無料メルマガ『めざせ!気象予報士・お天気キャスター』バックナンバー(第451話~第500話)
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451、何度も塗れば濃くなる。
452、諦めなかったからこそ、合格で終えられる。
453、実技試験では「流れ」を意識する。
454、腑に落ちるところまで取り組んで、取りこぼしゼロ
455、解答に要する時間は、実力次第
456、質の良い勉強時間を捻出するための2つの方法
457、実技試験の土台は、学科試験。
458、問題を解いた後から勉強が始まる。
459、苦手箇所だけを狙い撃ち
460、自分を信じて試験本番へ
461、合格体験記からロールモデルを見つける。
462、アウトプットで思考過程を確認しよう。
463、答案添削を受けた後にしなければならないこと
464、合格という形で受験勉強を締めくくるために
465、躓いた部分を解決することで、実力が高まる。
466、学業と並行しての資格試験勉強
467、4月から始める学習習慣
468、まず、「受験する」と決める。
469、続けるための休憩を大切にする。
470、スピード合格を勝ち獲る受験生の特徴とは?
471、合格までは「守」に徹する。
472、私も頑張ります。
473、ゴールから逆算して考える。
474、直近の試験問題は、教材として使うことに意味がある。
475、体調を整えて試験に臨もう。
476、昨日に試験が終わったばかりですが・・・
477、自習室の効用
478、学科試験の過去問題演習はどれだけやるべきか?
479、勉強時間を捻出する方法
480、リアルな仲間からエネルギーをもらう。
481、困ったときは先達の足跡を見る。
482、今の仕事に幅と深みをもたらすための気象予報士資格
483、耳学の活用
484、試験日に向けて学習範囲を絞る。
485、小さなきっかけを、大きく育てる。
486、試験日に全力投球するために
487、短期合格を勝ち獲る受験生がしていること
488、少しでも毎日続ける
489、とりあえず始めてみる。
490、高い壁を乗り越えて
491、実技の壁を乗り越えるために大切な2つのこと
492、出題者とのキャッチボール
493、持続可能な勉強法こそ、正しい勉強法
494、実力を短期間で高めるために大切なこと
495、実技試験学習での注力点
496、ノート作りよりも重要なこと
497、意欲のある小中高生にも目指してほしい。
498、燃料を常に投入し続ける。
499、「過去問題の解き散らかし」は厳禁
500、一般・専門に時間を費やす勇気
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第451話 何度も塗れば濃くなる。
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・実技の演習は、一定のペースで続けられるよう習慣とするため、
> ”土日の午前中”に”図書館”へ行くと決めて行いました。
> ・演習後はできるだけ時間を空けずに自己採点と復習、添削依頼を行い、
> 記憶が新しいうちに復習をすることで学習の効率化を図りました。
> 添削結果を本当に理解できているか何度も何度も読み返し、
> 理解が不十分な内容を洗い出して、必要な場合は追加の質問をしました。
■Uさん(男性・30代・発電エンジニア・東京都)の合格体験記より
受験勉強の総量は、「学習効率×時間」で決まります。
寝不足で頭がカクカクしているようなときに、無理やり本を広げても意味が無いので、
コンディションを整えて、学習効率を高めることは大切です。
ただ、学習効率は無限に高められるわけでは無いので、
時間をどれだけ費やせるかという点も重要ですね。
多くの気象予報士試験受験生の皆様は、本業を抱えながら受験勉強を進めておられます。
大学受験の浪人生であれば、1日に10時間勉強できる人もいるでしょうが、
この試験の受験生であれば、1日2時間を確保できる人も少数派だと思います。
そこで、勉強時間量を稼ぐには、継続が大切なのであり、
継続するためには、習慣化することが必須となります。
Uさんが合格体験記でお書きのように、「土日の午前中は図書館で勉強する」といった、
1週間の中に固定された勉強枠を設けることは、習慣化において大切なことです。
さらにUさんは、通勤電車・昼休み・就寝前といった、
平日において常に訪れるタイミングを勉強とリンクさせることで、習慣化に成功されています。
そして、Uさんの合格体験記で、もう一つ非常に重要な点があります。
それは、「繰り返しによる記憶の定着」という点を、とても重視されていることです。
強い感情を伴った出来事(例:楽しかった旅の記憶・大勢の前で面罵された記憶)であれば、
忘れようとしても脳裏に刻み込まれるものですが、
受験勉強に必要な知識は地味なので、何度も繰り返さないと、なかなか定着しないものですね。
気象予報士試験における学科試験は、その名のとおり「知識」が問われる試験ですし、
実技試験においても、技能を自由自在に使いこなせるためには、
ノウハウが板に付いていることが必須となります。
そのためには、薄いペンキを何度も重ねて塗るがごとく、
繰り返して学習することで、頭の中の記憶を少しずつ濃くしていくことが大切なのですね。
Uさんは、記憶の薄れを防ぐために、勉強の間隔をできるだけ短くし、
何度も繰り返すことで、定着度を高められるように取り組まれました。
こうした勉強は地道であり、あまり面白みが無いと感じられる方もおられるでしょう。
次から次へと新しい問題に挑戦するほうが、楽しかったりします。
ただ、受験勉強で成果を勝ち獲るためには、
ある程度定まった学習範囲をどれだけ完成させられるかが重要だと私は考えます。
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第452話 諦めなかったからこそ、合格で終えられる。
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> 「ここまで頑張ったのに諦めるのは悔しいな」という気持ちが強くなり勉強を再開しました。
> ここで気付いたのは私には基礎力が足りていない、ということでした。
> 《中略》
> 合格できるかは五分五分だな、というのが正直な気持ちでした。
> なので合格を知るまでは緊張で手汗をかくほどでしたが、
> 合格を知った時の嬉しさはこの上ないものでした。
> 諦めないでよかった!頑張ってよかった!と心から思いました。
■Zさん(女性・30代・会社員・愛知県)の合格体験記より
Zさんは6回目の受験で合格を勝ち獲られていますので、
5回の不合格を経験されていることになります。
詳細は体験記で綴って下さっていますので、そちらをご参照いただきたいのですが、
第54回試験では「残すは実技のみ」で、惜しくも完全合格を逃されています。
ご承知のとおり、学科試験の合格が有効であるのは1年限りですから、
その間に実技試験に合格できなければ、再受験が必要なのですね。
要再受験となった時点で、合格へのチャレンジを諦めてしまう方もおられることでしょう。
ただ、少し遠回りする道のりになったとしても、
ぜひ合格という形で受験勉強を締めくくってほしいと思います。
合格を勝ち獲った喜びは何事にも代えがたいものですし、
資格試験という性質上、資格を取得できた時点で、
これまでに投入した時間や労力が回収されるように感じられるからです。
1年に1回しか行われない国家試験も多い中で、
気象予報士試験は年2回も実施されています。
秋に合格発表が行われてから4か月も経てば、もう次の試験です。
次の試験で合格を勝ち獲られる方のほとんどは、
前回試験での不合格者の中から生まれることも事実なのですね。
第58回試験の合格発表が月末に迫りました。
お一人でも多くの方が合格を勝ち獲られていることを願っております。
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第453話 実技試験では「流れ」を意識する。
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> 58回実技では最初の図に「トラフA」と「トラフB」が描かれておりました
> この時点で「ああ、これは低気圧にトラフAが追いついていって影響がなくなり
> そのあとトラフBに乗り換えるというパターンだな」とか全体のストーリーに見当がついてくれば、
> あとはそのストーリーに沿ってつじつまが合うように各問題を埋めていくだけ
> 全体の大きなストーリーが最初にちゃんと把握できていれば
> 突拍子もない的外れな回答をしてしまう事を避けることができます
■友竹昇さん(男性・50歳・漁師・静岡県)の合格体験記より
実技試験では、最初に実況資料を見て答える問題が出てきた後に、
予想資料を見て解答する問題が続き、
その後に局地的な気象に着目する問題が出されるといったパターンが多いです。
例えば、前回の第58回試験における実技1であれば、
問1が実況系、問2が予想系、問3と問4が局地系ですね。
それぞれの大問の中に数多くの小問があるわけですが、
各小問は、完全にバラバラの一問一答形式なのではなく、
全体として存在する「流れ」を構成する要素となっているものが多いです。
再び第58回試験における実技1を例に取れば、
問1の(3)(4)(5)は温帯低気圧の発達に関する一連の問題です。
また、問2では(1)で作図問題が出た後、その内容を踏まえる形で(3)が出され、
さらに深掘りする形で(4)が出されています。
そして、問3と問4は形式的に分離していますが、実質的には問3の続きが問4だと言えます。
実際の本試験では、どうしても解けない問題も出てきますので、
そういった場合は保留して、先の問題に進むことも戦術として大切です。
ただし、大問全体を飛ばすといった解き方をされると、全体像が掴みにくくなります。
前述のとおり、「実況系→予想系」という流れになっているのが基本であり、
問題を解き進めることで、実況資料を把握できるようになるので、
予想資料が出てきた問題にも対応しやすいのですね。
文での解答が求められる実技試験の問題では、
出題者の意図を把握することが本質的に重要です。
もちろん、問題文の熟読は必須ですが、それだけでなく当問までの流れを踏まえると、
何を解答すべきなのかが、より見えやすくなってきます。
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第454話 腑に落ちるところまで取り組んで、取りこぼしゼロ
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> 試験会場で初見の問題に取り組むと想像以上に時間がかかります。
> しかしながら過去7,8年分の問題をしっかりと自分の腑に落ちるところまで取り組むことで、
> 出題者の意図や問題のストーリーを早めに嗅ぎ取る感覚を磨くことが大事だと思います。
■Jさん(男性・50代・会社員)の合格体験記より
> 合格点を取るには、基礎的な問題(特に知識)、
> 過去の頻出問題などでは取りこぼしゼロを目指す必要があります。
> 100点満点のテストですが、絶対間違えてはいけない問題が3~4割ぐらいあるように思います。
> そこは100点で残りの6割の問題で6割程度を目指すという感じでしょうか。
■T.Iさん(51歳・航空会社勤務(パイロット))の合格体験記より
JさんとT.Iさんがお書きになった上記のメッセージは、
実技試験対策における最重要点を簡潔に示しておられると私は考えます。
実際に受験された方や、過去問題をご覧になった方であれば、よくご存じですが、
実技試験の分量は相当に多いです。
これを75分(1時間15分)で解き終えるのは、なかなか大変です。
実技試験では、毎回異なる事例が問題として出てきます。
学科試験で時々見られる「過去問題のリメイク」はありません。
しかし、勉強を重ねた受験生から見ると、「過去問題と似た問題」に気付きます。
例えば、温帯低気圧は日本付近での天気に大きく関係しています。
事例は異なっていても、温帯低気圧である以上、
「どのような条件があると発達するのか」という点は同じですね。
当然ながら、過去問題と本試験に出てくる温帯低気圧は別の事例ですが、
同じ温帯低気圧である以上、それに基づく問題には類似点が出てくるのです。
これは台風であれ、冬型であれ、梅雨前線であれ、同じであって、
結局のところ、資料解釈に対するパターンをどれだけ蓄積できるかが勝負です。
「パターンの蓄積」などと表現すると、丸暗記だと勘違いされるかも知れないですが、
解答例の字面を焼き付けるのではなく、「思考過程を自分のものにする」という意味です。
そのためには、過去問題を徹底的に理解することが重要になります。
これについて、Jさんは「しっかりと自分の腑に落ちるところまで取り組む」、
T.Iさんは「取りこぼしゼロを目指す」と表現されています。
よく、「過去問題演習を何周行ったら良いか」というご質問をいただきます。
もちろん、現実問題として、複数回の演習が必要だと考えますが、
最も大切なのは回数ではなく、「熟知できたかどうか」という結果にあります。
極端な話ですが、1回目の演習で洗い出された課題を完全に解決できれば、
2回目の演習では満点が取れることになりますので、1回きりの演習で完了です。
一方で、同じ過去問題を10回繰り返して演習しても、
結果として、その問題における解法がスラスラ出てこないのであれば、
勉強は未完成ということを意味しています。
また、力任せに問題演習の回数を増やすことを優先させてしまうと、
思考過程を深く理解する前に、解答例の内容が脳裏に焼き付く場合があります。
そうなると、過去問題での表面上の答案再現度は高まるのですが、
思考の鋳型ができなければ、本試験の問題で応用を利かせることは困難です。
前回の試験で、あと1点、あと2点で、惜しくも合格を逃された方々もおられると思います。
合格圏への突入に向けて、過去問題演習の充実度をより高めていきたいですね。
早いもので、次の試験まで約3か月となりました。
秋の深まりとともに、勉強が順調に進むことを願っております。
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第455話 解答に要する時間は、実力次第
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> 過去問演習が進むと自然と75分は掛からなくなりました。
> 逆にいつまで経っても75分かかる問題は理解できていない箇所があるケースがほとんどです。
> 最初のうちは時間を気にせず実技演習に取り組むことで問題ないと思います。
■Iさん(男性・45歳・製薬業の研究職・滋賀県・第58回試験合格)の合格体験記より
実技試験の勉強で多くの受験生が課題とされるのは、時間です。
学科試験も「1問あたり平均4分」で解かねばならないので、決して余裕は無いのですが、
実技試験では学科試験よりも15分長いだけで、文や図での解答を必要とします。
しかも、昔(私が受験生だった頃など)に比べて、明らかに問題量が多くなっています。
解答をしない限り、得点の可能性はゼロなのですから、
答案用紙を埋めることが必要ではあるのですが、
実のところ、「速く解くこと」を目標にしてはいけないと私は考えます。
そもそも、「速く解く」というのは、何を意味するのでしょうか?
一見すると、運筆がスピーディーであることを指すようにも思われますが、
試しに解答例の内容を、丸写しするのにかかる時間を計ってみて下さい。
丁寧に書いたところで10分もあれば十分であることが分かります。
それ以外の約65分間は何をしているかというと、
問題文を読んだり、資料を読み解いたり、答案を組み立てたりしています。
つまり、頭を働かせることに、全体の8割以上の時間を使っているのであり、
速く答案を完成させられるかどうかは、思考の速さでほぼ決まるのです。
そして、ここが誤解の多い部分なのですが、
「現時点での実力以上に、速く解くことはできない」ということです。
例えて言えば、100mを全力疾走して15秒かかる人が、
「速く走りたい」と願うだけで、10秒で走れるようにはならないのと似ています。
確かに、試験問題に取り組む場合は、物理的に体を移動させるのでは無いので、
気合いを入れて、眼を速く動かし、自分自身を追い立てるように進めていけば、
表面上は速く問題を解いているように見えます。
しかし、実力を伴っていなければ、問題文解釈・資料読解・答案の組み立ては、
いずれも雑になってしまうので、高い正答率は得られません。
あくまでも目的は「合格点を取る」ことであって、答案用紙を埋めることでは無いですね。
先ほど述べたとおり、「問題を解く速さ」とは、概ね「思考の速さ」のことです。
思考が速いとは、「思考の回り道(試行錯誤)」が少なくなるということです。
例えば、ある問題を目の前にしたときに、
「これは何に着目すれば良いのか?」とあちこちの資料を見回すのと、
「これは過去問題の○○の類似パターンだ」と察するのとでは、
解答に辿り着くまでの時間がまるで異なります。
気象予報士試験の問題の多くは過去問題との類似性を有するので、
過去問題に対する納得を1つ1つ積み重ねた受験生であるほど、
よりスピーディーに問題を処理していくことができるのですね。
Iさんが合格体験記で書かれているように、習熟度が高まるに従い、
自ずと規定の時間内で問題が解けるようになるということです。
つまり、解答に要する時間は、あくまでも「結果(現時点での実力)」を示すものであって、
これ自体は、意図的に変えられるものでは無いということです。
よって、時間短縮を図るためには、その原因を解決していかれることが必須で、
具体的には、各問に対する理解度を高めることです。
演習で炙り出された課題を、そのつど解決していかれることで、
思考の無駄が削ぎ落とされ、少しずつ解答までの時間が短縮されていきます。
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第457話 質の良い勉強時間を捻出するための2つの方法
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> 勉強時間の捻出にあたり、これまでの夜型から朝型へと生活リズムを見直し、
> 21時に就寝して4時に起床するようにしました。
> これにより平日の朝は2~3時間、夜は1時間程度、
> 休日は6~10時間ほどの勉強時間を確保しました。
■Mさん(男性・45歳・不動産営業・新潟県)の合格体験記より
Mさんは2021年9月に勉強をスタートし、2022年8月試験で合格されていますので、
実質的な受験勉強の期間は、1年弱ということになります。
総勉強量は「1日の勉強時間×かけた日数」で示されるのであり、
短い期間で合格を勝ち獲られたということは、
1日あたりの勉強時間が長かったことを意味しています。
平日に3~4時間もの勉強を続けられれば、相当なペースで学習は進みます。
とは言え、日々忙しい社会人受験生にとって、
勉強時間の確保は大きな課題の1つといって良いでしょう。
そのために、Mさんは生活リズムを朝型に変更されています。
これは受験生にとって大切なことだと思います。
当塾を受講されているお客様であれば、ご存じの方も多いと思いますが、
私は早朝5時台から質問回答や答案添削のメールをバンバン送っています。
その一方で、夕食後にメールを送ることは基本的にありません。
お客様からの疑問にお答えするためには、頭をしっかり回転させる必要があり、
十分な睡眠を取った後においてこそ、最もパフォーマンスが高まります。
(私は5時頃に起きますが、就寝はMさんと同じく21時頃です。)
特に調子の良いときは、タイピングが自分の思考に追い付かずに、
「指よ、もっと速く動け!」と感じてしまうくらいです。
その反面、夜になると頭が疲れてしまうので、
タブレットでマンガを読むなどして、ダラダラ過ごすことも多いです。
(最近は、『ハコヅメ』を最初から再読しました。)
もちろん、体質によって夜のほうがパフォーマンスが高いという方もおられますが、
夜勉強の手応えがイマイチなのであれば、朝型への切替を試されても良いと思います。
勉強時間の確保において、もう1つ大切なことを挙げるとすれば、
「押し込む」のではなく「除いてから入れる」ということを提案します。
そもそも、気象予報士試験のような難関資格に挑戦される方は、
何事にも意欲的に取り組まれる方が多いように感じます。
「あれも、これも」という形でチャレンジされるのは素晴らしいのですが、
1日の中で精力的に活動できる時間は限られています。
もちろん、スマホやワイヤレスイヤホンなどの道具を活用することで、
「電車の中で講義を受ける」といった、20年前では困難なことも可能になっており、
工夫次第で、ある程度の効率性は追求できます。
ただ、時間密度を濃くしたところで、時間と体力は有限であり、
1日にこなせるタスクに上限があることも、また事実です。
「何とか上手く受験勉強の時間を確保したい」という姿勢も大切ですが、
スケジュールが過密すぎると、勉強に無理が生じますし、心身にも大きな負担です。
そこで、足し算の発想だけでなく、引き算の発想も合わせて持つこと、
つまり、何かを「やめる」「一時的に休む」「減らす」ことも大切だと考えます。
これについて、Mさんの合格体験記では明記されていないですが、
「平日に3~4時間、休日に6~10時間」もの長い時間が、最初から空白だったはずもなく、
何かに活用されていた時間を引き算されたのは間違いないでしょう。
特に、短期間で合格を勝ち獲ることを目指すのであれば、
こうした手法で、1週間あたりの勉強時間を十分に確保していきたいですね。
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第456話 実技試験の土台は、学科試験。
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> 学科の基礎が甘かったことが、その後の実技で苦労した要因であることは、
> このときにはさすがに気付いていたので、
> 良い機会だ、一から出直そうと思い、とにかく学科を完璧にすることを優先しました。
■Pさん(女性・30代後半・地方放送局勤務)の合格体験記より
ご承知のとおり、気象予報士試験は「学科試験」と「実技試験」に分かれています。
実技試験の答案を採点してもらえる条件が、学科2科合格ですので、
まずは学科試験の勉強に集中することが定石となっています。
そして、合格した学科科目は、申請を行うことで1年間は受験が免除されますので、
勉強の範囲を絞り込むという目的のためにも、学科試験の勉強は大切です。
ただ、注意しておきたいのは、
「学科試験に合格すれば、その学習内容は忘れてしまっても良い」
というわけでは無いことです。
もし、学科試験の内容が、実技試験と何らか関係しないのであれば、
受験テクニック上、実技試験だけに集中すれば良いのですが、
実際のところ、実技試験の内容は「学科試験の応用版」なのですね。
つまり、学科試験の学習に抜けがあると、実技試験の勉強に支障を来すということです。
2つの学科試験は各15問です。
各単元から網羅的に出題される(特定の知識ばかり問われるわけでは無い)ものの、
実際に問われる知識は、必要な学習量から見れば、ほんの一部です。
たまたま苦手な部分が出題されなかったことも、大いにあります。
しかも、5つの選択肢から選ぶ形式ですから、
2つに絞り込んだ後に、運を任せて解答して、正答することもあります。
よって、「学科試験合格」=「実技試験に必要な知識は完璧」とは限らないのですね。
特に、「大気の熱力学」「大気の力学」「数値予報」「防災気象情報」などは、
実技試験における多くの問題の土台になっています。
これらの基礎部分に弱点があると、題意が掴めずに、的確な答案が書けないばかりか、
解答例の内容や解答例に至るまでの思考過程に納得できないのですね。
過去問題演習を何度繰り返しても、ピントの合わない答案になってしまう原因として、
こうした基礎知識の不足や誤解がある場合は多いと感じます。
ここで苦し紛れに、解答例の内容を半ば丸暗記してしまうと、
表面上の解答例の再現度は高まりますが、それで本試験に通るほど甘くないのが現実です。
合格体験記をお書きになったPさんも、2回の学科免除を活かせなかった理由として、
「学科の基礎が甘かったこと」を分析されておられます。
ここで、「再び学科試験に合格すること」だけを目標にされるのではなく、
「実技試験の土台を再構築する」という点にも力を入れて取り組まれたからこそ、
第58試験にて、3科一括での合格につながったわけです。
現時点で学科試験に合格されている受験生の皆様にとって、
再び学科範囲の復習に戻ることは、気乗りしないかも知れないですが、
実技試験の合格のために必要とされる知識については、
学科試験の合否に関係なく、十分に固めておかれることが大切だと確信しています。
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第458話 問題を解いた後から勉強が始まる。
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> 大事にしていたのは、解くことよりもそれ以上に時間をかけて復習することです。
> 毎回同じ問題を解いているはずですが、時間をかけて見直すと必ず新しい学び、
> 気づきを得ることができました。
■ハニワさん(20代後半・関西・マスコミ関係)の合格体験記より
試験日が近づくに従って、受験勉強は基礎から応用へとシフトしていきます。
特に直前期になると、過去問題演習に集中する方も多いですが、
「手当たり次第に問題を解きまくる」ことは避けねばなりません。
極めて重要なことですので、このメルマガでは何回も触れていることですが、
問題を解くこと自体は、本当の意味での勉強ではないのですね。
なぜなら、勉強とは「未知を既知に変えること」「誤解を理解に変えること」だからです。
これが無ければ、伸びしろはゼロです。
問題を解くという行為は、自分の頭の中にある知識や技能について、
正しく備わっているかどうかを、アウトプットにより検証する作業です。
例えば、ある過去問題を解いて、40点だったとします。
このスコアを50点・60点・・・と高めていくためには、
失点した60点分の問題に対して分析を行ったうえで、必要な補習を行うことが重要です。
これを欠いたままですと、時間を空けて同じ過去問題を解いても40点のままです。
つまり、その間に費やした時間と労力は無駄になります。
勉強が順調に進んでいく過程は、らせん階段を昇ることと似ていて、
同じ場所を何度も繰り返して通りながらも、少しずつ高い位置へ進んでいきます。
そのためには、「未知を既知に」「誤解を理解に」があってこその話であって、
単に過去問題をガムシャラに解き続けるだけであれば、
同じ場所を(高さが変わらないまま)グルグル回っているだけになりかねません。
問題を解くから実力が高まるのではなく、
知らなかったことや間違って解釈していたことを解決するから、実力が高まるのですね。
特に、短期で合格を勝ち獲っていかれる方は、この点を徹底的に意識されています。
誤答を正答に変えるために必要な補習に、全力で取り組んでおられます。
これからの年末年始休暇を受験勉強に充てる方も多いと思いますが、
せっかく頑張るのであれば、効果の高い勉強法を行われることで、
実力にさらに磨きをかけていきたいですね。
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第459話 苦手箇所だけを狙い撃ち
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試験日が迫ってくると、受験勉強は時間との闘いになります。
こうした状況で、特に大切にしたいことは、学習効率を高めることです。
限られた時間で勉強の成果を大きくするためには、密度を上げることが大切であり、
具体的には、苦手とする部分に絞り込んだ学習をお勧めします。
例えば、限られた時間で壁一面にペンキを塗ることを考えてみましょう。
このとき、端から端まで全体的にローラーをかけていき、
それを何度も繰り返すことが、最も丁寧な方法であることは間違いないですが、
膨大な時間と労力を要してしまいます。
試験直前での受験勉強においても同じことであり、
例えば、まとまった分量の過去問題演習を行う場合において、
全ての問題に対して均等に力を配分して、勉強を進めるのは非効率です。
今までの受験勉強によって、十分に理解した問題もあれば、
まだ自信の無い問題もあることでしょう。
今後に特に力を入れて学習すべき問題は、後者のほうです。
パーフェクトに理解できている問題を、何度も演習するのは、時間と労力の無駄です。
配点よりも高い点数を得ることは不可能だからです。
今は正答できていないが、実力を高めれば正答できるようになる問題、
そういった部分こそ、全力投球で勉強する意味があります。
先ほどの壁のペンキ塗りで例えるならば、
これまでの受験勉強で、壁には相当程度のペンキが塗られているはずです。
よって、この時点で端からローラー式に塗り直していくよりも、
壁全体を見渡して、ペンキが付着していないところを探したうえで、
そこだけを集中的に塗ることのほうが良いということですね。
もちろん、これまでに申し上げた手法は、
かなりの程度まで受験勉強が進んでいる方へ向けての話です。
もし、現時点で壁に塗られているペンキの量が圧倒的に少なければ、
8月試験に向けて、じっくりと腰を据えて勉強されることが大切です。
良い形で受験勉強が仕上がることを願っています。
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第460話 自分を信じて試験本番へ
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> 私が受験生活で大切にしていたことは、
> 「1嫌いなことほど向き合う」
> 「2これならできる!」を積み重ねることで自信がつく」
> 「3自信は成功する第一の秘訣である」です。
> 試験当日は緊張しましたし、見慣れない問題も出てきました。
> (他の受験生も気になりました笑)
> そのような時は、まず深呼吸!そして自分を信じることです!
■Kさん(女性・30歳・航空会社勤務)の合格体験記より
Kさんが合格体験記で述べておられますように、
試験直前期に大切なことは、「自分を信じること」ですね。
気象予報士試験は、蓄積がものをいう試験です。
基礎事項の学習を繰り返し、間違えた問題の復習を重ねるといった勉強を続けることで、
短期間では決して構築できない実力が積み重なります。
こういった勉強に取り組んでこられた受験生にとっては、
現時点で、「やるだけのことはやった」という感覚をお持ちだと思います。
あとは、その成果を試験で発揮するのみですね。
冬の試験は寒さが厳しい時期に行われますので、
生活のリズムが崩れてしまうような受験勉強は避けつつ、
体調を整えていかれることが特に重要だと考えます。
試験当日は、お持ちの実力が最大限に発揮されることを願っております。
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第461話 合格体験記からロールモデルを見つける。
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このメルマガでも、たびたび引用している合格体験記ですが、
私は合格まで受験勉強を進めていくために、
合格体験記を読むことが、とても大切なことだと考えています。
なぜなら、受験生である以上、合格に至るまでのルートは、
「通ったことのない初めての道」だからです。
訪れたことのない観光地に対して、事前にガイドブックを参照するのと同じように、
受験を征するためには、その経験者の言葉を参考にするのが効率的です。
ただ、一口に気象予報士試験受験生といっても、その環境はさまざまです。
例えば、「時間はいくらでもあったので、1日に10時間は勉強していました。」
といった学生さんの合格体験記があったとしても、
日々忙しいビジネスパーソンの受験生にとっては、あまり役に立つものでは無いですね。
これまでの勉強歴の有無や今後に確保できる勉強時間も人それぞれです。
つまり、自分に合った合格体験記を見つけられるかがカギになるのであり、
言い換えれば、合格体験記を通して「ロールモデル」を見つけることが大切なのです。
自分と似たような環境・条件に置かれていた先輩受験生が、
どのようにして高い壁を乗り切ったのか。
合格体験記を通して、成功談だけでなく、失敗談も学ぶことで、
より効率的な学習につながります。
長い受験生活では、調子の波もあります。
不調のときに役立つ合格体験記こそ、合格までのお供にしたいですね。
私が運営する塾では、合格を勝ち獲られたお客様に、
「【誰が】ではなく、【どのような方が】合格を勝ち獲られたのかを書いてほしい」
といった旨で合格体験記のご執筆をお願いしています。
著名人でもなければ、氏名自体は「記号」に過ぎませんので、
原則として、お名前を伏せる形での掲載です。
大切なのは、「受験生がどのような環境・条件で合格を勝ち獲られたか」であり、
もちろん、ロールモデルとなる先輩受験生を見つけていただくことです。
受験生を取り巻く環境・条件としては、
ご年齢やご職業のほかに、次のようなものも挙げられます。
・受験勉強開始時点での気象に関する知識量
・文系か理系か
・仕事や家事に要する時間や性質(残業の有無・勤務が規則的かどうか)
・育児や介護など、サポートが必要なご家族の有無
・決まった時間帯・曜日に勉強時間を確保しやすいかどうか
・通勤などの移動時間を活用できるかどうか
・就職や転職を念頭に置いていたか
・合格までの期限(就職活動に間に合わせるなど)が明確であったか
これらの環境や条件が似た先輩受験生がおられれば、
その方が辿った合格までの軌跡は、ご自身の受験生活でもきっと役立つはずです。
下記URLには、300名様を超える方々の合格体験記がありますので、
ロールモデルとなる先輩受験生が見つかると思います。
https://rojiura.jp/taikenki.html
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第462話 アウトプットで思考過程を確認しよう。
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> 過去問の解説動画を腹落ちするまで観て、本質を押さえて、
> それでもわからないところをその都度質問して解決する。
> このプロセスを踏む以外の合格方法は私にも分かりません。
> 思考プロセスに不安があるところは、全て質問しました。
> 導き出した結果=自分の答案が合っていても、
> 考え方のプロセスが違えば、次類似の問題が出たときは得点できません。
> 答えの正誤だけでなく、思考プロセスに齟齬がないかきちんと確認するために、
> 質問システムを利用していました。
> 質問のメールを打つ過程で、文章を組み立てながら
> 自分の勘違いに気づき解決してしまうこともありました。
■PQさん(女性・20代・放送局勤務・東北地方)の合格体験記より
PQさんが上記で述べられた内容は、気象予報士試験対策として実に重要な部分です。
このメルマガでも、折に触れて「過去問題演習が重要」と申し上げておりますが、
当然ながら、その目的は問題そのものを覚え込むことではありません。
学科試験であれば、瓜二つの問題文が出てくることもありますが、
実技試験では、試験ごとに別の事例が使われていますので、
完全に同一の問題が出てくることは無いです。
よって、過去問題演習を行う意義とは、
その問題を解くための思考過程を抽出し、自分自身のものにすることにあります。
演習をとおして、エッセンス(本質)を捉えることができるからこそ、
次に似た問題が出されたときに、応用が利くということなのですね。
結局のところ、過去問題演習の目的はこれに尽きるのであって、
どれだけ抽出できるか、にかかっているということです。
「問題を何度繰り返して演習するか」といった外形的な話は、本質と関係しないです。
よって、受験勉強を進めるうえで大切なことは、
いかにして的確に思考過程を掴むか、ということにあるのですね。
PQさんは、その点をとても重視されていたことが分かります。
だからこそ、「思考プロセスに不安があるところは、全て質問しました。」とお書きなのですね。
そして、ご自身の思考過程が的確であるかどうかは、講師に質問をされることだけでなく、
その過程を文章でまとめられること自体にもあったのが実に興味深いです。
自分自身の思考過程が正確であるかどうかは、
アウトプットしてみないと気が付かないことがある、ということだからです。
例えば、人前でプレゼンをする際に、内容を十分に分かっていたつもりだったけれども、
実際に口頭で説明してみると、辻褄の合わない部分があることに気付いた、
といったご経験をお持ちの方もおられると思います。
これは、私自身が教材(テキスト・講義)を制作する際にも感じることです。
文章であれ、口頭であれ、「外に出してみる」というのは、
自分の理解度を客観視するためには大切なことです。
「理解のための学習」→「アウトプットで確認」→「必要であれば修正」→「内容を記憶」
この流れを回していくことで、受験勉強を効率的に進めていきたいですね。
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第463話 答案添削を受けた後にしなければならないこと
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> また試験2ヶ月前までのこの期間に特に藤田さんへの添削をお願いしていました。
> 添削いただいた内容は全て記録し、
> 似たようなミスごとに分けて自分のミスの傾向を把握するようにしていました。
■Rさん(男性・30代・航空会社勤務・北海道)の合格体験記より
実技試験は文と作図で解答する問題が大半を占めます。
解答例は発表されていますが、マークシート式の学科試験の問題と異なり、
自分の書いた答案が正答に近いと言えるのか、迷うこともあるでしょう。
また、明らかに正答の範囲から外れているとは分かっても、
どの点を修正すれば良いのか、悩んでしまう場面も出てくると思います。
当塾の答案添削は、そういったお客様のご要望にお応えするサービスであり、
長年の指導経験に基づいて、答案を拝見しています。
自分で書いた文章や図を、ご自身で見直すことも大切ですが、
第三者の目を通すことによって、改善点が炙り出されることも多々あります。
文章で解答する問題について、私が添削の際に着目する主な要素は次のとおりです。
・必要な解答要素が抜けていないか
・問われていない要素が入っているか
・問題文の指示(数値の有無・字数の長短など)を満たしているか
・説明の筋が通っているか、論理の飛躍が無いか
・漢字の間違いや表現の重複は無いか
・慣習的ではない表現が使われていないか
・読点(、)の打ち方は適切か
Rさんも当塾の答案添削サービスを熱心に活用されたお客様ですが、
合格体験記で述べられているように、添削内容を精緻に分析されたことが、
効率的な実技試験の勉強につながったのだと私は考えます。
なぜなら、受験勉強の核心は添削内容の分析から始まるからです。
結局、受験勉強とは「合格点を取るための勉強」であり、
現状のスコアと合格ラインの差を埋める過程こそが、必然であるからです。
よって、添削で炙り出された数々の課題を1つずつ解決し、
そのうえで、解決された内容を記憶に定着させることが必須となります。
言い換えれば、添削とは「点数の伸びしろを見つける作業」なのですね。
よって、少し極端な表現になりますが、添削を依頼した時点では「勉強量ゼロ」であり、
添削結果を活用して、思考過程や作文力などをどれだけ修正できるかが、勝負になります。
実際のところ、短期間で実力を飛躍的に伸ばす受験生は、
この部分の「伸び方(修正と記憶の定着)」が大きいのですね。
同じ問題を何度も強引に繰り返して演習するだけで、
本試験に対応する実力が付くほど、実技試験は甘くありません。
1つ1つの炙り出された課題と向き合い、納得して頭に入れることが、
実技試験の合格のために大切だと考えています。
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第464話 合格という形で受験勉強を締めくくるために
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> 3回目の試験で学科が両方ともに不合格であった時が、一番ショックでしたが、
> それから何とか気持ちを持ち直し、過去問をひたすら解いたことが、
> 今回に繋がったのかなと思います。
■Yさん(男性・60歳・愛知県・市役所の技術系職員)の合格体験記より
第59回試験での合格率は5%を下回りました。
これは言い換えれば、不合格率が95%を上回ったということです。
もちろん、学科試験の合格が目標だった方もおられるわけで、
受験された方全員が完全合格を狙っておられたわけではないですが、
最終合格を勝ち獲られた方が、全体のほんの一握りであることは言うまでもありません。
これだけの難関試験ですから、ほとんどの受験生は不合格を経験します。
私も受験支援の仕事を始めてから18年が過ぎようとしていますが、
初受験で合格されたお客様は、お一人しかおられなかったように思います。
全力投球で試験に取り組んだものの、良い結果につながらないことは、
多くの受験生が通る道だと言って良いでしょう。
それは、今回の試験で合格を勝ち獲られた方々にも言えることです。
気象予報士試験は年に2回行われていますので、
早くも次の試験までの時間は半年を切っています。
不合格のショックから立ち直り、早く受験勉強に復帰できるほど、
次回試験に向けた戦いは有利になります。
逆に、勉強のブランクが長くなるほど、記憶や勘は鈍りますから、
それを取り戻すのに長い時間を要することになってしまいます。
60回目となる次回試験での合格者は、
惜しくも今回の試験で合格に届かなかった方々から生まれることでしょう。
次回試験に向けて受験勉強が順調に進むことを願っております。
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第465話 躓いた部分を解決することで、実力が高まる。
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> 56回で圧倒的に時間が足りなかった反省から、その後はスピードを重視し、
> 過去問をひたすら「解き飛ばす」勉強を続けていました。
> しかし、現在の藤田先生のご指導から当時の勉強方法を思い返してみると、
> 当時のこの勉強は過去問の「食い散らかし」だったように思います。
> 過去問を10年分遡って1回あたり3-4回は解いたのですが、採点は答え合わせに過ぎず、
> 改めて見直してみると、何度やっても同じところを間違えている状況でした。
■Yさん(男性・63歳・無職・岩手県)の合格体験記より
気象予報士試験の合格において、どれくらいの勉強時間が必要であるのかは、
多くの受験生が関心をお持ちだと思います。
ネット検索をしますと、「800時間」とか「1000時間」といった数値も出てきますが、
率直に申し上げますと、かなり個人差が大きいように感じます。
また、時間さえかければ、結果が付いてくるとも限りません。
もちろん、一定量以上の学習時間を確保することは、
合格を勝ち獲るために必須であると考えますが、
それと同時に重要なのが、学習効率性です。
つまり、どのような勉強の仕方をするかによって、
同じ10時間であっても、実力の伸び方が異なってくるのです。
例えば、Yさんが合格体験記で述べられていますように、
【過去問をひたすら「解き飛ばす」勉強】は、多くの受験生がハマりやすい罠です。
このメールマガジンでも何度も触れていますように、過去問題演習とは、
その内容を完璧に抽出・理解して、本試験に対応できるためのトレーニングです。
腹の底から納得できているからこそ、本試験で問題の類似性を見抜き、
類推・応用を利かせることができるので、初見の問題が解けるのですね。
これは、学科試験・実技試験ともに同じです。
ご承知のとおり、過去問題の中には、難しい問題も数多く出てきますが、
1つ1つの解法をマスターして、自分のものにしていかなければなりません。
ご承知のとおり、これは本当に大変なことです。
このように、解法の理解と記憶を地道に進めることこそが、
「受験勉強」と呼ばれるものなのですね。
この部分が欠けていると、合格圏まで実力を上げることが難しくなる、
というのが、私の講師としての実感です。
Yさんの合格体験記によりますと、
当初は、ひたすら回数を重視して、問題演習を繰り返されたようですが、
【何度やっても同じところを間違えている状況】だったとのことです。
これは「誤解を理解に」「疑問を納得に」「未知を既知に」という、
実力向上に必要な基本原則が抜けている状態であり、
同じ場所をグルグル回っている状況だとも言えます。
この状況を脱するためには、間違えた問題について、
「どのように考えれば正答できるのか」を1つ1つ追求されることが必須となります。
この点を緻密に取り組まれたからこそ、Yさんは合格を勝ち獲られたのですね。
8月の試験に向けて頑張っていかれる受験生の皆様も、
こうした部分に力を入れて勉強を進めていかれますと、
受験勉強がより効率的になると確信しています。
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第466話 学業と並行しての資格試験勉強
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> 1人暮らしが始まったことや環境の変化から
> 最初は適当に大学生活を楽しめればいいやと思っていましたが、
> 第一志望に合格できなかった悔しさと、夢を諦めたくないという思いから、
> 大学1年生の7月に気象予報士試験にチャレンジすることを決意しました。
■Zさん(男性・20歳・大学2年生・東京都)の合格体験記より
早くも桜の季節が終わってしまった地域も多いようですが、
大学をはじめとする、各校の入学式シーズンを迎えています。
かつて大学は「レジャーランド」と揶揄されていたこともありました。
今は企業の要職にあるような人が、学生時代を振り返って、
「授業をサボって、酒と麻雀に明け暮れたものだ」などのように、
勉強しなかったことを殊更に自慢する風潮さえあったように感じます。
私が大学を出てから20年以上が過ぎ、今の学生さんは勉強熱心な人が多いようです。
(少なくとも当塾で勉強している方々を見ていますと、そのように感じます。)
もし、取得しておきたい資格があるのなら、
在学中にチャレンジしてみることも1つの選択肢だと思います。
本業となる学業と並行する形での資格試験の準備は大変だと思いますが、
それでも社会人に比べれば、時間に融通が利く方も多いのではないでしょうか。
社会人になってから、資格試験の勉強に取り組む方も多いのですが、
仕事や家事などとの時間配分で苦労される方も少なくないからです。
学校を卒業すれば、就職をする人が大半だと思いますが、
採用試験において、「これから勉強します」「今、勉強しています」と言うよりも、
「勉強して、すでに資格を取得しました」と言えたほうが良いですね。
私自身も、高校時代に気象予報士資格を取得した結果として、
大学2年の時からテレビのお仕事をいただくことができ、
卒業後も、気象会社の社員として、気象報道に携わることができました。
気象予報士資格は生涯有効ですので、
早い時点で取得したほうが、資格の効用を長期間にわたって享受できます。
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第467話 4月から始める学習習慣
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> 「コツコツ積み上げることができれば合格できる試験である」ということを信じて
> 毎日少しの時間でも勉強するようにしました。
> 朝しか勉強する時間が取れないのですが、
> 最初は朝早く起きて机に向かうことだけでもしんどいレベルでした。
> 資格の勉強も初めてのことで、1時間机に向かったら大満足するほどでした。
> それでも年間350日は何らかの形で取り組みました。
> 勉強が習慣化してくると次第に勉強時間も延びて、
> 第59回試験前は平日2時間半、休日6時間程度できるようになりました。
■Oさん(男性・42歳・マスコミ関係・関西地方)の合格体験記より
気象予報士試験の合否を左右するのは、「学習の蓄積」ができるかどうかです。
今までに私が見た中での「合格までの最短期間」は、1年をかろうじて切る程度であり、
2年以内の合格であれば「短期合格」と言えます。
つまり、少なくとも、これくらいの期間にわたって受験勉強を持続させることが、
合格を得るための条件であると言えます。
そのためには、受験勉強の習慣化が必須要素となるのですが、
ちょうど今の時期は、学習習慣を身に付けるのに最適な時期であると言えます。
その最大の理由は、早朝学習に取り組みやすい時期であることです。
これから初夏に向けて、夜明けがどんどん早くなっていき、
朝の冷え込みも弱まっていきますので、早起きしやすい時期ですね。
仕事や家事が一段落した夜に勉強をされる方も多いと思いますが、
「寝る直前の疲れた頭」より「寝た直後の新鮮な頭」のほうが、
新しいことを学習するためには適していると、私自身は感じています。
また、4月は年度が切り替わる時期であり、
正月に次いで、新たなことを始めるための良いタイミングであると言えます。
ここで大切なことは、張り切り過ぎて、高すぎる目標を設定しないことですね。
Oさんも最終的には「平日2時間半、休日6時間程度」という学習量となりましたが、
当初は「1時間机に向かったら大満足」という状況だったわけです。
もし、最初から高いハードルを設定されていたのであれば、
現実とのギャップが大きすぎて、習慣化に挫折された可能性もあります。
まずは、楽々に達成できる「ゆるい目標」を設定されたうえで、
その後にバーベルの重量を少しずつ増やすようなイメージで、
学習の習慣化を確立していかれると宜しいかと思います。
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第468話 まず、「受験する」と決める。
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> 気象予報士は資格ができた時から関心があり、
> 何度か勉強しかけては受験せずに諦めることを繰り返していました。
> 今回はだめでもいいから必ず受験しようという意気込みで勉強を始めました。
■Bさん(女性・50代・主婦・北海道)の合格体験記より
気象予報士試験を受けるためには、条件にもよりますが1万円程度の受験料を要します。
何度も受験すれば、そのぶんだけ費用がかさみますので、
「全ての受験勉強が完成したうえで、一発合格すれば、最もコスパが良い」と言えます。
一見すると、「なるほど!」と思える合理的な考え方です。
しかし、私が実際に一発合格される方を目にしたのは、一度きりです。
これは、何を意味しているのかと言いますと、
「長期的な目標だけで頑張り続けることは難しい」ということです。
逆に、「短期的な目標があると、頑張れることが多い」と言えます。
極端な話、資格試験の内容すら知らない状態であっても、
とりあえず受験手続を行ってしまい、「何月何日に受験する」ということが決まれば、
不思議なもので、勉強に対する関心も高まってくるものです。
試験に限らず、例えば友人から結婚式でのスピーチを頼まれてしまえば、
挨拶文を組み立てながら、事前に練習を繰り返すことになりますし、
海外旅行のツアーを申し込んでしまえば、現地の事情にも関心が高まるものですね。
先にアクションを起こしてしまう(起こってしまう)ことにより、
それに向かって、短期的に「やるべきこと」が可視化されると、
タスクをこなすための意欲が湧いてくる(湧かざるを得なくなる)というものです。
これを「スイッチが入る」と表現すると良いでしょう。
中には「オリンピックでメダルを獲る」という子供の頃からの夢を実現させる人もいます。
この場合、長期的に頑張り続けられる能力に秀でていることもあるのでしょうが、
それぞれの短期目標(例:地区大会優勝→県大会優勝→全国大会優勝)に向けて、
頑張った結果の積み重ねという面が大きいようにも思います。
言い換えれば、短期目標を適切に設定し、それを順番に達成していくことで、
結果的に長期的な目標も叶えていくということなのですね。
Bさんの場合、気象予報士資格創設時から関心をお持ちでありながら、
何度か始めた受験勉強が継続しなかったのも、
「実際に受験をする」というアクションが無かったことが、一因のように思われます。
誰でも日々やらなければならない課題・任務に追われながら、生活しています。
そんな中で、期日もハッキリしない遠くの目標に向かって走り続けることは、とても難しいです。
だからこそ、長期目標を小さな短期目標に刻むことが大切ですし、
次の行動に着手せざるを得ないようなアクションを敢えて行うことも有効なのですね。
Bさんが合格を勝ち獲られたのは、「今回はだめでもいいから必ず受験しよう」という、
明確な短期目標を設定されたことが1つの理由だと確信しています。
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第469話 続けるための休憩を大切にする。
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> 受験勉強がしんどく感じたときは合格体験記を読んだり、
> 近所のご飯屋さんにご飯を食べに行って気分転換をしていました。
> ランニングをして受験勉強のことを考えない時間をつくることも私にとっては効果的でした。
■Nさん(男性・20代・大学院生(理系)・東北地方)の合格体験記より
勉強開始から合格まで、長い時間を要するのが、気象予報士試験です。
よって、合格を勝ち獲るためには、中・長期的に受験勉強を頑張り続けることが必須となります。
言い換えれば、合格できるまで続けられる勉強こそ、正しい手法です。
この勉強マラソンを貫徹するための1つの秘訣は、「適度に休憩すること」です。
そもそも、気象予報士試験に挑戦しようとされる方は、
向学心が高くて、頑張り屋さんが多いです。
本業があるにもかかわらず、それと並行して受験準備を進めることは、
志があるからこそ、できることなのですね。
ただ、頑張り屋さんであるということは、「つい無理をしてしまう」一面もあるかと思います。
キツすぎる学習計画は、長続きしないのですね。
前述のとおり、合格できるまで続けられる勉強こそ、正しいのですから、
「どうすれば、無理なく継続できるか」という点を重視されることが大切です。
そのためには、休憩(息抜き)を適切に入れることです。
受験生時代のNさんは、受験勉強がしんどく感じたときに、
「合格体験記を読む」「外食」「ランニング」を、気分転換として活用されていました。
「受験勉強がしんどく感じたときに、歯を食いしばって勉強を頑張る」というのは、
短期的には成り立っても、長続きするものではありません。
適度な休憩を挟むからこそ、心身ともにリフレッシュされるので、
「また勉強頑張ろう」という気持ちも湧いてくるのですね。
合格体験記をお読みになる際に、
「どのようにして勉強を頑張ったか」という点に着目される方は多いですが、
合わせて「どのような手法で気分転換を図ったか」という点にも着目されると、
学習継続のための手がかりが見つかると思います。
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第470話 スピード合格を勝ち獲る受験生の特徴とは?
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> 私が入塾してから試験までは約3か月半で、この間質問や添削依頼は一度もしていません。
> 大体のことは講義を見れば理解できます。
> それでもわからない問題が稀にありましたが、捨て問だと解釈してました。
> (8年分の過去問で1、2問くらいです)
> 100点を取らなきゃいけないわけじゃないので、上手に切り捨てることも悪いことじゃないと思います。
> それよりも"とれる問題を確実にとる"だけで合格は目指せます。
■Eさん(女性・26歳・アルバイト(元SE)・千葉県)の合格体験記より
上記の「8年分の過去問で1、2問くらい」に着目です。
1、2問くらいの例外を除き、過去8年分の問題全てを理解されたということです。
過去8年分の問題を仕上げていれば、それらに関連する試験問題については、
応用を利かせることで解ける可能性が高まります。
もちろん、試験では新たな着眼点や思考が求められる問題も出てきますが、
Eさんが仰るとおり、「100点を取らなきゃいけないわけじゃない」のですから、
新問を解こうと力む必要は無いのです。
Eさんが「とれる問題を確実にとる」と仰っているように、
過去問題演習で対応できる問題を、できるだけ落とさずに着実に刈り取っていく、
ということが大切なのですね。
Eさんは2回目の受験で完全合格を勝ち獲られていますが、
こうしたスピード合格を勝ち獲られる方々には、共通点があります。
それは、重要度(優先度)の高低について見極めたうえで、
重要度の高い事柄に絞って集中的に取り組まれることです。
気象予報士試験の学習で言えば、
「基礎事項の学習」と「過去問題演習」は、重要度が高い勉強です。
基礎事項の学習内容について、着実に理解を深め、記憶に定着させ、
その上に過去問題演習を重ねていくことで、実力が高まっていきます。
もし、基礎事項の学習での理解や記憶の定着が不徹底であると、
過去問題演習も上手く進まず、モグラ叩きのような勉強になってしまいます。
一方、過去問題でほとんど出されたことの無いような部分や、
過去問題であっても「解法と直接に関係しない部分」は、こだわらずにスルーします。
気象が好きな受験生の場合、学問的好奇心が湧いてくることも多いと思うのですが、
趣味と受験勉強を明確に切り分けて、取り組まれることをお勧めします。
「目の前の問題が解けるようになること」こそが受験勉強です。
優先度の高い学習に特化する形で、時間と労力を集中させることは、
合格に必要な勉強だけを蓄積していくことを意味するのですから、
結果として、短期間で合格を勝ち獲れるのは自然なことですね。
受験勉強を進めるにあたっては、「やるべきことを徹底できているか?」と、
「優先度の低いことに時間と労力を割いていないか?」について、
常に意識していかれることが大切です。
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第471話 合格までは「守」に徹する。
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> 予報士の資格を持っている職場の先輩から、
> 「大丈夫です、小学生で受かる人もいるんですから」と言われていました。
> これは、「だから大人が頑張れば受かる」というわけではなく、
> 資格試験という性質上、パターンを理解していれば受かる、という意味だと思っています。
> パターンといっても膨大な量があり、頭に入れるには「理解すること」に尽きると思います。
■Iさん(女性・20代・アナウンサー・九州地方)の合格体験記より
「パターンを理解」といいますと、軽薄なイメージを持たれるかも知れませんが、
言い換えれば、「基本を徹底的に学習することが大切」ということですね。
日本の武道や茶道では、「守破離(しゅはり)」という言葉があります。
『デジタル大辞泉(小学館)』から、その意味を引用してみますと、
守:師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。
破:他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
離:一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。
という意味だそうです。
これに基づきますと、気象予報士試験の勉強は「守」に該当します。
合格を勝ち獲り、実際に資格を活用する段階になってから、
それぞれの道を進むことで、やがて「破」や「離」の段階に達すると私は考えます。
よって、受験勉強の時点では、試験合格に必要な知識・技能を、
徹底的に理解して習得されることが大切なのですね。
Iさんが述べておられるとおり、資格試験である以上、
過去問題を見ることによって、今後の出題範囲もおおよそ分かります。
これまでの試験において何度も出題されている問題は、
問題作成者の先生方が「気象予報士として重要」だと認識されているからであり、
その部分を重点的に学習することは、まさに「守」であると言えます。
プロフェッショナルが使う専門性の高い資料に触れたくなる気持ちも理解できますが、
まずは、目の前の課題に地道に取り組まれることが、この段階では最優先ですね。
「パターンの蓄積」という言い方をすると、
意味も分からずに暗記しまくることと誤解されるかも知れませんが、
もちろん、そういった意味ではなく、「土台をキチンと固める」ということです。
そもそも徹底的な理解なくして土台は固まりません。
Iさんは2021年12月に、初学者として受験勉強を開始され、
その約13か月後に実施された2023年1月の試験で完全合格を勝ち獲られています。
「守」の勉強に集中されたことで、スピード合格を達成されたのだと私は確信しています。
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第472話 私も頑張ります。
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> 自分の中で1つだけ決めていたことがあります。
> それば「日々の勉強で歩みが感じられる限りは挑戦をやめない。」です。
■Gさん(男性・56歳・コンピューター運用管理業務(気象とは全く無関係)・兵庫県)の合格体験記より
引用させていただいたGさんのメッセージは、今の私に刺さっています
現時点で、私は簿記2級の試験に4回落ち続けているのです。
昨年に受けた簿記3級の試験は2回目の受験で合格をいただけましたが、
その次に挑戦した2級の試験は学習範囲が広く、難度も高くて、苦戦しています。
簿記2級と気象予報士では、学習内容も合格率も異なりますが、
お仕事等と並行しながら、気象予報士試験の勉強を進める受験生の皆様の大変さを、
少し感じられたような気がします。
初回受験時のスコアが56点で、その後は59点→65点→68点ですので、
まさに、Gさんが仰るとおり、点数を見る限りは「日々の勉強で歩みが感じられ」ます。
ちなみに、合格点は70点です。
パソコンを使った受験ですので、試験が終わった瞬間に合否が分かり、
短期間に繰り返して受けられるのが、気象予報士試験には無い利点です。
ただ、問題を持ち帰ることはできないので、試験内容の検証と復習が困難であるのは、
気象予報士試験とは異なる部分ですね。
「ここで辞めたら、今までの勉強がパーになる」と思って、今日も苦手分野と格闘しています。
5回目となる次回の受験で合格できるよう、頑張ります。
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第473話 ゴールから逆算して考える。
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> それまで独学だったために目標到達点も自分の現在地もあいまいで正確に知るすべのなかった私に
> 明確な指針を示していただけたことが、不合格で落ち込んでいたモチベーションを復活させてくれました。
■Zさん(男性・28歳・無職・九州地方)の合格体験記より
資格試験の勉強は「合格」がゴールであり、そこから逆算して考えることで、
効率的に勉強を進めていくことができると考えます。
具体的には、実技試験の勉強であれば、
「過去7~8年分の問題演習を完璧に仕上げる」というのが最重要課題であり、
そうした勉強に入るために必要なのが、土台となる知識・技能の習得です。
ここでの「知識」とは「実技試験に関連する学科試験の範囲の知識」のことであり、
「技能」とは「資料の見方や作図(前線解析など)の方法」を指します。
学科試験の勉強であれば、
「少なくとも過去10年分の問題演習を完璧に仕上げる」というのが最重要課題であり、
そうした勉強に入るために必要なのが、土台となる知識の習得です。
つまり、いずれも「基礎事項の学習」→「過去問題演習」というルートで学んでいけば良いのであり、
道筋そのものは、極めてシンプルであると言えます。
にもかかわらず、多くの受験生が受験勉強で苦戦されるわけですが、
主な理由として、次のような点が挙げられます。
・ルートはシンプルだが、実際に勉強すべき量が非常に多い。(これが最大の理由ですね。)
・学習の過程で躓いたときのリカバー(取り戻し)が上手くいかない。
・ルートから外れた勉強(試験対策的に優先度の低い勉強)をしてしまう。
逆に言えば、質の高い勉強時間をできるだけ確保し、
躓いたときのリカバーが上手くできる仕組みを用意したうえで、
重要度の高い学習を集中的に取り組んでいくことができれば、
合格(もっと言えば「短期間で」)を勝ち獲れる可能性を高められると考えます。
限られた時間の中で最大の成果を出せるよう、
来月の試験日に向けて、集中的に取り組んでいきたいですね。
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第474話 直近の試験問題は、教材として使うことに意味がある。
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第60回試験まで残り1か月弱となり、受験勉強に奮闘している方も多いと思います。
ただ、いくら時間と労力を投入していても、方法が適切で無ければ、
努力に合った成果を得ることは難しいと考えます。
試験直前において、ご留意いただきたいことの1つが、
「最近の過去問題を温存してはいけない」ということです。
過去問題演習は、ほぼ全ての受験生の皆さんが行われる勉強ですが、
試験日直前に「力試し」という目的で使うために、
直近の過去問題だけ、敢えて手を付けないままにしている方がおられます。
これは、大変に勿体ないことです。
そもそも、過去問題演習というのは、実力診断のために使うものではなく、
本試験で勝つ(=正答できる問題を増やす)ために活用するものなのですね。
もし、気象予報士試験に、「1級」「2級」「3級」といったランクが存在しているのならば、
事前に実力査定をしたうえで、「今回は1級は難しいので、2級の受験にしておこう」といった、
受験戦略の材料に使うことができます。(大学受験における模擬試験も同じ理由です。)
しかし、現実には気象予報士試験は1種類しか無く、
事前に自分の実力を詳しく知ることに特段の意味は無いのですね。
例えれば、検温するかどうかに関係なく、自分の体温が変化しないことと同じです。
試験日直前に、最新の過去問題に取り組んで、その結果が70点だとします。
その際に、失点した30点の部分と似た問題が本試験で出て、解けなかったとすれば、
もはや過去問題に取り組んだ意味が無いのですね。
具体例として、第58回試験と第59回試験を見ますと、
一般知識試験の問1で、「放射対流平衡」に関する知識がともに出題されています。
第58回試験の理解が徹底していれば、第59回試験の同じ箇所で躓くことはなかったでしょう。
実際の演習でのスコアが、70点であろうと、40点であろうと、
その後の分析と復習で、完璧に仕上げることこそが、本当に重要な部分です。
この点を押さえていれば、類題が本試験で出題された際に正答できる可能性が高まります。
それが過去問題演習を行う意義なのですね。
もし、最新の過去問題を、大切にしまってあるのであれば、
すぐに教材として使い倒す(使い潰す)ことをお勧めします。
今なら、事後の分析や学習のための時間も確保できるでしょうから、間に合うはずです。
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第475話 体調を整えて試験に臨もう。
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> 試験当日はこれまでの試験と打って変わってあまり緊張せず、
> いつも通りの状態で試験に挑むことができたことを覚えています。
> 試験は出来ることはやったという印象でした。
■Nさん(男性・20代・大学院生(理系)・東北地方)の合格体験記より
> やりきったと思っていましたが、それでも試験当日は緊張しましたし、
> わからない問題も出て、試験中に心が折れかけました。
> しかし、私がわからなければほかのみんなもわからないだろうと割り切り、
> 自分との闘いだと思って解き進めました。
■Sさん(女性・30代前半・地方局契約キャスター)の合格体験記より
お二人の合格体験記の内容は好対照ですね。
あまり緊張しなかったというNさんと、緊張して心が折れかけたというSさん。
でも、共通していることは、今年の3月に合格を勝ち獲られたということです。
緊張せずに、平常心で試験に臨むことができれば、それに越したことは無いですが、
この試験の合否が今後の人生を大きく左右するのであれば、
緊張を抑えることは、とても難しいことだと思います。
「緊張してはいけない」と念じても仕方が無いので、
緊張する自分の姿も含めて認めてあげると良さそうですね。
また、当日の緊張を鎮めることは難しいかも知れませんが、
当日に向けて、体調を整えていくことは可能だと思います。
試験日までの残り時間が少なくなり、行える勉強量は限られています。
今後は「どれだけ勉強を粘るか」よりも「どれだけ体調を整えるか」という要素のほうが、
当日のパフォーマンスを高めるための要素として大きくなってくると考えます。
高い実力を持っていても、体調が最悪であれば、
長い試験時間内で全力疾走し続けることは困難ですね。
国立感染症研究所感染症疫学センター発表のデータによりますと、
ここ最近、コロナ感染の報告数は増加が続いています。
2020年から始まった「コロナ騒動」は落ち着きつつある印象ですが、
コロナという病気そのものが地球上から消えたわけではなく、
大切な試験を控えているときこそ、特に体調管理は大切ですね。
暑い時期で体力を消耗しがちで、夏バテしやすい時期でもあります。
そんな中、過度の受験勉強で、寝不足が続くといったことになれば、
体の抵抗力も落ちてしまう恐れがあり、心配です。
当日に実力を思う存分に発揮できてこそですので、
くれぐれも無理の無い範囲で、最後の勉強を仕上げていかれることをお勧めします。
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第476話 昨日に試験が終わったばかりですが・・・
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次回の第61回試験まで、今日でちょうど残り5か月です。
8月試験から1月試験にかけての期間は、
1月試験から8月試験にかけての期間に比べると、約2か月も短いのです。
「当該試験の合格者の大半は、前回試験の不合格者から生まれる」
という事実を考えますと、1月試験を有利に戦っていけるかどうかは、
8月試験から終了してからの期間を、どれだけ有効に使えるかどうかによります。
特に顕著であるのは実技試験です。
学科試験の場合、基本的には知識をインプットしていくという学習スタイルですので、
隙間時間をこまめに活用していくという手法がかなり使えます。
過去問題演習であっても、それぞれの問題は独立していますので、
細かく刻んで学習することが可能なのですね。
一方、実技試験の場合は、まとまった勉強時間が必須です。
問題全体が大きな流れを伴っており、参照すべき資料も多数ありますので、
勉強を始めて間もない時期は、1題全体をを解くために2時間も3時間も掛かることがあります。
思考が途切れてしまうので、「15分ずつ10回に分けて、1題を学習」といった方法は難しく、
例えば、混雑した電車の中で行うことは現実的ではありません。
実技試験の勉強には、まとまった良質の時間と空間を確保することが大切なのですね。
また、実技試験では、思考過程の結果を文や図として解答する必要があります。
どんな受験生でも、最初から的確な答案を作ることはできないのであり、
いろいろな壁にぶつかりながら、答案作成力を高めていくことになります。
この点が、マークシート試験の対策とは違った難しさです。
「学科試験は受かるのだが、実技試験が上手くいかない」という方は、
アウトプット力の習得という点で、躓いておられる可能性が高いです。
的確な答案を作れるようになるためには、まとまった時間と労力が必要になるのであり、
これを確保できるかどうかが、実技試験を征するための前提条件となります。
もちろん、試験が終わったばかりですので、少し休憩を取ることも良いと思います。
ただ、月内から勉強を再開する場合と、10月の合格発表後に再開する場合では、
1月試験までに確保できる勉強量にかなりの差が出てくることも事実です。
次回試験に向けて頑張っていかれる受験生は、
休み過ぎでエンジンが冷えてしまわないように心がけたいですね。
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第477話 自習室の効用
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> 休日は、予定のない日は自習室に行って5~6時間ほど勉強するようにしていました。
■Tさん(女性・20代後半・損害保険会社勤務・福岡県)
> 実技の演習は本番を意識して集中したかったため、
> 土日に自習室に通って行い、1日6時間は確保するようにしました。
■Hさん(男性・57歳・製薬会社勤務・大阪府)
いずれも第59回試験で合格を勝ち獲られたTさんとHさんは、
休日に自習室を活用されたという点で共通しています。
多くのビジネスパーソンにとって、仕事のある日にまとまった勉強時間を確保するのは難しく、
休日に長い勉強時間を充てられる方も多いことでしょう。
自宅ではなく、敢えて自習室を活用することで、
合格まで受験勉強を続けられたわけですが、その効用は3つ挙げられると思います。
まず、誘惑を遠ざけることができるということです。
自宅なら、テレビやYoutubeを横目で見つつ、菓子をつまみながらのユル勉も可能ですが、
真剣に勉強する人だけが集まっている自習室であれば、
学習に関係の無いものを一切排除して取り組む空気が張り詰めています。
スマホのバイブ音さえ憚られる自習室もあることでしょう。
敢えて厳しい環境に身を置くことで、強制学習モードを確保できます。
同じような志を持った方が集まる中での勉強は、気合いが入りそうですね。
2つ目の効用として、場所移動による気分転換が挙げられます。
先ほどのような誘惑を遠ざければ、自宅での勉強も十分に活用できますが、
長時間取り組んでいると、疲れてくるのですね。
そんなときに、別の場所に移動することで気分を一新することができます。
私は仕事でノートパソコンを使うことが多いのですが、
同じ場所で続けていると集中力が切れてきますので、
場所を変えることで、気分も切り替えることにしています。
例えば、駅で電車を待っている時間は、意外に集中できるものです。
受験勉強であれば、午前中は自宅で、午後は自習室でといった活用法も考えられます。
3つ目の効用として、これは有料の自習室に限られることですが、
「身銭を切って学んでいる」という緊張感を自分に与えることができます。
何事も無料であるというのは素晴らしいことではありますが、
それゆえに成果が出なくても、損をした気分にはなりにくいものです。
利用料を支払ったうえで自習室を活用するからこそ、
投資したぶんのリターンを考えることができるのであって、
結果として、より真剣に受験勉強に取り組むことができるのだと思います。
自習室で頑張る方々を取材したドキュメント番組の動画を、
Youtubeで幾つも見ることができますので、
雰囲気を掴んでいただくのに参考になると思います。
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第478話 学科試験の過去問題演習はどれだけやるべきか?
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> 学科では過去問と類似した問題がよく出題されるので、
> 過去問の完成度を高めておくのは非常に有効です。
■Uさん(男性・50代・インフラ関連会社勤務・千葉県)
第60回試験の直後に学科試験の解答速報を公開させていただきました。
(まもなく公開を終了予定です。)
解説だけでなく、類似した過去問題についても列挙しておりますが、
今回の試験でも過去問題と似たものが多いことを実感します。
例えば、一般知識試験の問3に関しては、
平成27年度第2回試験の一般問1と思考パターンが完全に同じです。
やはり、過去問題演習を充実させることこそが、試験合格の王道であると断言できます。
ただ、「過去問題演習を充実させる」といった抽象的な表現ですと、
具体的にどれくらい勉強すれば良いのかがピンとこないかも知れないですね。
ズバリ数字を挙げますと、学科試験の場合は「最低でも10年分以上」です。
「5年分もやったのに、結果が・・・」という声をお聞きすることがありますが、
率直に言って、全然足りていないということになります。
演習量を増やすほど、習得できる知識や解法も増えていきますので、
本試験への対応力が高まります。
実際のところ、直近10年程度の過去問題の中に、
本試験の問題と似た問題が多数含まれています。
なお、専門知識試験の場合、技術革新や制度変更に伴って、
すでに古くなってしまっている過去問題が多数あります。
例えば、今回の試験でいいますと、問6で出された降水短時間予報については、
2018年から予報期間が「6時間先まで」から「15時間先まで」に変更されています。
当然ながら、古い問題では現在の内容が反映されていないので、
気象庁ホームページなどで最新情報を掴んでおかれることが大切ですね。
一方で、毎回の試験で、過去問題との類似性が低い問題も出てきます。
今回の試験でいえば、一般知識試験の問6は、
敢えて教科書的なパターンとは逆の状況を設定した問題が出されました。
これは「表面上の丸暗記」で解くのは困難であり、
しっかりとした基礎知識と、そこから思考を積み重ねていくことが求められる問題です。
問題文の内容を丁寧に検討していくためには、ある程度の時間を要しますが、
素早く解答できる問題が数多くあるからこそ、
難度の高い問題に取り組む余裕も生まれるのですね。
このように、過去問題演習は、この試験勉強において必要不可欠な勉強ですが、
その段階に至る過程では、土台となる基本学習の充実が必須です。
問題演習において、十分な納得に至らないことが多い場合は、
基礎学習に戻って足場を固めることも大切ですね。
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第479話 勉強時間を捻出する方法
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> おそらく大変なのは勉強の内容そのものよりも、
> 「勉強時間の捻出」ではないかと想像します。
■tgknさん(男性・30代・地方公務員・埼玉県)の合格体験記より
お仕事と家事育児を並行して受験勉強に取り組まれたtgknさんの言葉は、
多くの社会人受験生の皆様にとって突き刺さるものではないでしょうか。
もちろん、気象予報士試験の勉強は難度も高く、分量も多いですが、
決して0から1を作り出すような頭の使い方が求められるものではありません。
あくまでも資格試験の一種であり、「知識を増やす」「論理を追う」ことがメインです。
適切な教材を活用して、基礎からコツコツと積み上げていくことができれば、
小さな雪の玉が、やがて大きな雪だるまへと成長するように、
実力は伸びていくのだと確信しています。
そのために必要なものの1つが、時間です。
スマホやタブレットなど、20年前には無かった電子機器は、
通勤電車でさえも学び舎に変えてしまうほどの威力を持っています。
これらを活用されることで、学習効率は大きく向上することでしょう。
しかしながら、効率を無限に高めることはできないのであり、
合格水準まで実力を引き上げるためには、絶対的な時間量が必要です。
そこで、tgknさんは「早寝早起き」「通勤時間と昼休みを活用」を実践されました。
これらには共通点があり、習慣化に成功すると、まとまった勉強時間を確保できることです。
例えば、早朝の1時間を確保できれば、1か月に30時間を捻出できます。
通勤時間と昼休みから捻出できる時間が仮に2時間だとすれば、
1か月で(出勤日が20日間あるとして)40時間を捻出できます。
つまり、これを1年間続けると、(30+40)×12か月=840時間になるのですね。
ここに休日の勉強時間が加われば、年間1000時間以上の確保も可能です。
もちろん、Youtubeなどで息抜きすることも大切だと思いますが、
tgknさんが合格体験記本文で書いておられるように、
「息抜きせずに走り続けている人と勝負しなければいけない」という点もあるのですね。
「仕事も、家事育児も、受験勉強も」という方がおられる一方で、
気象業界や放送業界への就職や転職のため、持っているエネルギーの相当な部分を、
受験勉強に投入されている方もおられます。
そういった方々と狭い合格枠を争うという一面があることも事実です。
多くの社会人受験生にとって、勉強時間の確保は大きな課題の1つですが、
実は1日のスケジュールを見直してみると、勉強に使える時間を発掘できると思います。
その際に注意したいことは、「勉強時間を加える」だけだとパンクするということです。
習慣化による継続こそが大切なのですから、心身に無理を来すようでは意味がありません。
例えば、「仕事終わりに飲みに行くのをやめる」とか、
「スマホゲームをアンインストールする」といった、引き算でのスケジュール管理も大切ですね。
tgknさんも「早起き」だけでなく「早寝」をセットにしていることに着目です。
単に睡眠時間を削っただけでは、長期的に頑張ることは難しいからですね。
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第480話 リアルな仲間からエネルギーをもらう。
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> 塾の懇親会で先に合格された方に励ましていただけたのも大きかったです。
■Sさん(男性・44歳・化学メーカー勤務(技術屋の端くれです。))の合格体験記より
> 藤田先生が開催されている懇親会に参加し、私と同じように文系出身の方が多くいらっしゃり、
> 物理で苦労された方も多くいらっしゃることを知ることが出来たのも大きかったです。
■Eさん(女性・25歳・サービス業・兵庫県)の合格体験記より
コロナ禍のときは中断していましたが、昨年より懇親会を再開しています。
通信型の当塾において、受験生や気象予報士の皆様が集まる唯一の場です。
遠方からお越しの方も多く、大阪でワイワイ楽しい時間を過ごします。
懇親会を行う最大の目的は、「同じ志を持つ仲間の存在を意識できること」にあります。
もちろん、「受験に関する具体的な情報を得る」という側面もありますが、
正直なところ、情報そのものは遠隔的手段であっても多数入手できるのですね。
たくさんの情報があっても、埋め切れないもの、
それは「自分と一緒に頑張っている人がいる」という確信かも知れません。
この試験の受験勉強において最も大切なことは、意欲的に勉強を続けられるかどうかです。
試験の範囲と分量を考えれば、短くても1年程度の勉強が必要ですので、
受験期間にわたってモチベーションを維持できるかが勝負になります。
どうすれば学習意欲を継続できるかは、人それぞれです。
家族の応援・サポートが第一だと感じる人もいれば、
疑問点がすぐに解消できるような機会こそが最優先だという人もいるでしょう。
そして、受験勉強の労苦を分かち合える同志の存在を重視する人もいます。
気象予報士試験は、世間の知名度のわりに受験生が少なく、
「自分の周りに受験生や有資格者がいる」という人は少数派だと思います。
つまり、勉強仲間を見つけるのが難しい試験なのですね。
もちろん、今ではバーチャルなネット世界での交流を活用して、仲間と一緒に頑張る方も多く、
当塾の合格体験記からも、それが合格の原動力になった方が多数おられることが分かります。
一方で、「ハンドルネームとアバターを介した遠隔交流ではなく、リアル世界で分かち合いたい」
と切望し、それが受験勉強の原動力になる方もおられます。
何が励みになるかは人それぞれで、自分に合った方法を見つけることが大切ですね。
もちろん、受験勉強は「1人」で行うものです。
知らないことを理解して、それを記憶に留める作業は、自分1人での作業です。
ただ、こうした地道な勉強を同じように取り組んでいる他人の存在を確証できると、
なぜか、もう少しだけ頑張れたりするのですね。
「1人」だけども「独り」ではないということでしょうか。
かつて受験生として参加されていたお客様に、
気象予報士として再会できることは、私にとっても嬉しいことです。
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第481話 困ったときは先達の足跡を見る。
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> 私も数年前から諸先輩方の体験記を見て
> 「いつか合格体験記を書くぞ!」という思いと
> 「必ず合格するまでやり切る」と決めて勉強を進めておりました。
■YKさん(男性・40代後半・製造業開発職・福岡県)の合格体験記より
資格試験の受験生には1つの共通した特徴があり、
当たり前のことですが、「その試験の合格を経験したことのない人」であることです。
よって、「どのくらい勉強を重ねれば合格圏に入るのか」ということを、
少なくとも皮膚感覚としては分からないまま、手探りで勉強を進めることになります。
このときに「自分の頑張り感覚」「かいた汗の量」だけで、勉強の到達度を測ろうとすると、
客観的なポジションと食い違ってくることがありますので、注意が必要です。
極端な例えになりますが、マラソンの距離が42.195kmあることを知らないまま、
「自分はもう20kmも走り続けているのだから、ゴールは間近だろう」
と思い込んでしまうことと似ています。
特に受験勉強は、合格までに「やるべき量」が可視化されにくいので、
「合格圏に突入するために必要な勉強量」が分かりづらく、
それゆえに、「これだけ頑張ったのだから」という主観に頼りがちです。
ただ、本人として「これだけ頑張った」という分量が、
客観的に見れば「これだけしか頑張れていない」という冷酷な事実だったりします。
そこが気象予報士試験の厳しさの1つだと言えます。
全受験者数が少なく、1人で勉強を進めている方が多いので、
「これが標準的な勉強量」というレベルが分かりにくいのですね。
だからこそ、前回のメルマガでは、受験生どうしの交流について述べたわけですが、
それが難しい場合、先輩受験生の合格体験記を読むことをお勧めしています。
合格体験記と言えば、「成功者の手柄話」という印象を持たれるかも知れませんが、
少なくとも当塾の元受講生が書かれた体験記には、失敗談もたくさん出てきます。
YKさんをはじめ、体験記を書いて下さっている方々自身が受験生だったときに、
同じように先達の合格体験記を活用されていたというケースが多いのです。
それゆえに、執筆される方の多くは、後に続く受験生を意識されながら、
「これを軽視するとドツボにはまる」「この点に力を入れて取り組むと良い」
といったアドバイスを盛り込んでくれています。
受験生のときは無我夢中で、自分の立ち位置もよく分からなかったりしますが、
実際に合格を取った後であると、足跡がクールに見えるのですね。
先達が経験した回り道や躓きの場所を捉えることができていれば、
それを回避できる可能性も高まり、より効率的な受験勉強につながります。
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第482話 今の仕事に幅と深みをもたらすための気象予報士資格
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> 私は地方自治体に勤めています。
> 地方自治体は住民に避難指示を出す役割を担っていますが、
> 私の職場には気象に精通している人はいませんでした。
> そこで、気象予報士の資格を取得し、いつか防災に携わる仕事ができたらいいなと思いました。
■Oさん(男性・30歳・地方公務員・埼玉県)の合格体験記より
一般に気象予報士といいますと、気象会社での予報業務や、
マスメディアでの報道業務をイメージされる方が多いと思います。
もちろん、こうした業界への就職や転職を目指して受験勉強を頑張る方も多いのですが、
「今の仕事に役立てる」という目的で、資格取得を目指す方のほうが多いように感じます。
仕事の内容に気象が絡んでくる業界は実に多いのですが、
実際に気象予報士資格を取得している人数は、1万人を少し超えた程度です。
これは、日本の人口比で考えますと「1万人に1人程度」の割合に過ぎません。
よって、Oさんの職場にも有資格者がおられなかったのですね。
これは何を意味するかと言いますと、気象予報士資格には「希少性」があるということです。
もちろん、気象会社においては、この資格に希少性は無く、
むしろ「持っていない人が少数派」という会社もあるかも知れません。
しかし、気象そのものを本業としない業界は、それゆえに気象の専門資格が珍しく、
資格を取得していることの価値が高いと考えられます。
私は高校在学中に気象予報士資格を取得し、その後に気象報道に関する仕事に携わり、
27歳からは気象予報士試験の受験支援の仕事を行っていますので、
それ以外の業界におけるお仕事事情を全く知りません。
一方、気象とは異なる業界で経験を積み、専門性を磨いてこられた方が、
新たに気象予報士試験の勉強に取り組まれれば、
私には決して見えない「つながり」や「新たな発想」が浮かんでくるように思います。
特に、Oさんのように、今後の仕事の具体的な目標が定まっている方は、
ぜひ、この資格の勉強に挑戦されることをお勧めします。
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第483話 耳学の活用
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> 電車の中では授業の音声だけ聞いたり、スマホで暗記をしたりしていました。
■Eさん(女性・25歳・サービス業・兵庫県)の合格体験記より
> 電車内では視聴済み講義の音声をくりかえし聞きました。
> 音声だけでも充分ですが、スマホでテキストを見ながら聞くと更に理解度が増しました。
■Rさん(女性・50代・NPO勤務・東京都)の合格体験記より
里山の中を黙々と歩いているときなどは、頭の中がヒマなので、
Audible(オーディブル)で本の朗読を聴くことがあります。
プロのナレーターが朗読してくれるので、
Kindle(キンドル)の自動音声よりも心地良く聴けます。
先日は、以前に何度か(目で)読んだ本について、
Audible版が登場しましたので、耳での再読(再聴)を行うことにしました。
本の内容は頭に入っているつもりでしたし、既知の内容も多かったのですが、
それと同じくらいに、初めて耳にするような内容も出てきたので、驚きでした。
つまり、自分はキチンと読めていなかったのですね。
文字で読書をする場合、目の動きは音声よりも圧倒的に速いです。
だからこそ、音読よりも短時間で読了できるわけですが、
それと同時に、読み飛ばしてしまっている部分も多々あるのだと感じました。
聴くことによる情報入手は、読むことに比べて遅くなりますが、
Audibleですと再生速度の変更ができますので、時間短縮が可能です。
私の場合は1.7倍で再生しています。
受験勉強においても、読むことによる学習がメインの方は多いと思いますが、
EさんやRさんのように、聴くことによる学習を活用される方もおられます。
音声学習の大きな長所は、勉強に使える時間・機会が拡大することですね。
文章を読むためには、体を静止させる必要がありますが、
聞くことであれば、体を動かしながらでも大丈夫です。
例えば、ランニングや掃除の時間を学習に充てることも可能です。
ノイズキャンセリング機能の付いたワイヤレスイヤホンもありますので、
混雑した電車内のような場所でも、学習に活用できる機会が増えています。
一方、歩行中に周囲の音が聞こえなくなってしまうことを防ぐため、
私は骨伝導イヤホンを愛用しています。(耳を塞がないのが良いですね。)
12月に入り、何かと特に忙しい時期ですが、
便利な道具を有効活用することで、学習の機会を広げていきたいですね。
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第484話 試験日に向けて学習範囲を絞る。
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試験日が近づけば、そのぶんだけ取り組める勉強量は少なくなります。
限られた勉強量で、最大の成果を出すためには、
次の2つの点に留意されると良いですね。
1.受験科目を絞る。
2.必要な学習だけに集中する。
まず、1ですが、気象予報士試験が一般・専門・実技の3科で構成されていて、
学科2科の合格が実技試験の採点を受ける条件である以上、
まずは学科試験の合格が最優先となります。
可能であれば、1回の受験で全科目の合格を勝ち獲れるに越したことは無いですが、
それを実現できる受験生はごく僅かです。
例えば、前回の第60回試験では合計206名の合格が生まれていますが、
この試験で3科全てに合格された方は23名であり、合格者全体の1割程度に過ぎません。
(注:気象業務支援センター試験部発表のデータより。
第60回試験での全科合格という意味であり、初回受験での合格とは限らない。)
もちろん、全科合格を目指して受験勉強を頑張られることも1つの道ですが、
実技試験の勉強に手を出してしまったために、学科が1科しか獲れなかったとか、
学科2科を狙おうとしたために、1科も獲れなかった、
といった状況はできるだけ避けたいところです。
試験日が近づいてきたからこそ、できるだけ冷静に立ち位置を判断し、
必要であれば、学習課目を絞ることも1つの選択肢だと思います。
2については、受験勉強の仕方に関する話です。
受験勉強というのは、「誤答」を「正答」に変えていくための過程であり、
この点を改めて強く意識されることが大切です。
すでに理解できていている事柄を、何度もこすり続けるような勉強は非効率です。
まだ理解度が充分では無い問題や、サッパリ分からないような問題を、
1つ1つ潰していくことができれば、そのぶんだけ実力は高まります。
取り組むべき問題だけに集中していくために大切なことは、
演習を終えるごとに、チェックを入れておくことをお勧めします。
例えば、単語帳や用語集の暗記本には、□がいくつか並んでいて、
正しく解答できた際に、チェックを入れられるようになっています。
これと同じ要領で、適切に解答できるたびに印を付けておかれますと、
勉強の成果を可視化できます。
つまり、どの問題が苦手なのかがすぐに分かるということですね。
こうした仕訳(分類)がキチンとできることで、
必要な学習に集中して時間と労力を投入することができるのであり、
限りある受験勉強の機会を最大限に活用できると考えます。
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第485話 小さなきっかけを、大きく育てる。
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第60回試験で合格を勝ち獲られた元受講生の皆様が、
気象予報士を志したきっかけを以下にまとめてみました。
> 将来マスコミ関係に進みたいと考えています。
> そのためには大学での政治学の学習だけではなく、何か他にも知識をつけたいと考えていました。
■こまちさん(女性・20歳・私立大学法学部政治学科3年・神奈川県)
> 日々のニュースや天気予報を見て、とても身近なことなのに何も理解していないと思い、
> 詳しく学んでみたいと思ったことがきっかけです。
■A.Kさん(男性・22歳・パートタイム職員・文系・茨城県)
> 以前、実家が河川の氾濫により床上浸水の被害にあっており、
> 気象現象や気象災害の知識を深めたいと思ったのが、きっかけです。
■Oさん(男性・30歳・地方公務員・埼玉県)
> 大学2年の時に受講した気象学の基礎的な講義が、
> 気象予報士試験の一般試験の一部に対応していることを知り、
> 講義の延長という形で試験勉強を始めました。
■くえんさん(男性・21歳・大学3年・新潟県)
> 子供の頃から天気予報が好きで、いつか気象予報士の資格を取りたいと思っていました。
> 20年以上先送りにしていたのですが、チャレンジしようと思い立ち、
> ネット上で評判の良さそうな藤田先生の塾に入塾しました。
■Sさん(男性・44歳・化学メーカー勤務(技術屋の端くれです。))
> 私は幼い頃から科学に興味があったことと空が好きで
> 綺麗な雲を見たらよく写真を撮っていた事もあり、気象予報士に興味がありました。
> 気象予報士試験の勉強をする前は気象に関しての知識はなかったのですが、
> とりあえず始めてみようと考え、大学入学前から勉強を始めました。
■Qさん(女性・21歳・国立大学理学部地球物理学分野・茨城県)
> 学生の頃に日中のテレビで面白い気象コーナーを見て、
> 気象に興味を持ち、受験を決意する。
■Lさん(男性・30代・地方公務員・兵庫県)
> なぜか私が行くところ雨が降る、いわゆる雨男という特性を活かし(笑)、
> なぜ雨が降るのか知りたいなと思ったのが気象予報士の資格取得のきっかけです。
■Wさん(男性・50代・地方公務員・千葉県)
> 気象キャスターになりたいと思い、気象予報士の勉強を始めました。
■Cさん(男性・24歳・フリーター・東京都)
> 2017年7月に起きた「九州北部豪雨」を通して、自然災害にも目を向けるようになり、
> 平行して、不可能と決めつけていた気象予報士試験に挑戦すべく、
> 2018年の7月頃から勉強を開始しました。
■I.Hさん(男性・26歳・会社員・三重県)
> 試験勉強を始めた当時、防災担当部局に所属し、
> 気象情報に接する機会が多い中、気象予報士資格取得への興味がわきました。
■Aさん(男性・50代・地方公務員・九州)
> 子どものころから雲の動きや環境問題に興味があったこと。
> ナレーターとしての自分の今後を考えた時に、何かしら特色がある方が良いと思ったこと。
> 逆に気象予報士としてナレーションの技術を活かせる場もあるのではと思ったこと。
■H.Tさん(男性・32歳・ナレーター・埼玉県)
> 新卒で就職した会社に勤めて3年目に、体調を崩したことがきっかけでした。
> 休職をきっかけに、自分らしく自分のやりたいことを仕事にして生きていきたいという思いが強くなり、
> 休職から約半年後退職を決意するとともに気象予報士になる夢に向かって勉強し始めました。
■Zさん(女性・20代・元食品メーカー営業)
このようにして見てみますと、気象予報士を志す契機は人それぞれであることが分かります。
最初から明確に資格取得への設計図を描いておられた方もいれば、
本当に些細なことから資格試験への勉強につながった方もいるのですね。
ただ、「はじめの一歩」は、受験生によってさまざまですが、
そこから合格に向けて、志を持って勉強を始め、継続されたことについては、
皆様にとっての共通点であり、だからこそ前回試験での合格につながったのですね。
「面白そうだ」「やってみたい」という興味・関心を、大きく育てることで、
1つの資格取得につながり、気象予報士としての人生も始まったと言えます。
今日から新たな年が始まりました。
何かを始めようと決意するのに、今日ほど適した日は無いと思います。
今月28日に予定される第61回試験の受験申請はすでに終了していますが、
8月に行われるであろう第62回試験に挑戦することは、今からでも可能です。
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第486話 試験日に全力投球するために
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> 試験当日は一切参考書を開かず、試験会場に着いてからは、
> どのように試験問題を解き進めるかをイメージトレーニングし、
> 後は、目を閉じ脳を休めました(実技2科目で頭をフルに回転させるため)。
> また、合格した回は、試験直前にバナナのみ食べ、
> 実技1と2の合間の休憩時間もバナナを食べました。
■I.Hさん(男性・26歳・会社員・三重県)
いよいよ試験当日まで10日あまりとなりました。
試験当日に向けて、暗記物を中心とした最終確認を進める時期ですが、
その一方で体調を整えていかれることも大切ですね。
いくら事前の受験勉強が充実していても、
体調が万全で無ければ、持てる実力を十分に発揮できないです。
特に1月の試験は、冬であるがゆえに、風邪などを引きやすい時期でもあります。
午前中の学科試験から受験する場合は、相当な長丁場になりますので、
実技試験の最後までアクセル全開で解き進められるかどうかは、
その日のコンディションに大きく左右されます。
解消しておきたいのが寝不足ですね。
試験直前に深夜まで受験勉強に取り組まれる方もおられますが、
試験中に眠気に襲われることの無いよう、
睡眠負債をゼロにしておかれることをお勧めします。
これは私自身が実技試験の最中に眠りこけてしまったという、
手痛い経験に基づく話でもあります。(もちろん、その試験では落ちました。)
試験時における昼食についても、気を配りたいところです。
第347話(No.353 2018年8月20日発行)では、
糖分補給として羊羹を推奨された元受講生の体験記をご紹介しました。
一方、冒頭で引用したように、前回の第60回試験で合格されたI.Hさんは、
バナナによる栄養補給を実践・推奨されています。
ちなみに私自身が合格したときは、チョコレートを食べました。
どの食材が良いのかは、好みや体質にもよると思いますので、
今から試験日に向けて、ご自身に合ったものを検討していかれると良いですね。
試験当日に、実力を完全に出し切れることを願っております。
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第487話 短期合格を勝ち獲る受験生がしていること
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気象予報士試験は決して一夜漬けでどうにかなるものではありませんが、
受験生の中には、勉強開始から2回以内の受験で合格を勝ち獲られる方もおられます。
このようなスピード合格に至った理由は何なのでしょう?
実際に短期合格を勝ち獲られた元受講生の皆様の合格体験記を踏まえて、
講師の目から見た「ここが大切」をご紹介します。
最初に結論から申し上げますと、集中的に実力を高める受験生の特徴として、
1.圧倒的な学習量
2.入念な基礎学習
3.徹底した過去問演習
を挙げることができます。
【1.圧倒的な学習量】
> バイトのある日 4~5時間
> 休みの日 10時間
> 通算で800-900時間ほどだと思います。
> 文系だったため、前提知識はほぼゼロでした。
■Cさん(男性・24歳・フリーター・東京都)
学習効率が大切であることは言うまでも無いのですが、
一定以上の質を確保できるのであれば、
「1時間の勉強」が「10時間の勉強」に勝ることはありません。
Cさんは勉強開始から約半年で、一発合格を果たされていますが、
このように超短期間で合格を勝ち獲られる方は、
かなり集中的に受験勉強に取り組まれていることが分かります。
同じく第60回試験にて、2度目の受験で合格を勝ち獲られたA.Kさんですと、
毎月約100時間の勉強を1年にわたって継続されています。
https://rojiura.jp/taikenki60.html#5
これだけの勉強を毎日確保することは、
フルタイムで働く社会人受験生には難しいと思います。
そもそも受験勉強を取り巻く環境・条件が異なるのですから、
「厳しすぎる学習スケジュールを立てない」ということも大切です。
1日に確保できる勉強時間に制約がある場合は、
ある程度の期間にわたって、学習を蓄積していくという戦略で臨まれると良いですね。
【2.入念な基礎学習】
> まずは講義を何周も視聴しました。
> しかし、最初の2周ほどはただ聞くという状態、
> 3周目はしっかり教材にポイントをメモする、
> 4周目以降はわからなかったところを中心に視聴するという流れです。
■こまちさん(女性・20歳・私立大学法学部政治学科3年・神奈川県)
例えば、水蒸気圧と飽和水蒸気圧の区別ができない状況において、
一般知識試験の過去問題演習を進めることは厳しいです。
同じように、温度移流や温度風の概念がよく分かっていない状態で、
実技試験の問題演習を進めることも難しいでしょう。
多くの試験問題は、基礎事項の応用という形で出題されていますので、
問題の正答率を高めるには、基礎を丁寧に押さえていかれることが大切です。
基礎学習は筋力トレーニングのようなもので、地道な過程ですが、
これを着実に積み重ねていかれることで、得点力を高めていくことができます。
【3.徹底した過去問演習】
> 【過去7~8年分の過去問】を徹底すること、は本当にその通りだと思います。
> 私もこれを最初聞いた時、少なすぎるのではないか、
> と不安に思い随分前の過去問にまで手を伸ばしてしまったことがありました。
> しかし、過去7~8年分の理解を徹底しようと思うと、
> なかなかやることが多くあり実際にはそんなに多くはできないはずです。
■こまちさん(女性・20歳・私立大学法学部政治学科3年・神奈川県)
私は実技試験の勉強において、過去7~8年分の問題の徹底理解こそが、
試験対策のために最も大切だと提唱しています。
「過去7~8年分よりも、過去10年分、15年分と遡ったほうが良いのでは?」
という疑問を抱く方もおられて、それは考え方として原理的には正しいです。
ただ、実際のところ、過去7~8年分の問題、
つまり、約15試験分(約30題)を徹底理解したうえで、
自分のものにすることだけでも、凄まじい勉強量が必要となります。
(この大変さは、実践した人でないと実感するのは難しいと思います。)
こういった形で、過去7~8年分まで遡って学習を徹底されていれば、
それが完了した段階で、合格水準の実力が身に付いている可能性が高いのですね。
つまり、それ以上に手を広げて勉強する必要性は低いのです。
短期で合格を勝ち獲られる方の特徴を3つ挙げましたが、
これを1つに集約するならば、「やるべきことだけを徹底的にやる」ということです。
言い換えれば、優先度の高いことにエネルギーを注ぎ込み、
優先度の低いことには見向きもしないということです。
だからこそ、最短経路で合格を手に入れることができるのだと思います。
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第488話 少しでも毎日続ける
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> 「努力は報われる」それを信じて毎日勉強しました。
○さくたんさん(女性・32歳・金融機関勤務(現在育休中)・関東)の合格体験記より
> 勉強の習慣化。
> 勉強しない日が1,2日…と伸びていくほど、勉強を再開するとき腰が重くなるぞ、
> と自分に言い聞かせて頑張りました。
○Yさん(女性・20代・SE・東京都)の合格体験記より
> どんなに忙しくても就寝前の暗記項目学習だけは毎日欠かさずに続けていたので
> 土台となる知識は確保できたと思っています。
○宙さん(男性・25歳・スポーツ関係・神奈川県)の合格体験記より
> 勉強時間にバラツキはあるものの、
> 電車の往復時間(往復で1時間半程度)は毎日勉強に充てていました。
○好きな季節は秋です。さん(男性・20歳・理系大学生(学部3年)・本州地方)の合格体験記より
1月の試験から8月の試験まで、約200日あります。
この200日をどのように活用するかが、8月試験での結果を大きく左右することでしょう。
特に、1日あたりの勉強時間をそれほど長く確保できない社会人受験生の皆様にとっては、
勉強習慣の確立による日数の蓄積こそが、実力向上のカギとなります。
単純に言えば、総学習量は「1日あたりの勉強時間×日数」で示されるからです。
試験日までの残り日数が多い今の時期にこそ、
勉強習慣が定着することで、より多くの勉強量を稼ぐことができます。
受験勉強の習慣化のために大切なことは、「できるだけ間隔を短くする」ということです。
上記で引用したYさんも述べておられるとおり、
勉強しない期間が長くなるほど、再び着手するのに大きなエネルギーを要します。
この点は、楽器の練習やスポーツのトレーニングと似ていそうですね。
極端な話、1日10分でも良いので、それを毎日継続することが大切だと思います。
その際に、すでに毎日行っていることと紐付けると、続けやすいですね。
「好きな季節は秋です。」さんは、電車に乗る時間を勉強に充てておられました。
通学や通勤で電車に毎日乗るのであれば、この時間と勉強を紐付けることができれば、
それによって、「電車に乗る時間=勉強時間」という形で習慣化されます。
生活スタイルにもよりますが、「昼休みに食事が終わった後の30分は勉強」とか、
「風呂で湯船に浸かっているときに勉強」といった活用の仕方もアリですね。
ちなみに私は、夕食後に英単語帳に取り組むことを習慣にしています。
気象予報士試験の合格のために必要な学習量を考えますと、
合格を勝ち獲られた方々は、何らかの形で勉強習慣を確立されたのだと思います。
8月の試験に向けて、着実に積み上げていきたいですね。
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第489話 とりあえず始めてみる。
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> NHKのおかえりモネを観て、予報士に興味持つ。
> 元々、趣味の範囲で、頭の体操位の気持ちで、とスタート。
> 一般合格した時点で、灯が付く(性格)。
○MTさん(男性・51歳・IT系会社の経営者・東京都(千葉県出身))の合格体験記より
気象予報士試験に興味があっても、なかなか受験勉強に踏み切れない方もおられると思います。
これは資格試験の勉強に限ったことでは無いと思うのですが、
社会人の方々にとって、仕事や家庭の事情で必要に迫られるようなことが無い限り、
新しい勉強や習い事を始めるときには、結構ハードルを感じるものですね。
大切なことは、MTさんのように、軽い気持ちでスタートされることです。
最初から本格的な受験体制を作ってしまうのではなく、
まずは受験対策本を1冊買ってみるというくらいのアクションで良いと思います。
例えれば、試食のようなものです。
一口かじってみて、「これは面白そうだ」と感じれば、
もう少し時間と労力を割いて、勉強に取り組んでみれば良いですし、
「自分には合わんな」と感じれば、スッパリ止めてしまえば良いのです。
そうすれば、時間も労力も費用も最小限で済みます。
MTさんの場合、朝ドラの影響を受けて、気象予報士資格に関心をお持ちになり、
趣味の一環として勉強をスタートされています。
このとき、勉強を始めるかどうかで迷い続けておられれば、
現時点で資格は取得されていなかったことでしょう。
ある人にとって、気象予報士試験の勉強が肌に合っているかどうか、
「難しいが、続け甲斐がある」と感じられるかどうかは、
実際に始めてみないと分からないことです。
そこで、ライトな勉強から始めてみて、相性を確認されると良いですね。
MTさんが始められた勉強は、一般知識試験に合格されることで一気に勢いが付きます。
これは、気象予報士試験の勉強の過程で、よくあることです。
1科でも学科試験に合格すると、それまで遠くで霞んでいた完全合格が、
近い将来に実現するかもしれない目標として、鮮やかに色づきます。
と同時に、「何としても資格を取得したい」という闘志が湧いてくるのです。
これが、完全合格に必要な受験勉強を後押しするエネルギーになるのですね。
ご留意いただきたいことは、受験勉強のスタートの時点で、
このように燃えている方はそれほど多くないということです。
最初はユルい感じの学習スタイルであっても、
勉強が進むにつれて、やり甲斐を感じるようになり、
実際に目に見える結果が出ることによって、ガチ受験生になる方も多いです。
だからこそ、勉強をスタートするかどうかで迷うくらいであれば、
気軽に始めてみたうえで、感触を掴んでみることをお勧めします。
確保できる学習量にもよりますが、この時期からのスタートであれば、
8月試験で一般知識試験の合格を目標にされることも可能だと考えます。
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第490話 高い壁を乗り越えて
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> 育児や仕事で全く勉強できない期間もありました。
> それでも楽しいと思いながら勉強していれば、
> その知識は積みあがっていくものだと感じます。
○Pさん(女性・30代・テレビ局勤務)の合格体験記より
先日の発表にて合格を勝ち獲られた方々がおられる一方で、
惜しくも及ばなかった方も大勢おられます。
不合格の原因は、人それぞれですが、
その中でも、勉強時間を十分に確保できなかった、という方も多いと思います。
気象業務支援センターが発表された情報によりますと、
第61回試験で合格された242名の平均年齢は36.0歳だそうです。
仕事にも、家事にも、育児にも、日々お忙しい方々が多いことでしょう。
勉強への意欲が高くても、思うように時間が確保できず、
もどかしい思いをされている方もおられると思います。
テレビ局で仕事をされているPさんも同じような悩みを抱えておられたようですが、
少しずつ積み上げていく形で実力を高められ、今回の合格につながりました。
これは合格発表が行われるたびに書いていることですが、
次回の試験での合格者のほとんどは、今回の不合格者の中から生まれます。
合格点にあと一歩及ばなかった悔しさは、とても辛いことですが、
この瞬間にも、8月試験に向けて着々と準備を進めている受験生がおられます。
ぜひ、合格という形で受験勉強を締めくくってほしいと思います。
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第491話 実技の壁を乗り越えるために大切な2つのこと
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> 私は実技試験に苦しみました。
> 令和4年度の2回の試験では、思うように勉強時間が確保できず、
> 学習が中途半端であることを自覚したまま受験し、
> 連続で落ちてしまった時は心が折れそうになりました。
> 振り返ると学科免除が2回続くことで「何とかなるだろう」という油断があったのかもしれません。
○Mさん(男性・40代・地方公務員(技術系職員))の合格体験記より
実技試験は、気象予報士試験合格の直前に迫る高い壁です。
学科2科の合格を達成しても、この壁に跳ね返され、完全合格に至らない方も多数おられます。
実技試験の壁を乗り越えるために大切なこととして、今回は次の2つをご紹介します。
まず、学科試験の内容に関する学習の充実です。
これは、学科試験にすでに合格されている方も含めて言えることです。
すでに受かった試験内容の学習がなぜ必要なのかと思われるかも知れないですが、
実技試験は「学科試験の応用版」だからですね。
例えば、「SSIを求めるためのエマグラム操作が分からない」とか、
「数値予報プロダクトとガイダンスの違いが分からない」といった場合、
それに関連する実技試験の問題が出された場合に、得点することが難しいです。
これは、実技試験のサポートに日々取り組んでいる私が実感していることですが、
学科試験の合格は、必ずしも実技試験のための土台が盤石であることを意味しません。
学科は5択のマークシート問題ですので、実力を上回るスコアが出ることもあります。
結果的に学科試験にパスできることは望ましいですが、
実技試験を攻略するために必要な知識において弱点があれば、
早急に補強しておかれることが大切です。
2つ目はMさんが振り返っておられるように、まとまった勉強時間の確保が重要です。
学科試験対策の勉強は、基本的に「知識をインプットする」という側面が大きく、
比較的短い時間であっても、勉強に使えることが多いです。
一方、実技試験の過去問題演習を行う場合、
その問題で展開される世界にどっぷりと浸かったうえで、
問題文や資料を読み込み、思考を広げていく必要があります。
そのためには、良質なまとまった勉強時間の確保が望ましいです。
「次の電車が来るまでの10分」といった細切れ時間だけでは、
その都度、集中力が途切れてしまいますし、
次に学習する際に、前の学習内容を思い出すのにも時間を要するからです。
隙間時間をかき集めて、上手く学科試験に合格された方も、
実技試験では、長時間にわたって集中できる環境を用意されることが大切ですね。
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第492話 出題者とのキャッチボール
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> 思い返せば、藤田塾への入塾前は
> 「この問いには、こう答えておけばいいだろう」という
> 暗記型スタイルで試験に挑もうとしていたんだと思います。
> 二度と同じものは現れない天気図に丸暗記が通用するはずはなく、
> 入塾をきっかけに根本的な理解に努めました。
●Iさん(女性・20代・放送局アナウンス職)の合格体験記より
まず、誤解の無いように申し上げておきますと、この試験の勉強において「暗記」は必須です。
資料等の持ち込みが一切認められない試験である以上、
使えるのは自分の頭に入っている知識と技能だけだからです。
よく「理解することが大切」と言われ、それは実に正しいことなのですが、
その場で納得できただけでは、受験勉強としては不十分です。
理解できた内容を「定着」させるまでが大切ですね。
そのうえで、実技試験の勉強で失敗しやすい一例が、「過度なパターン化」です。
例えば、想定問答集のようなものを作って、
「Aと問われれば、Bと答える」というようなことをしていると、ドツボに落ちます。
もちろん、日本付近における気象状況には、いくつかの典型例があって、
過去問題を見ても、似たような内容が出てくることは確かです。
ただ、ある問題において、何が必須解答要素になるのかについては、
その問題文の内容(言葉の紡ぎ方)次第なのですね。
よって、「台風が題材ならば、○○・□□・△△が問われることが多い」とは言えても、
それを丸暗記しただけで、パーフェクトな答案が約束されるわけではないのです。
あくまでも、実技試験は「出題者とのキャッチボール」であり、
言い換えれば、「紙上面接」といった側面が強いので、
何を解答すべきかについては、その場での思考・判断が求められるわけです。
そのための実力を養うためには、過去問題を使って、
出題者との対話が成り立つように、1つずつトレーニングを重ねていただくことが大切です。
何を解答すれば良いのかは、問題文の中に全て書かれており、
それを丁寧に読み取っていくことが重要なのですね。
問われる知識は理科系ですが、問題スタイルは国語(現代文)に近いです。
こうした学習について、私は過去7~8年分にわたって、
つまり、約30試験分の演習を推奨しています。
これは相当な時間と労力を必要とする勉強であり、
だからこそ、「実技の壁」などと言われるわけですが、幸いにも4月が始まったばかりです。
8月試験に向けて、この時間を最大限に活用されたうえで、
実技試験の実力を少しずつ高めていきたいですね。
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第493話 持続可能な勉強法こそ、正しい勉強法
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> ずっと頑張り続けると挫折して燃え尽きてしまうので、たまには息抜きも必要です。
> 天気を題材にした映画を観たり、好きな曲を聴いたり、
> おいしいものを食べに行ったりしてました。
●Bさん(男性・40代・サラリーマン(事務職)・九州北部)の合格体験記より
この試験に挑戦される方の中で、
「起きている時間の大半を受験勉強に充てることができる」という方はごく少数で、
日々こなしていかねばならない内外の仕事を抱えながら、
寸暇を惜しんで勉強されている方が目立ちます。
毎日長時間にわたって受験勉強ができれば、理想的ではありますが、
物理的にそれが難しい方も多いわけで、
短期集中決戦での勝負が厳しい場合は、ある程度の持続戦が求められるのですね。
そのとき、いかにして受験勉強を継続できるか、
モチベーションを維持できるか、習慣化できるか、という点が重要になってきます。
他人よりも記憶力が高いとか、文章を速く読めるとかいった能力よりも、
意欲を持って続けていけることのほうが、この試験では大切だと考えます。
継続にあたって、日々頑張ることは大切なことではありますが、
頑張りを続けるためにこそ、Bさんのように息抜きも重要だと思います。
根を詰めすぎて、体を壊してしまっては元も子もないですし、
苦しいだけでは、受験勉強は続かないからです。
何を息抜きにするのかは、人それぞれですね。
Bさんのように、映画・音楽・外食を楽しまれる方もおられますし、
受験勉強が身体的には「静」の行動であることから、
体を動かすこともリフレッシュになると思います。
私は特にスポーツをする習慣は無いですが、適当な駅で電車を降りて、
ぶらぶら歩くといっただけで、良い気分転換になります。
適切に休むことも受験勉強の一環と考えて、
最終的に合格まで勉強を続けられる仕組みを構築していきたいですね。
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第494話 実力を短期間で高めるために大切なこと
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> 比較すべきは過去の自分であり、同じ間違いをしていないかどうかが重要だと思います。
●T.Tさん(男性・21歳・大学生)の合格体験記より
T.Tさんのメッセージは、気象予報士試験対策で外せない部分の1つであり、
控えめに言って、メチャクチャ大切なことです。
長い時間をかけて勉強しているのに、なかなか成果が出ない場合、
この点で上手くいっていないことが、しばしばあります。
例えば、過去問題演習をしていて、
1回目の演習で間違えた部分を、2回目でも間違えていたとすれば、
受験勉強の成果はゼロということになります。
つまり、何も勉強していなかったのと同じということです。
大量の演習を繰り返せば、自ずと実力が上がるように思えますが、
実際のところ、1つ1つの「誤解」を「理解」に変えていく作業が含まれなければ、
5回転させようと、10回転させようと、実力はそのままです。
短期間で実力を高めていく受験生は、この点を強く意識されていて、
「理解できた部分」と「理解できていない部分」を仕訳しています。
そのうえで、「理解できていない部分」を理解することに全力投入するのですね。
この過程で、「なぜ間違えたのか」「どの点に留意すれば良いのか」
といったことを記録し、時々見返すことで、再度の誤答を防ぐことができます。
こうした記録は、もちろん紙のノートで行っても良いのですが、
「Google Keep」のようなアプリなら、スマホでも確認できて便利です。
一方、すでに「理解できた部分」を何度も擦り続けるような勉強は、
正答できるがゆえに気分が良いのですが、これ以上の伸びしろが無いので、
大きな時間と労力をかけるのは非効率だと言えます。
受験勉強は、オセロに例えると、盤面上に並んだ黒面を、
1つ1つ裏返して白面に変えていく地道な作業だと思うのです。
よって、大切なことは、自分のとっての黒面は何であるかを把握し、
黒面を白面に変えることに全力集中されることですね。
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第495話 実技試験学習での注力点
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> 独学で実技試験の勉強をしているときは、記述問題の採点基準がわからず、
> ひたすら模範解答を覚えようとして効率が悪かったです。
●R.Yさん(男性・41歳・総合電機メーカー勤務(設計・開発職)・東京都)の合格体験記より
実技試験の勉強で多くの方が苦労される点の1つは、
R.Yさんも挙げておられますように、自分の答案の適否が分かりづらいことです。
記号選択の問題であれば勿論のこと、語句や数値で解答するような問題でも、
原則として、解答例の内容と一致していることが、正答の条件です。
しかし、文章で解答するような問題において、
解答例と一字一句合っている必要は無いはずですし、
そもそも、そんな答案は作れません。
よって、ある程度の正答幅(ストライクゾーン)が存在するはずですが、
これを見極めるのがなかなか難しいので、勉強に苦労される方が多いのですね。
その解決のためには、試験を熟知した者による添削を受けるのが望ましいです。
例えば、外国語で手紙を書く際に、内容が適切かどうかを判断するためには、
ネイティブに見てもらうのが最も手っ取り早いのと似ています。
ただ、それはそうとして、1人で受験勉強を進めていくのであれば、
どのような点に力を入れれば良いのかについて、今回はご紹介しましょう。
それは2つだと、私は考えます。
・問題文の要求を満たす解答要素の導出
・自然で端的な答案文の作成
1つ目は、出題者とのキャッチボールができているかどうか、ということです。
言い方を変えれば、「尋ねられたことに対し、それを満たす解答ができているかどうか」です。
何を尋ねているのかは、問題文を見れば分かります。
それに対する解答要素については、正式な解答例の中に入っています。
つまり、問題文と解答例を丹念に見比べれば、
「題意」に対して、どのような「解答要素」があるのかを知ることができるのですね。
1つの問題文の中に含まれる題意は1つだけとは限らず、複数存在することもありますので、
それぞれを丁寧に結びつけていくことが大切です。
このとき、問題文を起点として、解答例が終点となるわけですが、
両者を結ぶ思考過程がどのようになっているのかを、解きほぐしていくことになります。
与えられた多くの資料の中から、どの部分に着目すれば良いのかを考えます。
たいていの解答要素は資料の中から導き出されるのですが、
その資料内容を適切に解釈するためには、土台となる知識が必要です。
例えば、等高度線の走向が大まかな風向を示すことは、地衡風の原理を知る必要があります。
もし知識不足があると、資料は沈黙したままですから、
必要があれば補強することも重要です。
このようにして、題意から解答要素を導き出すことができれば、
採点者に適切なボールを返すことが、2つ目の課題となります。
つまり、論旨が明快な文を短時間で作れるかどうか、です。
大切なことは、自分自身が題意から解答要素を正確に導けていたとしても、
それを的確に採点者に伝えられなければ、試験では得点できないということです。
一見すると、私たちは普段から日本語を使って生活しているのですから、
日本語の文を書くことは、息を吸って吐くように簡単なことだと思われます。
しかし、実際のところ、この試験では簡潔明瞭に答案文をまとめる必要があり、
最初からパーフェクトな答案を書ける人はまずいない、というのが私の実感です。
言い換えれば、現時点で上手く書けなくても、課題を見つけ、トレーニングを経れば、
その結果として「○がもらえる答案」を作れるようになっていくのですね。
私自身も受験生だったときは、解答例の内容を見て、
「こんな文を限られた時間で導き出せるはずが無い!」と思っていましたので、
これは多くの受験生が通っていく道なのだと思います。
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第496話 ノート作りよりも重要なこと
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> 参考書を読んで重要なところをノートに綺麗にまとめていましたが、
> 全範囲まとめる前に挫折して一度勉強を辞めてしまいました。
> そのような経験があったので、
> 講座に申し込み本格的に勉強を始めてからはノートは一切取りませんでした。
●Mさん(女性・20代・放送局契約キャスター)の合格体験記より
「時間をかけて勉強を続けているのに、思うような成果が出ない・・・。」
とお感じの場合、努力の方向性に課題が含まれている可能性があります。
その要因の1つが「ノート作りに時間と労力をかけ過ぎること」です。
「ノートの美しさと成績は、必ずしも連動しない」というのが、私の経験に基づく実感です。
気象予報士試験ではノートの持ち込みはできないので、
いかに美しいノートを作成したところで、それを頭に叩き込む過程が無ければ、ムダになります。
そもそもの話になりますが、受験勉強において、
ゼロからノートを作成していく必要は無い、と私は考えます。
適切な参考書が見つかれば、それを「ノート」と見なせば良いからです。
参考書というのは、受験対策において重要度の高い情報を取捨選択したうえで、
それを編集して書物としてまとめてくれたものです。
受験生がゼロからこの作業を行うことになると、膨大な時間と労力を要します。
すでに学ぶべき情報が集約された書物があれば、
それを読んで、理解のための補助線を引いたり、書き込みを行ったりすれば、
自分だけのオリジナルノートができます。
「参考書を読んで、自分でノートを作る」という作業は、
すでに編集された情報を、自らが再編集するという行為に過ぎません。
そのことで的確に記憶できるのであれば、もちろん優れた勉強法ですが、
もし、いつの間にかノート作り自体が目的と化してしまうと、
冒頭で申し上げたように、結果を出すことが厳しくなってしまいます。
短時間で気象予報士試験に合格する受験生は、
自分でゼロからノートを作るということは行わずに、
すでに存在する「編集済みの情報」を理解することに全力を投じます。
そのうえで、理解した内容を記憶に定着させながら、
過去問題にあたることで、知識を実戦的なものに変えていくのですね。
受験生にとって最も重要なことは、知識や技能を自分のものにすることであって、
それらを自前で集めたり、編集したりすることは、できるだけ少ないに越したことは無いです。
必要なことに時間と労力を集中できるからこそ、短期間で実力を高められます。
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第497話 意欲のある小中高生にも目指してほしい。
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> もっと難易度の高い資格に挑戦してみたいと思うようになりました。
> そこで次に目指す資格を探していたとき、「気象予報士」を見つけました。
> 受験資格もなく、中学生の僕でも挑戦可能だったので挑戦することにしました。
●YUTOさん(男性・15歳・中学3年生・東京都)の合格体験記より
上記のとおり、YUTOさんは中学3年生で気象予報士試験に合格されました。
過去全ての試験で言えば、もっと若くして合格された方もおられますが、
第61回試験での合格者242名の中では最年少のようです。
もし、気象予報士試験に興味を持っている小中高生の方がおられれば、
一度挑戦してみることをお勧めします。
「大人でも苦戦する試験なのに、勝ち目はあるのか?」と思われるかも知れませんが、
難関中学の算数の入試問題は、並の大人が短時間で解ける問題ではありません。
私はYUTOさんをはじめ、気象予報士を志す小中高生を何人もサポートしてきましたので、
人生経験は短くとも、相当に知的好奇心の強い人がいることを実感しています。
気象予報士試験に対する強い関心を持っているのであれば、
その中には合格まで受験勉強を続けていける方もいると確信しています。
そもそも、「学生」という肩書きが示すように、
日々勉強することを生活のメインにしているのですから、
もし、ご当人が強い関心・興味を持つのであれば、
そこに「気象予報士試験」という科目が1つ加わることも不自然ではありません。
もし、気象予報士試験に興味を持つお子様がおられれば、
とりあえず挑戦させてあげることも、1つの選択肢としてお勧めしたいです。
私自身もそうでしたが、書籍代や受験料のことなどを考えると、
17歳で合格をいただけたのも、やはり父母の協力あってのことでした。
まさか合格から3年足らずで、テレビの世界に入ることになるとは思わなかったですね。
また、社会人の受験生の場合、仕事や家事など、
日々の生活を主体的に回していかなねばならない立場なのであり、
そこから勉強時間を捻出することに苦労されている方は大勢おられます。
もちろん、学校生活というのも、日々忙しいわけではありますが、
とは言え、忙しさレベルからすると、社会人には及ばないことが多いと思います。
例えば、学生時代にバックパッカーとして海外を1か月放浪した話はよく聞きますが、
同じことを現役の会社員がやろうとするのは、不可能に近いでしょう。
つまり、時間的な余裕という側面から考えても、
若いうちに資格試験の勉強を勧めておくことは望ましいことだと言えます。
特に気象予報士試験は更新制度が無いので、
若くして資格を取得できれば、気象予報士としての人生を長く歩めます。
今、私は46歳ですが、気象予報士として30年目を迎えています。
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第498話 燃料を常に投入し続ける。
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> 低下したモチベーションを、自身により再び上昇流に乗せ、
> 超えて行かねばならない場面が訪れる可能性があります(私は複数回ありました)。
> このモチベーション向上にあたって、藤田先生をはじめ皆さんの言う通り、
> 合格体験記は私にとって心強い味方(強い正渦度移流域)になってくれました。
●れん・りさ さん(男性・48歳・金融機関勤務)の合格体験記より
気象予報士試験の合格を勝ち獲るために、モチベーションの維持は本当に重要です。
どんなに早い人であっても、勉強開始から1年を大幅に下回ることは無く、
2年以内での合格であれば、短期合格に含まれると私は考えています。
体験記をお寄せ下さった、れん・りさ さんの場合も、
2022年5月から本格的な受験勉強を開始され、2024年1月試験で合格されていますので、
実質的な受験勉強の期間は、1年半あまりということになります。
1年半という期間は、過ぎてみれば短いと感じるのかも知れないですが、
勉強漬けの日々が続きますので(そうで無ければ短期で受からない)、
その渦中にいる人にとっては、すごく長い時間に感じられると思います。
しかも、今までの生活を全て捨てたうえで、受験生として出家するのではなく、
多くの人は、れん・りさ さんのように、仕事も家庭も持ちながら、勉強を進めるわけです。
これは言い換えれば、「受験勉強を中断するもっともらしい理由」が山ほど作れるわけで、
そこを乗り越えて勉強を続けられた人だけが、ゴール(合格)に辿り着けるのですね。
そのためには、高いモチベーションが不可欠です。
れん・りさ さんも、学習モチベーションが下がってしまったことが何度があったとのことで、
これは多くの受験生にとって、普通に見られることです。
(そもそも、アクセル全開で走り抜けられる人はいないと思います。)
このときに、どうやって気持ちを立て直せるかが、明暗を分けるのですね。
自然科学としての気象に対する興味を持つ方も多いですし、
好きな気象キャスターの仕事ぶりや、
気象を舞台に活躍する映画やドラマに関心を持つ方もおられることでしょう。
「憧れ」という感情は、意欲に火を付けてくれるものですね。
また、受験勉強に対する直接の動機づけとして有効なのが、
成功談(場合によっては失敗談)を、ご自身の勉強スタイルと重ね合わせることです。
自分と似た業界や家庭環境にある方による合格体験記を目にすることで、
「この人が上手くいったのであれば、自分も同じできるはず」という発奮につながります。
ロールモデルがあるからこそ確信を持って進める、という点は大きいです。
私はモチベーションは燃料のようなものだと考えます。
1つのモチベーションがいつまでも燃え続けることはなく、やがて灰になります。
ただ、そうなる前に新たな燃料を投入してやれば、火を維持することができるのですね。
合格を勝ち獲られた方々は、モチベーションの火を絶やさなかったからこそ、
最後まで受験勉強を続けられたのだと言えます。
具体的な方法については人それぞれですので、合格体験記を紐解いてほしいと思います。
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第499話 「過去問題の解き散らかし」は厳禁
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> 藤田先生のおっしゃる通り7~8年分の過去問を繰り返し行っていましたが、
> 覚えてしまっている解答をスラスラ記入しているだけにも関わらず、習得している気になり、
> 過去問を食い散らかしているだけであることにようやく気づきました。
> 以降、過去問を解いてはしっかりと問題文や図を見直した上で、
> 模範回答が導かれた理由・根拠を探すことを意識付けました。
●なっつさん(女性・35歳・京都府・地方公務員)の合格体験記より
なっつさんの「過去問を食い散らかしているだけ」という表現に強烈なインパクトがありますが、
試験が近づいたこの時期だからこそ、特に留意したいことです。
本試験に直結する学習法が過去問題演習であることは、
学科・実技ともに共通した事実です。
ただ、大切な過去問題演習も、やり方(方法)を間違えると、
疲弊するばかりで、望む効果が薄いと言わざるを得ません。
よくあるパターンが、「手当たり次第、ガムシャラに」過去問題を解くことです。
「とにかく過去問題を解きまくれば良い」というお考えがあるのだと思いますが、
そもそも過去問題演習の目的・意義性から外れています。
何のために過去問題演習を行うのかといいますと、
本試験に出されるであろう、過去問題との類似性がある問題に正答するためです。
気象予報士試験では、大切だと思われる内容については、
手を替え品を替え、何度も同じようなパターンで出題がなされます。
これらの内容について、納得を積み重ね、同時に記憶に焼き付けることで、
本試験の問題に対する対応力が高まっていきます。
つまり、過去問題演習の「肝」の部分は、問題を解くこと自体にあるのではなく、
問題内容を理解して、自分のものにすることにあります。
いくら数多くの問題を「解きまくった」ところで、不正解のまま放置していれば、
再演習をしても、不正解のままです。
当然ながら、これに類似する問題が本試験で出されても、正解はできません。
問題を解いた後に、「どうすれば、自分はこの問題に正解できるか」について、
1つ1つ分析していくことこそが、大切なのですね。
さらに言ってしまえば、やや極論のように聞こえるかも知れませんが、
問題を解かずとも、解答解説を活用しながら解法を理解していくのであれば、
「解きっぱなし」よりも、よほど勉強として意義深いことです。
「問題を解く」という行為は、外形的には【受験勉強やってます感】が強いのですが、
実のところ、「今の自分に、この問題が解けるかどうか」を判定しているだけの作業です。
例えれば、溶液にリトマス紙を浸けて、反応を見ているだけです。
「解けるか解けないかが分かること」と「実力が高まること」は別物ですね。
試験日が近いからこそ、限られた時間で成すべきことは、
解ける過去問題を少しでも増やすことに尽きます。
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第500話 一般・専門に時間を費やす勇気
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> マークシートだからといって一般・専門を甘く見て、
> 時間のかかる実技の勉強を優先させていたことが、結果的に遠回りだったように感じます。
> 過去に合格した皆さんの体験談を数々読んでいましたが、短期合格を目指すあまり、
> 一般・専門に時間を費やす勇気が持てなかったことが大きな反省点です。
●Yさん(男性・40代・フリーアナウンサー・沖縄県)の合格体験記より
試験までの残り時間が1か月を切りました。
学科試験と実技試験の勉強を並行している受験生の皆さんにとって、
この時期に、重要な決断を行っていただくことが大切です。
・完全合格を目指して勉強を進めるのか
・学科試験だけに絞って勉強を進めるのか
という決断です。
誰でも、次回の受験を最後にしたいはずです。
受験する全ての試験に合格して、資格を取得したいはずです。
ただ、実技試験の採点を受けるためには、学科試験で合格を得ることが条件であり、
それが叶わなければ、満点の実技答案でも採点は受けられません。
だからこそ、まずは学科試験の合格の可能性を高めることが、
この試験の戦略として本質的に重要です。
「あと1点」が足りなかったゆえに、涙を飲んだ方は大勢おられます。
特に、実技試験の学習進捗が厳しい場合、
今回の試験に関しては、そのエネルギーを学科試験の勉強に振り向け、
学科2科に合格して、次回試験で実技学習に集中できる環境を作ることをお勧めします。
具体的に言いますと、過去7~8年分の実技試験の問題全体を通して、
「解法が完璧に頭に入ったうえで、適切な解答ができる」という問題が、
全体の3分の2にも満たないようであれば、今回の試験で勝つのは厳しいと考えます。
時期的には、すでに「仕上げ」の段階に入っているというのが、
合格を勝ち獲る受験生の標準的な立ち位置なのです。
もし、こうした状況で、かつ学科の受験も必要なのであれば、
学科試験の準備に集中されることをお勧めします。
第61回試験で合格されたYさんも仰っていますように、
「一般・専門に時間を費やす勇気」を持つことが大切です。