藤田真司の気象予報士塾は、気象予報士試験合格をトコトン応援する通信型の塾(予備校)です。

以下の対談記事は、2008年(平成20年)春に作成したものです。
当時は通学型受講の講座を開いており、対談記事もそれをもとにした内容になっています。
通信型専業となっている現在の当塾とは異なる部分もありますが、気象予報士試験合格に向けた当塾の方針に変わりは無いので、参考になる部分も多いと思います。(2017年4月9日補足)


【対談】気象予報士試験に合格できた私の勉強法


 藤田真司
(藤田真司の気象予報士塾・塾長)
 加賀屋陽介さん
(藤田真司の気象予報士塾・元受講生)
2008年1月に行われた第29回気象予報士試験に合格された加賀屋陽介さん。
合格率4.5%という難関試験を突破された加賀屋さんは、「頑張っている受験生のために、僕の経験を生かしてほしい」と、 合格の秘訣について、惜しむところなく語って下さいました。


■3年連続全国大会出場も、ケガでやめざるを得なかったテニス部。
■大学時代に何かを頑張りたかったから、気象予報士試験に挑戦した。


藤田:大学では体育会系のテニス部に所属しておられたそうですね。

加賀屋:はい。テニスは中学校・高校のときからずっと続けてきましたから。厳しい練習でしたが、おかげで全国大会に毎年出場することができました。

藤田:それはスゴイ! でも、それほどテニスに打ち込んでおられたのに、なぜ「気象予報士試験」なんですか?

加賀屋:大学3年の時に肩を痛めてしまい、競技を続けられなくなったんです。だから、残りの大学生活を何か充実したものにしたいと思いました。ちょうど書店で気象予報士の本を見かけたことで、その思いが僕を気象予報士試験に向かわせたわけです。 長年続けてきたテニスを辞めてしまったからには、絶対に在学中に気象予報士の資格を取りたいと思いました。ただ、独学での成果が芳しくなくって・・・。学科試験でも7問くらいしか正解できませんでした。 そのとき、試験会場で藤田塾のチラシをもらったことを思い出し、藤田塾に入塾したわけです。月謝も安いじゃないですか、藤田塾って。これなら自分のバイト代から出せると思ったんです。


■歯を食いしばって基本学習を続けるうちに、勉強が面白くなった。
■基礎がきちんとしているから、応用の勉強がはかどる。


加賀屋:勉強で一番大変なのは、ある程度軌道に乗るまでだと思うんです。最初は「おっしゃーッ! 勉強頑張るぞ!」って、参考書をたくさん買うんでしょうけれど、ネットオークションには、 あんまり折り目の付いてなさそうな参考書がゴロゴロ出てますよ。 コメントに「あんまり読んでないので綺麗です。」って。(笑)

藤田:勉強を始めるときは、誰でも「やる気まんまんマン」か「やる気まんまんウーマン」なんですけど、大事なのはスタートダッシュよりも、むしろ長期間にわたって走り続けられるかどうかですよね。 加賀屋さんの場合、勉強に対するモチベーションをどうやって維持されたんですか?

加賀屋:「自分で決めたことは絶対やらなきゃいけない」っていう、僕の性格もあると思うんですけど、一番の理由は、勉強を続けるうちに楽しくなってきたってことですね。 誰でも基本学習って絶対イヤなものなんですよ。面倒くさいことですよ。テニスとか野球で言ったら「素振り」です。でも、それをやらない限りは次に進めないと思うんです。ですから最初のうちは、それを肝に銘じて我慢して勉強を続けました。 そうすると、だんだん勉強の全体像が見えてきて、進歩が確認できるようになったんですよ。それが自信につながって、勉強のキツさの中に楽しみが見えてきました。

藤田:どれくらいの時間でそうなりましたか?

加賀屋:僕の場合は、藤田塾に入って2週間~3週間くらいで軌道に乗りました。図書館や喫茶店で毎日2時間くらい勉強をしていましたね。ですから、週に14時間くらいになりますか。 授業内容の復習はもちろんですが、その分野の過去問題にも取り組みました。それだけ勉強すると、イヤでも知識は定着しますよ。

藤田:授業後によく(教室の近くにある)喫茶店で勉強されていましたよね。

加賀屋:勉強でも、スポーツでも、基礎って大事なことだと思うんです。例えば、中日ドラゴンズの二遊間、井端選手と荒木選手のコンビが良いじゃないですか。 プレーを見ていると、簡単そうに見えるんですけど、基礎がシッカリできているからだと思うんですね。基本ができていなくて、スーパープレーなんかできるはずがないんです。 気象予報士試験で言うと、学科試験の勉強が「基礎」ですよね。一般知識試験と専門知識試験の勉強ができないうちは、実技試験の勉強なんか始めるべきじゃないですよ。 早く合格したいって気持ちは分かるんですけど、焦っちゃダメですね。

藤田:私もそう思います。ですから、当塾の「実技試験対策講座」には受講条件を設けているんですよね。

加賀屋:今、実技講座の話が出たんで、僕がした実技試験の勉強を紹介しておきます。「最低でも過去5年分、できれば過去7年分の過去問題演習を」って、先生が言ってたんで、僕は平成12年度第1回試験からは全部解きました。

藤田:ということは7.5年分、つまり過去15回分の演習ですね。1回の試験に2つの問題が出るわけですから、ちょうど30問。これらの過去問題を完全に咀嚼し消化できたからこそ、実技試験を突破できたのだと思いますよ。


■塾の受講料は、自分でアルバイトをして支払った。
■集中できる環境を作るために、お金を払ってでも喫茶店で勉強。


藤田:先ほど「図書館や喫茶店で勉強した」って言われましたけど、ご自宅では勉強されなかったのですか?

加賀屋:そうです。家にいると、いろんな誘惑があるんですよ。 例えば、テレビが目の前にあって、リモコンにすぐ手が届いてしまうんで・・・。(笑) ですから、図書館で勉強できないときは、喫茶店で勉強していました。 シーンとした家の中で勉強するよりも、少しザワザワした喫茶店で勉強するほうが、かえって集中できましたよ。 確かにコーヒーを頼むのにお金はかかりますけど、何度も試験に落ちてイヤな思いをするよりは、早く合格したいじゃないですか。

藤田:加賀屋さんは、自分にとって必要な経費に対して、思い切ってお金を遣っておられますね。 例えば、先ほど「受講料を自分のバイト代で出した」と仰いましたが、学生さんであれば親御さんに出してもらう方も多いことでしょう。私も親のスネをかじりまくっていましたし。

加賀屋:親にお金を出してもらうことは別に悪いことじゃないんですが、敢えて身銭を切って学んだほうが、勉強に対する貪欲さが高まると思うんです。

★加賀屋陽介さんの合格までの道のり(写真:合格証のハガキを手にする加賀屋さん)
2006年10月藤田真司の気象予報士塾に入塾
「学科試験対策講座(一般知識コース)」受講開始
「学科試験対策講座(専門知識コース)」受講開始
2007年1月第27回気象予報士試験で一般知識試験に合格
2007年3月「学科試験対策講座(一般知識コース)」受講修了
「学科試験対策講座(専門知識コース)」受講修了
2007年4月「実技試験対策講座」受講開始
2007年8月「実技試験対策講座」受講修了
第28回気象予報士試験で専門知識試験に合格
2008年1月第29回気象予報士試験で完全合格



■気象予報士になった自分の姿をイメージする。
■睡眠を十分摂ったほうが、密度の濃い勉強時間を確保できる。


藤田:毎日2時間の勉強量を確保されたとのことですが、当塾の授業時間も2時間です。 授業時間を2時間に設定したのは、高い集中力を保つことのできるのに程よい時間だと思ったからですが、加賀屋さんも同じように考えておられますか?

加賀屋:僕自身がこの勉強に費やした時間は、1日に3時間までですね。逆に勉強時間が長すぎると、勉強の密度が薄くなってしまうように思うんです。 無制限にダラダラ続けるよりは、「○時まで集中するぞ」といった感じで、勉強するほうがいいんじゃないですか。

藤田:つまり、1週間の合計勉強時間が7時間である場合、1日にドカッとまとめて7時間勉強するよりも、1時間の勉強を毎日継続するほうが有効だということですね。

加賀屋:そうだと思います。勉強と勉強の時間間隔が空いてしまうと、学んだことを忘れてしまいやすくなりますから、次の勉強を始めるときにもエンジンがかかりにくくなって、非効率になるんじゃないですか。 一日少しずつでもいいから継続することが大事ですね。

藤田:毎日2時間の勉強を続ければ、大きな自信につながったでしょう?

加賀屋:僕は藤田塾で勉強して、ノートの分量が5冊になりました。 ノートを見ただけで「ああ、俺はこれだけやったんだ」と思えましたね。 あとは、イメージトレーニングみたいなのもやりましたよ。 自分が気象予報士になったときの姿を考えながら勉強していたんです。

藤田:それは私が受験生だったときにもしました。 寝る前には参考書を枕元に置いて、合格した状況を想像していましたね。 ちなみに「寝る」ということで、お聞きしたかったのですが、睡眠時間を削って勉強に励まれたことはありましたか?

加賀屋:しないですね。豪快に寝てます!(笑) 夜中遅くまで頑張ってるなんて最悪ですよ。 大学受験のときにも「4当5落」とか言ってる奴がいましたが、(編集者注:「4時間睡眠なら合格、5時間睡眠なら不合格」の意)僕に言わせれば、「4落5落」ですよ。 最低でも6時間は寝ないと、勉強の密度が下がると思います。 眠くなったときには寝るのが大事! そこまで自分の体をこき使っているのは(自分の体に)かわいそうですよ。

藤田:私も学生時代は睡眠時間を削っていたのですが、四六時中眠かったですね。 今は2人の娘も小さいので、家族全員で夜9時に寝ています(笑)。 朝は5時に起きますから8時間睡眠です。 これだけ寝れば、電車の中で眠くなることはまず無いですね。


■大事なのは「標準~やや難」の問題を確実に得点すること。
■過去問題を研究し尽くした「逆算の勉強法」が、効率を最大限に高める。


加賀屋:藤田塾のプリントが市販の参考書と違うのは、過去問題分析を徹底的に行っているところだと思いますよ。

藤田:そのとおりです。ご存じのとおり、当塾の授業や教材は、過去に試験で狙われた部分をもとに作成しています。ハッキリ言って、過去に一度も問題として出題されたことのない部分は載せていません。載せていても、試験に出ていない旨を明示しています。 これは、「逆算の発想」に基づいているんですよ。「試験に出たところを勉強しよう」ということです。 気象学って、範囲が広くて奥深いんです。私は100冊以上の気象書籍を読んできましたが、いろんな本を見れば、いろんなことが書いてある。 でも、それを端から端まで完全に取りこぼしなく勉強するやり方は、試験勉強としては非効率なんですね。

加賀屋:それは「1日10時間勉強してるのに成績が一向に上がらない・・・(汗)」ってことになりかねないですね。 全てをローラー式に勉強していくやり方じゃ受験に間に合わないですよ。 大学受験のときにも思ったことなんですが、試験で大切なのは「標準~やや難」の問題を確実に得点することなんです。 難しい問題は恐らく正答率が極端に低くなりますから、結局のところ、「標準~やや難」の問題が解けるかで差が付くんですよね。

藤田:そのとおりだと思います。難問を全部解いて、100点を取る必要などないわけですからね。 限られた試験時間内で、いかに最大の得点をあげるかがポイントなわけで、そのためには、難易度が中程度までの問題を、どれだけキチンと拾えるかは大事ですね。 ちなみに、具体的に加賀屋さんの勉強法はどんな感じですか?

加賀屋:先生が作ったプリントを徹底的に活用しました。さっきも言ったように、過去問題の研究が徹底的にしてあって、僕は画期的なプリントだと思うんです。 このプリント自体が、かなり凝縮された内容だと思うんですが、(編集者注:一般知識でA4片面約105枚、専門知識で同約85枚。数字は当時のもの。)僕の場合は、このプリントを使ってノートに要点を書き出していました。 ノートの左側にそれを書いて、右側に授業内で聞いた内容を書き込んでいます。 面倒くさいことですけど、手を動かすことで、自分の頭の中に染みこんでいくように思えるんですよ。 あと、「大気の熱力学」「大気の力学」については、単に数式や定義を覚えるだけじゃなく、それらが指し示す内容を自分なりにイメージすることが大切ですね。

藤田:加賀屋さんは第27回の一般知識試験において、法規を除いた11問を「10勝1敗」で突破されたそうですね。 この勉強法の即効性が証明されたと言って良いでしょう。


■「自分をいかに律することができるか」を常に意識する。
■勉強仲間の存在が、お互いを高め合う。


藤田:気象予報士試験は難解な数式を解く問題はまず出てきませんから、充分な勉強を重ねれば、合格の可能性が相当に高まると確信していますが、現実問題として、気象予報士試験の合格率が5%を下回ることが多いのは、「勉強を軌道に乗せることの難しさ」を意味しているのではないでしょうか。 自分を律するための一つの手段が、加賀屋さんのように当塾を活用されることです。 例えば、通学型の場合だと「毎週授業に行かないと」という気持ちになりますし、通信型の場合でも毎週教材が送られてくるわけですから、それが勉強に対する後押しになると思うんです。

加賀屋:僕がDVD補講を受けたときに思ったんですが、通信型で受講される方はDVDを視る時間を決めるのが良いんじゃないですか。 例えば、「1週間のうちの、この曜日・この時間は、必ずDVDを視る!」って決めちゃうわけです。で、授業を受けているときは、画面の中の先生が「休憩です」って言うまではオシッコには絶対に行かない! あらかじめDVDを視る5分前にはトイレに行って絞り出す!(笑) DVDで授業を受けている時間は、何があっても部屋を出ずに授業に集中する!それくらいの覚悟が必要だと思うんです。

藤田:確かに、ご自宅でDVDを受けるのであれば、寝ころんだままポテトチップスの袋に手を突っ込みながら、テレビの画面に向かうこともできますからね。

加賀屋:授業を受けているときに、飲み物とか食べ物とかを横に置いたら、もうその時点で「負け」なんですよ。

藤田:酒もダメですね?

加賀屋:もう論外です!(笑) 1週間の中で確保した2時間は、甘えを排除して集中するべきですね。 僕が思うに、近畿圏に住んでおられる方で、教室までの往復電車賃が千円以下の人は、通学して生で授業を受けるべきです。 そうすれば、行き帰りの電車の中も勉強時間になるじゃないですか。

藤田:通学型の利点を最大限に生かされた加賀屋さんのお言葉だけに重みがありますね。 加賀屋さんもご存じのとおり、受講生の中には往復電車賃が千円どころか、新幹線を利用して毎週通って来られた方々もおられました。

加賀屋:あと、もう一つ大事なのは、塾で開いてる飲み会を活用して、勉強仲間を作ることです。

藤田:加賀屋さんは多くの受講生の皆さんと仲良くなられたみたいですね。

加賀屋:飲み会でメアド(編集者注:「メールアドレス」の略)を交換した仲間で一緒に勉強会も開きました。 良い仲間を見つけられてハッピーだったし、仲間どうしで自分を高め合うことができたと思います。 実は、こういう経験は初めてでした。これまで勉強は孤独にやっていくもんだと思っていましたから。 先生が「勉強仲間を見つけること」を勧めている理由が分かりました。 一人で勉強していると、怠けようと思えば、いくらでも怠けられるんですよ。

藤田:受講生どうしの情報交換も大事ですしね。 さて、加賀屋さんは大学を卒業され、今春から社会人となられるわけですが、気象予報士として活躍したいことはありますか?

加賀屋:就職先は気象予報士と直接に関係はないのですが、気象予報士という資格を新しい自分に生かしていきたいなあと思います。 まだ気象予報士として未熟ですし、ペーパー予報士になるのはイヤですから、専門書を読んだりして、自分を磨いていきたいと思います。

藤田:頑張って下さい! 新天地でのご活躍をお祈りしています。

上の写真は、「合格お祝い金」を手にされる加賀屋さん。
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◆対談を終えて◆
今回の対談は、加賀屋さんのご提案により実現しました。
以前に私は、気象予報士のSnowDropさんと対談を行ったのですが、そのときのメルマガ記事をお読みになっておられたとのこと。
「合格したら、先生と対談したかったんですよ。」と仰って下さいました。
普段は私が一人でメルマガの記事を書いているわけですが、今回はひと味違ったメッセージをお伝えできたのではないかと思います。
加賀屋さんの他に試験に合格された方々とも、先日に楽しくお話できる機会に恵まれました。
合格体験記も書いて下さいましたので、受験生の皆様にとって参考になるかと思います。

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