからである。」
「なぜ偏西風の蛇行が大きくなったのか?」
「インド洋東部~インドネシア付近での対流活動が活発だったからである。」
「なぜその領域での対流活動が活発だったのか?」
「ラニーニャ現象が起こっていたからである。」
「なぜラニーニャ現象が起こったのか?」
「・・・・・・・。」

ここから分かるのは、真理の探究には終わりが無いということです。
ある事柄について「なぜ?」が明らかになっても、
「では、そうなるのはなぜ?」が次に出てきます。

どんな種類の勉強でも、「深み」を持ち合わせていますので、
資格試験の勉強を進める際には、「不必要な深掘り」に注意せねばなりません。
「なぜ?」を追求する姿勢は大切ですが、
全ての「なぜ?」を解決することは不可能なのであり、
予めそれを十分に認識しておくことが大切です。

気象予報士試験の勉強は、幕の内弁当と似ています。
幕の内弁当には、煮物・揚げ物・焼き物・ご飯・香の物・果物など、
いろいろなものが少しずつ入っています。
同じように、試験ではいろいろな分野から少しずつ問題が出されますから、
特定の事柄についての深掘りに、労力と時間を使いすぎることの無いよう、
全体をまんべんなく勉強していくことが大切です。

掘り下げ方の目安となるのは「過去問題が解けるかどうか」です。
ある問題を解くための知識を備えているかどうかを、
必要とされる勉強の深さを測るための物差しにされると良いでしょう。
効率的な受験勉強のためには、これを意識的に行うことが大切です。
深く探求したいことは、試験合格後に取り組まれれば良いのです。




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184、過去問題の調達方法
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学科試験であれ、実技試験であれ、
勉強に過去問題が手放せない、という状況になれば、
いよいよ本格的な受験対策に突入したと言えます。

過去問題は、合格を勝ち取るまで必ず手元に必要ですし、
書き込みをするようなこともあるでしょうから、
図書館で借りているわけにはいきません。
自分専用の過去問題を用意することが大切です。
今回は、その入手方法をご紹介しましょう。

数ある過去問題の中からより抜く形で構成された問題集は、
いろいろな分野の問題にあたってみることができます。
例えば、成山堂書店から毎年出されている、
『気象予報士試験精選問題集』は、学科・実技の問題が1冊に収録されています。
幕の内弁当のように、いろいろな問題が少しずつ入っていますので、
最初の1冊として適していると思います。

また、過去問題をタダで手に入れる方法もあります。
一般財団法人気象業務支援センターのホームページでは、
問題と解答例をダウンロードすることができます。
PDFファイルですので、スマートフォンやタブレットに入れることも可能です。
ただし、公開されているのは過去3年分だけであり、
解説は付いていないことに留意される必要があります。

解説付きの問題集は、試験回ごとに、
一般財団法人気象業務支援センターと東京堂出版から発売されています。
過去問題の演習量を充実させたい場合は、これらを揃えることをお勧めします。
ただ、少し以前に出された問題集ですと、品切れになっているものもあります。

そこで、古本であることを、それほど気にされないのであれば、
ネット書店のAmazonなどで、中古本を購入するのも一つの方法です。
Amazonの中古本は、価格が日々変動しますので、
安くなったタイミングを見計らって購入すれば、経済的です。

また、インターネットオークションを利用して、
中古本をまとめて落札するのも良い方法です。
1冊ずつ探して購入する手間も省けますし、
出品状況にもよりますが、落札金額を冊数で割った書籍単価は、
新品で買うときより、かなり安いことも多いです。

なお、気象業務支援センターと東京堂出版の問題集には解答用紙があります。
解答用紙を使って問題演習に取り組まれる場合は、
繰り返して演習することを考えて、コピーをとっておくのがお勧めです。




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185、実技試験の勉強は、検証→納得→再現
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実技試験は文系科目とも言えるなぁ、と強く感じます。
もちろん、気象学などの理科的知識は絶対に必要なのですが、
知識を言葉という糸で結びつける力も同じくらい大切なのです。
問題や資料を見て、解答要素は短時間で思いついたのに、
それを文章化することが難しい、とお感じの方も多いことでしょう。

実技試験では、問題文から題意を把握し、
解答要素をピックアップしたあと、指定字数に応じた表現でまとめます。
これは弁当屋さんが客からの注文に応じて、
オリジナル弁当を作ることと似ています。
指定された具材を、弁当箱に上手く収めることが大切ですが、
これがなかなか難しいわけです。

・注文していない具材が入っている。(余分な記述が入っている)
・具材が弁当箱からはみ出して、ふたが閉まらない。(字数超過)
・注文したはずの具材が入っていない。(必要な解答要素が抜けている)
・具材が傷んでいる。(記述内容に誤りがある)

もちろん、最初から良い答案を書ける人などいません。
答案作成の練習を進めることで、少しずつ上達していくものです。
その上達のために大切なことが、「検証→納得→再現」という流れです。

まず、「検証」には2つの作業があります。
・問題文と解答例を照らし合わせる。
・解答例と自分が書いた答案を照らし合わせる。

問題文が求めていることに対して、解答例ではどのように述べているのか、
この対応を1つずつ確認していきます。
そして、自分が実際に書いた答案は、解答例とどう違っているのかを確認し、
修正すべき点の有無を洗い出していくのです。
その後、問題に再び取り組み、理想的な答案を書くことが「再現」です。

この検証と再現において重要なのは、「納得できるかどうか」です。
解答例を見ても「ふうん、そんなもんかねえ・・・」という感触であれば、
まだ詰め切れていない部分がある可能性が高いです。
もちろん、解答例が100%正しいとは言い切れませんが、
たいていの解答例は模範解答と見なせるので、
納得できないのは、何か課題があると考えられるわけです。

納得を伴わない検証と再現の繰り返しは、単なる解答例の丸暗記です。
腑に落ちると、一種の清涼感を味わうことができますよね。
でも、納得のない丸暗記は、頭が疲れるだけの作業です。
そのうえ、本試験で少し捻った問題が出ると、応用がききません。

「再現」とは、答案を解答例に一字一句合わせることではないです。
検証において十分に納得できれば、書いた答案が解答例と違っていても、
「これは実質的に、解答例の内容と同じだと言える」
という判断ができるようになるはずです。





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186、試験勉強の優先順位を高める。
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春から気象予報士試験の勉強に取りかかった方にとっては、
そろそろ勉強開始から3か月が過ぎつつあるところです。
「上手く軌道に乗った」という方もおられれば、
「リズムがなかなか掴めない」という方もおられることでしょう。

勉強習慣を定着させることに苦労する背景として、
「○○が忙しくて、なかなか勉強時間を確保できない」ということが多いです。
これは、朝に目が覚めてから、夜に布団へ入るまでの間において、
人それぞれの優先順位があることを意味しています。
「○○が忙しくて勉強できない」は、
試験勉強よりも○○のほうが優先順位が高いということです。

おそらく、「試験勉強が1位」という方はおられないでしょう。
お仕事・家事・学校の勉強など、大切なことを多く抱えておられるはずです。

ただ、試験勉強の順位があまりにも低いと、
残念ながら、結果を出せる可能性も低くなってしまいます。
合格圏に入るためには、一定以上の学習量が必要であり、
その学習量は「集中度×時間」で決まります。
人の集中力には上限があるでしょうから、
勉強時間の長短は、学習量の多寡に大きく影響するわけです。

当然ながら、試験勉強の優先順位が低ければ、
十分な勉強時間を確保できないので、成果も出しづらくなるわけです。
ですから、難しい資格試験に挑むために大切なことは、
生活に差し支えの無い範囲で、試験勉強の優先順位を高めることが大切です。

具体的には、それまで受験勉強よりも上位にあったものを減らすことで、
相対的に受験勉強の優先順位を高めるということです。

これまでに合格を勝ち取られた方の合格体験記を見てみますと、
次のような実践例があります。

 ・サークル活動を休止する・やめる
 ・アルバイト量を減らす
 ・テレビを見るのをやめる
 ・テレビは録画したうえで、CMを抜いて見る
 ・長期休暇での旅行をやめる
 ・趣味を断つ
https://rojiura.jp/taikenki.html

注意したいのは、1日に使える時間は限られていますので、
今までの生活パターンを変えることをしないで、
勉強時間だけを増やすことは困難だということです。
これをすると、オーバーワークを生み出し、
長期的な学習計画が成り立たなくなる恐れがあるからです。
ですから、勉強時間を増やすことは、他の時間を削ることが必須となります。

言い換えれば、何かの優先順位を高めることは、
別の何かの優先順位を下げることと必ず連動します。
「優先度は全部1位」というわけにはいきません。
気象予報士試験に対する優先順位を高められることが、
合格のためにとても大切なことだと思います。




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187、受験生は「選手兼トレーナー」
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■自分の学習メモによると、1回目は10/22~12/21の60日間で、
> 2回目は12/22~1/14の20日間で、3回目は1/15~1/26の12日間で演習しました。


合格に向けた学習計画を立てる人は多いと思います。
試験日から逆算する形で、カレンダーを見ながら、
勉強のプランを練り上げる作業は、なかなか楽しいですね。

しかし、実際の学習結果を記録に残す人は、案外少ないようです。
本来、計画作成と実績評価はワンセットであるはずですが、
勉強成果の検証については、軽視されることが多いのです。

受験勉強では、1人で2つの役割が求められます。
それは、「選手」と「トレーナー」という役割です。
トレーナーが学習計画を立てて、選手がそれを実行し、
きちんと実行できているかを評価するのはトレーナーです。

専属の家庭教師を雇う環境でも無い限り、
受験生は「選手兼トレーナー」という1人2役なのです。
多分、これはスポーツ界でも同じであって、
「自分専用」のトレーナーを持てるほどの一流アスリートは、
競技人口のうちの、ほんのごく一握りに過ぎないと思います。

要は、受験勉強もスポーツも、自己管理能力が大事だということですね。
怠けてサボっているのは、論外ですが、
およそ達成できない目標を掲げた挙げ句、オーバーワークを招いてしまうのも、
セルフマネジメントが欠けているという点では、本質的に同じです。

ですから、気象予報士試験の勉強でも、学習計画の作成だけでなく、
実際にどのくらいの学習を進められたかについて、自分で把握し、
それを評価・検証することは大切なことです。

そのためには、毎日の学習成果を記録しておくことをお勧めします。
といっても、上司に業務日報を送るのではなく、
自分で知っておくためのものですから、ちょっとしたメモで良いと思います。
いつも手帳を持ち歩いている人は、手帳に書き込む形でも良いですし、
携帯電話のメモ機能や、ブログなどを利用しても良いでしょう。
ざっとした学習内容と要した時間を毎日付けておくだけで、
後から学習成果を振り返ることができます。
もちろん、何も勉強しなかった日は、「学習時間:0」と書いておくのですよ。

学習内容を振り返る習慣を付けておくことで、
受験生の自分を、トレーナーの立場で客観的に見ることができます。




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188、一人合宿のすすめ
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第38回気象予報士試験まで残り2か月を切り、
受験勉強の仕上げをそろそろ意識する時期です。

そんな中で、「試験日が迫る中、なかなか受験勉強が乗らない」
「自宅で勉強していると、いろんな誘惑に駆られる」
という方もおられるかも知れません。

気持ちを切り替える方法は、人それぞれだと思いますが、
一つの方法として「学習環境を変えてみる」ことが挙げられます。
その具体策として「一人合宿」を行うことを私は思いつきました。
実際の流れについて、以下にまとめてみますので、
「これは良い」と思われた方は、試してみて下さい。

「一人合宿」とは、自宅以外の一室に籠もって、
数日の間、試験勉強に専念することです。

具体的には、ビジネスホテルを利用することをお勧めします。
豪華なシティホテルは、サービスが行き届きすぎていて、
禁欲的な「一人合宿」には向きません。
ルームサービス・温泉・エステ・マッサージなどは無いほうが良いのです。
ベッドの他には、勉強できる机と椅子があれば十分です。
なお、部屋によっては、照明が暗い場合もありますので、
「夜に書き物をしたいので、明るい電気スタンドの付いた部屋はありますか?」
と事前に確認しておかれると良いでしょう。

宿泊数は、少なくとも2泊以上が必要です。
1泊ですと、睡眠・風呂・食事などの時間を除けば、
チェックインからチェックアウトまでに、十分な勉強時間を確保できません。
連泊すると、その間は昼間も部屋に滞在できる場合が多いので、
例えば2泊する場合、2日目は朝から晩まで勉強に専念できます。
連泊によって割引を受けられるホテルもあるようです。

ビジネスホテルの手配ができれば、
スーツケースに勉強道具一式を入れて、合宿場に乗り込みます。
勉強に専念するための数日間ですから、遊び道具になりそうなものや、
無駄な大金を持ち込まないことも大切です。
外出は3度の食事のときだけで、起きている間は基本的に机の前です。
人気作家がホテルで缶詰になるのと同じようなイメージです。

多くの社会人にとって、普段の生活においては、
何時間も勉強を続けることは、なかなか難しいと思います。
しかし、実技試験の演習などでは、長時間集中できる環境が大切であり、
だからこそ、こういった場を設けるのは良いことだと言えます。
そして、この一人合宿の経験が、普段の勉強に生かせるのが理想的です。
10月の合格を目指して、充実した夏を過ごしていきましょう。




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189、夏休みにゼロから始めて軌道に乗せる。
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駅や電車の中で、大学のオープンキャンパスの案内を目にしますが、
最近は就職実績や資格取得など「実学志向」を強調する大学が多いですね。

もちろん、研究者を志す道もありますが、
卒業後に就職を希望する人のほうが圧倒的に多いです。
ですから、真理の探究だけに時間を費やすことに対して不安を感じ、
もっと実際的な知識や技能を身につけたいと考える人が多いのも頷けます。

そうした時代の流れもあってか、気象予報士試験の受験生も、
若い方の割合が大きくなったように思います。
私が受験生のときは、試験会場で自分が浮いているような気がしましたが、
今は若い受験生が随分多くなったように感じます。

社会人に比べて、学生は時間の融通が利きやすいと言われますが、
学期中はかなり忙しい人も多いようです。
メインの学業に取り組みつつ、資格試験の勉強を進めるわけですから、
これは相当に大変なことです。

こうした状況において、試験勉強を上手く軌道に乗せるために、
学生の特権である「長い夏休み」を最大限に活用することをお勧めします。

気象予報士試験に限らず、どんな勉強科目でも、
取り組み始めた時点では分からないことだらけです。
基礎事項の概念を習得したり、重要語句を覚えたりして、
まずは足場を固めるという学習が、一定期間求められます。

こうした基礎学習は、必ずしも面白いと思えるものではないです。
例えて言えば、まだ野球のルールを十分に理解していない状態では、
野球観戦をあまり面白いと感じられないのと似ています。

知識が増えてくると、蓄積された知識どうしの繋がりが見えてきます。
このとき、ある事柄をスムーズに順序立てて説明できることに気が付くと、
そこに「なるほど」という面白さを感じることができます。

このように、基礎が固まることで、面白さが見えてくると、
「もっと勉強して、その先を知ってみたい」という意欲が出てきます。
これが「軌道に乗る」という状態です。
逆に言えば、軌道に乗るまではエンジンを噴射し続けなければならず、
そのためには、ある程度のまとまった時間を用意することが理想的です。

長い夏休みを活用して、まとまった学習時間を確保し、
生コンをどんどん流し込むイメージで、基礎をガッチリ構築していきます。
これにより、いったん軌道に乗せることができれば、
大学の勉強などでまとまった時間を確保しにくくなっても、
スキマ時間を見つけて少しずつ進めていくことが可能です。

初めて気象予報士試験に挑戦する場合でも、
このようにして、夏の間に基礎事項をしっかり固めれば、
秋から冬にかけては過去問題演習で実践的な学習に進むことができます。
もちろん、これは勉強の進み具合にもよりますが、
翌年1月試験での一般知識試験合格も射程範囲に入ってくることでしょう。




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190、範囲を絞り込んで、苦手分野を克服
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いよいよ試験が近づいてきました。
お盆休みに集中して勉強に打ち込まれる受験生も多いことでしょう。
夏試験直前のお盆休みと、冬試験直前の正月休みは、
勉強の仕上げのために、まとまった時間を確保できる最後の機会です。

試験直前での勉強で、心がけたいことがあります。
それは学習範囲をできるだけ絞り込んでしまうことです。
試験までに残された時間は、もう決して長くなく、
マラソンに例えると、35km地点を過ぎているといったイメージです。
今までの学習の成果が、試験に概ね反映されると言えるのであり、
これからの勉強で大逆転劇を繰り広げることは、かなり難しいです。

現実的に考えて、取り組める勉強時間は限られていますので、
苦手な単元だけに絞り込んだ学習をお勧めします。
例えば、一般知識試験であれば「気象法規」、
専門知識試験であれば「数値予報」といった具合です。
学習範囲を広げすぎると、あちこちを行ったり来たりすることになり、
表面をなぞるだけの浅い勉強になってしまう恐れがあります。
十分な理解に伴う手応えが得られず、
「まだ勉強できていない部分が山ほどある」
という焦りの気持ちだけが残ってしまうのは残念です。
特定の単元だけに絞り、基礎事項の確認、
過去問題の再演習を行い、実力を固めることにしましょう。

また、これからの時期は、試験に合わせて生活習慣を整え、
体調を崩さないように心がけたいところです。
冬のように、インフルエンザに罹る可能性は低いですが、
暑い時期ですので、夏バテ・胃腸の不調を起こしやすい時期です。
突貫工事のような受験勉強をして、直前で体調を崩してしまうと、
不調のままで試験に臨むことになり、
明らかに不利な戦いを強いられることになります。
体調管理も実力のうち、と言えるでしょう。




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191、緊張の先に合格がある。
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今までの試験勉強、お疲れ様でした。
あとは、試験当日に普段通りの実力を発揮できるかです。
落ち着いて問題文を読み、平常心で解くことができれば、
ミスを最小限に減らすことができるはずです。

でも、真剣に合格を目指す方ほど、強い緊張感に襲われるのですね。
時間に余裕を持って出かける、直前に知識を無理に詰め込まない、
といったことも大切ですが、緊張を完全に取り除くことは難しいです。

合格を勝ち取られた受験生も、緊張感に押されながら試験を受けていたのです。


> ■本試験当日、合格しなければ、というプレッシャーから
> 実技1開始直後は極度の緊張感から指の震えが止まらず、
> 字が上手く書けないほどでした。


> ■試験では、緊張のあまり前日は眠りが浅く昼食ものどを通らないほどだった

> ■実技試験になると、やっぱ結構はじめは緊張しました。

> ■緊張しすぎて朝4時に目が覚めてしまいました。

> ■私もそうでしたが、試験前はかなり焦るし、緊張してくると思います。


「緊張してはいけない」と思うと、余計に固くなってしまいます。
「会場の受験生はみんな緊張している」と思えば、少し楽になるはずです。
強い緊張感に襲われたときは、ゆっくりと深呼吸しましょう。
今までの勉強の成果が十分に発揮できることを願っています。


> ■ホテルを早目に出て試験開始1時間前には会場に到着.
> 心地よい緊張感に包まれて,いきものがかりの曲を聴きながら,
> さあ頑張ろうと試験開始を待ちました.





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192、第38回気象予報士試験を振り返って(学科)
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一般・問1は、平成19年度第2回の一般問1とよく似ていました。
過去問題演習が大切なことを改めて実感します。

一般・問2は、気層の気温減率と、
乾燥断熱減率・湿潤断熱減率との違いを問うています。
正しく解答するためには、気層の温度分布と、空気塊の上昇に伴う温度変化、
両者の概念の違いを明確に区別できている必要があります。
熱力学分野の学習で躓きやすいポイントを鋭く突いた問題と言えます。

一般・問5は、放射平衡について、
式を使って学習することの大切さを感じる問題です。
「受け取る太陽放射量=放出する地球放射量」について数式を使って考えると、
アルベドやステファン・ボルツマンの法則の復習もできます。

一般・問6は、温度風の理解が必須ですね。
「○○風」という用語は、いくつもありますが、
温度風は実体として吹く風ではない点が、少しややこしいです。
温度風を理解するためには、温度分布と等圧面高度との関係が大切なので、
私は講義や教材で立体図形を書きながら、温度風の説明を行います。
温度風は、平成18年度第2回・平成19年度第1回の実技試験でも出ています。

専門・問2は、レーダーとウィンドプロファイラの組み合わせが興味深いです。
下向きの大きな鉛直速度が、降水粒子の落下を示すことについては、
平成23年度第1回の専門問2でも出題されましたね。
冬型の気圧配置で、雪雲が流れ込んでくるときのレーダー画面を、
気象庁ホームページなどで確認したことがあれば、
この問題を解くためのヒントになったはずです。
教科書の学習だけでなく、実際の資料を目にすることも大切ですね。

専門・問3では、ドップラーレーダーに関する問題でした。
観測された動径速度から、風の流れを読み取る問題は、
前回の平成23年度第2回の専門問3でも出てきた内容です。
ある程度の慣れが必要だと思いますので、過去の類題での学習が大切です。




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193、第38回気象予報士試験を振り返って(実技)
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今回(第38回試験)の実技試験について、
 1.問題の量が多い。
 2.学科試験で勉強した知識が数多く問われている。
という2つの点に私は着目しました。

まず、1についてですが、
「実力」と「問題を解く速さ」は概ね比例する、というのが私の感覚です。
別の言い方をすれば、実力以上に速く解くことはできない、ということです。
急いで解くと雑な答案になり、正答率が下がってしまうので、
結局のところ、解ける量に大きな違いはなくなります。

速くかつ正確に解こうとするためには、
 ・問題文を読んで題意を把握する。
 ・参照すべき資料を見つけて、その内容を読み取る。
 ・思い浮かんだ解答要素を答案という形にまとめる。
これらの頭の働きを短時間で行う必要があります。

最初は誰でも無駄な動きが多いので、時間がかかりますが、
実力が高まるにつれて、それが削れていきますので、
速く解答できるようになるのです。


次に、2についてです。
実技試験は、学科試験の内容が土台になっているため、
学科試験で問われるような知識も、実技試験では出題されます。

今回の第38回試験であれば、実技1の問4において、
対流不安定や静力学平衡に関する知識を問う問題が出ました。
両者とも、これまでの実技試験で何度も出題されていますが、
対流不安定について、ここまで鋭く問われたのは初めてだと思います。
学科試験のように、記号選択式の解答ではなく、
文や作図という形で答える必要があるため、
理解の曖昧な部分が答案に反映されます。
この点において、実技試験はよりレベルの高い問題が出ると言えます。

専門知識試験に関する内容についても、実技2において、
台風情報に関する知識、警報に関する知識が出題されました。

学科試験の合否に関係なく、実技との関係の深い単元については、
丁寧に学んでおかれることが大切です。




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194、課題の洗い出しと解決こそがレベルアップへの道
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「過去7~8年分を3回転」は、以前から私が推奨している、
実技試験の過去問題演習量を指しています。

毎回の試験で2題出題され、試験は年2回行われるのですから、
「過去7~8年分」は、およそ30題となります。
30題を3回転すれば、のべ90題ということで、これは大変な量です。

これだけを見てみますと、「とにかく量をこなせ」という意味に取れますが、
もちろん、真意はそれだけではありません。
特に「3回転」という意味については、
「3回も繰り返してやっていれば、そのうち頭の中に入るだろう。」
といった受け身的な姿勢ではなく、
「3回以内の演習で、この問題を全てモノにする!」
といった取り組み方が大切だと思っています。

では、そのための具体的な方法について、述べることにしましょう。
問題演習で最も大変なのは、1回目の演習です。
なぜなら、1回目の演習では、解決すべき課題がボロボロ出てくるからです。
実は、問題演習を行う目的は、この「課題の洗い出し」にあります。
私が「調べながら問題を解いてはいけない」という姿勢を取るのも、
課題の洗い出しができなくなってしまうためです。

丁寧な答案分析を行えば、数多くの課題が出てきます。
これらを1つずつ解決していくこと、これが勉強です。
実のところ、「問題を解く」「丸付けをする」といったことは、
勉強というよりも、むしろ作業に近いと言えます。
なぜなら、「知らないこと・誤解していたこと」を、
「正しく理解すること」こそが、レベルアップにつながるのであり、
その過程で頭に汗をかくことが勉強だと言えるからです。

実力の高まりは、課題の解決量によって決まります。
10個しか解決できなければ、10しか上がりません。
1000個解決できれば、1000のレベルアップです。

こうして、できるだけ多くの課題を解決すれば、
2回目の問題演習は、1回目に比べて相当に楽になっているはずです。
これが、「勉強への手応え」というものですね。
「1回目の演習で取りこぼした部分を洗い出して補強する」というのが、
理想的な2回目の問題演習であると言えます。
そして、3回目の問題演習は、全体の最終確認という形になります。

もし、2回目・3回目の問題演習で躓く部分が多いのであれば、
洗い出された課題を十分に解決できていない可能性が高いです。
誤答部分の分析を怠り、単に「量をこなせば良い」という考えて、
何度も何度も問題を解くのは、十分な学習効果は期待できません。
強引に演習量を増やすと、解答例が頭に浮かぶようになりますが、
これは一種の単純暗記であり、適切な思考過程を理解しないままであれば、
本試験に対応できる応用力を付けるのは難しいです。

問題演習において大切なことは、問題に取り組むことだけでなく、
その過程で浮かび上がってきた課題を明らかにし、
課題を1つずつ克服していくことにあります。
こうした戦略を立てて受験勉強に挑めば、
貴重な時間と労力を最大限に活用できると、私は確信しています。




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195、実技試験で問われる「国語力」
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今回は、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■実技試験は物理と国語の試験を足して2で割ったような特徴があります。
> すなわち、気象業界特有の国語力、そして気象という物理現象を
> 日本語で記載する能力が問われていると思います。


「気象予報士」という資格名から、
理科系のイメージを強く持たれる方も多いと思いますが、
実際には、文系の素養も大いに重要です。

「物理と国語の試験を足して2で割った」という表現は、
実技試験の特徴を的確に表しています。

ここで言う「物理」というのは、学科試験で勉強する内容を指します。
学科試験の知識が、実技試験でも要求されるわけですが、
加えて「国語」の能力が問われるという点に、実技試験の難しさがあります。

よく、「解答要素は頭に浮かぶのだが、なかなか答案がまとまらない」
といったお悩みを耳にします。
これは「物理」が十分でも、「国語」に課題があることを示しています。

「国語」の部分、つまり答案作成能力を高めるためには、
実際に鉛筆を握って、答案作りを行うことが大切です。

学科試験の勉強は、どちらかと言えば「インプット型の学習」であり、
本を広げたり、講義を聴いたりすることで、知識を増やしていけます。
一方、実技試験の勉強では、インプットももちろん重要ですが、
「アウトプット型の学習」も不可欠です。

問題を見た後に、解答例を眺めて、「フンフンなるほど」と思っても、
実際に白紙の解答用紙を前にしてみると、鉛筆が動かないことがあります。
これは、「分かる」と「できる」の間に、距離があることを意味します。

実技試験の勉強では、自分で答案文を組み立てる練習がとても大切です。
最初の段階では、上手く言葉が出てこなくて、考え込んでしまうはずです。
それについても、鉛筆を握って初めて気が付くことなんです。

実技試験の解答例を見ますと、筋肉質な文が目立ちます。
「必要要素がキチンと盛り込まれていて、余分なものが無い」という意味です。
もちろん、最初から上手く書ける人などいません。
「上手く書けない」ことを経験することによって、
改善点を見つけ、語彙を増やし、少しずつ書けるようになっていきます。




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196、合格率は自分で高めるもの
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■合格率はコツコツ努力することによって自分で変えられるのです。
> こう考えれば少し気が楽になりませんか。
> モチベーションの維持にもつながりませんか。


資格試験にチャレンジするうえで、合格率はとても気になる数字です。
確かに、合格率は試験の難易度を把握するうえでの1つの指標ではありますが、
そこには、ある種の思い込みが生じやすいことに、注意される必要があります。

それは、「合格率」とは「受験生全体の平均合格率」という意味であり、
「ある1人の受験生が試験を受けたときの合格率」とは違うということです。
当然ながら、受験生の実力によって、合格する可能性は異なります。
勉強次第で、合格率は高くもなれば、低くもなるということです。

率直に言ってしまえば、「合格率が限りなくゼロに近い受験生」が、
おそらく試験受験者全体のうち、かなりの割合を占めていると思われます。
(多肢選択式ではない実技試験は、偶然による合格がまず不可能です。)

一方、少数に限られるものの、相当に高い合格率を持つ受験生がいて、
実際に、そういった人が合格を勝ち取っていく可能性が高いわけです。

もちろん、難関をくぐり抜けた試験合格者であっても、
勉強を始めた当初は合格率ゼロであり、
しかも、ある程度の期間にわたって、その状態が続くわけです。
それでもなお、勉強を続けていくと、合格率はゼロから離れ、
次第にその数値は高まっていきます。
つまり、受験勉強とは「合格率を高める過程」であると言えるわけです。

気象予報士試験は合格率5%前後の試験ですが、
これを「20人に1人だけ当たるクジ引き」に全受験生が参加する、
というイメージで捉えることは正しくないです。
「8割以上が当選する抽選箱」を引くことができるのか、
「ほとんど空クジしか入っていない抽選箱」を引くことになるのかは、
結局のところ、受験生次第だということです。

ですから、「合格率5%」という事実に対して、過大に恐れる必要は無いです。
受験勉強を継続していく決意と実行力が備わっていれば、
合格できる確率は、自らによって着実に高めていけるからです。




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197、「誤解を理解に変えること」が実力向上の秘訣
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

■自分なりに理解したことが正しいか否かを確認する方法として
NHK高校講座(地学、理科総合A・B)と
放送大学の「身近な気象学」(45分/1回x15回)を録画して利用しました。


勉強の過程において、正しい理解をしているかどうかを確認することは、
実力を高めるために、とても大切です。

特に、1人で本を読んで勉強する場合、著者に尋ねることができないため、
説明内容を自分の力で解釈して、頭の中に入れることになります。
また、著者の説明に少し飛躍があると、
行間の思考過程については自分で補う必要があります。
このとき、誤った理解であると、後々の学習で支障が出てしまいます。

実際のところ、理解の誤りそのものは頻繁に起こるものです。
丁寧に学習しているつもりでも、ちょっとしたボタンの掛け違いから、
内容を誤解してしまうことは、珍しくないです。
ですから、「誤解しないように勉強を進める」ことも大切ですが、
むしろ、後からの復習で自分の理解度をチェックすることのほうが重要です。

具体的には、自分の解釈が適切であるかどうかについて、
他の書籍や教材にあたったり、誰かに質問をするなどして、
確認をしていくことになります。

また、過去問題を解くのも、理解度の確認には必須です。
正しく答えられたと思ったのに、正答が得られなかった場合は、
何か誤解している部分が潜んでいるはずですから、
きちんと復習されることが大切です。

「実技試験の勉強がどうも上手く進まない」という場合、
熱力学などの基礎事項に不安要素が見られることが多いです。
誤った知識に基づいて答案を書いても、当然ながら正答にはなりません。
よって、面倒くさくても、知識の確認と再構築は重要であり、
回り道のように見えて、実は合格への最短ルートであると私は考えています。




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198、引き算の発想で勉強時間を確保する。
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。

> ■受験勉強中はパラグライダーからは離れました。
> 難関と言われるこの試験、やるからには“できるだけ短期で”が目標でしたから。


なるべく早く合格を勝ち取りたいのであれば、
勉強のために、できるだけ多くの時間とエネルギーを割く必要があります。

このとき、時間管理においては「引き算」で考えます。
勉強量を増やすためには、空き時間を用意する必要があり、
そのために何かに費やす時間を削らねばならないからです。
趣味に充てている週末の時間を減らす、友達と飲みに行く回数を減らす、
こうした引き算を行うことで、時間とエネルギーを捻出するのです。

1日の長さは誰にとっても24時間であり、
寝る時間を除いた実動時間に大きな違いはありません。
例えれば、持っているケーキの大きさに大差は無いということです。

ケーキを切り分けることは、時間配分を意味するわけですが、
「あれもこれも」という考え方で詰め込んでいくことは、
結局のところ、ケーキを細かく切り刻んでいく作業に他なりません。

「あれもこれも」ではなく、「あれかこれか」という考え方で、
優先度の低いものを取り除いていくことにより、
本当に確保したい部分をキープできるわけです。

私自身も、意識的にそういった選択をしたわけではないのですが、
高校時代、学校の勉強を可能な限り手抜きしたことが、
気象予報士試験の短期合格につながったように思います。
学校の勉強をサボった代償は、その後の人生で支払う羽目になったのですが、
試験合格という目標達成のためには、最善の選択肢だったと言えるのです。

もちろん、勉強においては学習効率を高めることも大切です。
ただ、効率は無限に高められるものではないので、
受験期間を長引かせたくないのであれば、
絶対的な時間を十分に確保することは必須であると考えます。

受験勉強のために、趣味を中断することは辛いものですが、
これを原動力にして、受験生活を早く終えることができれば、理想的ですね。





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199、受験勉強再開のすすめ
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今回も、合格を勝ち取られた方の合格体験記を一部引用して、
それに私がコメントを加える形でご紹介いたします。


> ■私が気象予報士試験に合格して感じた事は、
> 「何事も諦めずに継続すれば必ず成就する!」という事です。
> 1年前に勉強を再開しなければ、勿論今回の合格は無かったわけです。


気象予報士試験の合格を勝ち取るまでには、長い時間がかかりますので、
何らかの事情で勉強を中断してしまった方も少なくないと思います。

もし、今も資格取得に意欲をお持ちであれば、
機が熟した段階で、受験勉強を再開されることをお勧めします。
勉強しなければ、決して合格できない試験であり、
資格取得までの距離は、受験勉強のみによって縮まります。

勉強の再開を図るうえで、まず取り組んでいただきたいのは、
以前の受験勉強がなぜ続かなかったかを分析されることです。
時間確保が上手くいかなかったのか、教材との相性が合わなかったのか、
その理由は、人それぞれだと思います。
継続できなかった理由を洗い出し、それを解決しておくことで、
合格まで受験勉強を続けられる体制を整えたいものです。

なお、今までの学習進捗にもよりますが、
勉強の再開においては、これまでの学習内容を一度リセットして、
1からやり直すという方法も有効だと考えます。

記憶した内容は時間とともに少しずつ薄れていきますので、
中断期間が長いと、以前の学習で得た知識は断片的なものになります。
記憶の隙間がどこにあるのかを探しながら、1つ1つ補強していくよりは、
全体を最初からやり直したほうが効率的だと思います。

ブランクが長いと、勉強の再開に対して不安があることでしょう。
ただ、10年前と比べますと、市販書籍の種類も多くなっていますし、
演習するための過去問題数も豊富になっています。
気象予報士試験の勉強をするための環境は良くなっていると言えるのです。




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200、疑問解決ノートを作ろう。
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人間の記憶力は曖昧なもので、昔に読んだ本・見た映画の内容についても、
よほど印象深いものでない限り、きれいさっぱり忘れてしまっています。
だからこそ、以前に鑑賞したことのあるものでも、
時間を空けると、新鮮味を感じることができるのですね。

勉強内容でも同じです。どんどん忘れていきます。
勉強を進めていく過程で、とても残念で悲しいことは、
「どの部分で疑問を感じたか?」ということ自体を、
忘れてしまっているということです。

結局のところ、勉強とは、「知らない」を「知っている」に、
「分からない」を「分かった」に、
「誤解している」を「理解している」に変換する作業です。
ですから、「知らない・分からない・誤解している」を意識したときには、
それを大事にしてやる必要があります。
そこが、「実力の伸びしろ」になるからです。
効率的に受験勉強を行える人は、こういった点をどんどん炙り出していき、
片っ端から解決できる人です。

とはいえ、人間の記憶力には限りがありますので、
生じた疑問をいつまでも鮮明に記憶することは困難です。
そこで、「疑問解決ノート」を作ることをお勧めします。
実は、これは私自身が気象予報士試験で用いた手法でもあります。

私が行った方法は次のようなものです。
勉強の途中で生じた疑問をノートの左側に書き連ねていきます。
例えば、「乾燥断熱減率と湿潤断熱減率は、なぜ値が異なるのか?」
などと書いておくのです。

ノートは賢いです。時間が経っても、書いたことを記憶しています。
このノートを時々見返して、解決した疑問については、
ノートの右側にそれを書き込んでいきます。
例えば、先ほどの疑問が解決した際には、
「飽和した空気がさらに断熱的に上昇すると、凝結の際に凝結熱を放出する。
この加熱効果により、湿潤断熱減率は必ず乾燥断熱減率よりも小さくなる。」
などと書き込んでおきます。
これで、自分だけの「Q&A集」が出来上がるのです。

こうして頭の中に生じた疑問をデータベース化しておくと、
どれだけ勉強が進んだのか、これから何を解決すべきなのかが、
しっかりと把握できるようになります。
一度解決した疑問を忘れてしまい、
その後、再び疑問に感じて、解決のために手間暇かける、
といった無駄を省くことができます。

今回のメルマガをお読みになって、「この方法は面白い」とお感じになった方、
ぜひ今からノートを作って、1ページだけでも書き込んでみて下さい。
ノート作り自体をお忘れにならないうちに。

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